労働基準監督署・労働局に職場環境(埃・二酸化炭素濃度)の問題を相談する (1)

職場で健常者が気管支喘息を発症するほどの埃と、慢性的に息苦しさを感じるほど高濃度の二酸化炭素に悩まされ続けたので、役所の労働相談コーナーに相談に行った。

相談に先立ち書籍やインターネット上の情報を時間の許す限り調べたが、埃や二酸化炭素についてのトラブル事例・相談事例は少なく、勤務先(ワークスアプリケーションズ社)の社内にも使える知識・経験はほぼなかったので、結果的に行政機関の知恵と法令と判断に頼る形になった。

実際に改善までに結びついたことと結びつかなかったこととがあるが、身近な相談先の事例として、職場環境でお悩みの方の参考までに。

相談先

  • 労働局の労働相談コーナー
  • 労働基準監督署の窓口

相談内容(埃と二酸化炭素濃度)

①職場に尋常でない量の埃が堆積しており、重症度が最も高い気管支喘息の発病者が出るほど、就業環境が不衛生である

勤務先企業(人事ソフトで有名なワークスアプリケーションズ社)の就業部屋が、5年間ほとんど清掃されていない。 その部屋で3年弱働いた結果、重症度が最も高い気管支喘息と、あらゆる商業店舗に入店できないような強いハウスダストアレルギー・ダニアレルギーを発症した。

現在も口と鼻の両方を覆うタイプの医療用マスク(N95マスク)なしでは、勤務先企業に入室することさえできない(気管支喘息の発作が起きる)が、職場は未だ十分に清掃されていない。
喘息の重症度が高いことを理由に、医師から現時点での転職は禁じられている。労働基準監督署への労災請求も行ったが棄却され、勤務先企業には抜本的な改善が必要だという認識がない。

気管支喘息や重度アレルギーの患者でも働けるようワークスアプリケーションズ社に対応して貰いたいが、何か方法はないだろうか。

②職場内の二酸化炭素濃度が常時高く、慢性的に呼吸が苦しい

職場に入室すると喘息の発作が出るため、勤務中は口と鼻の両方を覆う医療用マスク(N95マスク)の着用を医師から義務付けられている。

だが、ワークスアプリケーションズ社内には、部屋の空調処理能力の2倍を超える数の従業員が働いており、二酸化炭素濃度は平均で1400ppmを超えている。(通常の企業は平均1000ppm未満)
そのため、職場では慢性的に酸欠であり、マスクをしていると常に呼吸が苦しい。職場内で30分以上会話をすることができず、参加人数の多い会議では、1時間会議室で座っているだけで意識が朦朧とする。職場は高層ビルの21階にあり、窓を開けての換気はできない
医師から現時点での転職を禁じられているのは、前述の通り。
勤務先企業に何とか改善して貰えないだろうか。

会社内での安全衛生の相談・改善を断念

行政機関への相談に先立ち、2017年6月頃から所属元企業(ワークスシステムズ社)と勤務先企業(ワークスアプリケーションズ社)の上司・東京本社の人事総務部・その関連部門と1対1もしくは1対2で面談を実施し、職場環境についての要望を口頭で伝えている。

だが、解決どころか勤務先の就業環境は日々悪化の一途を辿り、毎日が「出勤して8時間ひたすら耐えるだけ」の日々になっていった。
正社員雇用だったが一従業員として仕事の成果を上げられる状態では到底なく、人事考課も2〜3段階下がる有様。
在宅勤務は、ワークスアプリケーションズ社人事総務部から許可が下りなかった。(ワークスアプリケーションズ社には在宅勤務やリモートワークの制度がない)

転職したかったが、発症した気管支喘息の重症度が高く、レルベア200を含む3~4種類の薬を毎日用いても、病状が安定するまで数ヶ月を要した。転職で環境を大きく変化させると喘息が再び悪化する恐れがあったため、医師から転職を止められていた(いわゆるドクターストップ)。

勤務先企業で可能な限りの人に相談したが就業環境は十分に改善せず、2017年11月に入ると新人研修を終えた新卒社員が勤務先に多数配属されて呼吸がより一層苦しくなり、座って耐え続けることも限界に達した。

喘息発症後11ヶ月目に、社外での相談先を模索した。

会社の外で安全衛生の相談先を探す

当初、社外で労働相談を受け付けて貰えるところがどういう機関なのか全く分からなかったため、インターネットを検索したところ、下記の様なサイトがヒットした。

厚生労働省 総合労働相談コーナーのご案内
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html

「総合労働相談コーナー」とは、都道府県ごとにお役所内に用意された、労働者向けの相談窓口
労働局内もしくは労働基準監督署内に設置されており、働くことに付随する問題やトラブルについて、無料で相談を受け付けて貰える。主に平日朝9時~夕方17時までしか開いていないが、電話もしくは対面で相談を受け付けてくれ、女性の相談員も配置されている。

藁にもすがる思いで、勤務先の都道府県にある総合労働相談コーナーを利用させて頂くことにした。

なお、この時点では気付いていなかったが、総合労働相談コーナーは「労働局」に設置されたものと、「労働基準監督署」に設置されたものの2種類がある。

労働局は、労働基準監督署のいわば上司にあたり、労働基準監督署が現場で各企業の法令順守を指導する立場だとすると、労働局は労働基準監督署を監督・指導する立場。役割が異なるだけでなく、有する権限も異なっている。

私は偶然にも、労働局の総合労働相談コーナーを利用した。

労働局の総合労働相談コーナーで就業環境について相談する(相談第1回目)

出勤時間をずらし、午前10時半頃に総合労働相談コーナーへ。

部屋に入ってすぐの場所に横に長いカウンターがあり、カウンターを挟んで労働者と労働局の方が対面で話し合えるようになっていた。カウンターは2席ごとに板で仕切りがつけられており、相談中に提示した書類等が他の相談者の目に触れないよう配慮されている。
席は混んでもおらず、閑散としてもいない、という程良い雰囲気。

建物は古かったが、カウンターの奥は一般企業とよく似ており、年齢・性別様々な方がデスクを並べて仕事の真っ最中、といった雰囲気だった。
労働関連法の分厚い書籍が手近な本棚に並んでいたところだけが、一般の企業と違っていた。

私の訪問に気付いて出てきて下さった方に相談内容をかいつまんで伝えると、奥から初老の男性が出て来られた。「立派な会社にお勤めの親類」といった雰囲気で、頭が良く、話し上手で、信頼できそうな雰囲気があった。

なお、気管支喘息の発作が出る可能性があったので、マスクを着用したまま相談させて頂いた。

行政からのアドバイス:「会社の正式な窓口」に「文書」で要望を提出してみては

ワークスアプリケーションズ社の職場内の写真等をお見せしながら、相談内容を伝え、初老の男性の判断を仰ぐと、「会社宛に文書で要望を出し、文書で返答を貰ってみてはどうですか」とアドバイスを頂いた。
また、直属の上司ではなく、人事総務の問合せ窓口など「会社の正式な窓口に要望書を出した方がいい」とのことだった。

後から振り返ってみると、この時頂いたアドバイスは極めて的確だった。この時に「文書で」「人事総務部から」返答を貰うようご助言頂けていなければ、後に来る劇的な解決は起こり得なかっただろう。

労働局の窓口相談員さんに、陰ながら深く感謝。

勤務先の人事総務部宛に要望書を提出する

頂いたご助言を元に、人生初の要望書を作成。インターネットで要望書のテンプレートを検索し、要望書テンプレートと首っ引きで作成した。
気管支喘息の発症で年収が約200万円下がり、治療費でさえ生活に重くのしかかっていたので、要望書作成を社労士等の専門家に頼む余裕はなかった。

出来上がった要望書はお世辞にも分かりやすいものとは言えなかったが、ともかくも人事総務部の方と面談頂き要望書を提出、正式に受理頂いた。
その際、「空気環境測定結果の値も返答文書に盛り込んで欲しい」と口頭で依頼した。二酸化炭素濃度の値を正確に喘息の主治医に伝えるために頼んだのが、正確な数値が盛り込まれると客観性が増し医師や弁護士や行政機関の方がより判断しやすくなったため、今振り返るとお願いして良かったと思う。

提出後1ヵ月ほど経った2017年12月に、人事総務部から文書で返答が戻って来た。要望書はA4サイズ1枚しか提出しなかったが、返答文書はA4サイズ4枚程あった。
会社側の主張を交えつつ長々と回りくどく書いてあるものの、結論は「(お金がないから)要望には応じられない」といった内容だった。

代わりに、対応下さった人事総務部の方の英断で、私だけ別の階のフロアに自席を移して貰い、仕事中に息ができない問題は多少改善された。
と言っても、息苦しさが少しましになった程度で、30分以上の会話はできず、参加人数の多い会議には相変わらず参加できなかった。

備え付け空調の半数以上が破損している(まともに換気されていない)

同時期(2017年12月)に、勤務先フロアに備え付けられていた空調設備のうち過半数に異常が見つかり、空調本来の性能が発揮されていないことが明らかになった。

ビルの管理会社は「阪急阪神ビルマネジメント」(?)という阪急阪神ホールディングスの系列会社で、勤務先人事総務部が二酸化炭素濃度が高いことを報告しても「そんな苦情を申し立ててくるのは、数あるテナントの中で御社だけだ」と客を客とも思わないような対応を平気でしてきていたが、空調の破損台数の多さにようやく重い腰を上げた。
ワークスアプリケーションズ社の人事総務部と阪急阪神ビルマネジメントが連携して、空調の補修に着手することになった。

ちなみに、ビル空調が7台中4台破損していても、ビル会社に調査頂くまで、従業員は誰一人気付かなかった。私自身も全く気付かなかった。美しく近代的な外観の建物だったので、一層気付きにくかったのかもしれない。

窓の開かない気密性の高い建物において、空調設備は呼吸器疾患から従業員を守る要とも言える設備だが、原因の気づきにくさ、職場で従業員が身を守る難しさに身が震える思いがした。

労働局の総合労働相談コーナーで相談する(第2回目)

重症度の高い気管支喘息の影響で、12月から翌3月にかけて立て続けに計4回風邪を引き、喘息も一層悪化して、労働相談コーナーへ足を運ぶのも難しい状態が続いた。
3月中旬に労働基準監督署に申請していた労災請求が棄却され、寒さが和らぐ3月下旬になってようやく、総合労働相談コーナーに行ける体調に戻った。

風邪と喘息悪化を散々繰り返した後だったので、鼻と口をがっちりと覆う医療用マスク(N95マスク)を着けて訪問。

会社からの返答書類を持参し、再び労働局の労働相談コーナーに相談へ行く。
持ち込んだ資料は、

  • 要望書
  • 要望書に対する会社からの返答文書
  • 社内サイトの画面のコピー
    勤務先企業の空調設備の過半数が壊れており、事業所内の就業人数が建築基準を大きく上回っていることについて、勤務先が行なった内部調査の記録

今回は、30歳後半~40歳前半くらいの女性の方が出て来られた。真面目で、穏やかで、この方も信頼できそうに感じた。
私の説明を一通り聞き、提示した文書の一文一文に丁寧に目を通して下さった後、その女性は、

「これほど文書が揃っているなら、管轄の労働基準監督署に連絡を取り、労働基準監督署から直接対応頂いた方がいい」

と仰って下さった。各企業に対する具体的な対応は、労働局ではなく管轄の労働基準監督署から行うものらしい。その女性相談員の方が真摯に丁寧に対応下さったので、たらい回しにされている印象は受けなかった。

労働局と労働基準監督署は場所が離れており、電車の乗り継ぎも悪い。勤務時間の関係で本日労働基準監督署を訪問することは難しいので翌々日訪問すると告げると、

「労働基準監督署にはこちら(労働局)からも連絡しておきます」

と言い添えて下さった。
提示した資料は、私の同意を得た上で、労働局にてコピー・保管された。


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労働基準監督署・労働局に職場環境(埃・二酸化炭素濃度)の問題を相談する (2)

労働基準監督署・労働局に職場環境(埃・二酸化炭素濃度)の問題を相談する (1)の続き。

労働基準監督署の窓口で相談する

労働局の労働相談コーナーで相談した翌々日、改めて勤務先を管轄する労働基準監督署へ訪問。この日も分厚いN95マスクを着用して出向いた。労働基準監督署は労災請求と聴き取り調査の際既にお世話になっていたので、所在地や室内の雰囲気も分かっており、訪問にはさほど不安を感じなかった。

労働基準監督署も、室内に入ると長いカウンターがあり、そこで職員と労働者が相談できるようになっている。カウンター越しに職員の方に声を掛け、事情を説明すると、30歳台くらいの若い男性の監督官が出て来られた。

怪訝そうな顔で出て来られたので少し不安を感じたが、ともかくも男性監督官に労働局で行った説明を一通り行った。労働局から労働基準監督署へも連絡が既に届いており、N95マスク越しに長々と話さずに済んだのは有難かった。

監督官曰く、「法律の範囲内であれば企業に改善を促すことができる」そうで、①の埃については無理だが、②の二酸化炭素濃度については改善を促すことが可能、とのことだった。

補足すると、企業は2ヶ月に1回、職場内の空気に従業員の健康を害するような異常がないか測定することが義務付けられている。
私の勤務先は

  1. ① 埃(浮遊粉塵)の量は、法令(事務所衛生基準規則5条↓)の定める基準値(0.15mg/m3)を下回っていた
  2. ② 二酸化炭素濃度は、基準値1000ppmに対し測定値が平均1400ppm・最大1700ppm超であり、測定値が基準値を大幅に上回っていた。かつ、過去1年間の測定で、殆ど毎回基準値を超えていた

ので、②について労働基準監督署から会社に対し改善を促すことができる、と判断されたようだ。

事務所衛生基準規則 第二章 事務室の環境管理
https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-2/hor1-2-36-2-0.htm

その際、「この情報の出所が貴方だと勤務先にばれてしまい、不利益を被ることがあるかもしれないが問題ないか」と確認された。
職場環境を改善頂かないことには勤務を続けられないので、「仕方がない」と答えたように記憶している。

運悪く私が相談に訪れたのが3月下旬で新しい年度に切り替わる直前だったため、労働基準監督署からの対応は、新年度の4月になるかもしれないとのこと。こちらについては、対応頂けるならと快諾した。

労働局と同様、提出した書類は労働基準監督署にてコピー・保管頂いた。監督官からは窓口用と書かれたお名刺を頂戴し、ご挨拶して部屋を後にした。

勤務先企業に労働基準監督署の臨検と行政指導が入る

行政機関が新年度に入った4月中旬、労働基準監督署から私の携帯電話宛に着信があった。

折り返しお電話してみると、3月下旬に労働基準監督署で相談に乗って下さった労働基準監督官の後任の監督官からで、あの後勤務先に対しどのような対応を行ったかを教えて下さった。

労働基準監督署と相談した日から数えて13日目に、朝10時から12時の時間帯で、労働基準監督署の監督官は勤務先企業を訪問下さっていた。(いわゆる臨検監督)

勤務先の人事総務部に過去3年分の空気環境測定の結果の提出を求め、勤務先の就業環境を目視で確認下さった結果、従業員1人あたり10立方メートル以上の気積(事務所衛生基準規則第2条参照↓)が確保されておらず、改善の必要ありと判断された。
そして労働基準監督官は、勤務先に対し指導書(いわゆる行政指導)を出して下さった。

事務所衛生基準規則 第二章 事務室の環境管理
(気積)
第二条 事業者は、労働者を常時就業させる室(以下「室」という。)の気積を、設備の占める容積及び床面から四メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者一人について、十立方メートル以上としなければならない。

「気積」とは、「室内の空気の量」を表す建築用語で、

床面積×高さ-家具の体積=気積

で計算される。
従業員が常時勤務する部屋は、従業員1人あたり10㎥以上の空気を確保しなければいけないと法令↑で定められている

当時の勤務先は「密集」という言葉が相応しいくらい1部屋に人が詰め込まれており、従業員1人あたり5~6㎥くらいしか、気積が確保されていなかったのではないかと思う..。
離席しようと椅子を後ろに下げれば真後ろの方の椅子に当たり、デスクで仕事中に腕や肘が隣の席の人に当たることが毎日あるといった、いわゆる「三密」の条件をほぼ完全に満たすレベルの人口密度だった。

法令で定めた基準が満たされていない場合に、労働基準監督署は企業に「行政指導」という形で改善を求めることができる。

労基署の指導是正勧告は行政指導の一種で、行政指導自体には強制力はない。
だが、指導や是正勧告を無視し続けると、罰金や書類送検など、より重い罰則が課される可能性がある。

勤務先から改善状況について5月末に改めて報告を受けます、とのことだったので、対応を待つことに。

約2ヶ月で強制的に職場環境改善

その後勤務先は、会議室を3部屋潰して従業員が働く部屋に作り変え、各部屋に全従業員を偏りなく配置することで、従業員1人あたり10立方メートル以上の気積を何とか確保した。

加えて、勤務先企業はビル管理会社と相談の上、壊れていた4台の空調設備を修理
そうしてようやく、室内の二酸化炭素濃度が法令の定める基準値(1000ppm)を下回るようになった。

この間、約2ヶ月かかった。

だがそれ以上に、会議室を潰し従業員の部屋へと作り替える費用や、ビル管理会社とのやりとりの手間、空調の修繕にかかる費用、行政機関の信用低下などを考えると、最低限の法令を遵守していなかった勤務先企業が被った金銭的・社会的ダメージは、一従業員が予想もしていなかったほど大きなものになった。

労働基準監督署から指導を受けたことについて、勤務先企業は安全衛生委員会の議事録を9ヶ月以上公開せず、従業員への説明を避けた。(実はこれも法令違反なので、後日別途臨検&行政指導を受けることになった..)
が、就業先が行政指導を受けるなど滅多にあることではないし、「人の口に戸は立てられぬ」の言葉通り、どこからか事態を知った従業員が別の従業員へと話して、少しずつ知れ渡っていた。

労働基準監督署の監督官から対応終了の報告を受ける

7月中旬頃、労働基準監督署の監督官から私用携帯宛に改めてお電話があった。勤務先から二酸化炭素濃度が基準を下回ったと報告があり、これをもって対応を終了します、とのご報告だった。

この頃、営業課員やコンサルタントが社内に多い月曜日はまだ息苦しかったが、それ以外の曜日は何とか耐えられる程度に息苦しさは弱まっていた。「対応頂いたお陰で身体が楽になり、何とか勤務を続けられそうです」とお伝えし、監督官に丁重にお礼を述べて電話を置いた。

労働相談コーナー利用後、勤務先企業での待遇は悪くなったか

行政指導に先立って、主治医から「ほぼ100%勤務先の環境が原因」と断言されるような気管支喘息を発症しており、労災請求を出す出さないで勤務先企業と一悶着あったため、勤務先企業との関係性は既に十分に悪化していた。

その1年後に、勤務先企業が行政指導を受けるきっかけを結果的に私が作ってしまったことになったが、勤務先企業での待遇は既に十分悪かったので、待遇も関係性もこれ以上悪くなりようがなかった、というのが正直なところだと思う。
表立って呼び出しを食らったり、叱責を受けたり、明らかに社内評価を下げられたり、給与が下がったりということはなかった。

上司や同僚の態度は、労働相談コーナーを利用した後も、勤務先企業に指導が出た後も、さほど変わらなかった。上司には事前に何度も相談しており、同僚には普段から気管支喘息やアレルギーや周辺事情について話していたので、彼ら(彼女ら)が十分な情報を持った状態で事が起きたのが良かったのかもしれない。

上司や同僚に大なり小なり迷惑がかかっただろうと思うが、今も昔も変わらず、雑談したり、昼食を共にしたり、飲みに行ったりしてくれている。

おわりに ~「二酸化炭素濃度」は解決し、「埃」は未解決のまま終結~

結果として、行政に相談した「二酸化炭素濃度」と「埃」のうち、二酸化炭素濃度については抜本的かつ不可逆的な解決が行われた。従業員が一人で対応を続けていたとしても、これほどの解決は望めなかっただろうと思う。

この点では、労働局と労働基準監督署の功績は非常に大きかった。1人の従業員のために行政機関がここまで動いてくれるとは正直予想もしていなかったので、現場で対応下さった労働局・労働基準監督署の方々には、感謝の言葉しかない。

反面、気管支喘息の原因となった「埃」については、労働局・労働基準監督署という2つの行政機関をもってしても、未解決のまま残されてしまった。
明暗を分けたのは、行政機関は法律的な裏付けなしには動くことができない、という行政ならではの縛りである。

一般にはあまり知られていないことだと思うが、行政機関は行政法に定められた範囲内でしか動くことができない。株式会社等の組織に法令違反があれば、違反した部分に対して指摘し改善を求めることができるが、法令違反がなければ、行政機関は企業に改善を求めることができない

法令による裏付けがない場合、医学的にどれほど人体に悪影響があろうと、行政機関では対応ができないようだ。堆積粉塵は高い濃度でアレルゲン物質を含み、病原菌の温床にもなる。皮膚を通じてアレルギーの発症を促し、皮膚炎・鼻炎・結膜炎・喘息発症の原因にもなることが医学的に明らかになっているが、行政機関は医学的な根拠を元に動くわけではない。

今回の「埃」の問題の場合、空気中に舞っている浮遊粉塵については0.15mg/m3以下という規制があったが、床や机に積もった堆積粉塵については、法令上の規制が見つからなかった。アレルギー体質の獲得が皮膚からの感作を通じて起きる(経皮感作)のは近年の研究で明らかになっているが、埃についてもアレルギーについても、法令は未だ追いついていないように思える。
勤務先企業は、浮遊粉塵の基準(0.15mg/m3以下)はクリアしており、残念ながら埃については手出しできなかった。

「オリエント急行の殺人」(アガサ・クリスティ) 読書感想文

英国が世界に誇る、推理小説の名作。実際に読んでみるまで、こんなにも切ないお話だとは知らなかった。

「オリエント急行の殺人」のあらすじ

※ストーリーの最初の41ページ分のみを記載

ベルギー人私立探偵のエルキュール・ポアロは、フランス陸軍での事件を解決し、若いフランス陸軍中尉に見送られて朝5時に極寒のアレッポ駅からタウルス急行に乗り込み、イギリスへの帰路についた。

タウルス急行で何時間か仮眠を取った後、ポアロが熱い珈琲を飲むため食堂車に赴くと、食堂車に客は家庭教師風の若い女性1人しかいなかった。その女性は、自分の面倒は全て自分で見られるような自立した女性で、冷静で頭の切れる人だとポアロは感じた。そのうち、彼女の向かいの席にインドから来たイギリス人のアーバスノット大佐がやってきたが、2人はぎこちなく、二三言葉を交わす程度だった。

昼食で女性–ミス・デベナム–と大佐は少し打ち解けた様子を見せたが、その日夜、列車が停車した際にポアロが駅へ降り立つと、プラットホームの端で、彼女に「メアリ」と呼びかける大佐と、「今はだめ。何もかもがすんでから」と返す2人の会話を耳にする。

翌日、食堂車から火が出てタウルス急行が予定外に停車した際、ミス・デベナムは取り乱し、何としても九時発のシンプロン・オリエント急行に乗らねばならないのだ、と訴える。だが彼女の心配は杞憂に終わり、タウルス急行は5分遅れで目的地ハイダパシャへと到着した。その後ポアロは、ミス・デベナムともアーバスノット大佐とも顔を合わせず仕舞いだった。

その日ポアロはオリエント急行には乗り継がず、トカトリアン・ホテルに宿泊する予定だった。だが、1通の電報が舞い込み、急ぎロンドンへ帰るよう促されてしまう。ポアロは九時発のシンプロン・オリエント急行で帰るようホテルに手配して貰い、食堂で食事に取りかかった。そこで偶然にも、国際寝台車会社の重役でありポアロの旧友でもある、ムッシュー・ブークに出会う。そしてブークと別れた後、一見心優しい慈善家風の、だが、眼だけが狡猾そうで落ち着きなく辺りを見回している奇妙な男を見かけた。その男は初老で、感じのいいアメリカ人の秘書を連れていた。

ラウンジでブークと落ち合ったポアロだったが、ホテルの者が、今夜に限って何故かオリエント急行の一等は全て満室である、と告げに来た。重役としての立場を使ってブークがオリエント急行の一等ー寝台の提供を請け合ってくれ、ブークとポアロはオリエント急行の発車駅へと向かう。駅に着いても、やはり九時発のオリエント急行一等寝台車は予約で全て満室だったが、発車間際になっても現れない乗客の部屋をブークはポアロにあてがってしまい、ポアロは無事にオリエント急行の乗客となった。

「オリエント急行の殺人」の読書感想文

※本作品とアガサクリスティ「カーテン」のネタバレを含みます。問題ない方のみ続きをお読み下さい。

遺族の苦しみ

殺されたり自殺に追い込まれたりして、命を落とした犯罪被害者の方々。その方々ご本人の苦しみは筆舌に尽くしがたいものだったと思うが、この小説で焦点になっているのは、家族が犯罪に巻き込まれ、家族の1人ないし複数人を理不尽に失った遺族の方々だ。

犯罪に巻き込まれ突如理不尽にも家族を失った人々は、遺族は加害者への怒りと憎しみ、遺された苦しみや辛さを味わい続ける。
しかも、加害者は法の下で正当に裁かれず、遺族のような苦しみを味わうことなく、社会的制裁を受けることもなく、被害者の命を元手に巻き上げた大金で悠々自適の海外暮らしをする。

社会通念上、このような理不尽が許されていいのだろうか、という命題を本書は投げかけている。

法で裁くことのできない犯罪

法で裁くことのできない犯罪という命題は、アガサクリスティの作品で時折見受けられる。ポアロ氏最後の推理「カーテン」もその一つで、こちらも印象的だが、私はオリエント急行の方に、より強く苦しみと悲しみを感じた。

加害者が何の苦もなく暮らし、遺族が苦しみ続けるということは、社会通念上あってはならないが、司法や法律の世界ではありえてしまう。

法で出せなかった答えを、誰がどう出すか。名探偵の出した答えの1例が「カーテン」であり、遺族の出した答えの1例が、この「オリエント急行殺人事件」だと思う。

どちらのケースも、数ある答えの中の1つでしかない。この2例以外にも、無数の答えがある。
だが、オリエント急行の遺族達が出した答えは、間違っているとは心情的に言い難い。法に従うべき一市民としてはあってはならないのだろうが、この小説を読み、法を遵守しきれなかった遺族達を糾弾できる人は、人であって人でないような心持ちがする。

「素晴らしい」と手放しでは言えないが、「よくやった、もう苦しまなくていい」と伝え、ねぎらってやりたい。そんな気持ちになる。

ポアロ氏の2つの解答

なので、我らが名探偵ポアロ氏の提出した2つの解答には、喝采をあげたい気持ちになった(笑)

本文を読み始める前に目次に目を通した際、最終章が「ポアロ、2つの解答を提出する」と書かれており、「?」となったが、読後は遺族全員と鉄道会社の両方に配慮したポアロ氏の解答に痺れた。

テレビドラマ版「オリエント急行殺人事件」

名探偵ポアロシリーズは、アガサクリスティの原作とデヴィッド・スーシェ主演のTVドラマシリーズの両方を楽しむ派なのだが、本作のTVドラマ版は映像が恐ろしく美しかった。

オリエント急行の内装の美しさもさることながら、オリエント急行を彩る風景の美しさは、言葉では表現しがたい。暮れゆく日、降りしきる雪、雪深い景色に立つ人々…。

原作から多少ストーリーが変えられており、原作であれほどのインパクトを放ったミセス・ハバードの出番が少ないのが少々気になるが、それを差し置いても一見の価値ありである。

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レルベアに関する些細な疑問とその回答

気管支喘息の記事をいくつか投稿していると、レルベアについて「お医者様に訊くほどではないが、気になる疑問」が、自然とサイトに集まってくる。

喘息治療では「ある患者が喘息にまつわる体験談を別の患者に話し、患者同士が学び合う」という手法が採られることがあるので、それにあやかり、一患者としてレルベアに関するささやかな疑問に回答してみた。

回答する喘息患者のレルベア使用歴

  • 気管支喘息歴:3年1ヶ月
  • レルベア吸入歴:3年1ヶ月 (レルベア200が1年5ヶ月、レルベア100が1年8ヶ月)
  • アレルギー:陽性
    IgE-RAST(アレルゲン物質を探すための血液検査)はハウスダスト2・ダニ2・カモガヤ(=イネ科植物)1・アスペルギルス(=カビ)1
    お医者様からは、アレルギーを起因とする喘息(アトピー型喘息)で環境因子の影響を受けやすい、と言われている。

なお、薬の成分や効能など、正確さを必要とする質問については回答しない(できない)。専門家に尋ねるべき事柄は、呼吸器内科医や薬剤師にお問合せを。

レルベア100を木製の机の上に平置きし、真上から撮影した写真。レルベアの水色にグレーのパッケージの全体像が見えており、子窓に17と表示されている。

↑ レルベア100

Q.レルベアを使った感想は?

吸い始めた当初は「本当に効いてるのかな?」という印象。2年以上吸い続けた後に振り返ると、「よくぞここまで効いてくれた」と称賛。

気管支喘息発症当初、銀行・図書館・スーパー・ドラッグストアなど入店して喘息症状が出ない店の方が少ないくらい、気管支や免疫が過敏になっていた。喘息専門医に頂いたレルベア200より、発症後2ヶ月で中断した「スピリーバ」という別の吸入薬の方が、よく効いたような気もした。
 → ブログ管理人が入れなかった場所の詳細については、こちらへ

だが、2年間毎日レルベアを吸い続けると、喘息発作のひどかった衣料品店・ホームセンターを含む全ての商業店舗に、マスクなしで入店できるようになった。今は処方下さった医師とレルベアに、深く感謝している。

レルベアが効く効かないは、患っている喘息の種類や発症原因や重症度等によっても変わってくるので、一概にすべての方に効果が出るとは言えない。だが少なくとも私個人に関しては、レルベアなしでの喘息治療はあり得なかった。

Q.レルベアを吸い続けると太る?

私はむしろ痩せた
気管支喘息を発症する前と後で体重が5kg減り、レルベアの治療を開始してから2年半で更に1~2kg減った。喘息のコントロールが薬で完全にできるようになってからようやく体重が2~3kg増え、今に至る。

レルベアの影響というわけではなく、呼吸器疾患を患うと呼吸に健常者よりエネルギーを使うので、痩せやすいのではないかと思う。毎日8時間肌に密着するタイプのマスクをつけたまま会社で働くだけでも一日のエネルギーを使い果たし、帰宅時にはクタクタに疲れていることも多い。

レルベアの「薬のしおり」の副作用欄にも「肥満」は書かれていなかったので、レルベアは吸うとすぐさま太る、ということはないと思う。

他の喘息薬と肥満の関係については、調べていないので不明。

Q.レルベアを正しく吸えているかどうかが分からない。味がしない。

レルベアを吸った直後、上の歯と下の歯を強く噛み合わせると、「ザリッ」と細かい砂を噛んだような感触がある。レルベアの粉末が吸い込めており、口の中に粉末の一部が残った場合この感触が得られるので、レルベアを吸えているかどうかの目安になるのでは。
レルベア200は吸った後かすかな甘みを感じることもあるが、殆どの場合、レルベアは無味無臭のように感じる。(特にレルベア100は分かりにくい..)

なお、レルベアのパッケージの表示カウンターが0の状態で蓋を開いても、粉末は出てこないようだ。表示カウンターが0から赤色に変わるので「粉末が充填されたのかな?」と感じるが、吸っても口の中に粉末の感触がなかった。

Q.レルベアと飲み合わせの悪い薬や食べ合わせの悪い食べ物はある?

下記サイト↓を参照する限り、エイズの薬など一部のお薬は、レルベアとの飲み合わせに注意が必要とのこと。

ハイパー薬事典
http://www.jah.ne.jp/~kako/cgi-bin/dwm_se_disp.cgi?2290803

レルベアと食べ合わせの悪い食材は、情報がないので不明。

レルベアでの治療を開始してからインフルエンザ・風邪・抜歯・右肩の痛みを患ったことはあるが、内服薬とレルベアの併用を止められたことは、今のところない。
ある医院では「気になるようであれば、念のため風邪薬を服用後2時間ほど時間を空けてから、レルベアを吸入して下さい」と助言頂いたことがあり、食べ合わせ・飲み合わせが気になる場合は、数時間ずらして服用するようにしている。

なお、医者にかかる際は「おくすり手帳」の持参を忘れずに。 診察前に喘息治療中であることを自発的に申し出れば、大きな被害は防げるのではないかと思う。

おくすり手帳2冊を正面から撮影した写真。うち1冊には錠剤のイラストが描かれている。

↑ おくすり手帳。薬を処方される際に調剤薬局で頂いたもの。

Q.レルベアで治療を続けながら、珈琲を飲んでも大丈夫?

珈琲は気管支喘息にいい影響を与える、と呼吸器内科医の書かれた書籍で読んだことがある。珈琲に含まれる成分に気管支を拡張する働きがあるそうだ。

私自身も、精密検査を受ける前でまだ自分が喘息を発症していると知らない頃、無性に珈琲を飲みたくことが多かった。気管支を広げる成分を、無意識に身体が欲していたのかもしれない。

喘息の発作が週に何度も起きていた時期も、インスタント珈琲を1日1~2杯普通に飲んでいた。(珈琲9:ミルク1の割合にして常飲。普段は無糖、気が向いたら加糖) 私はドリップ珈琲・インスタント珈琲・缶コーヒー珈琲に特定の好みがなく、どれでも分け隔てなく飲む人間だが、特定の製品・銘柄で喘息症状が悪化することも、特になかった。
珈琲を飲んで症状が悪くなるのでなければ、飲んでも差し支えないのではないかと思う。

但し、珈琲は呼吸機能検査の結果に影響を及ぼしてしまうことがあるそうだ。検査に影響が出ないよう、検査の当日だけは珈琲を控える方が良さそう。

参考:Cochrane 喘息患者におけるカフェインの効果
https://www.cochrane.org/ja/CD001112/chuan-xi-huan-zhe-niokerukahueinnoxiao-guo

Q.レルベアを吸った後、うがいをする理由は?

口の中や食道に残ったレルベアの粉末を身体の外に出し、レルベアの副作用を防ぐため。

レルベアに限らず吸入薬には、吸った後口の内にレルベアの粉末が残ってしまうという欠点がある。レルベアの粉末が口の中や食道に残ると、「口腔カンジダ症」と呼ばれる、口の中に白っぽい菌(カビ)が生える副作用が起きやすくなってしまう。

レルベア200での喘息治療中に私はたびたびこの副作用に悩まされ、口の中が常に白くて、気持ちが悪かった。実生活に大きな影響はないものの、歯科通院など口を大きく開ける機会があるたびに、口が気になり困った。
 →ブログ管理人の副作用(口腔カンジダ症)の体験談については、こちらへ

レルベアには、ステロイド内服薬よりはるかに少ない量ではあるが、ステロイドが含まれている。なので、口の中に残ったレルベア粉末は、飲み込んで身体に吸収してしまうよりうがいで体の外に排出してしまった方が、長期的に見て身体への負担が少ない。

Q,レルベアを吸った後のうがいが面倒なんですが?

一患者として、激しく同意(笑)
レルベア100・レルベア200を生産販売しているグラクソ・スミスクライン社の社員さんにお会いする機会があり、こうした疑問を直接ぶつけてみたが、「副作用を防ぐにはうがいしかない」とのことだった…。

身体があまりに疲れておりうがいする気力もない時は、レルベアだけ吸ってそのまま眠ってしまうことも、月に1度くらいある。

Q.レルベアを吸い続けると、味覚障害が起きる?

レルベア100・レルベア200の薬のしおりを拝読してみたが、副作用欄に味覚障害は書かれていなかった。
薬は世に出回る前に臨床試験(治験)が行われるが、臨床試験時の総数1407件の症例において、味覚障害が起きた症例は1例もなかったようで、副作用発症率1%未満の欄にも味覚障害は書かれていなかった。ので、安心して構わないのではないかと思う。

私個人も、3年以上ほぼ毎日レルベアを吸っているが、味覚障害は起こしたことがない。
レルベア治療中より風邪を引いている時の方が、料理の味が分からなくなる(笑)

Q.レルベアを吸って何時間たったら、お酒を飲んでもいい?

私は何も気にせず、レルベア200を吸ったすぐ後に飲み会に参加したことが1~2回ある(笑)
レルベアの薬のしおりに、レルベアをアルコールと併用するなとは書かれていなかったので、恐らく問題ないだろうと思う。(但し、私の飲酒量はコップ1~2杯と少なめなので、酒豪の方の参考にはならない)

逆に、レルベア吸入前にお酒を飲むと、薬を吸い忘れて寝てしまいそうな気がする。薬を吸い忘れる方が怖いので、シラフの間に吸入した方がいいのではないかと思う。

Q.レルベアを1日おきに吸ってもいいか?

やったことがないので未回答。

Q.新型コロナウィルスワクチンの接種日に、レルベアは普段通り吸ってもいい?

ワクチン接種前に近所のかかりつけのお医者様で相談したところ、「喘息のお薬は中断せず、レルベアは普段通り吸入して下さい」とのことだった。気管支喘息の主治医も同意見。
私は既に3回新型コロナウィルスワクチンを接種済み(3回ともファイザー製を接種)だが、接種する当日も、接種の翌日以降に副反応が出ている時も、毎日レルベア100を吸入していた。

なお、新型コロナウィルスワクチンの副反応の種類や強さは、喘息をお持ちでない方々とほぼ変わらなかった。接種の翌日は37度台前半の発熱があり、接種した箇所に痛みがあって寝返りが打てなかった程度。

BRIWAXを使用する上で注意すること (一時的な空気の汚染)

新品のBRIWAXを開封し半日ほど木製製品に塗ったら、その後小一時間咳が止まらなくなった。原因を探るべく、BRIWAXでの塗布中に、空気質測定器を使ってBRIWAX塗布中の空気に含まれるPM2.5と化学物質の濃度を調べてみた。

BRIWAXの缶をロゴが見えるよう正面から撮影した写真。蓋の近くに液だれの跡が茶色く残っている。
↑BRIWAX

BRIWAX塗布時の空気測定結果

上段がPM0.1, PM2.5, PM10の値。中段がホルムアルデヒドと総揮発性有機化合物そうきはつせいゆうきかごうぶつの値。下段が気温・湿度。
ホルムアルデヒド(HCHO)と総揮発性有機化合物(TVOC)が、厚生労働省や環境省の定める基準値(暫定目標値)を軽く振り切るほど、値が高かった。

空気質測定器を正面から撮影した写真。HCHOが1.662mg、TVOCが9.999mg、PM2.5が4μgと表示されている。背景にはニスを塗ったばかりの板とBRIWAXの缶が写り込んでいる。
↑ 屋外での空気環境測定結果

厚生労働省・環境省・WHO(世界保健機関)が定めた基準によると、

  • ホルムアルデヒドは、1㎥あたり0.1mg(=100μg)以下
  • 総揮発性有機化合物は、1㎥あたり0.4mg(=400μg)以下

であれば、長期的に吸い続けても健康に影響がないと知られている。

だが、BRIWAXの塗布中、基準値の数倍にあたるホルムアルデヒドと総揮発性有機化合物が検出された。

PM2.5は直径が2.5マイクロメートル(=0.0025mm)の非常に小さな粒子(粉塵)のことで、粒子が小さければ小さいほど身体の奥まで入り込み、呼吸器疾患や循環器系疾患などの原因となる。PM10以下の粒子は、1㎥あたり0.035mg(=35μg)以下であれば健康に悪影響がないとされているが、数回測ってもこちらは正常の範囲内だった。

BRIWAXは、吸い込むと人体に有害であり、十分に換気しながら塗布するよう、販売元サイトに注意書きが書かれている。
そのため今回の測定は、屋外か、室内で外へ繋がる窓1つと扉1つを全開にして扇風機を「中」で回した状態で行った。十分換気をしている環境にも関わらず、このような高い値が検出されたことに、非常に驚いた。

ホルムアルデヒド・総揮発性有機化合物とは

ホルムアルデヒドや総揮発性有機化合物は、シックハウス症候群の原因となることでも知られており、多量に吸うと身体を悪くする。

ホルムアルデヒドは、室内の空気を汚染する物質の代表格で、濃度が1㎥あたり0.5mg(=500μm)を超えると、眼や喉や気管支を刺激することで知られている。

揮発性有機化合物は、「揮発性がある」つまり常温で液体から気体に変わる有機化合物の総称で、こちらも室内空気汚染の目安となる。
総揮発性有機化合物は、トルエン・ベンゼン・フロンなどの各揮発性有機化合物の濃度を一定のルールに従って合計したもの。こちらも低ければ低いほど、空気環境は安全と言える。

どちらも、時間とともに空気中に拡散し濃度が下がるので、高濃度で検出された場合は、とにかく窓を開けて換気扇を回し、換気することが大切。
余談だが、新築したばかりの住宅で高濃度の揮発性化学物質が検出されると、24時間換気し続けることもあるらしい。十分な換気を3ヶ月程度続けると、ホルムアルデヒドやトルエンの濃度は半分から数分の一以下に下がるとのこと。

また、ホルムアルデヒドも総揮発性有機化合物も、気温が高ければ高いほど、揮発されて空気中の濃度が高くなりやすい。

私のように高濃度の化学物質を含む空気を吸ってしまった場合は、直ちに使用を中断して、屋外等でしばらく新鮮な空気を吸うといいとのこと。

BRIWAXを塗った後に激しく咳き込んだ理由

私がBRIWAXを塗布し咳込んだのは、気温30度を超える夏で、BRIWAXを数時間塗り続けた後だった。

気温が高いと、BRIWAXに含まれるホルムアルデヒド・揮発性有機化合物がより多く揮発し、空気中の有害物質の濃度が高くなりやすい。そんな環境でBRIWAXを長時間塗り続けると、高濃度のホルムアルデヒド・揮発性有機化合物を、長時間吸い続けることになる。

しかも私は気管支喘息の持病があるので、炎症が残っている喉や気管支が汚染された空気に真っ先にやられ、身体がホルムアルデヒド等の異物を少しでも体外に出そうとして、咳が止まらなくなったのだと推測される。

BRIWAX塗布後、どのくらい時間経てば安全か

塗られた面積や部屋の換気度合いにもよるので、何時間(何日)経てば安全かは、はっきりと明言できない。

新築の家の場合、建築当初化学物質の濃度が高いが、3ヶ月から6ヶ月ほど十分な換気を行えば、健康に害のない程度まで値が下がるそうだ。

ただ、BRIWAXは、塗布後1ヶ月以上を経過した頃に計測しても、ホルムアルデヒド及び総揮発性有機化合物の濃度が、基準値を超えているかギリギリ下回っているかというレベルでしかないことがあった。

以下、あくまで一個人の例として、実体験を述べる。

気温30度を超える日にBRIWAXの蓋を開けて放って塗布した際、塗布中は塗布している場所から2mくらい離れていても、空気質測定器のホルムアルデヒドと総揮発性有機化合物の値が極めて高く、空気測定器の出す「ピー、ピー」という警告音が鳴りやまなかった。
総揮発性有機化合物については、計測可能な値を振り切っている(「TVOC 9,999mg」のまま表示が止まっている)ことも多かった。

BRIWAXの蓋を閉めた状態で計測。蓋にBRIWAXが付着してしまっているためか、ホルムアルデヒドと揮発性有機化合物は基準値をオーバーしている。
↑ BRIWAXの蓋を閉めた状態で計測。蓋にBRIWAXが付着してしまっているためか、ホルムアルデヒドと揮発性有機化合物は既に基準値を大きく上回っている。

窓を開けて換気扇や扇風機を回す等の方法で十二分に換気しつつ、BRIWAX塗布後30分以上経って再び計測すると、塗布面から2m~3m離れた場所では、基準値を超えるような高濃度のホルムアルデヒドを検出しなくなった。
但し、塗布した面から10cm以内に空気測定器を近付けると、ホルムアルデヒド・総揮発性有機化合物ともに極めて高い値を計測し、警告音も復活した。

BRIWAX塗布から約1ヶ月経った頃に、改めて空気質測定器でホルムアルデヒドと総揮発性有機化合物の値を計測した。

木製扉の前で空気環境測定を行っている写真。扉は1ヶ月前にBRIWAXが塗布されたもの。TVOCの値は0.386mg/㎡と表示されている。
↑ BRIWAX塗布後1ヵ月後に行った空気環境測定

ホルムアルデヒドは0.056mg/1㎥で基準値(0.1mg/1㎥)の半分弱と正常だったが、総揮発性有機化合物TVOCは0.386mg/1㎥と健康に害のない暫定目標値(0.4mg/1㎥)ギリギリだった。

計測した場所は、下半分にBRIWAXを塗った木製扉の前。塗った面積によっては、総揮発性有機化合物の暫定目標値を超える場合も出てくるのではないかと思う。総揮発性有機化合物が目標値ギリギリでも、鼻につくような臭いは一切感じられず、機械で計測していなければ、私も扉の利用者も気づかなかっただろうと思う。

また、2ヶ月前にオイルステインとBRIWAXを数回重ね塗りして練習した木板も合わせて計測したところ、こちらはホルムアルデヒド・総揮発性有機化合物ともに、人体に影響がないとされる基準値をオーバーしていた。

BRIWAXと某社のオイルステインを重ね塗りし2ヵ月後に行った空気測定
↑ BRIWAXと某社のオイルステインを重ね塗りし、2ヵ月後に測定

BRIWAXよりも併用したオイルステインの方が、ホルムアルデヒド・トルエンをより豊富に含んでいた可能性はある。だが、この数値を見て私は、自宅を自らシックハウスに変えているようなものだと感じてしまった。

今後は、BRIWAXをトルエンフリーのラインナップに切り替えるか、オスモカラー等化学物質を一切含まない自然塗料に切り替えることに決めた。

人体への悪影響を防ぐ方法

最も手っ取り早いのはBRIWAX(オリジナル)を塗らないことだが、都合上トルエンフリーでないBRIWAXを使わざるを得ない方もいるだろう。
下記の項目に気をつけて塗布すると、気温が高くとも塗布時に咳が出ず、喉・気管支に違和感を感じることも少なかった。

  • 風の強い日を選んで塗る

台風到来の翌日に屋外でBRIWAXを塗布すると、風が強すぎて、ホルムアルデヒド総揮発性有機化合物ともに、値がかなり低くなった。磨く時に使うサンドペーパーや下敷きにする新聞紙が若干飛ばされそうになるが、乾きが早く、健康にも優しかった。

BRIWAX塗布中に空気質測定器を正面から撮影した写真。HCHOが0.064mg、TVOCが0.457mg、PM2.5が4μgと表示されている。背景にはBRIWAX塗布中の木の板とBRIWAXの缶と新聞紙が写り込んでいる。
↑ 台風襲来翌日に屋外での計測結果。ホルムアルデヒドは基準値以下に下がっている。
  • 風上で作業する

風上で塗布や磨きを行い、有害な化学物質やサンドペーパーの粉塵が風下へ流れるようにすると、人体への悪影響が少ない。風下に人がいないよう配慮することも忘れずに。

  • 窓を全開にする

少し開けるのではなく、全開に。空気の流れができるよう、2ヶ所以上窓を開けるとベター。ホルムアルデヒド等で汚染された空気を、少しでも多くの外気と換気できるよう配慮する。

  • 換気扇や扇風機を「強」で回す

風のない日は換気が十分行われないので、機械を使って空気の流れを作り、汚染された空気が新鮮な外気と混ざるようにする。送風機でもハンディタイプの扇風機でも、強い風を生み出してくれるものならOK。

  • 高性能のマスクを着用する

風のない日、市販の7枚200円程のペラペラのマスクでは、着用後1~2時間の塗布が限界だった。マスク着用していても喉に違和感を感じるようになり、それ以上塗布を続けられなかった。

私は喘息治療用に持っているウイルス対策マスクや3M社のN95マスクを利用すると、気管支への負担が少なかった。気密性が高いため少し息苦しいが、喉や気管支を守る機能はN95マスクの方が優れている。N95マスク着用時は、喉や気管支に違和感を感じず作業を終えられた。こうしたマスクは、コロナ禍以前はamazonや病院内にある医療用コンビニで1枚400円くらいで手に入ったが、今はさすがに少し値段が上がっているかもしれない。

高性能マスクをお持ちでない方は、マスクの紐を短く縛って密着度を上げたり、マスクを2枚重ねでつけるなどの工夫をすると、多少改善されるのではないかと思う。

  • BRIWAXの塗布と磨きは手早く行う

BRIWAXを塗り込む作業と、BRIWAXを塗り込んだ後ブラシで面を磨く作業は、できるだけ手早く行い、有害物質を吸い込む時間を少しでも短くする

  • 喉や気管支に違和感を感じたら、作業を終了する

気をつけて塗布していても、マスクを着脱する際に、揮発性の化学物質を少し吸い込んでしまうことがある。咳が出たり喉や気管支に違和感を感じたら、その日の作業はそこで終了することにした。

  • BRIWAXを塗布後、6時間以上十分に換気する

BRIWAXを塗布した後、塗布面にはホルムアルデヒドや総揮発性有機化合物が残っている。扇風機を「強」に設定してガンガン換気しても、ホルムアルデヒドや総揮発性有機化合物が正常値を下回るには、数時間かかった。
換気は、とにかく執拗かつ十分に行う方が良さそうだ。

  • BRIWAXは人体から離して保管

空気環境測定を行うまでBRIWAX(オリジナル)は自室の棚で管理していたが、人体に有害であることが分かったので、住居エリアから隔離して納戸に保管することにした。

地震等不慮の事故に見舞われても、人体に悪い影響が出ないよう、人から離れた場所に保管することを癖づけた方がいい。

BRIWAXメーカーの工夫

BRIWAXに「トルエンフリー」というラインナップを見つけた。トルエンは、先程紹介した総揮発性有機化合物の一種。トルエンフリーということは、トルエンを含まないBRIWAXということになる。

こちらの商品はまだ使ったことがないが、ナフサは含まれているそうなので、完全な化学物質フリーではない。ナフサは原油(石油)から得られる物質で、この物質からトルエンが生まれるらしい。(Google先生の受け売り)

半端なく高い値のホルムアルデヒドと総揮発性有機化合物を前に、BRIWAXの作り手も、手をこまねいているわけではないようだが、いずれにせよ、1度使って空気測定してみないと何とも言えないので、良し悪し使える使えないの判断は保留。

今回の計測に使ったBRIWAXと空気質測定器

空気質測定器

空気質測定器を正面から撮影した写真。取扱説明書とパッケージ(白い箱)も写っている。
↑ 空気質測定器

今回の計測には、Dienmernのハンディタイプの空気測定器を使用した。1万円前後で手に入り、軽くて、PM2.5は電源を入れた直後に、ホルムアルデヒドと総揮発性有機化合物も4分以内に表示される。

企業等は法律で2ヶ月に作業場の空気環境測定が義務付けられているが、そうした用途でも使用することができる機器と謳われていたので、正確な値が出るだろうと考え、こちらの機器を使用した。

BRIWAX オリジナル「ラスティックパイン」

BRIAXは、3ヶ月前に新品で購入した「ラスティックパイン」を使用。
BRIWAXにはオリジナルとトルエンフリーの2種類のラインナップがあるが、購入時はそれを知らず、オリジナルの方を購入した。

ラスティックパインを使って検出されたホルムアルデヒドは基準値の数倍から十数倍で、BRIWAXの他のカラーの製品にも塗布時に必ず換気するよう注意書きが記載されているので、ラスティックパイン以外のBRIWAXオリジナルでも同様と考え、注意頂いた方がいいと思う。

BRIWAXトルエンフリーはまだ使用したことがないので、どの程度の数値をはじき出すかは分からない。トルエンフリーを謳っているので、総揮発性有機化合物TVOCについては、恐らくオリジナルより低い値が出るだろうと思う。

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終わりに

BRIWAX ラスティックパインを塗ったかまぼこ板を上から撮影した写真。かまぼこ板は全体が茶色で、焦茶色の木目がところどころにはっきり見え、僅かに光沢がある。
↑ BRIWAX ラスティックパインを塗ったかまぼこ板

塗布後の仕上がりだけを見ると、BRIWAXはDIYに適した非常にいい製品に見える。手順通りに塗れば、かまぼこ板が高級家具顔負けの色ツヤに仕上がるのだから、世界中のDIY好きがBRIWAXの虜になってしまうのも無理はない。

反面、BRIWAXの仕上がりの素晴らしさに隠れて、BRIWAXを使用する上で注意すべき点は、十分に強調されていないように感じる。

空気の汚染による有害物質の曝露には短期曝露と長期曝露の2種類があり、数時間程度の短期曝露でも、人体に影響を与えることがある

BRIWAX「ラスティックパイン」の蓋を開き、斜め上から撮影した写真。金属製の缶の中に黒い液体が入っている。
↑ BRIWAXの蓋を開いたところ

子供や高齢者、それに私のような呼吸器疾患持ちは、高濃度または大量の有害物質に曝されると、健常者より早く身体を悪くしやすい。しかもこうした人は、世の中に一定の割合で存在している。

やむを得ずBRIWAXと末長くお付き合いしたいと考えるなら、永続的ではないにせよ大気を汚染する性質を持っていることは、頭の片隅に記憶しておくべきだろう。

データベーススペシャリスト試験 2018年春・2019年春 試験当日の注意事項・会場の様子など

データベースペシャリスト試験の試験当日の様子や、試験前にやっておいて良かったことを記載。筆者は2018年春・2019年春に受験。

平成30年度春期のデータベーススペシャリスト試験の問題冊子を撮影した写真

↑ データベーススペシャリスト試験 問題冊子

「前もってやっておいたら良かった…」と後悔したこと

前年の秋期試験で午前1の免除をゲットしておく

データベーススペシャリスト等の高度情報処理技術者試験は、午前1の試験を免除する制度が用意されている。
応用情報処理試験に合格、もしくは、高度情報処理技術者試験の午前1で基準点(60点)以上の得点を得ると、デーダベーススペシャリスト試験の午前1試験が2年間免除される。

例えば、2018年の秋にネットワークスペシャリストを受験し、午前1試験を60点以上得点すると、翌年の春・翌年の秋・翌々年の春・翌々年の秋と計4回免除を受けられる。
免除となる対象は、高度情報処理技術者試験であれば、どの試験でも構わないらしい。

詳細は下記の公式サイト参照↓

情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験の一部(午前Ⅰ試験)免除制度
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_00topic/koudo_menjo.html

高度情報処理技術者の午前1試験は、試験範囲がとにかく広い。数学の基礎理論に始まり、セキュリティ・ネットワーク・運用管理・企業経営・法務まで、実務で使ったことのない知識や用語をこれでもかと問われる。難易度も、応用情報処理技術者試験と同じくらい。つまり、手を抜いてかかると返り討ちに遭うくらいには難しい。

午前2以降の試験はデーダベースに特化されているので、午前1免除を秋に得ることができれば、秋~冬~春の間はデータベースの対策のみに集中でき、試験勉強が相当楽になる。
(1回の試験代5700円を払って午前1免除を得るのが、高いか安いかは別として…)

ちなみに、午前1免除がゲットできれば、試験当日の拘束時間が短くなるというメリットも享受できる。
1日の拘束時間は計7時間20分から計6時間に短縮され、試験会場への集合時間が9時10分から10時30分に繰り下がるので、身体・頭脳共に負担が減らせる。
個人的な意見だが、試験当日の朝30分長く寝られるだけでも、午前1免除を受ける価値はあると思う(笑)

午後1の試験対策は十分に

午後1試験を、午後2の前哨戦と舐めてかかってはいけない。

午後1は、試験時間がとにかく短い。それなりにボリュームがあり頭も使う問題を2問も仕上げなければならないのに試験時間は90分しかなく、1問あたり45分しかかけられない。1問に120分をフルに使える午後2と比べて、明らかに時間の制約が大きい。

データベースの問題を解く「速さ」と「正確さ」を最も求められるのは、午後1だと思う。試験対策を行う際は、午後1にも十分時間を割いてあげてほしい。

しかも2018年春期試験は、午後2より午後1の方が難しかった(笑) 他の受験生に尋ねても同じ回答だったので、苦手分野に当たったわけではないと思う。

試験時間中に「試験に落ちた…」と感じた時は

必ず、午後2までの全ての試験を受けてあげて欲しい。

理由は、仮に今年の試験が不合格だったとしても、午後1・午後2がどれほど解けるかが分かれば、来年合格できるかどうかが分かるからだ。

2018年春季受験時、私は午後1が半分も解けなかったので、「落ちた…」と確信した。だがその直後に受験した午後2は、普段業務でよく使っている分野が出題されたこともあって、9割5分まで解答でき、うち自己採点で5割弱正答することができた。午後2試験の合格ラインは、正答率60%。そのため、「このまま頑張れば、来年は合格できる」と強く感じた。

この実感を持てれば、試験勉強の強力な下支えになる。長く辛い試験勉強を再開する上で、こうした「ゴールが近い」という感覚があるかないかは、努力を続けられるかどうかの分かれ目になる。

また、職場や就職活動の面接でも「不合格でしたが、午後2が50%弱正答できたので、来年は合格します」と答えられば、「不合格者」ではなく「あと少しで受かる人」とプラスに捉えて貰える。

試験中に感じる「落ちた…」という気持ちはそこそこに強い感情で、試験を中断して遊びに行きたい気持ちを思い出させる。なので試験当日は時間を終日を試験につぎ込むつもりで臨み、羽を伸ばすのは翌日から、と決めておくといいと思う。

会場が遠い

同じくデーダベースの試験として有名なOracle Masterが都市部ど真ん中で行われるのに対し、データベーススペシャリストを始めとする情報処理技術者試験は、大学のキャンパスなど都心から遠く離れた郊外が試験会場となることが多い。

応用情報処理技術者試験受験の際も僻地に飛ばされ、朝早く起きれるかどうか冷や汗をかいたものだが、DBスペシャリスト試験でも同じ目に遭った。

試験会場となった大学へは、都心から電車で50分。午前1の試験は9時半試験開始で、9時10分には試験会場に着席していなければならないので、徒歩移動の時間を含めて逆算すると、7時過ぎに起床し8時丁度には自宅を出なければならない..。

問題を解くことより何より、当日はこれが一番大変だった。

ちなみに応用情報処理技術者を取得して2年以内にDBスペシャリストを受験される方は、午前1の試験が免除になるので、+1時間ほど朝寝ができる。羨ましい。

試験会場までは迷いにくい

試験会場となる大学の最寄り駅を降りると、駅から大学までの道のりは情報処理技術者試験の受験者でいっぱいで、道に迷うこともなかった。
但し、駅から大学までは徒歩10分程度かかり、校内に入ってから更に7~8分かかった。(大学は校内が広い)

遅刻者多数

試験の説明が開始される9時10分ギリギリに試験会場に着席したが、9時10分を過ぎてからも入室される遅刻者が数多くいた。IT業界は早起き苦手な人多いんだな、と夜型な私はひと安心した。
9時10分から、試験官が試験の注意事項や問題文訂正の有無などを説明して下さるので、初受験の方は聞いておいた方がいい。

教室はガラガラ

私の席の前方には机8つ×4席の計32席が用意されていたが、着席していたのは4名だけ。午前1の試験が終わり午前2の試験が始まっても、空席が埋まることはなかった。

データベーススペシャリスト試験は合格率が14%くらいの試験だが、受験申込者数に対し受験者数が格段に少ないのだと気づいた。確かに、受験申込〆切が1ヶ月以上前と少し早いし、受験料もOracleMaster等のベンダー資格に比べひと桁違う安さなので、申込みだけ済ませて受験しない(できない)社会人の皆様が多いのだろう。(Oracle Master Silverは受験料22,000円弱、DBスペシャリスト試験は5,700円)

実際に受験者した数を母数に合格率を計算すれば、合格率は跳ね上がると思う。

受験者の15%が女性

データベーススペシャリストは、IT系国家資格の最高峰なので、女性は一桁パーセント未満しかいないかなと思っていたが、予想よりはるかに多かった。しかも、どの女性も堅実でしっかりとした顔つきの、見るからに頼れそうな女性ばかり。
同じく女性技術者の1人として、女性比率15%はとても嬉しく心強かった。

同じ年の1月にオラクルマスターのシルバーを受験した時には、試験会場に女性が1割前後だったように記憶している。ベンダー資格の試験会場では、オラクルマスターだけでなくさまざまな資格試験が同時に行われるので、一概にオラクルマスター=女性少ないとは言えないが、オラクルマスターブロンズ取得時も、オラクルマスターシルバー取得時も、会場に女性は少なかった。

オラクルマスターにも、近いうちに女性受験者が増える日がくるのかもしれない。

試験開始の20分前から説明が始まる

データベーススペシャリスト試験の受験表の裏面を正面から撮影した写真。白い紙に水色の文字でびっりしと文章が書かれている。

↑ データベーススペシャリスト試験の受験票(裏面)

午前1・午前2・午後1・午後2の全ての試験において、試験開始の20分前から、試験管による説明が始まる。お昼休憩を除き試験と試験の間の30分しか空いていないので、休憩は実質的に10分間しかないと心得ておいた方がいい。

道に溢れるほど受験者がいるので、10分休憩中はトイレが割と混む。トイレに行って戻ると10分休憩はほぼ終わっており、休憩時間に参考書をゆっくり眺める間はなかった。

試験会場の様子

試験会場は全体的に人が多く、トイレや階段などの共有スペースは人で溢れかえっていた。DBスペシャリストを含む高度情報処理技術者試験の行われる教室には、受験特有の緊張感も漂っていた。教室は清潔で、居心地はいい。

私は気管支喘息とハウスダストアレルギーの持病を有しているので、試験会場の清潔度合いと室内の空気の良し悪しが気にかかっていたが、不織布マスクなしで過ごせる程度には、掃除が行き届いていた。

建物の3〜6階が試験会場に割り当てられていた。各階に教室が10室ほどあり、どの教室も情報処理技術者試験の受験者で埋まっていた。中には、自分が一生受けることのないであろう「システム監査技術者」の会場もあり、どういった方が受験されているのかと見物気分で眺めることもでき、ちょっと面白かった。

昼食(お弁当)は持ち込み

各フロアとも階段付近に木製のベンチが並べられ、談笑したり軽食を食べたりできるスペースになっていたので、そちらでお弁当を頂いた。(ちなみに、応用情報処理技術者試験の受験会場では、校舎の外の芝生の上で昼食を食べることができた。春の陽気のお陰で、素晴らしい気分転換になった)

逆に、外食はまず間違いなくできないだろうと思われる。校舎の外に出るだけで7~8分かかるうえ、校舎内で開いている学食やカフェも見かけなかった。学内の自販機に自販機はたくさんあったが、どれも飲み物販売で、カロリーメイト等の食べ物販売の自販機は見かけなかった。

昼食は、事前に調達して外から持ち込まなければ、午後2の試験まで空腹でもたないと思う。
試験会場の最寄り駅にコンビニが併設されており、コンビニ内には列ができるほど、受験者がめいめい購入品を持って並んでいた。

昼休憩は1時間あるので、参考書を15分程度ゆっくり眺め、心を落ち着かせる時間が取れた。

途中退出者は少ない

情報処理技術者試験は、あらかじめ定められた時間帯であれば、試験を途中退室することができる。
だが実際には、途中退出する方は非常に少なく、2019年に受験した教室ではゼロ名だった。

データベーススペシャリスト試験は、難易度もさることながらボリュームも満点なので、途中退出できるほど時間が残らない…というのが多くの受験者の本音のようだ。

試験会場へ持参して良かったと思ったもの

鉛筆 2~3本

三菱鉛筆3本と金属製の鉛筆ホルダー2つと鉛筆キャップを撮影した写真。

↑ 鉛筆と鉛筆ホルダー

午前1・午前2の多肢選択式試験は、シャープペンシルより鉛筆がおすすめ。マークシート欄を塗り潰すのがシャープペンシルよりも早いので、考える時間をより長く確保できる。

システム世界に頭の先までどっぷり浸かった人間が、芯の丸まった鉛筆の良さを認識する機会は少ないが、この日ばかりは頼らざるを得ない(笑)

鉛筆を落とした場合のことも考えて、2~3本あると安心。金属製のキャップ(鉛筆ホルダー)をつけて持ち込めば、鞄や筆箱が汚れることもない。

髪留め(前髪の長い方のみ)

前髪の長い方は、髪留めがある方がいい。前髪の左右どちらかだけでも留めてしまえば、前髪が視界に垂れてこず試験に集中できる。

試験開始前から髪を留めておくと、試験監督にカンニングを疑われることも特になかった。以前別の試験で、試験監督に「髪留めをつけて受験しても構いませんか?」と申し出たことがあるが、その際も快諾頂けたので、意外と問題ないらしい。

傘 1本

2018年の試験当日は雨で、行きも帰りも雨が降った。
前述の通り試験会場は都心から遠く、最寄り駅から会場までは片道10分ほど歩くので、曇りや雨の日は傘は必須。

気管支喘息治療にピークフローメーターは必要か

コロナ禍の間は、間違いなくあった方がいい。

ピークフローメーターの値如何で、診察から処方される薬の種類や量まで変わる。また、自覚症状か出るより先にピークフローメーターの値が変わり、病院に行かずに病状がどうなっているかおおよそ分かるので、ローコスト&ハイリターン。

特に新型コロナウィルスが巷に蔓延していると、呼吸器内科への通院はウィルス感染のリスクが高いので、気管支喘息患者は気軽に通院ができない。ピークフローメーターの値は通院判断の目安になってくれるので、コロナ禍の間は絶対にあったほうがいい。
ピークフローの値が良くなっていれば、他の何物にも代えがたい安心感がある

フィリップス社の「アズマ チェック」(ピークフローメータ―)を、ボディ全身が入るよう正面から撮影した写真。

↑ ピークフローメーター 全体像

ピークフローメーターの説明

ピークフロー(peak flow)とは息を思いっきり吐いた時の息の速さのことで、ピークフローメーターとはピークフローを計る道具のこと。

ピークフローメーターは白いプラスチック製で、大人の手のひらほどの長さがあり、たて笛のように口をつける箇所がある。ボディには可動式の赤い目印と、60から800くらいまでの等間隔の目盛りがついている。

フィリップス社の「アズマ チェック」(ピークフローメータ―)の口の部分を撮影した写真。

↑ ピークフローメーター 拡大図

ピークフローメーターを軽く口に咥え思いっきり息を吐くと、吐く息に押されて赤い目印が動き、目盛りの値を指し示してくれる。赤い目印が止まったところが、自分の現在のピークフロー値。

ピークフローメーターを使うと呼吸機能の状態が数字で分かるので、呼吸器が今どのくらい良い(悪い)のかが分かる。

ピークフローの使い方

  1. ピークフローメーターの赤い印を一番下まで下げ、息をしっかり吸う
  2. フィリップス製のピークフローメーターの目盛り部分に近づいて撮影した写真。赤い目盛りは一番下に位置している。

    ↑ ピークフローメーターの赤い印を一番下にセット

  3. ピークフローメーターに口をつけ、勢いよく息を吐く
  4. ピークフローメーターの目盛りの位置を確認する
  5. フィリップス製のピークフローメーターの目盛り部分に近づいて撮影した写真。赤い目盛りは380の値を指している。

    ↑ ピークフローメータ―の値を読み取る。

  6. 手順1~3を3回繰り返し、最も高かった値を記録する

ピークフローメータ―の値は喘息日記に記録すると、発作や息切れなど他の症状と一緒に記録できるので、診察時に使いやすい。
喘息日記は、下記のサイトから無料でダウンロードできる。

喘息日記
https://www.erca.go.jp/yobou/pamphlet/form/00/archives_17750.html

 
 → 喘息日記の詳細については、こちらのページへ

ピークフローメーターは、朝と夜の1日2回程度測るといいとされている。だが私は、発作が月1回未満に収まってきてからは、1日1回しか測っていない…。

医師が編著・監修された「ピークフローメーター活用ガイドブック」

医師が作成・監修された、より詳細なピークフローメーターの使い方ガイドがあったのでシェア。ピークフローメーターの種類や使い方、注意すべき点などが記述されている。
下記のサイトから、無料でダウンロードできる。

ピークフローメーター活用ガイドブック
https://www.erca.go.jp/yobou/pamphlet/form/03/archives_843.html

少し専門的なことも書かれているので、実際にピークフローメーターを使い始めてから読むと、理解がより深まるのでは、と感じた。

フィリップス社のピークフローメータ―を取扱説明書と一緒に撮影した写真。

↑ 取扱説明書と一緒に撮影

ピークフローメーターを使った感想

プラスチック製で、100円均一ショップで売ってそうなシンプルな製品(失礼!)なのに、ピークフローメーターは治療への影響が大きい。何より、医師に診てもらわずとも呼吸器官が悪くなっていないことが分かるので、他の何物にも代えがたい安心感がある。

私は気管支喘息を発症してから3~4ヶ月経ってから使い始め、1日1回測って記録しておき、診察のたびに、医師に直近1~2ヶ月で発作が起きた回数と、ピークフロー値(上限値と下限値)とを伝えている。

ピークフローメータ―と説明書を並べて撮影した写真。

↑ ピークフローメータ―の説明書

主治医の先生曰く、ピークフローメーターは信頼性が高い、とのこと。患者が1人で気軽に測れてしまうものだが、患者が計っても、値は医師が信じるに足る信頼性があるらしい。
主治医の先生はピークフローメーターを購入した方がいいよとは一言も仰られなかったが、私が自己判断で購入した後は、診察のたびにピークフロー値をカルテに書き込まれている。

ピークフローメーターの先端に近づいて撮影した写真。空気の通り抜ける穴が写っている。

↑ 通気口

軽い、持ち運びしやすい

プラスチック製で軽く、落としても割れたりしないので、取り扱いや持ち運びが簡単。
子どもでも重さを意識せずに、毎日でも持ち運ぶことができる。気軽に持ち運びができるので、外出先で喘息発作が起きたときも、症状を確認する手助けをしてくれる。

一度買うと長持ちする

ピークフローメータ―を購入する前は、「薬でもないのに、ちょっと値段が高いな..」と感じていた。だが、購入から4年が経ち、うち2年間は勤務先から旅先まで毎日持ち歩いても、一度も壊れることはなかった。
なので、一度買うと長く使える。大人なら、一度買えば10年は使えるのでは、と思う。

ピークフローメーターを裏返し、全身が入るよう撮影した写真。ピークフローメータの裏面は何も書かれていない。

↑ ピークフローメーター うら面

喘息治療の励みになる

喘息の治療には、毎日喘息の治療薬を吸うことになる。が、毎日毎日吸い続けて1年も過ぎると、さすがに飽きて、だれてくる。発作が減り、咳などの症状も減ってくると、「疲れたし眠いし、今日は薬吸わなくてもいいかな」という気持ちが頭をもたげてくる。

だが、そんな毎日の中で、たまにピークフローの値がいつもより10だけ高い(=良い)値が出ると、気道の炎症が収まり快復に向かっているように感じ、「頑張って毎日薬を吸った成果かな」と感じる。現金なもので、それだけでまた薬を吸おうという気が起きるのだから、私という患者の頭は単純にできていると思う(笑)

最後に

ピークフローメーターは薬として医師から処方されるものではないので、治療に必須ではない。ピークフローメータ―を持ったからといって、症状が急に良くなるものでもない。

だが、喘息は自己管理を要する病で、発作等で症状を悪化(増悪)させることを常に防いでいかなければならない病だ。自己管理や症状のコントロールに着目した時、ピークフローを使えば、記録しやすく客観性も高く、誰でもすぐに取り組めるので、非常に有益なツールだと感じている。

なお、私はフィリップスのピークフローメーターを愛用しているが、他社のピークフローメーターは使ったことがないので、どの企業のものが最良かは判断ができない。
ピークフローの値さえ正確に計測できるなら、どのメーカーのものを使ってもいいのではないかと、個人的には思う。

水拭き掃除で気管支喘息とハウスダストアレルギーの悪化を防ぐ

水拭き掃除が必要な理由

埃や花粉は人体に必要ない。それどころか、呼吸器疾患の原因になる

埃や花粉の粒子は、人体の構成や成長に必要な物質ではないので、人間の身体(免疫)からすると「異物」という扱いになる。これは、健常者とハウスダストアレルギー&気管支喘息患者のどちらにとっても変わりはない。

体内に入った埃や花粉は、通常鼻の粘膜や気管支の繊毛せんもうを使い、体外に押し出される。咳などを伴って、外にはじき飛ばされることもある。だが、「異物」が体内に入ることは、鼻や口から肺へと続く呼吸器官にとって、不必要な刺激になる。

こうした不必要な刺激が度重なると、鼻や喉の粘膜は乾燥し、抵抗力が落ち、風邪やインフルエンザなどの呼吸器疾患にかかりやすくなる。と同時に、呼吸器疾患がかかりやすく治りにくい環境でもあるため、単なる風邪が悪化してより重い疾病へと発展しやすい。

また、粒子の大きい埃は鼻から喉の奥に向かう通路を詰まらせることがあり、そうした状況が慢性化すると副鼻腔炎ふくびくうえん(蓄膿症)を発症しやすくなる。
よりサイズの小さい埃、所謂いわゆるPM2.5などの直径0.004mm以下の浮遊粉塵ふゆうふんじんは、肺の奥まで到達し、肺に沈着してしまう。こうしたごく小さな粒子は、少量であれば人体に影響はないのだが、多量に吸い込むと肺癌や塵肺じんぱい等、重篤な疾患の原因になることが知られている。

なお、2018年現在で、肺癌は5年後生存率が約39%しかなく、適切な治療を施しても、5年後には約60%の方が亡くなってしまう。(値はあくまで一般的な事例であることを、闘病者の方のために付け加えておく) 塵肺じんぱいに至っては、未だに有効な根治療法こんじりょうほうが見つかっていない。こうした疾病に対し、発症してから対策を講じるのは、遅すぎると言わざるを得ない。

埃や花粉はアレルギー疾患を引き起こす

厚生労働省の調査によると、平成23年の時点で日本国民の2人に1人が何らかのアレルギー疾患に罹患りかんしており、数年前と比較して増加傾向にある、とのこと。体質次第では、埃や花粉はアレルギーを発症・悪化させる直接の原因になりえる。

アレルギーを引き起こすのは体内にある免疫という仕組みだが、免疫が一度学習してしまうと修正することはなかなか難しく、一度アレルギーを発症すると、数年はマスクと生活上の不便がつきまとう生活が待っている。マスク生活が大変煩わしく面倒であることは、皆様ご承知の通りだ。

ちなみに私はハウスダストアレルギーだが、発症した当初、アレルギー症状が強く出すぎて、スーパーにもコンビニにも入店できなかった。発症から数年経ち症状は緩和されてきたが、未だにマスクは手放せず、「埃が積もっている」というただそれだけの理由で近付けない場所も多い。

床掃除だけでは不完全

掃除機は、床など部屋の底面にある埃しか取り除いてくれない。だが、人体への影響を考えれば、机や棚や空気中など、口や鼻により近いところにある埃を除去しなければ、掃除としては不十分ではないかと思う。
特に、ダイニングや自室などの滞在時間の長い部屋において、堆積した埃は百害あって一利なし。取り除いてしかるべきだろう。

また、埃には上から下へ落ちる性質がある。浮遊粉塵ふゆうふんじんと呼ばれる直径が小さく軽い粉塵をとってみても、落下速度が遅く落下に長い時間がかかるだけで、この性質は変わらない。そのため、床から上の掃除を怠ると、部屋の上方から埃が降ってきて床を汚す、という残念な結果が生まれる。
「掃除してもいつのまにか部屋が汚れている」とはよく聞く話だが、もしかしたら床中心に偏った掃除方法にも原因があるのかもしれない。

水拭き掃除のポイント

最初に、脚立や椅子に乗って部屋を見渡す

気管支喘息とハウスダストアレルギーを患ってから、掃除に脚立が入用になった

部屋の高い位置にある埃の場所と量を把握したいので、掃除の前にまず脚立や背の高い椅子の上に乗り、視線の高さを高くして、部屋をざっと見渡す。視線の高さが変わると、「これを今まで見落としてたのか」と衝撃を受けるくらい、古い埃の塊が部屋のあちこちに残っていることに気づく。

古い埃の積もりやすい場所は、

  • 冷蔵庫の上
  • (背の高い)棚の上(特に本棚)
  • 電灯の笠の上
  • エアコンの上
  • 部屋の壁の上部
  • 天井

等々。埃を溜めこむ「埃の貯蔵庫」の例には、枚挙に暇がない。

実例その1:電灯の笠

脚立の重要性をお伝えすべく、数枚画像を掲載。埃だらけで美しくもない画像だが、ご容赦頂けると有難い..。

蛍光灯を目線の高さから(蛍光灯下から)見上げて撮影した写真。蛍光灯は白く光り、プラスチックの白いカバーがかけられている。写真には蛍光灯の右半分しか写っていない。

↑ 目線の高さから見上げた時の蛍光灯

掃除機をかけている時など、目線の高さから見上げると蛍光灯はこのように見える。特に、何も問題ないように感じるが、

天井付近から蛍光灯を見下ろして撮影した写真。蛍光灯の白いカバーの上に、どす黒い埃が大量に乗っている。蛍光灯は白く光っており、右半分だけが写真に写っている。

↑ 脚立に登り同じ蛍光灯を天井付近から見下ろした図

脚立に上り見下ろすと、同じ蛍光灯がこのように見える。奥の黒い部分は、全て埃。人体に悪影響を及ぼし喘息・アレルギーを悪化させる物質を、身近にこれほど溜め込んでいたのかと思うと、割と衝撃を受ける。

蛍光灯を拭き掃除した後に、脚立に登り天井付近から蛍光灯を見下ろして撮影した写真。蛍光灯を覆っていた白いプラスチックカバーから黒い埃が全てなくなり、真っ白で清潔感のある蛍光灯になった。

↑ 水拭きした後、蛍光灯を脚立に登って再度確認した図

水拭き掃除を行った後はこんな感じ。こうしておくと、台風の風が吹いても埃が落ちて来ないので、部屋は汚れず身体への悪影響もない。

布に水をたっぷりと含ませて拭く

バケツに風呂の余り湯をたっぷり入れ、バケツを家中に持ち歩いて拭き掃除をすると便利。
埃を拭いた後の布は、すぐさまバケツに浸けてしまえば、埃が再び舞い上がることはまずない。特にダニアレルゲンは水溶性なので、水に浸けると流れていってくれる。

狭い場所は物差しと輪ゴムを使う

定規に古布を巻きつけた、即席の掃除ツール。

↑ 物差しに古布を巻きつけたもの。水に浸して使う。

家具の隙間など狭い箇所に溜まった埃は、長さ20cm以上の物差しに布を巻きつけて輪ゴムで留め、物差しごとバケツの水に浸すと、狭い箇所の埃を取ってくれる即席の便利ツール↓になってくれる。シンプルだが割と便利。

使い捨てお手拭きも掃除道具

布は水をたっぷり含むものなら何でも構わないが、使い捨て出来る布(洗わないで済む)の方が埃に触る時間が短いので、身体的に負担が少ない。私は綿100%の使い古した服(Tシャツなど)をハサミで手のひらサイズに切っておき、使い捨てにしている。

白いビニールに入った飲食店のお手拭きを撮影した写真。Vie De Franceの青いロゴと、セブンイレブンのロゴが、パッケージの表面に印刷されている。おしぼりはどれも開封されていない。

↑ 使い捨てのお手拭き。簡単な拭き掃除ならこれで十分。

意外なところでは、コンビニや食事処で貰える使い捨てのお手拭きも、雑巾ぞうきん代わりになる。水気が蒸発してかさかさになってしまったお手拭きでも、まとめて水に浸してしまい、使った順に使い捨てると掃除が早い。

百円均一ショップで購入したアルコール入りウェットティッシュを撮影した写真。青いプラスチック製のパッケージに「除菌」と印刷されている。

↑ 市販のウェットティッシュ。複数枚入っていて便利

布をいちいち水につけるのが面倒という方は、百円均一ショップで売られているウェットティッシュを購入し、各部屋に1つずつ常設してしまえばいい。こうしておくと、1~2分の隙間時間で拭き掃除できるようになるので、掃除のために時間を取る必要もなくなってくる。
私は、パソコンの起動待ちの時間やプリンターで印刷待ちの時間で、手近な机と棚を水拭きしてしまうことが多い。

クエン酸・セスキ炭酸ソーダを併用すると、より効果的

セスキ炭酸

↑ セスキ炭酸

棚や机の埃を取り除く際、単なる水拭きでも全く構わないが、どうせなら埃以外の手垢・水垢みずあかの汚れも取り除きたい。そんな時クエン酸水セスキ炭酸ソーダ水を水に少量溶かし、その水に布を浸して拭くと効率がいい。

セスキ炭酸ソーダ水なら手垢汚れがよく落ち、クエン酸水なら水垢みずあか汚れがよく落ちる。

クエン酸の粉末を撮影した写真。粉末は白く、一粒一粒が大きく、山のようになっており、木目の板の上に載せられている。

↑ クエン酸の粉末

特にクエン酸は、レモンや梅干しに豊富に含まれている成分で、食品添加物の一種。水に溶かす前のクエン酸の粉末をそのまま口に入れても害がないほど人体に優しいので、自宅の水拭きにはクエン酸水を使うことが多い。
クエン酸の詳細についてはこちらへ
セスキ炭酸ソーダの詳細についてはこちらへ

 

水拭きの注意事項

新しい埃より古い埃を撲滅する

新しい埃よりも年月の経った古い埃の方がアレルゲン物質が多いという調査結果があるが、私の経験上も、新しい埃より何年も積もったままの埃を吸う方が、ハウスダストアレルギーの症状が出やすく、身体へのダメージも大きい

この点からも、床掃除より棚の上や棚の奥に積もった古い埃をどこまで撲滅できるかどうかが、喘息とハウスダストアレルギーの治療の重要な鍵を握っている。

私は喘息発症から2年が経過する頃まで喘息重症度が高く、古い埃の掃除を避けて通ることができなかった。だが、重症度が下がり、薬の量や頻度が下がりはじめると、古い埃の退治も毎回必須ではなくなった。一度おき、二度おき、と少しずつ頻度を下げていき、今では半年に一度で済むようになった。

最初は大変だと思うが、いずれは楽になると念じて頑張ってみて欲しい。

喘息・アレルギーの調子の良い時に行う

水拭きで古い埃を減らそうとすると、アレルゲン物質であるハウスダストとダニの大群(=埃の塊)に向き合うことになる。埃を取り除くはずが、逆に喘息発作を引き起こし症状が悪化してしまうこともあるので、注意が必要。

水拭きする際は、N95マスクなど性能のいいマスクは必須。窓全開かつ換気扇フル稼働など、換気も万全の態勢で臨む。

身体の調子の悪い時は、自分で掃除しない方がいい場合もある(無理に掃除しても、身体が悪化しては悪循環にはまるので…)。喘息発作の気配を感じたら、すぐに掃除を止めて、窓の外に顔を出す、屋外に逃げるなどの対応を。
埃の水拭きにおいて、逃げの姿勢はとても大切。

セキュリティ技術者から見た「マイクロソフト セキュリティ エッセンシャルズ」

10年程前からマイクロソフト社が無償配布しているセキュリティソフト「Security Essentials」を、5~6年程前から職場でも見かけるようになった。
導入・更新とも無料にも関わらず、下手な有償ソフトより使い勝手や信頼性が高く、個人的に気に入っている。

マイクロソフト社の無料セキュリティソフト「セキュリティエッセンシャルズ」のホーム画面。端末が正常に保護されていることを示す緑のバーが画面上部に表示されている。

↑ マイクロソフト社の無料セキュリティソフト「セキュリティエッセンシャルズ」のホーム画面。

“Microsoft Security Essentials”を入手する

“Security Essentials”のダウンロードは、下記のマイクロソフト公式サイトから実施できる。

Security Essential https://www.microsoft.com/ja-JP/download/details.aspx?id=5201

2020年1月以降、マイクロソフト社の無償電話サポートは受けられない

本来であれば、マイクロソフト社サポート対象のwindows OSやoffice製品であれば、下記のリンクよりマイクロソフト社の無償サポートを受けることができる。

マイクロソフト Windows 製品および Office 製品の無償サポート
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/875330

だが、Windows7は2020年1月にマイクロソフト社のサポートが切れてしまい、windows xpやwindows vistaはとっくの昔にサポート期限切れなので、セキュリティエッセンシャルズについてはマイクロソフト社に問い合わせても、回答して貰えない。
詳細は、下記のマイクロソフト公式サイト↓を参照のこと。


Windows 7 のサポートは 2020 年 1 月 14 日で終了しました
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/17150/windows-7-what-is-microsoft-security-essentials

Windows10を含むWindows8以上のOSと、サーバOS(windows server 2008以上)は、”Security Essentials”をインストールすることが想定されていないので、残念ながら元々サポート対象外。
Windows10 OSには「Windows Defender」と呼ばれるセキュリティ対策ソフトがOSに標準で備わっている(=インストール不要)ので、そちらを利用してあげてほしい。

無料セキュリティソフト”Microsoft Security Essentials”の説明

“Security Essentials”を和訳(意訳?)すると、「必要不可欠な防御」という意味になる。その名の通り、パソコン保護のための基本的な保護・防御機能を備えているソフトウェア。
ソフトのインストールもウイルス定義ファイルの更新も無料。

インストールできるOSの種類

現在インストール出来るのは、OSがWindows7のパソコンのみ。Windows8やWindows10には「Windows Defender」という機能が備わっているので、Security Essentialsを使用する必要がない。Windows Server 2012などのサーバOSは対象外。

windows XPは2014年4月に、Vistaは2017年4月に、マイクロソフト社のサポート期限が切れており、セキュリティエッセンシャルズはインストールできない。むしろ、OSがサポート切れ(=保護されない)なのにセキュリティソフトだけを最新にしても、システムを保護する効果は限定的。

サポート切れのOSやソフトをインターネットに接続できる状態で使い続けると、第三者から攻撃を受け損害を被るなど危険が伴うので、使用をやめるか、LANケーブルを抜きwifiをオフにして一切インターネットを使わない状態を保つか、OSのバージョンアップをした方が良い。詳細は、下記公式サイトより確認。

マイクロソフト:Windows Vista のサポートは終了しました
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/22882/windows-vista-end-of-support

サポート切れのOSを使い続け、それが原因でトラブルや被害をこうむっても、ベンダー(マイクロソフト)は助けてくれない。元セキュリティ技術者で現サーバエンジニアの人間としても、「自業自得…」と冷ややかに思うだけで、自分の仕事を増やされたくないので、基本的に仲のいい人しか助けない(笑)

その他の特徴

日本語をはじめ、英語・フランス語・ドイツ語・中国語・韓国語など多言語に対応している。

ネットブックなどCPUやメモリのスペックの低いパソコンにおいても動作するよう開発されているため、普通程度のスペックのノートパソコンやデスクトップ型パソコンであれば、動作の遅延を感じることが少ない。
(但し、ご自身のパソコンに搭載されているCPUやメモリのサイズや質にも依存する。少なくとも、Windows7/メモリ4GB/CPU 1.6Ghz×2個という、低スペックなパソコンでも、動作の遅さは感じなかった)

Security Essentialsは、10年程前まで定価4,000円程で販売されていた、「One Care」↓というセキュリティソフトが元になっている。パソコンに感染するウィルスが海外を中心に暗躍しているため、マイクロソフト社が有償販売していたセキュリティソフトの無償配布に踏み切ったという経緯がある。

“Microsoft Security Essentials”を使用した感想

丁度「One Care」から「Security Essentials」に切り替わった頃にマイクロソフト社でアルバイトしていたので、この無料ソフトが人口に膾炙しながら生き延びているのが感慨深い。「One Care」の販売最終日に、「One Care」の販促物などこまごまとしたものをリーダーと一緒に片付けたことを、不思議とまだ覚えている。

「One Care」はさほど日の目を見なかったが、後継の「Security Essentials」が頑張ってくれたので、良かったなと思っている。

高い信頼性

セキュリティソフトをどれにしようか迷われているのであれば、有償ソフトを購入される前に、セキュリティエッセンシャルズを試して頂ければと思う。

セキュリティエッセンシャルズを使い始めて早10年が経過し、その間にパソコンのハードウェアを変えたり、OSを変えたり、アプリを入れ変えたり、クラウドを利用開始したりしたが、今のところ一度もマルウェア(ウイルス・ワーム)に罹っていない。

IT技術者として常駐した勤務先(その分野で世界第x位の外資系企業)が、パソコン80台にセキュリティエッセンシャルズを導入し、1年程窓口でサポートを担当したことがあったが、「ウイルスを見逃した」等の酷い報告は上がって来た覚えがない。
「動作が遅い気がする」と言われたことは1~2回あった気がするが、「Security Essentials」が原因と確定したことはなかった。

支障なく安心して何年も使い続けていられるところは、さすがは大御所マイクロソフトといったところだろうか。マイクロソフト社製品は、値段が高い分それなりに製品仕様のしっかりしたものが多いので、「One Care」の時代に市場に価値を認められなかったのは、少し残念だったと思う。

マイクロソフトの有償ソフトウェアについては、Word/Excel/PowerPoint/Access/Outlook/OneNote/Visio/Project/Sharepoint/Lync と今までそれなりの数操作してきたが、市場に出回ってから製品に不具合が頻発するなどの致命的なトラブルは、今まで耳にしたことがない。ちょっと空気を読まないところのある会社なので、VistaやWindows8など、「使えるけど使いにくい!」と思う製品は、時々出てくるが(笑)
Security Essentialsも10年生き延びたソフトだし、10年の間に十分改良されてきたのだろうと思う。(IT用語で言うところの「枯れている」状態)

そういえば、アルバイトとしてマイクロソフト社の手先になっていた時も、社外に提示する販促用資料は全て氏名等のマスキング処理(=氏名等を黒く塗り潰した状態にする)が求められるなど、マイクロソフト社は個人情報保護や情報漏洩に昔からやたらとうるさかった
Windows XPやOffice 2003の頃はそうでもなかったが、Windows Vistaあたりからセキュリティや情報保護にうるさくなり始め、ユーザにもセキュリティ意識を押しつけつつ、エンドユーザからすると過剰なほどパソコンの保護機能を充実させてきた。

なので未だに、「マイクロソフトはセキュリティにうるさい会社」というイメージが物凄くある(笑) これほどセキュリティを重視する会社なのだから、その会社が出してくるセキュリティソフトは当然一定の品質を保ったまともなものだろう、と思っている。

必要な機能が一通り備わっている

幸か不幸か元セキュリティ技術者なので、McAfee VirusScan EnterpriseやSymantec Endpoint ProtectionやNortonウイルスバスターやE-SETやyaraiなど、仕事で他社製の有償セキュリティソフトを扱う機会も多かった。
だが、プライベートパソコンでセキュリティソフトを使うのであれば、機能的にはセキュリティエッセンシャルズで十分

プライベートパソコンでよく使う機能は、フルスキャン・クイックスキャン・リアルタイムスキャンの3点セットに、各種除外設定とCPU利用率制限とログ確認、くらいだろうか。

ログの保存機能は充実していないように思うが、それ以外は基本的な機能が一通り揃っている。フルスキャン時にCPU使用率の割合を変えることもできるし、除外設定機能(スキャンしたくないファイル・フォルダをスキャン対象から外す)など、個人ユーザはさほど使わないだろうと思う機能も網羅されている。

マイクロソフト社の無料セキュリティソフト「セキュリティエッセンシャルズ」の設定画面。リアルタイム保護の設定が表示されている。

↑ リアルタイムスキャンを有効にする画面

マイクロソフト社の無料セキュリティソフト「セキュリティエッセンシャルズ」の設定画面。除外設定が表示されている。

↑ 除外設定を有効にする画面

マイクロソフト社の無料セキュリティソフト「セキュリティエッセンシャルズ」の設定画面。フルスキャン時のCPU使用率制限を設定する画面が表示されている。

フルスキャン時のCPU使用率制限を設定する画面

ウイルス定義ファイルは自動更新・手動更新とも可能で、McAfee VirusScanと同様、最新の定義ファイルだけをexe形式でダウンロードすることも可能。これができないと、マルウェア感染したパソコンをネットワークから切り離した後、ウイルス定義ファイルをUSBメモリ等でパソコンに入れることができない。

マルウェアに感染したら、LANケーブルは即抜かないと被害が拡大する恐れがあるので、有線LAN経由でインターネットからウイルス定義ファイルを取得・更新することができなくなる。無線LAN(wifi)経由も、勿論NG。

マルウェアの検知と駆除のために実行するフルスキャンは、その時点で最新の定義ファイルを使わないと意味がないので、無償配布ソフトでもこうしたいざという時の機能を抜かりなく付けているところは、さすがだと思う。

動作が軽い

低スペックパソコンでも動作するので、パソコンを選ばずインストール出来る。フルスキャンもウイルス定義ファイルの更新も、McAfeeやSymantecの有償製品と比べて早い。

特にウィルス定義ファイルは、どのベンダーのものも重い。サイズが大きい。 1世代分(1日分)が1MB程度で、フルで入れようとすると100MB越えが当たり前なので、通信速度が遅かった時代は、ウイルス定義ファイルの入手や配布に苦労した(笑)
ある常駐先で定義ファイルを含むセキュリティソフトを一斉配布した際、あまりのデータの重さにネットワーク障害が起きそうになり、先輩技術者と2人して青ざめたのは未だに忘れられない。

定義ファイルの更新は数時間~24時間の頻度で行うのが普通なので、それなりに重いデータが頻繁に、自宅や企業等の細く低速な末端ネットワークを行き来することになる。最近は無線LANという、更に低速で不安定なネットワークを使ってウイルス定義ファイルを更新することもあるので、定義ファイルのサイズも動作も軽くて済むなら、それに越したことはない。

有償ソフトと比較して軽い分、ネット上ではマルウェア検知率の低さが問題となっているようだが、Symantecの有償セキュリティソフトでパソコンのフルスキャンを掛けると、Cookie等の重要性の低いものもちらほら検知されるので、マルウェア検知率テスト時の検知対象がどこまでの範囲だったのかが気になるところだ。
ぶっちゃけCookieが1つ検知されないくらいなら、パソコンの保護の面ではほぼ問題ないが、周囲に与える被害が甚大なマルウェアは、確実に検知されて欲しいと思う。

有償セキュリティソフトにあって”Microsoft Security Essentials”にない機能

私が知識と経験を有しており詳しく語れるのは、半年間朝から夜更けまで2万台以上をサポートしたMcAfee Virusscan Enterpriseが一番で、2番目が仕事で足かけ6年使ったSymantec Enpoint Potection。
この2つの有償セキュリティソフトに付いており、「Security Essentialsには付いてないなあ…」と感じた機能があったので、メモ。

ログの表示・保存機能

これは是非とも欲しい(笑) ログとは、システムが何時何分何秒に何をどのように対処したか、システムの振る舞いを記録しているファイル。特に、ウイルス定義ファイルの更新履歴はログに残し、数クリックで簡単に表示できるようにしておきたい。

定義ファイルの定期更新はセキュリティソフトのシステム保護の要なので、毎日ちゃんと更新出来ているか、いつから更新できなくなったか等を把握し、トラブル解決に結び付けたい。

手厚いサポート

ウイルスに感染した際、サポートの手厚さが明暗を分けることがある。感染が見つかったらどうすればいいのか、データの復旧は出来そうか、感染原因は何だったのか等々、サポートがあれば電話問合せで済むところが、無償ソフトだと、ある程度まで自分で調査・復旧しないといけないだろう。

以前、McAfee社の電話サポート・メールサポートをよく使わせて頂いたが、その製品に非常に詳しい人と常に電話やメールが繋がるというのは、言葉以上の安心感と有難みがあった。

ファイアウォール

McAfee Virusscan enterpriseには、HIPSと呼ばれるファイアウォールに似た侵入防御の機能が付いていた。が、windowsにはOS側にファイアウォールの機能が付いているので、こちらを有効にすればokではないかと思う。両者の機能の違いは把握していない。

ウイルス定義ファイルの配布元となるサーバを登録する機能

大企業向けの機能なので、無くて正解だとは思う。
規模の大きな企業では、セキュリティソフトをインストール・更新するパソコンだけでも1万台に上るのが普通なので、通常は自社で専用のサーバを数台用意し、各パソコンはインターネット上ではなくそのサーバにウイルス定義ファイル等を取得しに行くよう設定される。

だが、ウイルス定義ファイル専用のサーバを配置しないといけないほどパソコン台数の多いご家庭は、さすがにないはず(笑)

Windows7パソコンでも、2023年まではウイルス定義ファイル更新可能

軽くて快適で使い勝手の良かったWindows7が、2020年1月についにサポートエンドを迎えてしまった。Windows7がサポートエンドになれば、Security Essentialsが公式に稼働できるOSはゼロになる。Security Essentialsもついに命尽きるのか…と思っていたら、マイクロソフト社が思わぬ延命措置(?)を施してくれた。

詳細はマイクロソフト公式のWebページ↓を参照頂ければと思うが、2023年まで、Security Essentialsのウイルス定義ファイルを無償提供してくれるらしい。しかも、セキュリティソフトの本体部分である、エンジンの更新も込みで。大御所、太っ腹すぎる…。


Microsoft Security Essentials の概要
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/17150/windows-7-what-is-microsoft-security-essentials

OSのサポートが切れている以上、パソコンの保護は不完全だ。不完全だが、OSサポ切れで最新のウイルス定義もないよりは、全然いい。

特にプライベート用としてWindows7を使っている利用者には、「サポート切れなんてどうでもいい。インターネットが見れて、メールとExcelが使えたらそれでいいよ」というユーザも多い。
そうしたユーザがこれから先しばらく快適なWindows7を使い続けることを考えると、不完全であるにせよ、パソコンがウイルス等から保護されるのであれば、それに越したことはないと思う。

あと3年間、限定的だがSecurity Essentialsが生き延びることができるようなので、個人的にはとても嬉しい。エンドユーザへの配慮ある対応といい、ちょっと感動した。

ただ、システムエンジニア的には、OSがサポート切れしている時点でアウトなので、仕事や業務で使うパソコンでWindows7を使い続けるのは決しておすすめしない。

セキュリティソフトを使用する上での注意事項

1台のパソコンにインストールできるセキュリティソフトは1つだけ

セキュリティソフトは、1台のパソコンに2種類同時に入れておくことができない。もし2つ同時に入れてしまった場合、パソコン全体の動作が不安定になるなど、予期せぬトラブルが生じる恐れがある。
パソコンに既に別のセキュリティソフトが入っている場合は、先にそのセキュリティソフトを削除(アンインストール)した後に、改めて新しいセキュリティソフトを入れてあげて欲しい。

ウイルス定義ファイルは24時間か、24時間より短い頻度で更新する

セキュリティソフトは、インストールして終わりのソフトではない。どんな高価なセキュリティソフトでも、ウイルス定義ファイルの更新等の基本的なメンテナンスをしていなければ、そのソフトが本来持っている性能を発揮することができない

ウイルス定義ファイルは、パターンファイルとも呼ばれ、どれがウイルスでどれがウイルスでないかを識別するために、様々なウイルスの特徴(パターン)を記録しているファイル。セキュリティソフトはこのウイルス定義ファイルを用いてウイルスかどうかを識別し、ウイルスであれば発見次第、削除したり安全な場所に隔離するなどの処置を施している。

セキュリティソフトを更新せず、ウイルス定義ファイル等が何ヶ月も前のものだった場合、その定義ファイルには新しく発見されたウイルスの特徴が登録されていないため、新種のウイルスがパソコン内に侵入してもセキュリティソフトが検知出来ず、ウイルスに感染してしまう。
ウイルスに感染したが最後、パソコンは攻撃者に都合の良いように操られてしまい、クレジットカードの番号や銀行の暗証番号が盗まれたり、他のパソコンを攻撃するのに加担させられてしまったりする。

ここまで、説明を分かりやすくするため「ウイルス」と呼んできたが、セキュリティ技術者はパソコンやサーバなどを攻撃してくるものを「ウイルス」とは呼ばず、「マルウェア」と呼んでいる。
マルウェアには、ウイルスの他に「ワーム」(英語では「worm」。いも虫などの足の短い虫を指す言葉)と呼ばれる、ネットワーク網を自発的に動き、次から次へとパソコンやサーバに感染していくタイプのものも含まれる。

ワームには、たった数日間で全世界に爆発的に広がった事例が過去にいくつかあり、ウイルス定義ファイルの更新が僅か1日遅れただけで、命取りになりかねない。

McAfeeなどセキュリティソフトを販売している企業は、1日1回新しいウイルス定義ファイルを公開しているが、爆発的に広がるワームが台頭した場合、翌日の定義ファイル公開を待たずに、その日のうちにそのワームを検知するための定義ファイルを公開し、至急パソコンやサーバの定義ファイルを更新するようユーザに呼びかける。
それくらい、火急に対応を要することがあり得るのだと、想定しておいて欲しい。

ウイルス定義ファイル等の定期更新は、パソコンを守るための基本であり、要でもある。このことを記憶の片隅に留め、セキュリティソフトの定期更新をオフにしたりせず、億劫がらずに更新して頂けると、元セキュリティ技術者としてはとても嬉しい。

何故セキュリティソフトがパソコンに必要か

ITの仕事に従事されている方でも、セキュリティソフトがパソコンやサーバになぜ必要なのかを理解されておらず、業務中に眩暈を感じることがある。

セキュリティソフトを入れると、ソフトはパソコンの中で常駐(PC起動後からPCをシャットダウンするまでずっと動作している)するので、CPUやメモリなどパソコン内のリソースを使ってしまい、パソコン全体の動作は少し遅くなる。(=セキュリティソフトを入れない方が、パソコンの動作は早い)

どうしてそこまでして、セキュリティソフトを入れないといけないのだろうか?
その答えは、「第三者から攻撃を受けるから」。

ご自分のパソコンに何のセキュリティ対策も施さずインターネットを利用している方は、自宅の窓と戸を24時間開け放したまま住み続けているのと同じで、大都会のど真ん中に住むいい年した大人が「どうして家に鍵を取りつける必要があるの?」と真顔で訊いているのと同じ、と考えて頂ければ分かりやすい。

昨今はパソコンもサーバも、インターネットに接続して使うことが圧倒的に多い。意識する・しないに関わらず、パソコンの電源が入っていると、LANケーブルを抜き無線LANを無効にしない限り、24時間365日世界中のパソコンと繋がっている。
パソコンを扱う世界中の人が一人残らず善良で、他人に害をなそうという意志がないなら、セキュリティソフトは要らないかもしれない。

だが実際は、インターネット上に飛び交うメールの約9割がスパムメール(受信者の意向を無視して勝手に送り付けられるメール)で、ウイルスやマルウェアを勝手に送り付けられパソコンから個人情報やクレジットカードの情報を盗み出される、といった事例は後を絶たない。
過去の事例ではSONYの様に大きな企業でさえ、情報漏洩の魔の手から逃れることはできなかった。

しかも高いITスキルを持った攻撃者は、他人のパソコンを遠隔操作ロボットのように操ることができるので、自分のパソコンが勝手に他人のロボットにされ、別のパソコン攻撃するのに加担させられる可能性もある。
にも関わらず、インターネット上の犯罪について、日本の高齢の政治家の反応は鈍く、法整備が毎度毎度後手に回っているのが現状。

最低限、自分にできる範囲でお使いのパソコンを守るために、パソコンにはセキュリティソフトを入れてからご利用下さい。