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製造終了になったカラーインク「LUMA」

今はもう店で見かけることもなくなった、「LUMAるま」という名のカラーインクについて。

LUMAのカラーインク瓶を正面から撮影した写真。「luma」という製品名がはっきりと読め、白地に緑のラベルがボトルに貼られている。

↑ カラーインク「LUMA」

カラーインクLUMAの使い方

普段通り、パレットと筆と水彩用の紙を用意する。

  1. まず使う前に、LUMAるまのインク瓶をよく振る! この点はドクターマーチン等の他のカラーインクと同様。
  2. 瓶の蓋をねじって開くと、蓋の裏がスポイトになっているので、インク液を適量吸い取る。(蓋はゴム製)
  3. スポイトに取ったインク液を、パレット等に1滴垂らす。
    LUMAもインク液が非常に濃いので、1滴垂らせば結構もつ
    カラーインク「LUMA」の006番「AQUA MARINE」を、パレットに1滴だけ落とし、撮影した写真。パレットの上に黒っぽい液体が乗っているが、色がはっきりとは分からない。

    ↑ LUMAの006番「AQUA MARINE」をパレットに1滴落とすとこんな感じ。インク液が濃すぎて、色が判別できない

  4. パレットのインク液に、水を数滴落として濃さを調整する
    パレットの上で、カラーインク「LUMA」を水で薄め、撮影した写真。透明な青緑色のインク液が写っている。

    ↑ LUMAのインク1滴に水を数滴垂らすとこんな感じ。ようやく色が判別できるようになった(笑)

LUMAのカラーインクもインク液が相当濃いので、普通の水彩絵具と同じ調子でたっぷりとパレットに出してしまうと、後でえらい目に遭う(笑) まずは1滴落としてみる程度でok。

カラーインクLUMAの外観・特徴

インク瓶は円柱状のガラス製で、少し重さを感じる。瓶の蓋にはゴム製でスポイト付き。
パレットや紙の上であれば、LUMAのインク同士も混ぜて構わないし、LUMAと他の水彩絵具や別のメーカーのカラーインクと混ぜて使っても何ら問題なかった。
(というか、私のパレットはどのメーカーのカラーインク&水彩絵具も10年以上同居しており、どの絵具同士を混ぜても問題が起きたことは殆どないので、水彩系絵具同士なら恐らく気軽に混ぜ合わせて大丈夫だと思う)

カラーインク「LUMA」のボトル瓶の側面を撮影した写真。「29.5ml」と表記されている。

↑ ボトル側面に筆記具のイラストが描かれており、筆のほかにペンなどでも利用可能であることが分かる

なお、インク液の量は、29.5mlで、同じくカラーインクであるドクターマーチンのほぼ倍量(ドクターマーチンは15ml)
LUMAは当時確か800円で販売されていたと思うので、分量を考えるとLUMAの方がお得。

製造された色数は、把握していないので不明。少なくとも20色程度、違う色が並んでいるのを見たことはある。

カラーインク「LUMA」の蓋を開いて撮影した写真。蓋の裏側についているスポイトが、写真の中央に写っている。

↑ スポイトは、ドクターマーチンカラーインクとよく似ている。

カラーインクLUMAの注意事項

ボトル瓶に書かれている注意事項が非常に短く、分かりやすいので、記載をそのまま引用する。



A wide range of brilliant, intermixable colors.
To dilute use clean water. Shake well.

あざやかで多彩で、混ぜ合わせることもできる色彩。
薄めるには、綺麗な水を使うこと。よく振ること。


(和訳は、ブログ管理人作)

また、ボトルには書かれていなかったが、カラーインクなので直射日光に弱いのではないかと思う。日の光が多少当たる程度であれば問題ないが、何日も強い光に曝されると、色が徐々に薄くなり、色が飛んでしまう。

カラーインク「LUMA」のボトル側面に書かれている、使用上の注意事項を撮影した写真。英語を含む複数の言語を並べて表記されている。

↑ 注意事項は、英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語の4言語で表記されていた

インク液を保存する際は棚や引き出しに入れる、描いた絵はスケッチブックに挟んで仕舞う等、日の光が当たらないようお気遣いを。

LUMAを塗る

せっかくなので、手元にあるLUMAの006番AQUA MARINEアクアマリンと水だけを使い、ポストカードサイズの水彩紙に塗ってみた。

カラーインク「LUMA」の006番AQUA MARINEをポストカードサイズの紙に塗り、撮影した写真。

↑ 約30分ではがきサイズ2枚を塗り終えた

私は画像の加工が下手なので、webページの画像は実物より少々色がくすんで見えるのだが、LUMAの発色の良さがお分かりになるだろうか。
実物はくすみがない分、10年以上前に描いたデッサンぼろぼろの絵だろうが、LUMAが美しいので何でも許してしまえるような神々しい美しさである(笑)

カラーインクLUMAの006番アクアマリンを、水で薄めてから紙に塗ったところを撮影した写真。白い紙にあざやかな青緑のインク液が広がっている。

↑ LUMAを水で薄めてから塗ると、こんな感じ

LUMAのインク液と水を混ぜてから塗る(=ウオッシュという技法)方法で色の濃淡をつけるのも綺麗だが、個人的には、水を刷いたところにインク液を落とす(「にじみ」とか「ウェットインウェット」という技法)で描くと、素晴らしく美しいな…と感じている。にじみの美しさを堪能できるのは、アナログ水彩で絵を描く醍醐味だいごみだと心から思う。

プロの漫画家やイラストレーターさんがLUMAを愛用されていたと聞いているが、インク瓶と水だけで塗ってこれだけ美しくなるのだから、常に時間や〆切に追われてらした方々にはさぞ重宝されたことだろう。

カラーインクLUMAの006番アクアマリンを、紙に塗り撮影した写真。薄く刷いた水の上に、濃く溶いたLUMAのインクを落とし、インクが滲んで広がるさまが写っている。

↑ 軽く水を刷いてから濃いめのインクを滲ませるとこんな感じ

LUMAにまつわる思い出

「LUMA」というカラーインクがかつて画材店に並んでいたことを、どのくらいの方がご存じだろうか?

1990年代当時は、LUMAは1瓶数百円で売られており、お小遣いの少ない学生にも、何とか手が出せる画材だった。
LUMAのカラーインクはドクターマーチン(1瓶500円)よりも値段が高く、インク量も多かった。お金のない学生だった頃は、どうしてもドクターマーチンを買う方が色数を揃えられるので、LUMAを何本も買い揃えるということができなかった。

お金持ちの家の子だった友人が、LUMAとドクターマーチンの両方を買い揃えて作品を作っており、今から思い返すと「いいな…」と羨ましく思う。

そうこうしているうちに大人になったが、今度はLUMA自体が生産終了となり、めっきり入手しづらくなってしまった。
カラーインクは消耗品なので、いずれは全く手に入らなくなってしまうだろうが、「LUMAというカラーインクがあったことを覚えていて欲しいな」という願いも込めて、LUMAの記事を掲載した。

 

余談だが、私はもう1本紫色のLUMAカラーも持っていたのだが、紫の瓶の方は、購入後の保存の仕方が悪かったようで、購入後15年ほどでインク液の状態が悪くなってしまい、やむなく廃棄した。

液が乾燥してカピカピになったわけではなく、液自体が腐るような感じだったので、恐らく私が誤ってスポイトに別の絵の具を付けてしまい、瓶の内部でLUMAインクと他の絵の具や雑菌が混ざったために、インク液の状態が悪くなってしまったのだと思う。

どちらかというと006番(アクアマリン)の瓶の方をよく使っていたくらいなので、他の絵の具と混ざらないよう注意して保存すれば、もっと長くもってくれたと思う。今更悔やんでも仕方がないが、本当に惜しいことをした…