「ぐりとぐらのえんそく」(なかがわりえこ 著) あらすじと読書感想文

「ぐりとぐらのえんそく」のあらすじ

※前半部分のあらすじのみを記載

リュックサックと水筒をもって、野ねずみのぐりとぐらは野原にやってきました。リュックの中には、勿論お弁当が入っています。
野原で荷物を下ろし、伸びをして、いそいそと赤い目覚まし時計を取り出して見てみましたが、まだやっと10時になったばかり。2匹で体操をしてみても、やっぱりお昼にはなりません。

「今度はマラソン」と走り始めたぐりとぐらは、切り株やいばらをものともせず、ぐんぐん進みます。と、突然、ぐりが転び、続けてぐらも転んでしまいました。二匹の足には、細く、とてもとても長い何かが巻きついています。くもの巣にも見え、草にも見えましたが、それは緑色をした長い毛糸でした。

ぐりが毛糸を巻き取ると、毛糸はえんどう豆くらいの大きさになりました。「この毛糸はどこまで繋がっているんだろう?」 ぐりとぐらは代わる代わる毛糸を巻き取りながら、野原を横切り、丘を登って下ると、緑の毛糸玉は両手で抱えきれないくらい大きくなりました。二匹は大きな毛糸の一巻きを地面に転がしながら、更にもう1つ丘を登り、森に入ると、森の向こうに茶色い家が見えます。毛糸の先は、家の中に続いており、ぐりとぐらは緑の毛糸の先を追って、家の中に入ります…。

「ぐりとぐら」シリーズについて

野ねずみのぐりとぐらが主人公の絵本シリーズ。
ぐりとぐらはお料理することと食べることが大好きで、おいしそうなごはんや森の動物たちが絵本に登場することも多い。
おはなしを中川李枝子さんが、イラストを山脇百合子さんが担当されており、お二人は実の姉妹(!)だそう。

現在出版されている「ぐりとぐら」シリーズの絵本は、下記の通り。(上にいくほど古い)

「ぐりとぐら」
「ぐりとぐらのおきゃくさま」
「ぐりとぐらのかいすいよく」
「ぐりとぐらのえんそく」
「ぐりとぐらのくるりくら」
「ぐりとぐらのおおそうじ」
「ぐりとぐらとすみれちゃん」
「ぐりとぐらの1ねんかん」

「ぐりとぐらのえんそく」は、1983年第一刷で、1999年8月時点で第64冊(!)。
定価900円(税別)。福音館出版。
大きさは縦20cm×横27cmで、ハードカバー絵本。
大人が読んであげるなら4才から、お子さんがご自身で読まれるなら小学校低学年から、が推奨。

「ぐりとぐらのえんそく」の読書感想文

※ストーリーのネタばれを含みます。問題ない方のみ続きをお読みください。

「ぐりとぐら」シリーズの本を読むと、かわいらしくて骨抜きになります(笑)
毛糸玉に負けそうなほど小さいぐりとぐらのサイズ感も良いのですが、お昼ごはんを心待ちにしたり、毛糸の先を二匹でどこまでも追いかけたり、見知らぬおうちに勝手に入っていってしまったりと、やることなすこととにかく愛らしくて。

本書では、毛糸の先をどこまでも辿る、というわくわく感が特に良かったです。しかも、毛糸がとても長くて、毛糸の先に辿り着くまでがてもとても遠い(笑) 丘を越えたり森を抜けたり「一体どこまで行くんだろう」と思いながらも、素朴なイラストで描かれた緑の毛糸玉と自然の風景とぐりぐらを追いかけて、楽しく読み進めることができました。

この絵本では大きなクマも登場するのですが、最初クマが登場した時、あまりの大きさの違いに「ぐりとぐらが食べられちゃうんじゃないか…」と心配したのですが、そんな気配は毛の先ほどもなく、クマさんとぐりぐらはあっという間に仲良くなったので、安心しました(笑)
クマさんは姿かたちは大きいのに、チョッキが崩れていても、ぐりとぐらが勝手に家に上がり込んでいても、全く気にしないほどのんびりした気性で、「『ぐりとぐら』らしいなあ」と感じ、こちらも微笑ましかったです。

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