「こまったさんのハンバーグ (おはなしりょうりきょうしつ 3)」(寺村輝夫 著) あらすじと読書感想文

こまったさんシリーズからもう1冊。今度はハンバーグです。

「こまったさんのハンバーグ」のあらすじ

こまったさんのおうちは小さな花屋さんを営んでいます。

いつもの通り、花屋さんで店番をしていたこまったさんは、真っ白なスーツをきた男性に1枚の地図を渡され、バラとカーネーションの花束をこの場所に届けて欲しいと頼まれます。

ですが、届け先の地図には、あるはずのない道が描かれていました。
こまったさんは不思議に思いながらも、花束を積んで自転車に乗り、地図を見ながら辿ってみると、そこには見たこともない街が広がっており、あるはずのない道が出来ていました。牛のパン屋さんや豚の珈琲屋さんなどが立ち並び、まるで動物の街です。

怖がりつつも届け先の家に着いてみると、先程花屋さんに来た真っ白なスーツの男性は、なんとキツネになってしまっていました。
こまったさんが飼っている九官鳥のムノ君が何故かこの家で出迎えてくれ、奥のキッチンにはコックスーツを着たクマやヤギやリスが、いそいそと働いていました。そしてこまったさんの届けたバラとカーネーションを、動物達はばりばりとちぎり始めてしまいます。

驚くこまったさんをよそに、動物たちは歌いながら、不思議な料理を作り始めます……。

こまったさんシリーズについて

ストーリーにお料理やレシピがたくさん登場し、主人公の「こまったさん」がいろいろと困りながらも料理を作っていくお話です。

「こまったさんのスパゲティ」「こまったさんのオムレツ」など、料理の種類ごとに10冊出版されており、「こまったさんのハンバーグ」は、こまったさんシリーズの第3作目です。

「こまったさんのスパゲティ」についてはこちらへ
「こまったさんのカレーライス」についてはこちらへ
「こまったさんのハンバーグ」についてはこちらへ
「こまったさんのオムレツ」についてはこちらへ
「こまったさんのサラダ」についてはこちらへ
「こまったさんのサンドイッチ」についてはこちらへ
「こまったさんのコロッケ」についてはこちらへ

「こまったさんのハンバーグ」の読書感想文

※ストーリーのネタばれを含みます。問題ない方のみ続きをお読みください。

ちぎられたバラとカーネーションは、最終的にはハンバーグとサラダに化けるんですが、挿絵に載っているこのハンバーグが、綺麗なピンク色をしていておいしそうなんです(笑)
バラとカーネーションのハンバーグなんて、綺麗で夢のあるお話ですね。

こまったさんシリーズはどれも挿絵が秀逸で、作られたごはんがとてもおいしそうに見えます。
色鉛筆(メイン画材)と水彩絵具(サブ画材)で描かれたと思われるような素朴な絵柄ですが、ハンバーグの材料になるひき肉のピンク色が色あざやかでおいしそうで、読んで、イラストを眺めて、また読んで、…と絵と文の両方からこの本を味わっていた記憶があります。
どのページも文章にぴったり合う絵が添えられているので、読んでいる子どもが絵と文とを交互に行き来しても、違和感ありませんでした。

ハンバーグの作り方も、歌やイラストをふんだんに交えながら、可愛らしくも正しい作り方で記載されているように思います。
材料をボウルで混ぜる時も、牛乳と食パンを入れるところから描かれるので、ひき肉の生臭さを食パンに移さないという手順が守られています。生卵と塩コショウまで動物たちが歌う歌に書かれているので、入れ忘れもありません。
ハンバーグの焼き方も、強火で焼き目をつけたあと弱火にしており、折角の肉汁がハンバーグの外に逃げないよう、配慮されています。

この絵本に書かれている作り方を守るだけで、ハンバーグは作れてしまいそうでした。実際、実家の母はこの絵本のレシピを元に、料理を作っていたそうです。

ただ、絵本ではバラとカーネーションが合びき肉の役割を果たしているので、実際に作る時バラとカーネーションの部分だけは、牛豚合びき肉400gに置き換えてあげて下さい。

牛と豚の割合は牛8:豚2が一般的だそうですが、我が家では大抵余っているひき肉を混ぜてしまうので、牛2:豚8になったり、牛6:豚3:鶏1になったりします(笑)
割合はご家庭の味に応じて、で大丈夫だと思います。