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鉛筆でデッサン力を養うのに適したモチーフの一覧

デッサン初心者の頃から鉛筆デッサン10年超の現在に至るまで、日々スケッチブックにモチーフとして描いてきたものを、描いた順にメモする。デッサン力向上を目指す方の一助になれば。

ひょんなことから今まで3つの絵画教室にお世話になったが、どの教室も工夫を凝らし、生徒が無理なくデッサンのスキルを伸ばせるよう、工夫してモチーフ選んで下さっていたと感じている。そして、「何を描くか」ということもさることながら、「どの順で描くか」も同じくらい重要だった。

鉛筆でデッサンしたモチーフ@N先生の絵画教室

社会人2年目に、完全なるデッサン初心者として通い始めたN先生の教室にて描いたモチーフをご紹介。デッサンのモチーフが、最もシンプルで初心者が学びやすい順に構成されていたなあ、と感じるのがN先生の教室だった。

鉛筆デッサン必修課題

 1枚目 白いプラスチックの植木鉢
 2枚目 青緑色のシンプルな形の壺
 3枚目 赤林檎1つ
 4枚目 赤林檎1つと半分に切った赤林檎1つ(キャンバスで林檎と林檎が接するようにモチーフを配置する)
 5枚目 透明なガラスのワイングラス
 6枚目 緑色のランプ

最初の1枚目の植木鉢から6枚目の緑ランプまでは、デッサン初心者も経験者も、N先生の教室に通い始めた全員が頑張って描く。使うのは、三菱鉛筆uniの2B鉛筆1~2本と、練り消しゴム1つと、全長30cmくらいのスケッチブック1冊のみ。
それぞれのモチーフと取り組む順には、重要な意味がある。

 1枚目 明暗を描く練習
 2枚目 色のついたものを描く練習
 3枚目 丸いものを描く練習
 4枚目 2物の関係を描く練習
 5枚目 透明なものを描く練習
 6枚目 中身の見えるものを描く練習

1枚目・2枚目は、色が1色か2色で、形もシンプルなモチーフが選ばれている。そして枚数が進むにつれ、色数が増え、形も複雑になり、絵に奥行きが求められるようになってくる。

ただ、4枚目の林檎1個×林檎半分は、2物の位置関係を平面上で組み立てねばならずとても難しいので、個人的には順番を少し入れ替えて、林檎1個×林檎半分は6枚目でもいいかなとも思う。

最初の6枚を入塾(?)した人が入塾した順に描くので、進捗は全員バラバラ。早めに描き上げても、何時間もかけてじっくり描いてもいい。中には小学校以来30年間絵など描いたこともなかったという人もいたが、先生のサポートを受けつつ、その方らしい絵を描き上げていた。

また、生徒全員が同じものを描くので、この6枚の絵が共通の話題となっていた点も見逃せない。年齢や職業が違ってもこの6枚の話題なら会話が出来てしまい、教室全体に一体感が生まれ、生徒同士が仲良くなるのに一役買っていた。生徒同士が仲良いと教室にも通いやすく、絵の技法からパンの美味しいお店まで、この教室でさまざまなことを教わった。

N先生は非常にお喋り好きで社交的な方だったが、コミュニケーションまでを考慮してこの6枚を必修課題とされていたのなら、見事というより他ない。

鉛筆デッサン選択課題

必修課題の6枚を描き上げると、パステル画や水彩画や色鉛筆画・油絵など、選ぶ道は十人十色だった。あと数枚鉛筆デッサンを描かれてから、ご自分の描きたい画材やモチーフを選ばれる方が多かった。こうした自由度の高さは、個人運営の絵画教室ならではの良さだと思う。
私は鉛筆1本で描けるシンプルイズベストな鉛筆デッサンが好きになり、積極的に鉛筆デッサンに励んでいたので、そのときのモチーフをメモ。

 7枚目 珈琲ミル
 8枚目 銅のランプ
 9枚目 ミロのビーナス(小型の石膏の胸像)
 10枚目 ビロードの袋の入ったウイスキーボトルと、水の入ったグラス
 11枚目 枯れ薔薇約20本と模様付きの白い花瓶
 12枚目 黒いランプ
 13枚目 造花の花3本
 写生会 川のある風景

7枚目以降は、N先生の教室に保管されていたモチーフのうち、先生に勧められ自分でも興味惹かれたものを順に描いた。質感や形の違うものが毎回選ばれていたなあ、と振り返ってみて感じる。
描く順はさほど気にしなくて構わないが、石膏像は非常に難しく感じたので、9枚目で描いたのは時期尚早だった気がする。

鉛筆でデッサンしたモチーフ@Aスクール

N先生の教室が閉じてしまった後、通い始めたのがAスクール。Aスクールには美術大学受験向けの講座があり、講師も生徒もデッサン力が超ハイレベルで、絵で賞を受賞されている方がたくさんいた。
Aスクールはデッサンコース内でのカリキュラムがおおよそ決まっており、デッサンのモチーフも予め定められていたが、何をどの順番で描くかは講師と相談しながら選ぶことができた。(かつ、デッサンに飽きた時は、絵本コースやコミックコースなど別のコースを受講することもできた)

 01枚目 石膏の立方体
 02枚目 石膏の直方体
 03枚目 石膏の円柱
 04枚目 石膏の球体
 05枚目 石膏の円錐角柱相貫体
 06枚目 グラス
 07枚目 紙コップ
 08枚目 木片
 09枚目 トイレットペーパー
 10枚目 ブックエンド
 11枚目 縄
 12枚目 レンガ
 13枚目 タオル
 14枚目 金属製のボウル
 15枚目 グラスとレモン
 16枚目 レンガとワインボトル
 17枚目 植木鉢とボーダー柄の布
 18枚目 オイル缶とさいころ
 19枚目 電球とクリップ
 20枚目 スコップと胡桃

※後半に行くほど、モチーフを描いた順序はうろ覚え。

最初が単体モチーフの石膏デッサン、次が単体モチーフで質感のあるデッサン、最後が複合モチーフで二物の質感の異なるデッサンだった。実はカリキュラムはこの後も続き、牛の頭蓋骨など形の複雑なモチーフを使ったデッサン、石膏人物像や木炭デッサンなどへと進んでいくが、私はこの20枚すら所要時間内に描けず、挫折した(苦笑)

石膏でできた立体の描き方を最初にしっかり学んでおくことは、形のとり方や奥行き・立体の表現の仕方を身に付けさせてくれたと感じる。特に立方体と円柱は、学びが多かった。実際に描き始めると単調に思えるかもしれないが、「この最初の数枚が描けないと、他のどのモチーフもまともに描けないだろう」とも感じた。

<参考>木炭でデッサンしたモチーフ@T先生の絵画教室

 1枚目 石膏の首像(ミロのヴィーナス)
 2枚目 石膏の首像(名称不明。男性の首像)
 3枚目 石膏の首像(名称不明。男性の首像)
 4枚目 石膏の胸像(ボルゲーゼの闘士胸像)
 5枚目 石膏の胸像(名称不明。青年戦士が甲冑とマントを羽織っている像)

入門直後の必須カリキュラムが最もスパルタだ、と感じたのが、T先生の教室。Aスクールで鍛えられた後でも、石膏像を5枚連続で木炭でデッサンするのは難しかった…。
初心者が石膏像を描くのは難しく、また、石膏像を個人で用意するのも費用が嵩むので、このカリキュラムは参考程度に見て頂ければ。

木炭鉛筆(チャコールペンシル)で木炭デッサンに慣れる

木炭デッサンに苦手意識が強い人間だが、木炭で石膏像をデッサンしていた時期は、少しでも木炭に慣れるべく、チャコールペンシルを入手してあれこれ試行錯誤してみた。

チャコールペンシルとは

Derwentのチャコールペンシル(木炭鉛筆)(Mediumとlight)3本とholbeinの白い擦筆1本が灰色のカーペットの上に並んでいる

↑ 我が家の木炭鉛筆3本と擦筆1本

芯が木炭でできている鉛筆。普通の鉛筆の様に芯が木炭で芯の周りが木でできているものと、 鉛筆全体が木炭でできているものとがある。
芯の濃さや硬さによって、LightやMidium、2Bや4Bや6Bなど、同じメーカーのチャコールペンシルでも何種類かに分かれる。

1本200〜300円くらい。主に画材屋さんで売られているが、LOFTの文具売場の画材コーナーでも販売されている(Derwent社の木炭2本はそちらで購入)

Derwentのチャコールペンシル(木炭鉛筆)(Mediumとlight)で白い紙に試し書きしているところを、真上から撮影した写真。芯の濃さの異なる3本の木炭鉛筆が写っている。

↑ 木炭鉛筆で試し書き。それぞれ微妙に濃さや芯の硬さが異なる

長さや重さは、普通の鉛筆とほぼ同じくらい。
使い方は、画材用の木炭とほぼ同じ。細密画は描けないが、鉛筆と同じような使い方もできる。

持ち運べる木炭

普通のデッサン用木炭は、手荒な扱いをするとすぐに砕けてしまうので、持ち運びに難儀する。だがチャコールペンシルなら、木炭の露出している部分をペンシルホルダーに入れてしまえば何とか持ち運びに耐えるので、木炭修行時代に鞄に入れて持ち歩いては、木炭画の練習をしていた。(とはいえ、気を抜くとぽっきり折れてしまうが…)

Derwentのチャコールペンシル(木炭鉛筆)のMedium 1本とlight 1本とメーカ不明のもの1本の鉛筆の先を拡大した図。手前の1本は持ち手の部分が割れており、短いチャコールペンシルに金属製の鉛筆ホルダーを継ぎ足してある

↑ 折れてしまった木炭鉛筆。短くなってしまっても、鉛筆ホルダーを付けるとまだ使える

当時持ち運んでいた頃は、普通のプラスチック筆箱や布筆箱に入れて運んでいたが、今振り返ってみると、布製のペンシルホルダーに入れて持ち運んだ方が良かったと思う。布製ペンシルホルダーは、鋭く尖らせた鉛筆や色鉛筆でも芯を折らずに持ち運ぶことができる筆箱なので、木炭鉛筆も折らずに運べるはずだ。
 → 布製ペンシルホルダーについては、こちらへ

木炭鉛筆で練習する際は、紙にはこだわらず、コピー紙に書いたり、小さく切った画用紙に描いたり、クロッキー帳に何枚も描いたり。30cm以上の長い線を引く練習をしたり、広い面積を塗ってみたり、手を描いてみたりと、とにかく少しでもデッサン木炭に慣れて、木炭を好きになれるよう、チャコールペンシルに触れる時間を長くしていた。

木炭鉛筆でノートにiPhone5の充電ケーブルを描いた絵。黒1色で描かれている。

↑ Derwentの木炭鉛筆で、7mm罫線のノートに描いたiPhone充電ケーブル。

細密画のような精確な絵を描くには適さないが、ポストカードサイズの絵であれば問題なく描ける。上記の絵↑も、実物の大きさはハガキ半分くらいしかない。木炭でこうした小さな絵や細かい描き込みができるのは、木炭鉛筆を使う大きなメリットの1つだと思う。

使用する紙にもよるが、外出先で描いていても練り消しゴムを使えば、線を少し消すくらいのことは可能。着彩は試したことがないが、水彩を塗った上に木炭鉛筆で描き足したり、色鉛筆で色を足すくらいのことは出来るのではないかと思う。

チャコールペンシルを使う際の注意点

折れやすい

木炭鉛筆の芯は、色鉛筆の芯よりもはるかに折れやすいので、持ち運びには十分注意が必要。特に、コンクリートや石の床には落とさないように。
私は、床に落とした時と、他の文房具とごちゃ混ぜにして鞄で持ち運んだ時に、チャコールペンシルを折ってしまった…。

木炭の粉が飛び散りやすい

鉛筆の形をしているとは言え、芯は木炭なので、描いた線は木炭の粉が飛び散りやすい。
クロッキー帳など多少粉が散っても問題ない紙を使うか、描いた後フィキサチーフ↓(=定着剤。スプレーの形をしており、パステル画や木炭画など画材の粉が飛びやすいものに拭きかけて、粉落ちを防ぐ)をかけて、早めに粉を定着してあげた方が良い。

絵画教室で本格的に木炭画を習った時は、描き上げて絵にサインを入れた後、仕上げにフィキサチーフをかけていた。フィキサチーフは、粉の飛びやすい鉛筆デッサン・鉛筆画でも、同じ方法で使用できる。

木炭デッサンは難しい

鉛筆デッサンは大好きだが、木炭デッサンは大の苦手。木炭デッサンのあまりの難しさに、趣味で描き続けるのであれば、木炭デッサンは深入りしなくて良いんじゃないか、とすら感じる。

細い画材用木炭2本と木炭の入っていた藍色の箱が、白い紙の上に置かれている。白い紙には木炭で試し書きをした跡があり、藍色の箱には「10 FUSAIN」と白文字でロゴが印刷されている。

木炭デッサンで困った点

描いた線が消せない…

木炭で最も苦しめられたのがこの点だった。
鉛筆であれば、余程濃く強く描かない限り、描いた線の9割5分までは消すことができる。木炭で描いた線は、食パンのかけらや綿の布ではたくように消すが、どれだけはたいても6割くらいしか消せず、一度でも描いた線は紙の上にうっすらと残ってしまう。

木炭デッサンに慣れた方からは「間違えずに描けば良いんじゃない??」とあっさり言われてしまいそうだが、デッサン下手はそう簡単には治らないので(笑)、うっかり描いてしまう→必死で消すを繰り返し、描くことにあまり集中できなかった記憶がある。

木炭の粉が手や服や床につく

木炭の粉は木炭紙の上に乗っている状態なので、紙を指で叩いたり弾いたりすると、粉がふわっと舞い上がる。

手に付く分には洗えば済むので問題ないが、服の袖が汚れてしまうのには困った。また、絵画教室で描くのであれば問題ないが、自宅で木炭デッサンされる際には床や壁に木炭の粉が付かないよう、新聞紙を敷いておくなど描き始める前に対策を取っておいた方が良い。

木炭紙が大きすぎる

木炭デッサンは木炭専用の紙(木炭紙)に描くが、私にあてがわれた木炭紙は、縦の長さが幼児の背丈くらいあった。横幅も1mくらいあり、ノートサイズのスケッチブックしか使ったことのなくそれで十二分満足していた人間にとっては、何故こんな大きな紙に描かねばならないのか、訳が分からなかった(笑)

もっと小さいサイズ(65cm×50cmサイズ)の木炭紙も販売されているようだが、やはり、紙のポストカードやスケッチブックよりは大きかった

描いた後自宅で長期保存することまでを考慮に入れると、木炭紙のサイズは扱いづらく、「ちょっと困る」と感じている。
天井画や襖絵などの大きな絵を描く予定はないので(仮にあったとしても、絵をパソコンに取り込んで引き延ばせば済むと思うので)、巨大な絵を描かねばならない合理的な理由を、どなたか教えて頂きたい…。

木炭紙の値段が高い

木炭紙↓は1枚200〜300円程かかるので、普通の画用紙やスケッチブックと比べると、どうしても値段が高いと感じる。(日本画や油絵がメイン画材の方は、普段から木炭紙よりもっと高級な画材を扱われているので、あまり感じないかもしれないが…)

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ちなみに、本数や木の種類にもよるが、木炭そのものは10本~15本で500~1000円程度。1本100円~150円の鉛筆と比べると、少しお安い。

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結論

生業としてではなく趣味で絵やデッサンを続けたい人間にとって、木炭デッサンの

・かさばる
・扱いづらい
・値が張る

というデメリットは、絵を描き続ける妨げになってしまう。
そのため現在は、木炭画には極力近寄らないようにしている…。

「旅先で楽しむ3段階早描きスケッチ」(佐々木清 著)

水彩の特徴を生かし、透明感のある水彩画を30分で描き上げるコツが身につく本だった。

「旅先で楽しむ3段階早描きスケッチ」の説明

透明水彩・鉛筆・木炭を使い、下絵から着彩終了までわずか30分(!)で仕上げてしまうという、画期的な水彩画の描き方が紹介されている本。

下絵5分→陰影5分→着彩20分の各作業工程が、豊富な写真と著者直筆の水彩画を用いて解説されている。スケッチブックの選び方など、使用画材に関しても丁寧に言及されていた。

「旅先で楽しむ3段階早描きスケッチ」の主観的学び

・下絵:
  大枠・骨組みから描く、細部は後回し
  線は曲がっている方が味がある
  消しゴムは使わない

・陰影:
  木炭と擦筆で一気に陰影をつける

・着彩:
  時間が取れる時に。ホテルでゆっくり仕上げるのも良  
  色は先に混ぜ合わせておく。水を刷いた後、一度に複数の色を乗せていく
  2色以上を混ぜ合わせると、色彩が落ち着く
  水を刷く → 数色を一度に画面全体に乗せる → 細部に色を乗せる

「旅先で楽しむ3段階早描きスケッチ」を読んだ感想

この本を読み始めたのは、早描きがしたかったからというより、掲載されていた水彩画がみずみずしく美しかったからだ。
水彩は数ある画材の中でも扱いが難しく、自在に操るのに技術を要するので、水彩画の書物を選ぶ時は説明の上手さや中身よりも、表紙や中の「絵が美しいか」を基準に選んでいる(笑)

だが、美しい水彩画を眺めながら楽しく読み進めるうちに、描くスピードを早めるコツも学ぶことができた。

絵を、特に水彩画のような準備や手順に手間のかかる絵を、短時間で描き上げるには、押さえておくべきポイントがあるようだ。
「細部にこだわらず画面全体の構成を優先させる」「太めの木炭で陰影をつける」「画面全体に水を刷き、複数の色を同時に乗せていく」など、「なるほど!」と思わず唸る知恵がこの本には溢れていた。

特に興味深かったのは、複数の色を同時にキャンバスに乗せる方が、色彩のグラデーションが美しくなるという記述。
掲載されている著者の絵がその事実を裏付けており、黄色(壁)・紫(屋根)・茶(大地)・緑(木々)が調和を乱すことなく、穏やかなグラデーションになっているのが印象的だった。

本業の仕事を持ちながらも絵を描き続けたい方にとって、描く時間を日々捻出するのは、難しいことだと痛感している。が、その難問に対する解の1つが、こうした本になるのではないか、と感じた。

絵のクオリティも描く楽しさも手放さず、かつ仕事や家庭と両立されたい方にとっては、役立つアドバイスを与えてくれる良書だと思う。

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鉛筆デッサンに使う画材の紹介 ~クロッキー帳~

クロッキー帳を使い慣れると、気軽なのに頼りになる、お気に入りの落書き帳になってくれる。

クロッキー帳(落書き帳)

練習帳であり、ネタ帳であり、落書き帳。本格的に絵を描かれている方には、クロッキー帳を普段から持ち歩き絵の練習をされている方が何人もいらっしゃる。長くまっすぐな線を引く練習や鉛筆の濃淡をつける練習をしたり、時間のあるときに周りにあるものを落書きしたりする。

クロッキー帳の紙は画用紙より薄く、表面がつるつるしており、70~100枚の紙が綴じられているのに数百円くらいで購入できる。紙が薄いので軽く、何枚描いても容易には使い切れない。

クロッキー帳(大)–デッサン教室用

市販のクロッキー帳と蛍光ペンとを並べ、大きさを比較している写真。蛍光ペンは水色。

↑ クロッキー帳の大きさ比較

Aスクールの入学初日に、B4サイズくらいの大きなクロッキー帳を頂いた。現在、「運筆」の練習のためだけに、このクロッキー帳を使っている。
上から順に、
 ①長くまっすぐな直線を一定のリズムで引く
 ②斜めの短い直線を、等間隔で引く
 ③最も濃い黒から最も薄い灰色までの濃淡を作る
の練習。

画用紙ほどの大きさのクロッキー帳を開き、正面から撮った写真。金属のリングで綴じられた白い紙に、水平でまっすぐな直線や、斜めの短い直線など3種類の鉛筆線が多数描かれている。

Aスクールの先生の言葉をお借りすると、「きちんとした絵を描けるようになるには、物を見る眼と正確な運筆の技能を身につける必要がある。物を正確に見る目を養うには相応の時間がかかるが、運筆は上達が早い。毎回のデッサンの前に、ウォーミングアップだと思って取り組みなさい」。

確かにこの練習を始めた当初、緊張感がなく歪みの多い線ばかり引いていたが、最近は真っ直ぐな線を一定の割合で引けるようになってきた。デッサン力のある先生方は、細長く真っ直ぐで一定の濃度を保った線を常に描かれる。私の見る前でそんな線をささっと何本も引かれるので、「この線1本を見ても、先生には完敗だなあ…」と思わせられることも多い。

クロッキー帳(小)–落書き用

小さいクロッキー帳(200円)は、もっぱら私の落書き帳になった(笑) 手のひらサイズのクロッキー帳は持ち運びが容易く、空き時間を潰すのにもってこいで、筆記用具(鉛筆色鉛筆木炭鉛筆など何でもok)さえあれば、1時間でも2時間でも楽しく過ごすことができる。

落書きなら普通のメモ帳でも良いんじゃないか、と当初は思っていたが、①紙質が良く描きやすい ②紙が綴じられているので後日見返すと自分の成長が分かる ③持ち歩いていてかっこいい(笑)、というのが長く使っている理由。

両手を広げたくらいの大きさの小さいクロッキー帳に、黒い木炭鉛筆で人間の手の落書きを描いた画像。見開きに開いたクロッキー帳の上に、黒いチャコールペンシルを乗せた状態で撮影されている。
↑ 喫茶店で描いた。この時は、木炭鉛筆を利用。

また、最近は仕事の合間に描くことも多いので、仕事のタスクリストを作ったり、アイディアをまとめたり、英語の練習をしたり、プログラミング言語を書いたりと、クロッキー帳がどんどん混沌としてきた。
手軽に何にでも使える点も、クロッキー帳の大きな魅力の一つ。

クロッキー帳の紙質について

市販されているクロッキー帳には、「白紙」「クリームコットン紙」「薄口紙」の大きく3つの紙が用いられており、紙質によって値段や描き心地が異なる。

白紙は、最も薄く経済的な紙。クロッキー帳1冊あたり100枚綴じられており、薄さや触り心地はコピー紙と良く似ているが、鉛筆の粉の乗りやすい紙が使われている。

クロッキー帳の白紙を、正面から撮影した写真。白紙には水色の蛍光ペンで線が引かれている。

↑ 白紙。2枚目に描いた線が1枚目に透けて見えるほど、薄くて軽い。

クリームコットン紙は、色が黄みがかっており柔らかい印象を与える紙だ。厚さは白紙と薄口紙の中間くらいで、1冊あたり80枚が綴じられている。

薄口紙は、名前とは異なり、この3種類の紙の中で一番厚みがある紙(笑) コピー用紙と画用紙の中間くらいの厚みで、マジックでも筆でも画材を問わず使える。

ちなみに、白紙 < クリームコットン紙 < 薄口紙 の順で紙質が良くなり、1枚あたりのお値段も上がる。

表紙の閉じられた小型のクロッキー帳とチャコールペンシルを白い台の上に置き、真上から撮影した写真。クロッキー帳の茶色い表紙と、真っ黒なチャコールペンシルが写っている。

クロッキー帳(大)は白紙、クロッキー帳(小)は薄口紙、最近購入した仕事用クロッキー帳(中)はクリームコットン紙と、私は3種類とも使ったことがあるが、正直、クロッキー帳の紙は3種類とも好きで、甲乙つけがたい。

白紙は、とにかく軽くて何枚でも描けるところが素晴らしい。1枚1枚の紙はぺらぺらだが、100枚束ねてある分、続けて描いていてもあまり腕が疲れない。そして何枚描いても、一向に減る気配がない(笑) 
白紙のクロッキー帳(大)は、既に足かけ3年目に入った。持ち運びが楽なうえ、1冊買うと長持ちするので、若い方や学生さんなどには特におすすめできる。

クリームコットン紙は、使っていて不思議と癒される。仕事のメモを取るのにクロッキー帳を使い始めたので、筆記具はもっぱらボールペンや水性ペンだが、薄い割に紙質が良く、しかも紙色が薄いたまご色なので、仕事の殺伐とした感じが出ない(笑) 肝心の絵や落書きにはまだ使っていないので、絵を描き始めるとまた印象が変わるかもしれない。

薄口紙は、たくさん描くと無くなってしまうという欠点はあるが、画材を選ばず何でも描け(書け)る。木炭鉛筆や水性ペンを使っても裏に透けないので、私は紙の両面を使って、ノートの様に使っていた。
紙に厚みがある分、水彩絵具カラーインク、パステルなどでも十分利用できると思う。

クロッキー帳(白紙)とコピー用紙の違いを見比べる

最も薄いクロッキー用紙(白紙)とA4コピー用紙は、紙に触ると区別がつくが、見かけがとてもよく似ている。描かれた線に違いは出るんだろうか、と疑問に思い、三菱鉛筆2Bと青い色鉛筆で試してみた。

クロッキー帳(白紙)とコピー用紙に、2B鉛筆と青い色鉛筆で線を引いている画像。クロッキーとコピー用紙で描きくらべをしている。

↑ クロッキー帳(白紙)とコピー用紙の描きくらべ。

上の写真は、片方がクロッキー帳に描かれたもの、もう片方がコピー用紙に描かれたものである。あなたにはどちらがどちらか分かるだろうか。

正解は、左がクロッキー帳(白紙)、右がA4コピー用紙。クロッキー帳の方が、濃淡のグラデーションと、線1本のかすれ具合が美しく表現されていることにお気づきだろうか。

クロッキー帳(白紙)に三菱鉛筆uniの2B鉛筆で引いた線と、青い色鉛筆で引いた線。どちらも、濃淡のグラデーションとかすれ具合が美しく出ている。

↑ クロッキー帳に試し書きした線。線に濃淡のグラデーションがあり、淡くかすれた線を描くことができる。

コピー紙に三菱鉛筆uniの2B鉛筆で引いた線と、青い色鉛筆で引いた線を撮影した写真。明瞭な線がはっきりと書かれている。

↑ コピー紙に試し書きした線。線に中間の濃さがなく、常に濃い線が描かれる。

降って湧いた素朴な疑問に答えるだけの試みだったが、紙の違いで1本の線がこれほど違って見えるのかと、実験した本人が驚いた(笑)

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↑ クロッキー帳(小)。大きさは11cm×16.5cm。
上から順に、白紙100枚、クリームコットン紙80枚、薄口紙70枚。

↑ クロッキー帳(大)。36cm×27cm。紙質は白100枚のみ。
クロッキー帳は他にも何種類か大きさの違うものがある