気管支喘息治療中に吸入薬(レルベア)の副作用が出た…

気管支喘息の治療でよく用いられる薬に、レルベアという吸入薬がある。粉末のステロイド剤で、口から吸い込むことにより気管支や肺に薬を届ける。ステロイド吸入薬は、気管支や肺に直接薬が届き、吸収された後は肝臓でステロイドが分解されて全身には廻らないので、全身性の副作用が少ないことで知られている。

が、レルベアの薬の説明書等に書かれている「カンジダ症」という副作用が、自分の身体に起きてしまった(笑) 痛みのある副作用ではなく、日常生活にさほど支障がないので、「免疫力を高めればそのうち治るだろう」と楽観していたが、レルベアの吸入治療を続けながらのカンジダ症治療は、なかなかに忍耐と時間を要するものだった。

気管支喘息の吸入薬「レルベア100」と「レルベア200」

↑ レルベア100とレルベア200

発症とその後の経過と病状

<発症時>

上顎の裏を舌で触るとざらつき、手で触ると白いものがついた

免疫を正常に戻すためカルピスの「守る働く乳酸菌L-92」飲料を毎日飲むよう心掛けており、レモンと同時に摂取することも多かったので、「カルピスの成分が固まって顎についたのかな」と思っていた(笑) ←阿呆。
「守る働く乳酸菌L-92」の詳細については、こちらの記事へどうぞ

<発症から1~2週間後>

喉に違和感があり、声が出にくい。

「布団にダニが増えてきたかな」と思い、布団を頻繁に天日干しして布団専用の掃除機をかけたが、喉の違和感は収まらず。
「風邪かな」とも思ったが、熱や咳がなく、身体にだるさや悪寒の症状もない。毎日続けていた冷水浴をやめても、症状変わらず。
喉も痛みは全くなし。喉の奥は終日乾いている感じ。上顎の裏は、ぬめぬめざらざらとしている。

<発症から3週間後>

声が枯れた。

「薬の副作用かも」とようやく思い至り、使用中の薬を調べたところ、レルベアの副作用欄に「声枯れ」「喉の違和感」「口腔・呼吸器カンジダ症」が記載されていた。
鏡の前で口を大きく開き、ペンライトで口の中を照らして覗いてみたところ、①上あごから喉にかけて、②左頬の内側、③上唇と下唇 の皮膚が白くなっていた。特に①は酷く、真っ白に近い状態だった。

口腔カンジダ症(偽膜性ぎまくせいカンジダ症)とは

口腔カンジダ症は、普段から口腔内に存在している“カンジダ菌”という菌が起こす感染症。カンジダ菌はカビの一種。健康な人が免疫力を保っていると発症しないが、免疫力が下がっている時に発症しやすくなる。そのため「日和見ひよりみ感染症」とも呼ばれている。

レルベアなどのステロイド薬を長期間吸入し続けていると、口腔内の菌のバランスが崩れ、カンジダ菌が増殖し、発症しやすくなる。副作用(=口腔カンジダ症)を防ぐため、レルベアの説明書には吸入後必ずうがいをするよう記載されている。

口から粉末を吸い込んで服用するレルベアは、口から飲み込んで服用する内服薬と比べ、体内に入るステロイドの量が100分の1程度で済むという大きなメリットがあるが、反面、薬の一部が口の中に残ってしまうという欠点がある。

筆者も、レルベアの吸入とうがいを毎回セットで行っていたが、残念ながら副作用を防ぐことが出来なかった。毎回のうがいの時間が短すぎたようだ。職場復帰のため親会社とすったもんだのやり取りをしていたところに、日商簿記の試験が立て込み、気が休まらない状況が3週間ほど続いた頃に発症したらしい。

発症までに吸入したレルベアの種類と量

レルベア100をひと月半、レルベア200を3ヶ月程吸入した頃に発症した。カンジダ症を発症してからも、現在に至るまで、レルベア200の吸入は1日1回毎日行っている。

自宅で素人が治療

次回の呼吸器内科診察日まで日があったため、まずは自宅で治療を試みた。

とにかく口内を清潔にしようと思い、歯磨きを朝昼晩と1日3回に増やし、歯磨きのたびにコップにうがい薬を1~2滴垂らし、ガラガラうがいをした。歯ブラシやうがい薬が手元にない時は、水や緑茶など砂糖を含まない飲み物で口をゆすぐことだけでも、定期的に行った。

2種類のうがい薬を正面から撮影した写真。向かって左が「ネオステイン・グリーン」、向かって右が「アズノール」。どちらも口腔カンジダ症の治療に使った。

↑ 治療に使用したうがい薬

食べカスが口の中に残っていると、口腔の白い面積が目に見えて増殖するので、間食を控えた。どうしても間食せざるを得ない時は、食べカスが残りやすいものと甘いものを避けた。

3ヶ月間で体重が数kg減りガリガリに痩せてしまったことが免疫力が落ちた原因かもしれないので、1回の食事で食べる量を増やし、体重を少し戻すよう心掛けた。
毎日の仕事や家事のうち、先送りできるものは先送りし、仕事に追われず、ストレスをためず、睡眠時間を確保するようにした。

レルベア200の吸入は、1日もやめることなく継続。但し、眠る直前に吸うことは避け、午前中からお昼にかけて吸ってしまうよう心掛けた。

結果、口内にできていた白いものは、歯磨き&うがい薬利用を始めてから3~4日後に減り始め、少しずつ時間をかけて白の面積が減ってきた。減ってはは増え、増えては減るを繰り返し、二進一退という感じ。うがい薬を使い始めて1週間が過ぎた頃に日中の声枯れが治ったが、起床時の声枯れは完治しなかった。

後日知り合いの呼吸器内科医に尋ねたところ、うがい薬の利用は症状の緩和において一定の効果を得られるため、医学的にも推奨できる方法だったらしい。

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医師の診察の受ける

自宅で2週間ほど素人治療したのちに、医師の診察を受けた。口の中を見て頂き、レルベアに含まれるステロイドの副作用だろうということで落ち着く。

レルベアの吸入量は減らさずに、「ファンギゾンシロップ」という液状の飲み薬を別途処方頂き、レルベア200の吸入と並行して口腔カンジダ症の治療を進めることになった。1日3回薬を飲み続ければ、カンジダ症は2週間以内に収まるだろう、とのこと。

口腔カンジダ症治療薬「ファンギゾンシロップ」の瓶の蓋を開け、液状の薬をスポイトで吸い出した画像。

↑ ファンギゾンシロップ

シロップ薬は甘みと苦みが混ざった味で少し苦手だったが、飲み続けると、1週間後に起床時の声枯れがなくなってきた。だが、気を抜いて歯を磨き忘れ&薬を飲み忘れて眠ると、翌朝は口内がざらついて、症状が逆戻りしてしまう。白い苔の面積は着実に減っていくものの、薬をもってしてもなかなか手ごわかった。

そして、朝昼晩1日3回と言われたが、昼晩の1日2回しかシロップ薬を飲まなかったら、2週間では完治しなかった(笑) 医師と相談し、カンジダ症の投薬治療は一旦中断し、気管支喘息の治療に集中することで合意。

その後のカンジダ症の経過

4~5ヶ月の間、毎日2〜3回のうがい薬と歯磨きが必須になってしまったが、喘息の症状が改善し、レルベア200からレルベア100に切り替えたタイミングで、カンジダ症も大きく改善。
口腔に白っぽい面積は多少残っているものの、喉の違和感がなくなり、殆ど気にならなくなってきた。嬉しい副産物として、歯磨きにいそしんだお陰か、歯が随分白くなった(笑)

だが更にその後、発作が起きて喘息が悪化した際にレルベアを100から200に戻すと、カンジダ症も勢いを盛り返した…。
症状が最もひどかった時は、舌の側面にも白い苔状のものが生え、舌がしびれるような感覚があった。しびれが気になるが痛みは出なかったので、生活には支障は出なかった。歯磨きとうがい薬の回数を増やすと、1〜2日で舌のカンジダは見えなくなり、しびれもなくなった。

そうこうするうちに、虫歯で通院した歯医者さんにも、口腔カンジダ症が見つかってしまった(口を開くから当たり前だが…)。歯医者さんも口腔カンジダ症をご存じで、治療薬その2を処方下さった。
今度の治療薬は「フロリード・ゲル」という経口薬で、パッケージが軟膏で触った感触も軟膏だが、その軟膏を直接口の中(!)に出してしばらく舐める、という治療法だった。1日3回計4日間服用。軟膏は美味しくなく、食感はお世辞にも気持ちのいいものではなかったが、カンジダ症は見事治して頂くことができた!

口腔カンジダ症の治療薬である、ファンギゾン・シロップとフロリード・ゲル経口薬を撮影した写真。ファンギゾンシロップの茶色いガラス瓶と、フロリードゲルの白い軟膏薬が、複数個写っている。どちらの薬も使用済である。

↑ 画像右の白いパッケージの薬が「フロリード・ゲル」

レルベアの正しい服用の仕方

レルベア100・レルベア200とも、薬を吸入した後、ガラガラうがいとクチュクチュうがいを行う。理由は、喉や口の中に残っている薬を洗い流すため。
ここまでは、レルベアの説明書の記載通り。

だが、喘息に関する書籍を漁り医師に尋ねると、レルベアのより良い吸入方法や注意事項を知ることが出来た。レルベアは「食前」に吸入する方が良い、とのこと。
おすすめは、

レルベア吸入 → うがい → 食事 → 歯磨きとうがい

の順での吸入。食事を挟むことで、喉や口の中に残っている薬が食道や胃に落ち、分解される。全身への影響はなく、口腔カンジダ症の副作用をより防ぐことができる。
レルベア吸入後のうがいの回数は、5回くらい。1回あたり10秒くらいが良い。
うがいができない場合は、飲み物を口に含み、口の中でクチュクチュした後、そのまま飲み込む。

これらの情報は、もっと早く知りたかった…。眠る直前にレルベアを吸入し、3回程うがいしてそのまま眠りにつくことを、これまでしばしばやっていた(笑)

その他の副作用 ~動悸~

口腔カンジダ症についての記載はここで終わりだが、レルベアの副作用で「動悸」についての情報を求める方もよく来られるので、ついでに記載。

レルベア100・レルベア200を吸うと、心臓がいつもより多く脈打ち、心臓がバクバクと音を立てて、動悸の症状が出る。 吸入薬を吸った後、5~10分程度は動悸を感じているように思う。動悸を感じている最中も、歩いたり話したりは問題なくできるので、仕事・日常生活に支障はない。

主治医の先生曰く、喘息の薬は心臓と関係が深いそうだ。確かに、今処方されている長期治療薬(コントローラー)レルベア200と発作用治療薬(リリーバー)サルタノールのどちらも、吸入すると毎回必ず動悸が起きる。

喘息の治療を始めて間もない頃(=レルベアを吸い始めて1ヶ月半程経った頃)、左胸に軽い痛みを感じることがあった。気になったので主治医の先生に相談したところ、単なる筋肉痛かもしれないとのことだったが、念のため心臓の検査もして頂いた。
結果は、異常なし。不摂生な生活をしていたり、極端に太っている方は、心臓に負担がかかっている可能性があるのでより精密な検査を行うことがあるそうだが、私の場合は年齢も体型も生活パターンも特に問題なかったので、様子見ということで落ち着いた。

左胸の痛みは、その後1ヶ月ほど断続的に続いたが、喘息治療が進んであまり息切れしなくなってからは、症状が出なくなった。本当に、単なる筋肉痛だったのかもしれない(笑) 安直に薬を疑って悪かったな、と後で反省した。

その他の副作用? ~指のふるえ~

こちらは副作用ではないかもしれないが、症状があったので、念の為記載。

レルベア200を1年2ヶ月程毎日吸い続けた頃、左手の指に震えを感じることがあった。左手で右手の爪を切る時や、右手の爪のマニュキアを塗る時など、左手で細かい作業を行う時に指が細かく震えていることに気付く、という感じ。

爪が切りにくい以外特に日常生活に支障はないので、主治医の先生に報告したのみで様子見。1~2週間は指が気になっていたが、そのうち自然と症状が出なくなり、レルベアが200から100に減量されてからは、ふるえを感じなくなった。

最後に

カンジダ症については、毎日吸入している薬に対する理解が不足していたため、副作用に気付くのに遅れたことは否めない。

薬のしおりも貰った時1~2度読んだきりだった。折に触れて読み返し、気が向いたときにインターネットで詳細情報を仕入れておけば、もっと早く気付けただろうにと思う。