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鉛筆でデッサン力を養うのに適したモチーフの一覧

デッサン初心者の頃から鉛筆デッサン10年超の現在に至るまで、日々スケッチブックにモチーフとして描いてきたものを、描いた順にメモする。デッサン力向上を目指す方の一助になれば。

ひょんなことから今まで3つの絵画教室にお世話になったが、どの教室も工夫を凝らし、生徒が無理なくデッサンのスキルを伸ばせるよう、工夫してモチーフ選んで下さっていたと感じている。そして、「何を描くか」ということもさることながら、「どの順で描くか」も同じくらい重要だった。

鉛筆でデッサンしたモチーフ@N先生の絵画教室

社会人2年目に、完全なるデッサン初心者として通い始めたN先生の教室にて描いたモチーフをご紹介。デッサンのモチーフが、最もシンプルで初心者が学びやすい順に構成されていたなあ、と感じるのがN先生の教室だった。

鉛筆デッサン必修課題

 1枚目 白いプラスチックの植木鉢
 2枚目 青緑色のシンプルな形の壺
 3枚目 赤林檎1つ
 4枚目 赤林檎1つと半分に切った赤林檎1つ(キャンバスで林檎と林檎が接するようにモチーフを配置する)
 5枚目 透明なガラスのワイングラス
 6枚目 緑色のランプ

最初の1枚目の植木鉢から6枚目の緑ランプまでは、デッサン初心者も経験者も、N先生の教室に通い始めた全員が頑張って描く。使うのは、三菱鉛筆uniの2B鉛筆1~2本と、練り消しゴム1つと、全長30cmくらいのスケッチブック1冊のみ。
それぞれのモチーフと取り組む順には、重要な意味がある。

 1枚目 明暗を描く練習
 2枚目 色のついたものを描く練習
 3枚目 丸いものを描く練習
 4枚目 2物の関係を描く練習
 5枚目 透明なものを描く練習
 6枚目 中身の見えるものを描く練習

1枚目・2枚目は、色が1色か2色で、形もシンプルなモチーフが選ばれている。そして枚数が進むにつれ、色数が増え、形も複雑になり、絵に奥行きが求められるようになってくる。

ただ、4枚目の林檎1個×林檎半分は、2物の位置関係を平面上で組み立てねばならずとても難しいので、個人的には順番を少し入れ替えて、林檎1個×林檎半分は6枚目でもいいかなとも思う。

最初の6枚を入塾(?)した人が入塾した順に描くので、進捗は全員バラバラ。早めに描き上げても、何時間もかけてじっくり描いてもいい。中には小学校以来30年間絵など描いたこともなかったという人もいたが、先生のサポートを受けつつ、その方らしい絵を描き上げていた。

また、生徒全員が同じものを描くので、この6枚の絵が共通の話題となっていた点も見逃せない。年齢や職業が違ってもこの6枚の話題なら会話が出来てしまい、教室全体に一体感が生まれ、生徒同士が仲良くなるのに一役買っていた。生徒同士が仲良いと教室にも通いやすく、絵の技法からパンの美味しいお店まで、この教室でさまざまなことを教わった。

N先生は非常にお喋り好きで社交的な方だったが、コミュニケーションまでを考慮してこの6枚を必修課題とされていたのなら、見事というより他ない。

鉛筆デッサン選択課題

必修課題の6枚を描き上げると、パステル画や水彩画や色鉛筆画・油絵など、選ぶ道は十人十色だった。あと数枚鉛筆デッサンを描かれてから、ご自分の描きたい画材やモチーフを選ばれる方が多かった。こうした自由度の高さは、個人運営の絵画教室ならではの良さだと思う。
私は鉛筆1本で描けるシンプルイズベストな鉛筆デッサンが好きになり、積極的に鉛筆デッサンに励んでいたので、そのときのモチーフをメモ。

 7枚目 珈琲ミル
 8枚目 銅のランプ
 9枚目 ミロのビーナス(小型の石膏の胸像)
 10枚目 ビロードの袋の入ったウイスキーボトルと、水の入ったグラス
 11枚目 枯れ薔薇約20本と模様付きの白い花瓶
 12枚目 黒いランプ
 13枚目 造花の花3本
 写生会 川のある風景

7枚目以降は、N先生の教室に保管されていたモチーフのうち、先生に勧められ自分でも興味惹かれたものを順に描いた。質感や形の違うものが毎回選ばれていたなあ、と振り返ってみて感じる。
描く順はさほど気にしなくて構わないが、石膏像は非常に難しく感じたので、9枚目で描いたのは時期尚早だった気がする。

鉛筆でデッサンしたモチーフ@Aスクール

N先生の教室が閉じてしまった後、通い始めたのがAスクール。Aスクールには美術大学受験向けの講座があり、講師も生徒もデッサン力が超ハイレベルで、絵で賞を受賞されている方がたくさんいた。
Aスクールはデッサンコース内でのカリキュラムがおおよそ決まっており、デッサンのモチーフも予め定められていたが、何をどの順番で描くかは講師と相談しながら選ぶことができた。(かつ、デッサンに飽きた時は、絵本コースやコミックコースなど別のコースを受講することもできた)

 01枚目 石膏の立方体
 02枚目 石膏の直方体
 03枚目 石膏の円柱
 04枚目 石膏の球体
 05枚目 石膏の円錐角柱相貫体
 06枚目 グラス
 07枚目 紙コップ
 08枚目 木片
 09枚目 トイレットペーパー
 10枚目 ブックエンド
 11枚目 縄
 12枚目 レンガ
 13枚目 タオル
 14枚目 金属製のボウル
 15枚目 グラスとレモン
 16枚目 レンガとワインボトル
 17枚目 植木鉢とボーダー柄の布
 18枚目 オイル缶とさいころ
 19枚目 電球とクリップ
 20枚目 スコップと胡桃

※後半に行くほど、モチーフを描いた順序はうろ覚え。

最初が単体モチーフの石膏デッサン、次が単体モチーフで質感のあるデッサン、最後が複合モチーフで二物の質感の異なるデッサンだった。実はカリキュラムはこの後も続き、牛の頭蓋骨など形の複雑なモチーフを使ったデッサン、石膏人物像や木炭デッサンなどへと進んでいくが、私はこの20枚すら所要時間内に描けず、挫折した(苦笑)

石膏でできた立体の描き方を最初にしっかり学んでおくことは、形のとり方や奥行き・立体の表現の仕方を身に付けさせてくれたと感じる。特に立方体と円柱は、学びが多かった。実際に描き始めると単調に思えるかもしれないが、「この最初の数枚が描けないと、他のどのモチーフもまともに描けないだろう」とも感じた。

<参考>木炭でデッサンしたモチーフ@T先生の絵画教室

 1枚目 石膏の首像(ミロのヴィーナス)
 2枚目 石膏の首像(名称不明。男性の首像)
 3枚目 石膏の首像(名称不明。男性の首像)
 4枚目 石膏の胸像(ボルゲーゼの闘士胸像)
 5枚目 石膏の胸像(名称不明。青年戦士が甲冑とマントを羽織っている像)

入門直後の必須カリキュラムが最もスパルタだ、と感じたのが、T先生の教室。Aスクールで鍛えられた後でも、石膏像を5枚連続で木炭でデッサンするのは難しかった…。
初心者が石膏像を描くのは難しく、また、石膏像を個人で用意するのも費用が嵩むので、このカリキュラムは参考程度に見て頂ければ。

鉛筆画:テキーラ瓶とかるがものぬいぐるみ(製作途中)Tequila and Karugamo drawn by pencil

Tequila and Karugamo テキーラの空瓶1本とかるがものぬいぐるみ1つが鉛筆でデッサンされている絵を、正面から撮影した写真。絵はスケッチブックに描かれており、スケッチブック全体が写真に写っている。画面左に、テキーラのつややかなガラスのビンが描かれており、ビンには税関のシールやお酒のロゴラベルが貼られている。画面右に描かれているかるがもは、鉛筆で淡くふかふかとした質感で描かれている。

モチーフ テキーラの空瓶、かるがものぬいぐるみ
使用画材 スケッチブック、三菱鉛筆uni、練り消しゴム
製作場所 T先生の絵画教室
光源 自然光と蛍光灯を併用。自然光は3Fの窓から採光、時間帯は14:00~17:00
完成日 2017年12月16日(土)

モチーフについて

テキーラの空瓶は、T先生の教室でお貸し下さったもの。
購入当初は琥珀色の透明なテキーラが入っていたそうだが、残念ながらテキーラそのものにお目にかかることは出来なかったので、琥珀色の強いお酒を思い浮かべながら描いた。お酒を飲めない人間にとっては、酒は想像と創造の世界で愛でるものである。輸入した際のものと思われる関税(?)のシールがまだ貼られており、いい雰囲気を出していたので、それも描くことにした。
数年経ってから、amazonで売られていたモチーフ瓶を発見。ようやくテキーラのお酒の色を把握した。予想よりお酒の色が薄かったので、描く前にまだまだ修行が必要そうである..

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かるがものぬいぐるみは、我が家の古参。
同じ教室内で鳥を油絵で描かれている方がおり、自分も鳥好きなので鳥を描いてみたかったが、モデルになるようないい写真が見つからず、実物に先がけてぬいぐるみのかるがもで描いてみることにした。いずれは雀や山鳩や目白などを描いてみたいと思案している。地味色の鳥ばかりなのは、好みと都会固有の問題である。都会では明るい羽色をした鳥にお目にかかることがほぼない。ぬいぐるみのかるがもは20年来の古参なので、白い羽が経年の汚れで微妙に灰色がかっている部分があるが、そうした部分も再現する予定。

「質感の違い」を描き分けることが、今回も大きなポイントの1つ。今回のモチーフはどちらも茶色だが、片や硬くて透明で光の反射があり、もう片方はふかふかと柔らかく、輪郭さえはっきりしない。また、ぬいぐるみという愛らしいモチーフなので、見る人がきゅんとするような愛らしさを紙の上に再現できれば。

描き方について

テキーラ瓶は、6H鉛筆から4B鉛筆まで幅広く使用。4H・6H鉛筆といった芯の硬い鉛筆は、こうした固く透明なモチーフにおいて威力を発揮する。かるがもは今のところほぼH鉛筆で、部分的にHB鉛筆。

どちらもモチーフが焦げ茶なので、仕上がりが近付くにつれ、手の側面に鉛筆の粉がついて、キャンバスを汚す恐れがある。それを避けるため、2つのモチーフのおおまかな形を取った後は、左のテキーラ瓶から描き込んだ。こうした描き方の方が個人的には描きやすい。デッサンの描き方講座を見ていると、左右並行でバランスよく仕上げていく方も多い。

描いている最中に、かるがもが自宅のどこかに仕舞われてしまい見当たらなくなった。1ヶ月経っても出てこないので、テキーラ瓶のみを仕上げて一旦中断。

水彩色鉛筆画:ガラスボトル(炭酸瓶)

ガラス瓶5本を縦に並べ、白いスケッチブックに鉛筆と水彩色鉛筆でデッサンした絵。モチーフは左から順に、薄緑色のコーラの空瓶、MOETの緑色に金ラベルのシャンパンボトル、白い天使のラベルが貼られたドイツビールの茶色い空瓶、Monopoleの黄緑色のシャンパンボトルの空瓶、ラムネの水色の空瓶。

モチーフ コカコーラの空瓶 1本、ラムネの空瓶 1本、
シャンパンボトルの空瓶 2本、ドイツビールの空瓶 1本
使用画材 スケッチブック、三菱鉛筆uni 数本、ステッドラーの水彩色鉛筆48色セット、
その他色鉛筆多数、茶系水彩絵具、練り消しゴム
製作場所 T先生の絵画教室
光源 自然光と蛍光灯を併用。自然光は3Fの窓から採光、時間帯は14:00-17:00
完成日 2016年02月13日

モチーフについて

水彩色鉛筆を使用したかったので、T先生の教室に保管されていた瓶のうち、色のついた瓶だけを採用。

ラムネ・コーラ・シャンパン×2・ビールと計5本もあるので、構図に悩み、当初はラムネ・コーラ・ビールのいずれか2本を選んで、前列に据えようと思っていた。が、シャンパンの値段が恐ろしく高いこと(下記リンク参照↓)、T先生がシャンパンが一番お好きなことなどモチーフに関する情報を仕入れていくうちに、シャンパンが貴婦人に見えてきたので、前列は貴婦人方にお越しいただくことにした。

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偶然にも、モチーフに採用した瓶には全て炭酸が含まれていたので、それに気付いてからは「炭酸シリーズ」と勝手に名付けて呼んでいた。5本とも瓶の色も形もラベルも美しく、描いていてとても楽しかった。

描き方について

まず、鉛筆デッサンとして通用するくらい、三菱鉛筆uniで形をしっかり描き込んだ。H鉛筆などで立体を構成する面をがりがり描き込んだが、4B鉛筆以上の濃い黒は、この時点ではまだ置かなかった。

その後、スケッチブック全体に淡いセピア系の水彩絵具を刷いた。茶系の水彩は、いつものごとく2~3色は混ぜた。カラーインクDr.Martin Radiantのセピア↓(28B)は使ったと思うが、水彩用パレットに長年端座したままの色を毎度そのまま使うので、どのメーカーのどの色がスケッチブックに乗ったのかは、描いた本人にも分からない(笑)

最後に、色鉛筆で細部を塗り込む。細部を彩る色鉛筆は、水彩色鉛筆と通常の色鉛筆を区別せず利用した。メインで使用したのはステッドラーの水彩色鉛筆48色だが、MITSUBISHI油性色鉛筆など、他のメーカーの色鉛筆なども使用。

コカコーラ瓶の淡い緑が、手持ちの水彩色鉛筆だけでは出せず、四苦八苦した記憶がある。実物は、もっと色が淡い。水彩で淡い色を出すのは簡単(水を足すだけ)なので、色鉛筆で淡い色を出すのにこれほど苦戦するとは、想定していなかった。
色鉛筆を買い足すなら、濃い色より淡い色を買い足された方が賢明だと感じた。

鉛筆画:壊れたバイオリン a broken violin

弦が1本切れている木製のバイオリン1台を、バイオリン全体が入るよう、スケッチブックに三菱鉛筆でデッサンした絵を写真に撮ったもの。バイオリンは弦の部分を上にして、白く平らな場所に置かれており、バイオリンの顎当ては黒く艶やかに光っている。

モチーフ バイオリン(ミニサイズ)(弦が1本切れている)
使用画材 スケッチブック、三菱鉛筆uni、練り消しゴム
製作場所 T先生の絵画教室
光源 自然光と蛍光灯を併用。自然光は3Fの窓から採光、時間帯は14:00-17:00
完成年月日 2013年09月28日

モチーフについて

モチーフに選んだのは、本物の4分の3ほどの大きさのバイオリン。大きさが小さいだけで、ボディや部品の材質は本物と同じ。ボディは飴色をした美しい木材でできており、描き手のテンションを上げてくれた。バイオリンは、T先生の絵画教室に保管されていたもの。

ミニサイズバイオリンでも実際に音を奏でることも出来るそうだが、残念ながら、描き始めた時には既に弦が切れてしまっていたため、バイオリンの生音を聴くことはできなかった。
元々バイオリンやビオラやチェロなど弦楽器の音が好きで、クラシック音楽にはまってオーケストラや弦楽器の曲ばかりを聴いていた時期もあったので、その時聴き貯めた音を脳内で補いながら描いた。

描き方について

真新しいものより時を経て現在に残存するものの方に心惹かれるので、このモチーフでも、ボディ全体に古さが出るように線を重ねた。鉛筆は6Hから6Bくらいまで使用。

全体的に色が濃いので、普段メインで使うH鉛筆でデッサンすると、後から描き足す2B・4B・6B鉛筆にH鉛筆の繊細な筆跡が全て塗りつぶされてしまう、という私の苦手なパターン。美術大学受験などでデッサンの正規教育を受けた方はこうしたモチーフの場合、黒い部分を最初から芯の濃い鉛筆で描き始めるらしいが、未だにこの描き方をしない。塗りつぶされる分時間が倍かかるが、H鉛筆以下の線がないと、絵がすかすかして繊細さが失われるのではないかと感じる。(単に6B鉛筆で描き始める意気地がないだけ、という訳では断じてない) 画面上で一番暗い「黒」も、十分濃くするよう注意した。正直バイオリンの形を取るより、苦手な黒を濃く強く出すことの方に気を遣った。

木・金属・プラスチックの質感の違いは、残念ながら、この絵では十分に描き出すことが出来なかった。特に木製の質感については、当初バイオリンの艶に全く気付いておらず、艶がないものとして描いていたので、T先生からご指導を受けた。これ以降、T先生から質感の異なるモチーフを1つまた1つと手渡されることになる…。

鉛筆画:年代物のラジオ An Antique Radio

Antique Radio drawn only by pencil.革製の茶色いケースに入ったSONY製の年代物ラジオを鉛筆でデッサンした絵。ラジオ本体は黒色で、プラスチック製。革カバーは茶色で、使いこまれた風合い。絵の背景は白い画用紙。画用紙右下に、鉛筆で何かを描き消した跡が残っている。

モチーフ Sony製の古いトランジスターラジオ
使用画材 スケッチブック、三菱鉛筆uni、練り消しゴム
製作場所 T先生の絵画教室
光源 自然光と蛍光灯を併用。自然光は3Fの窓から採光、時間帯は14:00-17:00
完成日 不明

モチーフについて

ネットで調べてみると、昭和30年代に発売されたトランジスターラジオと大きさや形が似ているので、その頃のものではないかと思う。手に持つとずっしりと重く、革製の立派なケースまで付属している。電池を入れる箇所があり、古い型の四角い電池が入っていた。四角い電池も気に入ったので取り出して描こうかと思ったが、お世話になった日立マクセル社製の古い型の電池が見つかったので、そちらを描くことにした。だが、残念ながら、製作途中で日立マクセル社乾電池がなくなるという事件が起きた。幸い描き上げた後に再発見されたので、いずれは描き足す予定。
どの絵も数か月かけて描くので、描いている最中にモチーフが行方不明になることが時々ある。困ると言えば困るのだが、各モチーフは教室に保管されているもので、そもそも私物ですらない。描けなかったものは縁がなかったのだと、諦める気持ちも肝心である。

これらのモチーフも、触感・質感を描き分けるという課題の一環と理解している。ケースの年季の入った茶革や留め金の金属の質感、ラジオ本体の2種類のプラスチックとざらっとした金属の質感など、異なる質感が盛りだくさんのモチーフだった。ラジオ本体が真四角なので形を取るのは易しいだろうと思い込んだが、ケースや部品の箇所に楕円や小さい円や小さく複雑な凹凸があり、大いに苦しめられた。

描き方について

4Hから6Bくらいまでの鉛筆を使用したと思う。モチーフの色が全体的に暗いので、6H鉛筆は使用しなかった筈。8B鉛筆を使用すると心のヒットポイントが減るので、今回も使用していない。

全体の形を取るのは速かったが、細かい部品や細部の凹凸を描き込むのに数倍の時間がかかった。細部の形に気を取られると全体とのバランスが取れなくなることが多く、描いてみては一部消し、更に描いては全て消す、という残念至極な描き方も多かった。

何度も人の手に触れられたであろう革のケースの質感がとても良かったので、触られて色がまだらになった部分の穏やかな色を再現するよう心掛けた。革ケースを愛でていると、ラジオ本体を描き込む時間が削られてしまい、ずしっとした重さやプラスチックの持つ軽やかさは十分に再現できなかった。結果として質感については及第点に満たなかったので、次回持ち越し。

「デッサン・絵画用 鉛筆ホルダー(30本収納)」 Derwent(ダーウェント)

鉛筆デッサンの必需品。この布ペンシルホルダーのお陰で、画材の持ち運びが随分楽になった。

Derwent(ダーウェント)社の鉛筆ホルダーの説明

芯を尖らせた鉛筆30本を、折ることなく持ち運ぶことが出来る道具。

布ホルダーの真ん中がゴムバンドになっており、ゴムバンドの間に鉛筆を1本ずつ挟み、巻物のようにくるくると巻いて、ボタンで留めて持ち運ぶ。ホルダーの右端には、練り消しゴムやカッターナイフなどの小物を入れることができる小さいポケットがついている。

derwent社のペンシルホルダーを拡大した写真。

↑ 拡大図。

Derwent(ダーウェント)社の色鉛筆ホルダーを開き、濃さの異なる三菱鉛筆uniを12本収納した図

Derwent(ダーウェント)社の色鉛筆ホルダーの右端を拡大した図。幅の広い茶色のゴムバンドに金属製の鉛筆ホルダー2本が格納されており、革製の小ポケットにはデッサン用の練り消しゴムが格納されている

Derwent(ダーウェント)社の鉛筆ホルダーを使用した感想

デッサン教室に自転車で通う際、折角カッターナイフできちんと尖らせておいた鉛筆の芯が自転車の振動で2本も3本も折れてしまうため、思い切ってこちらのペンシルホルダーを購入してみた。
上質な素材で出来ているのか、使っていて心地良く気分が落ち着くところもお気に入りだが、機能的にもとても優秀だった。

ダーウェント社製のペンシルホルダーで色鉛筆を保管している写真。

↑ ペンシルホルダー拡大図。

鉛筆の芯を折らずに、10本以上同時に持ち運びできる

まず、鉛筆が何本でも入るところが素晴らしく良い。
鉛筆デッサンの際、描く題材によって4H、2H、H、HB、B、2B、4B、6Bと、濃さの違う8種類の鉛筆を使い分ける。また、描いていて芯が折れてもすぐに別の鉛筆に移って描き続けられるよう、よく使う2H鉛筆・H鉛筆・HB鉛筆・2B鉛筆に関しては鉛筆を各2本ずつ用意している。

すると、鉛筆だけで最低13本必要で、更に練り消しゴム(明るい用と暗い用の2種類)、鉛筆を削るためのカッターナイフ、短い鉛筆のための金属製のペンシルホルダーまで使っていると、毎回かなりの道具を持ち歩くことになり、今までは筆箱がごちゃごちゃになってしまって大変だった。

このペンシルホルダー購入後は、全てこのホルダーの中に、定位置を決めて収める事ができるようになったので、毎週末繰り広げられていた筆箱カオスからようやく解放された。

あと、アスファルト片道40分の自転車通学でも、不思議なほど鉛筆の芯が折れない。元々色鉛筆用(鉛筆よりも芯が柔らかく折れやすい)のペンシルホルダーである所為かもしれないが、1cm以上芯を伸ばした鉛筆でも折れないのだから、大したものだ。
デッサンをする時、鉛筆の芯が尖っていないと作品の仕上がりが悪くなるので、芯を折れずに持ち運べるのは重宝している。

ここ2~3年は水彩色鉛筆・油彩色鉛筆も持ち運ぶようになったが、こちらもやはり芯は折れない。

耐久性が高い

使用し始めてから週1で使って10年近く経過したが、1度も壊れることがなく、劣化も起きなかった。ゴムバンドの部分が伸びてしまうことはなく、革がばりばり剥がれ落ちることもなく、鉛筆の粉で内が汚れることもなく、布部分が破れてしまうこともなかった。
購入当初は「シンプルな製品なのに少し値段が高いな」と思っていたが、十分に元が取れ、製作に集中出来る環境を保てているので、満足感が高い。

Derwent(ダーウェント)社の色鉛筆ホルダーの紐を綴じた図。「Derwent」と書かれた赤い製品タグが鉛筆ホルダーの右部分に付けられている

その他注意事項

カッターナイフが落ちやすい

デッサン用の鉛筆は、鉛筆の削り方が独特(芯を1cm以上伸ばして削る)なので、カッターナイフは必需品。だが、幅広のカッターナイフを入れてペンシルホルダーを持ち運ぶと、ホルダーの隙間からカッターナイフが出てきてしまうことが何度かあった。ポケットのある部分に入れても出てきてしまうので、カッターナイフの重さの問題かもしれない。

カッターナイフの芯は軸の中に仕舞ってあり、ペンシルホルダーから鞄の底に落ちるだけなので危険を感じたことはないが、「あれ、カッターがない」と探し回ったことは何回かあった。

derwent社製のペンシルホルダーを横に長く広げ、真上から撮影した写真。ペンシルホルダーには、三菱鉛筆uni十数本と色鉛筆十数本とカッターナイフ1本と金属製鉛筆ホルダーと練り消しゴムが格納されている。

↑ ペンシルホルダー全体像

derwentペンシルホルダーの側面図(写真)

↑ 側面

鉛筆ホルダーをおすすめできる方・できない方

鉛筆や色鉛筆などの芯が柔らかい画材で絵を描かれる方で、今後長く絵画を続けるご予定の方、写生会など屋外での製作を控えてらっしゃる方には、布ペンシルホルダーをおすすめできる。軽くて持ち運びしやすく、長く使えるので、早めに使い始めると「芯が折れる」・「鉛筆が見つからない」・「支度にいつも手間取る」などの手間が省け、製作に集中できる環境が作れると思う。

反面、いつも屋内の決まった場所で製作される方、ペンやマジックなどの硬い画材で製作される方には不向き。そういった方は画材が壊れる心配がないので、立て置きのできるペンシルスタンド(↓)の方が、使い勝手が良いと思う。ペンシルスタンドの方が、お値段もお安い。

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私も、色鉛筆はペンシルスタンドを併用している。色鉛筆は使う本数が多く、布製ペンシルホルダーに収まりきらない、という消極的な理由からだが、短くなった鉛筆・色鉛筆を仕舞うことのできる低めのスタンドがついているものを選ぶと、ペンシルスタンドも使いやすい。
 → 管理人愛用のペンシルスタンドについては、こちらへ

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水彩色鉛筆画:青いワインボトルと色ガラスのランプ a blue wine bottle and colorful glass lamp

画面左は、水彩色鉛筆で描いたピーロート・ブルーのワインの空瓶(pieroth blue burg layer schlosskapelle 2010)。ワインボトル全体が透明な群青色のガラスで出来ており、コルク栓は外されており、細身。画面右は、赤青緑のガラスのランプ。A BLUE BOTTLE WINE AND COLORFUL GLASS LAMP.

モチーフ ピーロート・ブルーの青い空瓶(pieroth blue burg layer schlosskapelle,2010)、色ガラスで出来たランプ
使用画材 スケッチブック、三菱鉛筆uni、練り消しゴム、水彩色鉛筆(ファーバーカステル48色セットなど)
製作場所 T先生の絵画教室
光源 自然光と蛍光灯を併用。自然光は3Fの窓から採光、時間帯は14:00-17:00
完成日 2015年06月27日

モチーフについて

ボトル瓶もランプも、T先生の絵画教室に保管されていたもの。ピーロート・ブルーのスタイリッシュで美しい群青色をしたワインボトルに見惚れ、描かせて頂くことにした。ボトルが細身で置いているだけで美しく、たわわに実った葡萄の描かれた金色のラベルが、群青色のボトルによく似合っていた。カラーインクや油性色鉛筆など、他の画材で描いても面白いと思う。

色とりどりのガラスのランプは、ピーロート・ブルーのワインに釣り合う丁度良いモチーフだった。色のついていない箇所のガラスが厚めで僅かに濁っているところもあったので、少し古い時代に作られたものではないかと推察する。
ランプはN先生の絵画教室でも少なくとも3枚は描いたモチーフなので、ランプは大きさや形を問わず、絵にしやすい題材なのだろう。形が面白く、透明ガラスや金属など質感の異なるものが組み合わされており、単体でも他のモチーフと組み合わせても一幅の絵になる。中にアルコールランプの様な芯が入っているのを眺めたりしたが、実際に火を入れて灯したことはなかった。

反省

描き上げた当初は満足していたが、後から振り返ると、モチーフに対する理解が浅く、モチーフと水彩色鉛筆の魅力を引き出せていないのが目につく。
ワインのwebサイトを確認したところ、”pieroth blue burg layer schlosskapelle”というワインの特徴は、下記のようなものらしい。


『ノーズはフレッシュで、梨と青リンゴのニュアンスを持ち、レモンと柑橘類の含みを伴う。ミディアムボディ、フレッシュ、しなやかでフルーティな風味はまろやかな酸味を示し、滑らかでクリーンな長い余韻』


ワインそのものの色は、ごく淡い上品な小麦色だと後で知った。軽めで少し甘口で女性にも飲みやすく、種々の果物の持つ爽やかさがボトル全体から溢れるような感じなのだろう、と推察する。
こうした雰囲気が漂うよう、もう少しフレッシュさを追求して描いても良かった。お値段もやや高いので、上品さや気高さをプラスしても面白いだろう。機会があればリベンジしたい。

鉛筆デッサン:ボウルとトイレットペーパー a bowl and toilet paper

金属製の料理用ボウルと薄い紙のトイレットペーパー1巻きを、白い画用紙に鉛筆でデッサンした絵。横たわったトイレットペーパーに、ボウルが覆いかぶさるように置かれており、ボウルの下には暗い影ができている。トイレットペーパーは紙が斜めにちぎられている。

モチーフ 金属製のボウル(小)、トイレットペーパー 1巻き
使用画材 画用紙(裏面)、三菱鉛筆uni 数本、練り消しゴム
製作場所 Aスクール
完成日 不明

モチーフについて

2つの物を組み合わせて鉛筆でデッサンする課題の中の1枚。

ボウルもトイレットペーパーも、過去に単体で鉛筆でデッサンする課題を済ませているので、今回は2つを組み合わせて2物の関係性を捉えながらデッサンする。
2物のデッサンは単体デッサンと比較して難易度が格段に上がる。両方の大きさと位置関係をある程度正確に捉え、それを紙の上で表現することができないと、どちらか片方の物が空中に浮いたように見えてしまい、床の存在が立ち現れてこない。2物の影を表現することでしか床は表現できないので、物の大きさ・位置関係のどちらを把握するのも苦手な人間には、拷問の様な課題だった。

今回は片方が真っ白なトイレットペーパー、もう片方が金属製のボウルなので、質感や色の違いも描き分ける必要がある。ふわっとしたトイレットペーパーと硬質な金属ボウルが同じ質感な筈がなく、色も当然のごとくボウルの方が濃い。
また、金属ボウルは鏡のようになっていたので、実際にはボウルの周辺にある様々な物が写り込んで見えていた。が、ボウルの単体デッサンの際に、それら写り込んでいる物全てを描き込もうとして酷い目に遭ったので、今回は大幅に端折って、簡略化した。

描き方について

金属ボウルは、実際より濃く見えるよう塗り重ねた。使った鉛筆の濃さは記憶にないが、絵を見る限り確実に2B鉛筆・4B鉛筆以上を利用し、最も濃い部分に6B鉛筆を載せていると思う。実際の色である銀に近い淡い色を載せるより、この方が本物っぽくなるので不思議なものだ。質感は金属なので、光が反射して見える明るい部分が必ずボウルのどこかにある。(それがなければ、むしろ金属製品を描いていてもつまらない) 光の反射している箇所は、新品の練り消しゴムの白い部分を使って、描き込んである鉛筆線を消した。こうした強い光の表現は、工業製品を描く時の楽しさの一つであり、かつ、緊張する瞬間でもある。

トイレットペーパー単体の描き方は、既に別ページで説明したので割愛。今回は立て置きではなく横置きにしたので、難易度がやや上がっている。横置きだとトイレットペーパーの断面の楕円の形がいびつになるので、形を取るのが難しい。

水彩色鉛筆画:石榴の一枝(製作途中) a pomegranate branch drawn with pencils

石榴の赤い実が1つついた木の枝を三菱鉛筆uniと水彩色鉛筆で描いた習作。

モチーフ 石榴の実と葉がついた枝(ドライフラワー?)
使用画材 画用紙、三菱鉛筆uni、練り消しゴム、水彩色鉛筆セット(メーカー不明)
製作場所 T先生の絵画教室
完成日 2016年冬

モチーフについて

モチーフは、絵画教室の出入口付近に置かれていた石榴(ざくろ)の一枝。

ドライフラワー(?)にされるようで、数ヶ月に渡って干されたまま保管されていた。石榴は数本おかれていたが、うち一枝をお借りして描き始めた当初には、葉も実も約半分だけ色みが残っており、残り半分は茶色に変色している状態で丁度良かった。生き生きとしているものより多少色褪せているものの方が、描く際に想像力の入り込む余地が大きいように感じる。枯れ花はモチーフとしてかなり好きなので、9割方枯れているような草花も個人的には大歓迎。珍しくイーゼルを使用し、イーゼルから一枝を吊るしてセッティングした。

今回の課題は、水彩色鉛筆。この作品で初めて水彩色鉛筆を使用した。

描き方について

T先生曰く、どこまでを鉛筆で描き、どこからを水彩色鉛筆に委ねるかは、描き手によってまちまちとのこと。9割方鉛筆で描き込み申し訳程度に水彩色鉛筆で着色する方もいれば、鉛筆は全体の形を取る程度で制作の殆どを水彩色鉛筆でされる方もいる。
水彩色鉛筆初挑戦の自分は勝手が全く分からなかったので、鉛筆多め水彩色鉛筆少なめで描いてみることとした。水彩色鉛筆に移ってから不足していた部分の描き込みを頑張ったので、結果的に鉛筆と水彩色鉛筆が丁度半々くらいの割合になったと思う。

鉛筆で形を取り、平面上にモチーフを立体として作り上げるところまでは普通のデッサンと同じだったが、鉛筆でどこまでを描くべきかは迷った。普段なら、葉の緑色も実の赤色も鉛筆画の世界に引き入れるとHB以上の濃い灰色で描かれるが、水彩色鉛筆で仕上げることを考えると、鉛筆の時点であまりに濃い灰色を使ってしまうと水彩色鉛筆の工程に移った時に、色がくすんだり、紙に色が乗らなくなる恐れがあった。葉はともかく、実の赤はそれなりに目立たないと画面で主役を張れなくなってしまう。結局、物の影や陰だけを濃い鉛筆で乗せる程度にとどめた。

着彩は、水彩色鉛筆の芯を水で溶かして水彩絵具にして塗るところから始めた。全体を淡く塗るのにさほど時間はかからず、キャンバス全体が早くから薄色で埋まるので、工程全体にかかる時間を短縮出来て良かった。その後水彩色鉛筆を色鉛筆として使い、細部を塗り込んでいった。