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日本語・英語併用のITサポートの仕事(ITヘルプデスク・テクニカルサポート)

人生における英語圏滞在期間は未だに1週間というお粗末さだが、イギリス系企業に常駐しメールや電話で英語を使って仕事をしていた時期があるので、その時のことを記録する。

日英併用のシステムサポートの仕事内容

当時常駐していた企業は、本社がイギリスにある会社だったため、日本法人の社長を筆頭に管理職からメンバー(役職なし社員)に至るまで、外国籍の方が数多く勤務されていた。

各部署に数名の割合で母語が日本語以外の方がおり、私が常駐していたIT部門もインド国籍4〜5名、ヨーロッパ1名、マレーシア1名と多国籍で、日本人も帰国子女1名、英語圏在住経験者3名という程よく国際色豊かな職場だった。

法務や広報など他の部署も似たような感じ。営業部門だけは、営業する先の顧客がほぼ100%日本人だったので、外国籍の方は見かけなかった。

よくあるトラブル

当時の私の担当は、日本語対応と英語対応の両方を行うITサポート。業務の大半は日本語での対応だったが、週に1~2回程度の割合で、母語が日本語以外の方から英語で電話がかかってきて、起きているトラブルの内容を聞き、解決までサポートする。

よくあるトラブルとしては、

 ”My laptop won’t start…(パソコンが起動できなくなった…)”
 ”couldn’t access to internal network via mobile wifi.” (モバイルwifiで社内ネットワークに接続できなかった)
 ”Some mails disappeared. I’ve sort them in this folder, though it disappeared too.”(フォルダごとメールが無くなってしまった)
 ”I’m afraid my password has been locked”(パスワードがロックされてるんじゃないかと思う)

などなど。日本人でもよくあるトラブルが多かった。

ただ、海を渡って日本に仕事に来られている方は優秀な方が多く、少し調べると解決できるようなトラブルは大抵自己解決されており、ITサポートを利用しないと解決出来ないようなトラブルの方が多かったのが印象的だった。

英語でのサポートで苦労したこと

応対について、英文メールの読み書きはまだ何とかなったが、英会話がとにかく苦手な私は、訛りや癖のある英会話のスピードについていけず苦戦した。
TOEICや英検などでは訛りの強すぎる英語は出題されないが、実際のビジネスの現場では、中国語訛り・インド訛りの英語の方が多いくらいなので、こうした仕事を目指される方は入念に準備された方が良いと思う。
自分は、

・事前に業務用語・IT系専門用語を出来る限り英語に訳しておく
・通勤時間を利用して、トラブルと解決方法を英語で説明する練習を行う

の2点に絞って、説明と解決だけはこちらから主導出来るよう、時間を割いて準備していた。

そうして苦戦しつつも英語で仕事をするうちに、東欧から来たIT技術者の友人が出来たり、役員の部屋まで行ってシステムトラブルに対応したりと、少しずつ場数を重ねて、英語で仕事を行うことにある程度慣れることが出来た。

ちなみに2年半この業務を経験した後でも、インド訛りの英語にはついていけない(苦笑) 帰国子女の方や外国籍の友人の多い方に相談してみても、「インド英語は無理」「間近で口の動きまで見ながら話しても聞き取れない」という意見が出てくるので、日本語とインド英語はよほど相性が悪いようだ。
とはいえ、数学大国のインドには優秀なIT技術者が多く、今後も避けて通れる道ではなさそうなので、インド英語攻略法は現在も模索中…。

英語ITサポートの仕事で身に付いたもの

この仕事を経た後、技術系の英語文書やwebサイトを読むのに、抵抗や自覚がなくなってきた。調べ物をするとき、基本は読書スピードの速い日本語文書から読み進めるが、日本語文書が少ない分野では英語文書も読み進める。「あれ、いつから英語で読んでたっけな」と気付かないうちに英語に切り替わっていることも多くなった。
この仕事の後、社内メールは英語という外資系企業も経験したが、英語の面では問題なく業務が出来た。(業務知識は足りなかったが…)

また、母語でない言葉で仕事をするからこそ、準備の重要性に気付かされた。単語を日本語に訳しておくなどの準備さえある程度整えておけば、突然問合せを受けてもある程度までその場で対応でき、顧客を待たせることもない。逆に、最低限の業務知識と英語力がなければ、問合せを受けてからでは到底間に合わず、調査や翻訳に時間がかかった挙句何も返せないことも多い。対象となるシステムの仕組みやエラーメッセージの意味さえわかっていなければ、日本語でも手助けが出来ないことを想像して貰えれば、分かりやすいと思う。

英文メール作成時に何度も助けられた本「ビジネス英語 ライティング表現1000」(イジユン 著)

英語のITヘルプデスクとして勤務していた際に、仕事で何度も助けられた本。英文メールに日夜苦戦を強いられている方には特におすすめ。

必要な英語力レベル

TOEIC500~850くらい。もう少し英語力が低い方でも、問題なく使えるかもしれない。

「ビジネス英語 ライティング表現1000」を使った感想

仕事での英文メールや報告書作成など、丁寧な英語で人に物事を伝える必要がある方には特におすすめする。

英国系企業で働き始めた当初、10行ほどの英語メールを書くのに20~30分かかってしまい、外国の方とやり取りが2~3件立て込むだけで他の仕事に支障を来たしていたため、英語を書くスピードを速くしたい一心で選んだのがこの本だった。

即日使える英文テンプレート

巻末に大量の英文テンプレが掲載されているので、本文を読まずとも巻末を探すだけで、まともな英文が書けてしまうところがまず重宝する。

この状態を筆者は「借文」と表現されているが、巻末から何度か借文するうちに、よく使う言い回しは自然と身に付く。身に付き板に付いてくると、テンプレを自分なりに少しアレンジして使うようになってくる。
つまり、きちんとした英語を身につけるまでの時間稼ぎに、「借文」が一役買ってくれるわけだ。

ビジネスパーソンの方であれば、仕事や家事や育児で忙しく、英語学習時間を十分確保できない方が大多数にのぼると思う。それでも英語仕事は容赦なく舞い込むので、質の良い英文テンプレートを一時的に「借り」て仕事をさばくのは、社会人に必要とされるスキルの一つじゃないか、とも感じた。

5~10通りの言い回しが用意されている

「10時で大丈夫です」という趣旨を伝えるのに、毎回同じ表現を使っていると、「英語が出来ない人」と思われてしまう(笑)
仕事では特定の人と何度もやり取りをすることの方が多いので、同じ意味で表現の違う言い回しを3~4つ用意しておくと、自分の評価が下がらずに済む。

「ライティング表現1000」であれば、意思を伝える表現に5~10通りほどの例文が載せられている↓ため、同じ人と何度かメールのやり取りをしても、借文のストックが切れることがなく受け答えができた。

ページを開いた状態の「ビジネス英語 ライディング表現」の本と、英語の例文がたくさん書かれた白い紙が並んでいる

休日に「ビジネス英語 ライティング表現1000」を英訳

本書を購入した当初、この本のなめらかな英文を自分の血肉にしたかったので、借文するだけでなく「ライティング表現1000」の日本語例文を1文ずつ英訳し、借文と照らして答え合わせをする、という方法で数ヶ月間学んだ。

結果、英文ライティングのスピードが大きく改善されただけでなく、目上の方とやり取りするのに相応しい丁寧な英語(敬語)が、付け焼刃ながら身に付いた。
例えば、「こちらのマニュアルをお読みください」と伝える際に、

“Please read the manual”(マニュアルを読んで下さい)

と命令口調で書かず、無意識のうちに、

“Would you kindly follow the direction?”(こちらの手順に従っていただけますか?)

と依頼文で書くようになった。

ビジネスでは目上の方に情報を伝えることも多いので、ただ英語ができるだけではだめで、丁寧で礼節を失わない英語でなければいけない。日本人であれ外国の方であれ、間違っても上司に「これやっといて」と言ってはいけない(笑)

20代のうちに、本書で礼を失わないビジネス英語表現を身につけることができ、本当に良かったと思う。いい年して粗雑な言葉で仕事をしていては、少し恥ずかしい。

唯一の不満ポイント

この本で唯一の不満に感じる点は、CDが付いていないことだ。

CDが付いていれば、通勤時間で耳から英文を覚える(CDを聞き流す)ことができ、もっと早く質のいい英語を身につけられたになあ、と非常に残念。書籍自体が非常に使いやすく良いものなので、いつかCDも付けてくれないかと期待している。

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余談 ~目上の方への丁寧な英語表現について~

英語に敬語はないと誤解されている方がおられるが、英語にも丁寧な表現とそうでない表現がある。

英語が苦手な方には英文が書けるだけで凄いことのように見えるらしいのだが、実際には、会社の経営層(役員)に「これやっといて」とカジュアルすぎる英文を送っていたり、「スイッチへオンされます」など意味の通らない英文を送ってしまっていることが、往々にして見受けられる。

誰が読んでも理解できる言葉で書かれていることは言葉を使う上での大前提だが、ビジネスシーンで英語を用いるのであれば、丁重で、ある程度の品格を備えた英文を使う必要がある。

そうでなければ、「こんな人に仕事を任せて大丈夫かな?」と自分自身の仕事のスキルが疑われてしまうので、ご注意を。

「企業の採用担当者が欲しがる転職時代の履歴書・職務経歴書の書き方」橋本佳奈

外資系企業への転職を検討されている方におすすめ。

「企業の採用担当者が欲しがる転職時代の履歴書・職務経歴書の書き方」の説明

簡単な自己分析と、履歴書・職務経歴書・英文履歴書の書き方を説明した本。巻末には、自分が今の会社の何に不満を感じているかをチェックするチェックシートなども用意されている。

特に、英文履歴書と外資系企業での面接の記載が充実している。

「企業の採用担当者が欲しがる転職時代の履歴書・職務経歴書の書き方」の感想

転職活動中は外資系企業向けの対策も行うべき

転職活動の際、外資系企業だからという理由だけで応募出すケースは稀だと考えている。少なくとも私の場合、志望する業種や職種で探し、応募しようと思ったら外資系企業だった、というケースの方が多数だった。

だが、いざ外資系に応募するとなった途端、書類の書き方から面接対策まで日本企業での転職の常識が通用しなくなるので、良い企業を見つけてから転職本を読んで書類用意していたのでは間に合わない。

特に、Resume(職務経歴書の英語版)の用意には時間がかかる。日本企業と外資系企業では、項目の並び順からアピールすべきポイントまで異なるので、外資系企業向けに書類をゼロから練り直す必要がある。書類作成に時間を割かれると、当然英語面接対策の時間が削られることになる…。

なので、予め外資系企業対策も視野に入れて就職活動本を選ぶのは、非常に有効な戦略だと思う。

ただ、外資系企業での書類・面接に関してきちんと言及されている本は、当時あまり多くなかった。殆どの本では、巻末に数ページ用意されているだけの、端役扱いになっていることが多かった(笑)
 
こちらの本では、英文での添え状の書き方や例文、採用試験を受ける時の心構え、それに面接質問集まで付いていたので重宝した。
この本を読んだ数年後にはなるが、結果としてフランス系IT企業へ正社員としての転職も実現出来たので、この本の記載は間違ってなかったんだなあ、と今振り返ってみると思う。

転職活動本は複数冊読んでおいた方が良い

転職対策本は複数冊読んでおいた方が良い、と実際に面接を受け始めてから感じた。

読めば読むほど、自分がどうして不合格になったのかが分かり、書類でも面接でも通過できる確率が上がってくる。1000円~2000円の出費でより良い仕事が決まるなら、費用対効果としては決して悪くない選択だと思う。

出費を切り詰めたい方は、図書館から借りたり本屋での立ち読みでも問題ないので、是非十分な情報を集め、ご自分のためにもよりよい転職活動にしてあげて欲しい。