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Vintage Waxでパーキンソン病患者の家具・建具をメンテナンスする

パーキンソン病とは、自分の意志に反して手足が震え、次第に身体が動かしにくくなってしまう難病だ。
治療方法が未だ確立されておらず、薬で症状を抑えて生活することになるのだが、「瓶の蓋が開けられない」「個包装のビニール袋が手で破れない」「薬のように小さなものをよく落とす」「ニンジンなどの固い野菜が切りづらい」「引き出しが開けにくい」「歩く速さが遅い」「段差のないところで転倒する」等々、日常生活の何気ない部分に結構な数の支障が出てくる。

我が家は築40年以上の日本家屋で、古い木製の家具や建具が多く、重くて開きにくい木の扉や引き出しが相当数ある。木材用のワックスやクリームを使って家具と建具の動きをスムーズにし、パーキンソン病の患者でも独力で負担なく家屋や家具を使えるよう配慮することにした。

VintageWax(クリアー)の蓋を開き、正面から撮影した写真。山吹色のワックスが画面左に写っている。

↑ 使用したVintage Wax。お色は「クリアー」で、蓋&内蓋を開くとこんな感じ。

使用した木材用ワックス「Vintage Wax」とは

本来は、木工製品や木製家具の風合いを変えるために塗る、木材用のワックスのこと。
ビンテージワックスと言う名前の通り、木製製品に塗ると木の色合い・風合いが変わり、ビンテージ風のクラシカルな雰囲気を醸し出せる。

ただ、私自身はVintage Waxのビンテージ感をまるっと無視し、木製製品の滑りを良くするために、主に使用している。

販売されている色は、クリアー・チーク・ウォルナット・エボニーブラックの計4色。(2022年現在)
どのお色も製品サイズは1個160gの一択で、お値段は1個2100円くらい。
お近くのホームセンターや、東急ハンズなどの雑貨店で購入できるが、メルカリやamazonでも取り扱いがある。

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製造元(ニッペさん)のwebサイト

vintage waxを製造されているニッペさんが、特設のwebサイトをご用意くださっていたので、下記にリンクを掲載。
ヴィンテージ風に塗り上げる動画などが公開されている。

ニッペホームプロダクツ WOOD LOVE
https://www.nippehome-online.jp/woodlove/wax.html

Vintage Waxを塗布した箇所

ワックスを塗布したもの 塗布した箇所 塗布回数 おすすめ度 備考
箪笥たんす(木製) 各引き出しの側面・底面、箪笥たんすの内側 2回 重くつっかかりのあった引き出しが、指1~2本分の力でスッと開く
和室の襖縁ふすまぶち 襖縁ふすまぶち(木枠) 1回
和室の敷居・鴨居 襖と木材が接する部分 1回 襖や引き戸が軽い力で開くように
書斎机(木製) 各引き出しの側面・底面、机の内側 2回 インク汚れやキズが目立たなくなり、引き出しもスムーズに開く
箪笥(とう) 各引き出しの側面・底面、箪笥の内側 1回 元々軽いとうの引き出しが更に軽くなった

木製家具で、引き出しや引き戸が付いている部分に、ことごとくビンテージワックスを塗布した。居間や患者の寝室など、パーキンソン病患者が日常的によく使う家具は、特に念入りに2回以上ワックスを塗り重ねた
1回の塗布にかかる時間は、引き出し1つにつき20~30分。真面目に2度塗りすると、箪笥1棹たんす さおで数日間から1週間ほどかかる。

また、ふすまや木製扉など、木と木が触れ合うタイプの建具についても、木と木の接触部分全てにビンテージワックスを塗り尽くした。

VintageWax(クリアー)を木製家具に塗布している写真。写真手前のワックスを塗布した箇所だけ、木材の色が深くなり、木目がくっきりと目立つようになっている。

↑ 木製家具にVintage Wax(クリアー)を塗布。クリアーを1度塗布するだけでも、木材の色みに相当な深みが出る。

Vintage Waxはどのくらいの量が必要か

160gのVintage Wax 1個で、タンス5~6台分を塗ることができた。私はタンス内部の木と木の接触部分のみにVintage Waxを1~2度塗りする方法で使っているので、この方法であれば結構たくさんの家具に塗りこむことができる。
家具の木部全てにVintage Waxを塗る方法であれば、2~3倍の量のワックスが必要だろうと思う。

木製家具と木製の建具すべて込み込みで、2世帯住宅の日本家屋に対し、Vintage Wax 2個で何とか足りた。

Vintage Waxの使い方

事前に必要なもの

5cm×10cmくらいの大きさの、汚れてもいい布(ウエス)が1~2枚必要。着古した綿100%のTシャツを小さく切って用いてもいいし、使い古しのハンカチや靴下を、裂いて転用してもいい。
Vintage Waxを塗ると、住宅の埃やワックスで布がすぐに汚れてしまうので、布は数枚ある方が望ましい。

ワックスの塗り方

ワックスの蓋を捻りながら開くと、ビニール手袋と説明書に加えて、内蓋がついている。説明書を読み、ビニール手袋をはめて、内蓋を開く。

  1. 利き手で布を持ち、小さじ1杯くらいのワックスを布にとる
  2. 布を木製製品にあてて、製品の木目に沿って、こするように塗り込む
  3. 換気を十分に行いながら、1日以上放置してワックスを乾かす
  4. ワックスを塗りこんだ部分を、乾いた布で木目に沿って拭き、余分なワックスを落として木材表面にツヤを出す
  5. 必要に応じて、乾いたワックスの上からもう一度ワックスを塗り込み、乾かしてから乾拭きする(重ね塗り)

ワックスを塗り終わったら、早めに石鹸で手を洗うことを忘れずに。ワックスを使うと手がベタベタになるので、住宅を汚す恐れがある上、喉や気管支などの呼吸器にもいい影響を与えない。

VintageWax(クリアー)を至近距離で撮影した写真。山吹色のワックスの質感がはっきりとわかる。ワックスには木くずが含まれており、黒っぽいごみのように見える。

↑ ワックスの質感はやわらかく、ジャムのような感じ。オイルを含んでいるので、テカリがある。黒っぽく見えるものは木屑。

Vintage Waxを使った感想

Vintage Waxは、元々は木製家具の表面塗装のためのお品だが、木製家具の内部や引き出しの側面に試し塗りしてみたところ、Vintage Waxが潤滑油として高い性能を発揮してくれることに気づいた。
亜麻仁あまに油や他社製品の木部用みつろうクリーム等も家具の引き出し側面に試し塗りしていたのだが、何故かVintage Waxを塗った時が、最も引き出しの滑りが良くなった。

どのくらい滑りが良くなるかというと、片手で「よいしょっ」と開いていた引き出しが、指1~2本分の力だけで「すいーっ」と滑るように開くようになる。あまりに滑らかに開いてくれるので、引き出しを開くこと自体に、何故か快感を感じるようになる(笑) Vintage Waxを木製家具に塗り始めた当初、用もないのに日に何度も引き出しを開け閉めしては、すいすいと開く心地良さに浸っていた(笑)

Vintage Waxの取り扱い説明書を撮影した写真。細かい文字で注意書きが書かれている。

↑ Vintage Waxに同封されていた説明書

パーキンソン病を患うと手足に意図せぬ震えが出るので、薬で症状を抑えていても、どうしても細かい作業や力の要る作業が不得手になる。(パーキンソン病に限らず、高齢者は全般的にそうなのかもしれないが) それでも、パーキンソン病患者でも自分のことは自分でやりたいようだし、自分でやるほうが病気の進行を抑えることにも繋がるので、居住環境をパーキンソン患者が動きやすいように整えていくことにした。
Vintage Waxを自宅中に塗り尽くし、全ての木製製品や建具がスムーズに開閉できるようにしているのは、その一環である。

Vintage Waxを塗り尽くすのは非常に骨の折れる仕事だったが、結果的に築40年の日本家屋全体が、パーキンソン病患者に限らず、老若男女に使いやすいものへと変わっていった。

Vintage Waxに同封されていた取り扱い説明書を撮影した写真。細かい文字で注意書きが書かれている。

木工用ワックスを塗る前には全く意識していなかったのだが、建具や引き出しが開きにくいと、無意識にその部屋やその引き出しを使わなくなってくる。
ので、つい手近な棚や机の上に物を出しっぱなしにしてしまい、家が散らかる一因になる。散らかったものを片付けるため、別のタンスや棚を買い足したことさえ過去にはあった。

家中の全ての建具・全ての引き出しが片手ですいすい開閉できるようになると、家族全員が家のすみずみまで使うことができるようになり、自宅が散らかりにくくなった。

パーキンソン病を患う家族も、自分の身体が思い通りに動かないため、置きやすい机の上などついつい手近なところに物を放置しがちだったが、Vintage Waxを塗布済みのタンスや事務用品入れを使い始めてからは、とりあえず引き出しの中に物を仕舞ってくれるようになった

引き出しの中は、程よく整理されている引き出しと、未整理のままとりあえず突っ込んである引き出しと、半々くらいの割合になったが、部屋が乱雑に見えなくなり家族全員がストレスなく動けているようなので、ひとまずこれで良しとした。

↑ Vintage Waxの説明書を撮影した写真。VintageWaxの塗り方の前半部分が、写真付きで掲載されている。

↑ 付属の説明書に載っていたVintage Waxの塗り方(前半) 背景に写り込んでいる木の板は、Vintage Waxを塗りこんだもの

引き戸や襖縁などの建具へのVintage Waxの塗布することも、住環境の機能性をアップさせる効果があり、全ての部屋の扉が軽い力で開閉できるようになった。

ただ、建具については、ワックスを塗布するだけでは不十分で、引き戸・襖の底部についている戸車のメンテナンスも併せて必要だった。
戸車が巻き込んでいた埃の塊をつまようじで取り除き、敷居や襖縁ふすまぶちに木材用ワックスを塗りこんだ後、戸車にもワックスを塗布してしまうと、かなりスムーズに動くようにはなった。特に引き戸については、両手を使ってもなかなか戸が開けない…ということは一切なくなった。

Vintage Waxの付属の説明書を撮影した写真。Vintage Waxの塗り方の後半部分が写真付きで掲載されている。

↑ Vintage Waxの塗り方(後半部分)

なお、ワックス塗布済みの木製家具に慣れてくると、ボックス型のプラスチックケースを使う頻度が急激に下がった。プラスチック製の家具の方が軽くて扱いやすそうに思えるのだが、実は木製家具よりプラスチック家具の方が、引き出しが開きにくかった。

また、パーキンソン病患者に限らず高齢者は転倒すると骨折しやすいので、転倒が命取りになるのだが、プラスチック製家具は軽くてグラグラするので、とっさの場合につかんで高齢者の身体全体を支えるには不向きなようだ。
身内のパーキンソン病患者も、がっしりした木の椅子やびくともしない木製のテレビボードなどを好んで使って、つかまり立ちすることが多い。

木部用ワックス「Vintage Wax」クリアータイプの、容器側面を撮影した写真。容器は白くて軽いプラスチック製で、茶色いラベルが貼られており、原材料が表示されている。

↑ Vintage Waxの容器側面に原材料が印刷されている

Vintage Waxを塗布する際の注意事項

Vintage Waxは、値段が手ごろで気兼ねなくたっぷりと使える反面、今まで使った木部用ワックス・クリームの中で、一番取り扱いが難しかった。

「クリアー」でも、色みが大きく変わる

Vintage Waxの「クリアー」は、パッケージを見ると無色透明に近い色合いに見えるのだが、クリアーにも顔料が含まれており、塗ると結構な頻度で木の色が濃くなる。木の種類によっては、木が水に濡れたような濃さではなく、明らかに2~3段階濃くなってしまうものもあるので、クリアーを使われる際にはご留意を。

個人的には、もう少し無色透明で木の色みを変えないワックスがあると、白木や貴重品にも塗布できて使いやすいだろうな、とは思う。

VintageWax(クリアー)を木製家具の引き出しに塗布して撮影した写真。木材の上半分に木工ワックスが塗布されており、その部分だけ木材の色が濃くなっている。

↑ 木製家具の引き出しの側面にVintage Waxのクリアーを塗っているところ。

塗布時と塗布後1週間は臭いがひどく、咳き込むこともある

私が使用したのはVintage Waxクリアーのみだが、塗布する際と塗布した後1週間ほどは、ワックス特有の臭いがかなりある。Vintage Waxを塗布したばかりの部屋に入ると、必ず鼻につく異臭を感じる。

Vintage Waxは何らかの物質の揮発量が多いのか、気管支喘息を有する私は、ワックスを長時間塗布し続けることができなかった。軽く窓を開ける等の換気は行っていたつもりだが、マスクもつけずに数時間塗布していると、咳や痰が増え、最終的には激しく咳き込む羽目になった

また、塗布後1週間くらいは揮発量や臭いが結構きつい。私は何も考えずに自室からワックスを塗布してしまったので、塗布後1週間自室で眠ることができなかった(笑)
Vintage Waxを塗布した後の部屋に長く滞在すると、眠っていても咳き込むので、その部屋で眠ることができなくなる。

塗布後に24時間窓を開けたままで数日間放っておくと、臭いが収まり、咳き込むこともなくなり、再び部屋で過ごせる状態に戻った。今はVintage Waxの塗られた箪笥や建具を眺めながら自室で過ごし、そのまま眠ることもできている。

自室にワックスを塗ったのは晩秋だったが、気温の低い晩秋でもこのような状態になったので、揮発量の増える夏場に、広い面積を塗り始めるのは避けた方がいいかもしれない。気温が上がれば上がるほど、空気中への揮発量は増えるため、臭いもひどくなるだろうと思う。

木材用ワックスを塗布する際の、その他の注意事項

時間と手間がかかる

木製家具に木工用ワックスを塗布するのは、それなりに手間と時間がかかる作業である。家具1台だけで、数日から1週間かかり、重ね塗りするなら単純に倍の時間がかかることを想定しておきたい。

2世帯住宅の家中にワックスを塗布するには、1か月では到底足りなかった。3ヶ月以上かかると想定して、気長に取り組んであげて欲しい。非常に時間を要する作業だが、一度塗ってしまえば、その後数年から数十年は日々の生活が楽になるので、頑張る価値はあるとは思う。

利き手に棘が刺さる

引き戸に塗布する場合に多いのだが、布ごしであっても木のとげが指に突き刺さることがあるので、乾燥のひどい木材に塗布するときには注意が必要。

私は右手人差し指で塗る癖があるのだが、VintageWaxを2個使い切るまでの間に、3回ほど人差し指にとげが刺さってしまった。約6mmの棘が深く刺さってしまったときは、棘抜きを使って1時間近く格闘しても、棘が抜けなかった。
困り果ててイボ・タコ用の絆創膏を1週間貼ってみたところ、皮膚がふやけて、周囲の皮膚ごとはがす方法で何とか抜くことができた。

棘が抜けるまでの間、右手でパソコンを打つたびに軽い痛みが走っていたので、仕事にも多少の支障が出たことをお伝えしておく…。

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木工用みつろうクリームで築40年の和室をメンテナンスする

「木工用みつろうクリーム」はお手頃価格なのに仕上がりが良すぎて、購入後1週間で10g缶使い切ってしまった(笑) 2缶目に200g缶を購入し、築40年の家屋を家中塗り倒しているので、製品をご紹介したい。

木工用みつろうクリームの蓋を開け、真上から撮影した写真。黄色いクリームの右横に、みつろうクリームを塗られたかまぼこ板が写っている。

↑ 購入した木工用みつろうクリーム(10g)

製造元(尾山製材さん)のwebサイト

製造元の尾山製材さんが、みつろうクリームのwebページを用意下さっている。最新情報をお知りになりたい方は、こちら↓からどうぞ。みつろうクリームの購入も可能。

尾山製材 木工用みつろうクリーム
http://www.oyamaseizai.com/portfolios/%E6%9C%A8%E5%B7%A5%E7%94%A8%E3%81%BF%E3%81%A4%E3%82%8D%E3%81%86%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0-2/

木工用みつろうクリームの説明

木材に潤いを与え、つやを良くし、木材を乾燥やキズから保護してくれるクリーム。木製製品や和室の木の部分に塗ることができる。
蜜蠟みつろうと呼ばれる蜂の巣を構成している天然素材と、菜種油・亜麻仁あまに油などの自然由来のオイルから作られている。

金属製の小さい缶に入れられた姿で売られており、10g・40g・200g・400gとさまざまなサイズから選べる。
購入できる店舗は、東急ハンズ等の小売店。(コーナン等のホームセンターでも購入できるかもしれないが、未確認)

 木工用みつろうクリームをかまぼこ板の上部だけ塗布した図。塗ったところだけ、木目がはっきりとしている。

↑ 木工用みつろうクリームを、かまぼこ板の上部だけ塗布した図。塗ったところだけ、木目がはっきりと浮き出て美しい

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みつろうクリームの塗り方

準備するもの

10cm×5cmくらいの大きさの、汚れても構わない布が2枚必要。綿100%の古いTシャツを小さく切ったものや、使い古しのハンカチなどでok。
布の色は何色でもいいが、白やベージュなどの薄めの色だと、クリームを塗った後布の繊維が木に残っても仕上がりが綺麗。

塗り方

私は下記のような手順で塗っている。

  1. みつろうクリームの缶を左手で持ち、蓋を開ける
    手のあたたかさで缶があたためられ、クリームが少し溶けて取りやすくなる
  2. 1円玉の4分の1くらいの量のみつろうクリームを、古布に取る
  3. 古布で木を擦り、クリームを木に塗り広げる
    この時、手のあたたかさでクリームを伸ばしながら塗ると、少量でよく伸びてくれるので効果的
  4. 30分~1時間くらい時間をあけて、塗ったクリームを乾かす
  5. クリームを塗った部分を、乾いた布でよく拭き、つやを出す

手順5の乾拭きは、時間のないときは割愛している。時間がある方は乾拭きすると、木材のきれいなツヤが出て輝きが増すのでおすすめ。

「木工用みつろうクリーム」の金属缶の蓋を開いたところを撮影した写真。薄い黄色のクリームが缶に入っている。缶の下には、みつろうクリームが塗られたかまぼこ板が敷かれている。

↑ 木工用みつろうクリームの蓋を開くとこんな感じ。クリームは薄い黄色に見えるが、塗るとほぼ無色に近くなる。

みつろうクリームを塗布できた場所

部屋 場所 おすすめ度 備考
和室(客間) 床、柱、押し入れ、窓枠、襖縁ふすまぶち、障子、神棚
洋室(書斎) 箪笥たんす
玄関 床(ウレタン加工)

木材の元々の色合いを大きく変えず、ツヤと木目の深みだけを出してくれる。仕上がりが非常にいいので、和室と相性抜群。「木工用」ではなく「和室用」と銘打って売り出した方がいいのでは、と一消費者が不遜極まりないアドバイスをしたくなるくらい、和室にぴったりだった。

築40年の日本家屋の障子の敷居に、木工用みつろうクリームを2度塗布した後の画像、敷居に木の色が戻り、ツヤが出ている。

↑ 築40年の家屋の敷居に、みつろうクリームを2度塗り。木目が美しく浮かび上がり、ツヤも出てきた

木工用みつろうクリームを使った感想

ひと塗りで圧倒的な仕上がり

木材用のワックスやクリームは、今まで「Vintage Wax」「Briwax」「木工用みつろうクリーム」「未晒し蜜ロウワックス」「アマニ油」の計5種類を利用させて頂いた。その中で最も仕上がりが良く、築40年の我が家と相性がいいな、と感じたのが尾山製材さんの木工用みつろうクリームだった。

木工用みつろうクリーム200g缶の蓋を開いた状態で撮影した写真。淡い菜の花色のクリームが、画面に写っている。

↑ 木工用みつろうクリームの200g缶。こちらは丁度片手で持てる大きさ。

どのクリームも、最初はかまぼこ板に試し塗りするところから使い始めるが、かまぼこ板の時点で美しさが圧倒的。たった1度の塗りで、木目が美しく浮き上がり、スーパーのかまぼこ板が大変上品になってしまった(笑)
あまりの仕上がりの良さに、塗布後のかまぼこ板を3日机の上に配置し、ことあるたびに美しい木目を愛でた。DIY好きも、ここまでくると阿呆である。

和室の柱や床など、面積が広くて人目につく木材を長期的にメンテナンスできるクリーム(またはワックス)が欲しかったので、ひと塗りで素晴らしく仕上がりがよくなる点に完全に惚れ込んでしまった。

木工用みつろうクリームの原材料・製造元が表示されている取扱説明書。茶色っぽく5cmに満たない小さな紙片で、折りたたんだ状態で写っている。

↑ 木工用みつろうクリームの成分表示

和室の柱から順に実際に塗ると、ひと塗りで木材の色はほんの少し色が濃くなる。手触りは、カサカサで毛羽立っていた木材が、少ししっとりとする程度。触り心地は良い。木材の表面をなでても棘が指に刺さらなくなるので、安全面も向上。ふた塗り目には更に一段色が濃くなるが、乾いてしまうと木材の色みに深みが出たように感じ、色の変化は好ましい方への変化かなと感じた。

ただ、白っぽい木でできたタンスで、クリーム塗布後明らかに白木の色から木材色に変わったものがあった。が、変色したというより、木材が樹木本来の色を取り戻したように見えた。全体的に少し黄みを帯びた色になり、ところどころ深い色合いに変わったが、こちらも個人的にはさほど気にならなかった。白っぽい木材がお好きな方は、目立たないところで試してから塗るなど、事前に注意頂いた方がいいかもしれない。

木工用みつろうクリームの取扱説明書を正面から撮影した写真。茶色っぽい紙片に注意書きが書かれており、みつろうクリームの小さい缶が写真に映りこんでいる。

↑ みつろうクリームの取扱説明書

人肌で溶ける固さ

また、これは個人的な好みかもしれないが、クリームの固さが絶妙。

木工用みつろうクリームは、冷蔵庫に保管してあるバターくらいの固さで、他の製品と比べるとやや固めにできているように思う。が、丁度人肌の温度でクリームが溶けてくれるので、塗る前に缶を手で握って軽くあたためておくと、クリームが溶け出して少量でするするとよく伸びてくれる。少量しか使わずに済むので、クリームのもちもいい。

やわらかすぎるクリームやワックスだと、季節によってはべたべたして手に付いてしまい、うっかり触った扉や家財を汚してしまうことがあったので、個人的にはこのくらいの固さが塗りやすく、好ましかった。

「木工用みつろうクリーム」の取扱説明書の裏面を撮影した写真。原材料や製造元が、茶色く折りたたんだ紙片に記載されている。

↑ 付属の取扱説明書(裏面)

塗りやすく、匂いがほぼない

塗布時の匂いは、ほぼなかった。無臭とまではいかないが、刺激臭は全くない。(但し、私は鼻が効かないほうである)
今まで試した中では、「Vintage Wax」は塗布時の匂いがかなり強く、窓全開&換気必須だったが、みつろうクリームは窓を開けずに2~3時間塗り続けることができるほど、塗布時の匂いが少なかった。

私は気管支喘息ぜんそくがあり、塗布時の匂いや物質の揮発量が多いと咳き込んでしまい、塗り続けることができなくなる。
咳が止まらなくなるほど症状がひどくなると、2~3日は咳や痰の量が増え、喘息ぜんそくが悪化してしまって困るのだが、尾山製材さんのみつろうクリームではこうした症状が全く出ず、その点でも大変助かった。

木製ワックスやクリームは定期的に塗り直しが必要なので、みつろうクリーム缶を安心して手元に置いておけるのは、とても有難い。

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