「英語耳」「英語耳ドリル」「単語耳 1」で100回発音練習し効果を実感する

「英語耳」シリーズは、日本で英語を学ぶ方には超おすすめ。

身につけるのに時間を要するが、日本にいながら「美しい発音」と「英語が自然に聞き取れる耳」を確実に身につけることができる。買ったその日から練習に取り掛かることができ、かつ、毎日無理なく続けることが出来る。

私はTOEIC850を取得した後に「英語耳」の書籍に出会ったが、自分でも「えっ?」と思うくらい学びが多かったので(笑)、既に高スコアをお持ちの方にも心おきなくおすすめしたい。

英語耳の著者のwebサイト

書籍「英語耳」シリーズの著者松澤喜好さんは、webサイトを運営されている。「今すぐ読みたい!」という意欲に溢れた方は、下記のリンクからどうぞ。

 英語・発音・語彙/英語耳 http://eigo33.com/

「英語耳」を実践する

英語耳シリーズの記念すべき第1冊目が、こちらの「英語耳」。
発音を矯正し英語力を身につける、というコンセプトに従って、各子音・母音の発音から英語詞の歌での実践まで、学習内容がバランスよく盛り込まれている。

英語耳シリーズは、星の数ほどある英語学習法の中で、数少ない正解の1つだった。
英語耳シリーズで学習すると、英語のリスニング力は確かに向上する。大枚をはたいて英会話スクールに通う前に、こちらの本を試されることをおすすめしたい。本書「英語耳」は近くの市立図書館でも借りることができ、試し読みもしやすかった。

英語の正しい発音を身につけるとリスニング力が向上する、という著者の主張を、実は最初あまり信じてなかったが、「英語耳」の教えに従い子音と母音の発音を1種類ずつ何度も繰り返し発音練習すると、英語の音の聞こえ方が明らかに変わってきた。

「立体的に聞こえる」という表現で通じるか定かでないが(表現力が乏しくて申し訳ない…)、今まで列車の通過音の様に右から左へ通り過ぎるように聞こえていた英語の音が、言葉として、意味を伴って、脳に直接響くように聞こえるようになった。ニュースで流れる英語だけでなく、洋楽や異国の方とのお喋りの英語でも同様。そして巻末付近にある「Amaging Grace」(アメイジング・グレース)という英語詞の歌が、英語ネイティブの方に近い発音で歌えるようになった。

明らかに効果が出たのが嬉しくて、「英語耳ドリル」(全1巻)、「単語耳」(全4巻)、「英語耳ボイトレ」(全1巻)の順に購入し、時間の許す限り試してみた。

「英語耳ドリル」を実践する

「英語耳」は曲あり文章ありのバランスが取れた教材だったが、「英語耳ドリル」は音楽(洋楽・英語詞の歌)に特化した学習内容だった。

「Fly Me To The Moon」「Time After Time」などのゆったりとした曲調の歌を100回~300回聴き、曲と一緒に歌うことで、正しい発音を身につけていく、というトレーニング方法。この学習法は、著者の若かりし頃、英語を身に付ける時に実際に使用した手法だそうだ。

本書1冊に5曲が収録されており、数ヶ月かけて5曲とも何とかやり終えた。100回~300回という歌う回数の多さに、「なかなか終わりが見えないなあ…」と最後の方は気力が尽きそうになった(苦笑)

結果として、「英語耳」だけの時より発音とリスニングがやや向上したように思う。だがそれ以上に、「音楽で英語を身につける」という方法をマスターできたのが良かった。

洋楽は英語のテキストよりはるかに種類やジャンルが豊富なので、好きな曲を自由に選んで学べるようになったのが嬉しかった。しかも、家事をしながら入浴しながらの5~10分の隙間時間でも学習でき、忙しい現代人の生活にもしっくりくる。

また、「音楽で英語を学ぶと忘れにくい」、という単純な事実にも気付かされた。聞き馴染んだCM曲は自然に口ずさんでしまうように、TVや繁華街の店舗から流れてきた英語詞の歌を自然に口ずさんでしまうようになるので、英単語や英文法の復習が簡単にできてしまう。

むしろ、この学習法に慣れれば慣れるほど、学習している気がしなくなる。英和辞書をひいて発音記号つきの歌詞カードを作るのが少し手間だったが、慣れると殆ど調べる手間もなくなり、聴いて歌詞を覚えて歌っているだけになってきた。

歌える曲のレパートリーを増やすほど、自然に反復学習できる機会も増えるので、後になるほど楽しんで英語を身に付けることができた。

個人的には「英語耳ドリル」で取り上げられているようなバラード曲より、ロック系やピアノ・バイオリンがじゃんじゃん鳴っている曲の方が好きなので、英語耳ドリル修了後は、Beatles→B’z(英語詞の曲)→QUEEN→Jazz曲→Billy Joel/AeroSmithの順に、自分で歌詞カードを作っては歌って学んだ。今では、エアロスミスも私の英語の先生であると言える(笑)

超個人的におすすめの曲

  • Billy Joel “Honesty”
  • Billy Joel “Stranger”

どちらも、人の心が持つ複雑な気持ちを、英語で見事に言い表している曲。特にHonestyは、苦しみ・悲しみの真っただ中にいる人によく響くと思う。ビリー・ジョエル氏はピアニストなので、ピアノ好きな方にも是非。

ロック好きの方には、エアロスミスを全力で推させて頂く(笑) 曲調や言葉遣いは荒いのに、英語での感情表現が絶妙で、美しささえ感じる。

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「単語耳1」を実践する

英語耳シリーズの中でも最もスパルタ学習なのが、こちらの「単語耳」(1巻~4巻)。英語の子音・母音の反復練習を徹底的に行い、英単語の反復練習もこれまた徹底的に行うという学習内容。

私は現在2巻を学習中なので、ここでは1巻についてのみ記載する。

スパルタだけあって、英語耳シリーズの中で最も学習効果が高かったのは、こちらの「単語耳」だった。徹底して発音の反復練習を行うので、真面目に取り組める方ほど飛躍的に発音が良くなる。

例えば、「単語耳」第1巻の実践編では、英語の子音と母音を各100回(!)ずつ発音する。
[s]音・[p]音・[r]音など英語を構成する1つ1つの母音・子音を短期間にこれほどたくさん聴いて発音すると、恐ろしく発音が矯正される。特に著者が最重要だと指摘する[s]音については、舌を上の歯の裏に付けることも、強い息を当て鋭い摩擦音を出すことも、ごく自然にできるようになったので、今では普通に発音していても、[s]音なら半径3~4m先まで聞こえるんじゃないかと思う(笑)

各音の発音回数が40〜50回の頃は、洋楽を口ずさむ際「随分発音が良くなったなあ」と思っていたが、発音回数が70〜80回を超えたあたりからは、発音が矯正されすぎて、「これは自分の声だろうか…」と感じるようになった(笑) 自分の声とは思えないくらい、英語を発する声が美しい。なかなかに怖い境地である。

「単語耳1」の書籍に「正」の字がたくさん書かれている写真。第4章の[t][d]のページが開かれている

↑ 書籍に「正」の字を書いて、発音した回数をカウント

なお、弊害として、「単語耳」第1巻をやり込んだ後、日本語ネイティブの歌手が歌う英語詞の歌が、発音が下手すぎて聴くことができなくなった(笑) 歌詞の音が美しく聞こえないので、好きなバンドの曲でさえ、聴いていてイラっとする。代わりに、カーペンターズなど英語ネイティブで発音の美しい歌い手の良さが、心から理解できるようになった。

単語耳第1巻は修了したものの洋書の読書量はまだまだ足りていないので、ニュース英語などスピードの速い英語は、半分から3分の2くらい理解できる程度。「ちょっと速いな」「もう少しゆっくり話してくれると嬉しいな」とは感じる。YouTube動画は、自分の仕事の分野ならほぼほぼ理解できるようになった。
単語耳第1巻は非常によく使う英単語が揃えられているので、日常英会話に効果大(でも英語の電話は未だに怖いが…)。難しい単語や専門用語は、単語耳第2巻以降で学習するのでまだ発音し慣れない感じ。洋楽は初めて聞く曲だと、断片的に単語や文が聴き取れて意味が分かる程度。

ただ、サーバやデータベースについて英語のwebサイトを時々仕事で読むが、TOEIC850を取った数年前と比べ、読む速度が速くなった。目視で読んでいる時も、脳内で英語の音が鳴っている。その証拠に、読めない(音の分からない)単語に出くわすと、走っていてつまづいた時のように、読むスピードががくっと落ちる(笑)

今のところ、技術系英語の読解速度はチーム内で私が最速なので、こういったところにも英語耳シリーズの効果が現れているんじゃないかな、と感じる。

「単語耳1」の書籍にオレンジやピンクのラインマーカーが引かれている写真。「正」の字がたくさん書かれている。

↑ 発音下手な英単語はどんどんカラフルに…

なお、補足として、私は単語耳1巻の学習中、数年に渡って学習を中断している。単語耳1巻の学習を再開した際、英語を10分以上発するだけで疲れるほど英語口(?)の筋肉は衰えていたが、不思議と[s]音や[t]音の発音方法は忘れていなかった。ただ、舌の筋肉が落ちすぎて、[r]音の発音は非常に下手になっていた(笑)

学習の中断を挟んでも発音の仕方は忘れなかったので、学習の中断はさほど恐れなくていいのではないかと思う。落ちた口の筋肉は、毎日英語の発音をしていたら1ヶ月で回復したので、後からすぐに取り戻せる。
忙しい時は学習を中断し、時間ができたら再開する。そうした自由さも、「英語耳」シリーズは許容してくれるようだ。

素朴な疑問 ~100回の発音練習は必要か~

英語耳シリーズに取り掛かる方に高い壁として立ちはだかる、「発音100~300回」という膨大な練習量。「50回でもいいんじゃないの?」「何とか30回に減らせない?」と思われた方も、私を含めそこそこ多数いらっしゃるんじゃないかと思う(笑)

英語耳シリーズを学習しながら感じた個人的な感覚としては、「英語の発音練習は少なくとも50~60回は必須」「80回以上できると望ましい」という感じだった。
発音回数ごとに体感したことを書くと、下記のようになる。

  • 発音0~10回
  • 英単語を何とか正確に発音するので精一杯。単語の意味や音節の切れ目や語源は、意識する余裕がない。
    発音や英単語が身体に定着するには程遠く、咄嗟に口をついて英語が出てくる….なんてことは当然ない。

  • 発音10~30回
  • 単語の発音が少しなめらかになり、多少の余裕が出てくる。英単語の意味が少しずつ頭に入り始める。
    発音記号を見ながらでないと、英単語が正確に発音できない。無意識に口をついて英語が出てくるのは、まだ先。

  • 発音30~50回
  • 頻出の[s]音や日本語に音の近い母音は上手に発音できるようになってきたが、[r]音・[əː]音はまだまだ苦手。
    口や舌がついてこずにつっかえる上、口が大変疲れる。
    単語の意味は頭に入った。

  • 発音70~80回
  • どの音もかなり綺麗に発音できるようになり、英単語を発音することが楽しくなってくる。
    成果が目に見えて出始め、英語を発音することが楽しいので、自主的に練習量が増える。
    ただ、英単語の表示順を変えられたりすると、[r]音と[l]音を発音し間違えたりする。

  • 発音90~100回
  • 完全に無意識に英単語が発音ができる。長時間英語を喋っても疲れない。
    発音記号が書かれていなくとも、即座に正確な発音ができる上、発音しながら脳内で英語以外のことを考える余裕がある。

なお、苦手な発音記号・英単語については、発音100回でも習得しきれなかったことも付け加えておく。
私は[ɑ]音と[ɔ]音が苦手なのだが、この2つを正しく発音することは、「単語耳1」で発音100回を修了した後でも自信が持てなかった。仕事等で実際に英語を使う際発音の正確さに気を配っている暇はないので、苦手な音・苦手な英単語については、100回を超える発音練習を行ってもいいと思う。



最後に ~英語耳シリーズの効用~

英語耳シリーズを学び始めてから感じたのは、今までやっていた文法・リスニング中心の学習方法は少し不完全だった、という事実だった。

今までの学習法では、高校時代に英文法を詰め込まれ、大学時代には隙間時間で英語を聞き流して1000時間以上をリスニングに費やすことで、英語を英語のまま理解する英語脳を作ることには成功していた。

が、お酒に酔ったり周囲に雑音が多くなったりすると、英語が聞きとりづらくなり、「今まで割と英語の勉強をしてきたのに、何で聞き取れないんだろう? あと何をすればいいんだ?」と少々深刻な(=仕事に差し障る)問題を抱えていた。

「英語耳」で学ぶと、こうしたよくある問題への解決の糸口が見え、心の負担が減り、前向きな気持ちが蘇ってきた。日本で英語を学び、英語で異国を学ぶことは、雲の上へと続く長い階段を上っているようなものだが、心の負担が減ると、不思議と先が見えなくとも歩き続けることができている。

英文法も英語の多聴も勿論大事だが、先入観なしに学習方法を矯正して再び英語にアプローチする大切さを、英語耳から教えて頂いたように思う。