透明度が高く、発色があざやかなカラーインクをご紹介。
ドクターマーチン カラーインクの説明
ドクターマーチンは、1934年にアメリカで生まれたカラーインク。水溶性の染料から作られているため、透明度が高く発色があざやかで、日本でもアマチュア画家からプロのイラストレーターに至るまで、幅広く愛されている。
↑ 寒色系と暖色系のドクターマーチンカラーインク。
自宅に30本以上あるので、全部は写真に入らなかった…。
画材屋で1色ずつ小瓶に入った姿で売られており、1瓶500円程で購入できる。
ドクターマーチンの使い方
まず、瓶をしっかり振る! ドクターマーチンには2種類のシリーズがあるが、液が透明なシンクロマティックシリーズに対し、ラディアントシリーズは顔料が瓶の底に沈んでいることが多い。
使う前にガラス瓶ごとしっかり振って、底に溜まった顔料がなくなったのを確認してから、蓋を開く。
黒プラスチックの蓋を回して開くと、蓋の内側がスポイトになっている。蓋の上部は黒いゴムでできており、ゴムの部分を軽く押すと、スポイトとして使える。
スポイトでパレットに1滴ずつドクターマーチンのインクを垂らし、水や他の絵具と混ぜて利用する。
この時、一度にたくさんの量を出さないこと! ドクターマーチンのインクは非常に濃い。インク1滴に対し、小さじ1くらいの水を混ぜて使えば十分。
ドクターマーチンの使用上の注意
ドクターマーチンは光に弱く、長時間光に当てると退色してしまうので、ドクターマーチンで描いた絵を長期保存するには、直射日光に当たらないようスケッチブックに挟むなど、注意が必要。
ドクターマーチンを長時間パレットに載せていると、パレットに色の跡がつくことがある。こうなると水で洗っても取れないので、ドクターマーチンインクをパレットで使い終わった後は、水を含ませたティッシュで拭くといい。
跡が残っても、次に別の色をのせた時パレットから色が染み出してくるようなことはないように思うので、色跡のついたパレットも捨てずに使える。
また、Radiant Concentratedのシリーズには蛍光の顔料などが入っており瓶の底に沈殿しているので、使う前によく振り、液と沈んだ顔料を混ぜ合わせてから使用する。
Radiant ConcentratedとSynchromatic Transparentの違い
ドクターマーチンには、大きく分けてRadiant Concentrated(読み:ラディアント)とSynchromatic Transparent(読み:シンクロマティック)の2種類がある。両者の違いが長年の謎だったが、Dr. Ph. Martin’sの公式ウェブサイトのFAQページに明記されているのを見つけたので、引用。
Radiant ConcentratedとSynchromatic Transparentの違いは何ですか?
Radiant Concentratedは、高度に濃縮された液体の染料です。お使いになる前には振って頂く必要があります。Radiantには顔料が含まれており、フィルムの広い範囲に乗せると霞がかったように(半透明に)なります。RadiantはSynchromaticよりずっと明るい色合いで、Radiant Concentratedの56色のラインナップには、蛍光色が12色あります。
Synchromaticは完全なる透明で、使用前に振る必要はありません。フィルムの上でも全くの透明で、写真印画紙やフィルムの画像修整、手作業での着彩においてコダック社より推奨されています。Synchromaticのラインナップは全38色で、#24, #28, #37の3色だけが蛍光色です。まばゆさにおいて、SynchromaticはRadiant Concentratedにやや劣っています。両ラインナップの色の殆どは、混色することができます。
※注:和訳は本ブログ管理人による
つまり、
- Radiant…半透明で、高濃度で、超まばゆい
- Synchromatic…透明で、超ではないがまばゆい
ということらしい。
ドクターマーチンの公式サイト
公式ウェブサイトを見つけたのでリンク。
Dr. Ph. Martin’s https://www.docmartins.com/
サイトは英文表記のみだが、カラフルで美しい製品を眺めているだけでも面白かった。
ドクターマーチンを使用した感想
ドクターマーチンのカラーインクが大好きだ。透明水彩も好きだが、カラーインクの発色の良さ、あざやかさ、色の透明感がとにかく好きで、プライベートで水彩絵具を利用するときは、よくカラーインクを混ぜてしまう。
ドクターマーチンは、イラストを描かれている方の間では有名なインクなのだが、絵画教室やデッサン教室に通われている方はご存知ない方の方が多く、驚いた。
もし水彩絵具や水彩色鉛筆で作品を作られる方で、ドクターマーチンのカラーインクをお使いになられたことがない方がいらっしゃったら、是非一度試してみて頂きたい。描ける作品の幅が広がり、水彩で絵を描くのがより楽しくなると思う。(自分がそうだったので)
↑ 水彩紙に塗るとこんな感じ
上記の写真のピンク色の部分を見ていただけると分かりやすいが、蛍光色に近い色みを持った絵具が多く、水彩絵具・油絵具・水彩色鉛筆とは趣が異なる。カラーインクのみで用いると、良く言えば「見栄えのする」、悪く言えば「派手な」作品ができあがる(笑) 透明水彩など、別の水彩絵具に混ぜて用いると、発色の良さはそのままに派手さが抑えられ、あざやかで仕上がりの美しい作品になる。
とにかくよくもつ
ドクターマーチンは、どの色もインクの濃度が非常に濃い。
パレットの上でインクの5倍~10倍程度の水を足すと、ようやく普通の絵具の濃さになる印象を受ける。うっかりインクを直接画用紙に垂らそうものなら大惨事になるが(笑)、濃い分1瓶買うととにかく長持ちする。
私が一番最初に購入したインクは、レモンイエローとアルペインローズだったが、どちらも、15年以上経った今も、未だに現役で活躍している。
何色かの中でどれを購入しようか迷われた時は、濃い方の色を購入される方がおすすめ。(例えば、薄い赤色ではなく、深紅の赤色のものを) 濃い絵具は水でのばして薄めることができ、色が濃い分、薄い色よりも長持ちする。
おすすめの色
個人的なおすすめは、セピア(ラディアント・28B)・レモンイエロー(シンクロマチック・1番)・ローズマダー(シンクロマチック・36番)。この3色は、蛍光の色みが少なく、初めての方にも扱いやすいと思う。特にセピアの落ち着いたブラウンと、レモンイエローの突き抜けるような明るい黄がないと、どうも絵がシャキッとしない気がして、よく使ってしまう(笑)
SynchromaticとRadiantのどちらがおすすめかと問われれば、自分はまばゆさより透明感重視なので、Synchromaticシリーズの方がおすすめ。
シンクロマティックシリーズは着色料の沈殿がない分、使いやすさもSynchromaticシリーズの方が上。蛍光色が好きで華やかさ重視なら、Radiant。だが、正直自分はあまりシリーズの差を意識せず、色が絵に合うかどうかだけで使うことも多い。
カラーインクに適した紙を選ぶ
カラーインクを利用されるなら、可能であれば、キャンバスの紙質にもこだわってあげてほしい。紙によって、インクの発色があざやかなものと、そうでないものがある。
個人的なおすすめは、マーメイドリップルとクラシコ・ファブリアーノ。
どちらも表面がでこぼことした紙で、お値段が少しお高めだが、カラーインクとの相性が良く、カラーインクの一番の魅力である色の透明さとあざやかさを引き立ててくれる。
資金に余裕がある方であれば、最初はシンクロマチックかラディアントのどちらか1セットだけを買い、後は必要に応じて1本ずつ描い足されると、自分の画風に合う色に出会いやすいと思う。ちなみに、ドクターマーチンに出会った当初中学生だった自分は、懐と相談して、1本ずつ細々と買い足した(笑)