「東の海神 西の滄海」のあらすじ
※物語の始めの部分のみを記載
蓬莱の国の都は戦乱で燃え尽き、焼け跡と骸が大地を覆っていた。そこに生まれた4才の子は口減らしのため生きたまま山に遺棄される。そこから遠く隔たった常世の国でも、ムラが焼け荒れ果てた地に1人の子がまた棄てられた。
戦乱と飢餓の末棄てられた2人の子どもは、後に運命的に巡りあうことになる。
先王が民に万苦の苦難を与え、生きとし生けるものが死に絶えたかのように荒廃した延国では、新王尚隆を迎え、ようやく復興の兆しが見えようとしていた。だが、新王も新王を選んだ神獣たる延麒六太も、家臣の隙を見ては政を放り出し、下界等で賭博や遊興に興じることが多かった。
そんな折、延国の統べる9州のうちの1州元州が謀反を企てているという知らせがもたらされる。忠臣総出の叱責ののちにようやく朝議に顔を出した延麒は、朝議の最中呼び出され、18年前1度だけ出会った不思議な少年更夜と再会を果たす…。
十二国記シリーズの説明
出版当初は講談社ホワイトハート文庫という10代向けライトノベルズとして刊行されましたが、作者の筆力と構想のクオリティがあまりに高く大人の読者が続出したため、のちに講談社文庫からも刊行されることとなったという、折り紙つきの本です。
現在発売されている十二国記シリーズの書籍は、下記の通り。(下にいくほど新しい)
「月の影 影の海」(上巻・下巻)
「風の海 迷宮の岸」(上巻・下巻)
「東の海神 西の滄海」
「風の万里 黎明の空」(上巻・下巻)
「図南の翼」
「黄昏の岸 暁の天」(上巻・下巻)
「華胥の幽夢」(短編集)
「丕緒の鳥」(短編集)
「白銀の墟 玄の月」(1~4巻)
また、「魔性の子」も十二国記シリーズの関連書籍。
新潮社の十二国記公式サイト
http://www.shinchosha.co.jp/12kokuki/
「東の海神 西の滄海」の読書感想文
延国の話が、この小説のメインストーリー。だが、もうひとつの国のストーリーが、影のように延国のストーリーに寄り添いながら、物語が紡がれていく。
ふたつの国の崩壊と再生に主人公2人の過去を絡めながら、物語が進んでいくという構成が本当に見事。日本の室町時代の戦と現在の国の内乱を真正面から肉厚に書き込んで下さっているところは、他のライトノベルズにはない大きな魅力だと思う。
新旧2つの物語が同時進行しますが、どちらの結末も気になり、学生の頃は時間を忘れて読み耽った。社会人になった今でもこの本は鬼門で、一度手に取ったが最後寝食忘れて貪り読んでしまうため、家族からの評判だけがすこぶる悪い(笑)