「11ぴきのねこ どろんこ」 (馬場のぼる 著) あらすじと読書感想文

とらねこ大将率いる11匹の猫達と、どろんこ遊びが大好きな恐竜の子のお話です。

「11ぴきのねこ どろんこ」のあらすじ

※ストーリー前半部分のあらすじのみを記載

11匹のねこは、山の中にある山小屋で暮らしています。ある晴れた日、11匹の猫たちがロープや竹の棒など思い思いの道具を手に、獲物を探しに出かけました。今日は、森の奥にある山鳩の巣がお目当てです。

猫たちが森の近くの沼に差し掛かかったとき、「ジャブ、ジャブ」「バッシャーン」と大きな音が聞こえてきました。猫たちが見てみると、首が長く、淡いオレンジ色の身体をした、今まで見たことのないような生き物が、泥の沼でバシャバシャ遊んでいました。どうやら、恐竜の子どものようです。
猫たちが来ると恐竜の子は沼から上がり、身体についた泥をブルンブルンとはね飛ばして、どこかへ行ってしまいました。

その次の日11匹の猫たちは、昨日と同じ恐竜の子が崖の下にいるのを見つけます。猫たちが「ジャブ」と呼びかけても「ウホーン…」と悲しげな声で鳴いているところを見ると、どうやら崖から上がってこれないようです。

ジャブを助けてやろうと11匹の猫たちは一致団結、太いロープを持ってきて、ロープの端に恐竜の子が通れるくらいの輪っかを作り、崖下まで垂らしました。
ジャブが輪っかに身体を通し、11匹の猫全員でロープを引っ張ると、恐竜の子は無事に崖の上まで上がって来、森の奥へと帰ることができました。

それから随分たったある日、11匹の猫たちが住む山小屋に恐竜のジャブが訪ねてきました。暫く見ないうちに身体の大きくなったジャブは、猫たちみんなを背中に乗せてあげると申し出ます。

ジャブの身体の首から尻尾まで11匹の猫たちが一列に並んで乗り、ゆっくりと歩きだしたところまでは良かったのですが、泥遊び大好きなジャブは、そのままの姿で泥沼に浸かってしまいます。ジャブも猫たちも、みんなどろんこになってしまい…

「11ぴきのねこ」シリーズについて

とらねこ大将率いる11匹の猫たちが、さまざまな冒険やチャレンジをするお話。11匹の猫たちは勇敢でわんぱくですが失敗も多く、総じて可愛らしいストーリーが多いです。
現時点で7冊出版されており、発行された本は下記の通り。(下にいくほど新しい本です)

「11ぴきのねこ」
「11ぴきのねことあほうどり」
「11ぴきのねことぶた」
「11ぴきのねこ ふくろのなか」
「11ぴきのねことへんなねこ」
「11ぴきのねこ マラソン大会」
「11ぴきのねこ どろんこ」

「11ぴきのねこ どろんこ」の読書感想文

※ストーリーのネタばれを含みます。問題ない方のみ続きをお読みください。

「11ぴきのねこ どろんこ」は、11匹の猫とどろんこ大好き恐竜ジャブの友情物語です。
ストーリーは全体的にほんわかとしていて、ジャブと11匹の猫が、トラブルや泥遊び等々を通じて、助け合ったり喧嘩したりしながら友情を深めていくストーリーになっています。

11匹のねこや11匹の猫とあほうどりにあるような、抱腹絶倒の完璧なオチはありません。オチを求めてこちらの絵本を買ってしまうと肩すかしを食らってしまうので、その点はご注意下さい。

初めて読んだ時、この「11ぴきのねこ どろんこ」の本の言いたいことがうまく理解できず、ストーリーに大きな山も谷もない、不思議で少し物足りない絵本に思えました。ですが、恐竜ジャブと猫たちの友情のお話なんだと気づいてからは、これはこれでいいお話だと思えるようになりました。

特に、物語の始まりのころ小さな子どもだったジャブは、物語の最後には立派な大人の恐竜になり、子どもまで連れて戻ってきます。でも、ジャブの姿やジャブを取り巻く状況がどんなに変わっても、猫たちとジャブとの間にあるのは飾らない友情だけで、困った時は助け合い、嫌だと思った時はやり返し、みんなでよく遊んで、11匹の猫もジャブも何も変わりません。最後にはみんなにして仲良く泥まみれになって話が終わります(笑)
これはこれで、友との在り方としてはなかなか悪くないな、と最後には感じるようになりました。

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