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「はらぺこあおむし」(エリック=カール 著) あらすじと読書感想文

愛嬌のあるストーリーと、のびのびと描かれたイラストが大好きな絵本の1つ。

「はらぺこあおむし」のあらすじ

大きな畑に生まれおちたばかりの小さなあおむしは、とてもお腹がすいているので、大きくなるために毎日いろんなものを食べてみます。最初はりんご1つ、次の日は梨2つから始まり、途中でちょっと失敗をしでかしながらも、少しずつ大きくなって…。

「はらぺこあおむし」の説明

「はらぺこあおむし」はアメリカの絵本作家エリック・カールさんが作った絵本で、全世界で累計3,000万部を売り上げて大ベストセラーとなった、世界的に有名な絵本。(原題は「The Very Hungry Caterpillar」(和訳:ものすごくおなかがすいているあおむし))

絵本を開くと、果物や葉っぱなどあおむしが食べたものが、1日分ずつイラストで大きく色あざやかに描かれている。カラフルでおいしそうな食べ物のイラストの真ん中には、あおむしが通った小さな穴が開けられており、お子さんはページに触れながら楽しむこともできる。
有名な絵本なので、お子さんが塗り絵を楽しめるようイラストに色が塗られていない絵本や、文章が英語で書かれている絵本など、様々なバージョンが出版されている。

対象年齢は0歳~6歳くらい
絵本の大きさはノートパソコンくらいで、ハードカバーで作られた丈夫な絵本なので、お子さんが引っ張ったり汚したりしても壊れにくい。

「はらぺこあおむし」の読書感想文

幼い頃はただ楽しく読ませて頂いたが、大人になって改めて読み返すと、不思議な本だなと思う。

あおむしという、どちらかというと人(特に女性)に嫌われやすい昆虫を主人公に据えているのに、世界中の子どもとおかあさんに30年以上愛され続けている絵本だからだ。

昆虫がもつ気持ち悪さを一切感じさせない色あざやかなイラストは、あおむしのイメージアップと絵本の普及に一役買っているだろう。だが、それ以上に、万人から受け入れられている理由は、シンプルすぎると言えるほどシンプルなストーリーと、主人公の愛らしいキャラクターではないかと思う。

「はらぺこあおむし」はページにして20ページ弱しかない。本屋で立ち読みするのに10分かからず、一読しただけでストーリーを覚えてしまい、すぐ人に話すことが出来るほどストーリーが覚えやすい。

そのストーリーに登場するあおむしは、最初は生まれたてでごく小さいが、ちょっとした失敗を重ねながらも、最後には大きく成長する。その「ちょっとした失敗」がとても愛らしく愛嬌があり、主人公の魅力を跳ねあげているとも言えるほどで、忘れられない記憶となって読む人の心の片隅に住み続ける。

日本の絵本だと「11ぴきのねこ」というよく知られた絵本も、主人公の猫達に愛嬌と面白みがあって素晴らしい絵本の1つだが、「11ぴきのねこ」は文字数が多いので、2歳~3歳以上のお子さんでないと十分に楽しめない気がしている。
もう少し幼い、0歳~2歳くらいの子に読み聞かせる本なら、こちらの「はらぺこあおむし」の方をおすすめしたい。

短い絵本なので、書店に立ち寄るやる気さえあれば、すぐに読める。気が向かれた方は一度手に取って眺めてみて頂けると、気分が少し晴れ、明るい気持ちになることが出来ると思う。

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「国旗のえほん」(戸田やすし 著) 読書感想文

1987年出版という20年以上も前に出版された絵本ですが、未だ人気が衰える気配もありません。

「国旗のえほん」の説明

0歳~6歳のお子さん向けの絵本です。

横幅25cmくらいのハードカバー本で、本の形が長方形になっています。
ページを開くとページ1枚につき国旗が1枚どーんと大きく掲載されています。どのページにも、5メートル離れていても易々と判別出来るくらい、色あざやかで大きな国旗の絵が印刷されています。

各ページの上部には、大きな活字で国の名前が印刷されていて、ページ中央に国旗、ページ下部に各国のデータと地図、という構成になっています。文字で書かれた情報はほとんどありません。
そうしたページが50ページくらい続き、巻末にミニサイズの国旗が多数掲載されています。

国旗の並び順はあいうえお順です。

「国旗のえほん」の読書感想文

この本の素晴らしい点は、どの国旗も色あざやかで眺めていて飽きないことに尽きます。

首都や気候などその国についての細かい情報が書かれていなくても、不思議なことに、幼い子どもはこの絵本を気に入り、飽きずに眺めては楽しみます。絵本を時間を忘れて眺めるうちに、幼い子どもは記憶力が良いので、国の名前と国旗の大半を覚えてしまいます
私も兄や弟と一緒にこの本を眺めて育ちましたが、20年経った今でも、この絵本に掲載されていた国の名前を「アルゼンチン」「アンチグッバーブダ」「イギリス」「インド」「ウガンダ」…のように、前から順にすらすらと言うことができます。
今はIT用語ひとつ覚えるのに四苦八苦しているというのに、不思議なものですね…

何度も眺めてこの絵本の国旗を覚えてしまうと、残念ながらこの本は忘れ去られてしまいますが、代わりに少し大きくなってから、今度は日本や世界の地理について書かれた本やゲームで遊び始めました。

私と兄弟の場合は、小学生になってから桃太郎電鉄というゲームでよく遊び、47の都道府県名と県庁所在地名とその都道府県の名産をまたしても空で言えるようになり、高校では世界史を通して、大学では語学と海外貧乏旅行を通して、世界を知ることに夢中になりました。

今振り返ると、TOEIC850を取得し英語を使いながらいろいろな国の人々と働くことになった原動力は、実はこの本1冊の本だったのかな、と思うことがあります。
影響を受けた本、というと言いすぎかもしれませんが、幼い頃の本の影響がゼロとは、どうも思えません。

「ぐりとぐら」 (なかがわりえこ 著) あらすじと読書感想文

すごくかわいらしくて、仲良しで、楽しくて、おいしいお話です。

「ぐりとぐら」のあらすじ

お料理することと食べることが大好きな野ねずみの「ぐり」と「ぐら」。

そんなぐりとぐらがある日森を歩いていると、白くて丸くて大きなたまごが落ちているのを見つけました。ぐりとぐらの背丈ほどもある大きなたまごなので、ひもでくくっても、転がして運ぼうとしても、何だかとっても難しそうです。

運ぶのを諦めたぐりとぐらは、森の中でこのたまごを使って、おいしいカステラを作ろうと思い立ちます。
さっそく材料を取りに帰ったぐりとぐらですが、たまごがあまりに大きいので、持ち運ぶボウルやフライパンも大きすぎて、ぐりとぐらの小さなリュックには入りません。引きずったり棒で転がしたりしながら森に戻り、いつもの歌を歌いながらさっそくカステラ作りの準備を始めると、匂いに惹かれて森のみんなが集まってきて……。

「ぐりとぐら」シリーズについて

野ねずみのぐりとぐらが主人公の絵本シリーズ。
ぐりとぐらはお料理することと食べることが大好きで、おいしそうなごはんや森の動物たちが絵本に登場することも多い。

この「ぐりとぐら」の本が、記念すべきシリーズ第1作目。
おはなしを中川李枝子さんが、イラストを山脇百合子さんが担当されており、お二人は実の姉妹(!)だそう。

「ぐりとぐら」シリーズは発売当初から人気のあり、「ぐりとぐらのかいすいよく」「ぐりとぐらのえんそく」など何冊か出版されている。関連グッズも「ぐりとぐらカレンダー」「ぐりとぐらのかるた」「ぐりとぐら 絵はがきの本」など何種類か発売されており、どれもとても可愛らしい。

現在出版されている「ぐりとぐら」シリーズの絵本は、下記の通り。(上にいくほど古い)

「ぐりとぐら」
「ぐりとぐらのおきゃくさま」
「ぐりとぐらのかいすいよく」
「ぐりとぐらのえんそく」
「ぐりとぐらのくるりくら」
「ぐりとぐらのおおそうじ」
「ぐりとぐらとすみれちゃん」
「ぐりとぐらの1ねんかん」

「ぐりとぐら」は1967年1月出版。
定価900円。大きさは縦20cm×横27cmで、ハードカバー本。福音館書店。
大人が読んであげるなら4才から、お子さんがご自身で読まれるなら小学校低学年から、が推奨。

「ぐりとぐら」の読書感想文

可愛らしいストーリーが大好きでした。イラストも素敵で、子ども心を惹きつけて離しません。

ぐりとぐらはカステラを作りあげちゃうんですが、そのカステラがとてもおいしそうなんです。大人が実物から想像する、四角くて上と下が茶色くてちょっとぱさぱさしているカステラではなく、焼きたてほかほかのシフォンケーキを連想させるような、大きくて黄色くてまんまるでふわっとしているおいしそうなカステラです。
カステラのページは、眺めているとおなかがすきます(笑)  

あと、一番最後のページに描かれている「あれ」が……子どもの頃は欲しくてたまりませんでした。本当に羨ましくて、母や同居の祖母にどこに行ったら大きいたまごが落ちてるのか、と尋ねては困らせていました(笑)

こどもが大好きになる、夢のたくさんつまった絵本だと思います。ノートパソコンくらいの大判のハードカバー絵本なので、子どもさんにも扱いやすいのも良いかなと思います。

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「スイミー ― ちいさなかしこいさかなのはなし」(レオ・レオニ 著) あらすじと読書感想文

「自分と他の人が違っていることを受け入れる」「生まれ持った自分の個性を生かす」という点が、従来の日本の絵本にはなかった考え方で、初めて読んだときは結構な衝撃を受けました。

「スイミー」のあらすじ

※ストーリーの前半部分のみを記載

広い海に、小さなお魚の群れが暮らしていました。どのお魚も赤いのに、1匹だけ黒い魚がいます。名前は「スイミー」。小さいけれど、泳ぎだけは誰にも負けないくらい速いのです。
スイミーは赤い魚の兄弟達と一緒に楽しく暮らしていましたが、ある日おなかをすかせた大きな魚がやってきて、兄弟たちは1匹残らず食べられてしまいました。

ひとりぽっちになってしまったたスイミーは、広い海を1匹きりで旅をしました。広い海には、くらげやいせえびや昆布など、スイミーが今までみたこともなかった生き物がたくさんおり、兄弟達と死に別れてしまったスイミーも、少しずつ元気を取り戻していきました。

そうしたある日、スイミーは岩陰に兄弟達とよく似た姿の魚たちが隠れているのを見つけます……。

「スイミー」の説明

2才から小学生向けの絵本です。
大判のハードカバー本ですが、活字がちょっと小さめなので、子供が一人で読むというより、子供は大きな絵を眺めて空想し、そばにいる大人が物語を読み聞かせる、という前提で作られたものではないかと思います。

「スイミー」の読書感想文

ラストシーンがお気に入りでした。スイミーは黒い魚のままで、他の魚は色とりどりの魚のままで、力をあわせて大きな魚に負けずに頑張れたところが良いなあ、と思います。

こうした「生まれ持った個性を生かす」という発想のストーリーは、外国の絵本ならではの魅力だなあと思います。
日本はどうしても「空気を読む」「周りに合わせる」といった風潮が強いので、(そして周りに合わせようと努力すること自体は、決して悪いものではないと思うので)、こうしたストーリーは良い意味でのカルチャーショックで、日本と外国の考え方の違いを強く印象づけられました。

「ぐりとぐら」「11ぴきのねこ」など、日本の絵本にも良い本は本当にたくさんありますが、幼い頃からこうした外国産の絵本に馴染んでいると、日本とは違う異国の考え方にも馴染みやすいかもしれません。

殆どのお子さんは英語や世界史を学ぶより先に絵本に親しむので、絵本に親しむことで海外ならでは発想に自然についていくことが出来るのは、正直羨ましい限りです。
子どもの頃翻訳書にさほど親しまなかった私のような大人は、英語を通して知る世界各国の考え方に、驚かされてばかりです…。