基本情報処理技術者試験 文系が独学で一発合格した勉強法など

文系だが、1年内に基本情報処理技術者と応用情報処理技術者の両方を一発合格できたので、勉強法をメモ。

基本情報処理技術者試験とは

IT分野の国家資格。技術者(=システムエンジニア)向けの3つの国家資格の中で、1番目に易しい技術者入門レベルの試験。(基本情報処理技術者 < 応用情報処理技術者 < 各種高度試験 の順に難易度と専門性が高くなる)

求める人物像は、システムの分野のプロフェッショナルになるために、基本的な知識・技能を身に付けている人。年齢・性別・職種などの制限はなく、どなたでも受験可能。10歳以下のお子さんからから70歳過ぎのおじいちゃんまでどんと来い。

システムを作る人(プログラマーなどの開発者やアーキテクトなど設計者)・システムを運用する人(テクニカルサポートやサーバエンジニアなどの作業者)・システムを導入する人(ITコンサルタントなど)の受験者数が多いが、営業や人事総務などシステム分野以外の方もそれなりの数受験されている。
受験者の性別は、特に統計等公開されていなかった。

試験は、春期(4月第3日曜と秋期(10月第3日曜)の年2回開催。合格率は20%台で推移している。

試験内容は、午前問題と午後問題の大きく2つに分かれ、午前問題は4肢選択式で80問出題。午後問題は多肢選択式。午後問題は、大問11問出題され、計5問を解答する。そのうち、「セキュリティ」と「アルゴリズム」の2問は必須解答。
午前問題・午後問題ともに、合格ラインは正答率60%以上。

基本情報処理技術者試験の詳細については、下記のリンクより公式サイトへ。 ↓
情報処理技術者試験 公式サイト http://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/fe.html

基本情報処理技術者試験の過去問

過去10年以上×年2回分の過去問と解答・解説が公式サイトで無償公開されている。過去問は全てPDFファイルで、ダウンロードや印刷も可能。
まず見たいという方は、下記のリンクよりどうぞ。

情報処理技術者試験 公式サイト(過去問題) https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/_index_mondai.html

追記:令和2年以降、基本情報処理技術者試験については、過去問題が公開されなくなってしまったそうだ…。
基本情報処理技術者であれば、各種過去問の書籍や参考書が多数発売されているので、本屋さんで書籍を立ち読みしてみてあげてほしい。

基本情報処理技術者試験の学習期間・勉強法

学習期間 約1ヶ月
使用教材 過去問(3年分)
市販の参考書(1900円)
学習の概要
  1. 基本情報処理技術者に関する市販の参考書を1冊買い、読み込む
  2. 参考書の読み込みと同時並行で、午前問題の過去問3ヶ年分を解く
  3. 参考書読後に、午後問題の過去問3ヶ年分を解く

午前問題の試験対策は、過去問を解くだけ

午前問題については市販の問題集は購入せず、過去問を印刷して鞄に入れて持ち歩き、新しいものから順にひたすら解いた。

午前問題は1問1答形式で、4つの選択肢から正答を選ぶ問題だけなので、忙しい社会人でも毎日10分~20分程度の時間があれば、午前問題対策を進めることができる。
午前問題だけでも早めに取りかかって解いておくと、自分が合格圏内にいるのかどうか、あとどのくらい点数が必要なのかがおおよそ分かるのでおすすめ。

午前問題は、出題範囲が幅広い。プログラミングの知識から経営管理や法務の知識まで求められる。どなたにでも普段実務や学問で触れていない分野があると思うので、未経験分野もある程度までは潰しておくことをおすすめする。(自分は法務系が苦手だった…)

また、午前は過去に出題された問題が再度出題されることがある。過去問を事前に十分解いておけば、合格ラインの60%を上回ることはさほど難しくない。午前問題が正答率70%取れるようになれば、早めに午後問題対策へ進むこと。

午後問題対策

午後問題は、IT技術者に必要不可欠な「論理的な思考」と、表計算・JAVA・C言語などの「プログラミング言語」「IT技術への専門知識」が問われる。

IT分野で開発・運用の実務を経験された方には易しいのかもしれないが、実務経験の乏しい方ほど学習と問題への慣れが必要。午後問題に早めに取り掛かり、苦手分野を見つけ余裕を持って潰すことが、基本情報の合格圏内に入るための近道であり、IT技術者としての基礎を身につける早道でもあると思う。

使用したテキスト

午後問題では、知識をインプットするためのテキストは1冊ある方がいい。IT分野は覚えることが多く、実務でも応用力が問われるので、解けなかった問題を答えの丸暗記でしのいでいると、点数や技術力が伸び悩む原因になってしまう。知識と理解を深めながら過去問に取り組む方が、暗記の量が減り、勉強も単調になりにくい。

私はある出版社から発刊されていた参考書の2010年度版を使ったが、こちらの本はおすすめしない。技術用語が分かりやすい言葉で解説されている良書だが、この本に掲載されていない単語が本試験問題に多数出題されており、試験範囲を網羅した本とは言えないためだ。

基本情報処理技術者の参考書は何種類か市販されているので、

  1. 知らない用語が分かりやすく解説されているか
  2. 評判の良い本か
  3. 自分が使いやすそうか

の3点を確認して入手されると、失敗が少ないと思う。

応用情報処理試験の受験時に使用した問題集&解説書の姉妹品があったので、こちらのリンクを貼っておく。このシリーズの書籍は分厚く持ち歩きに難儀するが、解説が行き届いており、知識を短期間で身につけられる。

残念ながら、市立図書館には基本情報処理技術者の参考書がなかったので、大学等のより専門性が高い図書館を探すか、書店やネットで購入することになる。購入する際も、ネット上で評価の高い本をリストアップしてから書店に足を運び、実物を手にとって中を確かめてから買うことをおすすめする。

自分に合わない参考書を購入してしまうと、学習に余計な時間がかかる上、精神的に辛くなる。別の本を入手して軌道修正するのも、時間との戦いになるので厳しい。
多少の手間とお金をかけてでも、自分に合う参考書を選んだ方がいいと思う。

なお、情報処理技術者試験の本試験では比較的新しい技術も紹介されるが、全ての技術が参考書で紹介されているとは期待しない方がいい。新しい技術については多少点を落とすことを想定した上で、それでも合格できるよう実力をつけるといいと思う。

基本情報処理技術者試験の本番当日

午後問題は集中力を切らさない

午前問題は、知識が足りない方を落とすための足切り試験。基本情報処理技術者試験の本番は午後問題とお考え頂いた方がいい。午後問題では、午前問題を解いて疲れた頭でも短時間で論理的に考え解答を導き出すことが求める。午前問題で燃え尽きず、午前の出来が芳しくなくても諦めず、お昼の休憩時間に十分頭を休めてから午後問題に取りかかること。

受験者はとにかく男性が多い

基本情報処理技術者の試験会場で驚いたのが、とにかく男性の数が多いこと。全体の8割程度が男性で、しかも、お世辞にも小綺麗とは言えない服装で来られる方、試験開始直前におかしな挙動をされる方などもおられた。女性の方は雰囲気に呑まれないよう、特に注意して欲しい。

普段女性の多い職場で働いていた私は少々面食らい、IT世界で生き延びるということは男性社会で生き延びることと同義なんだな、と認識を新たにした。

合格証書

基本情報処理技術者に無事合格した後、自宅に合格証書が送られてきた。情報処理技術者試験の合格証書はどことなく古風で気に入っている。

基本情報処理技術者の合格証書を正面から撮影した写真。

↑ 基本情報処理技術者の合格証書。

基本情報処理技術者取得後 ~活用しました~

半年後に応用情報処理技術者試験に合格

基本情報処理技術者に合格した半年後に、応用情報処理技術者試験にトライし、無事一発合格できた。

同じ情報処理技術者試験だけあって、基本情報処理技術者と応用情報処理技術者は、試験で問われる内容が似ている。特に、応用情報の午前問題は四肢択一の選択問題で、基本情報を受験した翌月に応用情報午前問題の過去問を解いたところ、正答率67%で、合格ライン(正答率60%)を上回っていた。そのため午前問題対策をあまりせずに済み、午後問題対策に集中することができた。

基本情報処理技術者で学んだITの基礎や試験攻略法は、応用情報処理技術者にそのまま生かすことが出来るので、基本情報に続けて応用情報を取得するのはおすすめ。少ない手間で、より高いリターンが狙える。

しかも、転職活動では、基本情報処理と応用情報処理を1年で両方取得したことを評価下さる企業様が、非常に多かった。応用情報単体で受験するより、基本情報→応用情報の流れで受けた方が確実に合格可能性は高まると思うのだが、面接官には内緒にしておいた。