ハウスダストアレルギーのある気管支喘息患者の自宅に必要なもの

勤務先(ワークスアプリケーションズ社)で、5年間まともに掃除されていない部屋で3年働かされた結果、ハウスダストとダニに強いアレルギー症状が現れ、気管支喘息を発症し、2ヶ月半の休職を余儀なくされた。

発症後発作が頻発し、買い物も満足にできなくなった頃、「家にこれがあって良かった…」としみじみ感じた製品がいくつかあったので、皆様にシェア。

※喘息の原因がハウスダストアレルギー・ダニアレルギー以外の方は、参考程度にどうぞ。
※アレルギーだけが気管支喘息を発症・悪化させる要因ではない。だが、私はアレルギーを起因とする喘息患者なので、ここではアレルギーを中心に話をする。

母(=主婦歴の長い女性)

「もの」ではないが、はっきりいって最強。

どんな多機能製品が家にあるよりも、主婦経験豊かな女性が家に1人いるだけで、家からハウスダストとダニが減り、栄養のある食事が並び、日々の生活のポイントを教えて貰える。

店頭に売ってないのでお金では買えないが、年上の嫁を貰う、近所(職場でも可)のおばちゃんと仲良くなる、など第二第三の選択肢が無くはないので、可能な方は一度検討されたし。運良く現在お持ちの方は、とにかく大事にしてあげて欲しい。

(若い女性でも悪くはないが、家事遂行能力と情報収集能力(女性同士のお喋りで喘息に関する情報を拾ってくる)の点において、長年主婦をされている方には勝てないように思う。少なくとも私は、勝てる気がしない。
 例:「レンコンでアレルギーが楽になった」という人の話を聞いてくるや否や、煮たり焼いたりサラダにしたりしながら、飽きさせずに家族に毎日レンコンを食べさせてしまう…。そういったことを自然にできる能力に、秀でているかどうか)

ロボット掃除機 iRobotルンバ(Roomba)

気管支喘息患者がハウスダストやダニなどのアレルゲン物質に直接触れることなく、毎日手軽にアレルゲンを除去できる、という点で画期的な製品。

ハウスダストアレルギーの体質で、既にアレルギー症状が現れている方が、手でかける掃除機だけで家中を掃除しようとすると、身体への負担が大きすぎる。

掃除機を数分かけただけで、アレルギー症状が出たり、喘息発作が出そうになったり、息切れが起きたり、咳や痰の回数や量が増えたりする。ひとたび発作を起こすと、気管支がより過敏になるため、発作後数日間は埃に近付くことさえできなくなる。
ハウスダスト・ダニに曝露された後、発作が起きるまでには僅か10分程しかかからない。手でかける掃除機では、ひと部屋掃除できればいい方だろう…。

喘息患者が過ごす部屋から埃(ハウスダストとダニ)をどれだけ除去できるかが、気管支喘息の症状の改善に大きく関わってくるので、自動掃除機だけは1台ご自宅にあった方がいい。勿論、iRobot社の製品でなくても構わない。

ルンバや他のメーカーの自動掃除機も最近はお値段が下がり、古いものなら1万円台で手に入るようになった。我が家では、新品で購入したものが1台、中古で購入したものが1台の計2台が稼働している。
 → ルンバで喘息の悪化を防ぐ方法・使い方については、こちらへ

N95マスク

N95マスクは、米国のN95規格をクリアし、0.1~0.3μmの微粒子を95%以上除去できる性能を持つマスク。

元々は製造工場等で利用されていた防塵用のマスクだが、SARS等が大流行した際感染症対策にも効果が高いことが証明され、近年は医療現場でも用いられるようになった。

kimberly clark社のN95マスク(表面) 透明なビニール袋に、三角形に折り畳まれたN95マスクが入っている。

↑ kimberly clark社のN95マスク。大学病院内にある医療品コンビニで購入

N95マスクは、マスクのゴム紐が長く、2本のゴム紐を後頭部と首の後ろに通して、マスクと顔をがっちり密着させる仕様になっている。ドラッグストア等で売られている市販のマスクより気密性が高く、マスクのフィルター性能も高いので、ハウスダストやダニや花粉など、空気中を舞うアレルゲン物質をシャットアウトしてくれる。

マスクの形状は何種類かあるが、どれも鼻の頭から顎まで(下の顔半分)をマスクで覆われてしまう。種類によっては、口元からマスクが突き出しアヒルような外見になってしまうので、よく目立ち、初めて見る方には非常に驚かれる(笑)
だが、ハウスダスト・ダニ・花粉などのアレルゲンの侵入を防ぐ効果がとにかく高いので、埃っぽい場所での勤務や掃除の際に、このN95マスクを着用している。

kimberly clark社のN95マスク(裏面)。透明なビニール袋に、三角形に折り畳まれたN95マスクが入っている 。

↑ kimberly clark社のN95マスク(裏面)

当時の私の職場は文字通り埃だらけだったが、「N95マスク着用で」という条件付きで、主治医から就業許可が下りた。気管支喘息やアレルギーに理解のある会社であれば、N95マスクは会社内でも使用できる。

主治医の先生が診断書に「勤務時はN95マスク着用必須」と記載下さったので、私はそのまま職場に提出し、就業許可を得た。
合わせて、社内の花粉症の方に、サンプルとしてN95マスクを1つおすそ分けして、N95マスクへの理解と共感を広めてみている。

3M社のN95マスクを正面から撮影した写真。マスクは透明なビニール袋に入ったままの、新品の状態。「3M」「N95」「1870」等の薄い灰色のロゴが、マスクに直接印刷されている。

3M社の1870タイプのN95マスク(表)

N95マスクは、形や大きさやフィルター性能や装着のしやすさなど、メーカーごとにかなり差がある。時間とお財布が許せば、2~3種類くらい試着してみることをおすすめする。

自分の顔のサイズに合わないものを買ってしまうと、顎の下にマスクが余って外気が筒抜けになってしまったり、極端に性能の高いものを買ってしまうと、呼吸が苦しくて長く使うことができなかったりするので、上手に選ばないとN95マスクの性能の良さを引き出すことができない。

自分の場合、気密度の高さではkimberly clark社製のものが最も良く、普段使いのしやすさでは3M社のものが良かった。

特に3M社の1870タイプのN95マスクは、ゴムバンドがホッチキスで留められているなどシンプルな作りだが、フィルター性能は捕集効率99.7%という高い性能を誇る。(0.3μmの粒子を95%捕獲できればN95規格として認められる)

3M社のN95マスクを裏返し、正面から撮影した写真。マスクは透明なビニール袋に入ったままの、新品の状態。太くて赤いゴム紐2本が、マスクの右から左に走っているのが見える。ビニール袋には、N95マスクの着用方法がイラストで描かれている。

3M社の1870タイプのN95マスク(裏)

3M社のN95マスクは便利だが、性能が高すぎるため、窓の開かない室内で1時間着用すると、酸欠で呼吸が苦しくなる。窓を全開にできる場所で使用するか、こまめに深呼吸休憩を挟むなど、酸素が十分確保できる場所でのみ使うことをおすすめする。
また、新しいものほどゴム紐がきつく、何時間も装着していると耳が痛くなるのでご注意を。

3M社のN95マスクは連続装着時間12時間の使い捨てマスクだが、ウイルスではなくハウスダウトやダニを防ぐことが目的であれば、12時間を多少越えても、問題なく使うことができた。
それでも何十時間も超えて使い続けると、ゴム紐が緩み、マスクの隙間から外気が入ってきて発作が起きやすくなるので、使いすぎはほどほどにするのが良さそう。

白元の「N95マスク」のパッケージ表と内容物(おもて面)。画面左は、青い箱に立体的なN95マスクの写真が印刷されている。画面右は、黒文字で使用方法や仕様が書かれた透明なビニール袋に、N95マスクが1つ折り畳まれた状態で入っている。

↑ 株式会社白元のN95マスク

白元の「N95マスク」のパッケージ裏面と内容物(裏面)。画面左は、N95マスクの青い箱に使用方法と注意事項が書かれてている。画面右は、透明なビニール袋にN95マスクが1つ折り畳まれた状態で入っている

↑ 白元のN95マスクのパッケージ裏(製品説明)

残念ながら、N95マスクは薬局やドラッグストアでは殆ど取り扱われていないので、店舗を何軒も回るより、インターネットで入手した方が早い。お世話になっていた医療品コンビニも入荷がなくなってしまった。

N95の性能の良さと有難さが身に染みている喘息患者としては、せめて医療品コンビニには、常時置いて頂けると有難い。最近ではヤフオクやメルカリでも取り扱いがあり、少ない数量を安く購入できるようになった。

ウイルス対策マスク

客先訪問時や法事など、N95マスクを着けることが出来ない状況では、ウイルス対策用のマスクを利用している。N95マスクと異なり、こちらのマスクは市販のマスクと見た目が変わらない。花粉用マスクよりウイルス対策マスクの方が、より細かい粒子を捕獲してくれるため、喘息発作の起きることが少なかった。

特に気管支喘息が多少改善に向かい始めてからは、生活を元に戻すため、手続き等で出歩かざるを得なくなったのだが、ウイルス対策マスクを使い始めてからは一般的な市販マスクより防御力がアップしたので、行動範囲がより広がった。
 →抗ウイルスマスクの詳細については、こちらへ

UNIQLOのダウンベスト

綿ぼこりが出にくく、あたたかく、部屋着にも外着にもなり、値段も手ごろで2~3枚なら割と楽に所有できる、という気管支喘息患者にはもってこいの衣服

UNIQLOの白色のダウンベストSサイズ(正面)

↑ UNIQLOのダウンベスト

布製ではないのでハウスダストやダニが付きにくく、多少付いたとしても、自宅で水洗いで洗濯できるので、アレルゲン物質を根こそぎ洗い流せる。
洗濯することも踏まえて、最低2枚手元に用意しておきたい。私は白のSサイズと黒のMサイズを入手し、冬の間中着倒している。

UNIQLOの白色のダウンベストSサイズを床に置き、胸元に近づいて撮影した写真。

↑ 近くで見るとこんな感じ

色数も豊富で、老若男女それぞれに似合うものが見つかるはず。ダウン以外に、同じデザインで袖付きのジャケットタイプのものもあるので、外着はそちらを使われるのも良いと思う。

収納用の小さい袋まで付いており、ダウンの空気を押し出しながら収納すると、手のひらサイズの大きさにまで小さくなるので、引き出しへの収納は勿論、持ち運びにも便利だった。

UNIQLOの白色のダウンベストSサイズを白い袋に収納し、正面から撮影した写真。「ULTRA LIGHT DOWN」のロゴが袋の正面にプリントされている。

↑ 冬が過ぎたら専用の袋に保管。持ち運びも収納も楽。

UNIQLO製品の唯一の難点は、UNIQLOの店舗内に足を踏み入れると、短時間で喘息の発作が誘発されてしまうこと。
ハウスダストアレルギーの体質があると、綿ぼこりを吸うとアレルギー反応が出て、喘息発作が起きる。
喘息発症後丸1年間、私はUNIQLOの店舗に近づくことさえできなかった。

購入されたい方は、家族や友人に買って来て貰ってもいいし、インターネットで選ぶのもいい。また、ダウンベストに限らず試着が必要な製品は、UNIQLOの店員さんに訳を話して代金を支払うと、自宅に持ち帰って試着させて貰うことができた。
サイズが合わなかった場合は、購入時のレシートと製品を一緒に翌日店頭に持ち込むと、問題なく返金して頂けた。

店に入れなくて困っていたので、ご協力頂けて心の底から有難かった。UNIQLOさんに感謝。