今はもう店で見かけることもなくなった、「LUMA」という名のカラーインクについて。
カラーインクLUMAの使い方
普段通り、パレットと筆と水彩用の紙を用意する。
- まず使う前に、LUMAのインク瓶をよく振る! この点はドクターマーチン等の他のカラーインクと同様。
- 瓶の蓋をねじって開くと、蓋の裏がスポイトになっているので、インク液を適量吸い取る。(蓋はゴム製)
- スポイトに取ったインク液を、パレット等に1滴垂らす。
LUMAもインク液が非常に濃いので、1滴垂らせば結構もつ
- パレットのインク液に、水を数滴落として濃さを調整する
LUMAのカラーインクもインク液が相当濃いので、普通の水彩絵具と同じ調子でたっぷりとパレットに出してしまうと、後でえらい目に遭う(笑) まずは1滴落としてみる程度でok。
カラーインクLUMAの外観・特徴
インク瓶は円柱状のガラス製で、少し重さを感じる。瓶の蓋にはゴム製でスポイト付き。
パレットや紙の上であれば、LUMAのインク同士も混ぜて構わないし、LUMAと他の水彩絵具や別のメーカーのカラーインクと混ぜて使っても何ら問題なかった。
(というか、私のパレットはどのメーカーのカラーインク&水彩絵具も10年以上同居しており、どの絵具同士を混ぜても問題が起きたことは殆どないので、水彩系絵具同士なら恐らく気軽に混ぜ合わせて大丈夫だと思う)
なお、インク液の量は、29.5mlで、同じくカラーインクであるドクターマーチンのほぼ倍量(ドクターマーチンは15ml)
LUMAは当時確か800円で販売されていたと思うので、分量を考えるとLUMAの方がお得。
製造された色数は、把握していないので不明。少なくとも20色程度、違う色が並んでいるのを見たことはある。
カラーインクLUMAの注意事項
ボトル瓶に書かれている注意事項が非常に短く、分かりやすいので、記載をそのまま引用する。
A wide range of brilliant, intermixable colors.
To dilute use clean water. Shake well.あざやかで多彩で、混ぜ合わせることもできる色彩。
薄めるには、綺麗な水を使うこと。よく振ること。
(和訳は、ブログ管理人作)
また、ボトルには書かれていなかったが、カラーインクなので直射日光に弱いのではないかと思う。日の光が多少当たる程度であれば問題ないが、何日も強い光に曝されると、色が徐々に薄くなり、色が飛んでしまう。
インク液を保存する際は棚や引き出しに入れる、描いた絵はスケッチブックに挟んで仕舞う等、日の光が当たらないようお気遣いを。
LUMAを塗る
せっかくなので、手元にあるLUMAの006番AQUA MARINEと水だけを使い、ポストカードサイズの水彩紙に塗ってみた。
私は画像の加工が下手なので、webページの画像は実物より少々色がくすんで見えるのだが、LUMAの発色の良さがお分かりになるだろうか。
実物はくすみがない分、10年以上前に描いたデッサンぼろぼろの絵だろうが、LUMAが美しいので何でも許してしまえるような神々しい美しさである(笑)
LUMAのインク液と水を混ぜてから塗る(=ウオッシュという技法)方法で色の濃淡をつけるのも綺麗だが、個人的には、水を刷いたところにインク液を落とす(「にじみ」とか「ウェットインウェット」という技法)で描くと、素晴らしく美しいな…と感じている。にじみの美しさを堪能できるのは、アナログ水彩で絵を描く醍醐味だと心から思う。
プロの漫画家やイラストレーターさんがLUMAを愛用されていたと聞いているが、インク瓶と水だけで塗ってこれだけ美しくなるのだから、常に時間や〆切に追われてらした方々にはさぞ重宝されたことだろう。
LUMAにまつわる思い出
「LUMA」というカラーインクがかつて画材店に並んでいたことを、どのくらいの方がご存じだろうか?
1990年代当時は、LUMAは1瓶数百円で売られており、お小遣いの少ない学生にも、何とか手が出せる画材だった。
LUMAのカラーインクはドクターマーチン(1瓶500円)よりも値段が高く、インク量も多かった。お金のない学生だった頃は、どうしてもドクターマーチンを買う方が色数を揃えられるので、LUMAを何本も買い揃えるということができなかった。
お金持ちの家の子だった友人が、LUMAとドクターマーチンの両方を買い揃えて作品を作っており、今から思い返すと「いいな…」と羨ましく思う。
そうこうしているうちに大人になったが、今度はLUMA自体が生産終了となり、めっきり入手しづらくなってしまった。
カラーインクは消耗品なので、いずれは全く手に入らなくなってしまうだろうが、「LUMAというカラーインクがあったことを覚えていて欲しいな」という願いも込めて、LUMAの記事を掲載した。
余談だが、私はもう1本紫色のLUMAカラーも持っていたのだが、紫の瓶の方は、購入後の保存の仕方が悪かったようで、購入後15年ほどでインク液の状態が悪くなってしまい、やむなく廃棄した。
液が乾燥してカピカピになったわけではなく、液自体が腐るような感じだったので、恐らく私が誤ってスポイトに別の絵の具を付けてしまい、瓶の内部でLUMAインクと他の絵の具や雑菌が混ざったために、インク液の状態が悪くなってしまったのだと思う。
どちらかというと006番(アクアマリン)の瓶の方をよく使っていたくらいなので、他の絵の具と混ざらないよう注意して保存すれば、もっと長くもってくれたと思う。今更悔やんでも仕方がないが、本当に惜しいことをした…