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製造終了になったカラーインク「LUMA」

今はもう店で見かけることもなくなった、「LUMAるま」という名のカラーインクについて。

LUMAのカラーインク瓶を正面から撮影した写真。「luma」という製品名がはっきりと読め、白地に緑のラベルがボトルに貼られている。

↑ カラーインク「LUMA」

カラーインクLUMAの使い方

普段通り、パレットと筆と水彩用の紙を用意する。

  1. まず使う前に、LUMAるまのインク瓶をよく振る! この点はドクターマーチン等の他のカラーインクと同様。
  2. 瓶の蓋をねじって開くと、蓋の裏がスポイトになっているので、インク液を適量吸い取る。(蓋はゴム製)
  3. スポイトに取ったインク液を、パレット等に1滴垂らす。
    LUMAもインク液が非常に濃いので、1滴垂らせば結構もつ
    カラーインク「LUMA」の006番「AQUA MARINE」を、パレットに1滴だけ落とし、撮影した写真。パレットの上に黒っぽい液体が乗っているが、色がはっきりとは分からない。

    ↑ LUMAの006番「AQUA MARINE」をパレットに1滴落とすとこんな感じ。インク液が濃すぎて、色が判別できない

  4. パレットのインク液に、水を数滴落として濃さを調整する
    パレットの上で、カラーインク「LUMA」を水で薄め、撮影した写真。透明な青緑色のインク液が写っている。

    ↑ LUMAのインク1滴に水を数滴垂らすとこんな感じ。ようやく色が判別できるようになった(笑)

LUMAのカラーインクもインク液が相当濃いので、普通の水彩絵具と同じ調子でたっぷりとパレットに出してしまうと、後でえらい目に遭う(笑) まずは1滴落としてみる程度でok。

カラーインクLUMAの外観・特徴

インク瓶は円柱状のガラス製で、少し重さを感じる。瓶の蓋にはゴム製でスポイト付き。
パレットや紙の上であれば、LUMAのインク同士も混ぜて構わないし、LUMAと他の水彩絵具や別のメーカーのカラーインクと混ぜて使っても何ら問題なかった。
(というか、私のパレットはどのメーカーのカラーインク&水彩絵具も10年以上同居しており、どの絵具同士を混ぜても問題が起きたことは殆どないので、水彩系絵具同士なら恐らく気軽に混ぜ合わせて大丈夫だと思う)

カラーインク「LUMA」のボトル瓶の側面を撮影した写真。「29.5ml」と表記されている。

↑ ボトル側面に筆記具のイラストが描かれており、筆のほかにペンなどでも利用可能であることが分かる

なお、インク液の量は、29.5mlで、同じくカラーインクであるドクターマーチンのほぼ倍量(ドクターマーチンは15ml)
LUMAは当時確か800円で販売されていたと思うので、分量を考えるとLUMAの方がお得。

製造された色数は、把握していないので不明。少なくとも20色程度、違う色が並んでいるのを見たことはある。

カラーインク「LUMA」の蓋を開いて撮影した写真。蓋の裏側についているスポイトが、写真の中央に写っている。

↑ スポイトは、ドクターマーチンカラーインクとよく似ている。

カラーインクLUMAの注意事項

ボトル瓶に書かれている注意事項が非常に短く、分かりやすいので、記載をそのまま引用する。



A wide range of brilliant, intermixable colors.
To dilute use clean water. Shake well.

あざやかで多彩で、混ぜ合わせることもできる色彩。
薄めるには、綺麗な水を使うこと。よく振ること。


(和訳は、ブログ管理人作)

また、ボトルには書かれていなかったが、カラーインクなので直射日光に弱いのではないかと思う。日の光が多少当たる程度であれば問題ないが、何日も強い光に曝されると、色が徐々に薄くなり、色が飛んでしまう。

カラーインク「LUMA」のボトル側面に書かれている、使用上の注意事項を撮影した写真。英語を含む複数の言語を並べて表記されている。

↑ 注意事項は、英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語の4言語で表記されていた

インク液を保存する際は棚や引き出しに入れる、描いた絵はスケッチブックに挟んで仕舞う等、日の光が当たらないようお気遣いを。

LUMAを塗る

せっかくなので、手元にあるLUMAの006番AQUA MARINEアクアマリンと水だけを使い、ポストカードサイズの水彩紙に塗ってみた。

カラーインク「LUMA」の006番AQUA MARINEをポストカードサイズの紙に塗り、撮影した写真。

↑ 約30分ではがきサイズ2枚を塗り終えた

私は画像の加工が下手なので、webページの画像は実物より少々色がくすんで見えるのだが、LUMAの発色の良さがお分かりになるだろうか。
実物はくすみがない分、10年以上前に描いたデッサンぼろぼろの絵だろうが、LUMAが美しいので何でも許してしまえるような神々しい美しさである(笑)

カラーインクLUMAの006番アクアマリンを、水で薄めてから紙に塗ったところを撮影した写真。白い紙にあざやかな青緑のインク液が広がっている。

↑ LUMAを水で薄めてから塗ると、こんな感じ

LUMAのインク液と水を混ぜてから塗る(=ウオッシュという技法)方法で色の濃淡をつけるのも綺麗だが、個人的には、水を刷いたところにインク液を落とす(「にじみ」とか「ウェットインウェット」という技法)で描くと、素晴らしく美しいな…と感じている。にじみの美しさを堪能できるのは、アナログ水彩で絵を描く醍醐味だいごみだと心から思う。

プロの漫画家やイラストレーターさんがLUMAを愛用されていたと聞いているが、インク瓶と水だけで塗ってこれだけ美しくなるのだから、常に時間や〆切に追われてらした方々にはさぞ重宝されたことだろう。

カラーインクLUMAの006番アクアマリンを、紙に塗り撮影した写真。薄く刷いた水の上に、濃く溶いたLUMAのインクを落とし、インクが滲んで広がるさまが写っている。

↑ 軽く水を刷いてから濃いめのインクを滲ませるとこんな感じ

LUMAにまつわる思い出

「LUMA」というカラーインクがかつて画材店に並んでいたことを、どのくらいの方がご存じだろうか?

1990年代当時は、LUMAは1瓶数百円で売られており、お小遣いの少ない学生にも、何とか手が出せる画材だった。
LUMAのカラーインクはドクターマーチン(1瓶500円)よりも値段が高く、インク量も多かった。お金のない学生だった頃は、どうしてもドクターマーチンを買う方が色数を揃えられるので、LUMAを何本も買い揃えるということができなかった。

お金持ちの家の子だった友人が、LUMAとドクターマーチンの両方を買い揃えて作品を作っており、今から思い返すと「いいな…」と羨ましく思う。

そうこうしているうちに大人になったが、今度はLUMA自体が生産終了となり、めっきり入手しづらくなってしまった。
カラーインクは消耗品なので、いずれは全く手に入らなくなってしまうだろうが、「LUMAというカラーインクがあったことを覚えていて欲しいな」という願いも込めて、LUMAの記事を掲載した。

 

余談だが、私はもう1本紫色のLUMAカラーも持っていたのだが、紫の瓶の方は、購入後の保存の仕方が悪かったようで、購入後15年ほどでインク液の状態が悪くなってしまい、やむなく廃棄した。

液が乾燥してカピカピになったわけではなく、液自体が腐るような感じだったので、恐らく私が誤ってスポイトに別の絵の具を付けてしまい、瓶の内部でLUMAインクと他の絵の具や雑菌が混ざったために、インク液の状態が悪くなってしまったのだと思う。

どちらかというと006番(アクアマリン)の瓶の方をよく使っていたくらいなので、他の絵の具と混ざらないよう注意して保存すれば、もっと長くもってくれたと思う。今更悔やんでも仕方がないが、本当に惜しいことをした…

ホルベインの耐水性カラーインク「ホルベインドローイングインク」

ホルベインのカラーインクはドクターマーチンカラーインクと違い、耐水性である。水に溶けるカラーインクと耐水性カラーインクで使い方が180度違ってくるのは、私だけだろうか。

「ホルベイン ドローイングインク」の使い方

ホルベイン社のドローイングインクを撮影した写真。「チェリーレッド」「プルシャンブルー」「セピア」のインクが写っている。

↑ ホルベイン社のドローイングインク

ドクターマーチンカラーインク(水性インク)と異なり、液の内部で粉末が沈殿しないので、使用前にインクボトルを振る必要はない。
ホルベイン社のインクはボトルの蓋がゴム製のスポイトになっており、スポイトでインクを適量取り利用する。必要に応じて、インクを水と混ぜて薄めて利用しても差し支えないが、紙に乗せインクが乾いた後は耐水性になり、水をはじくようになる。

私は下記のような使い方が最も多かった。

  1. 下絵を鉛筆で描く
  2. ホルベインカラーインクを原液のままつけペンにつけ、ペンで細部まで描き上げる
  3. その上から水彩絵具ドクターマーチン(水性カラーインク)で着彩して仕上げる

濃い色のインクを水で薄めず原液のまま使うと、鉛筆で下絵を細かく描いても後の工程に支障が出ないため、大胆な絵より緻密な絵に向いている。

ホルベイン社のカラーインクは面ではなく線として使いたかったので、原液をそのまま使うことが多かった。付属のスポイトでインクを取り、コミックイラストで使うようなつけペンに1〜2滴垂らして、ペン画のインクとして使っていた。

逆に、水彩画の筆パレットで耐水性カラーインクを使ったことはない。

つけペンを上から撮影した写真。金属のペン先に木製のペン軸のつけペンが写っている。

↑ つけペン。ペン先(金属部分)をペン軸に取り付けて使用する。

ホルベイン社カラーインクのおすすめの色

使ったことのあるインクの中で、色合いが1番素晴らしかったのは、セピア。

色が優しい。インクが僅かに薄く、1本の線に濃淡をつけることができ、セピアの名に相応しいようなほんのりと淡い雰囲気の作品に仕上がる。ホルベインのセピアは、他の利用者の間でも評価が高いようだ。

ホルベイン社のドローイングインク「SEPIA」を斜め上から撮影した写真。インクの手前につけペンが写り込んでいる。

↑ ホルベインのSEPIA。

ペン画は白か黒か(色つきか)の二者択一で作品が作られることも多く、濃い色のインクを使うと、「強く」「はっきりとしている」雰囲気の作品になる。だがホルベインのセピアの穏やかで落ち着いた色合いを使うと、ペン画であってペン画でないような印象さえ与える。

ホルベイン社のドローイングインク「BLACK」を撮影した写真。インクの手前に白い紙が置かれており、黒いインクで描かれた線が写っている。

↑ ホルベインドローイングインク「BLACK」

次点は、ブラック。こちらは、はっきりと力強い色合い。インクの濃度も濃い。

下書きの鉛筆線の上から原液のカラーインクで描く際、下書きの線が透けないので、下書きが濃すぎたり描きすぎたりしても後工程に影響が出ず、使いやすかった。
ドクターマーチン等の眩い色の水性カラーインクと組み合わせると、強い色同士お互いがお互いを引き立て合い、非常にあざやかで人目を惹く絵に仕上がる。

ただ、線が濃くはっきりと出てしまう上に耐水性なので、描き損じると修正しづらく、悪目立ちする(笑)

「ウィンザー&ニュートン」インクとの違い

「ウィンザー&ニュートン」のカラーインクの瓶を正面から撮影した写真。茶色いリスのイラストが瓶のラベルに描かれている。色は955番バーントシエンナ。

↑「 ウィンザー&ニュートン」のカラーインク。色はバーントシェンナ。

ウィンザー&ニュートン社のドローイングインクも、同じく耐水性カラーインクとして名声を博している。
ウィンザー&ニュートンのカラーインクも1瓶所有したことがあるので、せっかくなのでホルベイン社とウィンザー&ニュートン社のドローイングインクの違いを二三あげてみると…

  • ホルベインドローイングインクはインクの量が倍以上
    インク量はウィンザー&ニュートンは1瓶12ml、ホルベインは1瓶30ml。お値段は、ウィンザー&ニュートンが320~370円、ホルベインが500円。
    色数を多く揃えたい方や学生さんは、ウィンザー&ニュートンの方がおすすめ。瓶もウィンザー&ニュートンの方が小さいので、保管スペースも狭くて済む。
  • ウィンザー&ニュートンのインクはボトルにスポイトがつかない
    ウィンザー&ニュートンはボトルの蓋を開けるとインクしかなく、筆やペンをボトルに直接浸して使う。
    個人的には、スポイトでインク量を調整できるホルベイン社の方が使いやすかった。
  • 「ウィンザー&ニュートン」カラーインクの瓶の蓋を開いて撮影した写真。残り少ないバーントシエンナがインク瓶の底に残っている。

    ↑ ウィンザー&ニュートンは瓶にスポイトがない

ウィンザー&ニュートンも光に弱く、退色には注意が必要。どちらのインクも長期保存する作品に使ったことがないので、退色のしやすさも判断保留。ホルベインは1年程度であればゆうにもった。

またウィンザー&ニュートンの方が、インクの色がやや薄いように感じた。だが、使用する色によってもインクの濃さが違うと思うので、判断は保留する。

「ウィンザー&ニュートン」のインク瓶の背面を撮影した写真。インクの扱い方を英語で記載した、白いラベルが写っている。

↑ ウィンザー&ニュートンの瓶ラベル

長期保有の際のインクの固まりやすさは、ウィンザー&ニュートンの方が固まりやすかった。使用開始後10年程で瓶の底にインクが固まってこびりついてしまい、廃棄せざるを得なくなった。

ウィンザー&ニュートンのインクはボトルの原液に直接筆やつけペンを浸してインクを取らねばならない仕様なので、スポイト式のホルベインと比べ、インクに不純物が混じりやすいためではないかと推察する。ホルベインは使用開始後20年経っても固まる気配さえないので、大したものだ。

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ホルベイン ドローイングインクが生産中止に

2018年6月末にホルベイン社の公式サイトに、ホルベインドローイングインクの生産を終了する旨が掲載された。

【生産終了】ホルベイン「ドローイングインク」は現在庫品をもって販売終了とさせていただきます。
https://www.holbein.co.jp/blog/2018/06/28/258

市場には在庫分のインクがまだ出回っており、当面の間は購入できそうだが、いささかショッキングなニュースだ。
画材屋では既に品切れだったが、メルカリでまだ少量流通しているのを見かけたので、欲しい方はお早めに入手されたし。

ホルベインインクの代わりとなる画材をお探しの方向けに、ホルベイン社が代わりの品を案内するWebページを作って下さっていたので、下記にリンクを掲載する。

エアロフラッシュとドローイング インクが製造終了したと聞きました。代わりの色材はありますか。
https://technical-info.holbein.co.jp/a242?_ga=2.42536353.546016201.1621434089-956841483.1614093936

上記によると、ドローイングインク「セピア」の代替品は用意されていないものの、ドローイングインク「スペシャルブラック」の代替品は、ホルベイン アクリリック インクの「ランプ ブラック」というお品になるらしい。
私自身はまだアクリリックを使ったことがないのだが、これ以上生産終了品が出ないことを願って、製品リンクを共有しておく。

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ホルベイン社のカラーインクを使用した感想

耐水性のカラーインクを使われたことがある方は、どのくらいいるだろう?

ホルベインカラーインクはかつてイラストや漫画の世界では時折見かけたが、社会人になってから通ったデッサン教室・絵画教室では、インクのボトルさえ見かけなかった。
絵画の世界でもアナログからデジタルへの移行が顕著なので、アナログ画材の中でも使用者の少ない(ように思える)耐水性カラーインクは、近年より一層稀な存在になっているのではないかと思う。

ホルベインドローイングインク「チェリーレッド」の蓋を開いたところを撮影した写真。ボトルの蓋についたスポイトが、正面に写っている。

↑ 蓋を開いたところ

耐水性カラーインクは、耐水性であるが故に、ドクターマーチン等の水性カラーインクとは使い方が随分違う。
勿論インクはインクなので、水性カラーインクと同じ使い方をしようと思えば、やってやれないことはない。ただ、水性カラーインクと同じ使い方をしてしまうと「耐水性」というホルベインインクの一番の強みが生かせないので、必然的に使い方が変わってきてしまうのではないかと感じる。
 →水性カラーインク(ドクターマーチンカラーインク)の詳細については、こちらへ

ホルベインドローイングインク「チェリーレッド」を正面から撮影した写真。インク瓶の手前にインクが少量こぼれている。

↑ Cherry Red

水彩絵具や水性カラーインクと併用できる

耐水性カラーインクの一番のメリットは、描いた線の上から水彩絵具や水性カラーインクで着彩ができること。細部まで緻密に描き込んだ絵に、淡い色合いを大らかに大胆に乗せる、という大変楽しい使い方ができる(笑)

仮に水性カラーインクを用いて、上から水彩絵具で着彩すると、インクの線が溶けて滲み、絵が台無しになってしまう。水彩絵具との耐水性カラーインクを組合せてできる絵は、水に溶けない耐水性インクならではの魅力に満ちている。

仕上げの着彩に使う画材は、水彩絵具に限らず、ドクターマーチンなどの水性カラーインクや、ファーバーカステルなどの水彩色鉛筆でも差し支えない。
 → ブログ管理人が使用している水彩絵具の詳細については、こちらへ
 → ブログ管理人が使用している水彩色鉛筆の詳細については、こちらへ

水性カラーインクで着彩すると、人目を惹きつけずにはおかないような、非常に明るく華やかな絵になる。
寄る年波の所為か最近こうした華やかな絵は描かなくなったが、画風や好みが合う方は是非試して頂きたい。フォトジェニックでよく目立つ、写真やSNSと相性のいい絵になる。

「ドクターマーチン カリグラフィー」と従来品の「ドクターマーチン カラーインク」 との違いを検討する

カリグラフィー用と従来品の、2種類のドクターマーチンの違いが分からなかったので情報を整理。

ドクターマーチンカリグラフィーの使い方

ドクターマーチンカリグラフィーは容器が目薬に似た形になっている。プラスチック製の蓋を捻って開き、容器を逆さにして、パレットやカリグラフィーペンのペン先に1〜2滴垂らして使用する。

ドクターマーチンカリグラフィーダイカラー「ジュニバーグリーン」の蓋を開いたところを撮影した写真。インクボトルが目薬の容器に似ている。

↑ 蓋を開いたところ

インクの濃度が濃いので、絵画に使う場合は、小さじ1杯くらいの水を混ぜて薄めてからキャンバスに乗せる方がおすすめ。

カリグラフィーの画材として使う場合は、インクをほぼ原液のままで使う。カリグラフィーペンのペン先にインクを直接垂らし、ペン先を軽く水に浸した後、そのまま紙にペンを走らせてレタリングする。

従来のドクターマーチンカラーインクと、ドクターマーチンカリグラフィーの違い

ドクターマーチンカリグラフィーダイカラーと従来版ドクターマーチンカラーインクを前後に並べて撮影した写真。

↑ 手前がドクターマーチンカリグラフィーダイカラー、奥が従来のドクターマーチン

ドクターマーチンカリグラフィーのインク液そのものは、従来販売されていたドクターマーチンと同じ色名・インク液ともに同じだと思う。筆者の手元にある従来のドクターマーチンとドクターマーチンカリグラフィーとを見比べてみたが、私には違いが分からなかった(笑)
ドクターマーチンカリグラフィーのインクの濃さや滲み方も、ガラス版入りの従来品ドクターマーチンと差はなかった。

ドクターマーチンカリグラフィーを使用してみてざっと気付いた違いは、下記の通り。

ボトル瓶がプラスチック製でスポイトがない

従来のドクターマーチンは、透明なガラス製の瓶にインクが入れられている。ガラス容器は鑑賞に耐えるほど美しく、蓋にスポイトが付けられていて、スポイトでインクを適量取って利用していた。

反面、ドクターマーチンカリグラフィでは、プラスチック製のボトルが採用されている。ボトルは目薬の容器に似ており、蓋を外し側面を軽く押すと、1滴ずつ液が出てくる仕組みになっている。スポイトは付属していない。

カリグラフィはつけペンのペン先に直接インクを垂らして使うので、スポイトを介さない分こちらの方が使いやすいのかな、と感じる。
プラスチック製で大きさが小さい分、重さも軽い。割れる心配がないのでうっかり床に落としても問題がなく、持ち運びもしやすい。

難点としては、プラスチックボトルの外からインク液を眺めても、インクの色合いが分かりづらいこと。実際にインクを紙に落としてみるまでは、どんな色合い・風合いを持っているインクか分からず、色チャートを作ったり経験で覚え込ませることになる..。

インクの量が少なく、値段が安価

ドクターマーチンカリグラフィーは10ml、340円。従来のガラス瓶ドクターマーチンは2分の1オンス(14~15ml)で560円。

ドクターマーチンカリグラフィーダイカラー「ゴールデンブラウン」と「ジュニバーグリーン」を正面から撮影した写真。

↑ 外観

ドクターマーチンカリグラフィーの方が、1本あたりの単価が安いため、色数を多く揃えることも可能。
ドクターマーチンはインクの色が濃いので、容量10mlでも1本買うと相当長い間利用できる。趣味で絵画やカリグラフィーを描かれるなら、ドクターマーチンカリグラフィーで揃えられた方が、出費を抑えられる。

公式サイトでは販売されていない?

プラスチック製ボトルのインクは、公式サイト↓で売られていないように見受けられる。日本限定の製品だろうかと思案しているが、情報がないため詳細は不明。

Dr. Ph. Martin’s
https://www.docmartins.com/

ドクターマーチンカリグラフィーダイカラーの容器背面を撮影した写真。小さな文字で注意書きが書かれている。

↑ 容器の背面

ドクターマーチンカリグラフィーを使用した感想

ドクターマーチンを買い足す際、気まぐれでドクターマーチンカリグラフィーを2〜3本購入した。インクそのものに従来品との違いを感じないため、従来品と同様、水彩絵具や従来のドクターマーチンと混ぜて使っている。

ドクターマーチンカラーインクを6本机に並べて撮影した写真。左から順に、「レモンイエロー」「シクラメン」「バーントオレンジ」「トゥルーブルー」「クリムゾン」「アルペンローズ」。

↑ 従来のドクターマーチン

少量&プラスチックボトルなので従来品より扱いやすいのだが、個人的には、従来品のガラスボトルに青春の思い出と根強い愛着があるので、ドクターマーチンカリグラフィーはこれ以上買い足さないかな、という感想。

逆に、今まで全くドクターマーチンカラーインクに触れたことがなかった方にとっては、少量&安価なドクターマーチンカリグラフィーの方が、初期コストを抑えられ敷居が低くそうだとは感じた。

追記:ドクターマーチンカリグラフィーを使うデメリット

2本所有していたドクターマーチンカリグラフィーのインクボトルが、ある日気づいたときにはボトル内の液がカピカピに乾燥し、2瓶とも使い物にならなくなっていた。非常にショック。購入してまだ7~8年しか経ってないのに。

7~8年経過というと、「十分長いわ!」とお叱りを受けそうだが、ガラス瓶に入った従来のドクターマーチンであれば、10年はゆうにもつ。私が所有している最も古いドクターマーチンは30年前に購入した1瓶だが、ボトル内は未だに液状を保っており、色も現役である。凄いを通り越して、恐ろしい。

単なるインクでありながら畏怖すら感じさせる凄さがあるのがドクターマーチンという画材なのに、ボトルがプラスチック製に代わっただけで、こんなに早く駄目になってしまうとは。正直想定していなかった。
「カリグラフィーボトルのインクには悪いことをしたな…」と反省しつつ、人様にドクターマーチンカリグラフィーをおすすめするのを止めることにした。

製作で使用している画材紹介 ~ 水彩絵具・パレット・筆 ~

水彩は先生に師事して専門的に学んだことがなく、水彩画の技法本を読み漁っての独学。なので、間違っている箇所があったらごめんなさい。

水彩絵具

コープ水彩絵具

中学の美術の授業で買い与えられたものを、未だにメインで使っている(笑)

学生時代の絵具を愛用している最大の理由は、使い慣れた絵具の方が、色を混ぜた際にでき上がる色を想像しやすいから。
絵具を単色で使うならカラーチャートを作っておけば事足りるが、水彩絵具は2色~5色以上混色して使うことが圧倒的に多いので、混色のしやすさは欠かすことのできない重要ポイントの1つ。
作業の速さから作品の出来栄えまで、製作全般に大きく影響してくるので、少なくともあまりに使いづらい絵具は使わないことにしている。

焦茶色の木机の上に、6本の水彩絵具をのせて、絵具に近づいて撮影した写真。Coop水彩絵具の空色・青・黄灰色・焦茶の絵具チューブが乱雑に転がっている。

また、このコープ水彩絵具には、「きはいいろ(黄灰色)」や非常に赤みの強い「あかむらさき(赤紫)」など、「何でこれが一般向けの製品に入っているんだろう?」と首を捻りたくなる色が何本かあり、それらが私の好みに大変マッチして良い仕事をしてくれている(笑)

ホルベインやターナーなど他のメーカーでも、探せば似たような色には巡り合えると思うが、1つの画材に慣れ、その魅力を引き出すまでには時間がかかるし、自分でもちょっと意味が分からないほどコープ水彩絵具から離れる気にならないので、当分このままでいいかと思っている。

透明なビニール袋に入ったコープの水彩絵具19色セットを茶色い床に置き、撮影した写真。水彩絵具セットの手前には、青色と紫色の絵具のチューブが1本ずつ置かれている。

派手な色がなく、どの色も使いこなせるのも有難い。

Dr.Martin カラーインク(読み:ドクターマーチン)

サブの水彩画材として、ドクターマーチンカラーインクは非常によく使う。

青色・緑色・黄色のドクターマーチンカラーインクを白い紙の上に立てて並べて、ラベルの正面が写るように撮影した写真。美しいガラス瓶のボトルが、無造作に並べられており、どのボトルも中の液体が半分くらいに減っている。

ドクターマーチンのインクを使うと、通常の水彩絵具にはない透明感とあざやかさを出せる。が、ドクターマーチンを単色で使うとあざやかすぎて、そこだけキャンバスから浮いてしまうので、上記のコープ水彩絵具と混ぜて使うことが多い。

ドクターマーチンのカラーインクを使うと、多少絵が下手でも美しい色合い・グラデーションが簡単に作れてしまうので、若かりし頃に水彩へのめり込むきっかけを作ってくれた製品でもある。
本当に色合いが美しく、使うのが楽しくなるカラーインクなので、一度も使われたことのない方はぜひ一度試してみて頂きたい。初めての方には、蛍光色のないシンクロマチックシリーズが、使いやすくておすすめ。
 → ドクターマーチンカラーインクの詳細については、こちら

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ホルベイン透明水彩絵具

上記2つの絵具でも欲しい色がない場合は、ホルベインの透明水彩を使っている。

ホルベイン水彩絵具のチューブ2本を、チューブの近くで撮影した写真。チューブの色はそれぞれ、オペラ(あざやかなピンク色)と、パーマネントイエローディープ(明るい山吹色)。

↑ ホルベイン透明水彩

コープ水彩絵具より値段が張るが、10年以上引き出しに保存していても、チューブが錆びたり絵具が乾燥したりすることがなかった。色数も豊富に揃えられるので、色が足りないと感じることがなく助かっている。個人的に黄色から青にかけての色が好みなのだが、緑と青と灰色が絶妙な割合で混ざっている色↓ような、好みだが自分ではぱっと作りづらい色も用意されている。

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また、水彩画の技法書には、素敵な水彩画を掲載し、その水彩画を描く際に実際に使用した絵具のメーカーや色名を、合わせて記載しているものがある。
「真似して描きたい!」と思って色名を見るのだが、「ローアンバー+ウィンザーバイオレット+カドミウムレッド」(京都の古い家並みの板壁の色)など、「手持ちのCoop水彩絵具に当てはめると何色ですか?」としょんぼりする色名が記載されていることが多い(笑)

「メイン画材はホルベインなどの有名処にしておいた方が、水彩を学ぶのが早まったかな…?」と今になって思うが、学生の頃から染みついた習慣はそう簡単には取れそうにないので、今から学ばれる方は反面教師にして欲しい…。

茶色い床に赤い箱に入ったホルベインの透明水彩絵具が蓋を開いた状態で置かれている。箱には緑や茶色や赤の水彩絵具チューブが真新しい状態で入っており、箱の手前に黄色とピンクの水彩絵具チューブが置かれている

もし購入を検討される場合は、最初は色数を多く揃えなくていいと思う。
水彩は何といっても、色や水を自由に混ぜ、微妙な色合いや濃淡を作って楽しめるのが魅力なので、最初から何もかも色を揃えてしまっては勿体ない。
私がコープ水彩絵具19色セットで不満を感じないように、最初はせいぜい20色もあれば十分じゃないかと思う。

ただ、水彩画では通常、白い絵具はほぼ使わない。白絵具と他の色を混ぜると色が濁るし、原色そのままで使うと目立ってしまい、白を塗ったところだけキャンバスから浮いてしまう。
個人的な意見としては、白チューブの入っていない透明水彩絵具セットを売った方がみんな絵が上達していいんじゃないかと思うが、ホルベインもターナーもウィンザーアンドニュートンも、絵具セットにデフォルトで白色が入ってしまっている…。

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水彩パレット

折り畳み式プラスチック製パレット

中学生の頃から、ずっとこのパレットを使っている。未だにあまり不足を感じないところが凄い。

白いプラスチックの水彩用パレットに、赤や黄色や青色や紫色の水彩絵具が乗せられている。パレットの手前には、使い古した筆が1本添えられている。

このパレットは折りたたみ式になっており、数多くの絵具を乗せてそれらを一度に把握することができ、かつ、混色するスペースが広いところが気に入っている。

amazonなどを眺めていて、絵具を置くスペースが広いパレットと、色を混ぜるスペースが広いパレットの大きく二通りがあるように感じた。絵具を置くスペースが広いパレットは、大きな絵を制作する方向けだろうか。個人的には、混色であれこれ試行錯誤して、小さめの絵を描きたい派なので、混色スペースの広いパレットの方に軍配が上がる。陶器でできたお皿のようなパレットもあるが、屋外制作などがあるなら、軽さや取り扱いのしやすさを踏まえてプラスチックパレットの方が良いのではないかと思う。室内制作がメインで大きな絵を描かれる方なら、陶器パレットもありかも。

白いプラスチックの水彩用パレットに、赤や黄色や水色や紫色の水彩絵具が乗せられている。絵具はすべて乾燥してカチカチに固まっており、パレットには、赤や黄色を混色している跡が残っている。

また、水彩ではパレットは殆ど洗わない。プロの方も洗わない、というのをどこかの本で読んで以来、根がものぐさなのですっかり洗わなくなってしまった。軽く10年以上洗っていないように思う。代わりに、絵具を混ぜる広い部分が汚れてきたら、水を浸した古布でふき取っている。

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チョコレートの箱のパレット

最近変わり種のパレットも使い始めた。チョコレートが入っていた小箱が、Van Gogh(ヴァン・ゴッホ)の固形水彩絵具の入れ物にぴったりだったので、試しにパレットとして使ってみている(笑)

Mary'sのおしゃれなチョコレートの紙箱にVan Goghの固形水彩絵具の詰めてパレットにした写真

Van Goghの固形絵具を普通のプラスチックパレットに乗せて使おうとすると、動いた拍子に絵具が床に落ちてしまい困っていたので、当面この菓子箱パレットを使って様子を見てみようと思っている。

Mary'sのおしゃれなチョコレートの紙箱にVan Goghの固形水彩絵具の詰めてパレットにしたもの(拡大図)

水彩筆と筆入れ

水をよく含む柔らかい筆が、使いやすいように思う。

木製の台の上に、左から順に折り畳み式プラスチックパレット、使い古した筆、プラスチック製の丸い筆入れが置かれている。プラスチックパレットは、古びており、ところどころ絵具で汚れている。

この筆のほかに、細かい部分を描く細い筆と、水を画面いっぱいに広げられる太い筆を併用しているが、筆は3~5本あれば十分事足りる。筆を買い揃えるより絵具を買い揃えた方が、制作の幅が広がりそう、と個人的には思う。

↓ この3種があると便利。

水彩画をたくさん描かれるなら、上の写真↑の左端に写っている平筆は1本あると便利。無くても描けるが、水彩画は広範囲に水や薄めの水彩絵具を塗ることが多く、その上から絵具を落として滲ませて着彩することも多いので、均一な濃さでぱぱっと広い範囲を塗るには、平筆が一番楽だと思う。

その後描き込むように塗る時は、中央の丸い筆を使い、最後に細部を仕上げたい箇所だけ、右端の細い筆を使う。それぞれの筆の太さはお好みで。自分に合う筆の太さは、描く絵のサイズや描き手の個性にもよると思うので。

ちなみに筆入れも、中学校の美術授業で買い与えられたものを未だ使用している。長い筆を入れても筆先が決して潰れない、という入れ物が意外に見当たらず、結局この筆入れに落ち着いた。軽いし透明なので、筆の入れ忘れも少ない。

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水入れ

水入れには全くこだわりがなく、ジャムの空き瓶や和風だしの入っていたプラスチックのボトルを転用している。
たっぷりの水で絵具を溶かすと水彩特有の透明感が出るそうなので、コップより大きいサイズの入れ物を使う方が、水彩絵具の良さを生かせると思う。

鉛筆デッサンで使う画材の紹介 ~ 紙 ~

デッサン初心者は紙質にこだわるより、紙の大きさを気にした方が良いと思う。中級者&上級者は、目の細かい紙を使う方が、細部を誤魔化せないので、より技術が高まる。

デッサンで使う紙の種類

絵画教室ごとに、使う紙は異なっていた。

初心者向け 〜ワトソン紙〜

N先生の個人絵画教室でデッサンを学んでいた際は、ワトソン紙のスケッチブック「Muse Cubi」を用いた。

"Muse Cubi"のクリーム色のワトソン紙のスケッチブックを、間近で撮影した写真。ぼこぼことした紙の質感が写っている。
↑ ワトソン紙

当時、デッサンを一度も学んだことのない素人だったが、最初に学んだ時の紙がワトソン紙で、本当に良かったと思う。

初心者はどうしてもデッサンが下手なので、ケント紙のようなつるつるの紙で描くと、絵の下手さが目立ち、描くのが嫌になる(笑)
ワトソン紙はクリーム色で紙の表面がぼこぼことしているため、描くと絵にあたたかみが出る。素人が描く拙い絵とも雰囲気が合い、拙い絵をそれなりに人に見せられる作品へと昇華してくれた。

描き心地が良く、鉛筆を塗り込むと柔らかい雰囲気に仕上がるこの紙が好きで、デッサンを学んでいる時は紙に一度も不満を感じることなく過ごしていた。

緑色で「Muse Cubi」というロゴが書かれたミニサイズの茶色いスケッチブックを撮影した写真。中にはクリーム色のワトソン紙が綴じられている。

また、デッサン初心者は、紙の目の細かさや厚さにこだわりすぎるより、デッサンの師につき、そこそこの紙と鉛筆で5枚10枚と描き続け、デッサンの基礎を血肉とすることの方が、はるかに大切。

初心者が唯一強くこだわるべきなのは、紙の大きさくらい。ハガキサイズなど小さすぎる紙は、細部が描き込めないのでデッサンには適さない。(A3サイズくらいの紙がいい)

先生は「ワトソン紙は水彩画でもパステル画でも映える」と仰られていたが、私は鉛筆デッサンのみに使ってしまってので、水彩等での描き心地や出来栄えの良し悪しは分からない。

ブログに掲載中の作品だと、古いランプ川の風景画が、ワトソン紙を使用して描いたもの。

上級者向け 〜画用紙〜

美術大学向けやプロ養成校でもあるデッサン教室で、一時期学んでいたことがある。その教室でデッサンの練習をする際に使う紙は、面白いことに、ごく普通の市販の画用紙の「裏面」だった(笑)

画用紙は教室の事務局で1枚50円で売られており、アイロン台ほどの大きさで、おもて面はでこぼこしているが、裏面はつるつるしている。デッサンの時は、つるつるしている面を表にして、紙全体を使うように描き込んでいく。

その教室で学んだデッサンは、実物と見紛うような緻密なデッサン画だった。画用紙のおもて面のようにでこぼこした紙では、緻密な描写に不向きだったためだろう。でこぼこした紙は、細部が描き込めず、凹んだ箇所には鉛筆の粉ものらない。細部も誤魔化せない紙で学ぶ方が、よりデッサン力がつくと感じる。ただ、描き心地は良くない(笑)

このブログには、過去に自分が描いたデッサンを何点か掲載しているが、グラス紙コップなどはこうした画用紙(裏面)に描いたもの。

紙の選び方

デッサン修行をするという前提で、絵画教室で学んだことを書き留めておく。

紙の大きさ

スケッチブックでも1枚紙でも、紙は大きい方が良い。
N先生の教室とT先生の教室ではF4サイズ(縦33cm×横25cm)のスケッチブックでデッサンを習い、Aスクールでは小学校の机と同じくらいのサイズの画用紙で教わった。

大きい紙でデッサンを学ぶと、実物よりもモチーフを大きく描くことになるため、描く対象の細部にまで気を払うようになる。というより、紙が大きいと細かい部分のごまかしがきかないので、否応なく細部にも注目せざるを得ない。

紙の厚さ

画用紙や厚紙くらいの厚みがあるものを使う。コピー紙のようにぺらぺらの紙は、クロッキー帳のように短時間に何枚も描く場合は都合がいいのだが、12時間以上かけてデッサンする時に使うと、机の硬さが手にダイレクトに伝わり、描き辛い。最悪の場合、紙の端が折れる可能性もある。

1枚紙のものは、めくれたりしないようカルトン(作品を挟んで保管する道具。硬いので画板にもなる)に乗せ、クリップで上部を2箇所固定して描いていた。

一般的に、紙が厚くなるほど、お値段も上がる。デッサンはある程度枚数を描かないと上達しないので、費用が嵩まないよう、厚すぎない紙を選ぶことも大事。

紙の種類

デッサンとして使う紙ならさほど気にしなくて良いと思う。以下、デッサンではなく作品を作るという前提で記載。

正直なところ、身銭を切って何種類が試してみるしかない、という月並みな助言しかできない..。画風や好みによって、最適な紙は一人一人違う。

細目・中目・粗目を例にあげるなら、どなたでも使いやすいのは中目だが、ものの細部を緻密に書き込みたい方には細目の方が使いやすいだろうし、私のように細部より作品の持つあたたかさを優先させたい場合は、粗目の方がいい仕事をすると思う。

ワトソン紙とクラシコ・ファブリアーノ紙は個人的に好きなので、機会があれば一度試してみて頂きたいと思う。

木炭鉛筆(チャコールペンシル)で木炭デッサンに慣れる

木炭デッサンに苦手意識が強い人間だが、木炭で石膏像をデッサンしていた時期は、少しでも木炭に慣れるべく、チャコールペンシルを入手してあれこれ試行錯誤してみた。

チャコールペンシルとは

Derwentのチャコールペンシル(木炭鉛筆)(Mediumとlight)3本とholbeinの白い擦筆1本が灰色のカーペットの上に並んでいる

↑ 我が家の木炭鉛筆3本と擦筆1本

芯が木炭でできている鉛筆。普通の鉛筆の様に芯が木炭で芯の周りが木でできているものと、 鉛筆全体が木炭でできているものとがある。
芯の濃さや硬さによって、LightやMidium、2Bや4Bや6Bなど、同じメーカーのチャコールペンシルでも何種類かに分かれる。

1本200〜300円くらい。主に画材屋さんで売られているが、LOFTの文具売場の画材コーナーでも販売されている(Derwent社の木炭2本はそちらで購入)

Derwentのチャコールペンシル(木炭鉛筆)(Mediumとlight)で白い紙に試し書きしているところを、真上から撮影した写真。芯の濃さの異なる3本の木炭鉛筆が写っている。

↑ 木炭鉛筆で試し書き。それぞれ微妙に濃さや芯の硬さが異なる

長さや重さは、普通の鉛筆とほぼ同じくらい。
使い方は、画材用の木炭とほぼ同じ。細密画は描けないが、鉛筆と同じような使い方もできる。

持ち運べる木炭

普通のデッサン用木炭は、手荒な扱いをするとすぐに砕けてしまうので、持ち運びに難儀する。だがチャコールペンシルなら、木炭の露出している部分をペンシルホルダーに入れてしまえば何とか持ち運びに耐えるので、木炭修行時代に鞄に入れて持ち歩いては、木炭画の練習をしていた。(とはいえ、気を抜くとぽっきり折れてしまうが…)

Derwentのチャコールペンシル(木炭鉛筆)のMedium 1本とlight 1本とメーカ不明のもの1本の鉛筆の先を拡大した図。手前の1本は持ち手の部分が割れており、短いチャコールペンシルに金属製の鉛筆ホルダーを継ぎ足してある

↑ 折れてしまった木炭鉛筆。短くなってしまっても、鉛筆ホルダーを付けるとまだ使える

当時持ち運んでいた頃は、普通のプラスチック筆箱や布筆箱に入れて運んでいたが、今振り返ってみると、布製のペンシルホルダーに入れて持ち運んだ方が良かったと思う。布製ペンシルホルダーは、鋭く尖らせた鉛筆や色鉛筆でも芯を折らずに持ち運ぶことができる筆箱なので、木炭鉛筆も折らずに運べるはずだ。
 → 布製ペンシルホルダーについては、こちらへ

木炭鉛筆で練習する際は、紙にはこだわらず、コピー紙に書いたり、小さく切った画用紙に描いたり、クロッキー帳に何枚も描いたり。30cm以上の長い線を引く練習をしたり、広い面積を塗ってみたり、手を描いてみたりと、とにかく少しでもデッサン木炭に慣れて、木炭を好きになれるよう、チャコールペンシルに触れる時間を長くしていた。

木炭鉛筆でノートにiPhone5の充電ケーブルを描いた絵。黒1色で描かれている。

↑ Derwentの木炭鉛筆で、7mm罫線のノートに描いたiPhone充電ケーブル。

細密画のような精確な絵を描くには適さないが、ポストカードサイズの絵であれば問題なく描ける。上記の絵↑も、実物の大きさはハガキ半分くらいしかない。木炭でこうした小さな絵や細かい描き込みができるのは、木炭鉛筆を使う大きなメリットの1つだと思う。

使用する紙にもよるが、外出先で描いていても練り消しゴムを使えば、線を少し消すくらいのことは可能。着彩は試したことがないが、水彩を塗った上に木炭鉛筆で描き足したり、色鉛筆で色を足すくらいのことは出来るのではないかと思う。

チャコールペンシルを使う際の注意点

折れやすい

木炭鉛筆の芯は、色鉛筆の芯よりもはるかに折れやすいので、持ち運びには十分注意が必要。特に、コンクリートや石の床には落とさないように。
私は、床に落とした時と、他の文房具とごちゃ混ぜにして鞄で持ち運んだ時に、チャコールペンシルを折ってしまった…。

木炭の粉が飛び散りやすい

鉛筆の形をしているとは言え、芯は木炭なので、描いた線は木炭の粉が飛び散りやすい。
クロッキー帳など多少粉が散っても問題ない紙を使うか、描いた後フィキサチーフ↓(=定着剤。スプレーの形をしており、パステル画や木炭画など画材の粉が飛びやすいものに拭きかけて、粉落ちを防ぐ)をかけて、早めに粉を定着してあげた方が良い。

絵画教室で本格的に木炭画を習った時は、描き上げて絵にサインを入れた後、仕上げにフィキサチーフをかけていた。フィキサチーフは、粉の飛びやすい鉛筆デッサン・鉛筆画でも、同じ方法で使用できる。

おすすめのカラーインク「ドクターマーチン」の紹介(使い方など)

透明度が高く、発色があざやかなカラーインクをご紹介。

ドクターマーチン カラーインクの説明

ドクターマーチンは、1934年にアメリカで生まれたカラーインク。水溶性の染料から作られているため、透明度が高く発色があざやかで、日本でもアマチュア画家からプロのイラストレーターに至るまで、幅広く愛されている。

ドクターマーチンの青色・緑色・黄色のカラーインクを白い机の上に並べ、正面から撮影した写真。向かって左に青系、中央に緑系、右に黄系のインクが立てて並べられている。どの瓶も透明ガラスのボディに黒いゴム製のキャップがついている。
ドクターマーチンの赤色・紫色・オレンジ色のカラーインクを白い机の上に並べ、正面から撮影した写真。向かって左がオレンジ系、中央に赤系、右にピンク系のインクが立てて並べられている。どの瓶も透明ガラスのボディに黒いゴム製のキャップがついている。
↑ 寒色系と暖色系のドクターマーチンカラーインク。
自宅に30本以上あるので、全部は写真に入らなかった…。

画材屋で1色ずつ小瓶に入った姿で売られており、1瓶500円程で購入できる。

ドクターマーチンの使い方

まず、瓶をしっかり振る! ドクターマーチンには2種類のシリーズがあるが、液が透明なシンクロマティックシリーズに対し、ラディアントシリーズは顔料が瓶の底に沈んでいることが多い。

ドクターマーチンの黄色いカラーインク2本を背面から撮影した写真。左がシンクロマティック、右がラディアント。透明なシンクロマティックに対し、ラディアントは顔料が沈殿している。

↑ 左がシンクロマティック、右がラディアント。透明なシンクロマティックに対し、ラディアントは顔料が沈殿している。

使う前にガラス瓶ごとしっかり振って、底に溜まった顔料がなくなったのを確認してから、蓋を開く。

ドクターマーチンの黄色いカラーインク2本を背面から撮影した写真。左がシンクロマティック、右がラディアント。左のボトルの液は、沈殿物がなく半透明。

↑ 右の瓶だけよく振ると、こんな感じに。

黒プラスチックの蓋を回して開くと、蓋の内側がスポイトになっている。蓋の上部は黒いゴムでできており、ゴムの部分を軽く押すと、スポイトとして使える。

ドクターマーチンのカラーインク「2A Lemon Yellow」の蓋を開けスポイトでインクを吸ったところを正面から撮影した写真。茶色の木机が写真に写りこんでいる。

↑ ガラス瓶の蓋を開けるとこんな感じ

スポイトでパレットに1滴ずつドクターマーチンのインクを垂らし、水や他の絵具と混ぜて利用する。
この時、一度にたくさんの量を出さないこと! ドクターマーチンのインクは非常に濃い。インク1滴に対し、小さじ1くらいの水を混ぜて使えば十分。

ドクターマーチンカラーインク「28B セピア」の原液を、使い古した白いパレットに置いた写真。原液が濃すぎて、焦茶色のはずの液が、黒いインクにしか見えない。

↑ 「28B セピア」の原液を、パレットに置いた写真。液の濃度が濃すぎて、黒いインクにしか見えない…

ドクターマーチンカラーインク「28B セピア」に、小さじ1の水を混ぜた後、撮影した写真。液の色が分かるようになった(笑)

↑ 28Bセピアに、小さじ1の水を混ぜた後。ようやく液の色が判別できるようになった(笑)

ドクターマーチンの使用上の注意

ドクターマーチンは光に弱く、長時間光に当てると退色してしまうので、ドクターマーチンで描いた絵を長期保存するには、直射日光に当たらないようスケッチブックに挟むなど、注意が必要。

ドクターマーチンを長時間パレットに載せていると、パレットに色の跡がつくことがある。こうなると水で洗っても取れないので、ドクターマーチンインクをパレットで使い終わった後は、水を含ませたティッシュで拭くといい。
跡が残っても、次に別の色をのせた時パレットから色が染み出してくるようなことはないように思うので、色跡のついたパレットも捨てずに使える。

また、Radiant Concentratedのシリーズには蛍光の顔料などが入っており瓶の底に沈殿しているので、使う前によく振り、液と沈んだ顔料を混ぜ合わせてから使用する。

Radiant ConcentratedとSynchromatic Transparentの違い

ドクターマーチンには、大きく分けてRadiant Concentrated(読み:ラディアント)とSynchromatic Transparent(読み:シンクロマティック)の2種類がある。両者の違いが長年の謎だったが、Dr. Ph. Martin’sの公式ウェブサイトのFAQページに明記されているのを見つけたので、引用。


Radiant ConcentratedとSynchromatic Transparentの違いは何ですか?

Radiant Concentratedは、高度に濃縮された液体の染料です。お使いになる前には振って頂く必要があります。Radiantには顔料が含まれており、フィルムの広い範囲に乗せると霞がかったように(半透明に)なります。RadiantはSynchromaticよりずっと明るい色合いで、Radiant Concentratedの56色のラインナップには、蛍光色が12色あります。

Synchromaticは完全なる透明で、使用前に振る必要はありません。フィルムの上でも全くの透明で、写真印画紙やフィルムの画像修整、手作業での着彩においてコダック社より推奨されています。Synchromaticのラインナップは全38色で、#24, #28, #37の3色だけが蛍光色です。まばゆさにおいて、SynchromaticはRadiant Concentratedにやや劣っています。両ラインナップの色の殆どは、混色することができます。

※注:和訳は本ブログ管理人による

つまり、

  • Radiant…半透明で、高濃度で、超まばゆい
  • Synchromatic…透明で、超ではないがまばゆい

ということらしい。

ドクターマーチンの公式サイト

公式ウェブサイトを見つけたのでリンク。
Dr. Ph. Martin’s https://www.docmartins.com/

サイトは英文表記のみだが、カラフルで美しい製品を眺めているだけでも面白かった。

ドクターマーチンを使用した感想

ドクターマーチンのカラーインクが大好きだ。透明水彩も好きだが、カラーインクの発色の良さ、あざやかさ、色の透明感がとにかく好きで、プライベートで水彩絵具を利用するときは、よくカラーインクを混ぜてしまう。

ドクターマーチンは、イラストを描かれている方の間では有名なインクなのだが、絵画教室やデッサン教室に通われている方はご存知ない方の方が多く、驚いた。

もし水彩絵具や水彩色鉛筆で作品を作られる方で、ドクターマーチンのカラーインクをお使いになられたことがない方がいらっしゃったら、是非一度試してみて頂きたい。描ける作品の幅が広がり、水彩で絵を描くのがより楽しくなると思う。(自分がそうだったので)

ドクターマーチンのカラーインクで作った手作りの色見本(色チャート)を、白い机に3枚並べて撮影した写真。赤系・青系・黄系の3つに分類されて、3枚の白い紙に各色が乗せられている。
↑ 水彩紙に塗るとこんな感じ

上記の写真のピンク色の部分を見ていただけると分かりやすいが、蛍光色に近い色みを持った絵具が多く、水彩絵具・油絵具・水彩色鉛筆とは趣が異なる。カラーインクのみで用いると、良く言えば「見栄えのする」、悪く言えば「派手な」作品ができあがる(笑) 透明水彩など、別の水彩絵具に混ぜて用いると、発色の良さはそのままに派手さが抑えられ、あざやかで仕上がりの美しい作品になる。

とにかくよくもつ

ドクターマーチンは、どの色もインクの濃度が非常に濃い

パレットの上でインクの5倍~10倍程度の水を足すと、ようやく普通の絵具の濃さになる印象を受ける。うっかりインクを直接画用紙に垂らそうものなら大惨事になるが(笑)、濃い分1瓶買うととにかく長持ちする。
私が一番最初に購入したインクは、レモンイエローとアルペインローズだったが、どちらも、15年以上経った今も、未だに現役で活躍している。

何色かの中でどれを購入しようか迷われた時は、濃い方の色を購入される方がおすすめ。(例えば、薄い赤色ではなく、深紅の赤色のものを) 濃い絵具は水でのばして薄めることができ、色が濃い分、薄い色よりも長持ちする。

おすすめの色

個人的なおすすめは、セピア(ラディアント・28B)・レモンイエロー(シンクロマチック・1番)・ローズマダー(シンクロマチック・36番)。この3色は、蛍光の色みが少なく、初めての方にも扱いやすいと思う。特にセピアの落ち着いたブラウンと、レモンイエローの突き抜けるような明るい黄がないと、どうも絵がシャキッとしない気がして、よく使ってしまう(笑)

SynchromaticとRadiantのどちらがおすすめかと問われれば、自分はまばゆさより透明感重視なので、Synchromaticシリーズの方がおすすめ。
シンクロマティックシリーズは着色料の沈殿がない分、使いやすさもSynchromaticシリーズの方が上。蛍光色が好きで華やかさ重視なら、Radiant。だが、正直自分はあまりシリーズの差を意識せず、色が絵に合うかどうかだけで使うことも多い。

カラーインクに適した紙を選ぶ

カラーインクを利用されるなら、可能であれば、キャンバスの紙質にもこだわってあげてほしい。紙によって、インクの発色があざやかなものと、そうでないものがある。
個人的なおすすめは、マーメイドリップルとクラシコ・ファブリアーノ

どちらも表面がでこぼことした紙で、お値段が少しお高めだが、カラーインクとの相性が良く、カラーインクの一番の魅力である色の透明さとあざやかさを引き立ててくれる。

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資金に余裕がある方であれば、最初はシンクロマチックかラディアントのどちらか1セットだけを買い、後は必要に応じて1本ずつ描い足されると、自分の画風に合う色に出会いやすいと思う。ちなみに、ドクターマーチンに出会った当初中学生だった自分は、懐と相談して、1本ずつ細々と買い足した(笑)

「デッサン・絵画用 鉛筆ホルダー(30本収納)」 Derwent(ダーウェント)

鉛筆デッサンの必需品。この布ペンシルホルダーのお陰で、画材の持ち運びが随分楽になった。

Derwent(ダーウェント)社の鉛筆ホルダーの説明

芯を尖らせた鉛筆30本を、折ることなく持ち運ぶことが出来る道具。

布ホルダーの真ん中がゴムバンドになっており、ゴムバンドの間に鉛筆を1本ずつ挟み、巻物のようにくるくると巻いて、ボタンで留めて持ち運ぶ。ホルダーの右端には、練り消しゴムやカッターナイフなどの小物を入れることができる小さいポケットがついている。

derwent社のペンシルホルダーを拡大した写真。

↑ 拡大図。

Derwent(ダーウェント)社の色鉛筆ホルダーを開き、濃さの異なる三菱鉛筆uniを12本収納した図

Derwent(ダーウェント)社の色鉛筆ホルダーの右端を拡大した図。幅の広い茶色のゴムバンドに金属製の鉛筆ホルダー2本が格納されており、革製の小ポケットにはデッサン用の練り消しゴムが格納されている

Derwent(ダーウェント)社の鉛筆ホルダーを使用した感想

デッサン教室に自転車で通う際、折角カッターナイフできちんと尖らせておいた鉛筆の芯が自転車の振動で2本も3本も折れてしまうため、思い切ってこちらのペンシルホルダーを購入してみた。
上質な素材で出来ているのか、使っていて心地良く気分が落ち着くところもお気に入りだが、機能的にもとても優秀だった。

ダーウェント社製のペンシルホルダーで色鉛筆を保管している写真。

↑ ペンシルホルダー拡大図。

鉛筆の芯を折らずに、10本以上同時に持ち運びできる

まず、鉛筆が何本でも入るところが素晴らしく良い。
鉛筆デッサンの際、描く題材によって4H、2H、H、HB、B、2B、4B、6Bと、濃さの違う8種類の鉛筆を使い分ける。また、描いていて芯が折れてもすぐに別の鉛筆に移って描き続けられるよう、よく使う2H鉛筆・H鉛筆・HB鉛筆・2B鉛筆に関しては鉛筆を各2本ずつ用意している。

すると、鉛筆だけで最低13本必要で、更に練り消しゴム(明るい用と暗い用の2種類)、鉛筆を削るためのカッターナイフ、短い鉛筆のための金属製のペンシルホルダーまで使っていると、毎回かなりの道具を持ち歩くことになり、今までは筆箱がごちゃごちゃになってしまって大変だった。

このペンシルホルダー購入後は、全てこのホルダーの中に、定位置を決めて収める事ができるようになったので、毎週末繰り広げられていた筆箱カオスからようやく解放された。

あと、アスファルト片道40分の自転車通学でも、不思議なほど鉛筆の芯が折れない。元々色鉛筆用(鉛筆よりも芯が柔らかく折れやすい)のペンシルホルダーである所為かもしれないが、1cm以上芯を伸ばした鉛筆でも折れないのだから、大したものだ。
デッサンをする時、鉛筆の芯が尖っていないと作品の仕上がりが悪くなるので、芯を折れずに持ち運べるのは重宝している。

ここ2~3年は水彩色鉛筆・油彩色鉛筆も持ち運ぶようになったが、こちらもやはり芯は折れない。

耐久性が高い

使用し始めてから週1で使って10年近く経過したが、1度も壊れることがなく、劣化も起きなかった。ゴムバンドの部分が伸びてしまうことはなく、革がばりばり剥がれ落ちることもなく、鉛筆の粉で内が汚れることもなく、布部分が破れてしまうこともなかった。
購入当初は「シンプルな製品なのに少し値段が高いな」と思っていたが、十分に元が取れ、製作に集中出来る環境を保てているので、満足感が高い。

Derwent(ダーウェント)社の色鉛筆ホルダーの紐を綴じた図。「Derwent」と書かれた赤い製品タグが鉛筆ホルダーの右部分に付けられている

その他注意事項

カッターナイフが落ちやすい

デッサン用の鉛筆は、鉛筆の削り方が独特(芯を1cm以上伸ばして削る)なので、カッターナイフは必需品。だが、幅広のカッターナイフを入れてペンシルホルダーを持ち運ぶと、ホルダーの隙間からカッターナイフが出てきてしまうことが何度かあった。ポケットのある部分に入れても出てきてしまうので、カッターナイフの重さの問題かもしれない。

カッターナイフの芯は軸の中に仕舞ってあり、ペンシルホルダーから鞄の底に落ちるだけなので危険を感じたことはないが、「あれ、カッターがない」と探し回ったことは何回かあった。

derwent社製のペンシルホルダーを横に長く広げ、真上から撮影した写真。ペンシルホルダーには、三菱鉛筆uni十数本と色鉛筆十数本とカッターナイフ1本と金属製鉛筆ホルダーと練り消しゴムが格納されている。

↑ ペンシルホルダー全体像

derwentペンシルホルダーの側面図(写真)

↑ 側面

鉛筆ホルダーをおすすめできる方・できない方

鉛筆や色鉛筆などの芯が柔らかい画材で絵を描かれる方で、今後長く絵画を続けるご予定の方、写生会など屋外での製作を控えてらっしゃる方には、布ペンシルホルダーをおすすめできる。軽くて持ち運びしやすく、長く使えるので、早めに使い始めると「芯が折れる」・「鉛筆が見つからない」・「支度にいつも手間取る」などの手間が省け、製作に集中できる環境が作れると思う。

反面、いつも屋内の決まった場所で製作される方、ペンやマジックなどの硬い画材で製作される方には不向き。そういった方は画材が壊れる心配がないので、立て置きのできるペンシルスタンド(↓)の方が、使い勝手が良いと思う。ペンシルスタンドの方が、お値段もお安い。

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私も、色鉛筆はペンシルスタンドを併用している。色鉛筆は使う本数が多く、布製ペンシルホルダーに収まりきらない、という消極的な理由からだが、短くなった鉛筆・色鉛筆を仕舞うことのできる低めのスタンドがついているものを選ぶと、ペンシルスタンドも使いやすい。
 → 管理人愛用のペンシルスタンドについては、こちらへ

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木炭デッサンは難しい

鉛筆デッサンは大好きだが、木炭デッサンは大の苦手。木炭デッサンのあまりの難しさに、趣味で描き続けるのであれば、木炭デッサンは深入りしなくて良いんじゃないか、とすら感じる。

細い画材用木炭2本と木炭の入っていた藍色の箱が、白い紙の上に置かれている。白い紙には木炭で試し書きをした跡があり、藍色の箱には「10 FUSAIN」と白文字でロゴが印刷されている。

木炭デッサンで困った点

描いた線が消せない…

木炭で最も苦しめられたのがこの点だった。
鉛筆であれば、余程濃く強く描かない限り、描いた線の9割5分までは消すことができる。木炭で描いた線は、食パンのかけらや綿の布ではたくように消すが、どれだけはたいても6割くらいしか消せず、一度でも描いた線は紙の上にうっすらと残ってしまう。

木炭デッサンに慣れた方からは「間違えずに描けば良いんじゃない??」とあっさり言われてしまいそうだが、デッサン下手はそう簡単には治らないので(笑)、うっかり描いてしまう→必死で消すを繰り返し、描くことにあまり集中できなかった記憶がある。

木炭の粉が手や服や床につく

木炭の粉は木炭紙の上に乗っている状態なので、紙を指で叩いたり弾いたりすると、粉がふわっと舞い上がる。

手に付く分には洗えば済むので問題ないが、服の袖が汚れてしまうのには困った。また、絵画教室で描くのであれば問題ないが、自宅で木炭デッサンされる際には床や壁に木炭の粉が付かないよう、新聞紙を敷いておくなど描き始める前に対策を取っておいた方が良い。

木炭紙が大きすぎる

木炭デッサンは木炭専用の紙(木炭紙)に描くが、私にあてがわれた木炭紙は、縦の長さが幼児の背丈くらいあった。横幅も1mくらいあり、ノートサイズのスケッチブックしか使ったことのなくそれで十二分満足していた人間にとっては、何故こんな大きな紙に描かねばならないのか、訳が分からなかった(笑)

もっと小さいサイズ(65cm×50cmサイズ)の木炭紙も販売されているようだが、やはり、紙のポストカードやスケッチブックよりは大きかった

描いた後自宅で長期保存することまでを考慮に入れると、木炭紙のサイズは扱いづらく、「ちょっと困る」と感じている。
天井画や襖絵などの大きな絵を描く予定はないので(仮にあったとしても、絵をパソコンに取り込んで引き延ばせば済むと思うので)、巨大な絵を描かねばならない合理的な理由を、どなたか教えて頂きたい…。

木炭紙の値段が高い

木炭紙↓は1枚200〜300円程かかるので、普通の画用紙やスケッチブックと比べると、どうしても値段が高いと感じる。(日本画や油絵がメイン画材の方は、普段から木炭紙よりもっと高級な画材を扱われているので、あまり感じないかもしれないが…)

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ちなみに、本数や木の種類にもよるが、木炭そのものは10本~15本で500~1000円程度。1本100円~150円の鉛筆と比べると、少しお安い。

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結論

生業としてではなく趣味で絵やデッサンを続けたい人間にとって、木炭デッサンの

・かさばる
・扱いづらい
・値が張る

というデメリットは、絵を描き続ける妨げになってしまう。
そのため現在は、木炭画には極力近寄らないようにしている…。