「こまったさんのサラダ (おはなしりょうりきょうしつ 5)」(寺村輝夫 著) あらすじと読書感想文

サラダの奥深さが垣間見える本です。

「こまったさんのサラダ」の説明

あらすじ

こまったさんのおうちは小さなお花屋さんを営んでいます。
今日はお花屋さんが大忙しで、夕方近くには殆どお花が売れてしまったので、ご主人のヤマさんはいそいそと遊びに出かけてしまいました。「うちにかえって、おいしいものつくろう」そう言いながらこまったさんが1人でいつもより早めの店仕舞いをしていると、店の中から奇妙な笑い声が聞こえてきます。「きょうのおかずはサラダだけ」そう言いながら姿を現したのは、真っ黒い三角帽子をかぶった魔女でした。

魔女は歌いながらこまったさんのお店の箒で花をつついて回ると、花は次々に野菜や果物へと姿を変えてしまいます。魔女は箒を失くして困っていましたが、こまったさんのお店で無事に見つかったので、箒を頂いて行く代わりにとサラダの材料になる野菜と果物をプレゼントしてくれたのでした。魔女が箒をもう一振りすると、お店の外にかぼちゃの馬車ならぬじゃがいもの馬車が1台停まっていました。

魔女にせき立てられて野菜を馬車に積み込むと、こまったさんの飼っている九官鳥のムノ君も、何故か馬車の天井に止まっています。2人と1羽でじゃがいもの敷き詰められたでこぼこ道を走ると、森の中の小屋へ辿り着きました。小屋の入口にいた雌鶏から、生みたてなのにかたゆでという不思議なたまごを2つ貰い、小屋にあったサラダ油と酢も使って、手作りのマヨネーズを作り始めます…。

歌いながらマヨネーズを作り終えると、こまったさん達は手作りマヨネーズと一緒に馬車の中に戻っていました。今度は馬車の向こうから角を振り立てて怒った牛がやってきます。牛は怒っているようで馬車を避けようともしません。「こまったわ。ぶつかっちゃう」 こまったさんは困りますが、目の前の牛はますます大きくなって…。

こまったさんシリーズについて

ストーリーにお料理やレシピがたくさん登場し、主人公の「こまったさん」がいろいろと困りながらも料理を作っていくお話です。

「こまったさんのスパゲティ」「こまったさんのオムレツ」など、料理の種類ごとに10冊くらい出版されています。「こまったさんのサラダ」は、こまったさんシリーズの第5作目です。

「こまったさんのスパゲティ」についてはこちらへ
「こまったさんのカレーライス」についてはこちらへ
「こまったさんのハンバーグ」についてはこちらへ
「こまったさんのオムレツ」についてはこちらへ
「こまったさんのサラダ」についてはこちらへ
「こまったさんのサンドイッチ」についてはこちらへ
「こまったさんのコロッケ」についてはこちらへ

「こまったさんのサラダ」の読書感想文

※ネタばれを含みます。問題ない方のみ続きをお読みください。

物語の中では夕方5時を過ぎると魔法が解けてしまい、集めた材料も作ったサラダもドレッシングも、全てあとかたもなく消えてしまうのが残念でした。魔女とこまったさんはサラダを手間暇かけて丁寧に作り上げていたので、あれだけきちんと手作りしたものが、一口も食べずに消えてしまうので、ちょっとしょんぼりしています。(食い意地張っててすみません…)

ですが、この本に出てくるサラダを見ていると、「手間暇かけて作ったサラダは、栄養たっぷりの立派なおかずになり得る」という風に、サラダに対するイメージが変わってきました。サラダと言えば、「ダイエット用の低カロリーなおかず」「すぐ作れる手軽な副菜」という印象でしたが、手間をかけようと思うと、こんなにもかけられるものなのか、と感じます。
フレンチドレッシングが家庭の材料で作れてしまうという事実さえ、この本を読んで初めて知りました。

マヨネーズは未だに手作りしようとは思いませんが(笑)、普段10分程度で作っていたサラダを30分程度時間をかけて作ってみよう、という気にはなりました。この本でサラダ作りのコツを教われたので、きっと今までとは一味違う美味しさのサラダが作れるに違いありません。