成人喘息は吸引薬が不要なレベルまで完治出来るか (久徳重和医師の書籍「ぜんそくは自分で治せる」を読んで)

成人喘息は、一度発症したら一生お付き合いしないといけない病、つまり、不治の病だと聞いていた。

小児喘息はともかく、成人になってから発症した喘息は完治した事例が少ない。完治した事例は喘息全体の10%未満、しかもそのほとんどが、喘息重症度が4段階中最も低い患者とのこと。
10年以上喘息の治療を続けている患者が50%を超え、25%は20年以上治療を続けている、それが現代の成人の喘息治療の現実だと思っていた。

そこに、図書館で偶然この本を見かけた。

喘息が治せる。それも、小児喘息に限らず、成人の喘息さえも、吸引薬が不要なレベルにまで完治出来るらしい。

呼吸器科の医師が、現代医学では喘息は症状を抑えるだけで完治は出来ないと主張し、患者の多くはそのことを知っている。なのでタイトルを見た瞬間、「マユツバものの本だ」と思った。が、同時に、「暗く長い闇に差し込んだ一筋の光明かもしれない」とも思ってしまった。
払いたくもない薬代を払って発作に耐えながら一生付き合い続けるしかないと思っていた喘息が、治るかもしれない。そう思えただけで、少し前向きな気分になれたことは否めない。

誘惑に負けて、本を借りて帰って読んだ。

マユツバ本だろうから必要な箇所だけ飛ばし読みをしよう、と思って最初はあちこち飛ばして読んだが、結局再読し直して、最初から最後まで飛ばさず読み直す羽目になった。
読み直しながら、喘息患者としての自分はこんなにも希望に飢えていたんだな、と感じた。縋れるものがあるなら、藁にも縋りたい。発作が起きるから、衣料品店にも入れず、親友の引越の手伝いも出来ない…そんな日々を全てリセットして、健康な身体を返して欲しい、そういう悲鳴にも似た願いが心の奥底にあったことに、この本に出会ってから気付いた。

喘息とは心と身体とアレルギーが複雑に絡みあったもの

過去から現代に至るまで喘息完治の実例を多数持ちながらも、この本の手法が喘息治療の主流にならない理由は、喘息には心の原因が絡んでくることを明言し、治療においても心因を取り除くことを、重要視しているからだろう。

心の在り方や物事への感じ方1つで、喘息は発症しうるし、悪化(増悪)しうることもあれば、劇的に改善しうることもある。
こうした心と身体とアレルギーの3つを絡めた総合医学的なアプローチが、身体とその機能のみに着目してミクロの観点から治療を進める西洋医学と歩調を合わせ辛いのだろう。

また、「この薬を飲めば治る」といった画一的な治療法は取れず、患者からのヒアリングを中心とした診察と、その患者専用にカスタマイズされた医師の言葉の一言一言が治療のメインになるようだ。(心因が絡んでくる以上当然かもしれない)
こうした治療法では、ただでさえ少ない喘息専門医に喘息治療法を伝授するとしても年単位の時間がかかり、治療法を日本全土に普及するのは尚のこと難しい、という側面はあるように思う。

家庭での日々の生活をコントロールする

身体面とアレルギーの面からのアプローチは、現在の投薬による喘息治療で十分に対応頂いており、症状を抑えるという点では既に効果が出ている。反面、心の面や日々の生活面からのアプローチは不足しているので、この本から学び、追加で生活に取り入れるべき点が多々あった。

特に「冷水浴」については、寒がりな自分には思いつきもしなかったし、万一思いついたとしても絶対に実行には踏み切らなかっただろうと思う。この書籍で強く推奨されていたため、寒いのを我慢して、風呂桶半分の量の水から開始することにした。(本来は、15度程度の水を風呂桶に5~6杯が目安)

「軽く汗ばむ程度の20分以上の運動」は生活に取り入れやすい(買い物や外出と組み合わせる)ので、今日からでも始めることをおすすめしたい。喘息で鬱々としがちな気分が少し上向きになり、検査結果も良くなったので、自信も頂けた。

一番難しいのは、「心配性な」「口うるさい」両親の性格と「甘えん坊」で「不安でおどおどしている」な自分を変えること、だろうか(苦笑)
親の性格や育て方が喘息に影響を及ぼすとは思いもしなかったが、少なくとも成人喘息においては、両親の性格と喘息の発症割合には関連があるとする研究結果が本書に掲載されていた。

生活習慣や性格を変えることはかなりの難事業だと思うので、一朝一夕には結果が出ないかもしれない。
が、吸引薬なしに喘息が治るならこれほど有難いことはないので、喘息は完治すると信じて、1つずつトライしていこうと思った。

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