水彩色鉛筆」タグアーカイブ

水彩色鉛筆画:ガラスボトル(炭酸瓶)

ガラス瓶5本を縦に並べ、白いスケッチブックに鉛筆と水彩色鉛筆でデッサンした絵。モチーフは左から順に、薄緑色のコーラの空瓶、MOETの緑色に金ラベルのシャンパンボトル、白い天使のラベルが貼られたドイツビールの茶色い空瓶、Monopoleの黄緑色のシャンパンボトルの空瓶、ラムネの水色の空瓶。

モチーフ コカコーラの空瓶 1本、ラムネの空瓶 1本、
シャンパンボトルの空瓶 2本、ドイツビールの空瓶 1本
使用画材 スケッチブック、三菱鉛筆uni 数本、ステッドラーの水彩色鉛筆48色セット、
その他色鉛筆多数、茶系水彩絵具、練り消しゴム
製作場所 T先生の絵画教室
光源 自然光と蛍光灯を併用。自然光は3Fの窓から採光、時間帯は14:00-17:00
完成日 2016年02月13日

モチーフについて

水彩色鉛筆を使用したかったので、T先生の教室に保管されていた瓶のうち、色のついた瓶だけを採用。

ラムネ・コーラ・シャンパン×2・ビールと計5本もあるので、構図に悩み、当初はラムネ・コーラ・ビールのいずれか2本を選んで、前列に据えようと思っていた。が、シャンパンの値段が恐ろしく高いこと(下記リンク参照↓)、T先生がシャンパンが一番お好きなことなどモチーフに関する情報を仕入れていくうちに、シャンパンが貴婦人に見えてきたので、前列は貴婦人方にお越しいただくことにした。

created by Rinker
Moët & Chandon(モエ・エ・シャンドン)
¥4,780 (2024/04/27 01:50:31時点 Amazon調べ-詳細)

偶然にも、モチーフに採用した瓶には全て炭酸が含まれていたので、それに気付いてからは「炭酸シリーズ」と勝手に名付けて呼んでいた。5本とも瓶の色も形もラベルも美しく、描いていてとても楽しかった。

描き方について

まず、鉛筆デッサンとして通用するくらい、三菱鉛筆uniで形をしっかり描き込んだ。H鉛筆などで立体を構成する面をがりがり描き込んだが、4B鉛筆以上の濃い黒は、この時点ではまだ置かなかった。

その後、スケッチブック全体に淡いセピア系の水彩絵具を刷いた。茶系の水彩は、いつものごとく2~3色は混ぜた。カラーインクDr.Martin Radiantのセピア↓(28B)は使ったと思うが、水彩用パレットに長年端座したままの色を毎度そのまま使うので、どのメーカーのどの色がスケッチブックに乗ったのかは、描いた本人にも分からない(笑)

最後に、色鉛筆で細部を塗り込む。細部を彩る色鉛筆は、水彩色鉛筆と通常の色鉛筆を区別せず利用した。メインで使用したのはステッドラーの水彩色鉛筆48色だが、MITSUBISHI油性色鉛筆など、他のメーカーの色鉛筆なども使用。

コカコーラ瓶の淡い緑が、手持ちの水彩色鉛筆だけでは出せず、四苦八苦した記憶がある。実物は、もっと色が淡い。水彩で淡い色を出すのは簡単(水を足すだけ)なので、色鉛筆で淡い色を出すのにこれほど苦戦するとは、想定していなかった。
色鉛筆を買い足すなら、濃い色より淡い色を買い足された方が賢明だと感じた。

「デッサン・絵画用 鉛筆ホルダー(30本収納)」 Derwent(ダーウェント)

鉛筆デッサンの必需品。この布ペンシルホルダーのお陰で、画材の持ち運びが随分楽になった。

Derwent(ダーウェント)社の鉛筆ホルダーの説明

芯を尖らせた鉛筆30本を、折ることなく持ち運ぶことが出来る道具。

布ホルダーの真ん中がゴムバンドになっており、ゴムバンドの間に鉛筆を1本ずつ挟み、巻物のようにくるくると巻いて、ボタンで留めて持ち運ぶ。ホルダーの右端には、練り消しゴムやカッターナイフなどの小物を入れることができる小さいポケットがついている。

derwent社のペンシルホルダーを拡大した写真。

↑ 拡大図。

Derwent(ダーウェント)社の色鉛筆ホルダーを開き、濃さの異なる三菱鉛筆uniを12本収納した図

Derwent(ダーウェント)社の色鉛筆ホルダーの右端を拡大した図。幅の広い茶色のゴムバンドに金属製の鉛筆ホルダー2本が格納されており、革製の小ポケットにはデッサン用の練り消しゴムが格納されている

Derwent(ダーウェント)社の鉛筆ホルダーを使用した感想

デッサン教室に自転車で通う際、折角カッターナイフできちんと尖らせておいた鉛筆の芯が自転車の振動で2本も3本も折れてしまうため、思い切ってこちらのペンシルホルダーを購入してみた。
上質な素材で出来ているのか、使っていて心地良く気分が落ち着くところもお気に入りだが、機能的にもとても優秀だった。

ダーウェント社製のペンシルホルダーで色鉛筆を保管している写真。

↑ ペンシルホルダー拡大図。

鉛筆の芯を折らずに、10本以上同時に持ち運びできる

まず、鉛筆が何本でも入るところが素晴らしく良い。
鉛筆デッサンの際、描く題材によって4H、2H、H、HB、B、2B、4B、6Bと、濃さの違う8種類の鉛筆を使い分ける。また、描いていて芯が折れてもすぐに別の鉛筆に移って描き続けられるよう、よく使う2H鉛筆・H鉛筆・HB鉛筆・2B鉛筆に関しては鉛筆を各2本ずつ用意している。

すると、鉛筆だけで最低13本必要で、更に練り消しゴム(明るい用と暗い用の2種類)、鉛筆を削るためのカッターナイフ、短い鉛筆のための金属製のペンシルホルダーまで使っていると、毎回かなりの道具を持ち歩くことになり、今までは筆箱がごちゃごちゃになってしまって大変だった。

このペンシルホルダー購入後は、全てこのホルダーの中に、定位置を決めて収める事ができるようになったので、毎週末繰り広げられていた筆箱カオスからようやく解放された。

あと、アスファルト片道40分の自転車通学でも、不思議なほど鉛筆の芯が折れない。元々色鉛筆用(鉛筆よりも芯が柔らかく折れやすい)のペンシルホルダーである所為かもしれないが、1cm以上芯を伸ばした鉛筆でも折れないのだから、大したものだ。
デッサンをする時、鉛筆の芯が尖っていないと作品の仕上がりが悪くなるので、芯を折れずに持ち運べるのは重宝している。

ここ2~3年は水彩色鉛筆・油彩色鉛筆も持ち運ぶようになったが、こちらもやはり芯は折れない。

耐久性が高い

使用し始めてから週1で使って10年近く経過したが、1度も壊れることがなく、劣化も起きなかった。ゴムバンドの部分が伸びてしまうことはなく、革がばりばり剥がれ落ちることもなく、鉛筆の粉で内が汚れることもなく、布部分が破れてしまうこともなかった。
購入当初は「シンプルな製品なのに少し値段が高いな」と思っていたが、十分に元が取れ、製作に集中出来る環境を保てているので、満足感が高い。

Derwent(ダーウェント)社の色鉛筆ホルダーの紐を綴じた図。「Derwent」と書かれた赤い製品タグが鉛筆ホルダーの右部分に付けられている

その他注意事項

カッターナイフが落ちやすい

デッサン用の鉛筆は、鉛筆の削り方が独特(芯を1cm以上伸ばして削る)なので、カッターナイフは必需品。だが、幅広のカッターナイフを入れてペンシルホルダーを持ち運ぶと、ホルダーの隙間からカッターナイフが出てきてしまうことが何度かあった。ポケットのある部分に入れても出てきてしまうので、カッターナイフの重さの問題かもしれない。

カッターナイフの芯は軸の中に仕舞ってあり、ペンシルホルダーから鞄の底に落ちるだけなので危険を感じたことはないが、「あれ、カッターがない」と探し回ったことは何回かあった。

derwent社製のペンシルホルダーを横に長く広げ、真上から撮影した写真。ペンシルホルダーには、三菱鉛筆uni十数本と色鉛筆十数本とカッターナイフ1本と金属製鉛筆ホルダーと練り消しゴムが格納されている。

↑ ペンシルホルダー全体像

derwentペンシルホルダーの側面図(写真)

↑ 側面

鉛筆ホルダーをおすすめできる方・できない方

鉛筆や色鉛筆などの芯が柔らかい画材で絵を描かれる方で、今後長く絵画を続けるご予定の方、写生会など屋外での製作を控えてらっしゃる方には、布ペンシルホルダーをおすすめできる。軽くて持ち運びしやすく、長く使えるので、早めに使い始めると「芯が折れる」・「鉛筆が見つからない」・「支度にいつも手間取る」などの手間が省け、製作に集中できる環境が作れると思う。

反面、いつも屋内の決まった場所で製作される方、ペンやマジックなどの硬い画材で製作される方には不向き。そういった方は画材が壊れる心配がないので、立て置きのできるペンシルスタンド(↓)の方が、使い勝手が良いと思う。ペンシルスタンドの方が、お値段もお安い。

created by Rinker
homdolaser
¥1,380 (2024/04/26 18:08:09時点 Amazon調べ-詳細)

私も、色鉛筆はペンシルスタンドを併用している。色鉛筆は使う本数が多く、布製ペンシルホルダーに収まりきらない、という消極的な理由からだが、短くなった鉛筆・色鉛筆を仕舞うことのできる低めのスタンドがついているものを選ぶと、ペンシルスタンドも使いやすい。
 → 管理人愛用のペンシルスタンドについては、こちらへ

created by Rinker
Derwent
¥2,480 (2024/04/27 06:21:35時点 Amazon調べ-詳細)

水彩色鉛筆画:青いワインボトルと色ガラスのランプ a blue wine bottle and colorful glass lamp

画面左は、水彩色鉛筆で描いたピーロート・ブルーのワインの空瓶(pieroth blue burg layer schlosskapelle 2010)。ワインボトル全体が透明な群青色のガラスで出来ており、コルク栓は外されており、細身。画面右は、赤青緑のガラスのランプ。A BLUE BOTTLE WINE AND COLORFUL GLASS LAMP.

モチーフ ピーロート・ブルーの青い空瓶(pieroth blue burg layer schlosskapelle,2010)、色ガラスで出来たランプ
使用画材 スケッチブック、三菱鉛筆uni、練り消しゴム、水彩色鉛筆(ファーバーカステル48色セットなど)
製作場所 T先生の絵画教室
光源 自然光と蛍光灯を併用。自然光は3Fの窓から採光、時間帯は14:00-17:00
完成日 2015年06月27日

モチーフについて

ボトル瓶もランプも、T先生の絵画教室に保管されていたもの。ピーロート・ブルーのスタイリッシュで美しい群青色をしたワインボトルに見惚れ、描かせて頂くことにした。ボトルが細身で置いているだけで美しく、たわわに実った葡萄の描かれた金色のラベルが、群青色のボトルによく似合っていた。カラーインクや油性色鉛筆など、他の画材で描いても面白いと思う。

色とりどりのガラスのランプは、ピーロート・ブルーのワインに釣り合う丁度良いモチーフだった。色のついていない箇所のガラスが厚めで僅かに濁っているところもあったので、少し古い時代に作られたものではないかと推察する。
ランプはN先生の絵画教室でも少なくとも3枚は描いたモチーフなので、ランプは大きさや形を問わず、絵にしやすい題材なのだろう。形が面白く、透明ガラスや金属など質感の異なるものが組み合わされており、単体でも他のモチーフと組み合わせても一幅の絵になる。中にアルコールランプの様な芯が入っているのを眺めたりしたが、実際に火を入れて灯したことはなかった。

反省

描き上げた当初は満足していたが、後から振り返ると、モチーフに対する理解が浅く、モチーフと水彩色鉛筆の魅力を引き出せていないのが目につく。
ワインのwebサイトを確認したところ、”pieroth blue burg layer schlosskapelle”というワインの特徴は、下記のようなものらしい。


『ノーズはフレッシュで、梨と青リンゴのニュアンスを持ち、レモンと柑橘類の含みを伴う。ミディアムボディ、フレッシュ、しなやかでフルーティな風味はまろやかな酸味を示し、滑らかでクリーンな長い余韻』


ワインそのものの色は、ごく淡い上品な小麦色だと後で知った。軽めで少し甘口で女性にも飲みやすく、種々の果物の持つ爽やかさがボトル全体から溢れるような感じなのだろう、と推察する。
こうした雰囲気が漂うよう、もう少しフレッシュさを追求して描いても良かった。お値段もやや高いので、上品さや気高さをプラスしても面白いだろう。機会があればリベンジしたい。

色鉛筆の保管・収納方法 (自宅保管する場合と持ち運ぶ場合)

色鉛筆が増え100本を軽く越えたので、収納方法を検討した。

色鉛筆を自宅保管する場合の収納方法

キャンバスに向かいながら「どの色を置こうか」とあれこれ思案し試行錯誤することが多いので、すべての色が一度に見渡せ、微妙な色あいを思案しやすいよう、青系・緑系・赤系の色別に保管する方法に落ち着いた。

灰色のカーペットの床に、赤と青の和紙で作られたペン立てが置かれている写真。ペン立てには、普通の色鉛筆・油性色鉛筆・水彩色鉛筆が混ざった状態で立て置きで収納されている。
↑ 自宅の色鉛筆置き場。

この保管方法では、芯の硬さ・軟らかさメーカーごとの色の差は無視している。色鉛筆ユーザなら誰もが通る道であるMITSUBISHI色鉛筆から、恐ろしく芯の柔らかい色鉛筆やクーピーペンシルまで、見事にごちゃ混ぜ。芯の硬さやメーカーや色鉛筆の種類は、それなりの頻度で色鉛筆を使うならある程度まで感覚で覚えてしまえるので、この方法で意外と問題なかった。

水彩色鉛筆と普通の色鉛筆も、区別せず。当初は「混ぜて保管するとさすがに混乱するんじゃないか」と考え別々に保管していたが、欲しい色が見つからず結局両方の保管場所を探しに行くことがあまりに多かったので、こちらの方法のほうが性に合っていた。

保管方法を工夫しても覚えきれなかったのは、「2色を混色した時に生まれる色」だった。色鉛筆のまま線を掛けあわせたり、芯を削って混ぜて塗ったりと、混色の仕方にもいろいろあるが、バリエーションが多すぎるのでどうしても覚えきれなかった。混色表を作ってみた時期もあったが、やはり数が多すぎて、途中で投げ出した。こればかりは、経験と直感に頼るしかなさそうだ。

灰色カーペットの床に、赤と青の和紙で作られたペン立てに普通の色鉛筆・油性色鉛筆・水彩色鉛筆が混ざった状態で立てて収納されている
↑ お気に入りの色鉛筆ほどよく使われて短くなるので、見失わないよう低いペン立てが付いていると便利。

写真のペン立ては祖母が牛乳パックで手作りしたものなので、近所のバザー以外では売られていない。持つべきものは手先の器用なおばあちゃん、と陰ながら感謝。

形の似たものを少し探してみたが、全く同じ形のペン立ては、インターネット上には売られていなかった..。市販品で、上記と大きさ&高さが似ているものは、2~3あった↓

created by Rinker
homdolaser
¥1,380 (2024/04/26 18:08:09時点 Amazon調べ-詳細)

色鉛筆収納の用途でペン立て(ペンシルスタンド)を探されるなら、収納本数を考慮されるといい。本格的な色鉛筆画は100本近く色鉛筆を使うので、ペン立て1つでは収まらない場合も多い。ご自身が何本くらい色鉛筆を使うか、何本くらい収納したいかによって、適したペン立ても変わってくる。

参考:アイブロウライナーは画材扱い

化粧する時眉を描くのに使うアイブロウライナーや目元を描くのに用いるアイライナー(ペンシルタイプ)は、芯の柔らかい色鉛筆と質感が似ており、個人的にはお気に入りの「画材」。使わなくなったアイブロウライナーは、緑系色鉛筆と一緒に保管している↓

アイブロウライナーを色鉛筆の入った鉛筆立てに立て置きで保管している写真。
↑ 透明なキャップのついているものが、アイブロウライナー

力を入れずに濃く太くやわらかな線が描けるので、主にクロッキーをたくさん描きたい時に使用している。最近ではSeriaなどの百円均一ショップでアイブロウライナーを安く手に入れることができるようになり、有難い限り。

油性色鉛筆について

油性色鉛筆は、油絵で使用するオイルで芯を溶かすことのできる色鉛筆。質の良い油性色鉛筆で色を塗った箇所を、油絵で使用するテレピンオイルで軽く湿らせたティッシュで撫でると、あざやかな色のグラデーションが生まれる。

気になる方は、お気に入りの色の油性色鉛筆1-2本と、油絵のオイルを準備して是非一度試してみて欲しい。私は初めて試した時、「これほど手軽に美しいグラデーションが作れる方法があるのか」と感動した(笑)

created by Rinker
クサカベ(Kusakabe)
¥495 (2024/04/27 02:34:51時点 Amazon調べ-詳細)

色鉛筆を持ち運ぶ場合の収納方法

色鉛筆を持ち運ぶ際は、革製のペンシルホルダーを愛用している。

ダーウェントの革製で茶色いペンシルホルダーに鉛筆や色鉛筆やカッターナイフや練り消しゴムが収納されている写真。

芯を尖らせた鉛筆・色鉛筆約30本をひと目で見渡せ、芯を折ることなく自転車で持ち運べるので重宝している。布製・プラスチック製のペンケースに入れて持ち運ぶと、絵画教室までの移動中に2~3本芯が折れて困っていたので、鉛筆&色鉛筆好きとしてはこのペンシルホルダーが手放せそうにない。
制作によく使う練り消しゴムやカッターも、合わせて収納している。

ダーウェントのペンシルホルダーに色鉛筆をたくさん収納されている写真。

ただ、鉛筆を10本未満しか使わない鉛筆画と違い、色鉛筆画は1枚の絵で数十本使うので、30本入りペンシルホルダーでは色鉛筆が入り切らないことも多くなってきた。ペンシルホルダーを1つ買い増したがまだ入り切らないので、3つめの購入を検討中。
 → 革製ペンシルホルダーの詳細については、こちら

主婦歴が長い方にこの革製ペンシルホルダーをお見せしたところ、2~3週間後に、布と厚紙とミシンでご自分で手作りされた、布製ペンシルホルダーをお披露目頂いたことがある(笑)
中央の色鉛筆を留めるバンドの部分さえゴム製にすれば色鉛筆は固定されるはずなので、裁縫上手な方であれば、さくっと作れてしまうらしい。身の回りに裁縫上手がいらっしゃる幸運な方は、材料費を出すことを条件に、製作をお願いしてみてもいいかもしれない。

created by Rinker
Derwent
¥2,480 (2024/04/27 06:21:35時点 Amazon調べ-詳細)

水彩色鉛筆画:石榴の一枝(製作途中) a pomegranate branch drawn with pencils

石榴の赤い実が1つついた木の枝を三菱鉛筆uniと水彩色鉛筆で描いた習作。

モチーフ 石榴の実と葉がついた枝(ドライフラワー?)
使用画材 画用紙、三菱鉛筆uni、練り消しゴム、水彩色鉛筆セット(メーカー不明)
製作場所 T先生の絵画教室
完成日 2016年冬

モチーフについて

モチーフは、絵画教室の出入口付近に置かれていた石榴(ざくろ)の一枝。

ドライフラワー(?)にされるようで、数ヶ月に渡って干されたまま保管されていた。石榴は数本おかれていたが、うち一枝をお借りして描き始めた当初には、葉も実も約半分だけ色みが残っており、残り半分は茶色に変色している状態で丁度良かった。生き生きとしているものより多少色褪せているものの方が、描く際に想像力の入り込む余地が大きいように感じる。枯れ花はモチーフとしてかなり好きなので、9割方枯れているような草花も個人的には大歓迎。珍しくイーゼルを使用し、イーゼルから一枝を吊るしてセッティングした。

今回の課題は、水彩色鉛筆。この作品で初めて水彩色鉛筆を使用した。

描き方について

T先生曰く、どこまでを鉛筆で描き、どこからを水彩色鉛筆に委ねるかは、描き手によってまちまちとのこと。9割方鉛筆で描き込み申し訳程度に水彩色鉛筆で着色する方もいれば、鉛筆は全体の形を取る程度で制作の殆どを水彩色鉛筆でされる方もいる。
水彩色鉛筆初挑戦の自分は勝手が全く分からなかったので、鉛筆多め水彩色鉛筆少なめで描いてみることとした。水彩色鉛筆に移ってから不足していた部分の描き込みを頑張ったので、結果的に鉛筆と水彩色鉛筆が丁度半々くらいの割合になったと思う。

鉛筆で形を取り、平面上にモチーフを立体として作り上げるところまでは普通のデッサンと同じだったが、鉛筆でどこまでを描くべきかは迷った。普段なら、葉の緑色も実の赤色も鉛筆画の世界に引き入れるとHB以上の濃い灰色で描かれるが、水彩色鉛筆で仕上げることを考えると、鉛筆の時点であまりに濃い灰色を使ってしまうと水彩色鉛筆の工程に移った時に、色がくすんだり、紙に色が乗らなくなる恐れがあった。葉はともかく、実の赤はそれなりに目立たないと画面で主役を張れなくなってしまう。結局、物の影や陰だけを濃い鉛筆で乗せる程度にとどめた。

着彩は、水彩色鉛筆の芯を水で溶かして水彩絵具にして塗るところから始めた。全体を淡く塗るのにさほど時間はかからず、キャンバス全体が早くから薄色で埋まるので、工程全体にかかる時間を短縮出来て良かった。その後水彩色鉛筆を色鉛筆として使い、細部を塗り込んでいった。

水彩色鉛筆 48色セット(ファーバーカステル社)

水彩色鉛筆は、気が向いた時にすぐ描き始められる手軽さが大きな魅力。

水彩色鉛筆とは

色鉛筆画と水彩画の両方の表現ができる色鉛筆。色鉛筆として描いた後、上から筆で水を塗ると、鉛筆の芯に含まれる顔料が溶け、水彩絵具で描いたような雰囲気の絵になる。
芯をカッターで削り、パレットの上で水と混ぜて水彩絵の具として使うこともできる。

芯の硬さはやや硬め(H鉛筆くらいの硬さ)だが、姿かたちは普通の色鉛筆と見分けがつかない。

↓ 管理人が使用している水彩色鉛筆セット。
セットには消しゴム・HB鉛筆・鉛筆削り・プラスチック筆が付属してくるが、私はセットの付属品を全て取り除き、代わりに愛用の練り消しゴムを保管している。
50本近い水彩色鉛筆(ファーバーカステル48色セットと他のメーカーの水彩色鉛筆)が赤い金属製の入れ物に収納されている。入れ物の右端には、白い練り消しゴムと橙色の軸のH鉛筆も置かれている

水彩色鉛筆の使い方

よく使われる描き方を、ごく簡単に説明。

↑ 水彩色鉛筆と水だけで、これだけ表現が変わる

① 普通の色鉛筆と同じように、白い紙に塗る。(=普通の色鉛筆と同じ使い方)
 強く描けば、濃さもそれなりに変化をつけることができる。

② 普通の色鉛筆と同じように塗った後、水を含ませた筆で上から軽くなぞり、水彩色鉛筆で描いた跡を滲ませる。
 色鉛筆の筆跡を残しつつ、水彩絵具特有の透明感が出るので、最も水彩色鉛筆らしい使い方だと思う。

③ 水彩色鉛筆で線を引いた後、水でぼかす。(=色鉛筆が先、水が後)
 水彩色鉛筆の粉が水に溶け、線は淡くぼんやりとした色合いになる。

④ 水を含ませた筆でかるく塗った後に、上から水彩色鉛筆で書く。(=水が先、水が色鉛筆)
 水彩色鉛筆の粉がよりたくさん水に溶け、線は輪郭がぼやけつつも色あざやかな雰囲気に。

ファーバーカステル社の水彩色鉛筆を白い紙に試し書きしている写真。山吹色・肌色・赤・深緑・水色・青の色鉛筆が並んでいる。

↑ ファーバーカステル社の水彩色鉛筆で試し書き

ファーバーカステル水彩色鉛筆を使用した感想

鉛筆と同じ使い方ができる

鉛筆デッサンを嗜んで早十数年。相変わらず「I Love 鉛筆」でそれ以外の画材に見向きもしなかったが、ある時絵画教室のT先生が、水彩色鉛筆をお貸し下さった。
先生曰く、普段通り鉛筆デッサンした後に水彩色鉛筆で色を付けて筆で水を塗ると、絵の趣が変わって面白いですよ、とのこと。

ファーバーカステル・ステッドラー・SWISS COLORの水彩色鉛筆が、25本程度赤い容器に整然と格納されている写真。写真は色鉛筆のすぐ近くで撮影されており、「STAEDTLER」「FABER-CASTELL」「SWISS COLOR」などのロゴが各色鉛筆に印字されているのが見える。

描き始めてみると、色鉛筆も鉛筆の仲間なので、普段とほぼ同じ調子で描き進めることが出来た。異なっていたのは、物の色に応じて鉛筆を持ち替える必要があることくらい。

油絵のように慣れない油や油絵具の扱いに困ることもなく、水彩絵具のように絵具と水分の割合や勝手気ままに滲む色たちに気を張る必要もなく、パステルのように細かい描き込みを諦めることもなかった。
ただ純粋に、形と色を追い求めることに集中できた。描き間違えてもある程度まで消しゴムで消すことができるので、思い切った表現を試すことも可能。

色鉛筆の色のバリエーションには注意が必要

今回購入したファーバーカステル社の48色セットは南国の色彩のようなあざやかな色が多く、このセットのみで落ち着いた色合いを追求するのが難しかったため、地味色や淡い色を1本ずつバラ買いで買い足した。上記の写真も、ファーバーカステル・ステッドラー・SWISS COLORと、3種類のメーカーの水彩色鉛筆が混ざっている。

絵画教室の先生曰く、色鉛筆のみで満足に描こうと思うと100色(!)程度必要、とのこと。資金に余裕のある希少な方は、60色程度のセットを最初に購入すると、描いている最中に「使いたい色がない」と気づくことが少なく、楽だと思う。(お財布的には辛いが…)

STEADLER社の水彩色鉛筆で白い紙に試し書きした写真。淡い黄色・淡い緑・深い赤の3色が並んでいる。

↑ 後日買い足した水彩色鉛筆。淡い色や混色しづらい色が多い。

私の場合、A4サイズくらいのキャンパスを色鉛筆48色のみで描き進めようとすると、「色が足りない」と感じたことが2~3回あった。不足するのは、うずら卵の淡いベージュ色だったり、コーラの瓶の淡く透明な緑だったりと、描くモチーフによって欲しい色は違った。
 → 水彩色鉛筆で描いたコーラの瓶の絵

買い足す余裕がない方は、2~3本水彩色鉛筆の芯を削り水を混ぜて水彩絵具にして使ったり、通常の油性色鉛筆と併用したりと、工夫できる余地はそれなりにある。

私は水彩色鉛筆を水彩というより色鉛筆として使うことの方が多かったので、水彩色鉛筆と普通の色鉛筆を区別せず使用することにした。水を多用しないのであれば、こうした荒っぽい描き方でも、問題なく創作活動が出来ると思う。

created by Rinker
ファーバーカステル(Faber-Castell)
¥2,980 (2024/04/26 18:08:10時点 Amazon調べ-詳細)

水筆について

水彩色鉛筆ならでは(?)の画材に、「水筆」というプラスチック製の筆がある。

水筆は、筆の先が白く、軸の部分がまるく大きく膨らんでいる。筆を捻って軸の部分を取り外し、水道水を入れておくと、しばらく水を溜めておくことができ、必要な時にいつでも筆から水を出せる。
キャンバスに水筆で下塗りしたり、水彩色鉛筆を水で溶かしながら塗ったり、といった調子で使える。

created by Rinker
ぺんてる
¥371 (2024/04/26 18:08:11時点 Amazon調べ-詳細)

ただ個人的には、製作時に水筆は不要ではないか、と思っている。過去に何度か水筆を利用したが、

  • 筆に含ませる水の量を、うまく調節できない
  • 顔料を溶かすという水筆の性質上、どうしても白い筆先が汚れてしまい、結局頻繁に水筆を洗う羽目になる
  • 筆先が慢性的に汚れてしまうと、買い替えが必要

等の短所が克服できず、結局使わなくなってしまった。現在は水彩画の時と同様、水の入った小瓶と水彩筆で代用している。

水筆の購入を検討されている方は、上記のポイントを踏まえた上で、ご利用を検討下さい。

「きたのじゅんこ 水彩色鉛筆画入門 魔法のテクニック」(きたのじゅんこ 著)

きたのじゅんこさんご自身が、きたのさん風の幻想的な描き方を教えて下さる(!)本です。

「水彩色鉛筆画入門 魔法のテクニック」の説明

きたのじゅんこさんは、子供や天使をモチーフに、柔らかで幻想的な絵を描かれる人気画家さんです。

この本は水彩色鉛筆の種類や紙の選び方といった水彩色鉛筆の基本から、ハッチング(線を重ねる)やパウダリング(色鉛筆を削って粉でぼかす)など水彩色鉛筆でよく使わられる絵画の技法に加え、きたのさんが実際に描かれる際の作業手順や、あの幻想的で美しい絵の描き方までを伝授して下さいます。

本書の後半で、学んだことの総まとめとして、下書きから仕上げまできたのじゅんこさんが描く際の工程を、1つ1つ写真付きで解説されています。

「水彩色鉛筆画入門 魔法のテクニック」の感想

私の一番の驚きは、「きたのさん、水彩色鉛筆使われてらっしゃるんだ!」という点でした(笑) 
きたのさんの絵は繊細で、画面の細部に至るまで非常に丁寧に仕上げられており、水彩特有の粗さや色ムラとは無縁のように思っていたので、本当に驚きました。

本を読み進めてみると、水彩の特徴を効果的に用いつつも、作業工程や描き方がとても丁寧です。主に画面の下塗りに水彩を用い、色鉛筆の特性を生かして仕上げをされるので、キャンバス全体の統一感も出ますし、細部も細かく描き込み仕上げることができるようです。

また基本技法を指導して下さっているところで、ごく小さな絵を下書きから仕上げまで指導してくださっている箇所があるのですが、どんな小さな絵でも、きたのさんの絵はきたのさん風でした(笑) セピア色のろうそくや蒼く輝く水晶など、雰囲気が柔らかく穏やかで、絵全体からあたたかみを感じます。

大きな紙での大作を描くのは私達素人には難しく感じますが、手のひらサイズの紙にろうそくの絵なら、何だか描けそうな気がしませんか? こんな感じで描いてみたい、そんな気にさせてくれる本でした。