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鉛筆でデッサン力を養うのに適したモチーフの一覧

デッサン初心者の頃から鉛筆デッサン10年超の現在に至るまで、日々スケッチブックにモチーフとして描いてきたものを、描いた順にメモする。デッサン力向上を目指す方の一助になれば。

ひょんなことから今まで3つの絵画教室にお世話になったが、どの教室も工夫を凝らし、生徒が無理なくデッサンのスキルを伸ばせるよう、工夫してモチーフ選んで下さっていたと感じている。そして、「何を描くか」ということもさることながら、「どの順で描くか」も同じくらい重要だった。

鉛筆でデッサンしたモチーフ@N先生の絵画教室

社会人2年目に、完全なるデッサン初心者として通い始めたN先生の教室にて描いたモチーフをご紹介。デッサンのモチーフが、最もシンプルで初心者が学びやすい順に構成されていたなあ、と感じるのがN先生の教室だった。

鉛筆デッサン必修課題

 1枚目 白いプラスチックの植木鉢
 2枚目 青緑色のシンプルな形の壺
 3枚目 赤林檎1つ
 4枚目 赤林檎1つと半分に切った赤林檎1つ(キャンバスで林檎と林檎が接するようにモチーフを配置する)
 5枚目 透明なガラスのワイングラス
 6枚目 緑色のランプ

最初の1枚目の植木鉢から6枚目の緑ランプまでは、デッサン初心者も経験者も、N先生の教室に通い始めた全員が頑張って描く。使うのは、三菱鉛筆uniの2B鉛筆1~2本と、練り消しゴム1つと、全長30cmくらいのスケッチブック1冊のみ。
それぞれのモチーフと取り組む順には、重要な意味がある。

 1枚目 明暗を描く練習
 2枚目 色のついたものを描く練習
 3枚目 丸いものを描く練習
 4枚目 2物の関係を描く練習
 5枚目 透明なものを描く練習
 6枚目 中身の見えるものを描く練習

1枚目・2枚目は、色が1色か2色で、形もシンプルなモチーフが選ばれている。そして枚数が進むにつれ、色数が増え、形も複雑になり、絵に奥行きが求められるようになってくる。

ただ、4枚目の林檎1個×林檎半分は、2物の位置関係を平面上で組み立てねばならずとても難しいので、個人的には順番を少し入れ替えて、林檎1個×林檎半分は6枚目でもいいかなとも思う。

最初の6枚を入塾(?)した人が入塾した順に描くので、進捗は全員バラバラ。早めに描き上げても、何時間もかけてじっくり描いてもいい。中には小学校以来30年間絵など描いたこともなかったという人もいたが、先生のサポートを受けつつ、その方らしい絵を描き上げていた。

また、生徒全員が同じものを描くので、この6枚の絵が共通の話題となっていた点も見逃せない。年齢や職業が違ってもこの6枚の話題なら会話が出来てしまい、教室全体に一体感が生まれ、生徒同士が仲良くなるのに一役買っていた。生徒同士が仲良いと教室にも通いやすく、絵の技法からパンの美味しいお店まで、この教室でさまざまなことを教わった。

N先生は非常にお喋り好きで社交的な方だったが、コミュニケーションまでを考慮してこの6枚を必修課題とされていたのなら、見事というより他ない。

鉛筆デッサン選択課題

必修課題の6枚を描き上げると、パステル画や水彩画や色鉛筆画・油絵など、選ぶ道は十人十色だった。あと数枚鉛筆デッサンを描かれてから、ご自分の描きたい画材やモチーフを選ばれる方が多かった。こうした自由度の高さは、個人運営の絵画教室ならではの良さだと思う。
私は鉛筆1本で描けるシンプルイズベストな鉛筆デッサンが好きになり、積極的に鉛筆デッサンに励んでいたので、そのときのモチーフをメモ。

 7枚目 珈琲ミル
 8枚目 銅のランプ
 9枚目 ミロのビーナス(小型の石膏の胸像)
 10枚目 ビロードの袋の入ったウイスキーボトルと、水の入ったグラス
 11枚目 枯れ薔薇約20本と模様付きの白い花瓶
 12枚目 黒いランプ
 13枚目 造花の花3本
 写生会 川のある風景

7枚目以降は、N先生の教室に保管されていたモチーフのうち、先生に勧められ自分でも興味惹かれたものを順に描いた。質感や形の違うものが毎回選ばれていたなあ、と振り返ってみて感じる。
描く順はさほど気にしなくて構わないが、石膏像は非常に難しく感じたので、9枚目で描いたのは時期尚早だった気がする。

鉛筆でデッサンしたモチーフ@Aスクール

N先生の教室が閉じてしまった後、通い始めたのがAスクール。Aスクールには美術大学受験向けの講座があり、講師も生徒もデッサン力が超ハイレベルで、絵で賞を受賞されている方がたくさんいた。
Aスクールはデッサンコース内でのカリキュラムがおおよそ決まっており、デッサンのモチーフも予め定められていたが、何をどの順番で描くかは講師と相談しながら選ぶことができた。(かつ、デッサンに飽きた時は、絵本コースやコミックコースなど別のコースを受講することもできた)

 01枚目 石膏の立方体
 02枚目 石膏の直方体
 03枚目 石膏の円柱
 04枚目 石膏の球体
 05枚目 石膏の円錐角柱相貫体
 06枚目 グラス
 07枚目 紙コップ
 08枚目 木片
 09枚目 トイレットペーパー
 10枚目 ブックエンド
 11枚目 縄
 12枚目 レンガ
 13枚目 タオル
 14枚目 金属製のボウル
 15枚目 グラスとレモン
 16枚目 レンガとワインボトル
 17枚目 植木鉢とボーダー柄の布
 18枚目 オイル缶とさいころ
 19枚目 電球とクリップ
 20枚目 スコップと胡桃

※後半に行くほど、モチーフを描いた順序はうろ覚え。

最初が単体モチーフの石膏デッサン、次が単体モチーフで質感のあるデッサン、最後が複合モチーフで二物の質感の異なるデッサンだった。実はカリキュラムはこの後も続き、牛の頭蓋骨など形の複雑なモチーフを使ったデッサン、石膏人物像や木炭デッサンなどへと進んでいくが、私はこの20枚すら所要時間内に描けず、挫折した(苦笑)

石膏でできた立体の描き方を最初にしっかり学んでおくことは、形のとり方や奥行き・立体の表現の仕方を身に付けさせてくれたと感じる。特に立方体と円柱は、学びが多かった。実際に描き始めると単調に思えるかもしれないが、「この最初の数枚が描けないと、他のどのモチーフもまともに描けないだろう」とも感じた。

<参考>木炭でデッサンしたモチーフ@T先生の絵画教室

 1枚目 石膏の首像(ミロのヴィーナス)
 2枚目 石膏の首像(名称不明。男性の首像)
 3枚目 石膏の首像(名称不明。男性の首像)
 4枚目 石膏の胸像(ボルゲーゼの闘士胸像)
 5枚目 石膏の胸像(名称不明。青年戦士が甲冑とマントを羽織っている像)

入門直後の必須カリキュラムが最もスパルタだ、と感じたのが、T先生の教室。Aスクールで鍛えられた後でも、石膏像を5枚連続で木炭でデッサンするのは難しかった…。
初心者が石膏像を描くのは難しく、また、石膏像を個人で用意するのも費用が嵩むので、このカリキュラムは参考程度に見て頂ければ。

鉛筆画:テキーラ瓶とかるがものぬいぐるみ(製作途中)Tequila and Karugamo drawn by pencil

Tequila and Karugamo テキーラの空瓶1本とかるがものぬいぐるみ1つが鉛筆でデッサンされている絵を、正面から撮影した写真。絵はスケッチブックに描かれており、スケッチブック全体が写真に写っている。画面左に、テキーラのつややかなガラスのビンが描かれており、ビンには税関のシールやお酒のロゴラベルが貼られている。画面右に描かれているかるがもは、鉛筆で淡くふかふかとした質感で描かれている。

モチーフ テキーラの空瓶、かるがものぬいぐるみ
使用画材 スケッチブック、三菱鉛筆uni、練り消しゴム
製作場所 T先生の絵画教室
光源 自然光と蛍光灯を併用。自然光は3Fの窓から採光、時間帯は14:00~17:00
完成日 2017年12月16日(土)

モチーフについて

テキーラの空瓶は、T先生の教室でお貸し下さったもの。
購入当初は琥珀色の透明なテキーラが入っていたそうだが、残念ながらテキーラそのものにお目にかかることは出来なかったので、琥珀色の強いお酒を思い浮かべながら描いた。お酒を飲めない人間にとっては、酒は想像と創造の世界で愛でるものである。輸入した際のものと思われる関税(?)のシールがまだ貼られており、いい雰囲気を出していたので、それも描くことにした。
数年経ってから、amazonで売られていたモチーフ瓶を発見。ようやくテキーラのお酒の色を把握した。予想よりお酒の色が薄かったので、描く前にまだまだ修行が必要そうである..

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かるがものぬいぐるみは、我が家の古参。
同じ教室内で鳥を油絵で描かれている方がおり、自分も鳥好きなので鳥を描いてみたかったが、モデルになるようないい写真が見つからず、実物に先がけてぬいぐるみのかるがもで描いてみることにした。いずれは雀や山鳩や目白などを描いてみたいと思案している。地味色の鳥ばかりなのは、好みと都会固有の問題である。都会では明るい羽色をした鳥にお目にかかることがほぼない。ぬいぐるみのかるがもは20年来の古参なので、白い羽が経年の汚れで微妙に灰色がかっている部分があるが、そうした部分も再現する予定。

「質感の違い」を描き分けることが、今回も大きなポイントの1つ。今回のモチーフはどちらも茶色だが、片や硬くて透明で光の反射があり、もう片方はふかふかと柔らかく、輪郭さえはっきりしない。また、ぬいぐるみという愛らしいモチーフなので、見る人がきゅんとするような愛らしさを紙の上に再現できれば。

描き方について

テキーラ瓶は、6H鉛筆から4B鉛筆まで幅広く使用。4H・6H鉛筆といった芯の硬い鉛筆は、こうした固く透明なモチーフにおいて威力を発揮する。かるがもは今のところほぼH鉛筆で、部分的にHB鉛筆。

どちらもモチーフが焦げ茶なので、仕上がりが近付くにつれ、手の側面に鉛筆の粉がついて、キャンバスを汚す恐れがある。それを避けるため、2つのモチーフのおおまかな形を取った後は、左のテキーラ瓶から描き込んだ。こうした描き方の方が個人的には描きやすい。デッサンの描き方講座を見ていると、左右並行でバランスよく仕上げていく方も多い。

描いている最中に、かるがもが自宅のどこかに仕舞われてしまい見当たらなくなった。1ヶ月経っても出てこないので、テキーラ瓶のみを仕上げて一旦中断。

鉛筆画:壊れたバイオリン a broken violin

弦が1本切れている木製のバイオリン1台を、バイオリン全体が入るよう、スケッチブックに三菱鉛筆でデッサンした絵を写真に撮ったもの。バイオリンは弦の部分を上にして、白く平らな場所に置かれており、バイオリンの顎当ては黒く艶やかに光っている。

モチーフ バイオリン(ミニサイズ)(弦が1本切れている)
使用画材 スケッチブック、三菱鉛筆uni、練り消しゴム
製作場所 T先生の絵画教室
光源 自然光と蛍光灯を併用。自然光は3Fの窓から採光、時間帯は14:00-17:00
完成年月日 2013年09月28日

モチーフについて

モチーフに選んだのは、本物の4分の3ほどの大きさのバイオリン。大きさが小さいだけで、ボディや部品の材質は本物と同じ。ボディは飴色をした美しい木材でできており、描き手のテンションを上げてくれた。バイオリンは、T先生の絵画教室に保管されていたもの。

ミニサイズバイオリンでも実際に音を奏でることも出来るそうだが、残念ながら、描き始めた時には既に弦が切れてしまっていたため、バイオリンの生音を聴くことはできなかった。
元々バイオリンやビオラやチェロなど弦楽器の音が好きで、クラシック音楽にはまってオーケストラや弦楽器の曲ばかりを聴いていた時期もあったので、その時聴き貯めた音を脳内で補いながら描いた。

描き方について

真新しいものより時を経て現在に残存するものの方に心惹かれるので、このモチーフでも、ボディ全体に古さが出るように線を重ねた。鉛筆は6Hから6Bくらいまで使用。

全体的に色が濃いので、普段メインで使うH鉛筆でデッサンすると、後から描き足す2B・4B・6B鉛筆にH鉛筆の繊細な筆跡が全て塗りつぶされてしまう、という私の苦手なパターン。美術大学受験などでデッサンの正規教育を受けた方はこうしたモチーフの場合、黒い部分を最初から芯の濃い鉛筆で描き始めるらしいが、未だにこの描き方をしない。塗りつぶされる分時間が倍かかるが、H鉛筆以下の線がないと、絵がすかすかして繊細さが失われるのではないかと感じる。(単に6B鉛筆で描き始める意気地がないだけ、という訳では断じてない) 画面上で一番暗い「黒」も、十分濃くするよう注意した。正直バイオリンの形を取るより、苦手な黒を濃く強く出すことの方に気を遣った。

木・金属・プラスチックの質感の違いは、残念ながら、この絵では十分に描き出すことが出来なかった。特に木製の質感については、当初バイオリンの艶に全く気付いておらず、艶がないものとして描いていたので、T先生からご指導を受けた。これ以降、T先生から質感の異なるモチーフを1つまた1つと手渡されることになる…。

鉛筆画:年代物のラジオ An Antique Radio

Antique Radio drawn only by pencil.革製の茶色いケースに入ったSONY製の年代物ラジオを鉛筆でデッサンした絵。ラジオ本体は黒色で、プラスチック製。革カバーは茶色で、使いこまれた風合い。絵の背景は白い画用紙。画用紙右下に、鉛筆で何かを描き消した跡が残っている。

モチーフ Sony製の古いトランジスターラジオ
使用画材 スケッチブック、三菱鉛筆uni、練り消しゴム
製作場所 T先生の絵画教室
光源 自然光と蛍光灯を併用。自然光は3Fの窓から採光、時間帯は14:00-17:00
完成日 不明

モチーフについて

ネットで調べてみると、昭和30年代に発売されたトランジスターラジオと大きさや形が似ているので、その頃のものではないかと思う。手に持つとずっしりと重く、革製の立派なケースまで付属している。電池を入れる箇所があり、古い型の四角い電池が入っていた。四角い電池も気に入ったので取り出して描こうかと思ったが、お世話になった日立マクセル社製の古い型の電池が見つかったので、そちらを描くことにした。だが、残念ながら、製作途中で日立マクセル社乾電池がなくなるという事件が起きた。幸い描き上げた後に再発見されたので、いずれは描き足す予定。
どの絵も数か月かけて描くので、描いている最中にモチーフが行方不明になることが時々ある。困ると言えば困るのだが、各モチーフは教室に保管されているもので、そもそも私物ですらない。描けなかったものは縁がなかったのだと、諦める気持ちも肝心である。

これらのモチーフも、触感・質感を描き分けるという課題の一環と理解している。ケースの年季の入った茶革や留め金の金属の質感、ラジオ本体の2種類のプラスチックとざらっとした金属の質感など、異なる質感が盛りだくさんのモチーフだった。ラジオ本体が真四角なので形を取るのは易しいだろうと思い込んだが、ケースや部品の箇所に楕円や小さい円や小さく複雑な凹凸があり、大いに苦しめられた。

描き方について

4Hから6Bくらいまでの鉛筆を使用したと思う。モチーフの色が全体的に暗いので、6H鉛筆は使用しなかった筈。8B鉛筆を使用すると心のヒットポイントが減るので、今回も使用していない。

全体の形を取るのは速かったが、細かい部品や細部の凹凸を描き込むのに数倍の時間がかかった。細部の形に気を取られると全体とのバランスが取れなくなることが多く、描いてみては一部消し、更に描いては全て消す、という残念至極な描き方も多かった。

何度も人の手に触れられたであろう革のケースの質感がとても良かったので、触られて色がまだらになった部分の穏やかな色を再現するよう心掛けた。革ケースを愛でていると、ラジオ本体を描き込む時間が削られてしまい、ずしっとした重さやプラスチックの持つ軽やかさは十分に再現できなかった。結果として質感については及第点に満たなかったので、次回持ち越し。

鉛筆デッサン:ボウルとトイレットペーパー a bowl and toilet paper

金属製の料理用ボウルと薄い紙のトイレットペーパー1巻きを、白い画用紙に鉛筆でデッサンした絵。横たわったトイレットペーパーに、ボウルが覆いかぶさるように置かれており、ボウルの下には暗い影ができている。トイレットペーパーは紙が斜めにちぎられている。

モチーフ 金属製のボウル(小)、トイレットペーパー 1巻き
使用画材 画用紙(裏面)、三菱鉛筆uni 数本、練り消しゴム
製作場所 Aスクール
完成日 不明

モチーフについて

2つの物を組み合わせて鉛筆でデッサンする課題の中の1枚。

ボウルもトイレットペーパーも、過去に単体で鉛筆でデッサンする課題を済ませているので、今回は2つを組み合わせて2物の関係性を捉えながらデッサンする。
2物のデッサンは単体デッサンと比較して難易度が格段に上がる。両方の大きさと位置関係をある程度正確に捉え、それを紙の上で表現することができないと、どちらか片方の物が空中に浮いたように見えてしまい、床の存在が立ち現れてこない。2物の影を表現することでしか床は表現できないので、物の大きさ・位置関係のどちらを把握するのも苦手な人間には、拷問の様な課題だった。

今回は片方が真っ白なトイレットペーパー、もう片方が金属製のボウルなので、質感や色の違いも描き分ける必要がある。ふわっとしたトイレットペーパーと硬質な金属ボウルが同じ質感な筈がなく、色も当然のごとくボウルの方が濃い。
また、金属ボウルは鏡のようになっていたので、実際にはボウルの周辺にある様々な物が写り込んで見えていた。が、ボウルの単体デッサンの際に、それら写り込んでいる物全てを描き込もうとして酷い目に遭ったので、今回は大幅に端折って、簡略化した。

描き方について

金属ボウルは、実際より濃く見えるよう塗り重ねた。使った鉛筆の濃さは記憶にないが、絵を見る限り確実に2B鉛筆・4B鉛筆以上を利用し、最も濃い部分に6B鉛筆を載せていると思う。実際の色である銀に近い淡い色を載せるより、この方が本物っぽくなるので不思議なものだ。質感は金属なので、光が反射して見える明るい部分が必ずボウルのどこかにある。(それがなければ、むしろ金属製品を描いていてもつまらない) 光の反射している箇所は、新品の練り消しゴムの白い部分を使って、描き込んである鉛筆線を消した。こうした強い光の表現は、工業製品を描く時の楽しさの一つであり、かつ、緊張する瞬間でもある。

トイレットペーパー単体の描き方は、既に別ページで説明したので割愛。今回は立て置きではなく横置きにしたので、難易度がやや上がっている。横置きだとトイレットペーパーの断面の楕円の形がいびつになるので、形を取るのが難しい。

鉛筆デッサン:ブックエンド a bookend drawn wirh pencil

青い金属製のブックエンド(本立て)1つを、白い画用紙に三菱鉛筆uniでデッサンし、完成後デッサンを正面から撮影した写真。ブックエンドは立てた状態で置かれており、中央に穴が開けられている。各辺が曲線でできている珍しいデザインのブックエンド。

モチーフ 青い金属製のブックエンド
使用画材 画用紙(裏面)、三菱鉛筆uni、練り消しゴム
製作場所 Aスクール
完成日 不明

モチーフについて

群青色に濃い灰色を混ぜたような色みのブックエンドだった。金属製だが薄く、百科辞典などは支えると折れてしまいそうな、やや華奢なブックエンドだった。右上と左上の角が外に張りだすように歪曲している、デザインの高い形をしていた。

色が好みでなく、描き手の熱意が掻き立てられなかったため、このモチーフにはあまり愛着が湧かない。ブックエンドの形は良かったので、ベージュなどのより好みな色をしていたら、もっと嬉々として描いただろうにと少し残念。
モチーフを好きになれるか、愛着が湧くかは、絵の仕上がりや作品そのものの質に直結してくるように思う。

描き方について

モチーフに装飾等がなく、長方形から微妙に歪んでいるブックエンド上面の形さえ正確に描ければ、色みと金属の質感を加えて仕上げにできる絵だと思う。モチーフが1点なので、2物の位置関係を考える必要がなく、その点は気が楽だった。

ブックエンドの垂直面と水平面が交わる部分においては、光の照り返しがあるため、ほんの少しだけ練り消しゴムで消して、元々の鉛筆の濃さを薄めている。光源がブックエンドより上の位置にある場合、本来であればブックエンドの足元は光から最も遠く、最も濃く書かなければならない箇所だが、先生の助言を受け光の照り返しを入れると、ブックエンドの立体感が増した。不思議なものだ。

形と色を再現するのに時間を食ってしまい、金属の質感は、十分に再現させることが出来なかった。モチーフの質感を精確に表現することは、現在に至るまで、私の課題の1つである…。

完成後この画像を友人に見せたら、単にブックエンドを撮っただけの写真だと思われた。描いた私は、狂喜乱舞(笑) 自分1人ではこうしたデッサンの精確さが出せないので、Aスクールの先生方のご指導のお陰だと思っている。

鉛筆デッサン:トイレットペーパー a roll of toilet paper drawn with pencil

白いトイレットペーパーひと巻きを、白い画用紙に三菱鉛筆uniでデッサンし、完成後正面から撮影した写真。トイレットペーパーは立てて置かれており、薄く柔らかな紙が手前に向かって延びている。

モチーフ トイレットペーパー1巻き
使用画材 画用紙(裏面)、三菱鉛筆uni 数本、練り消しゴム
製作場所 Aスクール
完成日 不明

モチーフについて

石膏以外のモチーフを、単体でデッサンする課題の中の1枚。

デッサンの対象となるモチーフは、1つ1つ質感が違うものが選ばれており、今回は「紙」でトイレットペーパーだった。Aスクールのモチーフ置き場に入っていた、何の変哲もないトイレットペーパーである。(ちなみにAスクールには、プラスチック製の大きな引き出しが10つ以上壁付近に積み上げられており、その中にデッサン用のさまざまなモチーフが保管されていた)

円柱形と平面を組み合わせた形もさることながら、トイレットペーパーの持つ独特の質感が、画用紙の上に再現できるかがポイント。再現できなければ、よくある石膏の円柱をデッサンしたものと、大して変わらない絵になってしまう。
このトイレットペーパーもそうだが、卵やボウルなど、身近にあるのに形や質感が面白い題材は、絵のモチーフとして繰り返し利用しやすいので、デッサンの練習にはもってこいだと思う。
この時はトイレットペーパー単体で描いたが、少し後には料理ボウルと組み合わせてもう1枚デッサンした。

描き方について

三菱鉛筆uniでざっくりと全体の形を取り、質感や陰影などの細部を描き込んでいくという、いつもと同じ手順で描いた。

モチーフが白一色なので、陰や影の部分をどこまで濃くするかは迷った。仕上がった絵を眺めていると、影はもっと濃い黒を置いていた方が、画面にメリハリが出る上トイレットペーパーの白さも際立つので、少々勿体ない事をしていると思う。また、このデッサンだとトイレットペーパーの紙が固そうに見えてしまうので、もう少し薄く柔らかそうな質感を出すべきだった。

以下、反省文。出来上がった絵について明らかに違和感を感じるのは、トイレットペーパーの奥から手前に伸びている一枚紙の部分の陰が、なだらかでない点。本来であれば、トイレットペーパーが机に接する部分は角を感じさせないくらい、陰の濃淡を少しずつ変化させなければならなかったが、当時そこまで技量がなかったためか、面2枚を繋ぎ合わせたような不自然な絵になってしまっている。

この絵を描き終えた後、デッサン技法書で、トイレットペーパー1巻きをほぼ同じ構図で鉛筆でデッサンしている絵を見せて頂いた。トイレットペーパーの紙の凹凸や、ふにゃっとした質感、透けて見えるくらいの紙の薄さが自然に表現されており、一目見て脱帽。単体モチーフだからこそ、己の技量の足りない部分がよく見える、と比較してみてつくづく感じた。

鉛筆デッサン:木材 a wooden block drawn by pencil

木目のくっきり見える四角柱の木片の塊を立置きし、画用紙に三菱鉛筆でデッサンし、完成したものを正面から撮影した写真。木片には年輪がある。a wooden block

モチーフ 四角柱の木片
使用画材 画用紙(裏面)、三菱鉛筆uni、練り消しゴム
製作場所 Aスクール
完成日 不明

モチーフについて

今回のモチーフは、年輪のある木片を、30cmほどの高さの四角柱になるよう切り揃えたもの。

木のモチーフの特徴である、木目がはっきり見えるように、切り口が考慮されていた。木の横断面に同心円の美しい年輪が見えており、縦断面には節が2~3あり、側面には自然なひび割れまで生じているという、木の特徴がこれでもかとまで詰まった素敵なモチーフだった。こうしたモチーフが用意されておりデッサン習得に使えるのは、美術に特化したスクールならではのメリットだと思う。

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描き方について

ひび割れ以外は四角柱の形なので、形を取るのは、さほど難しくない。

木材の全体の形が取れたら、木の色を出すのにまず苦労した。手近にある木製製品をご覧頂けるとよく分かるが、工業製品に比べ、色の濃いところと薄いところの差が少ない。木全体も木目も、彩度に工業製品ほど差がなく、色相にも大きな差はない。木の色は濃すぎず薄すぎず、全体的に同じような色をしているので、何も考えずに塗ると、のっぺりしてメリハリのない絵になる(既になっているが…)。

ひび割れや影を、4B以上の濃い鉛筆で描いておけば、よりメリハリのある、見栄えのする絵になると思う。Aスクールの先生によく、「『10番目の黒』を使いなさい」とご指導頂いたのを思い出す。「10番目の黒」とは、鉛筆1本で濃淡を作る練習の時に登場する、その鉛筆の作れる最も濃い黒色のこと。濃い黒・強い黒をキャンバスに置く度胸がなく、画面全体がメリハリのないグレー一色になりがちな私にとって、非常に的確なご指摘だった。この絵でも10番目の黒は登場しておらず、H・HB鉛筆をメインに据え、節や木目の部分を中心に濃い色を足す程度に落ち着いている。

木目を描いていくのは、面白い作業だった。木など自然界からやって来たものは、工業製品とは異なり、木目や節の位置が多少ずれていても鑑賞者にはバレないので(笑)、少し気楽に描くことができた。美しい木目が多かったので、年輪の箇所を中心にもう少し濃く描いても良かったかなとも思う。

改めて眺めると、影や陰の濃さが足りていないことも気になる。ひび割れが無い方の側面は、この木の持つ面の中で最も光が当たらない部分の面なので、そうと分かるよう濃さを足すべきだった。

鉛筆デッサン:白いタオル white towel drawn with pencil

布製の白いタオルを軽く結び、結び目が正面に見えるように机の上に置いたものを、白い画用紙に三菱鉛筆uniで鉛筆デッサンした画像

モチーフ 真っ白いタオル1枚
使用画材 画用紙(裏面)、三菱鉛筆uni、練り消しゴム
製作場所 Aスクール
完成日 不明

モチーフについて

モチーフは、デザインや模様の一切ない、ガーゼに似た質感のタオルだった。普段一般家庭で使われるやや毛足の長いタオルではなく、こちらのタオルがモチーフとして用意されていた理由は良く分からない。
タオルをどのような形にセッティングするかは、ある程度自分の意志や自由が効く。モチーフによっては見栄えのする置き方や、モチーフの魅力が引き出される置き方などもあるそうで、どこの教室に所属していた時でも先生のご助言を頂きながら置き方を検討することが多かった。今回はタオルの結び目となだらかな陰の部分がはっきりと見える置き方になった。
デッサンを1枚描き上げるのに非常に時間がかかる生徒だったので、モチーフを延べ数日に渡って持ち越すことがよくある。今回のようなモチーフでは、デッサン1日目が終わった後結び目を解いて仕舞ってしまうと、デッサン2日目に全く同じ形の結び目を作ってセッティングするのが大変なので、タオルを結んだ状態のままで木板に乗せて名札を張り、その状態で1~2週間保管頂くことが出来た。何も考えずに仕舞ってしまい翌週来た際には、同じモチーフが既に別の生徒さんに使われてしまっており、別のモチーフを使用する羽目になったこともあったように思う…。

描き方について

正面に結び目があるので、結び目の縁から見えたり隠れたりするタオルの線を違和感なく繋げることが重要なポイントだった。一瞥した時に、形に違和感を覚えたり、どういう形をしているかよく分からないものは、デッサンとしては不出来のようだ。
モチーフ全体が白色のみなので、モチーフの大まかな形を取った後は、H・2H・4H鉛筆が活躍した。もしかすると、6H鉛筆や8H鉛筆まで使ったかもしれない。N先生の教室では2B鉛筆のみで全ての絵を描いていたが、2H・4H鉛筆の良さを知ると、白の多いモチーフやガラス製品では使わずにおれなくなった。光を受けている明るい面において、線の濃さを気兼ねなく形や質感を描き込むことができ、鉛筆の芯が固い分画面に緊張感や繊細さが出てくるように思う。今回は影をしっかり濃くしたため、白い部分をより目立たせることが出来た。
結び目の正面の部分を少し濃くしすぎたが、それ以外は違和感少なめに抑えることが出来たので、自分の中では良しとしたい。