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映画「アナと雪の女王」の主題歌”Let It Go” の英語詞に使われている英単語の意味と発音記号

映画「アナと雪の女王」の主題歌”Let It Go”は、歌詞に韻が多用されており、とても美しい。
松澤喜好氏「英語耳ドリル」の学習方法では、洋楽を学習教材にでき、洋楽の歌詞カードを作成する必要があるのだが、せっかくなので紙ではなくwebページで簡易版を作成してみることにした。

歌詞には著作権がある関係で、歌詞全文を私が翻訳することは許されないが、歌詞の英単語リストについては著作権に無関係なので、Word等に自由にコピーして使っていただいて構わない。主に自分用のメモ書きだが、英語学習同志の方の一助になれば幸い。なお、作成者がうっかり誤っている可能性もあるので、使用は自己責任でお願いします。

作成者の英語レベル

TOEIC850。(2012年に受験したきりだが…)
2022年現在、仕事で毎日データベース系の技術文書(英語)を読んでいる。
過去には、アストラゼネカ社での日本語&英語のテクニカルサポートやシャープ株式会社の社内文書の翻訳を経験している。ビジネス英語の読み書きは問題ないが、話すのはどちらかというと苦手(そもそも日本語を話すのも苦手!)。

映画内で”Let It Go”が歌われているところの動画

ディスニーさんが、映画「アナと雪の女王」の中で、エルサが「Let It Go」を歌っている箇所を動画にして抜粋下さっていたので、下記にYouTubeのリンクを掲載する。

Let It Go Sing-along | Official Disney UK
https://www.youtube.com/watch?v=L0MK7qz13bU

作詞・作曲は、クリステン・アンダーソン=ロペス氏、ロバート・ロペス氏。

まずは、美しい曲と詞をご堪能下さい♪ 私もテレワーク中に何度も聴きました(笑)

“Let It Go”の歌詞に用いられている英単語の意味・発音記号

書籍「英語耳」の読者様方には、何といってもまず英単語の発音100回だよな!ということで、歌詞の蘊蓄より先に英単語リストを記載する。皆様、ともに発音100回頑張りましょう。
発音記号は、weblio英和辞典や英辞郎on the webのサイトから引用させて頂いた。アメリカ英語の発音を採用し、書式は「英語耳」により近いものを採用している。

場所 単語 発音記号 意味
1番 footprint [fútprìnt] 足跡
1番 howl [hául] 遠吠えする、唸る
1番 swirling [swˈɚːl] 渦を巻く
1番 conceal [kənsíːl] 隠す、秘密にする
1番 hold back [kənsíːl] 隠す
1番 slam [slǽm] バタンと閉める
1番 rage [réɪdʒ] 激怒する
1番 rage on 怒り狂う、荒れ狂う
2番 control [kəntróul] 操作する、制御する
flurry [flə́ːri] [動詞](雨や雪が)さっと(わずかに)降る
[名詞]にわか雪
spiral [spáirəl] [動詞]らせん(渦巻き)状にする
frozen [fróʊzn] freeze(氷が張る、凍る)の過去分詞形
fractal [frǽktəl] フラクタル
→雪の結晶や氷の結晶のことを指している。フラクタルは幾何学の用語で、ある形を繰り返すと全体の形が作られるとき、その形はフラクタル構造を持っていると言うらしい。自然界によく見られる構造で、雪の結晶や野菜のカリフラワーやブロッコリーなどもフラクタル構造をしている
all around [ɔːl əráund] あたり一面に、至る所に
crystallize [krístəlàiz] 結晶化する、(考えなどが)具体化する
icy [άɪsi] 氷の
blast [blǽst] 強いひと吹き、突風
dawn [dɔːn] 夜明け、暁

歌詞の構成についての研究&感想

歌詞には著作権があり、英語詞の全文を翻訳することは著作権法に引っかかってしまう可能性が高そうなので割愛。
歌詞の中で管理人が気になったところだけ、日本語訳を添えながら良さをお伝えしてみたいと思う。(歌詞の日本語訳は管理人の自作)

韻が数多く使われている

発音記号を調べていて気づいたことだが、短い歌詞の中でいんが数多く踏まれている。単語の末尾に踏む韻を「脚韻きゃくいん」、単語の先頭で踏む韻を「頭韻とういん」と呼ぶそうだが、”Let It Go”にはどちらも何度も登場する。例えば、2番の歌詞の

No right, no wrong, no rule for me
正しさも間違いもルールも、私にはない

の部分。文字で見るだけでは分からないが、発音記号を付けて歌ってみると

No right, no wrong, no rule
[nóu] [ráit] [nóu][rɔŋ] [nóu][ruːl]

と各単語がすべてR音の音から始まっている。「No」の単語も韻を踏んでいると考えると、3音+R音の韻が踏まれていることになる。
N音はともかく日本人が苦手とするR音がこれでもかと続くので、発音し慣れるまでは大変だが、R音に慣れてくるとこの歌詞は歌っていてとても心地いい。

また、文末に登場する脚韻については、エルサが氷の城を作っているところの詞が、特に素晴らしいなと感じる。

My power flurries through the air into the ground
My soul is spiraling frozen fractal all around
And one thought crystallizes like a icy blast
I’m never going back, the past is in the past
私の力が 大気を通り 地に降り注ぐ
私の魂が あたり一面の雪の結晶を 渦と化す
そして ある考えが まるで氷の疾風のように 形になる
私は決して戻らない 過去は過去にある

こちらの歌詞も発音記号を並べてみると

My power flurries through the air into the ground
                  [gráund]
My soul is spiraling frozen fractal all around
                [əráund]
And one thought crystallizes like a icy blast
                 [blǽst]
I’m never going back, the past is in the past
                 [pǽst]

と、綺麗に脚韻揃い。

歌詞として意味が通るだけでなく、あちこちに韻を散りばめて、詩の美しさと歌う楽しさを両立されているので、凄いなあと感じる。”Let It Go”には日本語訳の歌詞もあるが、さすがに韻までは踏襲されていなかったので、英語版の詞の方が個人的には好きだ。

雪と氷にまつわる単語が次々に登場する

韻の多さだけでなく、”Let It Go”の英語詞は、歌詞の単語の選び方にまで配慮が行き届いている。
歌詞に登場する単語の多くが雪や氷に関するもので構成されており、これまた数多く詞の中に散りばめられている。
先程と同じ歌詞を引用して、雪や氷に関する単語を拾いあげてみると

My power flurries through the air into the ground
    (雪が)さっと降る
My soul is spiraling frozen fractal all around
        氷の結晶
And one thought crystallizes like a icy blast
       (氷が)結晶になる 氷まじりの強い風

3行にこれだけの数が含まれている。しかも、歌詞として違和感なく意味が通じるところが凄い。

韻といい、単語といい、これだけ徹底して作られている英語詞を今まで見たことがなかったので、この詞を通して英語圏の詩人の底力を垣間見たような気がしている。

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