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木炭鉛筆(チャコールペンシル)で木炭デッサンに慣れる

木炭デッサンに苦手意識が強い人間だが、木炭で石膏像をデッサンしていた時期は、少しでも木炭に慣れるべく、チャコールペンシルを入手してあれこれ試行錯誤してみた。

チャコールペンシルとは

Derwentのチャコールペンシル(木炭鉛筆)(Mediumとlight)3本とholbeinの白い擦筆1本が灰色のカーペットの上に並んでいる

↑ 我が家の木炭鉛筆3本と擦筆1本

芯が木炭でできている鉛筆。普通の鉛筆の様に芯が木炭で芯の周りが木でできているものと、 鉛筆全体が木炭でできているものとがある。
芯の濃さや硬さによって、LightやMidium、2Bや4Bや6Bなど、同じメーカーのチャコールペンシルでも何種類かに分かれる。

1本200〜300円くらい。主に画材屋さんで売られているが、LOFTの文具売場の画材コーナーでも販売されている(Derwent社の木炭2本はそちらで購入)

Derwentのチャコールペンシル(木炭鉛筆)(Mediumとlight)で白い紙に試し書きしているところを、真上から撮影した写真。芯の濃さの異なる3本の木炭鉛筆が写っている。

↑ 木炭鉛筆で試し書き。それぞれ微妙に濃さや芯の硬さが異なる

長さや重さは、普通の鉛筆とほぼ同じくらい。
使い方は、画材用の木炭とほぼ同じ。細密画は描けないが、鉛筆と同じような使い方もできる。

持ち運べる木炭

普通のデッサン用木炭は、手荒な扱いをするとすぐに砕けてしまうので、持ち運びに難儀する。だがチャコールペンシルなら、木炭の露出している部分をペンシルホルダーに入れてしまえば何とか持ち運びに耐えるので、木炭修行時代に鞄に入れて持ち歩いては、木炭画の練習をしていた。(とはいえ、気を抜くとぽっきり折れてしまうが…)

Derwentのチャコールペンシル(木炭鉛筆)のMedium 1本とlight 1本とメーカ不明のもの1本の鉛筆の先を拡大した図。手前の1本は持ち手の部分が割れており、短いチャコールペンシルに金属製の鉛筆ホルダーを継ぎ足してある

↑ 折れてしまった木炭鉛筆。短くなってしまっても、鉛筆ホルダーを付けるとまだ使える

当時持ち運んでいた頃は、普通のプラスチック筆箱や布筆箱に入れて運んでいたが、今振り返ってみると、布製のペンシルホルダーに入れて持ち運んだ方が良かったと思う。布製ペンシルホルダーは、鋭く尖らせた鉛筆や色鉛筆でも芯を折らずに持ち運ぶことができる筆箱なので、木炭鉛筆も折らずに運べるはずだ。
 → 布製ペンシルホルダーについては、こちらへ

木炭鉛筆で練習する際は、紙にはこだわらず、コピー紙に書いたり、小さく切った画用紙に描いたり、クロッキー帳に何枚も描いたり。30cm以上の長い線を引く練習をしたり、広い面積を塗ってみたり、手を描いてみたりと、とにかく少しでもデッサン木炭に慣れて、木炭を好きになれるよう、チャコールペンシルに触れる時間を長くしていた。

木炭鉛筆でノートにiPhone5の充電ケーブルを描いた絵。黒1色で描かれている。

↑ Derwentの木炭鉛筆で、7mm罫線のノートに描いたiPhone充電ケーブル。

細密画のような精確な絵を描くには適さないが、ポストカードサイズの絵であれば問題なく描ける。上記の絵↑も、実物の大きさはハガキ半分くらいしかない。木炭でこうした小さな絵や細かい描き込みができるのは、木炭鉛筆を使う大きなメリットの1つだと思う。

使用する紙にもよるが、外出先で描いていても練り消しゴムを使えば、線を少し消すくらいのことは可能。着彩は試したことがないが、水彩を塗った上に木炭鉛筆で描き足したり、色鉛筆で色を足すくらいのことは出来るのではないかと思う。

チャコールペンシルを使う際の注意点

折れやすい

木炭鉛筆の芯は、色鉛筆の芯よりもはるかに折れやすいので、持ち運びには十分注意が必要。特に、コンクリートや石の床には落とさないように。
私は、床に落とした時と、他の文房具とごちゃ混ぜにして鞄で持ち運んだ時に、チャコールペンシルを折ってしまった…。

木炭の粉が飛び散りやすい

鉛筆の形をしているとは言え、芯は木炭なので、描いた線は木炭の粉が飛び散りやすい。
クロッキー帳など多少粉が散っても問題ない紙を使うか、描いた後フィキサチーフ↓(=定着剤。スプレーの形をしており、パステル画や木炭画など画材の粉が飛びやすいものに拭きかけて、粉落ちを防ぐ)をかけて、早めに粉を定着してあげた方が良い。

絵画教室で本格的に木炭画を習った時は、描き上げて絵にサインを入れた後、仕上げにフィキサチーフをかけていた。フィキサチーフは、粉の飛びやすい鉛筆デッサン・鉛筆画でも、同じ方法で使用できる。

木炭デッサンは難しい

鉛筆デッサンは大好きだが、木炭デッサンは大の苦手。木炭デッサンのあまりの難しさに、趣味で描き続けるのであれば、木炭デッサンは深入りしなくて良いんじゃないか、とすら感じる。

細い画材用木炭2本と木炭の入っていた藍色の箱が、白い紙の上に置かれている。白い紙には木炭で試し書きをした跡があり、藍色の箱には「10 FUSAIN」と白文字でロゴが印刷されている。

木炭デッサンで困った点

描いた線が消せない…

木炭で最も苦しめられたのがこの点だった。
鉛筆であれば、余程濃く強く描かない限り、描いた線の9割5分までは消すことができる。木炭で描いた線は、食パンのかけらや綿の布ではたくように消すが、どれだけはたいても6割くらいしか消せず、一度でも描いた線は紙の上にうっすらと残ってしまう。

木炭デッサンに慣れた方からは「間違えずに描けば良いんじゃない??」とあっさり言われてしまいそうだが、デッサン下手はそう簡単には治らないので(笑)、うっかり描いてしまう→必死で消すを繰り返し、描くことにあまり集中できなかった記憶がある。

木炭の粉が手や服や床につく

木炭の粉は木炭紙の上に乗っている状態なので、紙を指で叩いたり弾いたりすると、粉がふわっと舞い上がる。

手に付く分には洗えば済むので問題ないが、服の袖が汚れてしまうのには困った。また、絵画教室で描くのであれば問題ないが、自宅で木炭デッサンされる際には床や壁に木炭の粉が付かないよう、新聞紙を敷いておくなど描き始める前に対策を取っておいた方が良い。

木炭紙が大きすぎる

木炭デッサンは木炭専用の紙(木炭紙)に描くが、私にあてがわれた木炭紙は、縦の長さが幼児の背丈くらいあった。横幅も1mくらいあり、ノートサイズのスケッチブックしか使ったことのなくそれで十二分満足していた人間にとっては、何故こんな大きな紙に描かねばならないのか、訳が分からなかった(笑)

もっと小さいサイズ(65cm×50cmサイズ)の木炭紙も販売されているようだが、やはり、紙のポストカードやスケッチブックよりは大きかった

描いた後自宅で長期保存することまでを考慮に入れると、木炭紙のサイズは扱いづらく、「ちょっと困る」と感じている。
天井画や襖絵などの大きな絵を描く予定はないので(仮にあったとしても、絵をパソコンに取り込んで引き延ばせば済むと思うので)、巨大な絵を描かねばならない合理的な理由を、どなたか教えて頂きたい…。

木炭紙の値段が高い

木炭紙↓は1枚200〜300円程かかるので、普通の画用紙やスケッチブックと比べると、どうしても値段が高いと感じる。(日本画や油絵がメイン画材の方は、普段から木炭紙よりもっと高級な画材を扱われているので、あまり感じないかもしれないが…)

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ちなみに、本数や木の種類にもよるが、木炭そのものは10本~15本で500~1000円程度。1本100円~150円の鉛筆と比べると、少しお安い。

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結論

生業としてではなく趣味で絵やデッサンを続けたい人間にとって、木炭デッサンの

・かさばる
・扱いづらい
・値が張る

というデメリットは、絵を描き続ける妨げになってしまう。
そのため現在は、木炭画には極力近寄らないようにしている…。

「旅先で楽しむ3段階早描きスケッチ」(佐々木清 著)

水彩の特徴を生かし、透明感のある水彩画を30分で描き上げるコツが身につく本だった。

「旅先で楽しむ3段階早描きスケッチ」の説明

透明水彩・鉛筆・木炭を使い、下絵から着彩終了までわずか30分(!)で仕上げてしまうという、画期的な水彩画の描き方が紹介されている本。

下絵5分→陰影5分→着彩20分の各作業工程が、豊富な写真と著者直筆の水彩画を用いて解説されている。スケッチブックの選び方など、使用画材に関しても丁寧に言及されていた。

「旅先で楽しむ3段階早描きスケッチ」の主観的学び

・下絵:
  大枠・骨組みから描く、細部は後回し
  線は曲がっている方が味がある
  消しゴムは使わない

・陰影:
  木炭と擦筆で一気に陰影をつける

・着彩:
  時間が取れる時に。ホテルでゆっくり仕上げるのも良  
  色は先に混ぜ合わせておく。水を刷いた後、一度に複数の色を乗せていく
  2色以上を混ぜ合わせると、色彩が落ち着く
  水を刷く → 数色を一度に画面全体に乗せる → 細部に色を乗せる

「旅先で楽しむ3段階早描きスケッチ」を読んだ感想

この本を読み始めたのは、早描きがしたかったからというより、掲載されていた水彩画がみずみずしく美しかったからだ。
水彩は数ある画材の中でも扱いが難しく、自在に操るのに技術を要するので、水彩画の書物を選ぶ時は説明の上手さや中身よりも、表紙や中の「絵が美しいか」を基準に選んでいる(笑)

だが、美しい水彩画を眺めながら楽しく読み進めるうちに、描くスピードを早めるコツも学ぶことができた。

絵を、特に水彩画のような準備や手順に手間のかかる絵を、短時間で描き上げるには、押さえておくべきポイントがあるようだ。
「細部にこだわらず画面全体の構成を優先させる」「太めの木炭で陰影をつける」「画面全体に水を刷き、複数の色を同時に乗せていく」など、「なるほど!」と思わず唸る知恵がこの本には溢れていた。

特に興味深かったのは、複数の色を同時にキャンバスに乗せる方が、色彩のグラデーションが美しくなるという記述。
掲載されている著者の絵がその事実を裏付けており、黄色(壁)・紫(屋根)・茶(大地)・緑(木々)が調和を乱すことなく、穏やかなグラデーションになっているのが印象的だった。

本業の仕事を持ちながらも絵を描き続けたい方にとって、描く時間を日々捻出するのは、難しいことだと痛感している。が、その難問に対する解の1つが、こうした本になるのではないか、と感じた。

絵のクオリティも描く楽しさも手放さず、かつ仕事や家庭と両立されたい方にとっては、役立つアドバイスを与えてくれる良書だと思う。

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