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Vintage Waxでパーキンソン病患者の家具・建具をメンテナンスする

パーキンソン病とは、自分の意志に反して手足が震え、次第に身体が動かしにくくなってしまう難病だ。
治療方法が未だ確立されておらず、薬で症状を抑えて生活することになるのだが、「瓶の蓋が開けられない」「個包装のビニール袋が手で破れない」「薬のように小さなものをよく落とす」「ニンジンなどの固い野菜が切りづらい」「引き出しが開けにくい」「歩く速さが遅い」「段差のないところで転倒する」等々、日常生活の何気ない部分に結構な数の支障が出てくる。

我が家は築40年以上の日本家屋で、古い木製の家具や建具が多く、重くて開きにくい木の扉や引き出しが相当数ある。木材用のワックスやクリームを使って家具と建具の動きをスムーズにし、パーキンソン病の患者でも独力で負担なく家屋や家具を使えるよう配慮することにした。

VintageWax(クリアー)の蓋を開き、正面から撮影した写真。山吹色のワックスが画面左に写っている。

↑ 使用したVintage Wax。お色は「クリアー」で、蓋&内蓋を開くとこんな感じ。

使用した木材用ワックス「Vintage Wax」とは

本来は、木工製品や木製家具の風合いを変えるために塗る、木材用のワックスのこと。
ビンテージワックスと言う名前の通り、木製製品に塗ると木の色合い・風合いが変わり、ビンテージ風のクラシカルな雰囲気を醸し出せる。

ただ、私自身はVintage Waxのビンテージ感をまるっと無視し、木製製品の滑りを良くするために、主に使用している。

販売されている色は、クリアー・チーク・ウォルナット・エボニーブラックの計4色。(2022年現在)
どのお色も製品サイズは1個160gの一択で、お値段は1個2100円くらい。
お近くのホームセンターや、東急ハンズなどの雑貨店で購入できるが、メルカリやamazonでも取り扱いがある。

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製造元(ニッペさん)のwebサイト

vintage waxを製造されているニッペさんが、特設のwebサイトをご用意くださっていたので、下記にリンクを掲載。
ヴィンテージ風に塗り上げる動画などが公開されている。

ニッペホームプロダクツ WOOD LOVE
https://www.nippehome-online.jp/woodlove/wax.html

Vintage Waxを塗布した箇所

ワックスを塗布したもの 塗布した箇所 塗布回数 おすすめ度 備考
箪笥たんす(木製) 各引き出しの側面・底面、箪笥たんすの内側 2回 重くつっかかりのあった引き出しが、指1~2本分の力でスッと開く
和室の襖縁ふすまぶち 襖縁ふすまぶち(木枠) 1回
和室の敷居・鴨居 襖と木材が接する部分 1回 襖や引き戸が軽い力で開くように
書斎机(木製) 各引き出しの側面・底面、机の内側 2回 インク汚れやキズが目立たなくなり、引き出しもスムーズに開く
箪笥(とう) 各引き出しの側面・底面、箪笥の内側 1回 元々軽いとうの引き出しが更に軽くなった

木製家具で、引き出しや引き戸が付いている部分に、ことごとくビンテージワックスを塗布した。居間や患者の寝室など、パーキンソン病患者が日常的によく使う家具は、特に念入りに2回以上ワックスを塗り重ねた
1回の塗布にかかる時間は、引き出し1つにつき20~30分。真面目に2度塗りすると、箪笥1棹たんす さおで数日間から1週間ほどかかる。

また、ふすまや木製扉など、木と木が触れ合うタイプの建具についても、木と木の接触部分全てにビンテージワックスを塗り尽くした。

VintageWax(クリアー)を木製家具に塗布している写真。写真手前のワックスを塗布した箇所だけ、木材の色が深くなり、木目がくっきりと目立つようになっている。

↑ 木製家具にVintage Wax(クリアー)を塗布。クリアーを1度塗布するだけでも、木材の色みに相当な深みが出る。

Vintage Waxはどのくらいの量が必要か

160gのVintage Wax 1個で、タンス5~6台分を塗ることができた。私はタンス内部の木と木の接触部分のみにVintage Waxを1~2度塗りする方法で使っているので、この方法であれば結構たくさんの家具に塗りこむことができる。
家具の木部全てにVintage Waxを塗る方法であれば、2~3倍の量のワックスが必要だろうと思う。

木製家具と木製の建具すべて込み込みで、2世帯住宅の日本家屋に対し、Vintage Wax 2個で何とか足りた。

Vintage Waxの使い方

事前に必要なもの

5cm×10cmくらいの大きさの、汚れてもいい布(ウエス)が1~2枚必要。着古した綿100%のTシャツを小さく切って用いてもいいし、使い古しのハンカチや靴下を、裂いて転用してもいい。
Vintage Waxを塗ると、住宅の埃やワックスで布がすぐに汚れてしまうので、布は数枚ある方が望ましい。

ワックスの塗り方

ワックスの蓋を捻りながら開くと、ビニール手袋と説明書に加えて、内蓋がついている。説明書を読み、ビニール手袋をはめて、内蓋を開く。

  1. 利き手で布を持ち、小さじ1杯くらいのワックスを布にとる
  2. 布を木製製品にあてて、製品の木目に沿って、こするように塗り込む
  3. 換気を十分に行いながら、1日以上放置してワックスを乾かす
  4. ワックスを塗りこんだ部分を、乾いた布で木目に沿って拭き、余分なワックスを落として木材表面にツヤを出す
  5. 必要に応じて、乾いたワックスの上からもう一度ワックスを塗り込み、乾かしてから乾拭きする(重ね塗り)

ワックスを塗り終わったら、早めに石鹸で手を洗うことを忘れずに。ワックスを使うと手がベタベタになるので、住宅を汚す恐れがある上、喉や気管支などの呼吸器にもいい影響を与えない。

VintageWax(クリアー)を至近距離で撮影した写真。山吹色のワックスの質感がはっきりとわかる。ワックスには木くずが含まれており、黒っぽいごみのように見える。

↑ ワックスの質感はやわらかく、ジャムのような感じ。オイルを含んでいるので、テカリがある。黒っぽく見えるものは木屑。

Vintage Waxを使った感想

Vintage Waxは、元々は木製家具の表面塗装のためのお品だが、木製家具の内部や引き出しの側面に試し塗りしてみたところ、Vintage Waxが潤滑油として高い性能を発揮してくれることに気づいた。
亜麻仁あまに油や他社製品の木部用みつろうクリーム等も家具の引き出し側面に試し塗りしていたのだが、何故かVintage Waxを塗った時が、最も引き出しの滑りが良くなった。

どのくらい滑りが良くなるかというと、片手で「よいしょっ」と開いていた引き出しが、指1~2本分の力だけで「すいーっ」と滑るように開くようになる。あまりに滑らかに開いてくれるので、引き出しを開くこと自体に、何故か快感を感じるようになる(笑) Vintage Waxを木製家具に塗り始めた当初、用もないのに日に何度も引き出しを開け閉めしては、すいすいと開く心地良さに浸っていた(笑)

Vintage Waxの取り扱い説明書を撮影した写真。細かい文字で注意書きが書かれている。

↑ Vintage Waxに同封されていた説明書

パーキンソン病を患うと手足に意図せぬ震えが出るので、薬で症状を抑えていても、どうしても細かい作業や力の要る作業が不得手になる。(パーキンソン病に限らず、高齢者は全般的にそうなのかもしれないが) それでも、パーキンソン病患者でも自分のことは自分でやりたいようだし、自分でやるほうが病気の進行を抑えることにも繋がるので、居住環境をパーキンソン患者が動きやすいように整えていくことにした。
Vintage Waxを自宅中に塗り尽くし、全ての木製製品や建具がスムーズに開閉できるようにしているのは、その一環である。

Vintage Waxを塗り尽くすのは非常に骨の折れる仕事だったが、結果的に築40年の日本家屋全体が、パーキンソン病患者に限らず、老若男女に使いやすいものへと変わっていった。

Vintage Waxに同封されていた取り扱い説明書を撮影した写真。細かい文字で注意書きが書かれている。

木工用ワックスを塗る前には全く意識していなかったのだが、建具や引き出しが開きにくいと、無意識にその部屋やその引き出しを使わなくなってくる。
ので、つい手近な棚や机の上に物を出しっぱなしにしてしまい、家が散らかる一因になる。散らかったものを片付けるため、別のタンスや棚を買い足したことさえ過去にはあった。

家中の全ての建具・全ての引き出しが片手ですいすい開閉できるようになると、家族全員が家のすみずみまで使うことができるようになり、自宅が散らかりにくくなった。

パーキンソン病を患う家族も、自分の身体が思い通りに動かないため、置きやすい机の上などついつい手近なところに物を放置しがちだったが、Vintage Waxを塗布済みのタンスや事務用品入れを使い始めてからは、とりあえず引き出しの中に物を仕舞ってくれるようになった

引き出しの中は、程よく整理されている引き出しと、未整理のままとりあえず突っ込んである引き出しと、半々くらいの割合になったが、部屋が乱雑に見えなくなり家族全員がストレスなく動けているようなので、ひとまずこれで良しとした。

↑ Vintage Waxの説明書を撮影した写真。VintageWaxの塗り方の前半部分が、写真付きで掲載されている。

↑ 付属の説明書に載っていたVintage Waxの塗り方(前半) 背景に写り込んでいる木の板は、Vintage Waxを塗りこんだもの

引き戸や襖縁などの建具へのVintage Waxの塗布することも、住環境の機能性をアップさせる効果があり、全ての部屋の扉が軽い力で開閉できるようになった。

ただ、建具については、ワックスを塗布するだけでは不十分で、引き戸・襖の底部についている戸車のメンテナンスも併せて必要だった。
戸車が巻き込んでいた埃の塊をつまようじで取り除き、敷居や襖縁ふすまぶちに木材用ワックスを塗りこんだ後、戸車にもワックスを塗布してしまうと、かなりスムーズに動くようにはなった。特に引き戸については、両手を使ってもなかなか戸が開けない…ということは一切なくなった。

Vintage Waxの付属の説明書を撮影した写真。Vintage Waxの塗り方の後半部分が写真付きで掲載されている。

↑ Vintage Waxの塗り方(後半部分)

なお、ワックス塗布済みの木製家具に慣れてくると、ボックス型のプラスチックケースを使う頻度が急激に下がった。プラスチック製の家具の方が軽くて扱いやすそうに思えるのだが、実は木製家具よりプラスチック家具の方が、引き出しが開きにくかった。

また、パーキンソン病患者に限らず高齢者は転倒すると骨折しやすいので、転倒が命取りになるのだが、プラスチック製家具は軽くてグラグラするので、とっさの場合につかんで高齢者の身体全体を支えるには不向きなようだ。
身内のパーキンソン病患者も、がっしりした木の椅子やびくともしない木製のテレビボードなどを好んで使って、つかまり立ちすることが多い。

木部用ワックス「Vintage Wax」クリアータイプの、容器側面を撮影した写真。容器は白くて軽いプラスチック製で、茶色いラベルが貼られており、原材料が表示されている。

↑ Vintage Waxの容器側面に原材料が印刷されている

Vintage Waxを塗布する際の注意事項

Vintage Waxは、値段が手ごろで気兼ねなくたっぷりと使える反面、今まで使った木部用ワックス・クリームの中で、一番取り扱いが難しかった。

「クリアー」でも、色みが大きく変わる

Vintage Waxの「クリアー」は、パッケージを見ると無色透明に近い色合いに見えるのだが、クリアーにも顔料が含まれており、塗ると結構な頻度で木の色が濃くなる。木の種類によっては、木が水に濡れたような濃さではなく、明らかに2~3段階濃くなってしまうものもあるので、クリアーを使われる際にはご留意を。

個人的には、もう少し無色透明で木の色みを変えないワックスがあると、白木や貴重品にも塗布できて使いやすいだろうな、とは思う。

VintageWax(クリアー)を木製家具の引き出しに塗布して撮影した写真。木材の上半分に木工ワックスが塗布されており、その部分だけ木材の色が濃くなっている。

↑ 木製家具の引き出しの側面にVintage Waxのクリアーを塗っているところ。

塗布時と塗布後1週間は臭いがひどく、咳き込むこともある

私が使用したのはVintage Waxクリアーのみだが、塗布する際と塗布した後1週間ほどは、ワックス特有の臭いがかなりある。Vintage Waxを塗布したばかりの部屋に入ると、必ず鼻につく異臭を感じる。

Vintage Waxは何らかの物質の揮発量が多いのか、気管支喘息を有する私は、ワックスを長時間塗布し続けることができなかった。軽く窓を開ける等の換気は行っていたつもりだが、マスクもつけずに数時間塗布していると、咳や痰が増え、最終的には激しく咳き込む羽目になった

また、塗布後1週間くらいは揮発量や臭いが結構きつい。私は何も考えずに自室からワックスを塗布してしまったので、塗布後1週間自室で眠ることができなかった(笑)
Vintage Waxを塗布した後の部屋に長く滞在すると、眠っていても咳き込むので、その部屋で眠ることができなくなる。

塗布後に24時間窓を開けたままで数日間放っておくと、臭いが収まり、咳き込むこともなくなり、再び部屋で過ごせる状態に戻った。今はVintage Waxの塗られた箪笥や建具を眺めながら自室で過ごし、そのまま眠ることもできている。

自室にワックスを塗ったのは晩秋だったが、気温の低い晩秋でもこのような状態になったので、揮発量の増える夏場に、広い面積を塗り始めるのは避けた方がいいかもしれない。気温が上がれば上がるほど、空気中への揮発量は増えるため、臭いもひどくなるだろうと思う。

木材用ワックスを塗布する際の、その他の注意事項

時間と手間がかかる

木製家具に木工用ワックスを塗布するのは、それなりに手間と時間がかかる作業である。家具1台だけで、数日から1週間かかり、重ね塗りするなら単純に倍の時間がかかることを想定しておきたい。

2世帯住宅の家中にワックスを塗布するには、1か月では到底足りなかった。3ヶ月以上かかると想定して、気長に取り組んであげて欲しい。非常に時間を要する作業だが、一度塗ってしまえば、その後数年から数十年は日々の生活が楽になるので、頑張る価値はあるとは思う。

利き手に棘が刺さる

引き戸に塗布する場合に多いのだが、布ごしであっても木のとげが指に突き刺さることがあるので、乾燥のひどい木材に塗布するときには注意が必要。

私は右手人差し指で塗る癖があるのだが、VintageWaxを2個使い切るまでの間に、3回ほど人差し指にとげが刺さってしまった。約6mmの棘が深く刺さってしまったときは、棘抜きを使って1時間近く格闘しても、棘が抜けなかった。
困り果ててイボ・タコ用の絆創膏を1週間貼ってみたところ、皮膚がふやけて、周囲の皮膚ごとはがす方法で何とか抜くことができた。

棘が抜けるまでの間、右手でパソコンを打つたびに軽い痛みが走っていたので、仕事にも多少の支障が出たことをお伝えしておく…。

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木工用みつろうクリームで築40年の和室をメンテナンスする

「木工用みつろうクリーム」はお手頃価格なのに仕上がりが良すぎて、購入後1週間で10g缶使い切ってしまった(笑) 2缶目に200g缶を購入し、築40年の家屋を家中塗り倒しているので、製品をご紹介したい。

木工用みつろうクリームの蓋を開け、真上から撮影した写真。黄色いクリームの右横に、みつろうクリームを塗られたかまぼこ板が写っている。

↑ 購入した木工用みつろうクリーム(10g)

製造元(尾山製材さん)のwebサイト

製造元の尾山製材さんが、みつろうクリームのwebページを用意下さっている。最新情報をお知りになりたい方は、こちら↓からどうぞ。みつろうクリームの購入も可能。

尾山製材 木工用みつろうクリーム
http://www.oyamaseizai.com/portfolios/%E6%9C%A8%E5%B7%A5%E7%94%A8%E3%81%BF%E3%81%A4%E3%82%8D%E3%81%86%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0-2/

木工用みつろうクリームの説明

木材に潤いを与え、つやを良くし、木材を乾燥やキズから保護してくれるクリーム。木製製品や和室の木の部分に塗ることができる。
蜜蠟みつろうと呼ばれる蜂の巣を構成している天然素材と、菜種油・亜麻仁あまに油などの自然由来のオイルから作られている。

金属製の小さい缶に入れられた姿で売られており、10g・40g・200g・400gとさまざまなサイズから選べる。
購入できる店舗は、東急ハンズ等の小売店。(コーナン等のホームセンターでも購入できるかもしれないが、未確認)

 木工用みつろうクリームをかまぼこ板の上部だけ塗布した図。塗ったところだけ、木目がはっきりとしている。

↑ 木工用みつろうクリームを、かまぼこ板の上部だけ塗布した図。塗ったところだけ、木目がはっきりと浮き出て美しい

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みつろうクリームの塗り方

準備するもの

10cm×5cmくらいの大きさの、汚れても構わない布が2枚必要。綿100%の古いTシャツを小さく切ったものや、使い古しのハンカチなどでok。
布の色は何色でもいいが、白やベージュなどの薄めの色だと、クリームを塗った後布の繊維が木に残っても仕上がりが綺麗。

塗り方

私は下記のような手順で塗っている。

  1. みつろうクリームの缶を左手で持ち、蓋を開ける
    手のあたたかさで缶があたためられ、クリームが少し溶けて取りやすくなる
  2. 1円玉の4分の1くらいの量のみつろうクリームを、古布に取る
  3. 古布で木を擦り、クリームを木に塗り広げる
    この時、手のあたたかさでクリームを伸ばしながら塗ると、少量でよく伸びてくれるので効果的
  4. 30分~1時間くらい時間をあけて、塗ったクリームを乾かす
  5. クリームを塗った部分を、乾いた布でよく拭き、つやを出す

手順5の乾拭きは、時間のないときは割愛している。時間がある方は乾拭きすると、木材のきれいなツヤが出て輝きが増すのでおすすめ。

「木工用みつろうクリーム」の金属缶の蓋を開いたところを撮影した写真。薄い黄色のクリームが缶に入っている。缶の下には、みつろうクリームが塗られたかまぼこ板が敷かれている。

↑ 木工用みつろうクリームの蓋を開くとこんな感じ。クリームは薄い黄色に見えるが、塗るとほぼ無色に近くなる。

みつろうクリームを塗布できた場所

部屋 場所 おすすめ度 備考
和室(客間) 床、柱、押し入れ、窓枠、襖縁ふすまぶち、障子、神棚
洋室(書斎) 箪笥たんす
玄関 床(ウレタン加工)

木材の元々の色合いを大きく変えず、ツヤと木目の深みだけを出してくれる。仕上がりが非常にいいので、和室と相性抜群。「木工用」ではなく「和室用」と銘打って売り出した方がいいのでは、と一消費者が不遜極まりないアドバイスをしたくなるくらい、和室にぴったりだった。

築40年の日本家屋の障子の敷居に、木工用みつろうクリームを2度塗布した後の画像、敷居に木の色が戻り、ツヤが出ている。

↑ 築40年の家屋の敷居に、みつろうクリームを2度塗り。木目が美しく浮かび上がり、ツヤも出てきた

木工用みつろうクリームを使った感想

ひと塗りで圧倒的な仕上がり

木材用のワックスやクリームは、今まで「Vintage Wax」「Briwax」「木工用みつろうクリーム」「未晒し蜜ロウワックス」「アマニ油」の計5種類を利用させて頂いた。その中で最も仕上がりが良く、築40年の我が家と相性がいいな、と感じたのが尾山製材さんの木工用みつろうクリームだった。

木工用みつろうクリーム200g缶の蓋を開いた状態で撮影した写真。淡い菜の花色のクリームが、画面に写っている。

↑ 木工用みつろうクリームの200g缶。こちらは丁度片手で持てる大きさ。

どのクリームも、最初はかまぼこ板に試し塗りするところから使い始めるが、かまぼこ板の時点で美しさが圧倒的。たった1度の塗りで、木目が美しく浮き上がり、スーパーのかまぼこ板が大変上品になってしまった(笑)
あまりの仕上がりの良さに、塗布後のかまぼこ板を3日机の上に配置し、ことあるたびに美しい木目を愛でた。DIY好きも、ここまでくると阿呆である。

和室の柱や床など、面積が広くて人目につく木材を長期的にメンテナンスできるクリーム(またはワックス)が欲しかったので、ひと塗りで素晴らしく仕上がりがよくなる点に完全に惚れ込んでしまった。

木工用みつろうクリームの原材料・製造元が表示されている取扱説明書。茶色っぽく5cmに満たない小さな紙片で、折りたたんだ状態で写っている。

↑ 木工用みつろうクリームの成分表示

和室の柱から順に実際に塗ると、ひと塗りで木材の色はほんの少し色が濃くなる。手触りは、カサカサで毛羽立っていた木材が、少ししっとりとする程度。触り心地は良い。木材の表面をなでても棘が指に刺さらなくなるので、安全面も向上。ふた塗り目には更に一段色が濃くなるが、乾いてしまうと木材の色みに深みが出たように感じ、色の変化は好ましい方への変化かなと感じた。

ただ、白っぽい木でできたタンスで、クリーム塗布後明らかに白木の色から木材色に変わったものがあった。が、変色したというより、木材が樹木本来の色を取り戻したように見えた。全体的に少し黄みを帯びた色になり、ところどころ深い色合いに変わったが、こちらも個人的にはさほど気にならなかった。白っぽい木材がお好きな方は、目立たないところで試してから塗るなど、事前に注意頂いた方がいいかもしれない。

木工用みつろうクリームの取扱説明書を正面から撮影した写真。茶色っぽい紙片に注意書きが書かれており、みつろうクリームの小さい缶が写真に映りこんでいる。

↑ みつろうクリームの取扱説明書

人肌で溶ける固さ

また、これは個人的な好みかもしれないが、クリームの固さが絶妙。

木工用みつろうクリームは、冷蔵庫に保管してあるバターくらいの固さで、他の製品と比べるとやや固めにできているように思う。が、丁度人肌の温度でクリームが溶けてくれるので、塗る前に缶を手で握って軽くあたためておくと、クリームが溶け出して少量でするするとよく伸びてくれる。少量しか使わずに済むので、クリームのもちもいい。

やわらかすぎるクリームやワックスだと、季節によってはべたべたして手に付いてしまい、うっかり触った扉や家財を汚してしまうことがあったので、個人的にはこのくらいの固さが塗りやすく、好ましかった。

「木工用みつろうクリーム」の取扱説明書の裏面を撮影した写真。原材料や製造元が、茶色く折りたたんだ紙片に記載されている。

↑ 付属の取扱説明書(裏面)

塗りやすく、匂いがほぼない

塗布時の匂いは、ほぼなかった。無臭とまではいかないが、刺激臭は全くない。(但し、私は鼻が効かないほうである)
今まで試した中では、「Vintage Wax」は塗布時の匂いがかなり強く、窓全開&換気必須だったが、みつろうクリームは窓を開けずに2~3時間塗り続けることができるほど、塗布時の匂いが少なかった。

私は気管支喘息ぜんそくがあり、塗布時の匂いや物質の揮発量が多いと咳き込んでしまい、塗り続けることができなくなる。
咳が止まらなくなるほど症状がひどくなると、2~3日は咳や痰の量が増え、喘息ぜんそくが悪化してしまって困るのだが、尾山製材さんのみつろうクリームではこうした症状が全く出ず、その点でも大変助かった。

木製ワックスやクリームは定期的に塗り直しが必要なので、みつろうクリーム缶を安心して手元に置いておけるのは、とても有難い。

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BRIWAXを使用する上で注意すること (一時的な空気の汚染)

新品のBRIWAXを開封し半日ほど木製製品に塗ったら、その後小一時間咳が止まらなくなった。原因を探るべく、BRIWAXでの塗布中に、空気質測定器を使ってBRIWAX塗布中の空気に含まれるPM2.5と化学物質の濃度を調べてみた。

BRIWAXの缶をロゴが見えるよう正面から撮影した写真。蓋の近くに液だれの跡が茶色く残っている。
↑BRIWAX

BRIWAX塗布時の空気測定結果

上段がPM0.1, PM2.5, PM10の値。中段がホルムアルデヒドと総揮発性有機化合物そうきはつせいゆうきかごうぶつの値。下段が気温・湿度。
ホルムアルデヒド(HCHO)と総揮発性有機化合物(TVOC)が、厚生労働省や環境省の定める基準値(暫定目標値)を軽く振り切るほど、値が高かった。

空気質測定器を正面から撮影した写真。HCHOが1.662mg、TVOCが9.999mg、PM2.5が4μgと表示されている。背景にはニスを塗ったばかりの板とBRIWAXの缶が写り込んでいる。
↑ 屋外での空気環境測定結果

厚生労働省・環境省・WHO(世界保健機関)が定めた基準によると、

  • ホルムアルデヒドは、1㎥あたり0.1mg(=100μg)以下
  • 総揮発性有機化合物は、1㎥あたり0.4mg(=400μg)以下

であれば、長期的に吸い続けても健康に影響がないと知られている。

だが、BRIWAXの塗布中、基準値の数倍にあたるホルムアルデヒドと総揮発性有機化合物が検出された。

PM2.5は直径が2.5マイクロメートル(=0.0025mm)の非常に小さな粒子(粉塵)のことで、粒子が小さければ小さいほど身体の奥まで入り込み、呼吸器疾患や循環器系疾患などの原因となる。PM10以下の粒子は、1㎥あたり0.035mg(=35μg)以下であれば健康に悪影響がないとされているが、数回測ってもこちらは正常の範囲内だった。

BRIWAXは、吸い込むと人体に有害であり、十分に換気しながら塗布するよう、販売元サイトに注意書きが書かれている。
そのため今回の測定は、屋外か、室内で外へ繋がる窓1つと扉1つを全開にして扇風機を「中」で回した状態で行った。十分換気をしている環境にも関わらず、このような高い値が検出されたことに、非常に驚いた。

ホルムアルデヒド・総揮発性有機化合物とは

ホルムアルデヒドや総揮発性有機化合物は、シックハウス症候群の原因となることでも知られており、多量に吸うと身体を悪くする。

ホルムアルデヒドは、室内の空気を汚染する物質の代表格で、濃度が1㎥あたり0.5mg(=500μm)を超えると、眼や喉や気管支を刺激することで知られている。

揮発性有機化合物は、「揮発性がある」つまり常温で液体から気体に変わる有機化合物の総称で、こちらも室内空気汚染の目安となる。
総揮発性有機化合物は、トルエン・ベンゼン・フロンなどの各揮発性有機化合物の濃度を一定のルールに従って合計したもの。こちらも低ければ低いほど、空気環境は安全と言える。

どちらも、時間とともに空気中に拡散し濃度が下がるので、高濃度で検出された場合は、とにかく窓を開けて換気扇を回し、換気することが大切。
余談だが、新築したばかりの住宅で高濃度の揮発性化学物質が検出されると、24時間換気し続けることもあるらしい。十分な換気を3ヶ月程度続けると、ホルムアルデヒドやトルエンの濃度は半分から数分の一以下に下がるとのこと。

また、ホルムアルデヒドも総揮発性有機化合物も、気温が高ければ高いほど、揮発されて空気中の濃度が高くなりやすい。

私のように高濃度の化学物質を含む空気を吸ってしまった場合は、直ちに使用を中断して、屋外等でしばらく新鮮な空気を吸うといいとのこと。

BRIWAXを塗った後に激しく咳き込んだ理由

私がBRIWAXを塗布し咳込んだのは、気温30度を超える夏で、BRIWAXを数時間塗り続けた後だった。

気温が高いと、BRIWAXに含まれるホルムアルデヒド・揮発性有機化合物がより多く揮発し、空気中の有害物質の濃度が高くなりやすい。そんな環境でBRIWAXを長時間塗り続けると、高濃度のホルムアルデヒド・揮発性有機化合物を、長時間吸い続けることになる。

しかも私は気管支喘息の持病があるので、炎症が残っている喉や気管支が汚染された空気に真っ先にやられ、身体がホルムアルデヒド等の異物を少しでも体外に出そうとして、咳が止まらなくなったのだと推測される。

BRIWAX塗布後、どのくらい時間経てば安全か

塗られた面積や部屋の換気度合いにもよるので、何時間(何日)経てば安全かは、はっきりと明言できない。

新築の家の場合、建築当初化学物質の濃度が高いが、3ヶ月から6ヶ月ほど十分な換気を行えば、健康に害のない程度まで値が下がるそうだ。

ただ、BRIWAXは、塗布後1ヶ月以上を経過した頃に計測しても、ホルムアルデヒド及び総揮発性有機化合物の濃度が、基準値を超えているかギリギリ下回っているかというレベルでしかないことがあった。

以下、あくまで一個人の例として、実体験を述べる。

気温30度を超える日にBRIWAXの蓋を開けて放って塗布した際、塗布中は塗布している場所から2mくらい離れていても、空気質測定器のホルムアルデヒドと総揮発性有機化合物の値が極めて高く、空気測定器の出す「ピー、ピー」という警告音が鳴りやまなかった。
総揮発性有機化合物については、計測可能な値を振り切っている(「TVOC 9,999mg」のまま表示が止まっている)ことも多かった。

BRIWAXの蓋を閉めた状態で計測。蓋にBRIWAXが付着してしまっているためか、ホルムアルデヒドと揮発性有機化合物は基準値をオーバーしている。
↑ BRIWAXの蓋を閉めた状態で計測。蓋にBRIWAXが付着してしまっているためか、ホルムアルデヒドと揮発性有機化合物は既に基準値を大きく上回っている。

窓を開けて換気扇や扇風機を回す等の方法で十二分に換気しつつ、BRIWAX塗布後30分以上経って再び計測すると、塗布面から2m~3m離れた場所では、基準値を超えるような高濃度のホルムアルデヒドを検出しなくなった。
但し、塗布した面から10cm以内に空気測定器を近付けると、ホルムアルデヒド・総揮発性有機化合物ともに極めて高い値を計測し、警告音も復活した。

BRIWAX塗布から約1ヶ月経った頃に、改めて空気質測定器でホルムアルデヒドと総揮発性有機化合物の値を計測した。

木製扉の前で空気環境測定を行っている写真。扉は1ヶ月前にBRIWAXが塗布されたもの。TVOCの値は0.386mg/㎡と表示されている。
↑ BRIWAX塗布後1ヵ月後に行った空気環境測定

ホルムアルデヒドは0.056mg/1㎥で基準値(0.1mg/1㎥)の半分弱と正常だったが、総揮発性有機化合物TVOCは0.386mg/1㎥と健康に害のない暫定目標値(0.4mg/1㎥)ギリギリだった。

計測した場所は、下半分にBRIWAXを塗った木製扉の前。塗った面積によっては、総揮発性有機化合物の暫定目標値を超える場合も出てくるのではないかと思う。総揮発性有機化合物が目標値ギリギリでも、鼻につくような臭いは一切感じられず、機械で計測していなければ、私も扉の利用者も気づかなかっただろうと思う。

また、2ヶ月前にオイルステインとBRIWAXを数回重ね塗りして練習した木板も合わせて計測したところ、こちらはホルムアルデヒド・総揮発性有機化合物ともに、人体に影響がないとされる基準値をオーバーしていた。

BRIWAXと某社のオイルステインを重ね塗りし2ヵ月後に行った空気測定
↑ BRIWAXと某社のオイルステインを重ね塗りし、2ヵ月後に測定

BRIWAXよりも併用したオイルステインの方が、ホルムアルデヒド・トルエンをより豊富に含んでいた可能性はある。だが、この数値を見て私は、自宅を自らシックハウスに変えているようなものだと感じてしまった。

今後は、BRIWAXをトルエンフリーのラインナップに切り替えるか、オスモカラー等化学物質を一切含まない自然塗料に切り替えることに決めた。

人体への悪影響を防ぐ方法

最も手っ取り早いのはBRIWAX(オリジナル)を塗らないことだが、都合上トルエンフリーでないBRIWAXを使わざるを得ない方もいるだろう。
下記の項目に気をつけて塗布すると、気温が高くとも塗布時に咳が出ず、喉・気管支に違和感を感じることも少なかった。

  • 風の強い日を選んで塗る

台風到来の翌日に屋外でBRIWAXを塗布すると、風が強すぎて、ホルムアルデヒド総揮発性有機化合物ともに、値がかなり低くなった。磨く時に使うサンドペーパーや下敷きにする新聞紙が若干飛ばされそうになるが、乾きが早く、健康にも優しかった。

BRIWAX塗布中に空気質測定器を正面から撮影した写真。HCHOが0.064mg、TVOCが0.457mg、PM2.5が4μgと表示されている。背景にはBRIWAX塗布中の木の板とBRIWAXの缶と新聞紙が写り込んでいる。
↑ 台風襲来翌日に屋外での計測結果。ホルムアルデヒドは基準値以下に下がっている。
  • 風上で作業する

風上で塗布や磨きを行い、有害な化学物質やサンドペーパーの粉塵が風下へ流れるようにすると、人体への悪影響が少ない。風下に人がいないよう配慮することも忘れずに。

  • 窓を全開にする

少し開けるのではなく、全開に。空気の流れができるよう、2ヶ所以上窓を開けるとベター。ホルムアルデヒド等で汚染された空気を、少しでも多くの外気と換気できるよう配慮する。

  • 換気扇や扇風機を「強」で回す

風のない日は換気が十分行われないので、機械を使って空気の流れを作り、汚染された空気が新鮮な外気と混ざるようにする。送風機でもハンディタイプの扇風機でも、強い風を生み出してくれるものならOK。

  • 高性能のマスクを着用する

風のない日、市販の7枚200円程のペラペラのマスクでは、着用後1~2時間の塗布が限界だった。マスク着用していても喉に違和感を感じるようになり、それ以上塗布を続けられなかった。

私は喘息治療用に持っているウイルス対策マスクや3M社のN95マスクを利用すると、気管支への負担が少なかった。気密性が高いため少し息苦しいが、喉や気管支を守る機能はN95マスクの方が優れている。N95マスク着用時は、喉や気管支に違和感を感じず作業を終えられた。こうしたマスクは、コロナ禍以前はamazonや病院内にある医療用コンビニで1枚400円くらいで手に入ったが、今はさすがに少し値段が上がっているかもしれない。

高性能マスクをお持ちでない方は、マスクの紐を短く縛って密着度を上げたり、マスクを2枚重ねでつけるなどの工夫をすると、多少改善されるのではないかと思う。

  • BRIWAXの塗布と磨きは手早く行う

BRIWAXを塗り込む作業と、BRIWAXを塗り込んだ後ブラシで面を磨く作業は、できるだけ手早く行い、有害物質を吸い込む時間を少しでも短くする

  • 喉や気管支に違和感を感じたら、作業を終了する

気をつけて塗布していても、マスクを着脱する際に、揮発性の化学物質を少し吸い込んでしまうことがある。咳が出たり喉や気管支に違和感を感じたら、その日の作業はそこで終了することにした。

  • BRIWAXを塗布後、6時間以上十分に換気する

BRIWAXを塗布した後、塗布面にはホルムアルデヒドや総揮発性有機化合物が残っている。扇風機を「強」に設定してガンガン換気しても、ホルムアルデヒドや総揮発性有機化合物が正常値を下回るには、数時間かかった。
換気は、とにかく執拗かつ十分に行う方が良さそうだ。

  • BRIWAXは人体から離して保管

空気環境測定を行うまでBRIWAX(オリジナル)は自室の棚で管理していたが、人体に有害であることが分かったので、住居エリアから隔離して納戸に保管することにした。

地震等不慮の事故に見舞われても、人体に悪い影響が出ないよう、人から離れた場所に保管することを癖づけた方がいい。

BRIWAXメーカーの工夫

BRIWAXに「トルエンフリー」というラインナップを見つけた。トルエンは、先程紹介した総揮発性有機化合物の一種。トルエンフリーということは、トルエンを含まないBRIWAXということになる。

こちらの商品はまだ使ったことがないが、ナフサは含まれているそうなので、完全な化学物質フリーではない。ナフサは原油(石油)から得られる物質で、この物質からトルエンが生まれるらしい。(Google先生の受け売り)

半端なく高い値のホルムアルデヒドと総揮発性有機化合物を前に、BRIWAXの作り手も、手をこまねいているわけではないようだが、いずれにせよ、1度使って空気測定してみないと何とも言えないので、良し悪し使える使えないの判断は保留。

今回の計測に使ったBRIWAXと空気質測定器

空気質測定器

空気質測定器を正面から撮影した写真。取扱説明書とパッケージ(白い箱)も写っている。
↑ 空気質測定器

今回の計測には、Dienmernのハンディタイプの空気測定器を使用した。1万円前後で手に入り、軽くて、PM2.5は電源を入れた直後に、ホルムアルデヒドと総揮発性有機化合物も4分以内に表示される。

企業等は法律で2ヶ月に作業場の空気環境測定が義務付けられているが、そうした用途でも使用することができる機器と謳われていたので、正確な値が出るだろうと考え、こちらの機器を使用した。

BRIWAX オリジナル「ラスティックパイン」

BRIAXは、3ヶ月前に新品で購入した「ラスティックパイン」を使用。
BRIWAXにはオリジナルとトルエンフリーの2種類のラインナップがあるが、購入時はそれを知らず、オリジナルの方を購入した。

ラスティックパインを使って検出されたホルムアルデヒドは基準値の数倍から十数倍で、BRIWAXの他のカラーの製品にも塗布時に必ず換気するよう注意書きが記載されているので、ラスティックパイン以外のBRIWAXオリジナルでも同様と考え、注意頂いた方がいいと思う。

BRIWAXトルエンフリーはまだ使用したことがないので、どの程度の数値をはじき出すかは分からない。トルエンフリーを謳っているので、総揮発性有機化合物TVOCについては、恐らくオリジナルより低い値が出るだろうと思う。

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終わりに

BRIWAX ラスティックパインを塗ったかまぼこ板を上から撮影した写真。かまぼこ板は全体が茶色で、焦茶色の木目がところどころにはっきり見え、僅かに光沢がある。
↑ BRIWAX ラスティックパインを塗ったかまぼこ板

塗布後の仕上がりだけを見ると、BRIWAXはDIYに適した非常にいい製品に見える。手順通りに塗れば、かまぼこ板が高級家具顔負けの色ツヤに仕上がるのだから、世界中のDIY好きがBRIWAXの虜になってしまうのも無理はない。

反面、BRIWAXの仕上がりの素晴らしさに隠れて、BRIWAXを使用する上で注意すべき点は、十分に強調されていないように感じる。

空気の汚染による有害物質の曝露には短期曝露と長期曝露の2種類があり、数時間程度の短期曝露でも、人体に影響を与えることがある

BRIWAX「ラスティックパイン」の蓋を開き、斜め上から撮影した写真。金属製の缶の中に黒い液体が入っている。
↑ BRIWAXの蓋を開いたところ

子供や高齢者、それに私のような呼吸器疾患持ちは、高濃度または大量の有害物質に曝されると、健常者より早く身体を悪くしやすい。しかもこうした人は、世の中に一定の割合で存在している。

やむを得ずBRIWAXと末長くお付き合いしたいと考えるなら、永続的ではないにせよ大気を汚染する性質を持っていることは、頭の片隅に記憶しておくべきだろう。