「スイミー ― ちいさなかしこいさかなのはなし」(レオ・レオニ 著) あらすじと読書感想文

「自分と他の人が違っていることを受け入れる」「生まれ持った自分の個性を生かす」という点が、従来の日本の絵本にはなかった考え方で、初めて読んだときは結構な衝撃を受けました。

「スイミー」のあらすじ

※ストーリーの前半部分のみを記載

広い海に、小さなお魚の群れが暮らしていました。どのお魚も赤いのに、1匹だけ黒い魚がいます。名前は「スイミー」。小さいけれど、泳ぎだけは誰にも負けないくらい速いのです。
スイミーは赤い魚の兄弟達と一緒に楽しく暮らしていましたが、ある日おなかをすかせた大きな魚がやってきて、兄弟たちは1匹残らず食べられてしまいました。

ひとりぽっちになってしまったたスイミーは、広い海を1匹きりで旅をしました。広い海には、くらげやいせえびや昆布など、スイミーが今までみたこともなかった生き物がたくさんおり、兄弟達と死に別れてしまったスイミーも、少しずつ元気を取り戻していきました。

そうしたある日、スイミーは岩陰に兄弟達とよく似た姿の魚たちが隠れているのを見つけます……。

「スイミー」の説明

2才から小学生向けの絵本です。
大判のハードカバー本ですが、活字がちょっと小さめなので、子供が一人で読むというより、子供は大きな絵を眺めて空想し、そばにいる大人が物語を読み聞かせる、という前提で作られたものではないかと思います。

「スイミー」の読書感想文

ラストシーンがお気に入りでした。スイミーは黒い魚のままで、他の魚は色とりどりの魚のままで、力をあわせて大きな魚に負けずに頑張れたところが良いなあ、と思います。

こうした「生まれ持った個性を生かす」という発想のストーリーは、外国の絵本ならではの魅力だなあと思います。
日本はどうしても「空気を読む」「周りに合わせる」といった風潮が強いので、(そして周りに合わせようと努力すること自体は、決して悪いものではないと思うので)、こうしたストーリーは良い意味でのカルチャーショックで、日本と外国の考え方の違いを強く印象づけられました。

「ぐりとぐら」「11ぴきのねこ」など、日本の絵本にも良い本は本当にたくさんありますが、幼い頃からこうした外国産の絵本に馴染んでいると、日本とは違う異国の考え方にも馴染みやすいかもしれません。

殆どのお子さんは英語や世界史を学ぶより先に絵本に親しむので、絵本に親しむことで海外ならでは発想に自然についていくことが出来るのは、正直羨ましい限りです。
子どもの頃翻訳書にさほど親しまなかった私のような大人は、英語を通して知る世界各国の考え方に、驚かされてばかりです…。

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