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製造終了になったカラーインク「LUMA」

今はもう店で見かけることもなくなった、「LUMAるま」という名のカラーインクについて。

LUMAのカラーインク瓶を正面から撮影した写真。「luma」という製品名がはっきりと読め、白地に緑のラベルがボトルに貼られている。

↑ カラーインク「LUMA」

カラーインクLUMAの使い方

普段通り、パレットと筆と水彩用の紙を用意する。

  1. まず使う前に、LUMAるまのインク瓶をよく振る! この点はドクターマーチン等の他のカラーインクと同様。
  2. 瓶の蓋をねじって開くと、蓋の裏がスポイトになっているので、インク液を適量吸い取る。(蓋はゴム製)
  3. スポイトに取ったインク液を、パレット等に1滴垂らす。
    LUMAもインク液が非常に濃いので、1滴垂らせば結構もつ
    カラーインク「LUMA」の006番「AQUA MARINE」を、パレットに1滴だけ落とし、撮影した写真。パレットの上に黒っぽい液体が乗っているが、色がはっきりとは分からない。

    ↑ LUMAの006番「AQUA MARINE」をパレットに1滴落とすとこんな感じ。インク液が濃すぎて、色が判別できない

  4. パレットのインク液に、水を数滴落として濃さを調整する
    パレットの上で、カラーインク「LUMA」を水で薄め、撮影した写真。透明な青緑色のインク液が写っている。

    ↑ LUMAのインク1滴に水を数滴垂らすとこんな感じ。ようやく色が判別できるようになった(笑)

LUMAのカラーインクもインク液が相当濃いので、普通の水彩絵具と同じ調子でたっぷりとパレットに出してしまうと、後でえらい目に遭う(笑) まずは1滴落としてみる程度でok。

カラーインクLUMAの外観・特徴

インク瓶は円柱状のガラス製で、少し重さを感じる。瓶の蓋にはゴム製でスポイト付き。
パレットや紙の上であれば、LUMAのインク同士も混ぜて構わないし、LUMAと他の水彩絵具や別のメーカーのカラーインクと混ぜて使っても何ら問題なかった。
(というか、私のパレットはどのメーカーのカラーインク&水彩絵具も10年以上同居しており、どの絵具同士を混ぜても問題が起きたことは殆どないので、水彩系絵具同士なら恐らく気軽に混ぜ合わせて大丈夫だと思う)

カラーインク「LUMA」のボトル瓶の側面を撮影した写真。「29.5ml」と表記されている。

↑ ボトル側面に筆記具のイラストが描かれており、筆のほかにペンなどでも利用可能であることが分かる

なお、インク液の量は、29.5mlで、同じくカラーインクであるドクターマーチンのほぼ倍量(ドクターマーチンは15ml)
LUMAは当時確か800円で販売されていたと思うので、分量を考えるとLUMAの方がお得。

製造された色数は、把握していないので不明。少なくとも20色程度、違う色が並んでいるのを見たことはある。

カラーインク「LUMA」の蓋を開いて撮影した写真。蓋の裏側についているスポイトが、写真の中央に写っている。

↑ スポイトは、ドクターマーチンカラーインクとよく似ている。

カラーインクLUMAの注意事項

ボトル瓶に書かれている注意事項が非常に短く、分かりやすいので、記載をそのまま引用する。



A wide range of brilliant, intermixable colors.
To dilute use clean water. Shake well.

あざやかで多彩で、混ぜ合わせることもできる色彩。
薄めるには、綺麗な水を使うこと。よく振ること。


(和訳は、ブログ管理人作)

また、ボトルには書かれていなかったが、カラーインクなので直射日光に弱いのではないかと思う。日の光が多少当たる程度であれば問題ないが、何日も強い光に曝されると、色が徐々に薄くなり、色が飛んでしまう。

カラーインク「LUMA」のボトル側面に書かれている、使用上の注意事項を撮影した写真。英語を含む複数の言語を並べて表記されている。

↑ 注意事項は、英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語の4言語で表記されていた

インク液を保存する際は棚や引き出しに入れる、描いた絵はスケッチブックに挟んで仕舞う等、日の光が当たらないようお気遣いを。

LUMAを塗る

せっかくなので、手元にあるLUMAの006番AQUA MARINEアクアマリンと水だけを使い、ポストカードサイズの水彩紙に塗ってみた。

カラーインク「LUMA」の006番AQUA MARINEをポストカードサイズの紙に塗り、撮影した写真。

↑ 約30分ではがきサイズ2枚を塗り終えた

私は画像の加工が下手なので、webページの画像は実物より少々色がくすんで見えるのだが、LUMAの発色の良さがお分かりになるだろうか。
実物はくすみがない分、10年以上前に描いたデッサンぼろぼろの絵だろうが、LUMAが美しいので何でも許してしまえるような神々しい美しさである(笑)

カラーインクLUMAの006番アクアマリンを、水で薄めてから紙に塗ったところを撮影した写真。白い紙にあざやかな青緑のインク液が広がっている。

↑ LUMAを水で薄めてから塗ると、こんな感じ

LUMAのインク液と水を混ぜてから塗る(=ウオッシュという技法)方法で色の濃淡をつけるのも綺麗だが、個人的には、水を刷いたところにインク液を落とす(「にじみ」とか「ウェットインウェット」という技法)で描くと、素晴らしく美しいな…と感じている。にじみの美しさを堪能できるのは、アナログ水彩で絵を描く醍醐味だいごみだと心から思う。

プロの漫画家やイラストレーターさんがLUMAを愛用されていたと聞いているが、インク瓶と水だけで塗ってこれだけ美しくなるのだから、常に時間や〆切に追われてらした方々にはさぞ重宝されたことだろう。

カラーインクLUMAの006番アクアマリンを、紙に塗り撮影した写真。薄く刷いた水の上に、濃く溶いたLUMAのインクを落とし、インクが滲んで広がるさまが写っている。

↑ 軽く水を刷いてから濃いめのインクを滲ませるとこんな感じ

LUMAにまつわる思い出

「LUMA」というカラーインクがかつて画材店に並んでいたことを、どのくらいの方がご存じだろうか?

1990年代当時は、LUMAは1瓶数百円で売られており、お小遣いの少ない学生にも、何とか手が出せる画材だった。
LUMAのカラーインクはドクターマーチン(1瓶500円)よりも値段が高く、インク量も多かった。お金のない学生だった頃は、どうしてもドクターマーチンを買う方が色数を揃えられるので、LUMAを何本も買い揃えるということができなかった。

お金持ちの家の子だった友人が、LUMAとドクターマーチンの両方を買い揃えて作品を作っており、今から思い返すと「いいな…」と羨ましく思う。

そうこうしているうちに大人になったが、今度はLUMA自体が生産終了となり、めっきり入手しづらくなってしまった。
カラーインクは消耗品なので、いずれは全く手に入らなくなってしまうだろうが、「LUMAというカラーインクがあったことを覚えていて欲しいな」という願いも込めて、LUMAの記事を掲載した。

 

余談だが、私はもう1本紫色のLUMAカラーも持っていたのだが、紫の瓶の方は、購入後の保存の仕方が悪かったようで、購入後15年ほどでインク液の状態が悪くなってしまい、やむなく廃棄した。

液が乾燥してカピカピになったわけではなく、液自体が腐るような感じだったので、恐らく私が誤ってスポイトに別の絵の具を付けてしまい、瓶の内部でLUMAインクと他の絵の具や雑菌が混ざったために、インク液の状態が悪くなってしまったのだと思う。

どちらかというと006番(アクアマリン)の瓶の方をよく使っていたくらいなので、他の絵の具と混ざらないよう注意して保存すれば、もっと長くもってくれたと思う。今更悔やんでも仕方がないが、本当に惜しいことをした…

Vintage Waxでパーキンソン病患者の家具・建具をメンテナンスする

パーキンソン病とは、自分の意志に反して手足が震え、次第に身体が動かしにくくなってしまう難病だ。
治療方法が未だ確立されておらず、薬で症状を抑えて生活することになるのだが、「瓶の蓋が開けられない」「個包装のビニール袋が手で破れない」「薬のように小さなものをよく落とす」「ニンジンなどの固い野菜が切りづらい」「引き出しが開けにくい」「歩く速さが遅い」「段差のないところで転倒する」等々、日常生活の何気ない部分に結構な数の支障が出てくる。

我が家は築40年以上の日本家屋で、古い木製の家具や建具が多く、重くて開きにくい木の扉や引き出しが相当数ある。木材用のワックスやクリームを使って家具と建具の動きをスムーズにし、パーキンソン病の患者でも独力で負担なく家屋や家具を使えるよう配慮することにした。

VintageWax(クリアー)の蓋を開き、正面から撮影した写真。山吹色のワックスが画面左に写っている。

↑ 使用したVintage Wax。お色は「クリアー」で、蓋&内蓋を開くとこんな感じ。

使用した木材用ワックス「Vintage Wax」とは

本来は、木工製品や木製家具の風合いを変えるために塗る、木材用のワックスのこと。
ビンテージワックスと言う名前の通り、木製製品に塗ると木の色合い・風合いが変わり、ビンテージ風のクラシカルな雰囲気を醸し出せる。

ただ、私自身はVintage Waxのビンテージ感をまるっと無視し、木製製品の滑りを良くするために、主に使用している。

販売されている色は、クリアー・チーク・ウォルナット・エボニーブラックの計4色。(2022年現在)
どのお色も製品サイズは1個160gの一択で、お値段は1個2100円くらい。
お近くのホームセンターや、東急ハンズなどの雑貨店で購入できるが、メルカリやamazonでも取り扱いがある。

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製造元(ニッペさん)のwebサイト

vintage waxを製造されているニッペさんが、特設のwebサイトをご用意くださっていたので、下記にリンクを掲載。
ヴィンテージ風に塗り上げる動画などが公開されている。

ニッペホームプロダクツ WOOD LOVE
https://www.nippehome-online.jp/woodlove/wax.html

Vintage Waxを塗布した箇所

ワックスを塗布したもの 塗布した箇所 塗布回数 おすすめ度 備考
箪笥たんす(木製) 各引き出しの側面・底面、箪笥たんすの内側 2回 重くつっかかりのあった引き出しが、指1~2本分の力でスッと開く
和室の襖縁ふすまぶち 襖縁ふすまぶち(木枠) 1回
和室の敷居・鴨居 襖と木材が接する部分 1回 襖や引き戸が軽い力で開くように
書斎机(木製) 各引き出しの側面・底面、机の内側 2回 インク汚れやキズが目立たなくなり、引き出しもスムーズに開く
箪笥(とう) 各引き出しの側面・底面、箪笥の内側 1回 元々軽いとうの引き出しが更に軽くなった

木製家具で、引き出しや引き戸が付いている部分に、ことごとくビンテージワックスを塗布した。居間や患者の寝室など、パーキンソン病患者が日常的によく使う家具は、特に念入りに2回以上ワックスを塗り重ねた
1回の塗布にかかる時間は、引き出し1つにつき20~30分。真面目に2度塗りすると、箪笥1棹たんす さおで数日間から1週間ほどかかる。

また、ふすまや木製扉など、木と木が触れ合うタイプの建具についても、木と木の接触部分全てにビンテージワックスを塗り尽くした。

VintageWax(クリアー)を木製家具に塗布している写真。写真手前のワックスを塗布した箇所だけ、木材の色が深くなり、木目がくっきりと目立つようになっている。

↑ 木製家具にVintage Wax(クリアー)を塗布。クリアーを1度塗布するだけでも、木材の色みに相当な深みが出る。

Vintage Waxはどのくらいの量が必要か

160gのVintage Wax 1個で、タンス5~6台分を塗ることができた。私はタンス内部の木と木の接触部分のみにVintage Waxを1~2度塗りする方法で使っているので、この方法であれば結構たくさんの家具に塗りこむことができる。
家具の木部全てにVintage Waxを塗る方法であれば、2~3倍の量のワックスが必要だろうと思う。

木製家具と木製の建具すべて込み込みで、2世帯住宅の日本家屋に対し、Vintage Wax 2個で何とか足りた。

Vintage Waxの使い方

事前に必要なもの

5cm×10cmくらいの大きさの、汚れてもいい布(ウエス)が1~2枚必要。着古した綿100%のTシャツを小さく切って用いてもいいし、使い古しのハンカチや靴下を、裂いて転用してもいい。
Vintage Waxを塗ると、住宅の埃やワックスで布がすぐに汚れてしまうので、布は数枚ある方が望ましい。

ワックスの塗り方

ワックスの蓋を捻りながら開くと、ビニール手袋と説明書に加えて、内蓋がついている。説明書を読み、ビニール手袋をはめて、内蓋を開く。

  1. 利き手で布を持ち、小さじ1杯くらいのワックスを布にとる
  2. 布を木製製品にあてて、製品の木目に沿って、こするように塗り込む
  3. 換気を十分に行いながら、1日以上放置してワックスを乾かす
  4. ワックスを塗りこんだ部分を、乾いた布で木目に沿って拭き、余分なワックスを落として木材表面にツヤを出す
  5. 必要に応じて、乾いたワックスの上からもう一度ワックスを塗り込み、乾かしてから乾拭きする(重ね塗り)

ワックスを塗り終わったら、早めに石鹸で手を洗うことを忘れずに。ワックスを使うと手がベタベタになるので、住宅を汚す恐れがある上、喉や気管支などの呼吸器にもいい影響を与えない。

VintageWax(クリアー)を至近距離で撮影した写真。山吹色のワックスの質感がはっきりとわかる。ワックスには木くずが含まれており、黒っぽいごみのように見える。

↑ ワックスの質感はやわらかく、ジャムのような感じ。オイルを含んでいるので、テカリがある。黒っぽく見えるものは木屑。

Vintage Waxを使った感想

Vintage Waxは、元々は木製家具の表面塗装のためのお品だが、木製家具の内部や引き出しの側面に試し塗りしてみたところ、Vintage Waxが潤滑油として高い性能を発揮してくれることに気づいた。
亜麻仁あまに油や他社製品の木部用みつろうクリーム等も家具の引き出し側面に試し塗りしていたのだが、何故かVintage Waxを塗った時が、最も引き出しの滑りが良くなった。

どのくらい滑りが良くなるかというと、片手で「よいしょっ」と開いていた引き出しが、指1~2本分の力だけで「すいーっ」と滑るように開くようになる。あまりに滑らかに開いてくれるので、引き出しを開くこと自体に、何故か快感を感じるようになる(笑) Vintage Waxを木製家具に塗り始めた当初、用もないのに日に何度も引き出しを開け閉めしては、すいすいと開く心地良さに浸っていた(笑)

Vintage Waxの取り扱い説明書を撮影した写真。細かい文字で注意書きが書かれている。

↑ Vintage Waxに同封されていた説明書

パーキンソン病を患うと手足に意図せぬ震えが出るので、薬で症状を抑えていても、どうしても細かい作業や力の要る作業が不得手になる。(パーキンソン病に限らず、高齢者は全般的にそうなのかもしれないが) それでも、パーキンソン病患者でも自分のことは自分でやりたいようだし、自分でやるほうが病気の進行を抑えることにも繋がるので、居住環境をパーキンソン患者が動きやすいように整えていくことにした。
Vintage Waxを自宅中に塗り尽くし、全ての木製製品や建具がスムーズに開閉できるようにしているのは、その一環である。

Vintage Waxを塗り尽くすのは非常に骨の折れる仕事だったが、結果的に築40年の日本家屋全体が、パーキンソン病患者に限らず、老若男女に使いやすいものへと変わっていった。

Vintage Waxに同封されていた取り扱い説明書を撮影した写真。細かい文字で注意書きが書かれている。

木工用ワックスを塗る前には全く意識していなかったのだが、建具や引き出しが開きにくいと、無意識にその部屋やその引き出しを使わなくなってくる。
ので、つい手近な棚や机の上に物を出しっぱなしにしてしまい、家が散らかる一因になる。散らかったものを片付けるため、別のタンスや棚を買い足したことさえ過去にはあった。

家中の全ての建具・全ての引き出しが片手ですいすい開閉できるようになると、家族全員が家のすみずみまで使うことができるようになり、自宅が散らかりにくくなった。

パーキンソン病を患う家族も、自分の身体が思い通りに動かないため、置きやすい机の上などついつい手近なところに物を放置しがちだったが、Vintage Waxを塗布済みのタンスや事務用品入れを使い始めてからは、とりあえず引き出しの中に物を仕舞ってくれるようになった

引き出しの中は、程よく整理されている引き出しと、未整理のままとりあえず突っ込んである引き出しと、半々くらいの割合になったが、部屋が乱雑に見えなくなり家族全員がストレスなく動けているようなので、ひとまずこれで良しとした。

↑ Vintage Waxの説明書を撮影した写真。VintageWaxの塗り方の前半部分が、写真付きで掲載されている。

↑ 付属の説明書に載っていたVintage Waxの塗り方(前半) 背景に写り込んでいる木の板は、Vintage Waxを塗りこんだもの

引き戸や襖縁などの建具へのVintage Waxの塗布することも、住環境の機能性をアップさせる効果があり、全ての部屋の扉が軽い力で開閉できるようになった。

ただ、建具については、ワックスを塗布するだけでは不十分で、引き戸・襖の底部についている戸車のメンテナンスも併せて必要だった。
戸車が巻き込んでいた埃の塊をつまようじで取り除き、敷居や襖縁ふすまぶちに木材用ワックスを塗りこんだ後、戸車にもワックスを塗布してしまうと、かなりスムーズに動くようにはなった。特に引き戸については、両手を使ってもなかなか戸が開けない…ということは一切なくなった。

Vintage Waxの付属の説明書を撮影した写真。Vintage Waxの塗り方の後半部分が写真付きで掲載されている。

↑ Vintage Waxの塗り方(後半部分)

なお、ワックス塗布済みの木製家具に慣れてくると、ボックス型のプラスチックケースを使う頻度が急激に下がった。プラスチック製の家具の方が軽くて扱いやすそうに思えるのだが、実は木製家具よりプラスチック家具の方が、引き出しが開きにくかった。

また、パーキンソン病患者に限らず高齢者は転倒すると骨折しやすいので、転倒が命取りになるのだが、プラスチック製家具は軽くてグラグラするので、とっさの場合につかんで高齢者の身体全体を支えるには不向きなようだ。
身内のパーキンソン病患者も、がっしりした木の椅子やびくともしない木製のテレビボードなどを好んで使って、つかまり立ちすることが多い。

木部用ワックス「Vintage Wax」クリアータイプの、容器側面を撮影した写真。容器は白くて軽いプラスチック製で、茶色いラベルが貼られており、原材料が表示されている。

↑ Vintage Waxの容器側面に原材料が印刷されている

Vintage Waxを塗布する際の注意事項

Vintage Waxは、値段が手ごろで気兼ねなくたっぷりと使える反面、今まで使った木部用ワックス・クリームの中で、一番取り扱いが難しかった。

「クリアー」でも、色みが大きく変わる

Vintage Waxの「クリアー」は、パッケージを見ると無色透明に近い色合いに見えるのだが、クリアーにも顔料が含まれており、塗ると結構な頻度で木の色が濃くなる。木の種類によっては、木が水に濡れたような濃さではなく、明らかに2~3段階濃くなってしまうものもあるので、クリアーを使われる際にはご留意を。

個人的には、もう少し無色透明で木の色みを変えないワックスがあると、白木や貴重品にも塗布できて使いやすいだろうな、とは思う。

VintageWax(クリアー)を木製家具の引き出しに塗布して撮影した写真。木材の上半分に木工ワックスが塗布されており、その部分だけ木材の色が濃くなっている。

↑ 木製家具の引き出しの側面にVintage Waxのクリアーを塗っているところ。

塗布時と塗布後1週間は臭いがひどく、咳き込むこともある

私が使用したのはVintage Waxクリアーのみだが、塗布する際と塗布した後1週間ほどは、ワックス特有の臭いがかなりある。Vintage Waxを塗布したばかりの部屋に入ると、必ず鼻につく異臭を感じる。

Vintage Waxは何らかの物質の揮発量が多いのか、気管支喘息を有する私は、ワックスを長時間塗布し続けることができなかった。軽く窓を開ける等の換気は行っていたつもりだが、マスクもつけずに数時間塗布していると、咳や痰が増え、最終的には激しく咳き込む羽目になった

また、塗布後1週間くらいは揮発量や臭いが結構きつい。私は何も考えずに自室からワックスを塗布してしまったので、塗布後1週間自室で眠ることができなかった(笑)
Vintage Waxを塗布した後の部屋に長く滞在すると、眠っていても咳き込むので、その部屋で眠ることができなくなる。

塗布後に24時間窓を開けたままで数日間放っておくと、臭いが収まり、咳き込むこともなくなり、再び部屋で過ごせる状態に戻った。今はVintage Waxの塗られた箪笥や建具を眺めながら自室で過ごし、そのまま眠ることもできている。

自室にワックスを塗ったのは晩秋だったが、気温の低い晩秋でもこのような状態になったので、揮発量の増える夏場に、広い面積を塗り始めるのは避けた方がいいかもしれない。気温が上がれば上がるほど、空気中への揮発量は増えるため、臭いもひどくなるだろうと思う。

木材用ワックスを塗布する際の、その他の注意事項

時間と手間がかかる

木製家具に木工用ワックスを塗布するのは、それなりに手間と時間がかかる作業である。家具1台だけで、数日から1週間かかり、重ね塗りするなら単純に倍の時間がかかることを想定しておきたい。

2世帯住宅の家中にワックスを塗布するには、1か月では到底足りなかった。3ヶ月以上かかると想定して、気長に取り組んであげて欲しい。非常に時間を要する作業だが、一度塗ってしまえば、その後数年から数十年は日々の生活が楽になるので、頑張る価値はあるとは思う。

利き手に棘が刺さる

引き戸に塗布する場合に多いのだが、布ごしであっても木のとげが指に突き刺さることがあるので、乾燥のひどい木材に塗布するときには注意が必要。

私は右手人差し指で塗る癖があるのだが、VintageWaxを2個使い切るまでの間に、3回ほど人差し指にとげが刺さってしまった。約6mmの棘が深く刺さってしまったときは、棘抜きを使って1時間近く格闘しても、棘が抜けなかった。
困り果ててイボ・タコ用の絆創膏を1週間貼ってみたところ、皮膚がふやけて、周囲の皮膚ごとはがす方法で何とか抜くことができた。

棘が抜けるまでの間、右手でパソコンを打つたびに軽い痛みが走っていたので、仕事にも多少の支障が出たことをお伝えしておく…。

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木工用みつろうクリームで築40年の和室をメンテナンスする

「木工用みつろうクリーム」はお手頃価格なのに仕上がりが良すぎて、購入後1週間で10g缶使い切ってしまった(笑) 2缶目に200g缶を購入し、築40年の家屋を家中塗り倒しているので、製品をご紹介したい。

木工用みつろうクリームの蓋を開け、真上から撮影した写真。黄色いクリームの右横に、みつろうクリームを塗られたかまぼこ板が写っている。

↑ 購入した木工用みつろうクリーム(10g)

製造元(尾山製材さん)のwebサイト

製造元の尾山製材さんが、みつろうクリームのwebページを用意下さっている。最新情報をお知りになりたい方は、こちら↓からどうぞ。みつろうクリームの購入も可能。

尾山製材 木工用みつろうクリーム
http://www.oyamaseizai.com/portfolios/%E6%9C%A8%E5%B7%A5%E7%94%A8%E3%81%BF%E3%81%A4%E3%82%8D%E3%81%86%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0-2/

木工用みつろうクリームの説明

木材に潤いを与え、つやを良くし、木材を乾燥やキズから保護してくれるクリーム。木製製品や和室の木の部分に塗ることができる。
蜜蠟みつろうと呼ばれる蜂の巣を構成している天然素材と、菜種油・亜麻仁あまに油などの自然由来のオイルから作られている。

金属製の小さい缶に入れられた姿で売られており、10g・40g・200g・400gとさまざまなサイズから選べる。
購入できる店舗は、東急ハンズ等の小売店。(コーナン等のホームセンターでも購入できるかもしれないが、未確認)

 木工用みつろうクリームをかまぼこ板の上部だけ塗布した図。塗ったところだけ、木目がはっきりとしている。

↑ 木工用みつろうクリームを、かまぼこ板の上部だけ塗布した図。塗ったところだけ、木目がはっきりと浮き出て美しい

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みつろうクリームの塗り方

準備するもの

10cm×5cmくらいの大きさの、汚れても構わない布が2枚必要。綿100%の古いTシャツを小さく切ったものや、使い古しのハンカチなどでok。
布の色は何色でもいいが、白やベージュなどの薄めの色だと、クリームを塗った後布の繊維が木に残っても仕上がりが綺麗。

塗り方

私は下記のような手順で塗っている。

  1. みつろうクリームの缶を左手で持ち、蓋を開ける
    手のあたたかさで缶があたためられ、クリームが少し溶けて取りやすくなる
  2. 1円玉の4分の1くらいの量のみつろうクリームを、古布に取る
  3. 古布で木を擦り、クリームを木に塗り広げる
    この時、手のあたたかさでクリームを伸ばしながら塗ると、少量でよく伸びてくれるので効果的
  4. 30分~1時間くらい時間をあけて、塗ったクリームを乾かす
  5. クリームを塗った部分を、乾いた布でよく拭き、つやを出す

手順5の乾拭きは、時間のないときは割愛している。時間がある方は乾拭きすると、木材のきれいなツヤが出て輝きが増すのでおすすめ。

「木工用みつろうクリーム」の金属缶の蓋を開いたところを撮影した写真。薄い黄色のクリームが缶に入っている。缶の下には、みつろうクリームが塗られたかまぼこ板が敷かれている。

↑ 木工用みつろうクリームの蓋を開くとこんな感じ。クリームは薄い黄色に見えるが、塗るとほぼ無色に近くなる。

みつろうクリームを塗布できた場所

部屋 場所 おすすめ度 備考
和室(客間) 床、柱、押し入れ、窓枠、襖縁ふすまぶち、障子、神棚
洋室(書斎) 箪笥たんす
玄関 床(ウレタン加工)

木材の元々の色合いを大きく変えず、ツヤと木目の深みだけを出してくれる。仕上がりが非常にいいので、和室と相性抜群。「木工用」ではなく「和室用」と銘打って売り出した方がいいのでは、と一消費者が不遜極まりないアドバイスをしたくなるくらい、和室にぴったりだった。

築40年の日本家屋の障子の敷居に、木工用みつろうクリームを2度塗布した後の画像、敷居に木の色が戻り、ツヤが出ている。

↑ 築40年の家屋の敷居に、みつろうクリームを2度塗り。木目が美しく浮かび上がり、ツヤも出てきた

木工用みつろうクリームを使った感想

ひと塗りで圧倒的な仕上がり

木材用のワックスやクリームは、今まで「Vintage Wax」「Briwax」「木工用みつろうクリーム」「未晒し蜜ロウワックス」「アマニ油」の計5種類を利用させて頂いた。その中で最も仕上がりが良く、築40年の我が家と相性がいいな、と感じたのが尾山製材さんの木工用みつろうクリームだった。

木工用みつろうクリーム200g缶の蓋を開いた状態で撮影した写真。淡い菜の花色のクリームが、画面に写っている。

↑ 木工用みつろうクリームの200g缶。こちらは丁度片手で持てる大きさ。

どのクリームも、最初はかまぼこ板に試し塗りするところから使い始めるが、かまぼこ板の時点で美しさが圧倒的。たった1度の塗りで、木目が美しく浮き上がり、スーパーのかまぼこ板が大変上品になってしまった(笑)
あまりの仕上がりの良さに、塗布後のかまぼこ板を3日机の上に配置し、ことあるたびに美しい木目を愛でた。DIY好きも、ここまでくると阿呆である。

和室の柱や床など、面積が広くて人目につく木材を長期的にメンテナンスできるクリーム(またはワックス)が欲しかったので、ひと塗りで素晴らしく仕上がりがよくなる点に完全に惚れ込んでしまった。

木工用みつろうクリームの原材料・製造元が表示されている取扱説明書。茶色っぽく5cmに満たない小さな紙片で、折りたたんだ状態で写っている。

↑ 木工用みつろうクリームの成分表示

和室の柱から順に実際に塗ると、ひと塗りで木材の色はほんの少し色が濃くなる。手触りは、カサカサで毛羽立っていた木材が、少ししっとりとする程度。触り心地は良い。木材の表面をなでても棘が指に刺さらなくなるので、安全面も向上。ふた塗り目には更に一段色が濃くなるが、乾いてしまうと木材の色みに深みが出たように感じ、色の変化は好ましい方への変化かなと感じた。

ただ、白っぽい木でできたタンスで、クリーム塗布後明らかに白木の色から木材色に変わったものがあった。が、変色したというより、木材が樹木本来の色を取り戻したように見えた。全体的に少し黄みを帯びた色になり、ところどころ深い色合いに変わったが、こちらも個人的にはさほど気にならなかった。白っぽい木材がお好きな方は、目立たないところで試してから塗るなど、事前に注意頂いた方がいいかもしれない。

木工用みつろうクリームの取扱説明書を正面から撮影した写真。茶色っぽい紙片に注意書きが書かれており、みつろうクリームの小さい缶が写真に映りこんでいる。

↑ みつろうクリームの取扱説明書

人肌で溶ける固さ

また、これは個人的な好みかもしれないが、クリームの固さが絶妙。

木工用みつろうクリームは、冷蔵庫に保管してあるバターくらいの固さで、他の製品と比べるとやや固めにできているように思う。が、丁度人肌の温度でクリームが溶けてくれるので、塗る前に缶を手で握って軽くあたためておくと、クリームが溶け出して少量でするするとよく伸びてくれる。少量しか使わずに済むので、クリームのもちもいい。

やわらかすぎるクリームやワックスだと、季節によってはべたべたして手に付いてしまい、うっかり触った扉や家財を汚してしまうことがあったので、個人的にはこのくらいの固さが塗りやすく、好ましかった。

「木工用みつろうクリーム」の取扱説明書の裏面を撮影した写真。原材料や製造元が、茶色く折りたたんだ紙片に記載されている。

↑ 付属の取扱説明書(裏面)

塗りやすく、匂いがほぼない

塗布時の匂いは、ほぼなかった。無臭とまではいかないが、刺激臭は全くない。(但し、私は鼻が効かないほうである)
今まで試した中では、「Vintage Wax」は塗布時の匂いがかなり強く、窓全開&換気必須だったが、みつろうクリームは窓を開けずに2~3時間塗り続けることができるほど、塗布時の匂いが少なかった。

私は気管支喘息ぜんそくがあり、塗布時の匂いや物質の揮発量が多いと咳き込んでしまい、塗り続けることができなくなる。
咳が止まらなくなるほど症状がひどくなると、2~3日は咳や痰の量が増え、喘息ぜんそくが悪化してしまって困るのだが、尾山製材さんのみつろうクリームではこうした症状が全く出ず、その点でも大変助かった。

木製ワックスやクリームは定期的に塗り直しが必要なので、みつろうクリーム缶を安心して手元に置いておけるのは、とても有難い。

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ホルベインの耐水性カラーインク「ホルベインドローイングインク」

ホルベインのカラーインクはドクターマーチンカラーインクと違い、耐水性である。水に溶けるカラーインクと耐水性カラーインクで使い方が180度違ってくるのは、私だけだろうか。

「ホルベイン ドローイングインク」の使い方

ホルベイン社のドローイングインクを撮影した写真。「チェリーレッド」「プルシャンブルー」「セピア」のインクが写っている。

↑ ホルベイン社のドローイングインク

ドクターマーチンカラーインク(水性インク)と異なり、液の内部で粉末が沈殿しないので、使用前にインクボトルを振る必要はない。
ホルベイン社のインクはボトルの蓋がゴム製のスポイトになっており、スポイトでインクを適量取り利用する。必要に応じて、インクを水と混ぜて薄めて利用しても差し支えないが、紙に乗せインクが乾いた後は耐水性になり、水をはじくようになる。

私は下記のような使い方が最も多かった。

  1. 下絵を鉛筆で描く
  2. ホルベインカラーインクを原液のままつけペンにつけ、ペンで細部まで描き上げる
  3. その上から水彩絵具ドクターマーチン(水性カラーインク)で着彩して仕上げる

濃い色のインクを水で薄めず原液のまま使うと、鉛筆で下絵を細かく描いても後の工程に支障が出ないため、大胆な絵より緻密な絵に向いている。

ホルベイン社のカラーインクは面ではなく線として使いたかったので、原液をそのまま使うことが多かった。付属のスポイトでインクを取り、コミックイラストで使うようなつけペンに1〜2滴垂らして、ペン画のインクとして使っていた。

逆に、水彩画の筆パレットで耐水性カラーインクを使ったことはない。

つけペンを上から撮影した写真。金属のペン先に木製のペン軸のつけペンが写っている。

↑ つけペン。ペン先(金属部分)をペン軸に取り付けて使用する。

ホルベイン社カラーインクのおすすめの色

使ったことのあるインクの中で、色合いが1番素晴らしかったのは、セピア。

色が優しい。インクが僅かに薄く、1本の線に濃淡をつけることができ、セピアの名に相応しいようなほんのりと淡い雰囲気の作品に仕上がる。ホルベインのセピアは、他の利用者の間でも評価が高いようだ。

ホルベイン社のドローイングインク「SEPIA」を斜め上から撮影した写真。インクの手前につけペンが写り込んでいる。

↑ ホルベインのSEPIA。

ペン画は白か黒か(色つきか)の二者択一で作品が作られることも多く、濃い色のインクを使うと、「強く」「はっきりとしている」雰囲気の作品になる。だがホルベインのセピアの穏やかで落ち着いた色合いを使うと、ペン画であってペン画でないような印象さえ与える。

ホルベイン社のドローイングインク「BLACK」を撮影した写真。インクの手前に白い紙が置かれており、黒いインクで描かれた線が写っている。

↑ ホルベインドローイングインク「BLACK」

次点は、ブラック。こちらは、はっきりと力強い色合い。インクの濃度も濃い。

下書きの鉛筆線の上から原液のカラーインクで描く際、下書きの線が透けないので、下書きが濃すぎたり描きすぎたりしても後工程に影響が出ず、使いやすかった。
ドクターマーチン等の眩い色の水性カラーインクと組み合わせると、強い色同士お互いがお互いを引き立て合い、非常にあざやかで人目を惹く絵に仕上がる。

ただ、線が濃くはっきりと出てしまう上に耐水性なので、描き損じると修正しづらく、悪目立ちする(笑)

「ウィンザー&ニュートン」インクとの違い

「ウィンザー&ニュートン」のカラーインクの瓶を正面から撮影した写真。茶色いリスのイラストが瓶のラベルに描かれている。色は955番バーントシエンナ。

↑「 ウィンザー&ニュートン」のカラーインク。色はバーントシェンナ。

ウィンザー&ニュートン社のドローイングインクも、同じく耐水性カラーインクとして名声を博している。
ウィンザー&ニュートンのカラーインクも1瓶所有したことがあるので、せっかくなのでホルベイン社とウィンザー&ニュートン社のドローイングインクの違いを二三あげてみると…

  • ホルベインドローイングインクはインクの量が倍以上
    インク量はウィンザー&ニュートンは1瓶12ml、ホルベインは1瓶30ml。お値段は、ウィンザー&ニュートンが320~370円、ホルベインが500円。
    色数を多く揃えたい方や学生さんは、ウィンザー&ニュートンの方がおすすめ。瓶もウィンザー&ニュートンの方が小さいので、保管スペースも狭くて済む。
  • ウィンザー&ニュートンのインクはボトルにスポイトがつかない
    ウィンザー&ニュートンはボトルの蓋を開けるとインクしかなく、筆やペンをボトルに直接浸して使う。
    個人的には、スポイトでインク量を調整できるホルベイン社の方が使いやすかった。
  • 「ウィンザー&ニュートン」カラーインクの瓶の蓋を開いて撮影した写真。残り少ないバーントシエンナがインク瓶の底に残っている。

    ↑ ウィンザー&ニュートンは瓶にスポイトがない

ウィンザー&ニュートンも光に弱く、退色には注意が必要。どちらのインクも長期保存する作品に使ったことがないので、退色のしやすさも判断保留。ホルベインは1年程度であればゆうにもった。

またウィンザー&ニュートンの方が、インクの色がやや薄いように感じた。だが、使用する色によってもインクの濃さが違うと思うので、判断は保留する。

「ウィンザー&ニュートン」のインク瓶の背面を撮影した写真。インクの扱い方を英語で記載した、白いラベルが写っている。

↑ ウィンザー&ニュートンの瓶ラベル

長期保有の際のインクの固まりやすさは、ウィンザー&ニュートンの方が固まりやすかった。使用開始後10年程で瓶の底にインクが固まってこびりついてしまい、廃棄せざるを得なくなった。

ウィンザー&ニュートンのインクはボトルの原液に直接筆やつけペンを浸してインクを取らねばならない仕様なので、スポイト式のホルベインと比べ、インクに不純物が混じりやすいためではないかと推察する。ホルベインは使用開始後20年経っても固まる気配さえないので、大したものだ。

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ウィンザー&ニュートン
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ホルベイン ドローイングインクが生産中止に

2018年6月末にホルベイン社の公式サイトに、ホルベインドローイングインクの生産を終了する旨が掲載された。

【生産終了】ホルベイン「ドローイングインク」は現在庫品をもって販売終了とさせていただきます。
https://www.holbein.co.jp/blog/2018/06/28/258

市場には在庫分のインクがまだ出回っており、当面の間は購入できそうだが、いささかショッキングなニュースだ。
画材屋では既に品切れだったが、メルカリでまだ少量流通しているのを見かけたので、欲しい方はお早めに入手されたし。

ホルベインインクの代わりとなる画材をお探しの方向けに、ホルベイン社が代わりの品を案内するWebページを作って下さっていたので、下記にリンクを掲載する。

エアロフラッシュとドローイング インクが製造終了したと聞きました。代わりの色材はありますか。
https://technical-info.holbein.co.jp/a242?_ga=2.42536353.546016201.1621434089-956841483.1614093936

上記によると、ドローイングインク「セピア」の代替品は用意されていないものの、ドローイングインク「スペシャルブラック」の代替品は、ホルベイン アクリリック インクの「ランプ ブラック」というお品になるらしい。
私自身はまだアクリリックを使ったことがないのだが、これ以上生産終了品が出ないことを願って、製品リンクを共有しておく。

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ホルベイン画材(Holbein Art Materials)
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ホルベイン社のカラーインクを使用した感想

耐水性のカラーインクを使われたことがある方は、どのくらいいるだろう?

ホルベインカラーインクはかつてイラストや漫画の世界では時折見かけたが、社会人になってから通ったデッサン教室・絵画教室では、インクのボトルさえ見かけなかった。
絵画の世界でもアナログからデジタルへの移行が顕著なので、アナログ画材の中でも使用者の少ない(ように思える)耐水性カラーインクは、近年より一層稀な存在になっているのではないかと思う。

ホルベインドローイングインク「チェリーレッド」の蓋を開いたところを撮影した写真。ボトルの蓋についたスポイトが、正面に写っている。

↑ 蓋を開いたところ

耐水性カラーインクは、耐水性であるが故に、ドクターマーチン等の水性カラーインクとは使い方が随分違う。
勿論インクはインクなので、水性カラーインクと同じ使い方をしようと思えば、やってやれないことはない。ただ、水性カラーインクと同じ使い方をしてしまうと「耐水性」というホルベインインクの一番の強みが生かせないので、必然的に使い方が変わってきてしまうのではないかと感じる。
 →水性カラーインク(ドクターマーチンカラーインク)の詳細については、こちらへ

ホルベインドローイングインク「チェリーレッド」を正面から撮影した写真。インク瓶の手前にインクが少量こぼれている。

↑ Cherry Red

水彩絵具や水性カラーインクと併用できる

耐水性カラーインクの一番のメリットは、描いた線の上から水彩絵具や水性カラーインクで着彩ができること。細部まで緻密に描き込んだ絵に、淡い色合いを大らかに大胆に乗せる、という大変楽しい使い方ができる(笑)

仮に水性カラーインクを用いて、上から水彩絵具で着彩すると、インクの線が溶けて滲み、絵が台無しになってしまう。水彩絵具との耐水性カラーインクを組合せてできる絵は、水に溶けない耐水性インクならではの魅力に満ちている。

仕上げの着彩に使う画材は、水彩絵具に限らず、ドクターマーチンなどの水性カラーインクや、ファーバーカステルなどの水彩色鉛筆でも差し支えない。
 → ブログ管理人が使用している水彩絵具の詳細については、こちらへ
 → ブログ管理人が使用している水彩色鉛筆の詳細については、こちらへ

水性カラーインクで着彩すると、人目を惹きつけずにはおかないような、非常に明るく華やかな絵になる。
寄る年波の所為か最近こうした華やかな絵は描かなくなったが、画風や好みが合う方は是非試して頂きたい。フォトジェニックでよく目立つ、写真やSNSと相性のいい絵になる。

水性さび止めペンキで錆びたハシゴを塗り直す

長年風雨にさらされ錆びてしまったハシゴを、さび止めのペンキで塗り直した。
さび止め水性ペンキは予想よりはるかに素人向けで扱いやすく、最終的には玄関の壁や納戸の扉まで自力で塗り直してしまった。

新型コロナウイルスの緊急事態宣言発令中、ペンキが1缶あれば退屈しなかった(笑)ので、外出自粛期間中にはおすすめ。

錆びたはしごに白いペンキが塗られている写真。梯子の上半分だけ白いペンキが塗られており、下半分は錆びがむき出しになっている。梯子の背景には青い空が映っている。

↑ 塗り替え途中のハシゴ。長年風雨に晒され、錆がひどい。

塗り替えに必要な道具

さび止めペンキそのものを除くと、特別な道具はほぼ必要なかった。

  • さび止めペンキ(水性)
  • さび止めペンキには油性と水性があり、水性ペンキは液体の間は水に溶けるが、乾くと耐水性になるという便利なペンキ。ペンキが濃すぎたら少量の水を入れて薄めることもできるなど、扱いやすさが素人向き

    アトムハウスペイントの錆び止めペンキ(ホワイト)を正面やや上から撮影した写真。ペンキ缶の蓋は閉じられており、缶の周囲にペンキが散っている。

    ↑ アトムハウスペイントの錆び止めペンキ缶

    アトムハウスペイントさんのさび止めは、細かいことは気にせず「錆の上から直接塗るだけ」という、水性ペンキの中でも特に扱いやすいお品で、今回はこちらを利用させて頂いた。

    私はホワイトの200ml缶を購入。

    アトムハウスペイントの「水性さび止・鉄部用」ホワイトを真上から撮影した写真。ペンキ缶は蓋が開いており、真っ白なペンキが缶いっぱいに入っている。

    ↑ アトムハウスペイントの水性さび止めペンキ(ホワイト)

    後日納戸の扉を塗り直す際には、ホワイト700ml缶と200ml缶ホワイトアイボリーを追加購入した。

    アトムハウスペイントの「さび止・鉄部用」ホワイトアイボリーを真上から撮影した写真。薄いベージュに似た色のペンキが、ペンキ缶いっぱいに入っている。

    ↑ 同じ製品のホワイトアイボリー。

    200ml缶1つで高さ6~7mのハシゴを端から端まで3度塗りできたので、思ったより長くもつな、いう印象。

    ハシゴを塗り終えてから納戸の扉にとりかかるまで、およそ4ヶ月間空いた。4ヶ月後に再び開封したペンキは、水分が飛び少しどろっとしていた。水性ペンキなので10mlほど水を足したところ、今度はシャバシャバになりすぎてしまい、逆に焦った(笑)


  • 使い古しの歯ブラシ、ハケ、ローラー
  • 塗り始めた当初、手元にハケがなかったので、古い歯ブラシで代用。ビジネスホテルに置いてあり宿泊後持ち帰れるような、一般的な歯ブラシで問題なかった。但し、歯ブラシでペンキを塗ると塗装表面に筋ができるので、人目につく場所にこの塗り方はおすすめできない。(私が塗ったハシゴは家の最も奥まった場所にあり、家族しか使わない)

    後日ペンキ専用にハケやペイントローラーを買い足した。広い面積を塗る場合や仕上がりの良さを重視する場合は、薄づきで広く塗れるペイントローラーが最も適していた。その場合も、扉の取っ手周辺などの細かい部分は、ローラーでは塗りきれないので、歯ブラシやハケで塗装。
    ペイントローラーは、ご近所のホームセンターや手芸店で数百円で購入できる。

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  • 新聞紙 朝刊1日分 (任意)
  • ペンキを塗る際に、対象物の近くにある壁や床が汚れないよう新聞紙を2枚重ねて貼る。新聞紙がなければ包装紙・チラシ・養生シート・古布等、お好きなもので。

  • 養生テープ・ガムテープ (任意)
  • 新聞紙等が風で飛ばないよう、養生テープ↓で固定し、床や壁を保護する。養生テープがなければ、ガムテープや幅の厚いセロハンテープで代用可能。

  • 紙やすり 1枚 (任意)
  • 鉄が錆びている部分は表面がぼこぼこになっているので、紙やすり↓で削り表面を滑らかにする。百円均一ショップにて数枚100円で買える。

  • 軍手や手袋 (任意)
  • さび止めペンキは皮膚につくとなかなか取れないので、あった方がいい。軍手は百円均一ショップで1組100円で買える。

  • (伊達)眼鏡 1つ (任意)
  • ペンキの飛沫が目や目元に飛ぶことがある。100円均一の眼鏡で構わないので、目を保護するため眼鏡があるとより良い。

  • 汚れても構わない服 1着 (任意)
  • べったりペンキがついても笑って許せる服が必要(笑) 長袖Tシャツやくるぶしが隠れるジャージなど、動きやすく肌を保護してくれる服がおすすめ。

塗り替えにかかった日数(時間)

1日2~3時間 × 3日間 (はしご約5m分)

一度塗ったペンキが乾くのに最低1時間、できれば1〜3時間あけた方がいいので、2度塗りする予定であれば、1日の作業時間を短くし、作業日数を2~3日確保しておく方が確実。
なお、気温が低いと乾くまでの時間が長くなるので、冬に作業される方は要注意。冬場は乾燥だけで3時間くらいかかる。

白いペンキが塗られたばかりの梯子を正面から撮影した写真。梯子の後ろに薄緑色の汚れた壁が映っている。

↑ 塗り替え途中のハシゴ。最下段だけ2度塗りを終えた状態。

水性さび止めペンキの塗り方

ペンキ塗りにかかる時間より準備やペンキの乾燥にかかる時間の方が長いので、そのつもりで予定を組まれるとスムーズに進むと思う。

  1. 準備
  2.  汚れてもいい服に着替え、塗りたい部分の周辺の床や壁に新聞紙を貼る。
     ポイントは、新聞紙を広めに貼ること。風で新聞紙が折れ曲がったり、新聞紙が破れたり、ペンキの飛沫が遠くへ飛んだりして、想定より床や壁が保護されないことが多かった。

  3. 錆びている場所にやすりをかける
  4.  塗る前にやすりをかけておくと、錆がはがれ、表面がなめらかになり、塗った後の仕上がりがよくなる。ただ、10cm四方の紙やすりでハシゴなどの大きなもののやすりをかけるのは少々大変なので、アトムハウスペイントさんのペンキに甘え、やすりをかけるのは気になる箇所だけに留めた。

  5. さび止めペンキを塗る
  6.  さび止めペンキの缶の蓋を開け、中に直接歯ブラシの先を突っ込んでペンキを取る。あとは、ハシゴの表面に歯ブラシの先を沿わせて塗るだけ。ペンキの量が少なすぎると、地の錆びた色が透けて見えてしまうので、気になる箇所は2度塗りする心づもりで。
     歯ブラシを使って一定方向に塗ると、毛先がストライプの模様を作ってくれるので、塗りムラが目立たなくなる(笑)

  7. ペンキが乾くまで1~2時間待つ
  8. 2度塗りする
  9.  地の色が見えてしまっている部分や錆びの著しい箇所は、必要に応じてペンキを2度塗りする。ペンキが完全に乾いていることを確認し、ペンキの上からもう一度上塗りする。
    私は次回錆びるまでの時間もより長くしたかったので、ハシゴ全体を2度塗りすることを選択。

  10. ペンキが乾くまで1~2時間待つ
  11. 後始末
  12.  歯ブラシについたペンキが乾いて固まってしまう前に、水洗いして乾かす。床や壁に貼った新聞紙やマスキングテープをすべて剥がす。作業着は全身着替えて、肌についたペンキを洗って落とす。
     肌のペンキが落ちにくい時は、女性が化粧を落とす際に使うオイルクレンジングを肌に塗り、それから石鹸とぬるま湯で洗うと落ちた。女性がマニュキアを落とす時に使う除光液を小さい布に含ませて、その布で肌を拭いてもペンキが落ちたように記憶している。
    (オイルクレンジングやマニュキア除光液は、百円均一ショップで手に入る)

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白い水性錆び止めを塗ったばかりのハシゴを、はしごに近づいて撮影した写真。ハシゴの表面に、うっすらと塗り跡が見えている。ハシゴの背景は薄緑色の壁。

↑ 白いペンキの下に、元々のハシゴの色(後ろの壁と同じ色)が透けて見える。この点油絵具と似ている。

水性さび止めペンキを使った感想

「ペンキ」という言葉の響きが、中級以上のDIYを想像させて、実際に塗り始めるまでは心理的なハードルが高かった。が、実際には、下準備に手間がかかるものの、本当に「塗るだけ」で作業が終わった(笑)

ただ、屋外で塗る作業を行う場合、天気や気温や風の強さの影響を少なからず受けるので注意して欲しい。
風が強い日に塗ると、ペンキに含まれる有害な揮発性物質を吸うリスクは低くなるものの、養生テープで止めたはずの新聞紙が止めても止めても風ではがれて飛んでしまい、予想外の作業遅延を強いられた(笑)

また、私は晩秋に塗り始めたのだが、2週間後の2度塗りの日は日没が早まっており、日が落ちてペンキの跡が見えづらくなり、翌日まで仕上がり状況も分からないといった苦戦を強いられた。

そんなこんなで、さび止めペンキを塗るまで意識してなかったことに次々と気付かされ、「期日を守って塗るって大変だな…」と塗装工の方の日頃の苦労を垣間見た気がした。

錆止め水性ペンキの使用上の注意事項

ペンキの飛沫が目や眼鏡に飛ぶ

錆止めペンキを塗った翌日、眼鏡拭きで愛用の眼鏡を拭いていたら、何回拭いても取れない汚れが2~3あることに気付いた。視力の低い裸眼を眼鏡に近づけて凝視してみたら、予想通り、錆止めペンキの飛沫が付着していた(笑)

水性ペンキとは言え、目に直接入るとさすがに危ない。伊達眼鏡等目元を保護する道具はあった方がいいと思う。

アトムハウスペイントの錆び止めペンキ缶の蓋を開いて撮影した写真。白くつやのある液体が映っている。

↑ アトムハウスペイントの錆び止めペンキ缶の蓋を開くとこんな感じ。液体なので、あちこちにペンキが跳ねる。

風が強いと髪にペンキがつく

屋外で使用する際、風の強い日に錆止めペンキを塗ると、風に吹かれた髪がペンキぬりたての部分に触れてしまい、髪にペンキがついてしまうことがある。
一度髪につくと水で洗う程度では取れないので、ぬるま湯でシャンプー等を使って早めに洗い流してやる必要がある。

髪にペンキがついたまま何時間も放置すると、見た目が宜しくないだけでなく、ペンキに含まれている揮発性の化学物質を吸い続けることにもなるので、身体に良くない。

私は気管支喘息の持病があるのだが、「さほど長い時間ペンキを塗ったわけでもないのに、今日は妙に喘息の症状が出るな」と思っていたら、髪にペンキが付着しており、風呂でペンキを洗い落とすと症状も改善に向かった。

健常者は喘息持ちほどはっきり症状が出ないとは思うが、注意するに越したことはないと思う。

塗り終わったら、衣服は上から下まで着替える

先に述べた、髪についたペンキと同じ理由。水性錆止めペンキには、揮発性の化学物質が含まれており、長時間吸い続けると身体に悪い。

例え1ヶ所でも衣服にペンキがついていると、服を着ている間中有害な化学物質を吸い続けることになるので、錆止めを塗り終わったら、衣服は全て着替えて全て洗濯してしまう方がいい。

塗り終わったら、早めに入浴

錆止めペンキを塗った後、自分でも気づかないうちに、肌にペンキがついてしまっていることがある。
ハシゴを塗り直した際、家族に指摘されるまで、左ひじにペンキがついていたことに私は全く気づかなかった(笑)

一度肌の上で乾いてしまった錆止め水性ペンキは、冷水で軽く洗った程度では落ちない。両手にペンキがついてしまった際、水とハンドソープで2回ほど丁寧に手を洗ったが、それでも半分程度しか落ちてくれなかった。

ペンキが肌にべったりついてしまったら、クレンジングオイルなどより洗浄力の高い溶剤が必要になる。両手に残ったペンキは、風呂に浸かって手を温め、クレンジングオイルをハンドソープで洗う時のように両手にたっぷり塗って、湯で洗い流すとようやく落ちてくれた。

肌に錆止めペンキがついている場合、揮発性化学物質を吸い続けてしまい身体に悪い
ペンキを塗った日は早めに入浴し、身体についた大小さまざまなペンキを全て洗い流してしまうことをおすすめする。


「ドクターマーチン カリグラフィー」と従来品の「ドクターマーチン カラーインク」 との違いを検討する

カリグラフィー用と従来品の、2種類のドクターマーチンの違いが分からなかったので情報を整理。

ドクターマーチンカリグラフィーの使い方

ドクターマーチンカリグラフィーは容器が目薬に似た形になっている。プラスチック製の蓋を捻って開き、容器を逆さにして、パレットやカリグラフィーペンのペン先に1〜2滴垂らして使用する。

ドクターマーチンカリグラフィーダイカラー「ジュニバーグリーン」の蓋を開いたところを撮影した写真。インクボトルが目薬の容器に似ている。

↑ 蓋を開いたところ

インクの濃度が濃いので、絵画に使う場合は、小さじ1杯くらいの水を混ぜて薄めてからキャンバスに乗せる方がおすすめ。

カリグラフィーの画材として使う場合は、インクをほぼ原液のままで使う。カリグラフィーペンのペン先にインクを直接垂らし、ペン先を軽く水に浸した後、そのまま紙にペンを走らせてレタリングする。

従来のドクターマーチンカラーインクと、ドクターマーチンカリグラフィーの違い

ドクターマーチンカリグラフィーダイカラーと従来版ドクターマーチンカラーインクを前後に並べて撮影した写真。

↑ 手前がドクターマーチンカリグラフィーダイカラー、奥が従来のドクターマーチン

ドクターマーチンカリグラフィーのインク液そのものは、従来販売されていたドクターマーチンと同じ色名・インク液ともに同じだと思う。筆者の手元にある従来のドクターマーチンとドクターマーチンカリグラフィーとを見比べてみたが、私には違いが分からなかった(笑)
ドクターマーチンカリグラフィーのインクの濃さや滲み方も、ガラス版入りの従来品ドクターマーチンと差はなかった。

ドクターマーチンカリグラフィーを使用してみてざっと気付いた違いは、下記の通り。

ボトル瓶がプラスチック製でスポイトがない

従来のドクターマーチンは、透明なガラス製の瓶にインクが入れられている。ガラス容器は鑑賞に耐えるほど美しく、蓋にスポイトが付けられていて、スポイトでインクを適量取って利用していた。

反面、ドクターマーチンカリグラフィでは、プラスチック製のボトルが採用されている。ボトルは目薬の容器に似ており、蓋を外し側面を軽く押すと、1滴ずつ液が出てくる仕組みになっている。スポイトは付属していない。

カリグラフィはつけペンのペン先に直接インクを垂らして使うので、スポイトを介さない分こちらの方が使いやすいのかな、と感じる。
プラスチック製で大きさが小さい分、重さも軽い。割れる心配がないのでうっかり床に落としても問題がなく、持ち運びもしやすい。

難点としては、プラスチックボトルの外からインク液を眺めても、インクの色合いが分かりづらいこと。実際にインクを紙に落としてみるまでは、どんな色合い・風合いを持っているインクか分からず、色チャートを作ったり経験で覚え込ませることになる..。

インクの量が少なく、値段が安価

ドクターマーチンカリグラフィーは10ml、340円。従来のガラス瓶ドクターマーチンは2分の1オンス(14~15ml)で560円。

ドクターマーチンカリグラフィーダイカラー「ゴールデンブラウン」と「ジュニバーグリーン」を正面から撮影した写真。

↑ 外観

ドクターマーチンカリグラフィーの方が、1本あたりの単価が安いため、色数を多く揃えることも可能。
ドクターマーチンはインクの色が濃いので、容量10mlでも1本買うと相当長い間利用できる。趣味で絵画やカリグラフィーを描かれるなら、ドクターマーチンカリグラフィーで揃えられた方が、出費を抑えられる。

公式サイトでは販売されていない?

プラスチック製ボトルのインクは、公式サイト↓で売られていないように見受けられる。日本限定の製品だろうかと思案しているが、情報がないため詳細は不明。

Dr. Ph. Martin’s
https://www.docmartins.com/

ドクターマーチンカリグラフィーダイカラーの容器背面を撮影した写真。小さな文字で注意書きが書かれている。

↑ 容器の背面

ドクターマーチンカリグラフィーを使用した感想

ドクターマーチンを買い足す際、気まぐれでドクターマーチンカリグラフィーを2〜3本購入した。インクそのものに従来品との違いを感じないため、従来品と同様、水彩絵具や従来のドクターマーチンと混ぜて使っている。

ドクターマーチンカラーインクを6本机に並べて撮影した写真。左から順に、「レモンイエロー」「シクラメン」「バーントオレンジ」「トゥルーブルー」「クリムゾン」「アルペンローズ」。

↑ 従来のドクターマーチン

少量&プラスチックボトルなので従来品より扱いやすいのだが、個人的には、従来品のガラスボトルに青春の思い出と根強い愛着があるので、ドクターマーチンカリグラフィーはこれ以上買い足さないかな、という感想。

逆に、今まで全くドクターマーチンカラーインクに触れたことがなかった方にとっては、少量&安価なドクターマーチンカリグラフィーの方が、初期コストを抑えられ敷居が低くそうだとは感じた。

追記:ドクターマーチンカリグラフィーを使うデメリット

2本所有していたドクターマーチンカリグラフィーのインクボトルが、ある日気づいたときにはボトル内の液がカピカピに乾燥し、2瓶とも使い物にならなくなっていた。非常にショック。購入してまだ7~8年しか経ってないのに。

7~8年経過というと、「十分長いわ!」とお叱りを受けそうだが、ガラス瓶に入った従来のドクターマーチンであれば、10年はゆうにもつ。私が所有している最も古いドクターマーチンは30年前に購入した1瓶だが、ボトル内は未だに液状を保っており、色も現役である。凄いを通り越して、恐ろしい。

単なるインクでありながら畏怖すら感じさせる凄さがあるのがドクターマーチンという画材なのに、ボトルがプラスチック製に代わっただけで、こんなに早く駄目になってしまうとは。正直想定していなかった。
「カリグラフィーボトルのインクには悪いことをしたな…」と反省しつつ、人様にドクターマーチンカリグラフィーをおすすめするのを止めることにした。

BRIWAXを使用する上で注意すること (一時的な空気の汚染)

新品のBRIWAXを開封し半日ほど木製製品に塗ったら、その後小一時間咳が止まらなくなった。原因を探るべく、BRIWAXでの塗布中に、空気質測定器を使ってBRIWAX塗布中の空気に含まれるPM2.5と化学物質の濃度を調べてみた。

BRIWAXの缶をロゴが見えるよう正面から撮影した写真。蓋の近くに液だれの跡が茶色く残っている。
↑BRIWAX

BRIWAX塗布時の空気測定結果

上段がPM0.1, PM2.5, PM10の値。中段がホルムアルデヒドと総揮発性有機化合物そうきはつせいゆうきかごうぶつの値。下段が気温・湿度。
ホルムアルデヒド(HCHO)と総揮発性有機化合物(TVOC)が、厚生労働省や環境省の定める基準値(暫定目標値)を軽く振り切るほど、値が高かった。

空気質測定器を正面から撮影した写真。HCHOが1.662mg、TVOCが9.999mg、PM2.5が4μgと表示されている。背景にはニスを塗ったばかりの板とBRIWAXの缶が写り込んでいる。
↑ 屋外での空気環境測定結果

厚生労働省・環境省・WHO(世界保健機関)が定めた基準によると、

  • ホルムアルデヒドは、1㎥あたり0.1mg(=100μg)以下
  • 総揮発性有機化合物は、1㎥あたり0.4mg(=400μg)以下

であれば、長期的に吸い続けても健康に影響がないと知られている。

だが、BRIWAXの塗布中、基準値の数倍にあたるホルムアルデヒドと総揮発性有機化合物が検出された。

PM2.5は直径が2.5マイクロメートル(=0.0025mm)の非常に小さな粒子(粉塵)のことで、粒子が小さければ小さいほど身体の奥まで入り込み、呼吸器疾患や循環器系疾患などの原因となる。PM10以下の粒子は、1㎥あたり0.035mg(=35μg)以下であれば健康に悪影響がないとされているが、数回測ってもこちらは正常の範囲内だった。

BRIWAXは、吸い込むと人体に有害であり、十分に換気しながら塗布するよう、販売元サイトに注意書きが書かれている。
そのため今回の測定は、屋外か、室内で外へ繋がる窓1つと扉1つを全開にして扇風機を「中」で回した状態で行った。十分換気をしている環境にも関わらず、このような高い値が検出されたことに、非常に驚いた。

ホルムアルデヒド・総揮発性有機化合物とは

ホルムアルデヒドや総揮発性有機化合物は、シックハウス症候群の原因となることでも知られており、多量に吸うと身体を悪くする。

ホルムアルデヒドは、室内の空気を汚染する物質の代表格で、濃度が1㎥あたり0.5mg(=500μm)を超えると、眼や喉や気管支を刺激することで知られている。

揮発性有機化合物は、「揮発性がある」つまり常温で液体から気体に変わる有機化合物の総称で、こちらも室内空気汚染の目安となる。
総揮発性有機化合物は、トルエン・ベンゼン・フロンなどの各揮発性有機化合物の濃度を一定のルールに従って合計したもの。こちらも低ければ低いほど、空気環境は安全と言える。

どちらも、時間とともに空気中に拡散し濃度が下がるので、高濃度で検出された場合は、とにかく窓を開けて換気扇を回し、換気することが大切。
余談だが、新築したばかりの住宅で高濃度の揮発性化学物質が検出されると、24時間換気し続けることもあるらしい。十分な換気を3ヶ月程度続けると、ホルムアルデヒドやトルエンの濃度は半分から数分の一以下に下がるとのこと。

また、ホルムアルデヒドも総揮発性有機化合物も、気温が高ければ高いほど、揮発されて空気中の濃度が高くなりやすい。

私のように高濃度の化学物質を含む空気を吸ってしまった場合は、直ちに使用を中断して、屋外等でしばらく新鮮な空気を吸うといいとのこと。

BRIWAXを塗った後に激しく咳き込んだ理由

私がBRIWAXを塗布し咳込んだのは、気温30度を超える夏で、BRIWAXを数時間塗り続けた後だった。

気温が高いと、BRIWAXに含まれるホルムアルデヒド・揮発性有機化合物がより多く揮発し、空気中の有害物質の濃度が高くなりやすい。そんな環境でBRIWAXを長時間塗り続けると、高濃度のホルムアルデヒド・揮発性有機化合物を、長時間吸い続けることになる。

しかも私は気管支喘息の持病があるので、炎症が残っている喉や気管支が汚染された空気に真っ先にやられ、身体がホルムアルデヒド等の異物を少しでも体外に出そうとして、咳が止まらなくなったのだと推測される。

BRIWAX塗布後、どのくらい時間経てば安全か

塗られた面積や部屋の換気度合いにもよるので、何時間(何日)経てば安全かは、はっきりと明言できない。

新築の家の場合、建築当初化学物質の濃度が高いが、3ヶ月から6ヶ月ほど十分な換気を行えば、健康に害のない程度まで値が下がるそうだ。

ただ、BRIWAXは、塗布後1ヶ月以上を経過した頃に計測しても、ホルムアルデヒド及び総揮発性有機化合物の濃度が、基準値を超えているかギリギリ下回っているかというレベルでしかないことがあった。

以下、あくまで一個人の例として、実体験を述べる。

気温30度を超える日にBRIWAXの蓋を開けて放って塗布した際、塗布中は塗布している場所から2mくらい離れていても、空気質測定器のホルムアルデヒドと総揮発性有機化合物の値が極めて高く、空気測定器の出す「ピー、ピー」という警告音が鳴りやまなかった。
総揮発性有機化合物については、計測可能な値を振り切っている(「TVOC 9,999mg」のまま表示が止まっている)ことも多かった。

BRIWAXの蓋を閉めた状態で計測。蓋にBRIWAXが付着してしまっているためか、ホルムアルデヒドと揮発性有機化合物は基準値をオーバーしている。
↑ BRIWAXの蓋を閉めた状態で計測。蓋にBRIWAXが付着してしまっているためか、ホルムアルデヒドと揮発性有機化合物は既に基準値を大きく上回っている。

窓を開けて換気扇や扇風機を回す等の方法で十二分に換気しつつ、BRIWAX塗布後30分以上経って再び計測すると、塗布面から2m~3m離れた場所では、基準値を超えるような高濃度のホルムアルデヒドを検出しなくなった。
但し、塗布した面から10cm以内に空気測定器を近付けると、ホルムアルデヒド・総揮発性有機化合物ともに極めて高い値を計測し、警告音も復活した。

BRIWAX塗布から約1ヶ月経った頃に、改めて空気質測定器でホルムアルデヒドと総揮発性有機化合物の値を計測した。

木製扉の前で空気環境測定を行っている写真。扉は1ヶ月前にBRIWAXが塗布されたもの。TVOCの値は0.386mg/㎡と表示されている。
↑ BRIWAX塗布後1ヵ月後に行った空気環境測定

ホルムアルデヒドは0.056mg/1㎥で基準値(0.1mg/1㎥)の半分弱と正常だったが、総揮発性有機化合物TVOCは0.386mg/1㎥と健康に害のない暫定目標値(0.4mg/1㎥)ギリギリだった。

計測した場所は、下半分にBRIWAXを塗った木製扉の前。塗った面積によっては、総揮発性有機化合物の暫定目標値を超える場合も出てくるのではないかと思う。総揮発性有機化合物が目標値ギリギリでも、鼻につくような臭いは一切感じられず、機械で計測していなければ、私も扉の利用者も気づかなかっただろうと思う。

また、2ヶ月前にオイルステインとBRIWAXを数回重ね塗りして練習した木板も合わせて計測したところ、こちらはホルムアルデヒド・総揮発性有機化合物ともに、人体に影響がないとされる基準値をオーバーしていた。

BRIWAXと某社のオイルステインを重ね塗りし2ヵ月後に行った空気測定
↑ BRIWAXと某社のオイルステインを重ね塗りし、2ヵ月後に測定

BRIWAXよりも併用したオイルステインの方が、ホルムアルデヒド・トルエンをより豊富に含んでいた可能性はある。だが、この数値を見て私は、自宅を自らシックハウスに変えているようなものだと感じてしまった。

今後は、BRIWAXをトルエンフリーのラインナップに切り替えるか、オスモカラー等化学物質を一切含まない自然塗料に切り替えることに決めた。

人体への悪影響を防ぐ方法

最も手っ取り早いのはBRIWAX(オリジナル)を塗らないことだが、都合上トルエンフリーでないBRIWAXを使わざるを得ない方もいるだろう。
下記の項目に気をつけて塗布すると、気温が高くとも塗布時に咳が出ず、喉・気管支に違和感を感じることも少なかった。

  • 風の強い日を選んで塗る

台風到来の翌日に屋外でBRIWAXを塗布すると、風が強すぎて、ホルムアルデヒド総揮発性有機化合物ともに、値がかなり低くなった。磨く時に使うサンドペーパーや下敷きにする新聞紙が若干飛ばされそうになるが、乾きが早く、健康にも優しかった。

BRIWAX塗布中に空気質測定器を正面から撮影した写真。HCHOが0.064mg、TVOCが0.457mg、PM2.5が4μgと表示されている。背景にはBRIWAX塗布中の木の板とBRIWAXの缶と新聞紙が写り込んでいる。
↑ 台風襲来翌日に屋外での計測結果。ホルムアルデヒドは基準値以下に下がっている。
  • 風上で作業する

風上で塗布や磨きを行い、有害な化学物質やサンドペーパーの粉塵が風下へ流れるようにすると、人体への悪影響が少ない。風下に人がいないよう配慮することも忘れずに。

  • 窓を全開にする

少し開けるのではなく、全開に。空気の流れができるよう、2ヶ所以上窓を開けるとベター。ホルムアルデヒド等で汚染された空気を、少しでも多くの外気と換気できるよう配慮する。

  • 換気扇や扇風機を「強」で回す

風のない日は換気が十分行われないので、機械を使って空気の流れを作り、汚染された空気が新鮮な外気と混ざるようにする。送風機でもハンディタイプの扇風機でも、強い風を生み出してくれるものならOK。

  • 高性能のマスクを着用する

風のない日、市販の7枚200円程のペラペラのマスクでは、着用後1~2時間の塗布が限界だった。マスク着用していても喉に違和感を感じるようになり、それ以上塗布を続けられなかった。

私は喘息治療用に持っているウイルス対策マスクや3M社のN95マスクを利用すると、気管支への負担が少なかった。気密性が高いため少し息苦しいが、喉や気管支を守る機能はN95マスクの方が優れている。N95マスク着用時は、喉や気管支に違和感を感じず作業を終えられた。こうしたマスクは、コロナ禍以前はamazonや病院内にある医療用コンビニで1枚400円くらいで手に入ったが、今はさすがに少し値段が上がっているかもしれない。

高性能マスクをお持ちでない方は、マスクの紐を短く縛って密着度を上げたり、マスクを2枚重ねでつけるなどの工夫をすると、多少改善されるのではないかと思う。

  • BRIWAXの塗布と磨きは手早く行う

BRIWAXを塗り込む作業と、BRIWAXを塗り込んだ後ブラシで面を磨く作業は、できるだけ手早く行い、有害物質を吸い込む時間を少しでも短くする

  • 喉や気管支に違和感を感じたら、作業を終了する

気をつけて塗布していても、マスクを着脱する際に、揮発性の化学物質を少し吸い込んでしまうことがある。咳が出たり喉や気管支に違和感を感じたら、その日の作業はそこで終了することにした。

  • BRIWAXを塗布後、6時間以上十分に換気する

BRIWAXを塗布した後、塗布面にはホルムアルデヒドや総揮発性有機化合物が残っている。扇風機を「強」に設定してガンガン換気しても、ホルムアルデヒドや総揮発性有機化合物が正常値を下回るには、数時間かかった。
換気は、とにかく執拗かつ十分に行う方が良さそうだ。

  • BRIWAXは人体から離して保管

空気環境測定を行うまでBRIWAX(オリジナル)は自室の棚で管理していたが、人体に有害であることが分かったので、住居エリアから隔離して納戸に保管することにした。

地震等不慮の事故に見舞われても、人体に悪い影響が出ないよう、人から離れた場所に保管することを癖づけた方がいい。

BRIWAXメーカーの工夫

BRIWAXに「トルエンフリー」というラインナップを見つけた。トルエンは、先程紹介した総揮発性有機化合物の一種。トルエンフリーということは、トルエンを含まないBRIWAXということになる。

こちらの商品はまだ使ったことがないが、ナフサは含まれているそうなので、完全な化学物質フリーではない。ナフサは原油(石油)から得られる物質で、この物質からトルエンが生まれるらしい。(Google先生の受け売り)

半端なく高い値のホルムアルデヒドと総揮発性有機化合物を前に、BRIWAXの作り手も、手をこまねいているわけではないようだが、いずれにせよ、1度使って空気測定してみないと何とも言えないので、良し悪し使える使えないの判断は保留。

今回の計測に使ったBRIWAXと空気質測定器

空気質測定器

空気質測定器を正面から撮影した写真。取扱説明書とパッケージ(白い箱)も写っている。
↑ 空気質測定器

今回の計測には、Dienmernのハンディタイプの空気測定器を使用した。1万円前後で手に入り、軽くて、PM2.5は電源を入れた直後に、ホルムアルデヒドと総揮発性有機化合物も4分以内に表示される。

企業等は法律で2ヶ月に作業場の空気環境測定が義務付けられているが、そうした用途でも使用することができる機器と謳われていたので、正確な値が出るだろうと考え、こちらの機器を使用した。

BRIWAX オリジナル「ラスティックパイン」

BRIAXは、3ヶ月前に新品で購入した「ラスティックパイン」を使用。
BRIWAXにはオリジナルとトルエンフリーの2種類のラインナップがあるが、購入時はそれを知らず、オリジナルの方を購入した。

ラスティックパインを使って検出されたホルムアルデヒドは基準値の数倍から十数倍で、BRIWAXの他のカラーの製品にも塗布時に必ず換気するよう注意書きが記載されているので、ラスティックパイン以外のBRIWAXオリジナルでも同様と考え、注意頂いた方がいいと思う。

BRIWAXトルエンフリーはまだ使用したことがないので、どの程度の数値をはじき出すかは分からない。トルエンフリーを謳っているので、総揮発性有機化合物TVOCについては、恐らくオリジナルより低い値が出るだろうと思う。

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終わりに

BRIWAX ラスティックパインを塗ったかまぼこ板を上から撮影した写真。かまぼこ板は全体が茶色で、焦茶色の木目がところどころにはっきり見え、僅かに光沢がある。
↑ BRIWAX ラスティックパインを塗ったかまぼこ板

塗布後の仕上がりだけを見ると、BRIWAXはDIYに適した非常にいい製品に見える。手順通りに塗れば、かまぼこ板が高級家具顔負けの色ツヤに仕上がるのだから、世界中のDIY好きがBRIWAXの虜になってしまうのも無理はない。

反面、BRIWAXの仕上がりの素晴らしさに隠れて、BRIWAXを使用する上で注意すべき点は、十分に強調されていないように感じる。

空気の汚染による有害物質の曝露には短期曝露と長期曝露の2種類があり、数時間程度の短期曝露でも、人体に影響を与えることがある

BRIWAX「ラスティックパイン」の蓋を開き、斜め上から撮影した写真。金属製の缶の中に黒い液体が入っている。
↑ BRIWAXの蓋を開いたところ

子供や高齢者、それに私のような呼吸器疾患持ちは、高濃度または大量の有害物質に曝されると、健常者より早く身体を悪くしやすい。しかもこうした人は、世の中に一定の割合で存在している。

やむを得ずBRIWAXと末長くお付き合いしたいと考えるなら、永続的ではないにせよ大気を汚染する性質を持っていることは、頭の片隅に記憶しておくべきだろう。

人物クロッキーにファッション雑誌・ヘアカタログ雑誌を使う

ファッション雑誌やヘアカタログ雑誌を、人物クロッキーの教材として使うことがある。

着衣の人物のクロッキー練習(ファッション雑誌「LEON」)

「LEON」は、30代後半~50代くらいの男性をターゲットにしたファッショナブルなモテるオヤジの作り方を提案する月刊誌。雑誌自体は美術やデッサンとは関係ないが、人物クロッキー(早描き)の練習として、こちらの雑誌を使っている。

今までに3つの絵画教室に通う機会があったが、絵画教室でデッサンを習っていても、人物をモチーフに絵を描く機会はあまり多くなかった。
定期的に人をモデルとして描く機会を設けていたのは3つの絵画教室うちの1つだけで、週1回有志が集まり、描き手が交代で着衣モデルを務める形で運営されていた。参加は任意。それでも、プロのモデルを雇ってのクロッキーやデッサン会は、年に数える程だったように思う。
特に、スタイリッシュでハンサムな男性をモデルに、となるとモデル代もかかるし、教室が教室ではなくなってしまいそうな予感さえする(笑)

こうしたファッション雑誌を使うと、好きな時間にスタイリッシュな大人の男性を存分に描けるので、人物クロッキーの練習としては良い教材だと思っている。

ファッション雑誌は「LEON」にこだわらず、「MEN’S NONNO」でも「FINEBOYS」でもお好きな雑誌で大丈夫。女性ファッション誌でも勿論構わない。単に「LEON」は掲載されているファッションが自分の好みに近く、かつ女性モデルが描きたくなるほど優雅なので、私に適していた。

最近発刊された雑誌ではなく数年前に発刊されたものを使われる方が、図書館や古本屋で安く手に入るので経済的。冬物・夏物・春秋物の3冊くらいを、常時利用できる手元に置いておくと、描きたい時にすぐに取り掛かれるので楽ちん。

ただ、雑誌のままだと重かったり、開いてもすぐ本が閉じてしまったりして使いにくいので、100〜200円くらいの古本で購入して、必要なページを切り取って使っていた。今ならスマホがあるので、描きたいページを写真に撮ったり、スキャンしてタブレット等で使っても便利だと思う。

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人物の頭部の練習(ヘアカタログ雑誌)

ヘアカタログ雑誌も1~2冊手元にあると、いつでも人物の頭部のクロッキーが描けるので便利。

ヘアカタログ雑誌は、1つのヘアアレンジに対し「正面」「横」「真後ろ」の3枚の写真が掲載されていることが多い。写真が複数掲載されていると、1人の人物を様々な角度から描くことができるようになる。
(ついでに、描いて覚えたヘアアレンジを実生活にも役立てると、一石二鳥。笑)

こちらの雑誌も、古くて安いもので構わない。図書館で借りてスキャンしてもいいし、気に入ったものを古本で購入してもok。私は後者で入手した。

男性用・女性用でそれぞれ1冊あると便利。髪型だけでなく、髪の1本1本にまでこだわって細密画に近い描き方をされたい場合は、黒髪より茶髪・金髪に近い髪色のヘアアレンジが多い雑誌を選ばれた方が、髪の質感や髪の流れる方向までつかむことができると思う。

掲載されている写真の大きい雑誌の方が、使いやすい。ヘアアレンジの種類がたくさん掲載されている本は、1枚あたりの写真が小さすぎる場合もあるのでご注意を。

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余談 ~クロッキーの紙について~

クロッキーの紙は、クロッキー帳を購入して描いても構わないが、プライベートで描くならコピー用紙で十分だと思う。自分が描き続けやすい環境を整えておくのは大事だが、クロッキーは何処まで行っても練習なので、紙やペンにはあまりこだわらずに、やる気と時間の許す限り描いていた。

→ 描き終わったクロッキーの保存方法については、こちら
→ 描きすぎると腕が腱鞘炎になり痛むが、それでもまだ描きたい時は、こちら
→ クロッキー帳について詳しく知りたい場合は、こちら

製作で使用している画材紹介 ~ 水彩絵具・パレット・筆 ~

水彩は先生に師事して専門的に学んだことがなく、水彩画の技法本を読み漁っての独学。なので、間違っている箇所があったらごめんなさい。

水彩絵具

コープ水彩絵具

中学の美術の授業で買い与えられたものを、未だにメインで使っている(笑)

学生時代の絵具を愛用している最大の理由は、使い慣れた絵具の方が、色を混ぜた際にでき上がる色を想像しやすいから。
絵具を単色で使うならカラーチャートを作っておけば事足りるが、水彩絵具は2色~5色以上混色して使うことが圧倒的に多いので、混色のしやすさは欠かすことのできない重要ポイントの1つ。
作業の速さから作品の出来栄えまで、製作全般に大きく影響してくるので、少なくともあまりに使いづらい絵具は使わないことにしている。

焦茶色の木机の上に、6本の水彩絵具をのせて、絵具に近づいて撮影した写真。Coop水彩絵具の空色・青・黄灰色・焦茶の絵具チューブが乱雑に転がっている。

また、このコープ水彩絵具には、「きはいいろ(黄灰色)」や非常に赤みの強い「あかむらさき(赤紫)」など、「何でこれが一般向けの製品に入っているんだろう?」と首を捻りたくなる色が何本かあり、それらが私の好みに大変マッチして良い仕事をしてくれている(笑)

ホルベインやターナーなど他のメーカーでも、探せば似たような色には巡り合えると思うが、1つの画材に慣れ、その魅力を引き出すまでには時間がかかるし、自分でもちょっと意味が分からないほどコープ水彩絵具から離れる気にならないので、当分このままでいいかと思っている。

透明なビニール袋に入ったコープの水彩絵具19色セットを茶色い床に置き、撮影した写真。水彩絵具セットの手前には、青色と紫色の絵具のチューブが1本ずつ置かれている。

派手な色がなく、どの色も使いこなせるのも有難い。

Dr.Martin カラーインク(読み:ドクターマーチン)

サブの水彩画材として、ドクターマーチンカラーインクは非常によく使う。

青色・緑色・黄色のドクターマーチンカラーインクを白い紙の上に立てて並べて、ラベルの正面が写るように撮影した写真。美しいガラス瓶のボトルが、無造作に並べられており、どのボトルも中の液体が半分くらいに減っている。

ドクターマーチンのインクを使うと、通常の水彩絵具にはない透明感とあざやかさを出せる。が、ドクターマーチンを単色で使うとあざやかすぎて、そこだけキャンバスから浮いてしまうので、上記のコープ水彩絵具と混ぜて使うことが多い。

ドクターマーチンのカラーインクを使うと、多少絵が下手でも美しい色合い・グラデーションが簡単に作れてしまうので、若かりし頃に水彩へのめり込むきっかけを作ってくれた製品でもある。
本当に色合いが美しく、使うのが楽しくなるカラーインクなので、一度も使われたことのない方はぜひ一度試してみて頂きたい。初めての方には、蛍光色のないシンクロマチックシリーズが、使いやすくておすすめ。
 → ドクターマーチンカラーインクの詳細については、こちら

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ホルベイン透明水彩絵具

上記2つの絵具でも欲しい色がない場合は、ホルベインの透明水彩を使っている。

ホルベイン水彩絵具のチューブ2本を、チューブの近くで撮影した写真。チューブの色はそれぞれ、オペラ(あざやかなピンク色)と、パーマネントイエローディープ(明るい山吹色)。

↑ ホルベイン透明水彩

コープ水彩絵具より値段が張るが、10年以上引き出しに保存していても、チューブが錆びたり絵具が乾燥したりすることがなかった。色数も豊富に揃えられるので、色が足りないと感じることがなく助かっている。個人的に黄色から青にかけての色が好みなのだが、緑と青と灰色が絶妙な割合で混ざっている色↓ような、好みだが自分ではぱっと作りづらい色も用意されている。

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また、水彩画の技法書には、素敵な水彩画を掲載し、その水彩画を描く際に実際に使用した絵具のメーカーや色名を、合わせて記載しているものがある。
「真似して描きたい!」と思って色名を見るのだが、「ローアンバー+ウィンザーバイオレット+カドミウムレッド」(京都の古い家並みの板壁の色)など、「手持ちのCoop水彩絵具に当てはめると何色ですか?」としょんぼりする色名が記載されていることが多い(笑)

「メイン画材はホルベインなどの有名処にしておいた方が、水彩を学ぶのが早まったかな…?」と今になって思うが、学生の頃から染みついた習慣はそう簡単には取れそうにないので、今から学ばれる方は反面教師にして欲しい…。

茶色い床に赤い箱に入ったホルベインの透明水彩絵具が蓋を開いた状態で置かれている。箱には緑や茶色や赤の水彩絵具チューブが真新しい状態で入っており、箱の手前に黄色とピンクの水彩絵具チューブが置かれている

もし購入を検討される場合は、最初は色数を多く揃えなくていいと思う。
水彩は何といっても、色や水を自由に混ぜ、微妙な色合いや濃淡を作って楽しめるのが魅力なので、最初から何もかも色を揃えてしまっては勿体ない。
私がコープ水彩絵具19色セットで不満を感じないように、最初はせいぜい20色もあれば十分じゃないかと思う。

ただ、水彩画では通常、白い絵具はほぼ使わない。白絵具と他の色を混ぜると色が濁るし、原色そのままで使うと目立ってしまい、白を塗ったところだけキャンバスから浮いてしまう。
個人的な意見としては、白チューブの入っていない透明水彩絵具セットを売った方がみんな絵が上達していいんじゃないかと思うが、ホルベインもターナーもウィンザーアンドニュートンも、絵具セットにデフォルトで白色が入ってしまっている…。

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水彩パレット

折り畳み式プラスチック製パレット

中学生の頃から、ずっとこのパレットを使っている。未だにあまり不足を感じないところが凄い。

白いプラスチックの水彩用パレットに、赤や黄色や青色や紫色の水彩絵具が乗せられている。パレットの手前には、使い古した筆が1本添えられている。

このパレットは折りたたみ式になっており、数多くの絵具を乗せてそれらを一度に把握することができ、かつ、混色するスペースが広いところが気に入っている。

amazonなどを眺めていて、絵具を置くスペースが広いパレットと、色を混ぜるスペースが広いパレットの大きく二通りがあるように感じた。絵具を置くスペースが広いパレットは、大きな絵を制作する方向けだろうか。個人的には、混色であれこれ試行錯誤して、小さめの絵を描きたい派なので、混色スペースの広いパレットの方に軍配が上がる。陶器でできたお皿のようなパレットもあるが、屋外制作などがあるなら、軽さや取り扱いのしやすさを踏まえてプラスチックパレットの方が良いのではないかと思う。室内制作がメインで大きな絵を描かれる方なら、陶器パレットもありかも。

白いプラスチックの水彩用パレットに、赤や黄色や水色や紫色の水彩絵具が乗せられている。絵具はすべて乾燥してカチカチに固まっており、パレットには、赤や黄色を混色している跡が残っている。

また、水彩ではパレットは殆ど洗わない。プロの方も洗わない、というのをどこかの本で読んで以来、根がものぐさなのですっかり洗わなくなってしまった。軽く10年以上洗っていないように思う。代わりに、絵具を混ぜる広い部分が汚れてきたら、水を浸した古布でふき取っている。

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チョコレートの箱のパレット

最近変わり種のパレットも使い始めた。チョコレートが入っていた小箱が、Van Gogh(ヴァン・ゴッホ)の固形水彩絵具の入れ物にぴったりだったので、試しにパレットとして使ってみている(笑)

Mary'sのおしゃれなチョコレートの紙箱にVan Goghの固形水彩絵具の詰めてパレットにした写真

Van Goghの固形絵具を普通のプラスチックパレットに乗せて使おうとすると、動いた拍子に絵具が床に落ちてしまい困っていたので、当面この菓子箱パレットを使って様子を見てみようと思っている。

Mary'sのおしゃれなチョコレートの紙箱にVan Goghの固形水彩絵具の詰めてパレットにしたもの(拡大図)

水彩筆と筆入れ

水をよく含む柔らかい筆が、使いやすいように思う。

木製の台の上に、左から順に折り畳み式プラスチックパレット、使い古した筆、プラスチック製の丸い筆入れが置かれている。プラスチックパレットは、古びており、ところどころ絵具で汚れている。

この筆のほかに、細かい部分を描く細い筆と、水を画面いっぱいに広げられる太い筆を併用しているが、筆は3~5本あれば十分事足りる。筆を買い揃えるより絵具を買い揃えた方が、制作の幅が広がりそう、と個人的には思う。

↓ この3種があると便利。

水彩画をたくさん描かれるなら、上の写真↑の左端に写っている平筆は1本あると便利。無くても描けるが、水彩画は広範囲に水や薄めの水彩絵具を塗ることが多く、その上から絵具を落として滲ませて着彩することも多いので、均一な濃さでぱぱっと広い範囲を塗るには、平筆が一番楽だと思う。

その後描き込むように塗る時は、中央の丸い筆を使い、最後に細部を仕上げたい箇所だけ、右端の細い筆を使う。それぞれの筆の太さはお好みで。自分に合う筆の太さは、描く絵のサイズや描き手の個性にもよると思うので。

ちなみに筆入れも、中学校の美術授業で買い与えられたものを未だ使用している。長い筆を入れても筆先が決して潰れない、という入れ物が意外に見当たらず、結局この筆入れに落ち着いた。軽いし透明なので、筆の入れ忘れも少ない。

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水入れ

水入れには全くこだわりがなく、ジャムの空き瓶や和風だしの入っていたプラスチックのボトルを転用している。
たっぷりの水で絵具を溶かすと水彩特有の透明感が出るそうなので、コップより大きいサイズの入れ物を使う方が、水彩絵具の良さを生かせると思う。