応用情報処理技術者試験 文系が独学で一発合格した勉強法など

学部卒の文系女だが、数年前に応用情報処理試験に無事一発合格できた(午前問題81.25点。午後問題80点)ので、勉強方法をメモ。

応用情報処理技術者試験(平成24年度秋期)のwebサイトで成績照会し、合格と午前問題・午後問題の得点を表示した画像。午前問題のマネジメント系が満点

応用情報処理技術者とは

IT分野の国家資格。技術者(=システムエンジニア)向けの3つの国家資格の中で、2番目に難しい試験。(基本情報処理技術者 < 応用情報処理技術者 < 各種高度試験 の順に、難易度と専門性が上がる)

求める人物像は、システムの分野のプロフェッショナルになるために、応用的知識・技能を身に付けている人。

年齢・性別・職種などの制限はなく、どなたでも受験可能。10歳以下のお子さんからから70歳過ぎのおじいちゃんまでどんと来い。
実際のところは、システムを作る人(プログラマーなどの開発者やアーキテクトなど設計者)・システムを運用する人(テクニカルサポートやサーバエンジニアなどの作業者)・システムを導入する人(ITコンサルタントなど)・研究者などが多めで、営業や人事総務などの人はちょっと少なめ。
性別は、特に統計等公開されていなかったが、感覚値では男性:女性=9:1という感じ。

 公式サイトに掲載されている統計情報 https://www.jitec.ipa.go.jp/1_07toukei/_index_toukei.html

試験開催日は、春期(4月第3日曜と秋期(10月第3日曜)の年2回。合格率は20%前後。

試験の構成は、午前問題と午後問題の大きく2つに分かれており、午前問題は4つの選択肢から正答を選ぶ4肢選択式が80問出題される。
午後問題は、記述・選択問題・計算問題が組み合わさった複合問題。午後問題は各分野から11問出題されるが、第1問(セキュリティ分野)のみ必須回答で、第2問から第11問までの残り11分野は、お好きな4問を選択して回答。ちなみに残りの11分野は、経営戦略・プログラミング・アーキテクチャ・ネットワーク・データベース・組込み系・システム開発・プロジェクトマネジメント・サービスマネジメント・システム監査。

詳細は、応用情報処理技術者試験 公式サイトへ。
 応用情報処理技術者試験 公式サイト http://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/ap.html

応用情報処理技術者試験の学習期間・使用テキスト

学習期間 3.5ヶ月
使用した教材 過去問(5年分)
午前問題対策用に「応用情報技術者 ポケット攻略本」
午後問題対策用に「応用情報技術者 午後問題の重点対策」

過去10年以上×年2回分の過去問と解説が公式サイトで無償公開されているので、使わない手はない。過去問は全てPDFファイルで、ダウンロードや印刷も可能。
まず見たいという方は、下記のリンクよりどうぞ。

公式サイト(過去問題) https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/_index_mondai.html  

応用情報処理技術者試験 午前問題の勉強法

学習期間 約1ヶ月
学習の概要
  1. 「応用情報処理技術者 ポケット攻略本」の書籍を一読する
  2. 直近の過去問を2回分(春・秋1回分ずつ)解く
  3. 過去問が70点前後取れるようになれば、午後問題対策に進む
    (取れなければ、手順1→2を繰り返す)

午前問題は、理解度の浅い方を振るい落とすためのいわゆる足切り試験なので、基本情報処理技術者試験を突破された方であれば、午前問題対策に力を入れる必要はない。私は、基本情報処理技術者を取得した翌月に、応用情報処理技術者試験午前問題の過去問を解いてみたところ、正答率約67%だった。(正答率60%以上で、応用情報処理技術者の午前問題は突破できる)

午前問題の試験対策に使用したのは、「応用情報技術者 ポケット攻略本」の書籍と過去問のみ。「ポケット攻略本」は馴染みのないIT専門用語に赤マーカーを引きながら1ヶ月ほどかけて仕事の合間に読み込み、本試験の直前に、マーカーを引いた用語だけ覚え直した。

午前問題は4肢選択式なので、10分~20分程度の隙間時間があれば、数問ずつでも解き進めることができる。私は過去問1回分を縮小印刷して通勤鞄に入れておき、通勤時間やお昼休みなど、仕事の合間の隙間時間を利用して解いた。過去問攻略が隙間時間でできた週の週末は、デッサンやクロスバイクでしっかり遊んだ(笑)

午前問題は、専門用語が多い。応用情報に合格した後に午前問題を眺めてみても、知らない用語が結構ある。私のように暗記力の弱い人間は、全て覚えようとしても無理なので、午前問題はそこそこにして早めに午後問題対策に進むこと。

 →「応用情報処理技術者 ポケット攻略本」の詳細については、こちら

応用情報処理技術者試験 午後問題の勉強法

学習期間 約2.5ヶ月
学習の概要
  1. 直近の過去問を解く(2~3回分)
  2. 「午後問題の重点対策」を必要な章だけ解く
  3. 「午後問題の重点対策」をもう一度解く
  4. 試験直前に、重要用語を暗記する

応用処理技術者試験の肝は、午後問題にあると思う。午後問題対策は、気合を入れてやった

午後問題の選択問題で、どの問題を選ぶか

私が受験した年は大問12問中6問を選択する試験だったが、現在はセキュリティ分野1問+大問11問中4問を選択する試験に変わっている。いずれにせよ、経営戦略からシステム監査まで出題の幅がそれなりに広いので、4問全て自信満々で解ける方は少ないはず。試験対策をしなくとも正答率60%以上取れる問題もあれば、30%しか取れない問題もあるなど、多少ばらつきがあるのが普通だと思う。

合格ラインまで得点を取れる分野を知るために、セキュリティ分野を除く大問11問のうち8~9問を選んで解き、答え合わせをした。

設問には、選択肢から回答を選ぶ選択問題と、計算して答える計算問題と、文章で書いて答える記述問題の3種類があるが、過去問を解いた後は必ず、

  • 選択問題は、正解(○)なら1点、不正解(×)なら0点
  • 計算問題は、正解(○)なら1点、不正解(×)なら0点
  • 記述問題は、模範解答とほぼ同じ(○)なら1点、模範回答の半分くらい(△)記述できていれば0.5点、的外れなことしか書けていない(×)なら0点

と点数を付けて採点し、大問1問あたりの合計得点を出した。
例えば、小問が10つ設けられている大問を解き、自己採点の結果が○○○○△△△×××となったら、その大問は10点中5.5点(正答率55%)になる。
過去問で正答率が40%を超えていたら、勉強次第でその分野は正答率60%を超えることができるので、勉強範囲に含めた。正答率が20~40%なら得意分野ではないと判断し、特に勉強せず、本番の午後問題でも選択しなかった。

現在は4分野選択なので、4分野をしっかり対策し、1分野を予備として対策、くらいに学習分野を絞り込めるといいと思う。

ポイントは、自己採点の時、点数を辛めにつけること。自分の点数を甘く付けたがるのははっきり言って自分だけで、本番試験時の採点者は自分より点数を辛く付けるはずなので、記述問題は全て×か△くらいの見積もりでいいと思う。

午後問題の勉強方法

基本的には「午後問題の重点対策」問題集の自分が選択した分野を解き進めるだけだが、「応用」情報と冠されている以上、知識を応用する力が問われているように思えてならない。暗記よりも理解に重点をおき、問題の解説をしっかり読み込んで理解するよう心掛けた。

解説を読んだだけで理解できなかった専門用語や仕組みは、インターネットで軽く調べ、IT用語の意味をより正確に捉えるとともに、そのIT用語が意味する技術や仕組みが生み出される一因となった背景や関連するエピソードなどもぼんやりと把握するよう心掛けた。IT門用語だけを暗記するより、IT用語とエピソードをセットにして把握する方が、押さえるべきポイントが明確になり、暗記しやすく、応用もしやすい。

また、あやふやな知識は、試験でも実務でも危険。思い込みで作業を進めてしまい、所属チームと客に損害を与えた事例を、過去にいくつも見てきた…。正確さの求められるITの世界では、一技術者の些細な思い込みや認識誤りが、数万人が利用するシステムのシステムトラブルに繋がることが普通にある。結果、企業名入りで謝罪文を送付する羽目になったり、顧客から損害賠償を求められたりと、被害は一個人では収まらない。
あやふやな知識は無意味と見做して、問題で訊かれていることは常に確実に答えられるようになるまで、理解と解答に取り組むことをおすすめする。

休日はついだらけてしまうので、「午後問題の重点対策」問題集を通勤鞄に入れて持ち歩き、なるべく平日の隙間時間で勉強するようにした。
特にテキストの1読目は、初めて習う事柄が多く精神的に辛いので、会社の昼休みや退社後の喫茶店など、自宅以外の場所で解くよう心掛けた。(「午後問題の重点対策」問題集は持ち運ぶには重いので、テキストを真っ二つに切るのもありだと思う)

また、応用情報試験対策には直結しないが、「Webラーニングプラザ」のeラーニングをボイスレコーダーに録音し、家事をしながらよく聴いていた。自分の性格上机に長く座っていることができないので、座学に飽きたら、eラーニングを聞き流しながら風呂掃除や皿洗いをして、身体を動かすようにしていた。

「webラーニングプラザ」のサイトは既に閉鎖されてしまったようだが、今はYou Tubeの動画が充実しているので、通勤・通学や家事をしながらスマホで視聴するのがおすすめ。ノイズキャウンセリングイヤホンを併用して周囲の雑音をシャットアウトしながら聴くと、ながら学習でもそれなりに身に付く。(車や自動車の運転中は、さすがに危険すぎるのでおすすめしないが)

独学だと、独習で理解できなかったポイントがどうしてもおざなりになることが多い。だが、インターネット上のコンテンツを上手に利用できると、隙間時間で理解の浅いポイントを補ったり、思考の偏りを是正することができる。

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 → 「午後問題の重点対策」問題集の詳細については、こちら

応用処理技術者試験 本番当日

午後問題では集中力を切らさない

くどいようだが、午前問題は知識が足りない人を落とすための足切り試験に過ぎない。応用情報処理技術者試験の本番は午後、と再度認識頂きたい。

午後問題では、午前問題で疲れた頭でも、短時間で論理的に考え、解答を導き出すことが求められる。午前問題で燃え尽きず、午前の出来が芳しくなくても諦めず、お昼の休憩時間に十分頭を休めてから、午後問題に取りかかって欲しい。

私も試験を受けた際、「午前問題で落ちたかも….」とかなりへこんだが、蓋を開けてみれば、午前問題・午後問題とも無事合格出来ていた。

合格証書

応用情報処理技術者に無事合格した後、自宅に合格証書が送られてきた。情報処理技術者試験の合格証書はどことなく古風で気に入っている。

応用情報処理技術者試験の合格証書

↑ 応用情報処理技術者の合格証書

応用処理技術者資格取得後 ~活用しました~

職種を変更し、キャリアアップ&年収アップできた

資格取得後に転職し、ITヘルプデスクの仕事からサーバーエンジニアへと職種を変更することができた。

取得後半年間はセキュリティエンジニアとしてパソコン1万台以上&サーバ1,000台以上を管理し、その後はサーバエンジニア(兼データベースエンジニア)として、Windowsサーバ&Oracleデータベースと毎日格闘しながら勤務している。日本中に名の知れた上場企業のサーバを守るのは楽しく、やりがいも大きかった。

今は、ミドルウェアバージョンアップの計画と準備を進めるポジションに就いている。ミドルウェアのバージョンはいくつにするか、どのように実装するか等、日本語・英語で書かれた情報を日夜漁りながらサーバのあるべき姿を模索する仕事。
私のチームが道を踏み固め、後日その道を通る全国の技術者が安全に歩けるよう配慮しなければならないので、責任が重い。

ITヘルプデスクの時は派遣社員だったが、応用情報技術者取得後は正社員になり、年収もその後の10年間で+180万円アップした。(通勤交通費・賞与年2回・福利厚生付き、退職金無し)
但し、残業時間も月10時間から10~80時間と大幅に増加している。

インフラエンジニアという今の職種が気に入っているので、職種変更できたのが応用情報処理技術者を取得した一番のメリットだと思っている。

年齢や性別に関わらず、職場で存在感を出せる

私は女で、しかも童顔なので、初めて一緒に仕事する方からは頼りなく見られることが時々ある。だが、応用情報で学んだ分野については、望む望まないに関わらず、存在感を発揮できることが多かった。

今の職場はデータベースエンジニアは多いが、ネットワークやセキュリティに疎い方が多く、特にセキュリティに関しては私の独壇場になる…。
自分が過去にセキュリティ技術者を経験しているせいでもあるが、「『脆弱性』ってなんですか?」とIT企業の若い社員に訊かれた時には、お茶を吹き出しそうになった(笑)

「ベンダーのサポートが切れたら、何故製品を買い替えなければならないのか」など、システムを守る上で基本とも言える考え方が、未だ浸透していない現場もある。「脆弱性」や「サポート切れ」の危険性やリスクについて、理解し適切な対策を取って貰おうと考えると、女だろうが、顧客より年下だろうが、自分が持っている知識を伝えて広めるしかない。

システムを正しく理解していれば、結果として自分の存在感は大きくなる

以下、余談。
先日サーバで毎日業務時間中にセキュリティソフトのフルスキャンをかけ、業務時間中に1時間以上、サーバをCPU 100%に貼りつかせた阿呆な企業がいた。
電話でフルスキャンを今すぐ止めるよう伝えたところ逆ギレされたので、そのサーバにおいて改善すべき事柄を文書にして、その顧客の営業担当者から伝えてもらったところ、2度目に同じ客に電話した時は、非常に丁寧な対応に変わっていた(笑)

日次でフルスキャンをかけたいなら、セキュリティソフトの時間指定の機能を使って、夜間などエンドユーザが使用しない時間帯に行うのが基本。業務時間中にどうしてもフルスキャンしたいなら、せめてCPU使用率の制限はかけるべき。CPU全体の何%までセキュリティソフト側で使用するかは、セキュリティソフトの設定で決めることができる。
ちなみに、OSがWindows Server 2003、CPU 2コア、という少々古いウェブサーバ兼アプリケーションサーバだった。CPUが2個しかないので、仮に1個をセキュリティソフトがフルスキャンが使用していると仮定すると、残り1個のCPUで全ユーザからくる全ての処理を回すことになるので、どう贔屓目に見ても無理がある。古い物理サーバなので、CPUを積み増すのは論外。積み増すくらいなら、予算と相談の上、新しいサーバへのリプレイスを勧める。

…話が逸れたが、客と少々喧嘩してでもサーバとエンドユーザを守ってあげるのが、技術者の大事な仕事の1つだと思う。

転職に非常に有利

IT系の職種に転職活動する際、応用情報処理技術者を取得したことについて、質疑が来ないことがない。

「どうして応用情報を取ろうと思ったのですか」から始まり、「基本情報から半年で取得したんですか」とか「応用情報は大変だったでしょう」というねぎらいまで、ありとあらゆることを訊かれる。どうも、面接官の食いつきポイントを刺激する資格のようだ。

特に、基本情報処理技術者と応用情報処理技術者を同じ年度の春期と秋期で取得した点について、高評価を受けることが多かった。基本情報と応用情報は学習範囲や試験そのものが似ているので、実際には応用単体で受けるより合格率が高まると思うのだが、同じ年度で両方取る人は珍しいらしい。

資格より実務を重んじる傾向の強い転職の場において、ここまで面接官を喜ばせる資格があるとは思わなかった。

高度情報処理技術者試験に挑戦できる

なるべく早いうちに、IT系国家資格で一番難易度の高い「高度情報処理技術者試験」にチャレンジしようと考えている。

応用情報処理技術者を取得した後、高度情報処理技術者の取得が現実味を帯びてきた。周囲の技術者に「高度情報処理取ろうかと思っている」と話していても、端から無理だと決めつける反応は返ってこなかったので、応用情報処理の有資格者は「高度情報処理を取れるかもしれない人」という位置づけになっているんだな、と感じた。

これまでのキャリアを踏まえると、取得するなら「データベーススペシャリスト」かなと考えているが、いずれにせよ「難度の高い知識・技術を習得した」と第三者から認められるのは、技術者として仕事をしていく上で大きな自信に繋がると思っている。

応用情報の午前問題で不合格になってしまった方は…

キツい言い方になってしまい申し訳ないが、単に基本情報処理技術者レベルの知識や考え方(論理的思考?)が身についていないのではないか、と思う。

試しに基本情報処理技術者の午前問題・午後問題の過去問を2~3つを入手し、どのくらい解けるか確認してみることをおすすめする。

基本情報処理技術者試験は午前問題・午後問題とも多肢選択式で、過去問も解答も公開されているので、解くとすぐに採点して得点が出せる(合格ラインは正答率60%以上)。基本情報処理技術者が午前問題・午後問題ともすんなり受かるレベルなら応用情報の午前問題は合格できるはずだし、基本情報処理技術者でさえ不合格になってしまうなら、応用情報ではなく基本情報からトライする方が、より着実にスキルを身につけることができ、精神的にも楽だと思う。

また、特定の狭い分野に深く偏った知識やスキルを持っている方は、応用情報処理技術者試験は不利。特に午前問題は、広い分野からまんべんなく出題されるので、特定の分野しか解けないと、正答率60%の足切りラインに引っ掛かってしまう。

どうしても特定の分野だけしか学びたくないなら、少し費用はかかるが、応用情報ではなくMicrosoft等のベンダー資格にトライする方が良いかもしれない。
企業が主催するベンダー資格は、特定のソフトウェアの特定のバージョンに絞って試験が実施されることが多い。Oracle社のOracle Masterという資格を例に挙げれば、Oracleというデータベースの12cというバージョンで使える機能だけが出題範囲になる。プログラミング言語や法令やマネジメントについては問われないので、専門特化で生きていきたい方にはおすすめ。

但し、ベンダー資格は試験料が高く、1回受験するだけで1万円以上かかるものも多い..。資格取得支援制度を設けている企業もあり、試験代を補助して貰えたりすることがあるので、社内制度を確認してから試験を申し込む方がおすすめ。

応用情報の午後問題で不合格になってしまった方は…

午後問題では、持っている知識を現場に当てはめ、解決する力が求められる。知識を「知っているか」ということもある程度問われるが、それ以上に、知識を「使える」かが問われているように思う。

以上を踏まえたうえで、細かい対策を練ってみた。

時間が足りなかった

試験時間内に解き終わることができるかどうかは、事前に過去問1~2回分を時間を測りながら解くと、前もって把握できる。極度に緊張してしまったなど当日ならではのハプニングで足を取られたならともかく、事前に過去問を解いた時点で時間が足りなかったのなら、単なる準備不足な気がする。

採るべき対策は、

  1. 問題文を読むのが遅いのか
  2. 設問を解くのかが遅いのか

によって変わってくる。

対策(1)
応用情報処理技術者試験は問題文が長い。それも、他の試験と比べて少し長いというレベルではなく、非常に長い(笑) 実務未経験者に理解と学習を促すために、対象となる企業やシステムの置かれた状況を丁寧に説明する形で、問題が作成・構成されているためだと思う。

問題文を読むのが遅い場合、特定の分野の専門用語や言い回しに慣れていない可能性がある。システム系の文章は専門用語も多いので、読むスピードを上げたいなら、試験で選択する分野のテキストを時折読んで慣れる方がいい。専門用語調べながらネットサーフィンするとか、関連書籍を読むとか、隙間時間で構わないので、理解を深めながら読むことを心掛けるといい。

余談ながら、午後問題で出題される各問題の質の良さは、マイクロソフトやオラクルなどのベンダー試験の追随を許さないほど、情報処理技術者試験がずば抜けて良いと私は思っている。

対策(2)は、妙案が浮かばないので検討中。

記述問題の解答を作るのに時間がかかった

記述問題で問われるのは、問題を認識・解決するためのポイントが的確に押さえているかどうかだと思う。
試しに、解答時間や文字数を気にせずに解答を「喋って」みて、すぐに答え合わせをし、模範解答と自分が喋った内容が一致しているか(=解決のポイントが合っているか)を確認するといい。

解答のポイントが的確に押さえられているなら、喋った内を紙に書き、指定された文字数に収まるように、重要性の低い言葉を削ったり、長い言葉を短いキーワードで言い換えたりして、伝えたい内容を整理する練習をする。

実務に当てはめると、
 設問=システムトラブル・客からのクレーム
 回答=技術者からのアドバイス(口頭やメール)
だろうか。

現場に文字数制限はないが、どこの現場も忙しいので、伝えたい内容がまとまっていないと、そもそも話を聞いて貰えない(笑) それは自分自身が聞く側の立場になっても同じで、話が無駄に長い人や、5分間話を聞いていても何が言いたいのかわからない人は、イライラして話を聞く気が失せる(気が短くてすみません…) 。

応用情報処理試験の記述問題の「解答」で求められているのは、技術力だけでなく、情報や考えを言葉にして端的に伝える力でもあると思う。

分野(大問)の選択を間違えた

分野選びは、選択も軌道修正も難しい。

(1)特定の分野の実務経験がある人は、その分野を選ぶ。
 知識が身につくのが早く、合格点に達しやすいので。
(2)特定の分野を1ヶ月以上学んだ経験のある人も、その分野を選ぶ。
(3)どの分野も実務経験がなく、授業・書籍・動画等で一度も学んだこともない人は、今後の自分の専門を作るつもりで、分野を決める
応用情報処理技術者を受験するときに選んだ分野は、これから先一生自分について回るので、学習していて面白く、心の負担が少ないものを選んだ方がいい。但し、知識をゼロから身につけることになるので、どうしても学習には時間を要すると思う(=短期合格は難しい)

選べる分野が11分野もあるので、向き・不向きや多少の好き嫌いは、どなたにでもあるはず。先々の事を考えると自分に向いている分野を選択した方がいいので、少し時間をかけてでも、自分に適した分野を吟味することをおすすめする。

(3)について、自分の場合は、ネットワークについて書かれた書籍や記事を拾い読みするのが好きだったので、「ネットワーク」分野を選択した。ネットワークエンジニアを本業に据えたことは、受験当時から現在に至るまで、一度もない。だが試験勉強中も、他の分野と比べると心の負担が少なく、正直一二を争うほど学習が楽しめる分野だったので、学習期間3ヶ月でネットワーク分野も合格圏内に入ることができた。

応用情報処理技術者を取得できたなら、その実務未経験の分野でさえ、理論や思考は実務でそれなりに使えるレベルに達する。受験後、ネットワークトラブル発生時にはネットワーク構成図が頭にすぐ浮かび、小規模トラブルなら調べて自己解決できてしまうことも増えた。ネットワーク技術者が「L2スイッチでのMACアドレスフィルタリング」など専門的な話をしても、その場で話を理解し、適切な返事を返すこともできる。ただし、CISCOなど特定の機器に関する知識や技術が足りないので、機器の実装はすぐにはできない。

反面、応用情報で選択しなかった「システム開発」の分野では、トラブル解決はおろか、技術者同士の話を1時間横で聞いていても、未だに理解できない(笑)

経営戦略(午後問題)について

簿記2級・簿記1級の勉強をされた方は有利。科目名こそ「経営戦略」だが、中身は「経営学」と「会計」が混在しており、キャッシュフロー計算書や利益率計算やM&A(吸収合併)の際の会計処理などが出題されているので、簿記1級程度の財務会計・管理会計を学習された方であれば、学習時間を短縮することができる。

私が受験した回にはデューデリジェンス(企業合併時の資産評価)が出題され、「ITの試験でデューデリジェンスを出すか?!」「でも、いい問題だな…さすがは応用情報」と解きながら感心させられた記憶がある(笑)

システム監査(午後問題)について

選択する方が極めて少ないと思われる、システム監査について。

私は本番でこの問題を選択したが、大多数の方はこちらの科目を選択する必要はない。仮に選択しても、技術はさほど身につかないし、実務でもほぼ使わない。ただ(1)公認会計士になるための勉強をされた方と、(2)午後問題でどうしても得点が取れない方は、システム監査を選択するのはアリだと思う。

理由(1)
公認会計士試験には、「監査論」という科目がある。
一口に監査と言っても、会計監査・システム監査・内部統制などさまざまな種類の監査があり、監査論を学んで培った思考法や知識は、システム監査にそのまま転用出来る。なので、公認会計士試験の学習者であれば、勉強不要(!)で解答できる
私も過去に監査論を勉強したことがあったので、試験直前に重要用語を覚え直すだけで、午後問題を記述を解答することができた。

理由②(2)
「システム監査」は他の11分野と比べると、出題範囲が狭いので、短期間の学習で得点につながる可能性がある。しかも記述問題が多いので、要点だけ押さえて何らかの解答を書ければ、部分点を集めることができるかもしれない。
あまりおすすめできる分野ではないのだが、正解・不正解がはっきりと出る計算問題の多い大問を無理に選択して玉砕するよりは、良策だと思う。