ラダーシリーズ(ladder series)で洋書の多読に挑戦

英語の多読入門者レベル(=私)の方向けに、適した本が見つかった。ペーパーバックより読む分量がぐっと少なく、巻末には本に出てくる英単語の意味を載せた単語集まで付いている。

ladder seriesの説明

Ladder(はしご)を一段ずつ上るように、自分の語学力に適したレベルから始めて徐々に上のレベルを目指していけるよう、掲載する英単語数を調整してある入門者向けの洋書

レベルは最も簡単なレベル1から最難関のレベル5までの5段階に分かれており、それぞれのレベルで小説からノンフィクションまで幅広いジャンルの読み物が用意されている。
各レベルの難易度は、下記の通り。

難易度 詳細
レベル1 中学校で学習する単語 約1000語
レベル2 レベル1の単語 + 使用頻度の高い単語 約300語
レベル3 レベル1の単語 + 使用頻度の高い単語 約600語
レベル4 レベル1の単語 + 使用頻度の高い単語 約1000語
レベル5 語彙制限なし

ラダーシリーズを使用するメリット

「ラダーシリーズ」という子供向けの良い洋書がある、というのは以前から耳にしたことがあった。が、「20歳を過ぎてから子供向けの本を読むのもな…」と思い、試しもしないまま、数年が経ってしまっていた。

洋書で読みたい本が無くなった時、気まぐれにラダーシリーズを試してみたら、利便性が高い上に大人が読んでも十分面白かったので、過去の自分に説教したい気分になった(笑)

自分の語学力に合った本を選べる

どのレベルを選ぶかは後ほど詳しく説明するが、自分の語彙力・文法力・読解力に応じた本を簡単に選べるのは、英語学習を続ける上で非常に重要&魅力的。
一般的な洋書(ペーパーバック)買ってしまうと、

  • 日本の文庫本より洋書の方が値段が高い
  • 自分の語学力より洋書の難易度の方が高い(ことが多い)
  • 読む量が多すぎて、読み終わる前にやる気が無くなってしまう
    • などの弊害が出てしまい、洋書多読が続かない遠因になっていた。kindleなどの電子書籍を活用しても、上記の弊害は一部残ってしまう。
      我が家にも、一時の気まぐれで購入し結局読み終わらなかったペーパーバックが、5冊以上転がっている…。

      本文で使用されている英単語の意味が巻末に記載されている

      いちいちiPhoneで単語の意味を調べずとも、巻末の単語リストを開くだけで済むので、ストーリーから離れる時間が短くて済み、読書に集中できた。特にラダーシリーズのLevel 1~2は、掲載されている全ての単語の意味が巻末に載せられている。
      Level 3~5では、難易度の高い単語のみ抜粋して巻末に掲載されているが、日本人が困りやすい単語が網羅されているようで、Level 4の本でも98%くらいまで巻末のWord Listだけで事足りた。

      ジャンルが幅広い

      おとぎ話からビジネス書まで用意されているので、仕事で手っ取り早くTOEICのスコアを上げたい方は、「スティーブジョブズ」や「日本の経済」などの本を選ぶことができる。反面、私のような小説大好き人間は、「ルパン傑作短編集」やら「ジェーン・エア」ばかりを読み進めることもできる(笑) 

      もう少しビジネス書が用意されていると、大人も手に取りやすくなるな、勿体無いな、とは個人的に思う。

      持ち運びが楽

      語学学習は継続が命なので、続けやすいに越したことはない。ラダーシリーズは日本の文庫本をより縦のサイズが少し長いのだが、厚さは1cm程と文庫本と変わらないので、何処にでも持ち運べて、隙間時間を洋書多読に使うことが出来た。

      活字が大きい

      ペーパーバックより活字が大きいので、どんどん読み進めることが出来、「あとまだこんなに読まないといけないのか…」と悲観的になることが少なかった。

      ラダーシリーズでどのレベルを選ぶか

      TOEIC 850&多読未経験者の私の場合、ラダーシリーズのLevel 3が丁度辞書を引かずに楽しく読めるレベルだった。これまでそれなりに英語を学んできた方だと自負していたのに、快適な読書レベルがlevel 4ではなくlevel 3だったので、なけなしのプライドは少々傷付いた(笑)

      ラダーシリーズのLevel 1

      未読なので割愛。

      ラダーシリーズのLevel 2

      単語の難易度が低く、全単語が巻末のWord Listに掲載されているので、するする読み進めることができた。
      Level 2は単語が易しい分、登場人物の気持ちなどをきめ細かく描写するのは少し苦手のようだった。また、comeなどの平易な単語を用いた熟語がそれなりに多い、という印象も受けた。(英熟語の意味も、巻末の単語集に掲載されている)

      意外にも、読書の速さはLevel 2でもLevel 3でも大差なかった。(=日本語を読む時の30~50%くらいの速さ)
      国際会議を取り仕切ってらっしゃる方の著書で「難しい単語を知ることより、haveやcomeなどで作られた平易な文章を数こなすことが大事」と書かれていたのを読んだ覚えがあるのだが、「あえて低めのLevelの本をたくさん読む方が、読解スピードのアップに繋がるかもしれないな」とLevel 2を読んでいて感じた。

      自分が最も楽しめるのはLevel 3だったが、当面はLevel 2とLevel 3の両方を読んでいこうと思う。

      ラダーシリーズのlevel 3

      既知の単語も多かったが、数ページに1つくらいずつ見知らぬ単語が出てきた。読むことへの心理的負担はほぼなく、仕事の昼休みを使って、とても楽しく読み終えることができた。

      英単語数が増える分、心理描写や話の展開も盛り上がってくるところが嬉しい。読書の速度等を忘れて読書に没頭し、純粋に読むことを楽しめたのがLevel 3だった。

      今まで読んだラダーシリーズの中で、Level 3の「怪盗ルパン傑作短編集」が一番面白かった。アルセーヌ・ルパンの幼い頃の話や、著者がルパンが出会うきっかけとなった事件など、1つ1つのストーリーが濃く、短編であることさえ感じさせなかった。
      次に面白かったのが「シャーロックホームズ傑作短編集」。短編で読みやすいこともさることながら、ミステリを解き明かしていくところが面白い! 1話目を読み終えた後しばし呆然とするほど、のめり込んで読んでしまった。

      レベル3にはほかにも「風とともに去りぬ」など読み応えのありそうな書籍が目白押しなので、1冊ずつ読了していくのが楽しみだ。


      ラダーシリーズのLevel 4

      1ページに1~3つくらい分からない単語(「magistrate(行政官)」など)が出てくるので、読み始めは少々辛かった。Chapter 6(第6章)を過ぎた頃から単語や文体に慣れてきて、読書に集中出来るようになった。
      ところどころ単語を調べながら読むことになるので、読むスピードは遅め。

      Level 4では、ドストエフスキー「罪と罰」とチャールズ・ディケンズ「オリバー・ツイスト」を試した。
      「罪と罰」は英語以前にロシア語の登場人物名を覚えるのに苦労しすぎて、あえなく読書中断となった(笑) 世の理不尽さを強く感じるようなストーリーで、Chapter 1(第1章)から引き込まれるような魅力は伝わり、結局読書中断した後も続きが気になりすぎて、日本語訳の「罪と罰」書籍に切り替えて読み進めた。

      「オリバー・ツイスト」は英国の話なので、gentleman=スーツと黒帽子を隙無く着こなした紳士、というように場面場面を想像しやすく、読みやすかった。
      わずか9歳のOliverが、自らの運命に翻弄されUpper階級(上流階級)とLower階級(下流階級)との間で浮き沈みを繰り返す様は、読んでいて切なくはらはら。読書の最初はまたしても難単語にやられ、読んでいて苦痛を感じたが、ラストが近付くにつれ面白さが加速し、読後この本の筆者チャールズ・ディケンズが英国を代表する作家の一人に数えられる理由に納得がいった。

      レベル4にはこのほかにも、アガサクリスティの不朽の名作「オリエント急行殺人事件」やスティーブジョブズの伝記などが出版されている。

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      ラダーシリーズのlevel5

      未読なので、感想は割愛。

      レベル5に至ると、マイクロソフト社を作った「ビルゲイツ」氏、車椅子の物理学者として有名な「スティーブンホーキング」氏など、著名人の伝記が多く出版されている。西郷隆盛の伝記や新渡戸稲造「武士道」など、英単語の選択が難しそうな幕末~明治期を題材にした作品も、レベル5であれば読めるようだ。
      個人的には、ビクトル・ユーゴーの傑作「レ・ミゼラブル」がレベル5にあるので、これは是非とも読みたいと思っている。