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人物クロッキーにファッション雑誌・ヘアカタログ雑誌を使う

ファッション雑誌やヘアカタログ雑誌を、人物クロッキーの教材として使うことがある。

着衣の人物のクロッキー練習(ファッション雑誌「LEON」)

「LEON」は、30代後半~50代くらいの男性をターゲットにしたファッショナブルなモテるオヤジの作り方を提案する月刊誌。雑誌自体は美術やデッサンとは関係ないが、人物クロッキー(早描き)の練習として、こちらの雑誌を使っている。

今までに3つの絵画教室に通う機会があったが、絵画教室でデッサンを習っていても、人物をモチーフに絵を描く機会はあまり多くなかった。
定期的に人をモデルとして描く機会を設けていたのは3つの絵画教室うちの1つだけで、週1回有志が集まり、描き手が交代で着衣モデルを務める形で運営されていた。参加は任意。それでも、プロのモデルを雇ってのクロッキーやデッサン会は、年に数える程だったように思う。
特に、スタイリッシュでハンサムな男性をモデルに、となるとモデル代もかかるし、教室が教室ではなくなってしまいそうな予感さえする(笑)

こうしたファッション雑誌を使うと、好きな時間にスタイリッシュな大人の男性を存分に描けるので、人物クロッキーの練習としては良い教材だと思っている。

ファッション雑誌は「LEON」にこだわらず、「MEN’S NONNO」でも「FINEBOYS」でもお好きな雑誌で大丈夫。女性ファッション誌でも勿論構わない。単に「LEON」は掲載されているファッションが自分の好みに近く、かつ女性モデルが描きたくなるほど優雅なので、私に適していた。

最近発刊された雑誌ではなく数年前に発刊されたものを使われる方が、図書館や古本屋で安く手に入るので経済的。冬物・夏物・春秋物の3冊くらいを、常時利用できる手元に置いておくと、描きたい時にすぐに取り掛かれるので楽ちん。

ただ、雑誌のままだと重かったり、開いてもすぐ本が閉じてしまったりして使いにくいので、100〜200円くらいの古本で購入して、必要なページを切り取って使っていた。今ならスマホがあるので、描きたいページを写真に撮ったり、スキャンしてタブレット等で使っても便利だと思う。

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人物の頭部の練習(ヘアカタログ雑誌)

ヘアカタログ雑誌も1~2冊手元にあると、いつでも人物の頭部のクロッキーが描けるので便利。

ヘアカタログ雑誌は、1つのヘアアレンジに対し「正面」「横」「真後ろ」の3枚の写真が掲載されていることが多い。写真が複数掲載されていると、1人の人物を様々な角度から描くことができるようになる。
(ついでに、描いて覚えたヘアアレンジを実生活にも役立てると、一石二鳥。笑)

こちらの雑誌も、古くて安いもので構わない。図書館で借りてスキャンしてもいいし、気に入ったものを古本で購入してもok。私は後者で入手した。

男性用・女性用でそれぞれ1冊あると便利。髪型だけでなく、髪の1本1本にまでこだわって細密画に近い描き方をされたい場合は、黒髪より茶髪・金髪に近い髪色のヘアアレンジが多い雑誌を選ばれた方が、髪の質感や髪の流れる方向までつかむことができると思う。

掲載されている写真の大きい雑誌の方が、使いやすい。ヘアアレンジの種類がたくさん掲載されている本は、1枚あたりの写真が小さすぎる場合もあるのでご注意を。

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余談 ~クロッキーの紙について~

クロッキーの紙は、クロッキー帳を購入して描いても構わないが、プライベートで描くならコピー用紙で十分だと思う。自分が描き続けやすい環境を整えておくのは大事だが、クロッキーは何処まで行っても練習なので、紙やペンにはあまりこだわらずに、やる気と時間の許す限り描いていた。

→ 描き終わったクロッキーの保存方法については、こちら
→ 描きすぎると腕が腱鞘炎になり痛むが、それでもまだ描きたい時は、こちら
→ クロッキー帳について詳しく知りたい場合は、こちら

「やさしい顔と手の描き方(drawing head and hands)」 A・ルーミス (著)

人物画の頭部と手を、より肉感的に、リアリティを込めて描きたい方におすすめ。

「やさしい顔と手の描き方」の説明

人物デッサンの中でも特にデッサン力の要求される頭部と手のデッサンの手法について、集中的に取り上げている本

本書の著者であり、卓越した作画技術を持つ美術家でもあるルーミス氏は、前作「やさしい人物画–人体構造から表現方法まで」でも頭部や手の作画を含めた質の高い講義を疲労して下さったが、今回の本は頭部と手についてのみ深く掘り下げ、バランスのとり方や描画のポイントを説明下さっている。

「やさしい人物画」同様、こちらの書籍にも日本人モデルは描かれておらず、西洋風モデルの人物デッサンのみが掲載されている。

マール社出版。定価1800円。
1977年初版発行、1995年第40刷発行。

「やさしい顔と手の描き方」を読んだ感想

前作「やさしい人物画–人体構造から表現方法まで」が良本だったので、前作を読んだあと、こちらの本も購入した。

前作でもそうだったが、ルーミス氏は著作の中で美術家の心構えやデッサンに取り組む際の考え方に言及して下さっている点が嬉しい。

今回の「やさしい顔と手の描き方」の冒頭でも、「なぜ頭部を描きたいのか」について、自分の中を深く見つめ返してみるよう示唆される。
頭部や手は、骨格や筋肉が複雑に入り組んでいるため、(ピカソとレンブラントを除く)殆どの方は上達までに長い忍耐と努力を必要とする部位でもある。自分の中にある「何故描きたいのか」という理由に気付き、折に触れその理由を思い返すことが、上達に近づく秘訣なのだろう。

頭部に関してはとにかく全体のバランスと骨格を重視し、目鼻などのパーツを頭部に組み立てる技術が大事のようなので、作中のモデル画を模写しつつ、じっくり腰を据えて身につけていこうと思っている。

正直なところ、ルーミス氏ほど正確で美しい人体デッサンを描ける方は少ないと思っているので、当面の間、ルーミス氏の指導に一字一句従ってみるつもりだ。

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「人体デッサン」(視覚デザイン研究所) 感想文など

古今東西の先達芸術家のデッサンを見比べながら、人体デッサンの基礎を学ぶ本だった。

「人体デッサン」の説明

人物デッサンの描き方を指導する本だが、著名な画家の人物クロッキー(ラフスケッチ)が多数掲載されている。

ざっと例を挙げると、ミケランジェロ、ルノワール、レオナルド・ダ・ヴィンチ、クリムト、ドガ、ルーベンス、ドーミエ、黒田清輝、岸田劉生などなど。
ページを開くと、殆どどのページにも、こうした古典的大家のラフスケッチが掲載されている。1つ1つの絵は小さいものが多いが、1ページに数枚ずつという、多数の絵が掲載されている。

また、人体をより正確に描くために押さえておくべきコツが、「全身画」と「身体の部位」の大きく2章に分けて解説されている。

視覚デザイン研究所編集。定価2000円。
2008年で第27刷。

「人体デッサン」を読んだ感想

人物画のデッサン力を向上させるべく、図書館で人物画デッサンの本を端から順に借りてきて読んでいた時期があるが、その際デッサンとクロッキーの実例が豊富で、図書館本を返却後購入に踏み切った本がこの本だ。

ルノワールなど芸術の大家について、完成した作品は見ることがあっても、構想段階の下書きやラフ画、走り書きのクロッキーは、普段あまり目にする機会がない。この書籍は、人物画の習作段階のスケッチが、1ページに1~10点ずつ掲載されている。

掲載されている作家の数も、軽く20人を超える。これほど多様な作家のクロッキーをまとめて眺めていると、作家ごとの力量や描き方の癖などがよく分かる。

例えばミケランジェロは、習作とは思えないほど精緻で完成度の高いクロッキーを描いていたようだ。伏し目がちな瞳や、頬や鼻筋に落ちる影の細やかさを見ていると、習作にしておくのが勿体ないくらいの絵だった。

反面ルノワールやクリムトは、あまり正確とは言えないデッサンも見受けられ、まだ未熟な読み手は非常に勇気づけられた(笑) レオナルド・ダ・ヴィンチは非常に絵が上手い印象があったのだが、人物画の習作を見ると上手なものとそうではないものが入り混じっているなど、面白い発見があった。

技法に関しても、数多く言及されている。私が特に重宝しているのは身体の部位ごとに作画のポイントを述べた章
頭部なら頭部の作画ポイントが説明されたあと、古今東西の頭部デッサン・作品を見比べながら、自分の作画方法をチェックすることができるよう、ページに工夫が凝らされていた。

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「やさしい人物画–人体構造から表現方法まで」(A・ルーミス(著)) 感想文など

多少の骨折りと時間を割いてでも、リアリティのある人物画を描きたい方におすすめの本。

「やさしい人物画」の説明

美術で食べていけるかどうかで悩んでいる、若い美術家のために書かれた本。

仕事としての美術の考え方、人物のプロポーションやバランスの良い組み立て方、骨や筋肉は人体のどのような場所にどう存在し人体の外側から見るとどう見えるか、人体に光を当てた時の陰影のでき方、いきいきと動きのある人物を描くにはどうしたらいいか、手や頭部などの細部はどのように描けば良いかなど、人物画を描くための基本と考え方が、50枚を軽く超える人物デッサン・人物クロッキーとともに描かれている。

掲載されている人物デッサンに日本人のモデルはおらず、西欧の顔立ち・体つきをされたモデルしかいない。頭部のみのデッサンや着衣のデッサンも掲載されているが、数が少ないため、デッサンの基本である裸体像を正確に描くコツをつかむための本という位置付けの本だと思う。

1976/12、マール社出版。第87刷。
全198ページ。1944円(税込)。

「やさしい人物画」を読んだ感想

1章・2章・3章が、この本で最も重要な章だと感じた。1章が全身の捉え方や動き・パース、2章が骨と筋肉、3章が陰影についてまとめられている。

この3つの章は、初めて人物画に取り組まれる方には、とっつきにくく感じるかもしれない。人体を八頭身に分け「上から三頭身目がへそで、四頭身目が股」などのプロモーションから、身体の表面に表れる骨や肉づき、骨格の動きなど、人体を観察し現れる事実を細かく把握し、覚えるべき事柄の多い章が続くからである。
だが、これらの章にどこまで真面目に取り組めるかが、今後の人物画のクオリティが決まるように感じている。

「紙を用意して写してみなさい」と著者が檄を飛ばしているように、眺めるだけでマスターできるような本ではないことは確かだ。何度も骨格や筋肉やデッサンを真似して描いてみて、手で頭で繰り返し「身につけていく」タイプの本だ。

そして掲載されている著者の鉛筆画が、肉感的なのに精緻で美しいところもお気に入り。プロポーションなどの人体の比率が細部に至るまで正確で、人間の全体のバランスが取れているのに、全身の輪郭を作り出している線や皮膚の陰の塗り方などから、女性の持つ柔らかさや色気を感じる。

2007年6月時点で第87刷というちょっとびっくりするような増刷回数も、この書籍の技術力の高さと内容の濃さを考えると、特に何の違和感もない。

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鉛筆画:手の素描 rough sketch of hands ver.2 drawn by pencil

ワインボトルを持つ手、目薬を持つ手、固く握った手などを白いコピー用紙に鉛筆のみで隙間なく描いた画像。ラフスケッチ。

モチーフ 手、その他不明
使用画材 コピー用紙、鉛筆(メーカー不明)
製作場所 不明(絵画教室以外)
完成日 2010/09/25

落書きファイルの記事を以前描いたが、その中から数枚を抜粋しスキャンしてブログ記事にアップしてみた。

鉛筆画:手の素描 rough sketch of hands ver.1 drawn with pencil

棒を持った手、缶を持った手、力を抜いた手など、5通りのポーズを取った手(手首から先の手)を白いコピー用紙に鉛筆で隙間なくスケッチした絵。描かれいてる手はどれも贅肉が少なく骨ばっており、指が細い

モチーフ 手、その他不明
使用画材 コピー用紙、鉛筆(メーカー不明)
製作場所 不明(絵画教室以外)
完成日 2010/09/25

落書きファイルの記事を以前描いたが、その中から数枚を抜粋しスキャンしてブログ記事にアップしてみた。

肖像画など顔を描くのはあまり好まないが、手足や胴周りなどの人間の身体を構成している部品は、形も仕組みも良く出来ており面白いので、絵のモチーフとしても時々描く。人体デッサンは数あるデッサンの中でも最難関なので、やる気のある方のみおすすめする。
手足のデッサンとは言え、石膏の多面体や単体デッサンと描き方は同じなので、単体デッサンのスキルを積み重ねることが人体デッサンのスキルの向上にも繋がる。単体デッサンがある程度描ける人は、人体デッサンを描かせても上手だ。そして逆もまたしかり。

「やさしい人物画」(A・ルーミス著)という人物デッサンの技法書によると、人体を描く際、筋肉や骨などの構成は頭に入れておいた方が良いそうだ。私も、この本に載っていた筋肉と骨の絵を2~3度スケッチした後この絵を描いた。が、残念ながら記憶力の悪い人間なので、どこにどの筋肉がいくつついているか等はすぐに忘れてしまう。人物画は専門でもないが、時々は筋肉のスケッチなどを復習して覚えなおしたほうが良さそうだ…。