「11ぴきのねこ」(馬場のぼる 著) あらすじと読書感想文

「11ぴきのねこ」は、お子様に必ず一度は通っておいてほしい道です(笑)

「11ぴきのねこ」のあらすじ

※前半部分のあらすじのみを記載

あるところに、11匹ののらねこがいました。ねこ達はいつもおなかをすかせていました。

ある日11匹のねこは、小さな魚を1匹捕まえました。小さな魚に我先に飛びつこうとする猫たちでしたが、とらねこ大将は「我々11匹は仲間なんだ」とたしなめます。とらねこ大将は、小さな魚を11つにきちんと切り分けました。小さな魚は、しっぽだけ、ひれだけ、めだまだけと更に小さくなってしまいましたが、11匹の猫はみんなで輪になって、どれを食べようかと神妙に吟味しました。

そこに年老いた髭の長い猫がやってきて、「大きな魚が食べたいか」と11匹の猫たちに尋ねます。じいさん猫は「山を越えたずっと向こうに大きな湖がある。その湖には、怪物のように大きな魚が棲んでいる」と、身振り手振りを交えて教えてくれました。みんなで力を合わせれば、どんな魚もきっと捕まえられる。そう信じて、11匹の猫は湖へ向かいました。

野山を越えてやっと辿り着いた湖で、11ぴきの猫は筏を作って3日間探しましたが、大きな魚は見つかりません。湖にある島に上陸して更に待っていると、ある日突然、大きな魚が水面から飛び出しました。ねこたちが一口で呑まれてしまいそうなくらい、口も体も大きな魚です。

11匹の猫は「ニャゴー ニャゴ ニャゴ」と飛びかかり捕まえようとしますが、大きな魚にあっさり蹴散らされてしまいます。
今のままではとても歯が立たないことに気付いた11匹の猫たちは、大きな魚を見張りながら、身体を鍛え、作戦を練り始めます…。

「11ぴきのねこ」シリーズについて

とらねこ大将率いる11匹の猫たちが、さまざまな冒険やチャレンジをするお話。11匹の猫たちは勇敢でわんぱくだが、失敗も多く、総じて可愛らしいストーリーが多い。
現時点で7冊出版されている。発行された本は、下記の通り。(下にいくほど新しい本)

「11ぴきのねこ」
「11ぴきのねことあほうどり」
「11ぴきのねことぶた」
「11ぴきのねこ ふくろのなか」
「11ぴきのねことへんなねこ」
「11ぴきのねこ マラソン大会」
「11ぴきのねこ どろんこ」

「11ぴきのねこ」は、1967年4月第1刷、2014年3月第173刷(!)。
縦26.5c×横19cmのハードカバー絵本。
定価1200円(税抜)。こぐま社出版。

「11ぴきのねこ」の読書感想文

※ストーリーのネタばれを含みます。問題ない方のみ続きをお読みください。

「11ぴきのねこ」はストーリーのオチが秀逸すぎます。幼い頃読んだ時は、オチのインパクトが強すぎて、前半・中盤の良さに目が行きませんでした(笑)

でも、この絵本の良さは、オチではなくストーリー全体だったんだ、と大人になって読み返した時に気付きました。リーダーとらねこ大将を中心に、ねこたち11匹はよくまとまり、遠く離れた湖まで冒険して、みんなが束になっても叶わなかった「おおきなさかな」を最後には作戦勝ちで捕えてしまいます。標的にされてしまった「おおきなさかな」には気の毒ですが、力では勝てない獲物を団結力と知恵でカバーして勝ってしまったところは、やっぱりちょっとカッコ良かったです。

また、おじいさん猫の助言に11匹全員が素直に従うところといい、「おおきなさかな」をじっくり観察して作戦を練るところといい、一度失敗しても再チャレンジして成功するところといい、生きていく上で必要となる教訓のようなものが、短いストーリーの中に含まれています。
学校教育において「生きる力」の必要性が叫ばれて久しいですが、「生きる力」を「今自分が置かれている境遇に負けず、自分の未来を自分たちの力で切り開いていく力」と仮定するならば、この「11ぴきのねこ」の絵本には「生きる力」のかけらが含まれているのではないか、と読んでいて感じました。

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