鉛筆画:年代物のラジオ An Antique Radio

Antique Radio drawn only by pencil.革製の茶色いケースに入ったSONY製の年代物ラジオを鉛筆でデッサンした絵。ラジオ本体は黒色で、プラスチック製。革カバーは茶色で、使いこまれた風合い。絵の背景は白い画用紙。画用紙右下に、鉛筆で何かを描き消した跡が残っている。

モチーフ Sony製の古いトランジスターラジオ
使用画材 スケッチブック、三菱鉛筆uni、練り消しゴム
製作場所 T先生の絵画教室
光源 自然光と蛍光灯を併用。自然光は3Fの窓から採光、時間帯は14:00-17:00
完成日 不明

モチーフについて

ネットで調べてみると、昭和30年代に発売されたトランジスターラジオと大きさや形が似ているので、その頃のものではないかと思う。手に持つとずっしりと重く、革製の立派なケースまで付属している。電池を入れる箇所があり、古い型の四角い電池が入っていた。四角い電池も気に入ったので取り出して描こうかと思ったが、お世話になった日立マクセル社製の古い型の電池が見つかったので、そちらを描くことにした。だが、残念ながら、製作途中で日立マクセル社乾電池がなくなるという事件が起きた。幸い描き上げた後に再発見されたので、いずれは描き足す予定。
どの絵も数か月かけて描くので、描いている最中にモチーフが行方不明になることが時々ある。困ると言えば困るのだが、各モチーフは教室に保管されているもので、そもそも私物ですらない。描けなかったものは縁がなかったのだと、諦める気持ちも肝心である。

これらのモチーフも、触感・質感を描き分けるという課題の一環と理解している。ケースの年季の入った茶革や留め金の金属の質感、ラジオ本体の2種類のプラスチックとざらっとした金属の質感など、異なる質感が盛りだくさんのモチーフだった。ラジオ本体が真四角なので形を取るのは易しいだろうと思い込んだが、ケースや部品の箇所に楕円や小さい円や小さく複雑な凹凸があり、大いに苦しめられた。

描き方について

4Hから6Bくらいまでの鉛筆を使用したと思う。モチーフの色が全体的に暗いので、6H鉛筆は使用しなかった筈。8B鉛筆を使用すると心のヒットポイントが減るので、今回も使用していない。

全体の形を取るのは速かったが、細かい部品や細部の凹凸を描き込むのに数倍の時間がかかった。細部の形に気を取られると全体とのバランスが取れなくなることが多く、描いてみては一部消し、更に描いては全て消す、という残念至極な描き方も多かった。

何度も人の手に触れられたであろう革のケースの質感がとても良かったので、触られて色がまだらになった部分の穏やかな色を再現するよう心掛けた。革ケースを愛でていると、ラジオ本体を描き込む時間が削られてしまい、ずしっとした重さやプラスチックの持つ軽やかさは十分に再現できなかった。結果として質感については及第点に満たなかったので、次回持ち越し。