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気管支喘息患者が「カルピス 守る働く乳酸菌 L-92」を8ヶ月間飲んだ結果(ハウスダストアレルギーとダニアレルギーが陽性の喘息患者の場合)

いい加減スーパーに喘息発作なしに入れるようになりたいので、ハウスダストアレルギー改善のために、アレルギー症状が収まるまで「守る働く乳酸菌 L-92」を1日1本飲み続けることにした。

「守る働く乳酸菌L92」21本を積み上げて撮影した写真。白いキャップのペットボトルと「L-92」と書かれた赤いラベルが写っている。

↑ 購入した「守る働く乳酸菌 L-92」飲料

L-92乳酸菌のハウスダスト・ダニアレルギーに対する研究結果

ハウスダスト・ダニの通年性アレルギー性鼻炎をもつ方々に、L-92乳酸菌を8週間摂取頂いた臨床試験の結果が、カルピスのウェブサイトに公開されている。L-92乳酸菌が、ハウスダスト・ダニアレルギーに対しても一定の有効性があることが確認されたそうだ。

グラフ等の詳細情報は、カルピスのウェブサイト↓にて確認できる。
カルピス由来健康情報室 「通年性アレルギー性鼻炎」への有効性データ
http://calpis-kenko.jp/l92/research.html#section2

但し、人間には個体差があるので、どんな薬も食べ物も、他人によく効いたからといって貴方に効くかどうかは分からない。逆もまたしかり。

「守る働く乳酸菌L-92」の外観・味・保存方法

外観

1日分が200mlのプラスチックペットボトルに入っている。中身は、牛乳よりやや透明な乳白色。
グラスに注いだ「守る働く乳酸菌L92」飲料を撮影した写真。小さい透明なグラスに白い液体が入っている。画面左には、「L-92」の赤ラベルが貼られた、200mlのペットボトルが置かれている。ペットボトルの白いキャップには、「CALPIS」と書かれている。

カルピスのロゴが付いているだけあって、見た目も味もカルピスに似ている。カルピスを甘さ控えめにし、ヤクルトの味を少しだけ足したような印象。この味なら、子どもも飲めると思う。

量も200mlで多すぎず、4歳~7歳の子どもが毎日おやつに飲むくらいの量。味がしっかりついており、僅かだがとろみが付いていて飲みごたえがある。

甘いものが苦手な方は、毎日飲むのが辛い可能性があるので、「アレルケア」の錠剤を選ばれた方がいいと思う。

保存方法・賞味期限

未開封であれば常温で保存できる。自宅や勤務先のロッカーで常温保存できるのは有難かった。念のため夏の間だけは、未開封のものも冷蔵保存していた。
開封済みなら冷蔵保存が必要。

8月上旬に注文し1週間後に到着した品の賞味期限は、同じ年の12月11日と記載されていた。4ヶ月程度なら味を損なわずに飲めるようだ。

入手方法

1日1本毎日飲み続ける上、僅か10本以上で重さが1~2kgに達するので、Amazon等の通販サイトで購入し自宅に発送して貰うのが一般的なようだ。

ここ1年ほどで知名度が増し、近所のスーパーでは牛乳売り場付近や粉末飲料の売り場で売られていた。

スーパーの陳列棚に、L-92乳酸菌ドリンクが展示されている様子。「守る働く乳酸菌 118円」と書かれた値札が貼られている。

↑ スーパーで見かけたL-92乳酸菌ドリンク

生協は、6本セットのみ販売されていた。
会社の福利厚生サイトは、24本セットと30本セットの2種類が取り扱いあり。
生鮮食品を置いている百円均一ショップは、1本ずつ売りに出されていた。
医療機関では、大規模病院内にあるセブンイレブンで、1本ずつ売られているのを見つけたことがある。

2年前は近所のスーパー3件とコンビニ2件のどこを回っても取り扱いがなかったが、最近は随分入手しやすくなり助かっている。

「守る働く乳酸菌L-92」(100ml)との違い

「守る働く乳酸菌L-92」に100mlのものが販売され始めたので、こちらも購入し、試してみた。

カルピスの「守る働く乳酸菌L-92(100ml)」を正面から撮影した写真。背景に、守る働く乳酸菌L-92(100ml)が10本以上写り込んでいる。

↑ 守る働く乳酸菌L-92(100ml) 100mlはキャップが金色

飲んでみて気付いた違いは、100mlの方が従来の200mlのものより、とろみがしっかりと付いている。とろみが増した分飲みごたえがあるので、半量になったにも関わらず、飲み足りないとは感じなかった。

それ以外の味や外見は、200mlのものと変わらない。少なくとも、私には違いが分からない(笑) 1本当たりのL-92乳酸菌の含有量も20.7mgで、従来品(200ml)と同じ。アレルゲンフリーではなく、乳と大豆が成分に含まれているところも同じ。

守る働く乳酸菌L-92(100ml)のパッケージを剥がし、成分が表示された部分を撮影した写真。

↑ 守る働く乳酸菌L-92(100ml)の成分表示

未開封なら常温保存できる点も、従来品と同じ。
公式サイトでは賞味期限は9ヶ月と明記されている。私が2018年7月に購入した品の賞味期限は2019年1月だった。お手元に届いてから約半年は、美味しく頂くことができる。

量が少ない分、冷たい飲み物を控える冬でも、随分飲み続けやすくなった。冬は気管支喘息患者が風邪で弱りやすい時期でもあるので、冬でも飲みやすくなったのは大歓迎したい。

1~2ヶ月分まとめて購入した際、従来品(1本200ml)より軽いので、運んだり冷蔵庫に保存したりしやすくなった。宅配便で荷物を代理で受け取った家族が、重さに苦情を申し立ててくることも少なくなった(笑)

「アレルケア」と「守る働く乳酸菌L-92」の、L-92乳酸菌含有量・成分の違い

L-92乳酸菌の含有量に差はない

L-92乳酸菌を含む製品に、同じくカルピスの会社から販売されている「アレルケア」という製品↓がある。

テレビCMやインターネット広告で大々的に宣伝されたこともあり、アレルギー対策の製品としては、アレルケアの方が有名。主に錠剤の形で売られており、子ども向けにぶどう味のついた錠剤タイプもある。

軽く調べてみたところ、1日あたりのL-92乳酸菌の含有量は「アレルケア」も「守る働く乳酸菌L-92」も同じで、どちらも20.7mgだった。

  • アレルケア(錠剤)…20.7mg配合 (1日あたり2錠)
  • 守る働く乳酸菌L-92(飲料)…20.7mg配合 (1日あたり1本)

ただ、「守る働く乳酸菌L-92」飲料には乳・大豆が含まれる(アレルゲンフリーではない)。乳・大豆の食物アレルギーがある方は、アレルケアしか選べない。

「守る働く乳酸菌L-92」の成分表示

原材料は、下記写真を参照。

「守る働く乳酸菌L-92」飲料のパッケージを撮影した写真。飲料含まれている原材料や保存方法が明記されている。

↑ 「守る働く乳酸菌L-92」の成分表示

「守る働く乳酸菌L-92」飲料 摂取前と摂取後の経過記録

「守る働く乳酸菌L-92」飲料の摂取開始前

スーパー・衣料品店に市販のマスクをつけて入店すると、喘息の発作が起き、動悸・息切れを起こす。両店舗とも約10分滞在すると、心拍数が毎分90回を越えるくらいの動悸が生じ、口からハアハアと息が出るほどの息切れが起きる。(普段の心拍数は、毎分60台前半~70台後半)

喘息専門医の医師の指導に従い、抗アレルギー剤(モンテルカスト)を1日1錠服用中。喘息治療の吸入薬(レルベア200、スピリーバ)は毎日吸入し、発作用吸入薬(サルタノール)も週1~4回吸入している。

せっかくなので、花粉症持ちの実父(70歳代)にも手渡しし、同じ日に摂取開始。

「守る働く乳酸菌L-92」飲料摂取開始から1~2週間経過時点

摂取1~2週間では、喘息症状を抑えることはできなかった。反面、70歳過ぎの花粉症には、わずか2週間の摂取で効果が見えはじめた

2週目半ばに、市販のマスクを付けて、毎回必ず発作を起こすスーパーを訪れた。15分間滞在し、店を出てすぐに心拍数を測ったところ、心拍数は丁度毎分90回。呼吸時に胸骨が軽く上下し、走ったわけでもないのにハアハアと息切れしていたので、喘息発作が出てしまっていると判断した。発作による動悸と息切れは翌日まで続き、発作用吸引薬を使って症状を収めた。

ただ、以前は息切れ・動悸の喘息発作が入店後5分と経たずに起きていたが、今回は入店後しばらくもった。発作が起きるまでの時間は、心持ち長くなった気はする。

花粉症については、70歳以上という年齢をものともせず「守る働く乳酸菌L-92」が結果を出してくれたので、勧めたこちらの方が驚いた。

花粉症持ちの実父は、1日1本飲み続けて2週目半ばに、鼻水の量と咳込む回数が明らかに減ってきた。まだ時々咳き込んでいるが、毎日咳き込むことはなくなった。本人は空腹時に飲んでいただけだったらしいが、使用するティッシュの量も目に見えて減り、効果が出て嬉しかったらしい。

「守る働く乳酸菌L-92」飲料摂取開始から3~4週間経過時点

摂取後3~4週間で、喘息症状が少しだけ軽くなった。70歳の花粉症については、咳すら出ないほど軽くなってきた。

3週目の半ばに、ひと月前に心拍数90オーバーの喘息発作を起こしたビルに、N95マスクをつけて、3時間滞在した。お菓子を頂いたため、途中30分程度N95マスクを外したが、ビルを出るまでも出た後も、喘息発作が起きなかった。快挙!(涙)

4週目は、気管支喘息の発症の原因である勤務先(ワークスアプリケーションズ社)に2ヶ月半ぶりに出勤。勤務中は主治医の指示によりN95マスクを着用しており、心拍数が毎分80台後半まで上がったものの、喘息発作は起きず。

ビル訪問時も復職時も、抗アレルギー薬と「守る働く乳酸菌 L-92」とN95マスクを併用していたので、3つのどれか(もしくは全部)が効果をもたらしてくれたのだろう。

花粉症持ちの実父の方は、咳き込む回数が更に減った。以前は毎日のように「ゴホゴホゴホッ!」と激しく咳込んでいたが、4週目は週の半ばに差し掛かっても、「ゴホッ」という一音さえ耳にしない。頑固で衣食住の変化に極端に弱い実父だが、「守る働く乳酸菌L-92」は気に入りすぎて自らスーパーやコンビニを覗いて回り、「L-92、店では売ってないなあ…」とぼやいていた。

「守る働く乳酸菌L-92」飲料摂取開始から5~6週間経過時点

呼吸機能検査の結果が、3ヶ月前より改善。ハウスダストアレルギーの症状も実感できるほど軽くなったので気をよくし、喘息のため今まで入ることのできなかった場所も訪れるようになった。但し、体質が完全に改善されたわけではなく、調子に乗って必要な防御を怠ると、喘息発作が起きる。

5週目の始めに、N95マスクではない普通の市販マスクをつけ、専門学校の7階にある教室に3時間滞在。7階という屋外に出にくい環境に、戦々恐々としながら出向いた。が、2時間ほど呼吸は荒くなったものの、喘息発作は起きなかった。
抗アレルギー剤かL-92乳酸菌のどちらかが、ハウスダストアレルギーを和らげてくれているのは、もはや間違いなさそう。

5週目半ばに訪れた、区役所(地上階)もセーフ。だが、同じ建物の図書館(地下1階)はアウトで、10分もしないうちに喘息症状(息切れ)が出て、本が数ページしか読めなかった(笑) 図書館入口の床に埃が溜まっていたので、空気中にもハウスダストの多い場所だったのだろう。慌てて屋外に逃げ、喘息発作にまでは至らなかった。

同じく5週目半ばに、勤務先(ワークスアプリケーションズ社社内)で喘息発作が起きた。勤務先の職場内では常にN95マスクを着用しているが、職場に入って1時間過ぎた頃に息切れが始まり、ピークフローメータの値が基準値の80%未満の危険水域に。結局この日は2度発作が起き、発作用吸入薬を使用。

喘息症状が軽くなったことに気を良くしていたが、僅か5~6週間でアレルギー体質そのものが治ったわけではないという事実に、改めて気付かされた。

6週目の最後に、病院で呼吸機能検査を受けた。3ヶ月前に受けた時より数値が改善し、肺活量などは基準値を上回っていた。

花粉症持ちの実父の方は、趣味のお香を焚いている時は、煙を吸ってゴホゴホ咳込んでいる。が、それ以外では咳き込まなくなった。花粉の時期を過ぎたせいでもあると思う。このまま継続して飲み続けて貰い、来年の同じ時期にどこまで症状が軽くなっているかを見てみたい。

「守る働く乳酸菌L-92」飲料摂取開始から7~8週間経過時点

実感できるほど、改善傾向が続いている。7~8週は喘息発作0回。喘息症状が出たのも数えるほど。

7週目の後半に、郵便局や会社の会議室にマスクなしで入り、10分~1時間程滞在したが、喘息症状さえ起きなかった。2ヶ月前に発作を起こした美容院に8週目の半ばに訪れ、1時間滞在したが、やはり発作も喘息症状も起きず。

抗アレルギー薬の影響もあるとは思うが、少なくとも、「守る働く乳酸菌L-92」にはハウスダストアレルギーの症状を抑える効果はあるのでは、と思わざるを得ない。吸入薬(レルベア)を7ヶ月、抗アレルギー薬(モンテルカスト)を3ヶ月続けても抑えることの出来なかった喘息発作が、ここにきて明らかに減ってきている。

「守る働く乳酸菌L-92」飲料摂取開始から9~12週間経過時点

9週目に、埃まみれの部屋にマスクなしで5分滞在した。部屋のあちこちに古い機材が溢れ、窓は開かず、埃がそこかしこに積もっていた。「喘息発作起きるかも」とさすがに覚悟したが、その日もその翌日も発作は起きず。これほど発作が起きないと、逆に不安になる(笑)

11週目に、最後に起こした喘息発作から1ヶ月経過。1ヶ月間1度も喘息発作を起こさなかったのは初めてだったので、素直に嬉しかった。この1ヶ月間で起きた喘息症状(息切れ・動悸)は、2回のみ。

同じ週に「守る働く乳酸菌L-92」飲料を切らせてしまい、L-92を1週間摂取出来なかった
が、症状は特に変わらず。これにより、2~3日間の旅行や出張なら、重い乳酸菌L-92飲料を持っていかなくとも大丈夫、ということが分かった。

N95マスクとウイルス対策マスクは必ず毎日持ち歩いているが、マスクなしで、店舗やビルに入ることも増えてきた。喘息症状の気配すら感じないので、気付いたらマスクなしで入店していた、という感じ。

「守る働く乳酸菌L-92」飲料摂取開始から13~16週間経過時点

14週目に、ついに治療がワンステップダウン。薬は4種類から3種類へ変更になり、補助薬として使用していた吸入薬(スピリーバ)が不要になった。嬉しい。

花粉症やアレルギーを持つ親族を見つけるたびに、「守る働く乳酸菌L-92」飲料を渡しているが、4週間断続的に飲んだ程度では効果が薄かった、と意見を貰う。
飲んだり飲まなかったりでは効果が出にくいようなので、期間を決め、その間だけは毎日欠かさず飲む方が良さそうだ。その親族も「守る働く乳酸菌L-92」飲料の味や続けやすさは気に入り、自費で購入して断続的に飲むようになった。

「守る働く乳酸菌L-92」飲料摂取開始から17~20週間経過時点

症状は安定しており、17~20週は喘息発作0回。

19週目に喘息発症の原因となった部屋の古い段ボール20個以上を、棚から下ろし解体して片付ける機会があった。N95マスクを着用し発作覚悟で挑んだが、2時間埃まみれになりながらも、発作は起きず。マスクをしていなかった同僚は、何度かひどいくしゃみに見舞われたらしい…お疲れさま。
喘息を発症した部屋についてはこちら

「守る働く乳酸菌L-92」飲料摂取開始から21~24週間経過時点

21週目に、更に治療がワンステップダウン。薬は3種類のままだが、メインで使用してる喘息吸入薬(レルベア)が半量になった。(レルベア200→レルベア100へ変更)
ただ、同じく21週目に、埃に近づきすぎて喘息発作が2回発生。痰や咳の数も増えた。

労災保険の請求のため、21週目に勤務先にある喘息発症の原因となった部屋とその周辺を、スマホで写真撮影した。埃が雪のように積もった机や傘立て、3年以上掃除されていないサーバのあるフロアなど、ハウスダストとダニと花粉がこれでもかと残っているところに近づき撮影を繰り返したため、1時間でピークフロー値が30~40下がり、発作発生。
勤務先が発症の原因であるため、勤務先の空気環境では特に発作が起きやすいのだが、N95マスクをつけていても発作を防ぐことができず、少しショックを受けた。

この一件で、「守る働く乳酸菌L-92」飲料は、ハウスダストアレルギー・ダニアレルギーの体質そのものを変えてくれるものではないように感じた。アレルギー症状を軽減してくれているのは確かなのだが、身体が耐えられない量のハウスダスト・ダニに曝露されると、症状や発作は起きてしまうようだ。

「守る働く乳酸菌L-92」飲料摂取開始から25~28週間経過時点

25週目に、毎日計測しているピークフロー値が更に10上がり、基準値の90%以上を恒常的に出すようになった。だが、21週目に発作を起こしたので、メイン治療薬はもとの量に増量されてしまった(レルベア100→レルベア200)。

一日のどの時間帯に測っても、ピークフロー値が安定している。スーパーで軽い喘息症状が出る程度。レルベアがレルベア200に戻った後は、痰や咳の数も減少(といっても、痰は1日10回を軽く超えるくらい出る)
28週目に、ピークフロー値が初めて390に達した。

「守る働く乳酸菌L-92」飲料摂取開始から29~32週間経過時点

12月だったので30週目と32週目に風邪を引いたが、大きく悪化はせず。32週目に、2回に1回くらいの割合で、ピークフロー値が390~400に達するようになった。

30週目は胃腸の風邪だったのでまだマシだが、32週目の風邪は喉をやられた。風邪を引くと気管支喘息が悪化する恐れがあるため、ピークフローメーターでこまめに値を確認していたが、幸いにも、値は大きくは下がらなかった。
どちらの風邪も、1週間程で全快。月2回も風邪をひくところといい、全快に1週間かかるところといい、健常者にはまだ少し遠いと感じた。だが、去年は風邪の引き始めから全快まで2週間弱かかったことを踏まえると、改善はしているようだ。

「守る働く乳酸菌L-92」飲料摂取開始から33~36週間経過時点

寒さの為、摂取量が週2~3本へ減少。それでも喘息発作が起きなかった。
スーパーや図書館に入るとまだ軽い息切れを起こすものの、鬼門だったUNIQLOへ10分間入店できた。

1月に入り、真冬に毎日「守る働く乳酸菌L-92」を飲むのが難しくなってきた。日中はまだ暖かいので飲めるが、木枯らしに吹かれながら帰宅した夜・夜中には、流石に飲む気がしない。摂取量は週2~3本に減った。

だが、今まで体内に蓄積した分が功を奏しているのか、本数を減らしても発作は起きなかった。ピークフロー値も380~400で安定している。そして、かつて最も酷い喘息発作を起こしたUNIQLOに、10分だけだが入店することができた(!) 個人的には、快挙と言いたい(笑)

「守る働く乳酸菌L-92」飲料摂取開始から37~40週間経過時点

摂取量が週0~1本へ更に減少。発作は起きず。

寒過ぎて摂取量が更に減り、37週~39週はついに1本も「守る働く乳酸菌L-92」を飲まなかった。それでも喘息発作は1度も起きることなく、毎朝フルタイムの仕事に行きスーパーにも何とか入店できていたので、「守る働く乳酸菌L-92」なしでも耐えられる身体になったんだなあ、と感じた。

「守る働く乳酸菌L-92」飲料は、気管支喘息とハウスダストアレルギーに効果があったか

効果はあった。アレルギー体質を根本的に変えてはくれないようだが、ハウスダストアレルギー・ダニアレルギーのアレルギー症状を抑え、気管支喘息の発作を起こりにくくする効果があった。

「今後も飲み続けたいか」と訊かれたら、「Yes」と答える。というか、既に次の1ヶ月分を確保してある(笑)
「花粉症・ハウスダストアレルギーの人は飲むべきか」と訊かれたら、「毎日苦しみ続けるくらいなら、6~8週間試してみた方がいい」と答える。

「守る働く乳酸菌L-92」飲料は1本約110円で、ひと月あたり約3300円。効果が出るとその後も飲み続けることになるので、決して安い値段ではない。が、アレルギー症状がどれほど生活エリアを狭め、能力的には軽々できることをできなくさせるか身に染みて理解しているので、できない悔しさ・楽しめない悔しさを味わい続けるくらいなら、試してみてほしいと思う。

…これにより、私は2~3年間カルピス社のカモになることが確定したが、薬の量が減り、気管支喘息の治りが少しでも早まるなら、本望。

後日談。
「守る働く乳酸菌L-92」摂取開始から1年後に抗アレルギー剤(モンテルカスト)を服用せずに済むようになり、1年2ヶ月後に喘息のメイン治療薬(レルベア)が半量に減ったので、医療費が少し安く済むようになった。
2年が過ぎる頃には、スーパーや衣料品店にマスクなしで入っても咳さえ出なくなり、通院も3ヶ月に1度で済むようになった。だが、発症原因となった場所(㈱ワークスアプリケーションズの勤務エリア)には、未だN95マスクなしでは入室することさえできない。(マスクをつけていても入室するだけで咳が増える)

この快復速度が早いのか遅いのかは、他の患者さんと比較したことがないので分からない。だが個人的には、「守る働く乳酸菌L-92」飲料は快復の一助を担ってくれたと感じている。

「守る働く乳酸菌L-92」飲料を試す上での注意事項

アレルギーが気管支喘息の原因かどうかを確認する

気管支喘息の発作を誘発するものは、気候の変化や煙などの気管支への刺激から精神的なストレスまで、多岐に渡る。何が原因で喘息が増悪ぞうあくするのか、何が原因で発作が出るのかを医師の問診・検査等で確認してから、「守る働く乳酸菌 L-92」や「アレルケア」を試す方がいい。

ハウスダストアレルギー・ダニアレルギー・花粉症が気管支喘息を悪化させる因子ではない場合(=アトピー型気管支喘息ではない場合)、「守る働く乳酸菌L-92」を飲んでも効果が出なかった、という残念な結果になりかねない
飲料とはいえ1本100円以上するものなので、早まって無駄な時間やお金をかけない方がいい。

私の場合は、勤務先(ワークスアプリケーションズ社)にある5年間掃除されていない部屋で2年半勤務し、ハウスダストアレルギー・ダニアレルギーを発症して重症持続型の気管支喘息も発症したという病歴なので、

  • 血液検査で総IgE数値が正常の範囲を越えている
  • 血液検査でハウスダストとダニのアレルギーが陽性(IgE-RASTがどちらもクラス2)
  • 気候や心理状態に関わりなく、埃の多い部屋に入ると10~15分で動悸・息切れの喘息症状が出る

ことが既に確認されている。
また、呼吸器内科医である主治医から抗アレルギー剤を処方されている。

胃や腸の悪い時は摂取を控える

感染症胃腸炎で内科にかかった際に、アレルギー体質の方は腸が強くないこと、胃や腸の調子が良くないときは乳製品を控えた方が良いこと、をご指導頂いた。
残念ながら、胃腸の悪い時は、「守る働く乳酸菌」も摂取を控えた方が良さそうだ。

ちなみに、風邪の治療のため1週間ほど摂取を控えたが、その間喘息症状が出やすくなるようなことはなかった。1〜2週間程度ならL-92乳酸菌断食(?)をしても、問題はなさそう。

冬の夜は飲むのが少々辛い

春・夏・秋は特に支障なく飲み続けることができたが、冬に入り温かいものを飲む季節になると、「守る働く乳酸菌」を毎日続けることが格段に難しくなった。

乳酸菌の種類にもよるが、一般的に乳酸菌は温めると菌が死滅してしまうので、真冬でも常温で飲むしかない。だが、冬の夜に凍えながら帰宅した後では、常温とはいえ、さすがに200mlの飲料を飲む気がしなかった。

「守る働く乳酸菌」が200mlから100mlに変わってから冬でも続けやすくはなったが、それでも飲むのが1日おきになってしまうなど、夏と同じようにはいかなかった。

冬だけは「アレルケア(錠剤)」等別のL-92乳酸菌食品に切り替えるなど、続けにくい季節の代替案は用意しておいた方がよさそう。

追記:L-92乳酸菌ポーションタイプについて

近年L-92乳酸菌シリーズに、ポーションタイプのものが発売された。珈琲フレッシュをやや大きくしたようなプラスチック容器に、半透明の白っぽい液体が入っており、よく振ってから水や牛乳で割って飲む、とのこと。

「守る働くL-92乳酸菌」のポーションタイプを撮影した写真。赤いパッケージのポーションが画面全体にたくさん写っている。

↑ L-92乳酸菌のポーションタイプ。珈琲フレッシュを一回り大きくしたような容器に入っている。

100ml飲料のL-92乳酸菌飲料を何本も頼むより明らかに軽そう(=宅配便のお兄さんにも負担が少なそう)だったので、試しに取り寄せて水で割って飲んでみたところ、大変私好みの味で美味しかったので、思わず追記欄を設けた(笑)

味は濃いめのカルピスのような感じで、とろみはついておらず、飲み口もさらっとしている。100mlのL-92乳酸菌にもちろん味は似ているのだが、濃さを自分で調節できるせいか、100ml飲料のものより美味しく感じる。

お湯で割ることはできないようだが、割る水の量を自由に調整できるので、寒い冬により飲みやすくなるのもありがたい。炭酸水にはまず間違いなく合いそうな味なので、夏になったら是非炭酸割りも試してみたいと思っている。

「こまったさんのサンドイッチ (おはなしりょうりきょうしつ 7)」(寺村輝夫 著) あらすじと読書感想文

「こまったさんのサンドイッチ」の説明

「こまったさんのサンドイッチ」のあらすじ

※前半部分のみ記載

こまったさんは小さな花屋さんを営んでいます。
明日はお店がおやすみなので、ご主人のヤマさんが「明日山へ行こう」と提案し、こまったさんも大賛成。帽子を買いに行き、お店を2件回ってようやくいい帽子が見つかったので、今度はお弁当の支度をしようと思いましたが、夕飯の時間と被ってしまいます。こまったさんの飼っている九官鳥のムノ君が「ベントウ、サンドイッチガ、イイ」と鳴くので、前夜は食パンとかた茹で卵だけを準備して、眠りに就くことにしました。

翌朝目が覚めると、なんと出発の10分前。ヤマさんはすっかり支度を終えて待っています。慌ててサンドイッチを作ろうとしたこまったさんでしたが、ヤマさんが「ん」の付く不思議な言葉ばかり口走るので、怒ってサンドイッチ作りをやめてしまいました。

こまったさんが急いで身支度をしていると、ヤマさんはもう玄関から出ようとします。慌てて空っぽのナップサックを背負い、買ったばかりの帽子をかぶってこまったさんが玄関のドアを開けると、眩しい太陽と一面の野原が目の前に広がっていました。遠くに山が連なり、山のふもとに緑の森が見えますが、呼べどもヤマさんは見つかりません。こまったさんは森に行ってみることにしました。

森に行く途中、こまったさんは1匹の犬と出会います。犬は「パンをあげるから、連れていってください」と食パンの塊を取り出しました。嬉しくなったこまったさんは犬を一緒に連れていくことにしました。そしてしばらくいくと、今度は1匹の猿と出会います。こまったさんは猿の持っていた細長いフランスパンと引き換えに、猿も一緒に連れていくことにしました。

こまったさんが犬と猿を連れて歩いていると、キジならぬ九官鳥のムノ君が慌てた様子で飛んできました。こまったさんが一緒においでと呼びかけると、ムノ君は「ダメ、ダメ、イクト、タベラレチャウ」と鳴きます。こまったさんには何のことか分からず、そのまま森の中へ進んでしまいました。

森の中を少し行くと、木の枝から不思議な札がぶら下がっていました。1枚目と2枚目をやり過ごしましたが、3枚目の札には「したくは、いつも、そろっている。早く食べたい。いらっしゃい」の文字が。ムノ君が「アイテハ、コマッタサンヲ、タベタインダ」と鳴いた時には時既に遅く、こまったさんはあっという間に青鬼にさらわれてしまいます…。

こまったさんシリーズについて

ストーリーにお料理やレシピがたくさん登場し、主人公の「こまったさん」がいろいろと困りながらも料理を作っていくお話です。

「こまったさんのスパゲティ」「こまったさんのハンバーグ」など、料理の種類ごとに10冊出版されており、「こまったさんのサンドイッチ」は、こまったさんシリーズの第7作目です。1987年2月初版。

「こまったさんのスパゲティ」についてはこちらへ
「こまったさんのカレーライス」についてはこちらへ
「こまったさんのハンバーグ」についてはこちらへ
「こまったさんのオムレツ」についてはこちらへ
「こまったさんのサラダ」についてはこちらへ
「こまったさんのサンドイッチ」についてはこちらへ
「こまったさんのコロッケ」についてはこちらへ

「こまったさんのサンドイッチ」の読書感想文

※ネタばれを含みます。問題ない方のみ続きをお読みください。

こまったさんが誘拐され食べられてしまいそうになるので、こまったさん史上最もスリリングで、ドキドキしました。

桃太郎の鬼退治と「注文の多い料理店」(宮沢賢治 著)とこまったさんを足して3で割ったようなストーリーでしたが、キジ(?)はともかく、犬・猿が助けてくれずに逃げちゃったのは、きび団子をあげずにパンを貰っちゃったからかもしれませんね。
鬼退治のためとはいえ、せっかく美味しそうに出来たフランスパンサンドイッチを食べれない状態にしちゃうのは…勿体なかったです(笑) 鬼夫婦がかぶりつきたくなる気持ちがよく分かるほど、大きくて美味しそうなサンドイッチでした。

「おいしい人間の食べ方」のテレビ番組は、正直見たくありません(笑)が、普段人間に食べられてしまう鶏や豚からすると、こんな気持ちなのかなあ、と思いました。自分の仲間が切られて肉の塊になっているのを見るのは、どんな生き物にとっても、酷なことですものね。食べないと生きられないという人間も他の生き物も、罪な生き物だなと感じました。

スカリーノ社の木製つみき(玉の道 基本セット)で、楽しくビー玉遊び

親戚の4歳の男の子に、ビー玉が通れる溝のついた積み木をプレゼントしたら、男の子だけでなくその子のお父様まで、夢中になって遊んでくれました(笑)

発達障害(自閉症スペクトラム)の7歳の女の子も嫌がらずビー玉を何度も転がしてくれたので、質の良さもさることながら、子どもの可能性を優しく開いてくれる積み木だと感じています。


スカリーノ「玉の道基本セット」積み木で遊んだ感想

私がプレゼント用に、Scalino社のつみき(玉の道 基本セット)を購入したのは、高級な品揃えで有名な百貨店のおもちゃ売り場のフロアでした。

店頭の目立つところに、Scalinoの木製のつみきが組み立てて置かれており、来店したお子さんが、自由に遊べるようになっていました。Scalinoのつみきは組み立てた後、付属の小さいビー玉をつみきの上に置くと、コンコンコンッと耳触りの良い音を立てて、ビー玉が下まで滑り降りてくる仕組みになっています。その様子が普通のつみきと違って刺激的なのか、子ども達に大人気でした。私自身も、ビー玉が滑り降りてくる時の音が何とも言えず好きで、ちょっとお高かったのですが、こちらのつみきを購入することにしました。

木箱に入っているscalino社の積み木玉の道基本セットを、真上から撮影した写真。木箱は畳の上に置かれており、つみきには赤と青の小さいビー玉が2つ乗っている。

プレゼントした後4歳の男の子と一緒につみきで遊んでみると、貰った男の子は当初「積み木を上手に組み立てたら、ビー玉を転がして遊べる」というScalinoつみきの魅力に気がつかず、単なる積み木として遊んでいました(笑)

普通のつみきと違いつみきの中央に溝が走っているので、溝を線路に見立てて、電車遊びをすることが多かったです。大小さまざまな形の積み木が用意されているので、単なる積み木としても、割と楽しく遊べました。

木箱に入っているscalino社の積み木玉の道基本セットを、斜め上から撮影した写真。木箱は畳の上に置かれており、つみきには赤と青の小さいビー玉が2つ乗っている。

その後、大人が混じって積み木を高く組み上げ、まず大人がビー玉を転がして遊ぶようになりました。そうするうちに、4歳の男の子は積み木を縦一列に長ーく並べたり、積み木を組み上げてビー玉を転がして遊ぶ、という楽しみ方をするようになりました。ただ、高さ15cmを越える積み木はまだ1人では上手に組むことができず、高さ3段くらいまでのものを組み上げていたのが印象的でした。

大人は、60代女性1人・30代男性2人がトライして、3人ともビー玉がスムーズに上から下まで転がる大きな積み木を組み上げることができたので、大人であれば誰でもビー玉の転がる高い積み木を組めると思います。
60代女性はかなり手先の不器用な親族ですが、30代男性より少し時間がかかる程度で組み上げることが出来たので、購入者は一安心しました。

↓ 近くで見るとこんな感じ。どのつみきも角が取られており、幼い子供がぶつかっても怪我をしにくい。
木箱に入っているscalino社の積み木玉の道基本セットを、つみきに接近して撮影した写真。白っぽい木製つみきの木目がよく見えている。つみきには赤と青の小さいビー玉が2つ乗っている。

発達障害のある女の子も遊んでくれた

また、親族に1人発達障害のある7才の女の子がいるのですが、この女の子も積み木で遊ぶことが出来たのが嬉しかったです。発達障害のお子さんは音や質感に敏感で、こだわりが強い傾向があります。この女の子も騒音や音の多いものが苦手で、嫌いなものには見向きもせず、酷い場合はパニックを起こして泣いてしまうので、「嫌わないでくれるといいな…」と願いながら、つみきを差し出してみました。

女の子は、Scalinoの積み木を組み立てることには一切興味を示しませんでした(別のメーカーから発売されたカラフルな正方形の積み木ではよく遊んでいたので、彼女なりの理由があるようです)。 が、積み木を組み立てる時の音や、積み木が盛大に崩れる音、ビー玉がつみきの上をコンコンと転がる音は不快ではないらしく、4才の男の子がScalino積み木で遊ぶすぐそばで、お人形遊びにいそしんでいました。

女の子が積み木の音や存在に慣れた頃、女の子の好みそうな赤色のビー玉1つを手に握らせ、「ここにビー玉を置いてみてくれる?」と指差しながらビー玉をスタート地点を示すと、積み木を壊したりすることなく、ビー玉をちょんと乗せてくれました。が、ビー玉が転がっていくことには興味がないようで(笑)、ビー玉のその後は男の子がきゃっきゃと喜びながら見守ってくれました。
以来、発達障害の女の子がビー玉の転がし役、男の子が回収役になり、今でもよく遊んでくれています。

Scalino社積み木の注意事項

子どもがビー玉を喉に詰まらせないよう注意

9才の女の子がアーモンドを喉に詰まらせて亡くなった、という大変気の毒な新聞記事を読んだことがあります。このサイズのビー玉であれば、幼児から小学生までうっかり呑みこんだ際に、喉に詰まらせて窒息してしまう可能性がゼロではありません。

つみきにはビー玉が6つ付属していますが、普段使うのは1つにしておき、子どもが誤って飲み込んだりしないよう、常に注意してあげて下さい。

子どもが誤って飲み込んでしまった場合は、背中を強く叩くか、子どもを逆さの宙づりにして鳩尾みぞおちを強く押さえると、吐き出しやすいそうです。

2人以上で遊ぶと、積み木が足りない

1人遊びなら基本セットのつみきの量で充分ですが、2人で別々の積み木を組んで遊ぼうとすると取り合いになり、積み木の数が足りなくなります。また、大人がビー玉が上から下まで流れるような大掛かりな積み木を組もうとすると、溝あり積み木は余っているのに土台用の溝なし積み木が足りなくなることもありました。

スカリーノ社から追加購入用の積み木部品も販売されていますが、中央に溝のついていないごく普通の木の積み木を混ぜて遊んでも、何の問題ありません。また、スーパーのかまぼこ板を綺麗に洗ってとっておき、スカリーノの積み木に混ぜて使うこともありました。
こうすると、2~3人(=大人2人+子ども1人)でも特に不足を感じることなく、遊ぶことが出来ます。

「こまったさんのコロッケ (おはなしりょうりきょうしつ 8)」(寺村輝夫 著) あらすじと読書感想文

「こまったさんのコロッケ」の説明

「こまったさんのコロッケ」のあらすじ

※前半部分のみ記載

こまったさんは小さな花屋さんを営んでいます。
ある日、雑誌社のカメラマンがお店の写真を撮らせて下さいと、こまったさんのお店にやってきました。差し出された名刺には、「まつの こうすけ」という名前が書かれています。困りながらもお花を抱えてポーズをとったこまったさんでしたが、まつのさんのフラッシュが光った瞬間、うっかり目をつぶってしまいました。こまったさんが目を開くと、あたりはお店ではなく野原になっており、まつのさんはスポーツシャツを着たクマになっていました。

クマになったまつのさんがホイッスルを吹くと、サッカーのユニフォームを着たフライパンやお鍋やフォークが集まってきました。どうやら人間チームとサッカーの試合をするようです。人間チームには、ヤマさんをはじめ駅前商店街の人が集まっていました。

試合が始まると、ヤマさんがこまったさんの守るゴール目がけてシュートを打ってきました。何とかボールを受け止めたこまったさんでしたが、サッカーボールだと思っていたものはなんと大きすぎるじゃがいもでした。その後次々にシュートが放たれますが、どのサッカーボールもタマネギやたまごなのです。

その試合は運良く雪が降ってきて中止になりましたが、雪だと思ったものはパン粉の雪で、ますます激しく降るのでこまったさん自身が人間コロッケになってしまいそうでした。その姿を見たクマのまつのさんは、またこまったさんに向かってカメラを構えてフラッシュを焚くと、こまったさんは今度は見知らぬ山小屋の台所にいました…。

こまったさんシリーズについて

ストーリーにお料理やレシピがたくさん登場し、主人公の「こまったさん」がいろいろと困りながらも料理を作っていくお話です。

「こまったさんのスパゲティ」や「こまったさんのオムレツ」など、料理の種類ごとに10冊出版されており、「こまったさんのコロッケ」は、こまったさんシリーズの第8作目です。1987年12月初版。

「こまったさんのスパゲティ」についてはこちらへ
「こまったさんのカレーライス」についてはこちらへ
「こまったさんのハンバーグ」についてはこちらへ
「こまったさんのオムレツ」についてはこちらへ
「こまったさんのサラダ」についてはこちらへ
「こまったさんのサンドイッチ」についてはこちらへ
「こまったさんのコロッケ」についてはこちらへ

「こまったさんのコロッケ」の読書感想文

※ネタばれを含みます。問題ない方のみ続きをお読みください。

文章にもイラストにもサッカーが出てくるので、サッカー好きの男の子が喜びそうだなと感じました。こまったさんのお店やの屋根や山小屋のカーテンなどに、サッカーボールの五角形のモチーフが描かれていたりして、楽しかったです。

ですが、こまったさんが怒りにまかせてジャガイモを蹴ったり、ムノ君に向かってジャガイモをぶつけようとする場面があるので、初めて読んだ時はいつもの気の弱いこまったさんではない気がして、少し怖かったです。

コロッケの中身は、茹でたじゃがいもかカニクリームの2択くらいしかないと思っていたのですが(笑)、この絵本を読んで、コロッケは意外とバリエーションが豊富な料理なんだな、と気付かされました。
カレー粉入りやヒジキ入り、鶏肉とマッシュルームなどさまざまなバリエーションが付けられることが分かっていれば、たくさん作って何日かに分けて食べることも出来るので、コロッケという手間のかかる揚げ物料理を作る気力も湧いてこようというものです(笑)

年配の方にも出せるあっさり味のコロッケだと嬉しいので、ヒジキと鶏肉あたりを一度試してみたいと思いました。

高知県が舞台の小説「県庁おもてなし課」(有川浩 著) あらすじと読書感想文

高知県庁に実在する「おもてなし課」という部署を軸に繰り広げられる、観光で県に人を呼び込みたいが「民間」の感覚がまるで欠けている残念な公務員と、その周辺の方々が奮闘するお話。

高知県出身の作家有川浩ありかわこうさんが実際に観光特使の一環として書かれた作品で、登場人物が8割方土佐弁を喋り、高知の魅力満載だった。

「県庁おもてなし課」について

「県庁おもてなし課」のあらすじ

※物語のさわりの部分のみを記載

高知において市立動物園の移転計画と県立動物園の新設計画が持ち上がった際、「パンダを誘致すべきだ!」と熱心に主張する1人の県庁職員がいた。神戸の王子動物園がパンダを誘致する10年も前のことである。だが、当時においては斬新過ぎるアイデアをあまりに熱心に説き回ったたため、その職員は煙たがられ、閑職に追いやられた末、県庁を去った。

それから20数年後、高知県庁におもてなし課という部署が発足した。県の観光を盛りたてることをコンセプトとした部署だったが、所属する人員は公務員で独創性に乏しく、他の自治体が既に導入している観光特使制度を高知県にも取り入れて、高知県出身の著名人を観光特使に任命し、特使名刺を配って貰って県をPRして貰おうと考える。

県著名人へのアプローチが進む中、観光特使の1人である吉門喬介よしかどきょうすけという作家から、観光特使について電話で説明して欲しい旨を伝えられる。おもてなし課で最も若い掛水が電話を掛けたところ、だるそうな声で観光特使制度について的確すぎるダメ出しを受け、掛水はショックを受ける。その後も次々に斬新な提案とダメ出しを電話で繰り返してくる吉門と、2ヶ月近く経っても観光名刺すら特使の手元に届けていないおもてなし課との差に、掛水は1人焦りを募らせていた。

観光名刺に有効期限を設けた所為で期限が近付くと配りづらくなる、というミスが公に露呈した頃、掛水は自発的に吉門に電話を掛ける。吉門にアドバイス求めたところ「公務員じゃなく、フットワークが軽く、学歴がなくていいから気が効く、出来れば若い女」をスタッフとして雇い入れろと言われ、同時に「『パンダ誘致論』を調べてみたら」と水を向けられた。

掛水が総務部県政情報課でパンダ誘致論の情報を求めたところ、総務部契約社員の明神多紀と知り合う。明るくしっかり者で仕事の段取りも良い多紀は、わずか1日弱でパンダ誘致論と県庁を去った職員清遠和政きよとおかずまさの連絡先を調べ上げ、掛水を驚かせる。
総務部での多紀の雇用契約がもうすぐ切れてしまうことを知った掛水は、多紀を県庁おもてなし課に招き入れた。掛水と多紀によって、パンダ誘致論者清遠の攻略が開始されるが…。

「県庁おもてなし課」の読書感想文

※ネタばれを含みます。問題ない方のみ続きをお読みください。

土佐に縁の深い親族が多く、風光明媚で美味いもの盛りだくさんな高知県は、故郷に次いでお気に入りの県だ。有川浩さん作の高知が舞台になった小説があるとのことで、この書籍を読み始めた。

どの登場人物もよく喋るのだが、その台詞が土佐弁ばかりで心がときめいた。土佐弁がこれほど語尾・語中に「~にゃ」「~き」と付く方言だとは思ってもみなかった(笑) 実際の高知県にも何度か足を踏み入れたことはあるが、土佐弁を十分聞く機会はあまりなかったので、読んでいて楽しかった。「竜馬がゆく」(司馬遼太郎 著)で坂本竜馬が土佐弁を喋ってくれるが、これほど多くはない。

土佐の観光名所についてはあまり紙面を割かれていないが、それでも高知市内の日曜市や吾川スカイパークでのパラグライダー体験や全国的に知名度の高い馬路村を訪れる描写があり、どちらも新たな視線から高知を発見させて頂いた。

有川浩さんの作品を読むのは実はこの本が初めてで、「ライトノベル作家」を自称されていることもあり用心しながら読んだつもりだったが、用心の度合いを軽く超えるレベルで、ラブコメ色が強かった。砂吐きそうなくらい甘い恋愛が2組も出てくる。甘々の恋愛ものは少し苦手なので、もう少し恋愛色薄いと有難かった(笑) ハッピーエンドの恋愛ものが好きな方には、十分満足いただけるのではないかと思う。

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「こまったさんのカレーライス (おはなしりょうりきょうしつ 2)」(寺村輝夫 著) あらすじと読書感想文

「こまったさんのカレーライス」の説明

「こまったさんのカレーライス」のあらすじ

こまったさんは小さな花屋さんを営んでいます。
今日はお花屋さんが暇だったので、お店はご主人のヤマさんにお任せして、こまったさんは一足早くおうちに帰ってきました。そこへヤマさんから「友達を2人連れて帰るから、ご馳走を作って待っていておくれ」と連絡が入ります。

お客様をもてなすため、こまったさんはハンバーグから麻婆豆腐までいろいろなご馳走を思案してみましたが、献立がなかなか決まりません。仕方なくお買い物に行ってから決めようとすると、こまったさんが飼っている九官鳥のムノ君が「カレー、カレー」と鳴きました。「カレーなんて、そんな簡単なもの作らないわ」と一度ははねつけたこまったさんでしたが、スーパーから戻ってみると、カレーの材料しか買ってきていませんでした(笑)

まずはタマネギのみじん切りから…とこまったさんが取りかかろうとすると、タマネギの細かい粒が目に入って涙が出てしまいます。ムノ君の助言で水中めがねをつけて、改めてタマネギを刻むと、切った端からタマネギがさかなやエビやイカになってしまい、あたりを泳ぎ始めます。気付けばそこは、まるで海の底のようでした。

こまったさんも切るのをやめてさかなたちと一緒にあたりを泳ぎますが、カレーの材料にと捕まえようとした海老にもまぐろにもまんまと逃げられてしまい、イカに至っては真っ黒な墨を顔に容赦なく浴びせられてしまい…。

こまったさんシリーズについて

ストーリーにお料理やレシピがたくさん登場し、主人公の「こまったさん」がいろいろと困りながらも料理を作っていくお話です。

「こまったさんのスパゲティ」「こまったさんのオムレツ」など、料理の種類ごとに10冊出版されています。「こまったさんのカレー」は、こまったさんシリーズの第2作目です。

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「こまったさんのカレーライス」の読書感想文

※ネタばれを含みます。問題ない方のみ続きをお読みください。

ごはんを炊き忘れるというのが、いかにもこまったさんらしいなと思いました(笑) ごはんの炊き忘れは、カレーライスを作る方なら誰もが一度はやらかす失敗の1つですね。

そして、メインで登場するカレーより、イカとトマトのカレーバター炒めが美味しそうだなあと思いました(笑) イカなどの魚介類はあっさりとした淡白な味という印象があるので、自分が炒める際もいつも醤油やバター止まりで、カレーの様な強い調味料は合わせたことがなかったのですが、少しピリ辛のイカは夏の夜のビールのアテにとても良さそうでした。新鮮なイカが手に入った時に、一度試しに作ってみたいと思っています。

「こまったさんのサラダ (おはなしりょうりきょうしつ 5)」(寺村輝夫 著) あらすじと読書感想文

サラダの奥深さが垣間見える本です。

「こまったさんのサラダ」の説明

あらすじ

こまったさんのおうちは小さなお花屋さんを営んでいます。
今日はお花屋さんが大忙しで、夕方近くには殆どお花が売れてしまったので、ご主人のヤマさんはいそいそと遊びに出かけてしまいました。「うちにかえって、おいしいものつくろう」そう言いながらこまったさんが1人でいつもより早めの店仕舞いをしていると、店の中から奇妙な笑い声が聞こえてきます。「きょうのおかずはサラダだけ」そう言いながら姿を現したのは、真っ黒い三角帽子をかぶった魔女でした。

魔女は歌いながらこまったさんのお店の箒で花をつついて回ると、花は次々に野菜や果物へと姿を変えてしまいます。魔女は箒を失くして困っていましたが、こまったさんのお店で無事に見つかったので、箒を頂いて行く代わりにとサラダの材料になる野菜と果物をプレゼントしてくれたのでした。魔女が箒をもう一振りすると、お店の外にかぼちゃの馬車ならぬじゃがいもの馬車が1台停まっていました。

魔女にせき立てられて野菜を馬車に積み込むと、こまったさんの飼っている九官鳥のムノ君も、何故か馬車の天井に止まっています。2人と1羽でじゃがいもの敷き詰められたでこぼこ道を走ると、森の中の小屋へ辿り着きました。小屋の入口にいた雌鶏から、生みたてなのにかたゆでという不思議なたまごを2つ貰い、小屋にあったサラダ油と酢も使って、手作りのマヨネーズを作り始めます…。

歌いながらマヨネーズを作り終えると、こまったさん達は手作りマヨネーズと一緒に馬車の中に戻っていました。今度は馬車の向こうから角を振り立てて怒った牛がやってきます。牛は怒っているようで馬車を避けようともしません。「こまったわ。ぶつかっちゃう」 こまったさんは困りますが、目の前の牛はますます大きくなって…。

こまったさんシリーズについて

ストーリーにお料理やレシピがたくさん登場し、主人公の「こまったさん」がいろいろと困りながらも料理を作っていくお話です。

「こまったさんのスパゲティ」「こまったさんのオムレツ」など、料理の種類ごとに10冊くらい出版されています。「こまったさんのサラダ」は、こまったさんシリーズの第5作目です。

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「こまったさんのサラダ」の読書感想文

※ネタばれを含みます。問題ない方のみ続きをお読みください。

物語の中では夕方5時を過ぎると魔法が解けてしまい、集めた材料も作ったサラダもドレッシングも、全てあとかたもなく消えてしまうのが残念でした。魔女とこまったさんはサラダを手間暇かけて丁寧に作り上げていたので、あれだけきちんと手作りしたものが、一口も食べずに消えてしまうので、ちょっとしょんぼりしています。(食い意地張っててすみません…)

ですが、この本に出てくるサラダを見ていると、「手間暇かけて作ったサラダは、栄養たっぷりの立派なおかずになり得る」という風に、サラダに対するイメージが変わってきました。サラダと言えば、「ダイエット用の低カロリーなおかず」「すぐ作れる手軽な副菜」という印象でしたが、手間をかけようと思うと、こんなにもかけられるものなのか、と感じます。
フレンチドレッシングが家庭の材料で作れてしまうという事実さえ、この本を読んで初めて知りました。

マヨネーズは未だに手作りしようとは思いませんが(笑)、普段10分程度で作っていたサラダを30分程度時間をかけて作ってみよう、という気にはなりました。この本でサラダ作りのコツを教われたので、きっと今までとは一味違う美味しさのサラダが作れるに違いありません。

「はらぺこあおむし」(エリック=カール 著) あらすじと読書感想文

愛嬌のあるストーリーと、のびのびと描かれたイラストが大好きな絵本の1つ。

「はらぺこあおむし」のあらすじ

大きな畑に生まれおちたばかりの小さなあおむしは、とてもお腹がすいているので、大きくなるために毎日いろんなものを食べてみます。最初はりんご1つ、次の日は梨2つから始まり、途中でちょっと失敗をしでかしながらも、少しずつ大きくなって…。

「はらぺこあおむし」の説明

「はらぺこあおむし」はアメリカの絵本作家エリック・カールさんが作った絵本で、全世界で累計3,000万部を売り上げて大ベストセラーとなった、世界的に有名な絵本。(原題は「The Very Hungry Caterpillar」(和訳:ものすごくおなかがすいているあおむし))

絵本を開くと、果物や葉っぱなどあおむしが食べたものが、1日分ずつイラストで大きく色あざやかに描かれている。カラフルでおいしそうな食べ物のイラストの真ん中には、あおむしが通った小さな穴が開けられており、お子さんはページに触れながら楽しむこともできる。
有名な絵本なので、お子さんが塗り絵を楽しめるようイラストに色が塗られていない絵本や、文章が英語で書かれている絵本など、様々なバージョンが出版されている。

対象年齢は0歳~6歳くらい
絵本の大きさはノートパソコンくらいで、ハードカバーで作られた丈夫な絵本なので、お子さんが引っ張ったり汚したりしても壊れにくい。

「はらぺこあおむし」の読書感想文

幼い頃はただ楽しく読ませて頂いたが、大人になって改めて読み返すと、不思議な本だなと思う。

あおむしという、どちらかというと人(特に女性)に嫌われやすい昆虫を主人公に据えているのに、世界中の子どもとおかあさんに30年以上愛され続けている絵本だからだ。

昆虫がもつ気持ち悪さを一切感じさせない色あざやかなイラストは、あおむしのイメージアップと絵本の普及に一役買っているだろう。だが、それ以上に、万人から受け入れられている理由は、シンプルすぎると言えるほどシンプルなストーリーと、主人公の愛らしいキャラクターではないかと思う。

「はらぺこあおむし」はページにして20ページ弱しかない。本屋で立ち読みするのに10分かからず、一読しただけでストーリーを覚えてしまい、すぐ人に話すことが出来るほどストーリーが覚えやすい。

そのストーリーに登場するあおむしは、最初は生まれたてでごく小さいが、ちょっとした失敗を重ねながらも、最後には大きく成長する。その「ちょっとした失敗」がとても愛らしく愛嬌があり、主人公の魅力を跳ねあげているとも言えるほどで、忘れられない記憶となって読む人の心の片隅に住み続ける。

日本の絵本だと「11ぴきのねこ」というよく知られた絵本も、主人公の猫達に愛嬌と面白みがあって素晴らしい絵本の1つだが、「11ぴきのねこ」は文字数が多いので、2歳~3歳以上のお子さんでないと十分に楽しめない気がしている。
もう少し幼い、0歳~2歳くらいの子に読み聞かせる本なら、こちらの「はらぺこあおむし」の方をおすすめしたい。

短い絵本なので、書店に立ち寄るやる気さえあれば、すぐに読める。気が向かれた方は一度手に取って眺めてみて頂けると、気分が少し晴れ、明るい気持ちになることが出来ると思う。

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「こまったさんのハンバーグ (おはなしりょうりきょうしつ 3)」(寺村輝夫 著) あらすじと読書感想文

こまったさんシリーズからもう1冊。今度はハンバーグです。

「こまったさんのハンバーグ」のあらすじ

こまったさんのおうちは小さな花屋さんを営んでいます。

いつもの通り、花屋さんで店番をしていたこまったさんは、真っ白なスーツをきた男性に1枚の地図を渡され、バラとカーネーションの花束をこの場所に届けて欲しいと頼まれます。

ですが、届け先の地図には、あるはずのない道が描かれていました。
こまったさんは不思議に思いながらも、花束を積んで自転車に乗り、地図を見ながら辿ってみると、そこには見たこともない街が広がっており、あるはずのない道が出来ていました。牛のパン屋さんや豚の珈琲屋さんなどが立ち並び、まるで動物の街です。

怖がりつつも届け先の家に着いてみると、先程花屋さんに来た真っ白なスーツの男性は、なんとキツネになってしまっていました。
こまったさんが飼っている九官鳥のムノ君が何故かこの家で出迎えてくれ、奥のキッチンにはコックスーツを着たクマやヤギやリスが、いそいそと働いていました。そしてこまったさんの届けたバラとカーネーションを、動物達はばりばりとちぎり始めてしまいます。

驚くこまったさんをよそに、動物たちは歌いながら、不思議な料理を作り始めます……。

こまったさんシリーズについて

ストーリーにお料理やレシピがたくさん登場し、主人公の「こまったさん」がいろいろと困りながらも料理を作っていくお話です。

「こまったさんのスパゲティ」「こまったさんのオムレツ」など、料理の種類ごとに10冊出版されており、「こまったさんのハンバーグ」は、こまったさんシリーズの第3作目です。

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「こまったさんのハンバーグ」の読書感想文

※ストーリーのネタばれを含みます。問題ない方のみ続きをお読みください。

ちぎられたバラとカーネーションは、最終的にはハンバーグとサラダに化けるんですが、挿絵に載っているこのハンバーグが、綺麗なピンク色をしていておいしそうなんです(笑)
バラとカーネーションのハンバーグなんて、綺麗で夢のあるお話ですね。

こまったさんシリーズはどれも挿絵が秀逸で、作られたごはんがとてもおいしそうに見えます。
色鉛筆(メイン画材)と水彩絵具(サブ画材)で描かれたと思われるような素朴な絵柄ですが、ハンバーグの材料になるひき肉のピンク色が色あざやかでおいしそうで、読んで、イラストを眺めて、また読んで、…と絵と文の両方からこの本を味わっていた記憶があります。
どのページも文章にぴったり合う絵が添えられているので、読んでいる子どもが絵と文とを交互に行き来しても、違和感ありませんでした。

ハンバーグの作り方も、歌やイラストをふんだんに交えながら、可愛らしくも正しい作り方で記載されているように思います。
材料をボウルで混ぜる時も、牛乳と食パンを入れるところから描かれるので、ひき肉の生臭さを食パンに移さないという手順が守られています。生卵と塩コショウまで動物たちが歌う歌に書かれているので、入れ忘れもありません。
ハンバーグの焼き方も、強火で焼き目をつけたあと弱火にしており、折角の肉汁がハンバーグの外に逃げないよう、配慮されています。

この絵本に書かれている作り方を守るだけで、ハンバーグは作れてしまいそうでした。実際、実家の母はこの絵本のレシピを元に、料理を作っていたそうです。

ただ、絵本ではバラとカーネーションが合びき肉の役割を果たしているので、実際に作る時バラとカーネーションの部分だけは、牛豚合びき肉400gに置き換えてあげて下さい。

牛と豚の割合は牛8:豚2が一般的だそうですが、我が家では大抵余っているひき肉を混ぜてしまうので、牛2:豚8になったり、牛6:豚3:鶏1になったりします(笑)
割合はご家庭の味に応じて、で大丈夫だと思います。