気管支喘息の治療の心の支えになる本

喘息治療において、お役立ち度の高かった書籍をご紹介。
書籍は医師本人が著述しているものを選ぶと、情報の質・量ともに申し分ないので、時間やお金の許す限り、積極的に利用している。市立・区立の図書館で手に入る本を読むだけでも、喘息の治療と心の支えに大いに役立った。

身体がある程度快復してからも、気管支喘息もしくはアレルギーについて書かれた書籍は、仕事や家事の合間に細々とでも読むようにしている。医師の言葉は、喘息と日々闘う者にとって、灯台のあかりによく似ている。

自分がアトピー型気管支喘息(ハウスダストアレルギーとダニアレルギーに起因する喘息)なので、以下に紹介するおすすめ書籍も、それに関連するものが多い。

「灰田美知子のぜんそく最新治療」(灰田美知子 著)

著者:灰田美知子(医師)
出版社:主婦の友社
平成22年4月20日初版
定価1500円

今までに読んだ喘息関連の書籍で、最も納得感の高かった書籍

記載されている喘息の薬や検査の種類が豊富で、説明が分かりやすく、医師がどのように判断してこれらを組み合わせているのかがよく分かる。この書籍を読むと、主治医の判断や処方に対する裏付けが取れるので、主治医への信頼感が増した。

例えば、私は現在5種類の薬(吸入薬3種・内服薬2種)を処方されており、「こんなにたくさん飲んで大丈夫かな」と思うことがあった。だが、喘息発作を抑えるためには始めに徹底的に治療して徐々に薬の量を減らした方が治りやすいこと、各薬はそれぞれ異なる役割を持っていること、をこの書籍から学び、実際に発作の頻度が月1回未満に急減したことも相まって、「今のままの治療法でいいんだ」と納得することが出来た。

また、喘息や呼吸器疾患でよく用いられる呼吸機能検査も、疾病・症状によって結果グラフの形や傾きが異なることを、この書籍で初めて知った。呼吸機能検査は疾病を見分け、治療の不足している患部を見分けることにも利用されていたようだ。

なぜピークフローメーターを利用した方がいいのかという素朴な疑問から、喘息治療におすすめのスポーツ、医師と患者の関係構築まで、記載されている内容は幅広いが、喘息関連の書籍を7~8冊読んだ後に本書を読んでも、多くの学びや気付きがあったので、喘息の治療をされている方、ご家族に喘息で苦しんでいる方がいらっしゃるなら、読んでおいて損はないと思う。

「ぜんそくは自分で治せる」(久徳重和 著)

著者:久徳重和(医師)
祥伝社黄金文庫
2013年12月発売
定価720円

喘息が治療できる病であることを教えてくれた、私にとって画期的な書籍。著者は、親子二代で愛知県の喘息患者を治療されている医師(息子さん)。アレルギーを起因としない喘息(非アトピー型喘息)に紙面が多く割かれているが、どのように思考・生活すれば喘息が治るかが書かれており、また実際に喘息が完治した事例が豊富に掲載されているので、本書の存在そのものに随分救われた。喘息治療の早い段階でこうした書籍に巡り会えたのは、幸運だったと思う。

本書で教わった、冷水浴や薄着の励行や、心の持ち方(人に頼りすぎずアクティブな生活を心掛けること)を現在実践中。頭の固い成人なこともあり変化には時間を要しているが、冷水浴に慣れ風邪を引きにくくなるなど、読後数ヶ月で少しずつ効果が現れてきている。

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「免疫と自然治癒力のしくみ」(生田哲 著)

著者:生田哲(薬学博士)
日本実業出版社
2004年1月10日初版
定価1400円

自分がアトピー型気管支喘息なので、免疫の仕組みも理解したいと思い、入門書として手に取った書籍。病気を自然に治してしまう免疫の仕組みや自然治癒力について、分かりやすく解説されている。

外からウイルスやアレルゲン物質などの異物が体内に入ってきた際、アメーバに似た姿でのろのろ動くマクロファージが、まず異物を食べて分解してしまい、異物の欠片をマクロファージ自身の表面に提示することで、免疫系の司令塔であるヘルパーT細胞が異物の存在に気付いて免疫系全体を活性化させる…、という免疫の基本的な仕組みをこの本で学んだ。この書籍を読んで、のろまなマクロファージとエリートT細胞の働きぶりをすっかり気に入り、体内の免疫に対して親近感が湧いた(笑)

心の持ち方が治療に大きな影響を与えることも、本書で繰り返し紹介され、数多くの事例が紹介されている。
薬を買うお金がなく、書籍による知恵と食生活と適度な運動で、当時不治の病だった結核を治してしまった青年。笑いと自然治癒力を駆使して難病を克服し、見事編集長の職に返り咲いた男性。若くして癌に倒れる家系に生まれながらも予防と対策を怠らず長生きできた女性など、心の持ち様が快復の度合いや人生の明暗を分けることに気づかされた。

おわりに ~心が折れる前に~

気管支喘息は、発症した原因にもよるが、完治まで数年はかかることが多い。毎日薬を吸入し続けていても、症状は良くなったり悪くなったりを繰り返すし、そうした状態が何ヶ月も続くと、時々自分の未来が暗く見え、心が折れそうになる。

上記にあげたような書籍で「喘息は完治できる」と何度も何度も書かれていても、こうした心理状態に陥ることがあるので、情報を持たない人が希望を持ち続けるのは、相当に難しいことだろうと思う。

心がふさぎ込んだ時に書籍を読むと、新たな情報が入り、辛い時期の心の支えになってくれる。こうした良書の1冊1冊を、「読む薬」としておすすめしたい。