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データベーススペシャリスト試験 2018年春・2019年春 試験当日の注意事項・会場の様子など

データベースペシャリスト試験の試験当日の様子や、試験前にやっておいて良かったことを記載。筆者は2018年春・2019年春に受験。

平成30年度春期のデータベーススペシャリスト試験の問題冊子を撮影した写真

↑ データベーススペシャリスト試験 問題冊子

「前もってやっておいたら良かった…」と後悔したこと

前年の秋期試験で午前1の免除をゲットしておく

データベーススペシャリスト等の高度情報処理技術者試験は、午前1の試験を免除する制度が用意されている。
応用情報処理試験に合格、もしくは、高度情報処理技術者試験の午前1で基準点(60点)以上の得点を得ると、デーダベーススペシャリスト試験の午前1試験が2年間免除される。

例えば、2018年の秋にネットワークスペシャリストを受験し、午前1試験を60点以上得点すると、翌年の春・翌年の秋・翌々年の春・翌々年の秋と計4回免除を受けられる。
免除となる対象は、高度情報処理技術者試験であれば、どの試験でも構わないらしい。

詳細は下記の公式サイト参照↓

情報処理技術者試験の高度試験、情報処理安全確保支援士試験の一部(午前Ⅰ試験)免除制度
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_00topic/koudo_menjo.html

高度情報処理技術者の午前1試験は、試験範囲がとにかく広い。数学の基礎理論に始まり、セキュリティ・ネットワーク・運用管理・企業経営・法務まで、実務で使ったことのない知識や用語をこれでもかと問われる。難易度も、応用情報処理技術者試験と同じくらい。つまり、手を抜いてかかると返り討ちに遭うくらいには難しい。

午前2以降の試験はデーダベースに特化されているので、午前1免除を秋に得ることができれば、秋~冬~春の間はデータベースの対策のみに集中でき、試験勉強が相当楽になる。
(1回の試験代5700円を払って午前1免除を得るのが、高いか安いかは別として…)

ちなみに、午前1免除がゲットできれば、試験当日の拘束時間が短くなるというメリットも享受できる。
1日の拘束時間は計7時間20分から計6時間に短縮され、試験会場への集合時間が9時10分から10時30分に繰り下がるので、身体・頭脳共に負担が減らせる。
個人的な意見だが、試験当日の朝30分長く寝られるだけでも、午前1免除を受ける価値はあると思う(笑)

午後1の試験対策は十分に

午後1試験を、午後2の前哨戦と舐めてかかってはいけない。

午後1は、試験時間がとにかく短い。それなりにボリュームがあり頭も使う問題を2問も仕上げなければならないのに試験時間は90分しかなく、1問あたり45分しかかけられない。1問に120分をフルに使える午後2と比べて、明らかに時間の制約が大きい。

データベースの問題を解く「速さ」と「正確さ」を最も求められるのは、午後1だと思う。試験対策を行う際は、午後1にも十分時間を割いてあげてほしい。

しかも2018年春期試験は、午後2より午後1の方が難しかった(笑) 他の受験生に尋ねても同じ回答だったので、苦手分野に当たったわけではないと思う。

試験時間中に「試験に落ちた…」と感じた時は

必ず、午後2までの全ての試験を受けてあげて欲しい。

理由は、仮に今年の試験が不合格だったとしても、午後1・午後2がどれほど解けるかが分かれば、来年合格できるかどうかが分かるからだ。

2018年春季受験時、私は午後1が半分も解けなかったので、「落ちた…」と確信した。だがその直後に受験した午後2は、普段業務でよく使っている分野が出題されたこともあって、9割5分まで解答でき、うち自己採点で5割弱正答することができた。午後2試験の合格ラインは、正答率60%。そのため、「このまま頑張れば、来年は合格できる」と強く感じた。

この実感を持てれば、試験勉強の強力な下支えになる。長く辛い試験勉強を再開する上で、こうした「ゴールが近い」という感覚があるかないかは、努力を続けられるかどうかの分かれ目になる。

また、職場や就職活動の面接でも「不合格でしたが、午後2が50%弱正答できたので、来年は合格します」と答えられば、「不合格者」ではなく「あと少しで受かる人」とプラスに捉えて貰える。

試験中に感じる「落ちた…」という気持ちはそこそこに強い感情で、試験を中断して遊びに行きたい気持ちを思い出させる。なので試験当日は時間を終日を試験につぎ込むつもりで臨み、羽を伸ばすのは翌日から、と決めておくといいと思う。

会場が遠い

同じくデーダベースの試験として有名なOracle Masterが都市部ど真ん中で行われるのに対し、データベーススペシャリストを始めとする情報処理技術者試験は、大学のキャンパスなど都心から遠く離れた郊外が試験会場となることが多い。

応用情報処理技術者試験受験の際も僻地に飛ばされ、朝早く起きれるかどうか冷や汗をかいたものだが、DBスペシャリスト試験でも同じ目に遭った。

試験会場となった大学へは、都心から電車で50分。午前1の試験は9時半試験開始で、9時10分には試験会場に着席していなければならないので、徒歩移動の時間を含めて逆算すると、7時過ぎに起床し8時丁度には自宅を出なければならない..。

問題を解くことより何より、当日はこれが一番大変だった。

ちなみに応用情報処理技術者を取得して2年以内にDBスペシャリストを受験される方は、午前1の試験が免除になるので、+1時間ほど朝寝ができる。羨ましい。

試験会場までは迷いにくい

試験会場となる大学の最寄り駅を降りると、駅から大学までの道のりは情報処理技術者試験の受験者でいっぱいで、道に迷うこともなかった。
但し、駅から大学までは徒歩10分程度かかり、校内に入ってから更に7~8分かかった。(大学は校内が広い)

遅刻者多数

試験の説明が開始される9時10分ギリギリに試験会場に着席したが、9時10分を過ぎてからも入室される遅刻者が数多くいた。IT業界は早起き苦手な人多いんだな、と夜型な私はひと安心した。
9時10分から、試験官が試験の注意事項や問題文訂正の有無などを説明して下さるので、初受験の方は聞いておいた方がいい。

教室はガラガラ

私の席の前方には机8つ×4席の計32席が用意されていたが、着席していたのは4名だけ。午前1の試験が終わり午前2の試験が始まっても、空席が埋まることはなかった。

データベーススペシャリスト試験は合格率が14%くらいの試験だが、受験申込者数に対し受験者数が格段に少ないのだと気づいた。確かに、受験申込〆切が1ヶ月以上前と少し早いし、受験料もOracleMaster等のベンダー資格に比べひと桁違う安さなので、申込みだけ済ませて受験しない(できない)社会人の皆様が多いのだろう。(Oracle Master Silverは受験料22,000円弱、DBスペシャリスト試験は5,700円)

実際に受験者した数を母数に合格率を計算すれば、合格率は跳ね上がると思う。

受験者の15%が女性

データベーススペシャリストは、IT系国家資格の最高峰なので、女性は一桁パーセント未満しかいないかなと思っていたが、予想よりはるかに多かった。しかも、どの女性も堅実でしっかりとした顔つきの、見るからに頼れそうな女性ばかり。
同じく女性技術者の1人として、女性比率15%はとても嬉しく心強かった。

同じ年の1月にオラクルマスターのシルバーを受験した時には、試験会場に女性が1割前後だったように記憶している。ベンダー資格の試験会場では、オラクルマスターだけでなくさまざまな資格試験が同時に行われるので、一概にオラクルマスター=女性少ないとは言えないが、オラクルマスターブロンズ取得時も、オラクルマスターシルバー取得時も、会場に女性は少なかった。

オラクルマスターにも、近いうちに女性受験者が増える日がくるのかもしれない。

試験開始の20分前から説明が始まる

データベーススペシャリスト試験の受験表の裏面を正面から撮影した写真。白い紙に水色の文字でびっりしと文章が書かれている。

↑ データベーススペシャリスト試験の受験票(裏面)

午前1・午前2・午後1・午後2の全ての試験において、試験開始の20分前から、試験管による説明が始まる。お昼休憩を除き試験と試験の間の30分しか空いていないので、休憩は実質的に10分間しかないと心得ておいた方がいい。

道に溢れるほど受験者がいるので、10分休憩中はトイレが割と混む。トイレに行って戻ると10分休憩はほぼ終わっており、休憩時間に参考書をゆっくり眺める間はなかった。

試験会場の様子

試験会場は全体的に人が多く、トイレや階段などの共有スペースは人で溢れかえっていた。DBスペシャリストを含む高度情報処理技術者試験の行われる教室には、受験特有の緊張感も漂っていた。教室は清潔で、居心地はいい。

私は気管支喘息とハウスダストアレルギーの持病を有しているので、試験会場の清潔度合いと室内の空気の良し悪しが気にかかっていたが、不織布マスクなしで過ごせる程度には、掃除が行き届いていた。

建物の3〜6階が試験会場に割り当てられていた。各階に教室が10室ほどあり、どの教室も情報処理技術者試験の受験者で埋まっていた。中には、自分が一生受けることのないであろう「システム監査技術者」の会場もあり、どういった方が受験されているのかと見物気分で眺めることもでき、ちょっと面白かった。

昼食(お弁当)は持ち込み

各フロアとも階段付近に木製のベンチが並べられ、談笑したり軽食を食べたりできるスペースになっていたので、そちらでお弁当を頂いた。(ちなみに、応用情報処理技術者試験の受験会場では、校舎の外の芝生の上で昼食を食べることができた。春の陽気のお陰で、素晴らしい気分転換になった)

逆に、外食はまず間違いなくできないだろうと思われる。校舎の外に出るだけで7~8分かかるうえ、校舎内で開いている学食やカフェも見かけなかった。学内の自販機に自販機はたくさんあったが、どれも飲み物販売で、カロリーメイト等の食べ物販売の自販機は見かけなかった。

昼食は、事前に調達して外から持ち込まなければ、午後2の試験まで空腹でもたないと思う。
試験会場の最寄り駅にコンビニが併設されており、コンビニ内には列ができるほど、受験者がめいめい購入品を持って並んでいた。

昼休憩は1時間あるので、参考書を15分程度ゆっくり眺め、心を落ち着かせる時間が取れた。

途中退出者は少ない

情報処理技術者試験は、あらかじめ定められた時間帯であれば、試験を途中退室することができる。
だが実際には、途中退出する方は非常に少なく、2019年に受験した教室ではゼロ名だった。

データベーススペシャリスト試験は、難易度もさることながらボリュームも満点なので、途中退出できるほど時間が残らない…というのが多くの受験者の本音のようだ。

試験会場へ持参して良かったと思ったもの

鉛筆 2~3本

三菱鉛筆3本と金属製の鉛筆ホルダー2つと鉛筆キャップを撮影した写真。

↑ 鉛筆と鉛筆ホルダー

午前1・午前2の多肢選択式試験は、シャープペンシルより鉛筆がおすすめ。マークシート欄を塗り潰すのがシャープペンシルよりも早いので、考える時間をより長く確保できる。

システム世界に頭の先までどっぷり浸かった人間が、芯の丸まった鉛筆の良さを認識する機会は少ないが、この日ばかりは頼らざるを得ない(笑)

鉛筆を落とした場合のことも考えて、2~3本あると安心。金属製のキャップ(鉛筆ホルダー)をつけて持ち込めば、鞄や筆箱が汚れることもない。

髪留め(前髪の長い方のみ)

前髪の長い方は、髪留めがある方がいい。前髪の左右どちらかだけでも留めてしまえば、前髪が視界に垂れてこず試験に集中できる。

試験開始前から髪を留めておくと、試験監督にカンニングを疑われることも特になかった。以前別の試験で、試験監督に「髪留めをつけて受験しても構いませんか?」と申し出たことがあるが、その際も快諾頂けたので、意外と問題ないらしい。

傘 1本

2018年の試験当日は雨で、行きも帰りも雨が降った。
前述の通り試験会場は都心から遠く、最寄り駅から会場までは片道10分ほど歩くので、曇りや雨の日は傘は必須。

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応用情報処理技術者試験 文系が独学で一発合格した勉強法など

学部卒の文系女だが、数年前に応用情報処理試験に無事一発合格できた(午前問題81.25点。午後問題80点)ので、勉強方法をメモ。

応用情報処理技術者試験(平成24年度秋期)のwebサイトで成績照会し、合格と午前問題・午後問題の得点を表示した画像。午前問題のマネジメント系が満点

応用情報処理技術者とは

IT分野の国家資格。技術者(=システムエンジニア)向けの3つの国家資格の中で、2番目に難しい試験。(基本情報処理技術者 < 応用情報処理技術者 < 各種高度試験 の順に、難易度と専門性が上がる)

求める人物像は、システムの分野のプロフェッショナルになるために、応用的知識・技能を身に付けている人。

年齢・性別・職種などの制限はなく、どなたでも受験可能。10歳以下のお子さんからから70歳過ぎのおじいちゃんまでどんと来い。
実際のところは、システムを作る人(プログラマーなどの開発者やアーキテクトなど設計者)・システムを運用する人(テクニカルサポートやサーバエンジニアなどの作業者)・システムを導入する人(ITコンサルタントなど)・研究者などが多めで、営業や人事総務などの人はちょっと少なめ。
性別は、特に統計等公開されていなかったが、感覚値では男性:女性=9:1という感じ。

 公式サイトに掲載されている統計情報 https://www.jitec.ipa.go.jp/1_07toukei/_index_toukei.html

試験開催日は、春期(4月第3日曜と秋期(10月第3日曜)の年2回。合格率は20%前後。

試験の構成は、午前問題と午後問題の大きく2つに分かれており、午前問題は4つの選択肢から正答を選ぶ4肢選択式が80問出題される。
午後問題は、記述・選択問題・計算問題が組み合わさった複合問題。午後問題は各分野から11問出題されるが、第1問(セキュリティ分野)のみ必須回答で、第2問から第11問までの残り11分野は、お好きな4問を選択して回答。ちなみに残りの11分野は、経営戦略・プログラミング・アーキテクチャ・ネットワーク・データベース・組込み系・システム開発・プロジェクトマネジメント・サービスマネジメント・システム監査。

詳細は、応用情報処理技術者試験 公式サイトへ。
 応用情報処理技術者試験 公式サイト http://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/ap.html

応用情報処理技術者試験の学習期間・使用テキスト

学習期間 3.5ヶ月
使用した教材 過去問(5年分)
午前問題対策用に「応用情報技術者 ポケット攻略本」
午後問題対策用に「応用情報技術者 午後問題の重点対策」

過去10年以上×年2回分の過去問と解説が公式サイトで無償公開されているので、使わない手はない。過去問は全てPDFファイルで、ダウンロードや印刷も可能。
まず見たいという方は、下記のリンクよりどうぞ。

公式サイト(過去問題) https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/_index_mondai.html  

応用情報処理技術者試験 午前問題の勉強法

学習期間 約1ヶ月
学習の概要
  1. 「応用情報処理技術者 ポケット攻略本」の書籍を一読する
  2. 直近の過去問を2回分(春・秋1回分ずつ)解く
  3. 過去問が70点前後取れるようになれば、午後問題対策に進む
    (取れなければ、手順1→2を繰り返す)

午前問題は、理解度の浅い方を振るい落とすためのいわゆる足切り試験なので、基本情報処理技術者試験を突破された方であれば、午前問題対策に力を入れる必要はない。私は、基本情報処理技術者を取得した翌月に、応用情報処理技術者試験午前問題の過去問を解いてみたところ、正答率約67%だった。(正答率60%以上で、応用情報処理技術者の午前問題は突破できる)

午前問題の試験対策に使用したのは、「応用情報技術者 ポケット攻略本」の書籍と過去問のみ。「ポケット攻略本」は馴染みのないIT専門用語に赤マーカーを引きながら1ヶ月ほどかけて仕事の合間に読み込み、本試験の直前に、マーカーを引いた用語だけ覚え直した。

午前問題は4肢選択式なので、10分~20分程度の隙間時間があれば、数問ずつでも解き進めることができる。私は過去問1回分を縮小印刷して通勤鞄に入れておき、通勤時間やお昼休みなど、仕事の合間の隙間時間を利用して解いた。過去問攻略が隙間時間でできた週の週末は、デッサンやクロスバイクでしっかり遊んだ(笑)

午前問題は、専門用語が多い。応用情報に合格した後に午前問題を眺めてみても、知らない用語が結構ある。私のように暗記力の弱い人間は、全て覚えようとしても無理なので、午前問題はそこそこにして早めに午後問題対策に進むこと。

 →「応用情報処理技術者 ポケット攻略本」の詳細については、こちら

応用情報処理技術者試験 午後問題の勉強法

学習期間 約2.5ヶ月
学習の概要
  1. 直近の過去問を解く(2~3回分)
  2. 「午後問題の重点対策」を必要な章だけ解く
  3. 「午後問題の重点対策」をもう一度解く
  4. 試験直前に、重要用語を暗記する

応用処理技術者試験の肝は、午後問題にあると思う。午後問題対策は、気合を入れてやった

午後問題の選択問題で、どの問題を選ぶか

私が受験した年は大問12問中6問を選択する試験だったが、現在はセキュリティ分野1問+大問11問中4問を選択する試験に変わっている。いずれにせよ、経営戦略からシステム監査まで出題の幅がそれなりに広いので、4問全て自信満々で解ける方は少ないはず。試験対策をしなくとも正答率60%以上取れる問題もあれば、30%しか取れない問題もあるなど、多少ばらつきがあるのが普通だと思う。

合格ラインまで得点を取れる分野を知るために、セキュリティ分野を除く大問11問のうち8~9問を選んで解き、答え合わせをした。

設問には、選択肢から回答を選ぶ選択問題と、計算して答える計算問題と、文章で書いて答える記述問題の3種類があるが、過去問を解いた後は必ず、

  • 選択問題は、正解(○)なら1点、不正解(×)なら0点
  • 計算問題は、正解(○)なら1点、不正解(×)なら0点
  • 記述問題は、模範解答とほぼ同じ(○)なら1点、模範回答の半分くらい(△)記述できていれば0.5点、的外れなことしか書けていない(×)なら0点

と点数を付けて採点し、大問1問あたりの合計得点を出した。
例えば、小問が10つ設けられている大問を解き、自己採点の結果が○○○○△△△×××となったら、その大問は10点中5.5点(正答率55%)になる。
過去問で正答率が40%を超えていたら、勉強次第でその分野は正答率60%を超えることができるので、勉強範囲に含めた。正答率が20~40%なら得意分野ではないと判断し、特に勉強せず、本番の午後問題でも選択しなかった。

現在は4分野選択なので、4分野をしっかり対策し、1分野を予備として対策、くらいに学習分野を絞り込めるといいと思う。

ポイントは、自己採点の時、点数を辛めにつけること。自分の点数を甘く付けたがるのははっきり言って自分だけで、本番試験時の採点者は自分より点数を辛く付けるはずなので、記述問題は全て×か△くらいの見積もりでいいと思う。

午後問題の勉強方法

基本的には「午後問題の重点対策」問題集の自分が選択した分野を解き進めるだけだが、「応用」情報と冠されている以上、知識を応用する力が問われているように思えてならない。暗記よりも理解に重点をおき、問題の解説をしっかり読み込んで理解するよう心掛けた。

解説を読んだだけで理解できなかった専門用語や仕組みは、インターネットで軽く調べ、IT用語の意味をより正確に捉えるとともに、そのIT用語が意味する技術や仕組みが生み出される一因となった背景や関連するエピソードなどもぼんやりと把握するよう心掛けた。IT門用語だけを暗記するより、IT用語とエピソードをセットにして把握する方が、押さえるべきポイントが明確になり、暗記しやすく、応用もしやすい。

また、あやふやな知識は、試験でも実務でも危険。思い込みで作業を進めてしまい、所属チームと客に損害を与えた事例を、過去にいくつも見てきた…。正確さの求められるITの世界では、一技術者の些細な思い込みや認識誤りが、数万人が利用するシステムのシステムトラブルに繋がることが普通にある。結果、企業名入りで謝罪文を送付する羽目になったり、顧客から損害賠償を求められたりと、被害は一個人では収まらない。
あやふやな知識は無意味と見做して、問題で訊かれていることは常に確実に答えられるようになるまで、理解と解答に取り組むことをおすすめする。

休日はついだらけてしまうので、「午後問題の重点対策」問題集を通勤鞄に入れて持ち歩き、なるべく平日の隙間時間で勉強するようにした。
特にテキストの1読目は、初めて習う事柄が多く精神的に辛いので、会社の昼休みや退社後の喫茶店など、自宅以外の場所で解くよう心掛けた。(「午後問題の重点対策」問題集は持ち運ぶには重いので、テキストを真っ二つに切るのもありだと思う)

また、応用情報試験対策には直結しないが、「Webラーニングプラザ」のeラーニングをボイスレコーダーに録音し、家事をしながらよく聴いていた。自分の性格上机に長く座っていることができないので、座学に飽きたら、eラーニングを聞き流しながら風呂掃除や皿洗いをして、身体を動かすようにしていた。

「webラーニングプラザ」のサイトは既に閉鎖されてしまったようだが、今はYou Tubeの動画が充実しているので、通勤・通学や家事をしながらスマホで視聴するのがおすすめ。ノイズキャウンセリングイヤホンを併用して周囲の雑音をシャットアウトしながら聴くと、ながら学習でもそれなりに身に付く。(車や自動車の運転中は、さすがに危険すぎるのでおすすめしないが)

独学だと、独習で理解できなかったポイントがどうしてもおざなりになることが多い。だが、インターネット上のコンテンツを上手に利用できると、隙間時間で理解の浅いポイントを補ったり、思考の偏りを是正することができる。

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 → 「午後問題の重点対策」問題集の詳細については、こちら

応用処理技術者試験 本番当日

午後問題では集中力を切らさない

くどいようだが、午前問題は知識が足りない人を落とすための足切り試験に過ぎない。応用情報処理技術者試験の本番は午後、と再度認識頂きたい。

午後問題では、午前問題で疲れた頭でも、短時間で論理的に考え、解答を導き出すことが求められる。午前問題で燃え尽きず、午前の出来が芳しくなくても諦めず、お昼の休憩時間に十分頭を休めてから、午後問題に取りかかって欲しい。

私も試験を受けた際、「午前問題で落ちたかも….」とかなりへこんだが、蓋を開けてみれば、午前問題・午後問題とも無事合格出来ていた。

合格証書

応用情報処理技術者に無事合格した後、自宅に合格証書が送られてきた。情報処理技術者試験の合格証書はどことなく古風で気に入っている。

応用情報処理技術者試験の合格証書

↑ 応用情報処理技術者の合格証書

応用処理技術者資格取得後 ~活用しました~

職種を変更し、キャリアアップ&年収アップできた

資格取得後に転職し、ITヘルプデスクの仕事からサーバーエンジニアへと職種を変更することができた。

取得後半年間はセキュリティエンジニアとしてパソコン1万台以上&サーバ1,000台以上を管理し、その後はサーバエンジニア(兼データベースエンジニア)として、Windowsサーバ&Oracleデータベースと毎日格闘しながら勤務している。日本中に名の知れた上場企業のサーバを守るのは楽しく、やりがいも大きかった。

今は、ミドルウェアバージョンアップの計画と準備を進めるポジションに就いている。ミドルウェアのバージョンはいくつにするか、どのように実装するか等、日本語・英語で書かれた情報を日夜漁りながらサーバのあるべき姿を模索する仕事。
私のチームが道を踏み固め、後日その道を通る全国の技術者が安全に歩けるよう配慮しなければならないので、責任が重い。

ITヘルプデスクの時は派遣社員だったが、応用情報技術者取得後は正社員になり、年収もその後の10年間で+180万円アップした。(通勤交通費・賞与年2回・福利厚生付き、退職金無し)
但し、残業時間も月10時間から10~80時間と大幅に増加している。

インフラエンジニアという今の職種が気に入っているので、職種変更できたのが応用情報処理技術者を取得した一番のメリットだと思っている。

年齢や性別に関わらず、職場で存在感を出せる

私は女で、しかも童顔なので、初めて一緒に仕事する方からは頼りなく見られることが時々ある。だが、応用情報で学んだ分野については、望む望まないに関わらず、存在感を発揮できることが多かった。

今の職場はデータベースエンジニアは多いが、ネットワークやセキュリティに疎い方が多く、特にセキュリティに関しては私の独壇場になる…。
自分が過去にセキュリティ技術者を経験しているせいでもあるが、「『脆弱性』ってなんですか?」とIT企業の若い社員に訊かれた時には、お茶を吹き出しそうになった(笑)

「ベンダーのサポートが切れたら、何故製品を買い替えなければならないのか」など、システムを守る上で基本とも言える考え方が、未だ浸透していない現場もある。「脆弱性」や「サポート切れ」の危険性やリスクについて、理解し適切な対策を取って貰おうと考えると、女だろうが、顧客より年下だろうが、自分が持っている知識を伝えて広めるしかない。

システムを正しく理解していれば、結果として自分の存在感は大きくなる

以下、余談。
先日サーバで毎日業務時間中にセキュリティソフトのフルスキャンをかけ、業務時間中に1時間以上、サーバをCPU 100%に貼りつかせた阿呆な企業がいた。
電話でフルスキャンを今すぐ止めるよう伝えたところ逆ギレされたので、そのサーバにおいて改善すべき事柄を文書にして、その顧客の営業担当者から伝えてもらったところ、2度目に同じ客に電話した時は、非常に丁寧な対応に変わっていた(笑)

日次でフルスキャンをかけたいなら、セキュリティソフトの時間指定の機能を使って、夜間などエンドユーザが使用しない時間帯に行うのが基本。業務時間中にどうしてもフルスキャンしたいなら、せめてCPU使用率の制限はかけるべき。CPU全体の何%までセキュリティソフト側で使用するかは、セキュリティソフトの設定で決めることができる。
ちなみに、OSがWindows Server 2003、CPU 2コア、という少々古いウェブサーバ兼アプリケーションサーバだった。CPUが2個しかないので、仮に1個をセキュリティソフトがフルスキャンが使用していると仮定すると、残り1個のCPUで全ユーザからくる全ての処理を回すことになるので、どう贔屓目に見ても無理がある。古い物理サーバなので、CPUを積み増すのは論外。積み増すくらいなら、予算と相談の上、新しいサーバへのリプレイスを勧める。

…話が逸れたが、客と少々喧嘩してでもサーバとエンドユーザを守ってあげるのが、技術者の大事な仕事の1つだと思う。

転職に非常に有利

IT系の職種に転職活動する際、応用情報処理技術者を取得したことについて、質疑が来ないことがない。

「どうして応用情報を取ろうと思ったのですか」から始まり、「基本情報から半年で取得したんですか」とか「応用情報は大変だったでしょう」というねぎらいまで、ありとあらゆることを訊かれる。どうも、面接官の食いつきポイントを刺激する資格のようだ。

特に、基本情報処理技術者と応用情報処理技術者を同じ年度の春期と秋期で取得した点について、高評価を受けることが多かった。基本情報と応用情報は学習範囲や試験そのものが似ているので、実際には応用単体で受けるより合格率が高まると思うのだが、同じ年度で両方取る人は珍しいらしい。

資格より実務を重んじる傾向の強い転職の場において、ここまで面接官を喜ばせる資格があるとは思わなかった。

高度情報処理技術者試験に挑戦できる

なるべく早いうちに、IT系国家資格で一番難易度の高い「高度情報処理技術者試験」にチャレンジしようと考えている。

応用情報処理技術者を取得した後、高度情報処理技術者の取得が現実味を帯びてきた。周囲の技術者に「高度情報処理取ろうかと思っている」と話していても、端から無理だと決めつける反応は返ってこなかったので、応用情報処理の有資格者は「高度情報処理を取れるかもしれない人」という位置づけになっているんだな、と感じた。

これまでのキャリアを踏まえると、取得するなら「データベーススペシャリスト」かなと考えているが、いずれにせよ「難度の高い知識・技術を習得した」と第三者から認められるのは、技術者として仕事をしていく上で大きな自信に繋がると思っている。

応用情報の午前問題で不合格になってしまった方は…

キツい言い方になってしまい申し訳ないが、単に基本情報処理技術者レベルの知識や考え方(論理的思考?)が身についていないのではないか、と思う。

試しに基本情報処理技術者の午前問題・午後問題の過去問を2~3つを入手し、どのくらい解けるか確認してみることをおすすめする。

基本情報処理技術者試験は午前問題・午後問題とも多肢選択式で、過去問も解答も公開されているので、解くとすぐに採点して得点が出せる(合格ラインは正答率60%以上)。基本情報処理技術者が午前問題・午後問題ともすんなり受かるレベルなら応用情報の午前問題は合格できるはずだし、基本情報処理技術者でさえ不合格になってしまうなら、応用情報ではなく基本情報からトライする方が、より着実にスキルを身につけることができ、精神的にも楽だと思う。

また、特定の狭い分野に深く偏った知識やスキルを持っている方は、応用情報処理技術者試験は不利。特に午前問題は、広い分野からまんべんなく出題されるので、特定の分野しか解けないと、正答率60%の足切りラインに引っ掛かってしまう。

どうしても特定の分野だけしか学びたくないなら、少し費用はかかるが、応用情報ではなくMicrosoft等のベンダー資格にトライする方が良いかもしれない。
企業が主催するベンダー資格は、特定のソフトウェアの特定のバージョンに絞って試験が実施されることが多い。Oracle社のOracle Masterという資格を例に挙げれば、Oracleというデータベースの12cというバージョンで使える機能だけが出題範囲になる。プログラミング言語や法令やマネジメントについては問われないので、専門特化で生きていきたい方にはおすすめ。

但し、ベンダー資格は試験料が高く、1回受験するだけで1万円以上かかるものも多い..。資格取得支援制度を設けている企業もあり、試験代を補助して貰えたりすることがあるので、社内制度を確認してから試験を申し込む方がおすすめ。

応用情報の午後問題で不合格になってしまった方は…

午後問題では、持っている知識を現場に当てはめ、解決する力が求められる。知識を「知っているか」ということもある程度問われるが、それ以上に、知識を「使える」かが問われているように思う。

以上を踏まえたうえで、細かい対策を練ってみた。

時間が足りなかった

試験時間内に解き終わることができるかどうかは、事前に過去問1~2回分を時間を測りながら解くと、前もって把握できる。極度に緊張してしまったなど当日ならではのハプニングで足を取られたならともかく、事前に過去問を解いた時点で時間が足りなかったのなら、単なる準備不足な気がする。

採るべき対策は、

  1. 問題文を読むのが遅いのか
  2. 設問を解くのかが遅いのか

によって変わってくる。

対策(1)
応用情報処理技術者試験は問題文が長い。それも、他の試験と比べて少し長いというレベルではなく、非常に長い(笑) 実務未経験者に理解と学習を促すために、対象となる企業やシステムの置かれた状況を丁寧に説明する形で、問題が作成・構成されているためだと思う。

問題文を読むのが遅い場合、特定の分野の専門用語や言い回しに慣れていない可能性がある。システム系の文章は専門用語も多いので、読むスピードを上げたいなら、試験で選択する分野のテキストを時折読んで慣れる方がいい。専門用語調べながらネットサーフィンするとか、関連書籍を読むとか、隙間時間で構わないので、理解を深めながら読むことを心掛けるといい。

余談ながら、午後問題で出題される各問題の質の良さは、マイクロソフトやオラクルなどのベンダー試験の追随を許さないほど、情報処理技術者試験がずば抜けて良いと私は思っている。

対策(2)は、妙案が浮かばないので検討中。

記述問題の解答を作るのに時間がかかった

記述問題で問われるのは、問題を認識・解決するためのポイントが的確に押さえているかどうかだと思う。
試しに、解答時間や文字数を気にせずに解答を「喋って」みて、すぐに答え合わせをし、模範解答と自分が喋った内容が一致しているか(=解決のポイントが合っているか)を確認するといい。

解答のポイントが的確に押さえられているなら、喋った内を紙に書き、指定された文字数に収まるように、重要性の低い言葉を削ったり、長い言葉を短いキーワードで言い換えたりして、伝えたい内容を整理する練習をする。

実務に当てはめると、
 設問=システムトラブル・客からのクレーム
 回答=技術者からのアドバイス(口頭やメール)
だろうか。

現場に文字数制限はないが、どこの現場も忙しいので、伝えたい内容がまとまっていないと、そもそも話を聞いて貰えない(笑) それは自分自身が聞く側の立場になっても同じで、話が無駄に長い人や、5分間話を聞いていても何が言いたいのかわからない人は、イライラして話を聞く気が失せる(気が短くてすみません…) 。

応用情報処理試験の記述問題の「解答」で求められているのは、技術力だけでなく、情報や考えを言葉にして端的に伝える力でもあると思う。

分野(大問)の選択を間違えた

分野選びは、選択も軌道修正も難しい。

(1)特定の分野の実務経験がある人は、その分野を選ぶ。
 知識が身につくのが早く、合格点に達しやすいので。
(2)特定の分野を1ヶ月以上学んだ経験のある人も、その分野を選ぶ。
(3)どの分野も実務経験がなく、授業・書籍・動画等で一度も学んだこともない人は、今後の自分の専門を作るつもりで、分野を決める
応用情報処理技術者を受験するときに選んだ分野は、これから先一生自分について回るので、学習していて面白く、心の負担が少ないものを選んだ方がいい。但し、知識をゼロから身につけることになるので、どうしても学習には時間を要すると思う(=短期合格は難しい)

選べる分野が11分野もあるので、向き・不向きや多少の好き嫌いは、どなたにでもあるはず。先々の事を考えると自分に向いている分野を選択した方がいいので、少し時間をかけてでも、自分に適した分野を吟味することをおすすめする。

(3)について、自分の場合は、ネットワークについて書かれた書籍や記事を拾い読みするのが好きだったので、「ネットワーク」分野を選択した。ネットワークエンジニアを本業に据えたことは、受験当時から現在に至るまで、一度もない。だが試験勉強中も、他の分野と比べると心の負担が少なく、正直一二を争うほど学習が楽しめる分野だったので、学習期間3ヶ月でネットワーク分野も合格圏内に入ることができた。

応用情報処理技術者を取得できたなら、その実務未経験の分野でさえ、理論や思考は実務でそれなりに使えるレベルに達する。受験後、ネットワークトラブル発生時にはネットワーク構成図が頭にすぐ浮かび、小規模トラブルなら調べて自己解決できてしまうことも増えた。ネットワーク技術者が「L2スイッチでのMACアドレスフィルタリング」など専門的な話をしても、その場で話を理解し、適切な返事を返すこともできる。ただし、CISCOなど特定の機器に関する知識や技術が足りないので、機器の実装はすぐにはできない。

反面、応用情報で選択しなかった「システム開発」の分野では、トラブル解決はおろか、技術者同士の話を1時間横で聞いていても、未だに理解できない(笑)

経営戦略(午後問題)について

簿記2級・簿記1級の勉強をされた方は有利。科目名こそ「経営戦略」だが、中身は「経営学」と「会計」が混在しており、キャッシュフロー計算書や利益率計算やM&A(吸収合併)の際の会計処理などが出題されているので、簿記1級程度の財務会計・管理会計を学習された方であれば、学習時間を短縮することができる。

私が受験した回にはデューデリジェンス(企業合併時の資産評価)が出題され、「ITの試験でデューデリジェンスを出すか?!」「でも、いい問題だな…さすがは応用情報」と解きながら感心させられた記憶がある(笑)

システム監査(午後問題)について

選択する方が極めて少ないと思われる、システム監査について。

私は本番でこの問題を選択したが、大多数の方はこちらの科目を選択する必要はない。仮に選択しても、技術はさほど身につかないし、実務でもほぼ使わない。ただ(1)公認会計士になるための勉強をされた方と、(2)午後問題でどうしても得点が取れない方は、システム監査を選択するのはアリだと思う。

理由(1)
公認会計士試験には、「監査論」という科目がある。
一口に監査と言っても、会計監査・システム監査・内部統制などさまざまな種類の監査があり、監査論を学んで培った思考法や知識は、システム監査にそのまま転用出来る。なので、公認会計士試験の学習者であれば、勉強不要(!)で解答できる
私も過去に監査論を勉強したことがあったので、試験直前に重要用語を覚え直すだけで、午後問題を記述を解答することができた。

理由②(2)
「システム監査」は他の11分野と比べると、出題範囲が狭いので、短期間の学習で得点につながる可能性がある。しかも記述問題が多いので、要点だけ押さえて何らかの解答を書ければ、部分点を集めることができるかもしれない。
あまりおすすめできる分野ではないのだが、正解・不正解がはっきりと出る計算問題の多い大問を無理に選択して玉砕するよりは、良策だと思う。

基本情報処理技術者試験 文系が独学で一発合格した勉強法など

文系だが、1年内に基本情報処理技術者と応用情報処理技術者の両方を一発合格できたので、勉強法をメモ。

基本情報処理技術者試験とは

IT分野の国家資格。技術者(=システムエンジニア)向けの3つの国家資格の中で、1番目に易しい技術者入門レベルの試験。(基本情報処理技術者 < 応用情報処理技術者 < 各種高度試験 の順に難易度と専門性が高くなる)

求める人物像は、システムの分野のプロフェッショナルになるために、基本的な知識・技能を身に付けている人。年齢・性別・職種などの制限はなく、どなたでも受験可能。10歳以下のお子さんからから70歳過ぎのおじいちゃんまでどんと来い。

システムを作る人(プログラマーなどの開発者やアーキテクトなど設計者)・システムを運用する人(テクニカルサポートやサーバエンジニアなどの作業者)・システムを導入する人(ITコンサルタントなど)の受験者数が多いが、営業や人事総務などシステム分野以外の方もそれなりの数受験されている。
受験者の性別は、特に統計等公開されていなかった。

試験は、春期(4月第3日曜と秋期(10月第3日曜)の年2回開催。合格率は20%台で推移している。

試験内容は、午前問題と午後問題の大きく2つに分かれ、午前問題は4肢選択式で80問出題。午後問題は多肢選択式。午後問題は、大問11問出題され、計5問を解答する。そのうち、「セキュリティ」と「アルゴリズム」の2問は必須解答。
午前問題・午後問題ともに、合格ラインは正答率60%以上。

基本情報処理技術者試験の詳細については、下記のリンクより公式サイトへ。 ↓
情報処理技術者試験 公式サイト http://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/fe.html

基本情報処理技術者試験の過去問

過去10年以上×年2回分の過去問と解答・解説が公式サイトで無償公開されている。過去問は全てPDFファイルで、ダウンロードや印刷も可能。
まず見たいという方は、下記のリンクよりどうぞ。

情報処理技術者試験 公式サイト(過去問題) https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/_index_mondai.html

追記:令和2年以降、基本情報処理技術者試験については、過去問題が公開されなくなってしまったそうだ…。
基本情報処理技術者であれば、各種過去問の書籍や参考書が多数発売されているので、本屋さんで書籍を立ち読みしてみてあげてほしい。

基本情報処理技術者試験の学習期間・勉強法

学習期間 約1ヶ月
使用教材 過去問(3年分)
市販の参考書(1900円)
学習の概要
  1. 基本情報処理技術者に関する市販の参考書を1冊買い、読み込む
  2. 参考書の読み込みと同時並行で、午前問題の過去問3ヶ年分を解く
  3. 参考書読後に、午後問題の過去問3ヶ年分を解く

午前問題の試験対策は、過去問を解くだけ

午前問題については市販の問題集は購入せず、過去問を印刷して鞄に入れて持ち歩き、新しいものから順にひたすら解いた。

午前問題は1問1答形式で、4つの選択肢から正答を選ぶ問題だけなので、忙しい社会人でも毎日10分~20分程度の時間があれば、午前問題対策を進めることができる。
午前問題だけでも早めに取りかかって解いておくと、自分が合格圏内にいるのかどうか、あとどのくらい点数が必要なのかがおおよそ分かるのでおすすめ。

午前問題は、出題範囲が幅広い。プログラミングの知識から経営管理や法務の知識まで求められる。どなたにでも普段実務や学問で触れていない分野があると思うので、未経験分野もある程度までは潰しておくことをおすすめする。(自分は法務系が苦手だった…)

また、午前は過去に出題された問題が再度出題されることがある。過去問を事前に十分解いておけば、合格ラインの60%を上回ることはさほど難しくない。午前問題が正答率70%取れるようになれば、早めに午後問題対策へ進むこと。

午後問題対策

午後問題は、IT技術者に必要不可欠な「論理的な思考」と、表計算・JAVA・C言語などの「プログラミング言語」「IT技術への専門知識」が問われる。

IT分野で開発・運用の実務を経験された方には易しいのかもしれないが、実務経験の乏しい方ほど学習と問題への慣れが必要。午後問題に早めに取り掛かり、苦手分野を見つけ余裕を持って潰すことが、基本情報の合格圏内に入るための近道であり、IT技術者としての基礎を身につける早道でもあると思う。

使用したテキスト

午後問題では、知識をインプットするためのテキストは1冊ある方がいい。IT分野は覚えることが多く、実務でも応用力が問われるので、解けなかった問題を答えの丸暗記でしのいでいると、点数や技術力が伸び悩む原因になってしまう。知識と理解を深めながら過去問に取り組む方が、暗記の量が減り、勉強も単調になりにくい。

私はある出版社から発刊されていた参考書の2010年度版を使ったが、こちらの本はおすすめしない。技術用語が分かりやすい言葉で解説されている良書だが、この本に掲載されていない単語が本試験問題に多数出題されており、試験範囲を網羅した本とは言えないためだ。

基本情報処理技術者の参考書は何種類か市販されているので、

  1. 知らない用語が分かりやすく解説されているか
  2. 評判の良い本か
  3. 自分が使いやすそうか

の3点を確認して入手されると、失敗が少ないと思う。

応用情報処理試験の受験時に使用した問題集&解説書の姉妹品があったので、こちらのリンクを貼っておく。このシリーズの書籍は分厚く持ち歩きに難儀するが、解説が行き届いており、知識を短期間で身につけられる。

残念ながら、市立図書館には基本情報処理技術者の参考書がなかったので、大学等のより専門性が高い図書館を探すか、書店やネットで購入することになる。購入する際も、ネット上で評価の高い本をリストアップしてから書店に足を運び、実物を手にとって中を確かめてから買うことをおすすめする。

自分に合わない参考書を購入してしまうと、学習に余計な時間がかかる上、精神的に辛くなる。別の本を入手して軌道修正するのも、時間との戦いになるので厳しい。
多少の手間とお金をかけてでも、自分に合う参考書を選んだ方がいいと思う。

なお、情報処理技術者試験の本試験では比較的新しい技術も紹介されるが、全ての技術が参考書で紹介されているとは期待しない方がいい。新しい技術については多少点を落とすことを想定した上で、それでも合格できるよう実力をつけるといいと思う。

基本情報処理技術者試験の本番当日

午後問題は集中力を切らさない

午前問題は、知識が足りない方を落とすための足切り試験。基本情報処理技術者試験の本番は午後問題とお考え頂いた方がいい。午後問題では、午前問題を解いて疲れた頭でも短時間で論理的に考え解答を導き出すことが求める。午前問題で燃え尽きず、午前の出来が芳しくなくても諦めず、お昼の休憩時間に十分頭を休めてから午後問題に取りかかること。

受験者はとにかく男性が多い

基本情報処理技術者の試験会場で驚いたのが、とにかく男性の数が多いこと。全体の8割程度が男性で、しかも、お世辞にも小綺麗とは言えない服装で来られる方、試験開始直前におかしな挙動をされる方などもおられた。女性の方は雰囲気に呑まれないよう、特に注意して欲しい。

普段女性の多い職場で働いていた私は少々面食らい、IT世界で生き延びるということは男性社会で生き延びることと同義なんだな、と認識を新たにした。

合格証書

基本情報処理技術者に無事合格した後、自宅に合格証書が送られてきた。情報処理技術者試験の合格証書はどことなく古風で気に入っている。

基本情報処理技術者の合格証書を正面から撮影した写真。

↑ 基本情報処理技術者の合格証書。

基本情報処理技術者取得後 ~活用しました~

半年後に応用情報処理技術者試験に合格

基本情報処理技術者に合格した半年後に、応用情報処理技術者試験にトライし、無事一発合格できた。

同じ情報処理技術者試験だけあって、基本情報処理技術者と応用情報処理技術者は、試験で問われる内容が似ている。特に、応用情報の午前問題は四肢択一の選択問題で、基本情報を受験した翌月に応用情報午前問題の過去問を解いたところ、正答率67%で、合格ライン(正答率60%)を上回っていた。そのため午前問題対策をあまりせずに済み、午後問題対策に集中することができた。

基本情報処理技術者で学んだITの基礎や試験攻略法は、応用情報処理技術者にそのまま生かすことが出来るので、基本情報に続けて応用情報を取得するのはおすすめ。少ない手間で、より高いリターンが狙える。

しかも、転職活動では、基本情報処理と応用情報処理を1年で両方取得したことを評価下さる企業様が、非常に多かった。応用情報単体で受験するより、基本情報→応用情報の流れで受けた方が確実に合格可能性は高まると思うのだが、面接官には内緒にしておいた。

ITパスポート(初級システムアドミニストレータ) 取得するメリットなど

今でこそサーバエンジニアとして働いているが、エンジニアとしての第一歩は、20代半ばに事務職をしながら取得した「初級システムアドミニストレータ」(現在の「ITパスポート」)だった。
この資格が、長い時間をかけて今の道を切り開いてくれた気がしている。

ITパスポート(旧名:初級システムアドミニストレータ)について

ITパスポートとは

IT系国家資格のうち、最も易しい資格。ITパスポート → 基本情報処理技術者応用情報処理技術者 → 各種高度情報処理技術者 の順に難易度が上がる。
受験者は20代が最も多い。受験者の5割強が社会人、4割弱が学生。

パソコンで受ける試験で、100問出題の四肢択一式。(=4つの選択肢の中から1つを選ぶ) 正答率60%で合格だが、ストラテジ系・マネジメント系・ テクノロジ系のそれぞれの分野で正答率30%以上でないと合格できない。

試験の詳細は、下記の公式サイトを参照。

ITパスポート試験
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/guidance/summary.html

過去問題

ITパスポート試験は、過去問が無料で公開されている。下記のリンク先から、過去8年分15回分以上の試験問題と解答を、無料でダウンロードすることができる。
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/openinfo/questions.html

ITパスポートの勉強法と試験の感想

学習期間 使用したテキスト
2~3ヶ月 「1週間で覚える初級シスアド」(1~3巻)

この資格を取ろうと計画し始めた当初パソコンが苦手で、全くと言ってよいほどITにもパソコンにも電化製品にも疎かったので、どうやってITパスポートを勉強すれば良いか全く分からなかった。なので、本屋でITパスポート対策の本を1冊買い、とにかく前から順にやっていった。

だが、残念ながら、それでも訳が分からなかった(笑) 当時は、wordやexcelの知識を問う問題が出てくる試験だと思っていたのですが、ITパスポート(初級シスアド)はITの基礎理論を学ぶ資格なので、マイクロソフト社が宣伝のように出てくる筈もなく、アルゴリズムやセキュリティやエンドユーザコンピューティングなどの用語がひたすら並ぶ。途中何度も投げ出しそうになり、「自分はITの世界に向いていない」と心の底から思った。
(ちなみに、word/excelなどの問題が出題されるのは、Microsoft社の”Microsoft Office Specialist”(MOS))

今でこそサーバエンジニアとして偉そうな顔をしているが、受験当時はこのような悲惨な心境だった(笑)
あまりにやる気を失ってしまうので限界を感じ、途中でテキストを変更。説明が短く、章ごとに問題がついているテキストに変え、説明に飽きたら問題を解くという方法にしたところ、何とか本の章末まで辿り着くことができるようになった。

ITパスポート試験当日

過去問に手をつける時間がなかったので、ぶっつけ本番で試験に臨んだ。当時のITパスポート(初級シスアド)は午前と午後に1つずつテストがあり、「午後の方が難問だよ」と知人に言われていたのでびくびくしながら午後を迎えたが、実際は午後の方が簡単だった。

午前問題は知識を問う問題で、見知らぬIT用語ばかりが出てきてお手上げでしたが、午後問題は知識より論理的思考を問われるテストだった。AだからB、BだからCと1つ1つ思考を整理すると解くことができるので、午前問題で撃沈していた私は「……いけるかもしれない」と復活したのを覚えている(笑)

結果は、見事一発合格だった。良かった!

合格証書

合格してしばらくすると、合格証書が自宅に送られてきた。賞状のようで、少しカッコいい。

初級システムアドミニストレーターの合格証書を正面から撮影した写真。賞状に似て金の縁取りがあり、文面や大臣の署名は毛筆で記載されている。

↑ 初級システムアドミニストレーターの頃の合格証書。

数年後に応用情報処理技術者も取得したが、昔も今も合格証書がほぼ変わっておらず、少し嬉しかった。

ITパスポート取得後 ~活用しました~

事務職をしながらITの実務スキルを磨く

ITパスポート取得後もITスキルにはあまり自信がなかったのだ、丁度当時の職場の右隣の席に、元システムエンジニアで現営業職の方が座っていた。その方に試験に受かったことを話したところ、excelで営業資料を作る仕事などを振って下さるようになった。

何とか振られた仕事をこなしつつ、もう少しITスキルを伸ばすために、会社で行われていたword・excel・powerpoint・accessのスキルアップ講座をこつこつ受講していくと、半年程で「資料作成ならとりあえずこいつに頼んどけ」という図式が社内で出来上がり、最終的にはMicrosoft Office Access(データベースソフト)での顧客情報管理とメンテナンスを任されるようになった。

当時は事務職だったが、当時の職場には事務職でありながらデータベースの構築・運用を行える女性が何人かいらっしゃっったので、恵まれた環境だったなあと今振り返ってみると思う。

ステップアップ

その職場を退職してからも、ITパスポートとMicrosoft Officeの実務スキルを身につけたお陰で、htmlとホームページビルダー(ホームページ作成ソフト)で社内ホームページを編集する仕事をしたり、マイクロソフト社で新製品を小売店に紹介して回る仕事をしたり、自分でwebサイトを作って公開し始めたりと、公私に渡って有形無形の恩恵を受けることができるようになった。

サーバエンジニアへ

ITパスポートを取得し、10年以上が経った。途中基本情報処理技術者を取り、現在は応用情報技術者を取得しサーバーエンジニアとして勤務しているので、ITパスポートが1人の若者をここまで運んで来てくれたんだなあと思うと感慨深い。
今毎日のようにサーバとデータベースを操作し、アプリケーションサーバを作ったり、セキュリティ技術について勉強不足なお客様を叱ったりしているのが、少し不思議な感じもする。

IT業界に本格的に足を踏み入れた際、当時の私が持っているIT系資格はITパスポート(初級シスアド)だけだった。あまりの成り上がりぶりに「わらしべ長者」のおとぎ話を思い出したが、ITパスポートにそれくらいの力があるということは、紛れもない事実だと思う。

ITパスポート(初級シスアド)のお役立ち度

取得しやすい割に、相当使える資格だと思う。若い方の場合は特に、この資格を持っていると認められ、そこから実務スキルを磨くと仕事に繋がると感じている。