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日商簿記検定3級・2級・1級 勉強法・メリットなど

日商簿記を3級から1級まで一通り受験したので、簿記の勉強法等についてメモ。経理や会計専門職を目指さない方も、簿記2級までの知識が身についていると仕事が楽だと思う。

日商簿記3級の勉強法

試験内容

試験時間は2時間で、出題範囲は商業簿記のみ。合格ラインは70%以上。受験料は約2500円。
簿記3級では個人商店や小規模な会社で利用できるような、簿記の基礎を学ぶ。

学習期間

約1ヶ月(うち、予備校通学は10日間)

使用したテキスト・問題集

資格予備校LECのテキストと問題集

勉強法・学習のポイント

簿記3級は、お金と時間をかけずに取得できる。
資格予備校に通学して学ぶ場合は、受講料1万円程度を支払えば通学講座に申し込める。全10回10日間のコースで、通学期間は約1ヶ月。授業は夜間のみ開講されていた。
受講料1万円なので、高校生・大学生でもアルバイト代で十分支払える。

簿記3級の試験は簡単なので、高卒・大卒程度の学力があれば、殆どの方は一発合格できる。(私にとっては、簿記三級より高校数学の方がはるかに難しかった…) 簿記3級でも、あるとないとでは履歴書に書ける内容が変わってくるので、時間のあるうちにさくっと取得されることをおすすめする。

勉強のポイントは、仕訳などの練習問題を十分に解くこと。日常生活で簿記は普段使用しないので、簿記特有の考え方に戸惑うかもしれないが、問題を通じて慣れることができると思う。仕訳や電卓計算を間違えずに出来ればok。
簿記2級・簿記1級まで目指されている方は、仕訳作成から試算表までの会計全体の流れと、それぞれの作業の意味を把握しておくと良いかも。

資格取得したメリット

僅か1ヶ月の学習で履歴書に書ける資格が取れ、社会でそれなりに評価して貰える。小さい企業・組織では、日商簿記3級までしか取得されていない経理の方もお見かけしたことがあり、3級取得者であることを割と自慢げに話されていたので、実務的にも使えるものなのだと思う。

日商簿記2級の勉強法

試験内容

出題範囲:商業簿記、工業簿記

学習期間

約3ヶ月

使用したテキスト・問題集

LEC出版のテキストと問題集、電卓

勉強法

簿記2級は独学で取得。簿記3級で簿記の基本的な処理や考え方が身についており、簿記2級は学習範囲が広くなるが基礎は変わらなかったので、独学でも特に問題なかった。

工業簿記は簿記2級で初めて登場するが、基本的には製品を作るのにいくらかかったか(製品原価)を正確に知りたいだけなので、計算結果が正しく出るように頑張った。個人的には、仕訳が少ないので工業簿記の方が馴染みやすかった。(勘定科目と仕訳の処理を暗記するのが苦手なので…)

テキストと問題集がセットになった書籍を友人から勧められ、それを約3ヶ月解いたら、無事合格。(私より記憶力が良い友人は、学習期間2ヶ月で合格)

簿記2級は地道に学習を続けてればいずれ受かると思うが、3ヶ月間仕訳ばかり解いてると途中で面白くなくなったり飽きたりするので、飽き対策は考えておいた方がいいと思う。
自分は、アルバイト → 勉強 → アルバイト…… のエンドレスで乗り越えた。独学に飽きるとアルバイトで人と接しながらばりばり働きたくなるし、バイトでへこむことがあると「簿記2級取ろう…」と簿記独学に戻った(笑) 

取得したメリット

会計・経理に関する仕事に就ける。日商簿記2級取得後に経理未経験で経理・財務職の面接に応募したことがあるが、書類選考もそれなりに通ったので、実務でも評価して貰えるようだ。会計ソフトのサポートなどIT絡みの仕事では、当時会計・経理の実務経験ゼロだったのに書類選考どころか内定まで出た。
但し、日商簿記2級を持っている方はそれなりに多いのでは、他者との差別化は難しい。

日商簿記1級の勉強法

試験内容

出題範囲:商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算

試験時間は、商業簿記・会計学で90分、工業簿記・原価計算で90分の計3時間。それぞれの科目で40%以上得点し、総合計70%以上の得点で合格。
合格すると、税理士試験の受験資格が得られる

試験日:6月上旬、11月上旬。
受験料7710円(税抜)。

使用したテキスト・問題集

「検定 簿記講義 1級」(中央経済社出版) 計4冊、電卓
 →「検定 簿記講義 1級」の詳細については、こちら

日商簿記1級を通学で学ぶ

日商簿記1級を短期間で一発合格したいのであれば、予備校に通われる方が効率が良い。自分も初めは資格予備校で学んだ。

日商簿記1級は、使用頻度の少ない細かい論点が増え、学ぶ範囲が広くなり、難易度が格段に上がる。学習期間も半年~1年と倍以上に伸びるので、独学では途中で分からなくなって挫折する恐れがある。

逆に予備校通学だと、これほど長期間通うと顔見知りも出来るので、簿記友達もできるし悪くない環境だと思う。異業種の方や学生・管理職など、普段接しない人々と知り合う機会も増える。
社会人向けの夜間&土日のみ講義の予備校もあるようなので、予備校通いの時間と費用が捻出できる方は、一度通学を検討されたし。

資格予備校の通学費用(授業料)は、大原簿記で17万円、授業回数は89回。クレアールだと15万円で、授業回数は80回程度。車の免許を取得するのに20~30万かかるので、その半額だと考えると大学生でも捻出できる筈。

予備校については、TACとLECは宜しくなかった(実体験に基づく判断)が、大原簿記はいい学校のようだ。大原簿記は過去に一度体験授業を受けたきりだが、授業が面白く、時間があっという間に過ぎて行った。その時の講師の方は、その後数年間ずっと、メルマガで日経新聞記事に解説を加えたものを送って下さった。

また、ネットスクールの桑原先生やクレアールの石井先生は著書が良く、弥生カレッジはyou tubeの無料講座がとても良かったので、合わせておすすめしたい。

日商簿記1級を独学で取得したい方は…

日商簿記2級を取得していることがが大前提。簿記2級取得していないとしても、簿記2級レベルの仕訳がさらっと書けないと、独学で簿記1級を取るのは相当厳しい。また、当然のことながら、予備校通いより取得に時間を要することは、頭に入れておく。

その上で、簿記1級のテキストを1冊用意する。最初に学習を始めるのは、簿記2級で学んだ商業簿記か工業簿記が、取り組みやすくて良いと思う。会計学は一番最後に学べばいいので、学習開始時点では無視して構わない。

まず何章かテキスト読んで問題を解いてみて、独学で挫折せず進められそうか手ごたえを確かめる。商業簿記なら、税効果会計・外貨換算会計・退職給付会計・企業結合と事業分離会計あたりが難しい論点になるので、これらの山を独力で越えることができるなら、独学でも問題ないと思う。私は外貨換算会計の繰延ヘッジや退職給付会計の数理計算上の差異の会計処理あたりで、予備校にいても心が折れそうになった…。

が、これらの小山で心が折れてしまうのであれば、商業簿記の最後に控える連結会計という大山を乗り越えられないのでは、と思う。連結財務諸表の決算時の会計処理には、個別財務諸表の会計処理が全て登場するし、その上で連結決算の仕訳も書けないいけないので、個人的には連結会計が最重要かつ最難関だと思う。同時にこの難所は、日商簿記1級を学ぶ1番の醍醐味でもある。

you tubeが普及した今なら、予備校の無料講義がyou tubeでも視聴できるので、公開されているものだけでも聞き込んでみると、独学の助けになってくれる。
個人的には弥生カレッジCMCの無料講義が分かりやすかった。公開されているものは2~5年前の講義が多いが、それでも十分助けになる。

会計学(理論科目)の対策

暗記が苦手なので、英語でTOEIC850を取得した時と似たやり方を採用した。
簿記テキストの説明の中で、重要だと感じた箇所、理解が悪いと感じた箇所をピックアップし、ピックアップした部分の文章を読み上げてボイスレコーダーやスマホのボイスレコーダーアプリに吹き込んだ。そうした録音音声をいくつか溜めておき、家事や散歩や通勤の隙間合間を見つけて聴き込むようにした。

自分は読むより聞くスピードの方が速いので、この方法であれば短時間に繰り返し復習出来、重要用語が頭に定着しやすい。

音声を聞く際にスピーカーではなくイヤホンを使うなら、ノイズキャウンセリングイヤホンがおすすめ。周囲の雑音をシャットアウトすることが出来るので、都心部での通勤や自宅の皿洗いなど、音の多い場所にいてもクリアな音が聞こえ、学習が苦にならない。

試験本番の様子

自分が受験した時は、専門学校の団体受験の中に紛れてしまったらしく、20才前後の男女が全体の8~9割を占めていた。休憩時間によく喋る子も多かったので、会場が専門学校の授業中のようだった(笑)

試験の前半で行われる商業簿記・会計学はそれなりに静かだったが、試験後半の工業簿記・原価計算に入ると、試験開始30分を過ぎた直後に退出する人が数%くらいいた。さすがに30分では全問解けないと思うので、今回は様子見で受験された方が結構いたんだなあ、と気付かされた。

また、受験番号が右詰め記入だったり、生年月日を書く欄があったりと、解答用紙が他の資格試験に比べて独特だった。(自分がITとTOEICの試験に慣れ過ぎただけかもしれないが) 簿記で金額計算に慣れ親しんだ人々を相手に番号を右詰め記入させるとは、誤記入のもとだとは思った(笑) 簿記を学ぶと、数字は無意識に左詰めにして書いてしまう。

問題用紙は持ち帰ることが出来るので、解答を問題用紙にメモしておくと、インターネット上に掲載される解答速報と答え合わせが出来、合否がすぐ分かって便利。

おわりに(目指して1級!)

実務で経理職に就きたいなら日商簿記2級で十分だが、せっかく取得するなら、簿記1級まで取得した方がいいと思う

日商簿記1級取得にはお金と時間がかかるが、1級があると、公私ともに住む世界が変わってくる。

日商簿記1級を取得できれば、公認会計士試験や税理士試験への挑戦が、頑張れば手に届くものとして視野に入ってくる。公認会計士は企業会計の、税理士は税務のプロフェッショナルであることを証明できる資格で、社会的地位も責任も年収も桁違いに高い。

公認会計士を目指す場合も、最初の半年から1年は日商簿記3級から簿記1級までの学習を徹底的にやり込む。会計士の財務会計論と管理会計論は、日商簿記1級と学習範囲がかぶっている。人生の早いうちに1級を取得できると、会計のプロフェッショナルとして大きく弾みがつき、他者とも差別化ができる。

会計の専門職に就かずとも、企業で働く方で日商簿記1級をお持ちであれば、「企業の数字が読める人」として扱われる。企業では地位が上がれば上がるほど、会社の数字が読めることは必要不可欠のスキルなので、早いうちに1級を取得できるならそれに越したことはない。管理職になってから取ろうとしても、簿記や会計だけに時間を割く余裕がなく、取得が遅れる。

また、会計と英語、会計とITスキルのように、会計に何か別のスキルが加わると、更に強力になる。組み合わせにも依るが、会計だけが出来る方より会計+αの合わせ技の出来る方の方が数が少ないので、社内に留まらず、社外からもお声がかかるようになる。上手に転職できれば、やりがいも年収も上がるだろう。

プライベートにおいても、連結財務諸表が読めるようになるので、大企業の株式に投資する際に得た知識を生かせる。NISAが導入された際、会計の知識を生かして私も株式購入を始めたが、数字の面からもいい会社かどうかがわかるので、素人投資家でも不思議と損失が出ない。今現在は数十万円の評価益を保持したまま運用を続けている。

また、ニュースや日経新聞の話題が一読で理解できるようになるので、ビジネスに精通した方と自然に話が合うようになり、作れる友人の質が変わってくる。個人的には、この部分のメリットが最も大きかった。大企業の粉飾決算問題などが起きると新聞を読んでも深く理解できるので面白いし、新幹線で会計の書籍を読んでいると偶然隣の席に乗り合わせた税理士さんに話しかけられ、名刺まで頂戴してしまったこともある。会計分野のITコンサルタントとも話が合うし、一目を置いて貰える。

20万円程度のお金と半年~1年程度の学習期間の両方が準備できる方は、是非若いうちに簿記1級まで取得されることをおすすめする。長い人生において、公私に渡ってあなたを支えてくれると思う。

ORACLE MASTER Silver 11g 認定試験受験当日の注意事項

ORACLE MASTER Bronze 11g取得から3年後にORACLE MASTER Silver 11gを受験&取得した際、受験当日の注意事項をことごとく忘れてしまっていた。数年後ORACLE MASTER Goldを受験する時に思いだせるよう、備忘録。

ORACLE MASTER Silverの試験会場について

大阪府北区(梅田近辺)の会場で受験した。

試験会場(清和梅田ビル)はウインズの隣

OracleMasterの受験会場である、梅田清和ビルの1階表玄関。

↑ 梅田清和ビルの1階表玄関。

「清和梅田ビル」という名のビルが、ORACLE MASTER Silverの試験会場だった。確かBronzeも同じ会場だったと思う。だが、Silver受験当日に気付いたのだが、このビルはJRA(日本中央競馬会)のWINS(場外勝馬投票券発売所)のすぐ隣だった。

梅田清和ビルの左隣が、競馬のWINSのビル。

↑ 左隣がWINS(競馬の馬券を購入できる施設)のビル

私の試験開始時刻は、テレビドラマのお約束かのように、日曜13時開始。
ただでさえ混雑する週末の梅田周辺が、駅からWINSまでの間中馬券を買い求めるおじさま方と交通整理真っ最中の警備員さんでごった返しており、自転車を下りないと前に進めなかった(笑)
しかも、梅田清和ビルの看板は、見上げないと見えない位置(10階くらい?)に取り付けられており、うっかりビルの前を素通りしてしまい、試験前の貴重な数分をロスした。

自転車置場は試験会場の1階裏

清和梅田ビルは、裏手に回ると立体駐車場になっており、喫煙所や守衛室がある。喫煙所の前にスペースがあり、1台自転車が止められていた。
守衛さん(もしくは立体駐車場の職員さん)らしき方が出て来られ、清和ビルに入る理由を答えると、喫煙所前のスペースに自転車を停めさせて下さった。感謝。

なお、ビル周辺に有料・無料の自転車駐輪場は見当たらなかった。

受付スペースは広くない

清和梅田ビルの5階に、試験会場「大阪駅前テストセンター」がある。
大阪駅前テストセンターは、雑居ビルの一室。表札がなければ、これまた通り過ぎてしまうんじゃないかと思うほど、ごく普通のビルの一室だった。

室内には、受付カウンターと2名の職員さん、それに木製のロッカーと椅子3脚と机1つ。4~5人入るといっぱいになってしまうくらいの広さしかない。

到着してすぐ、本人確認が始まった。

本人認証の身分証明書は2種類

Oracle Master Bronze受験の際、誤って身分証は1種類と思い込んでいたので、改めて記載。本人確認の身分証明書は2種類必要

着いてすぐ、紙の書類に受験日時とコースと氏名を署名する。その後、クレジットカードのサインを行うような電子ボートに、自筆署名する。

お化粧をして行きましょう…

その後、webカメラに向かって写真撮影。

自転車運転後のボサボサ髪にすっぴんという成人女性にあるまじき姿だったが、もちろん容赦なく撮影された(笑)
試験前で精神的に余裕がないとはいえ、身だしなみ(女性はお化粧も)は整えて行った方がいい…。未だに私のORACLE MASTER Silverの認定証は、この時のボサボサすっぴん写真である。

携帯の電源をオフにし、コートと鞄はロッカーにすっぽり入れる。
ロッカーにはハンガーが入っているので、仕事帰りに背広姿で受験しに行っても、背広を皺にならずに仕舞えると思う。

本人確認手続きが終わると、すぐさま試験開始

私は日曜13時開始で、ORACLE MASTER Silverの試験を予約した。だが実際には、試験は13時丁度には開始されない。受付での本人認証手続きが終わり次第、別室の試験場へと連れて行かれ、そのまま試験開始となった。

試験は別室

試験を行う部屋はガラス張りで、外からよく見える。中は1席に1台デスクトップ型パソコンとPCモニタが置かれて、席ごとに番号が振られている。

中に持って入ることができるのは、受付の方が用意くださるメモ用のB5サイズくらいのボードと黒ペン2本、それに身分証明書(私は運転免許証だった)を1種類。

前髪が邪魔なので小さい髪止めを1つ持って入っていいか尋ねたところ、無事に許可頂けた。

身分証は机に置いた状態で、試験開始。

ORACLE MASTER 試験時間中の注意事項

試験名にSilverは含まれない

マウスをカチカチ操作して試験概要を表示すると、試験名が「Oracle …. Administrator」と表示された。試験名に「Silver」の文言はない。

「あれ、試験名間違えて申し込んだかな…」

と頭が真っ白になった。何度見直しても、試験名に「Silver」とは書かれていない。
この試験名で正しかったと確信を持てたのは、試験終了後だった。

最初の10~20問は緊張と焦りで手につかない

問題数は70問だった。試験名で恐怖の洗礼を受けたこともあり、最初の10~20問は緊張と焦りで、問題文が頭に入らず問題を素通りすることが多かった。各問題には見直し用のチェックボックスがついており、チェックをつけておいて後で見直しすることができるので、取りあえず何かしら解答を選び、チェックボックスにチェックもつけておく、というのが20問中15問くらいあった。

問題も数をこなすと、問題集の類似問題や即答できる問題が出て来始め、「この試験で合ってたかも」と徐々に落ち着きを取り戻してきた。落ち着きが戻ると、75分で解き、残り15分をチェックに充てる、と時間配分まで気が回るようになった。

黒ペンのインクが出ない

入室時に手渡される黒いペンは、ホワイトボードで使うペンの細字版といった雰囲気。だが、2本手渡されて2本ともインクがかすれ始めた時は、焦った。

選択肢の多い問題でも、パソコンのモニタにはメモすることができないので、手元のボートに「1)× 2)○ 3)× …」という風にメモして頭を整理したかったのだが、試験後半はペンのかすれが苛立ちと不安をかきたてるので、ペンの使用を諦め気味になった。

試験終了ギリギリまで見直しする

学習が十分でなく、試験前半が平静でいられなかった自信があるので、全問解き終わった後も、試験終了間際まで見直しに時間を充て、4~5問解答内容を修正した。

ORACLE MASTER 試験後の注意事項

試験直後には合否が分からない

試験終了後は、受付で終了時刻を記載し、合否結果の確認方法が書かれたA4の紙を貰って終了。ここでも、試験後案内が書かれた紙がプリンターから出力されないというトラブルに見舞われ、「もしかして、受験し直しか?」と危ぶんだが、回答内容は無事送信されていた。

30分待つと、メールボックス(Gメール)に合否のお知らせが届いていた。そのメールに記載されていたURLをクリックすると、webサイトに飛び、サイト内で合否を確認した。

結果、合格ライン66%に対し、正答数70%でぎりぎり合格。見直しで4~5問修正していなければ、合格できなかったんじゃないかと感じる。

合格証明書

オラクルシルバー認定証。(日本語表記のもの)

↑ オラクルシルバー認定証。日本語表記と英語表記の2種類がある。

webサイトから、日本語もしくは英語で書かれた合格証明書(pdf)をダウンロードできる。

ORACLE MASTER Silverのバッチは合否判明から2〜3日後に使える

ORACLE MASTER Silverでは、三角形の形をした「バッチ」と呼ばれる画像が使えるようになる。

Oracle Master Silverのバッチ見本。銀色の逆三角形で中央が青い図形。

↑ Oracleバッチ

名刺等に載せて、技術力を証明するツールとのこと。資格が期限切れになるまでの間、使用できる。利用開始になるのは、合否判定から2〜3日後。

ORACLE MASTER 試験当日におすすめの手荷物

試験会場に持っていって良かったもの

スマートフォン。Google Mapがなければ、時間内に試験会場にたどり着けなかっただろうと思う。
髪止め。落ちてくる前髪を減らせるので、試験に集中できる。

試験会場に持って行かなくとも良かったもの

腕時計。腕時計の持込は禁止されており、腕時計をはめたままでは入室できない。ビルまでの道のりは携帯電話の時計で確認できるので、腕時計は持って来なくて良かったかも。
飲み物。飲食物も持込禁止。
参考書。結局当日は開く暇がなく、持ち運びが重いだけで終わってしまった。

試験前日のおすすめの過ごし方 ~やって良かったもの~

試験に申し込む!

情報処理技術者試験と違い、ORACLE MASTERの認定試験は試験日前日まで試験の予約ができる。そのため、十分学習し試験対策を行い「これなら受かる!」と思えた日に、翌日開催される試験の申し込みができてしまう。

ORACLE MASTER 認定試験の受験料は高く、IT技術者は突発的な仕事(システムトラブル)で予定が潰れることも多いので、ギリギリまで試験を申し込まない方が安全。

なお、キャンセルは試験開始時刻の24時間前まで可能とのこと。

十分読み込んだ参考書や問題集を、1ページ3秒程度で全ページ流し読みする。

学習の総仕上げとして、試験2日前と前日に行った。学習したことを全分野でざっと総復習して思い出せるので、時間がかからない割に効果が高かった。プロセス名など普段覚えきれていない細かい知識も、このタイミングで頭に入れた。

前日に軽くお酒を飲み、友人と話す

私は緊張しやすいたちで、案の定試験前日に緊張と不安を感じていたので、試験の前夜は、お酒を軽く飲みながら友人達とお喋りし、緊張をほぐした。
ORACLE MASTERの認定試験はSilverに限らず試験開始時間を自分で選べるので、試験開始時刻を午後にしてしまえば、寝坊や遅刻を心配することなくお酒を飲めた。

お酒と友人は効果大で、「試験に落ちても、失うのはお金だけだ」「不合格なら、もう1回チャレンジすればいいだけだ」と不安が遠のき、いい意味で開き直れたので、自分には適していた。

ORACLE MASTER Silver 11g 独学で一発合格した勉強法など

2018年02月に念願のORACLE MASTER Silver 11gに合格。直前2ヶ月はほぼ学習できなかったが、何とか無事に合格できたので、ORACLE MASTER Goldの取得に備えてメモ。

ORACLE MASTER Silver 学習開始時のスペック

ORACLE MASTER Silver学習開始時点での、筆者のスペックを記載。下っ端ヒラ社員なので、大層なスペックはない。

Oracleデータベースの使用歴:3年

仕事でほぼ毎日オラクルデータベースを触り、実務経験は丸3年。UPDATE文を自分で作って流したり、表領域拡張したり、アラートログを取ったり、手順書を元にデータベース構築したりは普通にできる。

パフォーマンスチューニングは微妙。メモリの割当を増やしたければinit.oraのDB_CACHE_SIZE初期化パラメータを変更したらいいことは分かるが、値をいくつにしたらいいかは自信がない。statspackの取り方は分かるが、分析には自信なし。

トラブル対応は、自分1人だと厳しい。前例のないトラブルを1人で捌けないので、先輩エンジニアがいると安心。Oracle RACやExadataは、噂で聞いて知ってるレベル。見たり実機に触ったりしたことはない。

サーバOSの使用歴:3年

扱えるサーバは、windows server OSのみ。主に保守、たまに構築で、windows server 2003・2008・2012を丸3年間毎日使用。
Linux OSは、ubuntuを少しだけ触ったことがあるが、操作はほぼできない。
AIX、Solarisは経験・知識とも皆無。

その他(セキュリティ・ネットワーク・ハードウェア)

セキュリティ系は、実務経験を1~2年積んだので、そこそこわかる。ネットワーク系は応用情報処理技術者試験で学んだので、知識は多少ある。実務経験はpingやtracertやnslookup使ってトラブルの切り分けをする程度。ハードウェア系は、かろうじて自力でメモリ増設できる程度で、初級エンジニアレベル。

ORACLE MASTER Silverの学習方法

11gの黒本問題集を購入し、端から端まで読み込み、ひたすら設問を解いた。設問は、各問題を2〜5回ずつくらい解いた。

黒本1読目は、読んでも読んでも何が書いてあるのかさっぱり理解できず、本当に辛かった。毎日Oracleデータベースの実機に触っているのにこれほど理解できないとは、「私って相当な阿呆じゃないか」とさえ思った。

実機を使っての動作確認や操作は、自宅ではやらなかった。実機を構築&操作する時間を知識充填に当てていた。
勤務時間中は、調べる時間が乏しいままずっとOracleデータベースを触り続けていたので、経験と知識のバランスを是正したかったのも、実機操作を避けた理由の1つ。

勤務中に毎日実機(Oracle Database 9i/10g/11g/12cとOracle Client)を触れたことが勉強時間の短縮に役立ったので、仕事中に積極的に実機を触るのはおすすめ。
私のように記憶力の悪い人は、知識を理解し脳に蓄えるだけでも相当な時間を要するので、自宅学習は問題集の理解と問題解きに充ててしまうのも、少しおすすめできる。

ORACLE MASTER Silverの学習期間:足掛け1年くらい

毎日きちんと時間とって学習したのは、半年くらい。
肺年齢90才と診断された気管支喘息の治療と、労災申請の手続きとを並行でこなしながらの学習で、心身の健康は微妙すぎる時期だった。Oracleの学習に、肺と気管支の機能は大していらないらしい、ということは分かった(笑)

ORACLE MASTER Silverの学習スタイル

主な学習時間は、仕事の昼休み。自作の弁当を15~20分で食べ終え、残りの35~40分が学習タイム。
平日自宅に早く帰れた日は、+1時間くらい自宅学習。土曜・日曜・祝日は、余裕がある時のみ頑張った。

ORACLE MASTER Silver試験結果:合格

正答率70%で、何とか一発合格。

定着しきってない知識も多々ある状態で受験したので、試験前も試験中も試験後も、合格しそうな気持ちと不合格になりそうな気持ちが半々だった。「不合格になったら、明日からこれやって鍛えて、1ヶ月後にまた受験しよう」とも思っていた。

ORACLE MASTER Silver取得後、どう活用したか

ORACLE MASTER Bronzeの試験は「広く浅く」データベースの仕組みを知る試験だったが、ORACLE MASTER Silverは「断片」。オラクルの機能の要所要所を、深めに掘り下げて知識を得る試験だった。

だが、実務で役立つ知識が多かったので、学習している途中でも、得た知識が大活躍し、周りからの信頼も高まるので、仕事中に学習のモチベーションを上げてもらえるという相乗効果があった。

データベース障害を独力解決できる

ORACLE MASTER Silverに合格した翌週に、勤務先でデータベース障害が起きた。データベースファイルが壊れた障害と、データベースに接続できなくなった障害の、計2件。
よくある障害だが、ORACLE MASTER Silverの取得を報告した直後に、2件とも2時間以内に独力解決できてしまったため、周囲の自分を見る目が一気に変わった。自分自身も「意外と自己解決できるな…」と少し自信がついてきた。

その後は、Oracleデータベースに関してのみ、「3次受け」のようなポジションで仕事をした。1次受けがヘルプデスク、2次受けがインフラ技術者チームで、インフラ技術者チームが答えきれなかった問合せについて、事象を確認し、ログやwebサイトから技術的な裏付けを取り、チーム全員に分かるように回答する、というのが普段の仕事の一部になった。
今思うと、Silverしか取得していないのに、よく頑張ったものだ(笑)

転職には大きく影響せず

その後転職する際、私自身はデータベース技術者として転職したかったのだが、ORACLE MASTER Silverだけでは、データベース技術者としてとして十分ではない、と見なされることが多かった。
データベース技術者として生きていきたい方は、ORACLE MASTER GoldかORACLE MASTER Platinumを早めに取得することを、強くおすすめする

データベースエンジニア(兼サーバエンジニア)になり、データベース漬けの生活に

ただ、私はたまたま運が良かったようで、Red Hat Enterprise Linux OSに構築されたOracle RACがわんさかある客先に配属された。日経平均株価を構成するような日本有数の製造業様で、顧客にも配属された他の技術者にも、「超」がつくハイレベルエンジニアが何人もいた。いくら人手が足りなかったとはいえ、よく配属してもらえたものだと今でも思う(笑)

配属時の職種はサーバエンジニアだったが、データベースの台数が多い割にデータベースエンジニアが全然足りない職場だったので、実質的にはデータベース専業に近いエンジニアとして働いていた。

応用情報処理技術者を取った後にも感じたことだが、私は「資格を取るたびに職種が変わる」という経験をしている(笑) IT業界はそういうものなのかもしれないが、数年ごとに自分の職種が変わるので、面白い業界だな…とは思う。

丁度11gから19cへのバージョンアップの時期に配属されたので、WindowsOSのシングル構成DBからLinux&Oracle RAC構成へのデータインポートをやったり、RHEL7の19cマルチテナント構成DBについて、要件定義や構築手順書の作成から構築運用まで一貫して携われたりと、貴重なキャリアを数多く積ませて頂けた。

Linux OSのOracle RACを毎日触れる環境に身を置けたのが、ORACLE MASTER Silverを取得した一番のメリットかもしれない。特にマルチテナント構成の19c RAC(Enterprise Edition)はまだまだ珍しいんじゃないかと思うので、便利だが複雑怪奇な構成を毎日がっつり見れたのは、本当に良かった。

コロナ禍で週5在宅勤務に

年収は400万円台後半まで上がったが、それ以上に良かったのが、コロナ禍に入り週5在宅勤務で仕事をさせて頂けたこと。

コロナ禍でご苦労された方々には正直申し訳ないのだが、私はコロナ禍に入ってからの方が年収が上がり、通勤やら化粧やら飲み会やら無駄な雑事が一切なくなって、仕事が楽になった。

安全に働くことができただけでなく、浮いた通勤時間で技術書をデータ化していつでもどこでも読めるようにしたり、英語の発音を矯正する時間が取れたり、ORACLE MASTER Goldの厚さ4.8cmの技術書を持ち運ばずに読み進められたりと、仕事のスキルを上げる点でもプラスに働いた。

独学でのORACLE MASTER Silverの学習で、つまづく要因

独学で黒本問題集を3回解き、それでも正答できなかった問題は、

  1. 理解が浅い
  2. 実務で使用した経験がない
  3. 暗記ができない

の3点が主な要因だと思うので、それぞれの原因に適した対策を採るよう心掛けた。

(1)理解が浅い

インターネットで用語とその周辺知識とを検索することで、理解を補った。問題文で登場した未知の単語については、十分に意味を調べ、システムの動く仕組みや構造そのものを理解しようと努めた。

私は記憶力が悪く、新しい単語を一度にたくさん覚えるのは苦手なので、新しく登場した単語は意味とセットにして参考書の余白にメモしておき、折に触れて読み返すよう心掛けていた。

(なお、調べた後の画面をスマホで撮影し、写真として見返すようにしていた時期もあった。だが、写真で記録すると、うっかり関係ない写真にスワイプしてしまい、気が散って結局読まなくなることが多かったため、この方法はあまり効果がなかった…)

(2)実務で使用した経験がない

ORACLE MASTER Silverはオラクルデータベースの持つ様々な機能を、様々な切り口から問う問題が多く、実務で使用したことがない機能や仕組みへの知識も求められる。

当時の勤務先はセキュリティにうるさくない企業だったので、監査やリポジトリマネージャー、それに各種アドバイザーの機能は、ORACLE MASTER Silverの勉強を始めるまで見たことも聞いたこともなかった。

増える実務経験と乏しい知識の偏りを是正するのが今回Silverを受験した目的の1つだったので、実務で使用しないものは仕組みや概要を理解し、動的パフォーマンスビューを仕事の合間に眺める程度に留め、深追いはしなかった

お時間のある方や未知の機能に興味の強い方は、OTNで検証用のOracleデータベース11g・12cを入手してご自宅のパソコンにインストールし、実機でがんがん機能に触れるのも、理解が進んでいいとは思う。

Oracle Technology Network(OTN) 公式サイト
http://www.oracle.com/technetwork/jp/community/join/overview/index.html

(3)暗記ができない

私はとにかく暗記が苦手なので、1~2度読んだくらいで用語を覚えるのは諦めた(笑)
システムの仕組みを十分理解しているかをまずチェックし、それでも暗記の必要な項目は、隙間時間に繰り返し参考書を読み返す&見返すことで補った。

1~2回参考書をしっかり読み込んだ後、3回目以降は1ページあたり2~3秒の速いペースで同じ参考書を読むことで、プロセス名やV$ビューの名前など覚えにくい用語に繰り返し触れることができ、単語を定着させやすくなった。
この方法は後半が楽で忘れにくいので、少しおすすめ。

ORACLE MASTER Silver取得に適したタイミング

記憶力があると有利なので、なるべく早め取得するといい

データベース構築やチューニングに日常的に携わっている方なら、実務経験が1年前後でも受験できると思う。運用保守畑在住だった私は、Oracleを実務で使い始めて3~4年が経過した頃にようやく受験し、それでも合格ラインギリギリだった。

だが、Oracle初心者でも、学習を開始して1年以内にORACLE MASTER Bronze・Silver・Goldの3つを取得した女性を知っているので、経験が浅くてもやる気と記憶力次第で取得できるはず。

Oracleデータベースが有する機能について幅広く問われ、細かい機能の暗記もそれなりに必要とされる資格なので、どうせ受験するなら、なるべく早くて若い方がいい。記憶力の低下する30代半ば以降は、やや不利になる。

ORACLE MASTER Silver 11gと12c どちらを受験すべきか(2018年時点の情報)

ここから下は、新試験制度ができる以前の情報なので、情報が結構古い。2022年時点では、試験制度そのものが新試験制度に変わっているので、オラクル社の公式サイト等で最新の情報を入手されることをおすすめする。


2018年以降に取得するなら、12cがいい。

オラクルマスターという資格には、国家資格とは違い資格に有効期限があるので、後々のことを考えると12cで取る方が資格を長く使える。オラクルマスターの取得に万単位のコストがかかることを考えると、少しでも長く使って元を取る方がいい。

しかも11gは、2018年1月にExtended Supportが切れ、Sustaining Supportへと移行してしまった。

ORACLE社のベンダーサポートはPremier Support → Extended Support → Sustaining Support の3種類で、Sustaining Supportはサポートの終末期。他のミドルウェア製品とは異なり、Sustaining Supportはサポート無期限という好待遇で、既存の脆弱性に対するパッチは適用されるしサービスリクエストで問合せもできるが、新規で見つかった脆弱性のパッチは提供されない

Sustaining Supportに入ると、企業様は予算や他のソフトとの兼ね合いで、新サーバの購入&移行を行い、移行ついでに新しいバージョンでOracleデータベースをサーバに入れる。そのようにして、じわじわと12cのOracleデータベースが増えていくだろう。ただ、11gから12cに移行する際保守料金が上がってしまう企業様がいるため、11gから12cへの移り変わりは流れが緩やかだ。

ちなみに2018年現在では今のところ、勤務先では11gユーザ様が大多数。1割が12c、1~2割が10g、9iはゼロ、残りが11gという比率。そろそろ12cが増えてきてもおかしくないので、これから取得するならORACLE MASTER 12cの方がおすすめ。

そして、12cを勧めておいて何だが、11gでオラクルマスターを取っても無駄になるわけではない。
オラクル社のsustaining supportは無期限で、サポート切れがない(=困った時Oracle社が助けてくれる)。ので、セキュリティにうるさくないお客様の中には、11g(バージョン11.2.0.4)を使い続ける企業様もそこそこいると思う。

ORACLE MASTER Silverは取得した方がいいか(おすすめの資格か)

Oracleデータベースを実務で使うなら、心の底から取得推奨

ORACLE MASTERもSilverに至ると、Oracleデータベースを実務で使わない方は、取得する意義が薄い。
ORACLE MASTERは、10g・11g・12cなどのデータベースのバージョンごとに受験するので、取って1~3年のうちに使わないなら、製品バージョンの方が進んでしまって、せっかく身に付けた知識が陳腐化して時代遅れになってしまう。

将来データベース系の仕事につきたいだけであれば、情報処理技術者試験などの国家資格系を狙うか、windows server 2016などサーバ系の資格を取る方が、他の分野に使い回しが効くと思う。(ただ、私がデータベースの仕事を始めた時、サーバ保守未経験&データベースもほぼ未経験で、資格も応用情報処理技術者があるくらいだった…)

ORACLE MASTER以外のデータベース系資格

データベースの知識や技術を身につけたいなら、応用情報処理技術者試験・データベーススペシャリストのいずれかをおすすめする。

どちらも難しい資格だが、情報処理系の国家資格で、特定のデータベースに依存しない知識が身につくので、汎用性が高い。
1回の受験料が5700円と安く、取得した資格に有効期限もないので、ベンダー資格とは比較にならないほど、費用対効果がいい
過去問も公式サイトに10年分以上無償で公開されている。過去問と答えが掲載されており、解説は確かついていなかったと思う。

「応用情報処理技術者試験」は、IT関連技術を幅広く問う試験だが、選択できる分野の1つにデータベースがある。
ここでデータベースを選択すると、SQLや正規化やトランザクションなどデータベースの仕組みの基礎を学ぶことができる。
但し、応用情報処理技術者の資格を取りたいなら、プログラミングやネットワークなど別分野の知識や経験も必要。学習範囲が広いので、データベースを学ぶだけでは取得は難しい。が、「とりあえずデータベースについて手っ取り早く学びたい!」という方には、とっつきやすいとは思う。

「データベーススペシャリスト試験」は、応用情報処理技術者の上位資格で、情報処理系国家資格の最難関の1つ。出題範囲は、データベースに特化している。ORACLE MASTERと異なり、出題範囲はデータベースの設計・開発系の比率が高いので、DB構築・運用経験者よりDB開発経験者の方が有利だと思う。DB開発でよくあるデータベースのテーブル設計の問題は、データベーススペシャリストでは見かけるが、ORACLE MASTERでは出題された記憶がない。
試験は年1回、毎年春にしか開催されない。データベーススペシャリストは私も未取得なので、取得に向けて現在進行形で修行に励んでいる…。

以前は、「MCAデータベース」というマイクロソフト社の入門レベルのデータベース資格も存在したが、残念ながら、2014年でサービスを終えている。

ORACLE MASTER 11gの失効期限

オラクルマスターという資格には、TOEICのように、その資格が有効である期間が限られている。
2018年10月現在、ORACLE MASTER 11gの失効日はまだ設定されていないようだ。11gと12cが、現在オラクル社の認める「最新バージョン」であるとされている。

参考
ORACLE MASTER データベース資格者の方へ 重要なお知らせ

11gは、Oracle社のExtended Support(延長サポート)が2019年1月末で切れ、最もサポートレベルの低いSustaining Supportへ移行する。ORACLE MASTER 11gが失効するのは、少なくともOracle 11gがSustaining Supportへ移行し、しばらく経ってからだろうと思う。(データベース製品より先に資格が失効するという馬鹿げたことは、さすがにオラクル社はしてこないはず)

応用情報処理技術者試験 文系が独学で一発合格した勉強法など

学部卒の文系女だが、数年前に応用情報処理試験に無事一発合格できた(午前問題81.25点。午後問題80点)ので、勉強方法をメモ。

応用情報処理技術者試験(平成24年度秋期)のwebサイトで成績照会し、合格と午前問題・午後問題の得点を表示した画像。午前問題のマネジメント系が満点

応用情報処理技術者とは

IT分野の国家資格。技術者(=システムエンジニア)向けの3つの国家資格の中で、2番目に難しい試験。(基本情報処理技術者 < 応用情報処理技術者 < 各種高度試験 の順に、難易度と専門性が上がる)

求める人物像は、システムの分野のプロフェッショナルになるために、応用的知識・技能を身に付けている人。

年齢・性別・職種などの制限はなく、どなたでも受験可能。10歳以下のお子さんからから70歳過ぎのおじいちゃんまでどんと来い。
実際のところは、システムを作る人(プログラマーなどの開発者やアーキテクトなど設計者)・システムを運用する人(テクニカルサポートやサーバエンジニアなどの作業者)・システムを導入する人(ITコンサルタントなど)・研究者などが多めで、営業や人事総務などの人はちょっと少なめ。
性別は、特に統計等公開されていなかったが、感覚値では男性:女性=9:1という感じ。

 公式サイトに掲載されている統計情報 https://www.jitec.ipa.go.jp/1_07toukei/_index_toukei.html

試験開催日は、春期(4月第3日曜と秋期(10月第3日曜)の年2回。合格率は20%前後。

試験の構成は、午前問題と午後問題の大きく2つに分かれており、午前問題は4つの選択肢から正答を選ぶ4肢選択式が80問出題される。
午後問題は、記述・選択問題・計算問題が組み合わさった複合問題。午後問題は各分野から11問出題されるが、第1問(セキュリティ分野)のみ必須回答で、第2問から第11問までの残り11分野は、お好きな4問を選択して回答。ちなみに残りの11分野は、経営戦略・プログラミング・アーキテクチャ・ネットワーク・データベース・組込み系・システム開発・プロジェクトマネジメント・サービスマネジメント・システム監査。

詳細は、応用情報処理技術者試験 公式サイトへ。
 応用情報処理技術者試験 公式サイト http://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/ap.html

応用情報処理技術者試験の学習期間・使用テキスト

学習期間 3.5ヶ月
使用した教材 過去問(5年分)
午前問題対策用に「応用情報技術者 ポケット攻略本」
午後問題対策用に「応用情報技術者 午後問題の重点対策」

過去10年以上×年2回分の過去問と解説が公式サイトで無償公開されているので、使わない手はない。過去問は全てPDFファイルで、ダウンロードや印刷も可能。
まず見たいという方は、下記のリンクよりどうぞ。

公式サイト(過去問題) https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/_index_mondai.html  

応用情報処理技術者試験 午前問題の勉強法

学習期間 約1ヶ月
学習の概要
  1. 「応用情報処理技術者 ポケット攻略本」の書籍を一読する
  2. 直近の過去問を2回分(春・秋1回分ずつ)解く
  3. 過去問が70点前後取れるようになれば、午後問題対策に進む
    (取れなければ、手順1→2を繰り返す)

午前問題は、理解度の浅い方を振るい落とすためのいわゆる足切り試験なので、基本情報処理技術者試験を突破された方であれば、午前問題対策に力を入れる必要はない。私は、基本情報処理技術者を取得した翌月に、応用情報処理技術者試験午前問題の過去問を解いてみたところ、正答率約67%だった。(正答率60%以上で、応用情報処理技術者の午前問題は突破できる)

午前問題の試験対策に使用したのは、「応用情報技術者 ポケット攻略本」の書籍と過去問のみ。「ポケット攻略本」は馴染みのないIT専門用語に赤マーカーを引きながら1ヶ月ほどかけて仕事の合間に読み込み、本試験の直前に、マーカーを引いた用語だけ覚え直した。

午前問題は4肢選択式なので、10分~20分程度の隙間時間があれば、数問ずつでも解き進めることができる。私は過去問1回分を縮小印刷して通勤鞄に入れておき、通勤時間やお昼休みなど、仕事の合間の隙間時間を利用して解いた。過去問攻略が隙間時間でできた週の週末は、デッサンやクロスバイクでしっかり遊んだ(笑)

午前問題は、専門用語が多い。応用情報に合格した後に午前問題を眺めてみても、知らない用語が結構ある。私のように暗記力の弱い人間は、全て覚えようとしても無理なので、午前問題はそこそこにして早めに午後問題対策に進むこと。

 →「応用情報処理技術者 ポケット攻略本」の詳細については、こちら

応用情報処理技術者試験 午後問題の勉強法

学習期間 約2.5ヶ月
学習の概要
  1. 直近の過去問を解く(2~3回分)
  2. 「午後問題の重点対策」を必要な章だけ解く
  3. 「午後問題の重点対策」をもう一度解く
  4. 試験直前に、重要用語を暗記する

応用処理技術者試験の肝は、午後問題にあると思う。午後問題対策は、気合を入れてやった

午後問題の選択問題で、どの問題を選ぶか

私が受験した年は大問12問中6問を選択する試験だったが、現在はセキュリティ分野1問+大問11問中4問を選択する試験に変わっている。いずれにせよ、経営戦略からシステム監査まで出題の幅がそれなりに広いので、4問全て自信満々で解ける方は少ないはず。試験対策をしなくとも正答率60%以上取れる問題もあれば、30%しか取れない問題もあるなど、多少ばらつきがあるのが普通だと思う。

合格ラインまで得点を取れる分野を知るために、セキュリティ分野を除く大問11問のうち8~9問を選んで解き、答え合わせをした。

設問には、選択肢から回答を選ぶ選択問題と、計算して答える計算問題と、文章で書いて答える記述問題の3種類があるが、過去問を解いた後は必ず、

  • 選択問題は、正解(○)なら1点、不正解(×)なら0点
  • 計算問題は、正解(○)なら1点、不正解(×)なら0点
  • 記述問題は、模範解答とほぼ同じ(○)なら1点、模範回答の半分くらい(△)記述できていれば0.5点、的外れなことしか書けていない(×)なら0点

と点数を付けて採点し、大問1問あたりの合計得点を出した。
例えば、小問が10つ設けられている大問を解き、自己採点の結果が○○○○△△△×××となったら、その大問は10点中5.5点(正答率55%)になる。
過去問で正答率が40%を超えていたら、勉強次第でその分野は正答率60%を超えることができるので、勉強範囲に含めた。正答率が20~40%なら得意分野ではないと判断し、特に勉強せず、本番の午後問題でも選択しなかった。

現在は4分野選択なので、4分野をしっかり対策し、1分野を予備として対策、くらいに学習分野を絞り込めるといいと思う。

ポイントは、自己採点の時、点数を辛めにつけること。自分の点数を甘く付けたがるのははっきり言って自分だけで、本番試験時の採点者は自分より点数を辛く付けるはずなので、記述問題は全て×か△くらいの見積もりでいいと思う。

午後問題の勉強方法

基本的には「午後問題の重点対策」問題集の自分が選択した分野を解き進めるだけだが、「応用」情報と冠されている以上、知識を応用する力が問われているように思えてならない。暗記よりも理解に重点をおき、問題の解説をしっかり読み込んで理解するよう心掛けた。

解説を読んだだけで理解できなかった専門用語や仕組みは、インターネットで軽く調べ、IT用語の意味をより正確に捉えるとともに、そのIT用語が意味する技術や仕組みが生み出される一因となった背景や関連するエピソードなどもぼんやりと把握するよう心掛けた。IT門用語だけを暗記するより、IT用語とエピソードをセットにして把握する方が、押さえるべきポイントが明確になり、暗記しやすく、応用もしやすい。

また、あやふやな知識は、試験でも実務でも危険。思い込みで作業を進めてしまい、所属チームと客に損害を与えた事例を、過去にいくつも見てきた…。正確さの求められるITの世界では、一技術者の些細な思い込みや認識誤りが、数万人が利用するシステムのシステムトラブルに繋がることが普通にある。結果、企業名入りで謝罪文を送付する羽目になったり、顧客から損害賠償を求められたりと、被害は一個人では収まらない。
あやふやな知識は無意味と見做して、問題で訊かれていることは常に確実に答えられるようになるまで、理解と解答に取り組むことをおすすめする。

休日はついだらけてしまうので、「午後問題の重点対策」問題集を通勤鞄に入れて持ち歩き、なるべく平日の隙間時間で勉強するようにした。
特にテキストの1読目は、初めて習う事柄が多く精神的に辛いので、会社の昼休みや退社後の喫茶店など、自宅以外の場所で解くよう心掛けた。(「午後問題の重点対策」問題集は持ち運ぶには重いので、テキストを真っ二つに切るのもありだと思う)

また、応用情報試験対策には直結しないが、「Webラーニングプラザ」のeラーニングをボイスレコーダーに録音し、家事をしながらよく聴いていた。自分の性格上机に長く座っていることができないので、座学に飽きたら、eラーニングを聞き流しながら風呂掃除や皿洗いをして、身体を動かすようにしていた。

「webラーニングプラザ」のサイトは既に閉鎖されてしまったようだが、今はYou Tubeの動画が充実しているので、通勤・通学や家事をしながらスマホで視聴するのがおすすめ。ノイズキャウンセリングイヤホンを併用して周囲の雑音をシャットアウトしながら聴くと、ながら学習でもそれなりに身に付く。(車や自動車の運転中は、さすがに危険すぎるのでおすすめしないが)

独学だと、独習で理解できなかったポイントがどうしてもおざなりになることが多い。だが、インターネット上のコンテンツを上手に利用できると、隙間時間で理解の浅いポイントを補ったり、思考の偏りを是正することができる。

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 → 「午後問題の重点対策」問題集の詳細については、こちら

応用処理技術者試験 本番当日

午後問題では集中力を切らさない

くどいようだが、午前問題は知識が足りない人を落とすための足切り試験に過ぎない。応用情報処理技術者試験の本番は午後、と再度認識頂きたい。

午後問題では、午前問題で疲れた頭でも、短時間で論理的に考え、解答を導き出すことが求められる。午前問題で燃え尽きず、午前の出来が芳しくなくても諦めず、お昼の休憩時間に十分頭を休めてから、午後問題に取りかかって欲しい。

私も試験を受けた際、「午前問題で落ちたかも….」とかなりへこんだが、蓋を開けてみれば、午前問題・午後問題とも無事合格出来ていた。

合格証書

応用情報処理技術者に無事合格した後、自宅に合格証書が送られてきた。情報処理技術者試験の合格証書はどことなく古風で気に入っている。

応用情報処理技術者試験の合格証書

↑ 応用情報処理技術者の合格証書

応用処理技術者資格取得後 ~活用しました~

職種を変更し、キャリアアップ&年収アップできた

資格取得後に転職し、ITヘルプデスクの仕事からサーバーエンジニアへと職種を変更することができた。

取得後半年間はセキュリティエンジニアとしてパソコン1万台以上&サーバ1,000台以上を管理し、その後はサーバエンジニア(兼データベースエンジニア)として、Windowsサーバ&Oracleデータベースと毎日格闘しながら勤務している。日本中に名の知れた上場企業のサーバを守るのは楽しく、やりがいも大きかった。

今は、ミドルウェアバージョンアップの計画と準備を進めるポジションに就いている。ミドルウェアのバージョンはいくつにするか、どのように実装するか等、日本語・英語で書かれた情報を日夜漁りながらサーバのあるべき姿を模索する仕事。
私のチームが道を踏み固め、後日その道を通る全国の技術者が安全に歩けるよう配慮しなければならないので、責任が重い。

ITヘルプデスクの時は派遣社員だったが、応用情報技術者取得後は正社員になり、年収もその後の10年間で+180万円アップした。(通勤交通費・賞与年2回・福利厚生付き、退職金無し)
但し、残業時間も月10時間から10~80時間と大幅に増加している。

インフラエンジニアという今の職種が気に入っているので、職種変更できたのが応用情報処理技術者を取得した一番のメリットだと思っている。

年齢や性別に関わらず、職場で存在感を出せる

私は女で、しかも童顔なので、初めて一緒に仕事する方からは頼りなく見られることが時々ある。だが、応用情報で学んだ分野については、望む望まないに関わらず、存在感を発揮できることが多かった。

今の職場はデータベースエンジニアは多いが、ネットワークやセキュリティに疎い方が多く、特にセキュリティに関しては私の独壇場になる…。
自分が過去にセキュリティ技術者を経験しているせいでもあるが、「『脆弱性』ってなんですか?」とIT企業の若い社員に訊かれた時には、お茶を吹き出しそうになった(笑)

「ベンダーのサポートが切れたら、何故製品を買い替えなければならないのか」など、システムを守る上で基本とも言える考え方が、未だ浸透していない現場もある。「脆弱性」や「サポート切れ」の危険性やリスクについて、理解し適切な対策を取って貰おうと考えると、女だろうが、顧客より年下だろうが、自分が持っている知識を伝えて広めるしかない。

システムを正しく理解していれば、結果として自分の存在感は大きくなる

以下、余談。
先日サーバで毎日業務時間中にセキュリティソフトのフルスキャンをかけ、業務時間中に1時間以上、サーバをCPU 100%に貼りつかせた阿呆な企業がいた。
電話でフルスキャンを今すぐ止めるよう伝えたところ逆ギレされたので、そのサーバにおいて改善すべき事柄を文書にして、その顧客の営業担当者から伝えてもらったところ、2度目に同じ客に電話した時は、非常に丁寧な対応に変わっていた(笑)

日次でフルスキャンをかけたいなら、セキュリティソフトの時間指定の機能を使って、夜間などエンドユーザが使用しない時間帯に行うのが基本。業務時間中にどうしてもフルスキャンしたいなら、せめてCPU使用率の制限はかけるべき。CPU全体の何%までセキュリティソフト側で使用するかは、セキュリティソフトの設定で決めることができる。
ちなみに、OSがWindows Server 2003、CPU 2コア、という少々古いウェブサーバ兼アプリケーションサーバだった。CPUが2個しかないので、仮に1個をセキュリティソフトがフルスキャンが使用していると仮定すると、残り1個のCPUで全ユーザからくる全ての処理を回すことになるので、どう贔屓目に見ても無理がある。古い物理サーバなので、CPUを積み増すのは論外。積み増すくらいなら、予算と相談の上、新しいサーバへのリプレイスを勧める。

…話が逸れたが、客と少々喧嘩してでもサーバとエンドユーザを守ってあげるのが、技術者の大事な仕事の1つだと思う。

転職に非常に有利

IT系の職種に転職活動する際、応用情報処理技術者を取得したことについて、質疑が来ないことがない。

「どうして応用情報を取ろうと思ったのですか」から始まり、「基本情報から半年で取得したんですか」とか「応用情報は大変だったでしょう」というねぎらいまで、ありとあらゆることを訊かれる。どうも、面接官の食いつきポイントを刺激する資格のようだ。

特に、基本情報処理技術者と応用情報処理技術者を同じ年度の春期と秋期で取得した点について、高評価を受けることが多かった。基本情報と応用情報は学習範囲や試験そのものが似ているので、実際には応用単体で受けるより合格率が高まると思うのだが、同じ年度で両方取る人は珍しいらしい。

資格より実務を重んじる傾向の強い転職の場において、ここまで面接官を喜ばせる資格があるとは思わなかった。

高度情報処理技術者試験に挑戦できる

なるべく早いうちに、IT系国家資格で一番難易度の高い「高度情報処理技術者試験」にチャレンジしようと考えている。

応用情報処理技術者を取得した後、高度情報処理技術者の取得が現実味を帯びてきた。周囲の技術者に「高度情報処理取ろうかと思っている」と話していても、端から無理だと決めつける反応は返ってこなかったので、応用情報処理の有資格者は「高度情報処理を取れるかもしれない人」という位置づけになっているんだな、と感じた。

これまでのキャリアを踏まえると、取得するなら「データベーススペシャリスト」かなと考えているが、いずれにせよ「難度の高い知識・技術を習得した」と第三者から認められるのは、技術者として仕事をしていく上で大きな自信に繋がると思っている。

応用情報の午前問題で不合格になってしまった方は…

キツい言い方になってしまい申し訳ないが、単に基本情報処理技術者レベルの知識や考え方(論理的思考?)が身についていないのではないか、と思う。

試しに基本情報処理技術者の午前問題・午後問題の過去問を2~3つを入手し、どのくらい解けるか確認してみることをおすすめする。

基本情報処理技術者試験は午前問題・午後問題とも多肢選択式で、過去問も解答も公開されているので、解くとすぐに採点して得点が出せる(合格ラインは正答率60%以上)。基本情報処理技術者が午前問題・午後問題ともすんなり受かるレベルなら応用情報の午前問題は合格できるはずだし、基本情報処理技術者でさえ不合格になってしまうなら、応用情報ではなく基本情報からトライする方が、より着実にスキルを身につけることができ、精神的にも楽だと思う。

また、特定の狭い分野に深く偏った知識やスキルを持っている方は、応用情報処理技術者試験は不利。特に午前問題は、広い分野からまんべんなく出題されるので、特定の分野しか解けないと、正答率60%の足切りラインに引っ掛かってしまう。

どうしても特定の分野だけしか学びたくないなら、少し費用はかかるが、応用情報ではなくMicrosoft等のベンダー資格にトライする方が良いかもしれない。
企業が主催するベンダー資格は、特定のソフトウェアの特定のバージョンに絞って試験が実施されることが多い。Oracle社のOracle Masterという資格を例に挙げれば、Oracleというデータベースの12cというバージョンで使える機能だけが出題範囲になる。プログラミング言語や法令やマネジメントについては問われないので、専門特化で生きていきたい方にはおすすめ。

但し、ベンダー資格は試験料が高く、1回受験するだけで1万円以上かかるものも多い..。資格取得支援制度を設けている企業もあり、試験代を補助して貰えたりすることがあるので、社内制度を確認してから試験を申し込む方がおすすめ。

応用情報の午後問題で不合格になってしまった方は…

午後問題では、持っている知識を現場に当てはめ、解決する力が求められる。知識を「知っているか」ということもある程度問われるが、それ以上に、知識を「使える」かが問われているように思う。

以上を踏まえたうえで、細かい対策を練ってみた。

時間が足りなかった

試験時間内に解き終わることができるかどうかは、事前に過去問1~2回分を時間を測りながら解くと、前もって把握できる。極度に緊張してしまったなど当日ならではのハプニングで足を取られたならともかく、事前に過去問を解いた時点で時間が足りなかったのなら、単なる準備不足な気がする。

採るべき対策は、

  1. 問題文を読むのが遅いのか
  2. 設問を解くのかが遅いのか

によって変わってくる。

対策(1)
応用情報処理技術者試験は問題文が長い。それも、他の試験と比べて少し長いというレベルではなく、非常に長い(笑) 実務未経験者に理解と学習を促すために、対象となる企業やシステムの置かれた状況を丁寧に説明する形で、問題が作成・構成されているためだと思う。

問題文を読むのが遅い場合、特定の分野の専門用語や言い回しに慣れていない可能性がある。システム系の文章は専門用語も多いので、読むスピードを上げたいなら、試験で選択する分野のテキストを時折読んで慣れる方がいい。専門用語調べながらネットサーフィンするとか、関連書籍を読むとか、隙間時間で構わないので、理解を深めながら読むことを心掛けるといい。

余談ながら、午後問題で出題される各問題の質の良さは、マイクロソフトやオラクルなどのベンダー試験の追随を許さないほど、情報処理技術者試験がずば抜けて良いと私は思っている。

対策(2)は、妙案が浮かばないので検討中。

記述問題の解答を作るのに時間がかかった

記述問題で問われるのは、問題を認識・解決するためのポイントが的確に押さえているかどうかだと思う。
試しに、解答時間や文字数を気にせずに解答を「喋って」みて、すぐに答え合わせをし、模範解答と自分が喋った内容が一致しているか(=解決のポイントが合っているか)を確認するといい。

解答のポイントが的確に押さえられているなら、喋った内を紙に書き、指定された文字数に収まるように、重要性の低い言葉を削ったり、長い言葉を短いキーワードで言い換えたりして、伝えたい内容を整理する練習をする。

実務に当てはめると、
 設問=システムトラブル・客からのクレーム
 回答=技術者からのアドバイス(口頭やメール)
だろうか。

現場に文字数制限はないが、どこの現場も忙しいので、伝えたい内容がまとまっていないと、そもそも話を聞いて貰えない(笑) それは自分自身が聞く側の立場になっても同じで、話が無駄に長い人や、5分間話を聞いていても何が言いたいのかわからない人は、イライラして話を聞く気が失せる(気が短くてすみません…) 。

応用情報処理試験の記述問題の「解答」で求められているのは、技術力だけでなく、情報や考えを言葉にして端的に伝える力でもあると思う。

分野(大問)の選択を間違えた

分野選びは、選択も軌道修正も難しい。

(1)特定の分野の実務経験がある人は、その分野を選ぶ。
 知識が身につくのが早く、合格点に達しやすいので。
(2)特定の分野を1ヶ月以上学んだ経験のある人も、その分野を選ぶ。
(3)どの分野も実務経験がなく、授業・書籍・動画等で一度も学んだこともない人は、今後の自分の専門を作るつもりで、分野を決める
応用情報処理技術者を受験するときに選んだ分野は、これから先一生自分について回るので、学習していて面白く、心の負担が少ないものを選んだ方がいい。但し、知識をゼロから身につけることになるので、どうしても学習には時間を要すると思う(=短期合格は難しい)

選べる分野が11分野もあるので、向き・不向きや多少の好き嫌いは、どなたにでもあるはず。先々の事を考えると自分に向いている分野を選択した方がいいので、少し時間をかけてでも、自分に適した分野を吟味することをおすすめする。

(3)について、自分の場合は、ネットワークについて書かれた書籍や記事を拾い読みするのが好きだったので、「ネットワーク」分野を選択した。ネットワークエンジニアを本業に据えたことは、受験当時から現在に至るまで、一度もない。だが試験勉強中も、他の分野と比べると心の負担が少なく、正直一二を争うほど学習が楽しめる分野だったので、学習期間3ヶ月でネットワーク分野も合格圏内に入ることができた。

応用情報処理技術者を取得できたなら、その実務未経験の分野でさえ、理論や思考は実務でそれなりに使えるレベルに達する。受験後、ネットワークトラブル発生時にはネットワーク構成図が頭にすぐ浮かび、小規模トラブルなら調べて自己解決できてしまうことも増えた。ネットワーク技術者が「L2スイッチでのMACアドレスフィルタリング」など専門的な話をしても、その場で話を理解し、適切な返事を返すこともできる。ただし、CISCOなど特定の機器に関する知識や技術が足りないので、機器の実装はすぐにはできない。

反面、応用情報で選択しなかった「システム開発」の分野では、トラブル解決はおろか、技術者同士の話を1時間横で聞いていても、未だに理解できない(笑)

経営戦略(午後問題)について

簿記2級・簿記1級の勉強をされた方は有利。科目名こそ「経営戦略」だが、中身は「経営学」と「会計」が混在しており、キャッシュフロー計算書や利益率計算やM&A(吸収合併)の際の会計処理などが出題されているので、簿記1級程度の財務会計・管理会計を学習された方であれば、学習時間を短縮することができる。

私が受験した回にはデューデリジェンス(企業合併時の資産評価)が出題され、「ITの試験でデューデリジェンスを出すか?!」「でも、いい問題だな…さすがは応用情報」と解きながら感心させられた記憶がある(笑)

システム監査(午後問題)について

選択する方が極めて少ないと思われる、システム監査について。

私は本番でこの問題を選択したが、大多数の方はこちらの科目を選択する必要はない。仮に選択しても、技術はさほど身につかないし、実務でもほぼ使わない。ただ(1)公認会計士になるための勉強をされた方と、(2)午後問題でどうしても得点が取れない方は、システム監査を選択するのはアリだと思う。

理由(1)
公認会計士試験には、「監査論」という科目がある。
一口に監査と言っても、会計監査・システム監査・内部統制などさまざまな種類の監査があり、監査論を学んで培った思考法や知識は、システム監査にそのまま転用出来る。なので、公認会計士試験の学習者であれば、勉強不要(!)で解答できる
私も過去に監査論を勉強したことがあったので、試験直前に重要用語を覚え直すだけで、午後問題を記述を解答することができた。

理由②(2)
「システム監査」は他の11分野と比べると、出題範囲が狭いので、短期間の学習で得点につながる可能性がある。しかも記述問題が多いので、要点だけ押さえて何らかの解答を書ければ、部分点を集めることができるかもしれない。
あまりおすすめできる分野ではないのだが、正解・不正解がはっきりと出る計算問題の多い大問を無理に選択して玉砕するよりは、良策だと思う。

ORACLE MASTER Bronze 11g 独学で一発合格した勉強法など

Oracleデータベースの世界の水先案内人が、ORACLE MASTER Bronzeという資格。 データベースの世界に入って1年弱が過ぎた頃に、独学でORACLE MASTER Bronze 11gを取得できたのでメモ。

ORACLE MASTER Bronzeとは

「ORACLE MASTER」は、Oracleデータベースの体系的な知識を持ち、Oracleに関する問題を解決に導くことができる技術者を認定する資格制度。

上位資格に ORACLE MASTER Silver・ORACLE MASTER Gold・ORACLE MASTER Pratinumの3つがあり、Bronze → Silver → Gold → Pratinumの順に難易度が上がる。
ORACLE MASTER Silver以降は日本国外でも通用する資格として認定され、取得するとOracle製品に対し一定の技術力を有することを、全世界に証明することができる。

ORACLE MASTER Bronzeに認定されるには、2つの試験を受験し合格することが必要。

  • 「11g SQL基礎I[11g SQLI] (1Z0-051)」もしくは「Bronze SQL基礎I[Bronze SQLI] (1Z0-017)」のどちらか1科目
  • 「Bronze DBA11g」

「Bronze DBA」はOracle Database の基本的な仕組みと機能を理解するための試験。「SQL基礎I」 はデータベースと情報をやり取りするための標準言語であるSQL(読み方:エスキューエル)の基礎を身につけるための試験。

SQL基礎Ⅰの試験はどちらを選択しても、試験会場で受験するか、インターネット上で受験するかを選択することが可能。

Oracle Master Bronze 学習開始時点の所持スキル

データベースの経験年数:10ヶ月半

 OracleデータベースとSQLは、実務で10ヶ月半。
 Microsoft Access 2003 は座学で一通り学び、実務でデータ閲覧とレコード修正をやったことがある程度。
 select/delete/insertなどの基本的なSQLは作れるが、unionやleft joinなどは使えない。

その他システム系の実務経験

 セキュリティ・ネットワークに加え、Windows系アプリケーションを一通り使用した。
 ハードウェアと開発の経験はゼロに等しい。

ORACLE MASTER Bronze「Bronze DBA11g」の勉強法

  • 学習期間:2ヶ月
  • 使用した問題集:「徹底攻略 ORACLE MASTER Bronze DBA11g問題集」(通称:黒問題集)

Oracle製品の織り成す世界は、WindowsOS・Microsoft Office・各種業務ソフトのどれにも似ておらず、実務を多少経験していても、Oracleデータベースの仕組みやOracle専門用語に慣れるのに手間取った。
インスタンスとメモリやプロセスの関係やSGAとPGAの違いなど、用語だけは時折耳にしていても、改めて仕組みを問われると答えに窮した。

読むだけのテキストは購入せず、黒本と呼ばれる「徹底攻略 ORACLE MASTER Bronze DBA11g問題集」のみを購入し、3回解いた。(Oracleに限らずどの資格にも言えるが、ひたすら読むだけの本より問題を解くタイプの本を購入した方が、知識の定着が早い)
問題も漫然と解き進めるのではなく、1問ごとに、正解なら「◯」、不正解なら「×」を付けておき、「×」が3つ溜まった問いは理解が不足している部分なので、問いの周辺にある用語や背景となる知識も調べ、覚えるのではなく理解するよう心掛けた。

それ以外にも、聞いたことのないOracle用語が黒本には頻繁に登場した。近い将来ORACLE MASTER Silverの取得を視野に入れていたので、見慣れない用語が登場した場合は、時間の許す限りインターネットで調べるようにしていた。

Enterprise Managerは実務で使用する予定がないので、さらっと眺める程度で深くは学ばず、設問に出ても答えられないことが多かった。

ORACLE MASTER Bronzeの取得後、どう活用したか

実務にすぐさま役立つ

前の職場に所属していた時から「ORACLE MASTERの資格は社内外で評価が高い」と聞いており、ブロンズに認定された後後改めて思うのが、ORACLE MASTERはOracleデータベースの実務で使う知識が試験内に網羅されている、ということだ。

ベンダー資格の強みでもあると思うが、特定の製品かつ特定のバージョンに特化して学ぶので、実務でその製品を使用していれば、学んでいる段階(資格未取得の状態)でさえ知識を生かすことができ、問題解決にかかる時間が短くなった

ただ、自己解決出来るのは、シンプルなエラーが多い。
ハードディスクの破損によるデータ欠損や、インスタンスがMOUNTより先に進まず起動出来ないトラブルなど、複雑かつ難易度がやや高いトラブルは、リスナーログとアラートログを取得してORA-xxxxxのエラーを調べるのがせいぜいで、独力ではトラブル解決出来なかった。

定型的なタスクを中心とした業務が仕事の大部分ならORACLE MASTER Bronzeで十分だが、障害対応をバリバリ行うならBronzeだけでは心もとなく、Bronze取得にかけた時間の何倍も実務経験を積み上げるか、ORACLE MASTER Silver取得に進むことが必須。

社内の評価が良くなった

今の勤務先は年に2度多面評価が行われ、その評価を元に年収が確定するが、 Bronze取得後は2回連続で高評価を頂けた。

年収が数十万円増えた

ORACLE MASTER Bronze以外の要因も大きいのだが、 ORACLE MASTER Bronze取得後に2年程かけて年収が徐々に上がった。(その後身体を壊し、1年間くらい収入が半減したが、また元の年収に戻った)

補足情報:ORACLE MASTER SilverとORACLE MASTER Platinumについて

ORACLE MASTER Bronzeは、ORACLE MASTER Silverより重要

ORACLE MASTER Bronzeを取得した3年後に、Oracle Master Silverを取得した。(時間が空いてしまった理由は、仕事の都合。可能であれば、Bronze取得後記憶が薄れないうちに、Silverに取りかかる方が有利だと思う)

ORACLE MASTER BronzeはOracleデータベースの基本的な仕組みが一通り紹介されている印象を受けたが、ORACLE MASTER Silverは学ぶ内容がより深くなっているものの、「この機能はどこの企業も使ってないし、今後も使う予定がない」的な機能紹介もそこそこ含まれている。(AUDITコマンドなどは使っている企業様を見たことがないし、Oracle ASMもごく僅か…)

ORACLE MASTER Silverの方が学びが深く、障害時に絶大な力を発揮することは、実体験の上でも間違いない。だが、Silverの知識は明らかにBronzeの知識の上に乗るものなので、ORACLE MASTER Bronzeの知識をあやふやにせずきっちり理解し、実務経験で肉付けしておくことが、結局はORACLE MASTER Silverや一人前のデータベース技術者への近道になるだろうと思う。

ORACLE MASTER Platinumが取得できる環境

先日、Oracleについて抜きんでた技術をもつ企業様と話す機会があったので、どういった研修制度を敷いてらっしゃるのか尋ねてみた。この企業様には、ORACLE MASTERの最上位であるプラチナホルダーが何人も在籍している。

企業様曰く、企業の側で行うのは、資格支援の仕組み(試験料を負担し、合格時には一ケタ万円くらいの報奨金を出す)を作り、今年度の資格目標数を通達することくらいらしい。

それ以上に、社内に既にプラチナホルダー(「鬼教官」と表現されていた)がいて、プラチナ未取得者が望む望まないに関わらず、勝手に周りをしごいていることの方が効果が大きいらしい(笑)

人を育てるのは人。そう感じさせるエピソードだった。