鉛筆デッサンで使う画材の紹介 ~ 紙 ~

デッサン初心者は紙質にこだわるより、紙の大きさを気にした方が良いと思う。中級者&上級者は、目の細かい紙を使う方が、細部を誤魔化せないので、より技術が高まる。

デッサンで使う紙の種類

絵画教室ごとに、使う紙は異なっていた。

初心者向け 〜ワトソン紙〜

N先生の個人絵画教室でデッサンを学んでいた際は、ワトソン紙のスケッチブック「Muse Cubi」を用いた。

"Muse Cubi"のクリーム色のワトソン紙のスケッチブックを、間近で撮影した写真。ぼこぼことした紙の質感が写っている。
↑ ワトソン紙

当時、デッサンを一度も学んだことのない素人だったが、最初に学んだ時の紙がワトソン紙で、本当に良かったと思う。

初心者はどうしてもデッサンが下手なので、ケント紙のようなつるつるの紙で描くと、絵の下手さが目立ち、描くのが嫌になる(笑)
ワトソン紙はクリーム色で紙の表面がぼこぼことしているため、描くと絵にあたたかみが出る。素人が描く拙い絵とも雰囲気が合い、拙い絵をそれなりに人に見せられる作品へと昇華してくれた。

描き心地が良く、鉛筆を塗り込むと柔らかい雰囲気に仕上がるこの紙が好きで、デッサンを学んでいる時は紙に一度も不満を感じることなく過ごしていた。

緑色で「Muse Cubi」というロゴが書かれたミニサイズの茶色いスケッチブックを撮影した写真。中にはクリーム色のワトソン紙が綴じられている。

また、デッサン初心者は、紙の目の細かさや厚さにこだわりすぎるより、デッサンの師につき、そこそこの紙と鉛筆で5枚10枚と描き続け、デッサンの基礎を血肉とすることの方が、はるかに大切。

初心者が唯一強くこだわるべきなのは、紙の大きさくらい。ハガキサイズなど小さすぎる紙は、細部が描き込めないのでデッサンには適さない。(A3サイズくらいの紙がいい)

先生は「ワトソン紙は水彩画でもパステル画でも映える」と仰られていたが、私は鉛筆デッサンのみに使ってしまってので、水彩等での描き心地や出来栄えの良し悪しは分からない。

ブログに掲載中の作品だと、古いランプ川の風景画が、ワトソン紙を使用して描いたもの。

上級者向け 〜画用紙〜

美術大学向けやプロ養成校でもあるデッサン教室で、一時期学んでいたことがある。その教室でデッサンの練習をする際に使う紙は、面白いことに、ごく普通の市販の画用紙の「裏面」だった(笑)

画用紙は教室の事務局で1枚50円で売られており、アイロン台ほどの大きさで、おもて面はでこぼこしているが、裏面はつるつるしている。デッサンの時は、つるつるしている面を表にして、紙全体を使うように描き込んでいく。

その教室で学んだデッサンは、実物と見紛うような緻密なデッサン画だった。画用紙のおもて面のようにでこぼこした紙では、緻密な描写に不向きだったためだろう。でこぼこした紙は、細部が描き込めず、凹んだ箇所には鉛筆の粉ものらない。細部も誤魔化せない紙で学ぶ方が、よりデッサン力がつくと感じる。ただ、描き心地は良くない(笑)

このブログには、過去に自分が描いたデッサンを何点か掲載しているが、グラス紙コップなどはこうした画用紙(裏面)に描いたもの。

紙の選び方

デッサン修行をするという前提で、絵画教室で学んだことを書き留めておく。

紙の大きさ

スケッチブックでも1枚紙でも、紙は大きい方が良い。
N先生の教室とT先生の教室ではF4サイズ(縦33cm×横25cm)のスケッチブックでデッサンを習い、Aスクールでは小学校の机と同じくらいのサイズの画用紙で教わった。

大きい紙でデッサンを学ぶと、実物よりもモチーフを大きく描くことになるため、描く対象の細部にまで気を払うようになる。というより、紙が大きいと細かい部分のごまかしがきかないので、否応なく細部にも注目せざるを得ない。

紙の厚さ

画用紙や厚紙くらいの厚みがあるものを使う。コピー紙のようにぺらぺらの紙は、クロッキー帳のように短時間に何枚も描く場合は都合がいいのだが、12時間以上かけてデッサンする時に使うと、机の硬さが手にダイレクトに伝わり、描き辛い。最悪の場合、紙の端が折れる可能性もある。

1枚紙のものは、めくれたりしないようカルトン(作品を挟んで保管する道具。硬いので画板にもなる)に乗せ、クリップで上部を2箇所固定して描いていた。

created by Rinker
マルマン(maruman)
¥2,750 (2024/03/28 18:27:43時点 Amazon調べ-詳細)

一般的に、紙が厚くなるほど、お値段も上がる。デッサンはある程度枚数を描かないと上達しないので、費用が嵩まないよう、厚すぎない紙を選ぶことも大事。

紙の種類

デッサンとして使う紙ならさほど気にしなくて良いと思う。以下、デッサンではなく作品を作るという前提で記載。

正直なところ、身銭を切って何種類が試してみるしかない、という月並みな助言しかできない..。画風や好みによって、最適な紙は一人一人違う。

細目・中目・粗目を例にあげるなら、どなたでも使いやすいのは中目だが、ものの細部を緻密に書き込みたい方には細目の方が使いやすいだろうし、私のように細部より作品の持つあたたかさを優先させたい場合は、粗目の方がいい仕事をすると思う。

ワトソン紙とクラシコ・ファブリアーノ紙は個人的に好きなので、機会があれば一度試してみて頂きたいと思う。