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セキュリティ技術者から見た「マイクロソフト セキュリティ エッセンシャルズ」

10年程前からマイクロソフト社が無償配布しているセキュリティソフト「Security Essentials」を、5~6年程前から職場でも見かけるようになった。
導入・更新とも無料にも関わらず、下手な有償ソフトより使い勝手や信頼性が高く、個人的に気に入っている。

マイクロソフト社の無料セキュリティソフト「セキュリティエッセンシャルズ」のホーム画面。端末が正常に保護されていることを示す緑のバーが画面上部に表示されている。

↑ マイクロソフト社の無料セキュリティソフト「セキュリティエッセンシャルズ」のホーム画面。

“Microsoft Security Essentials”を入手する

“Security Essentials”のダウンロードは、下記のマイクロソフト公式サイトから実施できる。

Security Essential https://www.microsoft.com/ja-JP/download/details.aspx?id=5201

2020年1月以降、マイクロソフト社の無償電話サポートは受けられない

本来であれば、マイクロソフト社サポート対象のwindows OSやoffice製品であれば、下記のリンクよりマイクロソフト社の無償サポートを受けることができる。

マイクロソフト Windows 製品および Office 製品の無償サポート
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/875330

だが、Windows7は2020年1月にマイクロソフト社のサポートが切れてしまい、windows xpやwindows vistaはとっくの昔にサポート期限切れなので、セキュリティエッセンシャルズについてはマイクロソフト社に問い合わせても、回答して貰えない。
詳細は、下記のマイクロソフト公式サイト↓を参照のこと。


Windows 7 のサポートは 2020 年 1 月 14 日で終了しました
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/17150/windows-7-what-is-microsoft-security-essentials

Windows10を含むWindows8以上のOSと、サーバOS(windows server 2008以上)は、”Security Essentials”をインストールすることが想定されていないので、残念ながら元々サポート対象外。
Windows10 OSには「Windows Defender」と呼ばれるセキュリティ対策ソフトがOSに標準で備わっている(=インストール不要)ので、そちらを利用してあげてほしい。

無料セキュリティソフト”Microsoft Security Essentials”の説明

“Security Essentials”を和訳(意訳?)すると、「必要不可欠な防御」という意味になる。その名の通り、パソコン保護のための基本的な保護・防御機能を備えているソフトウェア。
ソフトのインストールもウイルス定義ファイルの更新も無料。

インストールできるOSの種類

現在インストール出来るのは、OSがWindows7のパソコンのみ。Windows8やWindows10には「Windows Defender」という機能が備わっているので、Security Essentialsを使用する必要がない。Windows Server 2012などのサーバOSは対象外。

windows XPは2014年4月に、Vistaは2017年4月に、マイクロソフト社のサポート期限が切れており、セキュリティエッセンシャルズはインストールできない。むしろ、OSがサポート切れ(=保護されない)なのにセキュリティソフトだけを最新にしても、システムを保護する効果は限定的。

サポート切れのOSやソフトをインターネットに接続できる状態で使い続けると、第三者から攻撃を受け損害を被るなど危険が伴うので、使用をやめるか、LANケーブルを抜きwifiをオフにして一切インターネットを使わない状態を保つか、OSのバージョンアップをした方が良い。詳細は、下記公式サイトより確認。

マイクロソフト:Windows Vista のサポートは終了しました
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/22882/windows-vista-end-of-support

サポート切れのOSを使い続け、それが原因でトラブルや被害をこうむっても、ベンダー(マイクロソフト)は助けてくれない。元セキュリティ技術者で現サーバエンジニアの人間としても、「自業自得…」と冷ややかに思うだけで、自分の仕事を増やされたくないので、基本的に仲のいい人しか助けない(笑)

その他の特徴

日本語をはじめ、英語・フランス語・ドイツ語・中国語・韓国語など多言語に対応している。

ネットブックなどCPUやメモリのスペックの低いパソコンにおいても動作するよう開発されているため、普通程度のスペックのノートパソコンやデスクトップ型パソコンであれば、動作の遅延を感じることが少ない。
(但し、ご自身のパソコンに搭載されているCPUやメモリのサイズや質にも依存する。少なくとも、Windows7/メモリ4GB/CPU 1.6Ghz×2個という、低スペックなパソコンでも、動作の遅さは感じなかった)

Security Essentialsは、10年程前まで定価4,000円程で販売されていた、「One Care」↓というセキュリティソフトが元になっている。パソコンに感染するウィルスが海外を中心に暗躍しているため、マイクロソフト社が有償販売していたセキュリティソフトの無償配布に踏み切ったという経緯がある。

“Microsoft Security Essentials”を使用した感想

丁度「One Care」から「Security Essentials」に切り替わった頃にマイクロソフト社でアルバイトしていたので、この無料ソフトが人口に膾炙しながら生き延びているのが感慨深い。「One Care」の販売最終日に、「One Care」の販促物などこまごまとしたものをリーダーと一緒に片付けたことを、不思議とまだ覚えている。

「One Care」はさほど日の目を見なかったが、後継の「Security Essentials」が頑張ってくれたので、良かったなと思っている。

高い信頼性

セキュリティソフトをどれにしようか迷われているのであれば、有償ソフトを購入される前に、セキュリティエッセンシャルズを試して頂ければと思う。

セキュリティエッセンシャルズを使い始めて早10年が経過し、その間にパソコンのハードウェアを変えたり、OSを変えたり、アプリを入れ変えたり、クラウドを利用開始したりしたが、今のところ一度もマルウェア(ウイルス・ワーム)に罹っていない。

IT技術者として常駐した勤務先(その分野で世界第x位の外資系企業)が、パソコン80台にセキュリティエッセンシャルズを導入し、1年程窓口でサポートを担当したことがあったが、「ウイルスを見逃した」等の酷い報告は上がって来た覚えがない。
「動作が遅い気がする」と言われたことは1~2回あった気がするが、「Security Essentials」が原因と確定したことはなかった。

支障なく安心して何年も使い続けていられるところは、さすがは大御所マイクロソフトといったところだろうか。マイクロソフト社製品は、値段が高い分それなりに製品仕様のしっかりしたものが多いので、「One Care」の時代に市場に価値を認められなかったのは、少し残念だったと思う。

マイクロソフトの有償ソフトウェアについては、Word/Excel/PowerPoint/Access/Outlook/OneNote/Visio/Project/Sharepoint/Lync と今までそれなりの数操作してきたが、市場に出回ってから製品に不具合が頻発するなどの致命的なトラブルは、今まで耳にしたことがない。ちょっと空気を読まないところのある会社なので、VistaやWindows8など、「使えるけど使いにくい!」と思う製品は、時々出てくるが(笑)
Security Essentialsも10年生き延びたソフトだし、10年の間に十分改良されてきたのだろうと思う。(IT用語で言うところの「枯れている」状態)

そういえば、アルバイトとしてマイクロソフト社の手先になっていた時も、社外に提示する販促用資料は全て氏名等のマスキング処理(=氏名等を黒く塗り潰した状態にする)が求められるなど、マイクロソフト社は個人情報保護や情報漏洩に昔からやたらとうるさかった
Windows XPやOffice 2003の頃はそうでもなかったが、Windows Vistaあたりからセキュリティや情報保護にうるさくなり始め、ユーザにもセキュリティ意識を押しつけつつ、エンドユーザからすると過剰なほどパソコンの保護機能を充実させてきた。

なので未だに、「マイクロソフトはセキュリティにうるさい会社」というイメージが物凄くある(笑) これほどセキュリティを重視する会社なのだから、その会社が出してくるセキュリティソフトは当然一定の品質を保ったまともなものだろう、と思っている。

必要な機能が一通り備わっている

幸か不幸か元セキュリティ技術者なので、McAfee VirusScan EnterpriseやSymantec Endpoint ProtectionやNortonウイルスバスターやE-SETやyaraiなど、仕事で他社製の有償セキュリティソフトを扱う機会も多かった。
だが、プライベートパソコンでセキュリティソフトを使うのであれば、機能的にはセキュリティエッセンシャルズで十分

プライベートパソコンでよく使う機能は、フルスキャン・クイックスキャン・リアルタイムスキャンの3点セットに、各種除外設定とCPU利用率制限とログ確認、くらいだろうか。

ログの保存機能は充実していないように思うが、それ以外は基本的な機能が一通り揃っている。フルスキャン時にCPU使用率の割合を変えることもできるし、除外設定機能(スキャンしたくないファイル・フォルダをスキャン対象から外す)など、個人ユーザはさほど使わないだろうと思う機能も網羅されている。

マイクロソフト社の無料セキュリティソフト「セキュリティエッセンシャルズ」の設定画面。リアルタイム保護の設定が表示されている。

↑ リアルタイムスキャンを有効にする画面

マイクロソフト社の無料セキュリティソフト「セキュリティエッセンシャルズ」の設定画面。除外設定が表示されている。

↑ 除外設定を有効にする画面

マイクロソフト社の無料セキュリティソフト「セキュリティエッセンシャルズ」の設定画面。フルスキャン時のCPU使用率制限を設定する画面が表示されている。

フルスキャン時のCPU使用率制限を設定する画面

ウイルス定義ファイルは自動更新・手動更新とも可能で、McAfee VirusScanと同様、最新の定義ファイルだけをexe形式でダウンロードすることも可能。これができないと、マルウェア感染したパソコンをネットワークから切り離した後、ウイルス定義ファイルをUSBメモリ等でパソコンに入れることができない。

マルウェアに感染したら、LANケーブルは即抜かないと被害が拡大する恐れがあるので、有線LAN経由でインターネットからウイルス定義ファイルを取得・更新することができなくなる。無線LAN(wifi)経由も、勿論NG。

マルウェアの検知と駆除のために実行するフルスキャンは、その時点で最新の定義ファイルを使わないと意味がないので、無償配布ソフトでもこうしたいざという時の機能を抜かりなく付けているところは、さすがだと思う。

動作が軽い

低スペックパソコンでも動作するので、パソコンを選ばずインストール出来る。フルスキャンもウイルス定義ファイルの更新も、McAfeeやSymantecの有償製品と比べて早い。

特にウィルス定義ファイルは、どのベンダーのものも重い。サイズが大きい。 1世代分(1日分)が1MB程度で、フルで入れようとすると100MB越えが当たり前なので、通信速度が遅かった時代は、ウイルス定義ファイルの入手や配布に苦労した(笑)
ある常駐先で定義ファイルを含むセキュリティソフトを一斉配布した際、あまりのデータの重さにネットワーク障害が起きそうになり、先輩技術者と2人して青ざめたのは未だに忘れられない。

定義ファイルの更新は数時間~24時間の頻度で行うのが普通なので、それなりに重いデータが頻繁に、自宅や企業等の細く低速な末端ネットワークを行き来することになる。最近は無線LANという、更に低速で不安定なネットワークを使ってウイルス定義ファイルを更新することもあるので、定義ファイルのサイズも動作も軽くて済むなら、それに越したことはない。

有償ソフトと比較して軽い分、ネット上ではマルウェア検知率の低さが問題となっているようだが、Symantecの有償セキュリティソフトでパソコンのフルスキャンを掛けると、Cookie等の重要性の低いものもちらほら検知されるので、マルウェア検知率テスト時の検知対象がどこまでの範囲だったのかが気になるところだ。
ぶっちゃけCookieが1つ検知されないくらいなら、パソコンの保護の面ではほぼ問題ないが、周囲に与える被害が甚大なマルウェアは、確実に検知されて欲しいと思う。

有償セキュリティソフトにあって”Microsoft Security Essentials”にない機能

私が知識と経験を有しており詳しく語れるのは、半年間朝から夜更けまで2万台以上をサポートしたMcAfee Virusscan Enterpriseが一番で、2番目が仕事で足かけ6年使ったSymantec Enpoint Potection。
この2つの有償セキュリティソフトに付いており、「Security Essentialsには付いてないなあ…」と感じた機能があったので、メモ。

ログの表示・保存機能

これは是非とも欲しい(笑) ログとは、システムが何時何分何秒に何をどのように対処したか、システムの振る舞いを記録しているファイル。特に、ウイルス定義ファイルの更新履歴はログに残し、数クリックで簡単に表示できるようにしておきたい。

定義ファイルの定期更新はセキュリティソフトのシステム保護の要なので、毎日ちゃんと更新出来ているか、いつから更新できなくなったか等を把握し、トラブル解決に結び付けたい。

手厚いサポート

ウイルスに感染した際、サポートの手厚さが明暗を分けることがある。感染が見つかったらどうすればいいのか、データの復旧は出来そうか、感染原因は何だったのか等々、サポートがあれば電話問合せで済むところが、無償ソフトだと、ある程度まで自分で調査・復旧しないといけないだろう。

以前、McAfee社の電話サポート・メールサポートをよく使わせて頂いたが、その製品に非常に詳しい人と常に電話やメールが繋がるというのは、言葉以上の安心感と有難みがあった。

ファイアウォール

McAfee Virusscan enterpriseには、HIPSと呼ばれるファイアウォールに似た侵入防御の機能が付いていた。が、windowsにはOS側にファイアウォールの機能が付いているので、こちらを有効にすればokではないかと思う。両者の機能の違いは把握していない。

ウイルス定義ファイルの配布元となるサーバを登録する機能

大企業向けの機能なので、無くて正解だとは思う。
規模の大きな企業では、セキュリティソフトをインストール・更新するパソコンだけでも1万台に上るのが普通なので、通常は自社で専用のサーバを数台用意し、各パソコンはインターネット上ではなくそのサーバにウイルス定義ファイル等を取得しに行くよう設定される。

だが、ウイルス定義ファイル専用のサーバを配置しないといけないほどパソコン台数の多いご家庭は、さすがにないはず(笑)

Windows7パソコンでも、2023年まではウイルス定義ファイル更新可能

軽くて快適で使い勝手の良かったWindows7が、2020年1月についにサポートエンドを迎えてしまった。Windows7がサポートエンドになれば、Security Essentialsが公式に稼働できるOSはゼロになる。Security Essentialsもついに命尽きるのか…と思っていたら、マイクロソフト社が思わぬ延命措置(?)を施してくれた。

詳細はマイクロソフト公式のWebページ↓を参照頂ければと思うが、2023年まで、Security Essentialsのウイルス定義ファイルを無償提供してくれるらしい。しかも、セキュリティソフトの本体部分である、エンジンの更新も込みで。大御所、太っ腹すぎる…。


Microsoft Security Essentials の概要
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/17150/windows-7-what-is-microsoft-security-essentials

OSのサポートが切れている以上、パソコンの保護は不完全だ。不完全だが、OSサポ切れで最新のウイルス定義もないよりは、全然いい。

特にプライベート用としてWindows7を使っている利用者には、「サポート切れなんてどうでもいい。インターネットが見れて、メールとExcelが使えたらそれでいいよ」というユーザも多い。
そうしたユーザがこれから先しばらく快適なWindows7を使い続けることを考えると、不完全であるにせよ、パソコンがウイルス等から保護されるのであれば、それに越したことはないと思う。

あと3年間、限定的だがSecurity Essentialsが生き延びることができるようなので、個人的にはとても嬉しい。エンドユーザへの配慮ある対応といい、ちょっと感動した。

ただ、システムエンジニア的には、OSがサポート切れしている時点でアウトなので、仕事や業務で使うパソコンでWindows7を使い続けるのは決しておすすめしない。

セキュリティソフトを使用する上での注意事項

1台のパソコンにインストールできるセキュリティソフトは1つだけ

セキュリティソフトは、1台のパソコンに2種類同時に入れておくことができない。もし2つ同時に入れてしまった場合、パソコン全体の動作が不安定になるなど、予期せぬトラブルが生じる恐れがある。
パソコンに既に別のセキュリティソフトが入っている場合は、先にそのセキュリティソフトを削除(アンインストール)した後に、改めて新しいセキュリティソフトを入れてあげて欲しい。

ウイルス定義ファイルは24時間か、24時間より短い頻度で更新する

セキュリティソフトは、インストールして終わりのソフトではない。どんな高価なセキュリティソフトでも、ウイルス定義ファイルの更新等の基本的なメンテナンスをしていなければ、そのソフトが本来持っている性能を発揮することができない

ウイルス定義ファイルは、パターンファイルとも呼ばれ、どれがウイルスでどれがウイルスでないかを識別するために、様々なウイルスの特徴(パターン)を記録しているファイル。セキュリティソフトはこのウイルス定義ファイルを用いてウイルスかどうかを識別し、ウイルスであれば発見次第、削除したり安全な場所に隔離するなどの処置を施している。

セキュリティソフトを更新せず、ウイルス定義ファイル等が何ヶ月も前のものだった場合、その定義ファイルには新しく発見されたウイルスの特徴が登録されていないため、新種のウイルスがパソコン内に侵入してもセキュリティソフトが検知出来ず、ウイルスに感染してしまう。
ウイルスに感染したが最後、パソコンは攻撃者に都合の良いように操られてしまい、クレジットカードの番号や銀行の暗証番号が盗まれたり、他のパソコンを攻撃するのに加担させられてしまったりする。

ここまで、説明を分かりやすくするため「ウイルス」と呼んできたが、セキュリティ技術者はパソコンやサーバなどを攻撃してくるものを「ウイルス」とは呼ばず、「マルウェア」と呼んでいる。
マルウェアには、ウイルスの他に「ワーム」(英語では「worm」。いも虫などの足の短い虫を指す言葉)と呼ばれる、ネットワーク網を自発的に動き、次から次へとパソコンやサーバに感染していくタイプのものも含まれる。

ワームには、たった数日間で全世界に爆発的に広がった事例が過去にいくつかあり、ウイルス定義ファイルの更新が僅か1日遅れただけで、命取りになりかねない。

McAfeeなどセキュリティソフトを販売している企業は、1日1回新しいウイルス定義ファイルを公開しているが、爆発的に広がるワームが台頭した場合、翌日の定義ファイル公開を待たずに、その日のうちにそのワームを検知するための定義ファイルを公開し、至急パソコンやサーバの定義ファイルを更新するようユーザに呼びかける。
それくらい、火急に対応を要することがあり得るのだと、想定しておいて欲しい。

ウイルス定義ファイル等の定期更新は、パソコンを守るための基本であり、要でもある。このことを記憶の片隅に留め、セキュリティソフトの定期更新をオフにしたりせず、億劫がらずに更新して頂けると、元セキュリティ技術者としてはとても嬉しい。

何故セキュリティソフトがパソコンに必要か

ITの仕事に従事されている方でも、セキュリティソフトがパソコンやサーバになぜ必要なのかを理解されておらず、業務中に眩暈を感じることがある。

セキュリティソフトを入れると、ソフトはパソコンの中で常駐(PC起動後からPCをシャットダウンするまでずっと動作している)するので、CPUやメモリなどパソコン内のリソースを使ってしまい、パソコン全体の動作は少し遅くなる。(=セキュリティソフトを入れない方が、パソコンの動作は早い)

どうしてそこまでして、セキュリティソフトを入れないといけないのだろうか?
その答えは、「第三者から攻撃を受けるから」。

ご自分のパソコンに何のセキュリティ対策も施さずインターネットを利用している方は、自宅の窓と戸を24時間開け放したまま住み続けているのと同じで、大都会のど真ん中に住むいい年した大人が「どうして家に鍵を取りつける必要があるの?」と真顔で訊いているのと同じ、と考えて頂ければ分かりやすい。

昨今はパソコンもサーバも、インターネットに接続して使うことが圧倒的に多い。意識する・しないに関わらず、パソコンの電源が入っていると、LANケーブルを抜き無線LANを無効にしない限り、24時間365日世界中のパソコンと繋がっている。
パソコンを扱う世界中の人が一人残らず善良で、他人に害をなそうという意志がないなら、セキュリティソフトは要らないかもしれない。

だが実際は、インターネット上に飛び交うメールの約9割がスパムメール(受信者の意向を無視して勝手に送り付けられるメール)で、ウイルスやマルウェアを勝手に送り付けられパソコンから個人情報やクレジットカードの情報を盗み出される、といった事例は後を絶たない。
過去の事例ではSONYの様に大きな企業でさえ、情報漏洩の魔の手から逃れることはできなかった。

しかも高いITスキルを持った攻撃者は、他人のパソコンを遠隔操作ロボットのように操ることができるので、自分のパソコンが勝手に他人のロボットにされ、別のパソコン攻撃するのに加担させられる可能性もある。
にも関わらず、インターネット上の犯罪について、日本の高齢の政治家の反応は鈍く、法整備が毎度毎度後手に回っているのが現状。

最低限、自分にできる範囲でお使いのパソコンを守るために、パソコンにはセキュリティソフトを入れてからご利用下さい。

ハウスダストアレルギーと気管支喘息の患者が、埃の多い職場で働く

慢性的に古い埃が積もっている職場ほど、ハウスダストアレルギー&気管支喘息の患者が生きづらい場所もない。

古いハウスダストを吸うだけで、アレルギー反応と喘息発作が起き、気管支が狭まって息ができなくなる。全身の力を使い果たすような発作の苦しみを経験した患者は、古い埃が積もっているのを見ただけで、恐怖で身がすくむようになる。

古い埃が積もっているというだけで、能力的には何の問題もない仕事ができなくなる。この点は、花粉症の人が、花粉の多い職場では働けないことと同じだ。

だが、アレルギーを持たない方の中には、ハウスダストアレルギー(&喘息)患者のこうした事情に対し、理解のない人も多い。患者が予め勤務前に説明しておいても、埃だらけの場所をいつまでも掃除して貰えなかったり、患者のすぐそばで埃が多量に舞うような備品の移動を実施されたりする(苦笑)

こうしたことがあまりに続くと、「お願いだから、仕事に集中させて!(涙)」と叫びたくなる…。会社が従業員のパフォーマンスを落としているわけだが、残念ながら会社は、説明しても、発作が起きても、それでも中々分かってくれない…。

職場で人知れず悩む中で、解決策とまではいかないが、対処法が二三見えてきたので、シェア。

頼るべきは、身近な女性

患者がアレルギー反応や喘息発作で人知れず苦しんでいる時、気遣いと優しさを発揮し、思うように動けない患者の代わりにこまごまと動いて下さるのは、間違いなく男性よりも女性。

職場で周囲にいる女性には、女性の職種や立場に関わらず、大切にした方がいい。普段から女性とのお喋りを楽しみ、折に触れお菓子を差し入れたりしてあれこれ気を回していると、自分が困っている時、かなり高い確率で救いの手を差し伸べて下さる。

女性は男性より共感能力が高く、空気を読み状況をいち早く察する能力にも長けているため、私が言葉を発するのも困難なほど息ができず苦しんでいても、顔色や雰囲気だけで察して、いたわりの言葉とともにあれこれ手配して下さる。
地獄に仏のようなこうした女性の気配り・振舞いには、どれだけ感謝してもしきれない。

反面、男性は物事を察するセンサーが鈍すぎて、残念ながら殆ど当てにならない。男性は、立場や年齢を問わず、一から十まで要望を言葉で伝えないと動いてくれないことが多いので、「言わなくても分かってくれるだろう」「気付いてほしい」と思っていても、間違いなくあなたの半分も分かっていない(笑)

職場では出世や評価やお金に直接繋がらないことをやりたがらない男性も多いので、基本的に頼りにならないと思っておくくらいの方が、気が楽。

女性のファインプレーで喘息患者が助けられた事例

女性に助けられた事例は、枚挙に暇がない。

実話1:自発的に掃除をして貰える

ハウスダスト・ダニに対するアレルギー症状がひどく、ドクターストップがかかり、休職を余儀なくされた時がある。その頃メールで細々と同僚や後輩とやりとりしていたら、

後輩「(職場で)何かして欲しいことあります?」
私 「職場の古い埃を掃除して貰えると、嬉しいです…」

という会話をした。

その翌日、手の空いた女性が5名集まって、ロッカーやキャビネットの上など、古い埃が大量に積もっているところを掃除して下さった。ロッカー類は、常に埃が堆積する危険地帯だが、患者自らが掃除しようとすると高い確率で喘息発作が起きてしまう、高難度のエリア。

あまりの嬉しさに、後日復職の当日にGODIVAのクッキーを箱買いして持参し、彼女らに献上した(笑)

実話2:発作時に助けて貰える

喘息発作が起き事情を話すのも辛かった時、日頃から仲の良い庶務さんが私の顔色の悪さで事情を察し、空き会議室をぱぱっと予約して、回復するまで会議室で休みながら仕事ができるよう手配してくれた。

実話3:情報が早い

女性は基本的にお喋りが大好きなので、1人の女性に事情を話しておくと、別の女性にも事情が伝わる。そのため、「○○ちゃんから聞いたんだけど大丈夫?」「何かしんどいことがある?」と次々声をかけ、職場の女性みんなが病状を気遣って下さるようになった。

具体例は、本当に枚挙に暇がない。職場の女性には、どれだけ感謝しても感謝し切れない。(皆さまいつも本当にありがとう!)

職場の女性と仲良くなるには

周囲の女性に対して普段から目配り気配りし、時々ちょっとした甘いものをお配りするのは、良好な関係性を構築するためには基本中の基本だ(笑)

アレルギー症状や喘息発作が起きれば、周りに迷惑が掛かるのは分かり切っているので、お菓子の1つや2つ配っておかないと、彼女たちの割に合わないだろうと思う。
「喘息患者をフォローする」というタスクは、本来彼女たちの仕事の範囲外なので、それをゆめゆめ忘れないこと。

年中ダイエットしている女性は多いが、感謝の言葉とともに、甘くておいしいものを貰えるなら、悪い気はしないはず。自腹では買いにくいような少し値の張るものを少量差し入れすると、ダイエットへの影響も少ないので、より喜んで貰えるはず。

その際、

「いつも助けて頂いて有難うございます」
「あの時は助かりました」

といった、あたたかい言葉掛けを省いてはいけない。

女性は「誰かの役に立ちたい」と思う気持ちが強い方が多いので、誰かのサポートで「助かった!」と感じた場合は、必ず「感謝の言葉」というお礼を返すこと。
気恥ずかしがってお礼を言わないのは、「心からの感謝の言葉」という得難い報酬を、彼女たちに与えないことと同じだと思う。人前で感謝を述べ、褒めべきところはきちんと伝えると、特に効果が高い。

上司と折り合いをつける

職場の上司は当たりはずれや相性があるで、上司が常に味方であるとは限らない。だが運良く、上司が貴方の味方になってくれそうな方なら、頼らない手はない。

上司は、あなたや周囲の女性が持っていない権限を持っている。自分1人では職場に導入できない空気清浄機でも、上司や、上司の上司が持つ権限なら、導入できるかもしれない。

上司が男性である場合、

 ・病状
 ・発作が起きた際の対応方法
 ・緊急連絡先(病院・家族)
 ・症状が悪化する恐れのある仕事・行為・環境
 ・できないこと
 ・やって欲しいこと

などの事実を、事前に具体的に伝えておく。

この時必ず言葉で伝えること、事前に伝えること、できるだけ数値を交えること、エビデンス(証拠)を見せること、が大事。
男性は察するセンサーが鈍く、予期せぬ事態に対応するのが苦手。事前に伝えておかないと、上司に動いて貰えない。また、感情的に話すと相手が受け止めきれず話がうまく進まない恐れがあるので、客観的な事実を中心に据えて伝えた方がいい。私は病院の検査結果や診断書などをコピーして面談に持込み、自分の状態を伝えた。

メールと口頭の両方で伝えておくと、忘れにくくなるので効果大。できないことを無理にさせると、「業務効率が落ちます」「判断力が下がります」など、パフォーマンスが悪くなることを伝えておくとベター。代わりに、支障なく人並みにできることもきちんと伝え、戦力外と判断されないよう注意する。

上司が貴方の病状をどこまで正確に把握できるかが、貴方の働きやすさに大きく関わってくるので、説明や丁寧さを惜しまずに。
「私はしんどいんです!」「こんなにしんどいのに周りは全然分かってくれません!」と感情的に喋るだけでは、上司はどうすればいいか分からない可能性大。

今のところ、

 ・埃さえなければ普通の人と変わらない生活ができる(=一人前に働ける)

という点が、なかなか理解して貰えない。

主婦のいる一般家庭と同じくらいの清潔さで掃除頂ければ、ハウスダストアレルギー&喘息があっても人並みに働けるのだが、普段埃っぽい職場で分厚いマスクを着けて勤務しているせいか、どうも病人扱いされる。

喘息&ハウスダストアレルギー患者がマスクなしで入室できない職場環境の方が問題で、不衛生な環境は当然健常者にも悪影響を及ぼすのだが、上司が男性だと「職場を清潔にしないといけない」という考えが薄いようで、十分な行動には結びついていない。