ハウスダストアレルギーと気管支喘息の患者が、埃の多い職場で働く

慢性的に古い埃が積もっている職場ほど、ハウスダストアレルギー&気管支喘息の患者が生きづらい場所もない。

古いハウスダストを吸うだけで、アレルギー反応と喘息発作が起き、気管支が狭まって息ができなくなる。全身の力を使い果たすような発作の苦しみを経験した患者は、古い埃が積もっているのを見ただけで、恐怖で身がすくむようになる。

古い埃が積もっているというだけで、能力的には何の問題もない仕事ができなくなる。この点は、花粉症の人が、花粉の多い職場では働けないことと同じだ。

だが、アレルギーを持たない方の中には、ハウスダストアレルギー(&喘息)患者のこうした事情に対し、理解のない人も多い。患者が予め勤務前に説明しておいても、埃だらけの場所をいつまでも掃除して貰えなかったり、患者のすぐそばで埃が多量に舞うような備品の移動を実施されたりする(苦笑)

こうしたことがあまりに続くと、「お願いだから、仕事に集中させて!(涙)」と叫びたくなる…。会社が従業員のパフォーマンスを落としているわけだが、残念ながら会社は、説明しても、発作が起きても、それでも中々分かってくれない…。

職場で人知れず悩む中で、解決策とまではいかないが、対処法が二三見えてきたので、シェア。

頼るべきは、身近な女性

患者がアレルギー反応や喘息発作で人知れず苦しんでいる時、気遣いと優しさを発揮し、思うように動けない患者の代わりにこまごまと動いて下さるのは、間違いなく男性よりも女性。

職場で周囲にいる女性には、女性の職種や立場に関わらず、大切にした方がいい。普段から女性とのお喋りを楽しみ、折に触れお菓子を差し入れたりしてあれこれ気を回していると、自分が困っている時、かなり高い確率で救いの手を差し伸べて下さる。

女性は男性より共感能力が高く、空気を読み状況をいち早く察する能力にも長けているため、私が言葉を発するのも困難なほど息ができず苦しんでいても、顔色や雰囲気だけで察して、いたわりの言葉とともにあれこれ手配して下さる。
地獄に仏のようなこうした女性の気配り・振舞いには、どれだけ感謝してもしきれない。

反面、男性は物事を察するセンサーが鈍すぎて、残念ながら殆ど当てにならない。男性は、立場や年齢を問わず、一から十まで要望を言葉で伝えないと動いてくれないことが多いので、「言わなくても分かってくれるだろう」「気付いてほしい」と思っていても、間違いなくあなたの半分も分かっていない(笑)

職場では出世や評価やお金に直接繋がらないことをやりたがらない男性も多いので、基本的に頼りにならないと思っておくくらいの方が、気が楽。

女性のファインプレーで喘息患者が助けられた事例

女性に助けられた事例は、枚挙に暇がない。

実話1:自発的に掃除をして貰える

ハウスダスト・ダニに対するアレルギー症状がひどく、ドクターストップがかかり、休職を余儀なくされた時がある。その頃メールで細々と同僚や後輩とやりとりしていたら、

後輩「(職場で)何かして欲しいことあります?」
私 「職場の古い埃を掃除して貰えると、嬉しいです…」

という会話をした。

その翌日、手の空いた女性が5名集まって、ロッカーやキャビネットの上など、古い埃が大量に積もっているところを掃除して下さった。ロッカー類は、常に埃が堆積する危険地帯だが、患者自らが掃除しようとすると高い確率で喘息発作が起きてしまう、高難度のエリア。

あまりの嬉しさに、後日復職の当日にGODIVAのクッキーを箱買いして持参し、彼女らに献上した(笑)

実話2:発作時に助けて貰える

喘息発作が起き事情を話すのも辛かった時、日頃から仲の良い庶務さんが私の顔色の悪さで事情を察し、空き会議室をぱぱっと予約して、回復するまで会議室で休みながら仕事ができるよう手配してくれた。

実話3:情報が早い

女性は基本的にお喋りが大好きなので、1人の女性に事情を話しておくと、別の女性にも事情が伝わる。そのため、「○○ちゃんから聞いたんだけど大丈夫?」「何かしんどいことがある?」と次々声をかけ、職場の女性みんなが病状を気遣って下さるようになった。

具体例は、本当に枚挙に暇がない。職場の女性には、どれだけ感謝しても感謝し切れない。(皆さまいつも本当にありがとう!)

職場の女性と仲良くなるには

周囲の女性に対して普段から目配り気配りし、時々ちょっとした甘いものをお配りするのは、良好な関係性を構築するためには基本中の基本だ(笑)

アレルギー症状や喘息発作が起きれば、周りに迷惑が掛かるのは分かり切っているので、お菓子の1つや2つ配っておかないと、彼女たちの割に合わないだろうと思う。
「喘息患者をフォローする」というタスクは、本来彼女たちの仕事の範囲外なので、それをゆめゆめ忘れないこと。

年中ダイエットしている女性は多いが、感謝の言葉とともに、甘くておいしいものを貰えるなら、悪い気はしないはず。自腹では買いにくいような少し値の張るものを少量差し入れすると、ダイエットへの影響も少ないので、より喜んで貰えるはず。

その際、

「いつも助けて頂いて有難うございます」
「あの時は助かりました」

といった、あたたかい言葉掛けを省いてはいけない。

女性は「誰かの役に立ちたい」と思う気持ちが強い方が多いので、誰かのサポートで「助かった!」と感じた場合は、必ず「感謝の言葉」というお礼を返すこと。
気恥ずかしがってお礼を言わないのは、「心からの感謝の言葉」という得難い報酬を、彼女たちに与えないことと同じだと思う。人前で感謝を述べ、褒めべきところはきちんと伝えると、特に効果が高い。

上司と折り合いをつける

職場の上司は当たりはずれや相性があるで、上司が常に味方であるとは限らない。だが運良く、上司が貴方の味方になってくれそうな方なら、頼らない手はない。

上司は、あなたや周囲の女性が持っていない権限を持っている。自分1人では職場に導入できない空気清浄機でも、上司や、上司の上司が持つ権限なら、導入できるかもしれない。

上司が男性である場合、

 ・病状
 ・発作が起きた際の対応方法
 ・緊急連絡先(病院・家族)
 ・症状が悪化する恐れのある仕事・行為・環境
 ・できないこと
 ・やって欲しいこと

などの事実を、事前に具体的に伝えておく。

この時必ず言葉で伝えること、事前に伝えること、できるだけ数値を交えること、エビデンス(証拠)を見せること、が大事。
男性は察するセンサーが鈍く、予期せぬ事態に対応するのが苦手。事前に伝えておかないと、上司に動いて貰えない。また、感情的に話すと相手が受け止めきれず話がうまく進まない恐れがあるので、客観的な事実を中心に据えて伝えた方がいい。私は病院の検査結果や診断書などをコピーして面談に持込み、自分の状態を伝えた。

メールと口頭の両方で伝えておくと、忘れにくくなるので効果大。できないことを無理にさせると、「業務効率が落ちます」「判断力が下がります」など、パフォーマンスが悪くなることを伝えておくとベター。代わりに、支障なく人並みにできることもきちんと伝え、戦力外と判断されないよう注意する。

上司が貴方の病状をどこまで正確に把握できるかが、貴方の働きやすさに大きく関わってくるので、説明や丁寧さを惜しまずに。
「私はしんどいんです!」「こんなにしんどいのに周りは全然分かってくれません!」と感情的に喋るだけでは、上司はどうすればいいか分からない可能性大。

今のところ、

 ・埃さえなければ普通の人と変わらない生活ができる(=一人前に働ける)

という点が、なかなか理解して貰えない。

主婦のいる一般家庭と同じくらいの清潔さで掃除頂ければ、ハウスダストアレルギー&喘息があっても人並みに働けるのだが、普段埃っぽい職場で分厚いマスクを着けて勤務しているせいか、どうも病人扱いされる。

喘息&ハウスダストアレルギー患者がマスクなしで入室できない職場環境の方が問題で、不衛生な環境は当然健常者にも悪影響を及ぼすのだが、上司が男性だと「職場を清潔にしないといけない」という考えが薄いようで、十分な行動には結びついていない。