システムエンジニア」タグアーカイブ

応用情報処理技術者試験対策のおすすめ問題集 「応用情報技術者 午後問題の重点対策」(小口達夫 著、iTec)

応用情報処理技術者を取得した際にお世話になった問題集。分厚く持ち歩きに難儀したが、解説が充実しているので、購入した価値は大きかった。
お陰様で学習期間4ヶ月で、応用情報処理技術者を独学で一発合格することが出来た。

応用情報処理技術者試験について

応用情報処理技術者試験の公式サイトへは、下記のリンクよりアクセスできる。
http://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/ap.html
 
筆者の勉強方法や受験記については、こちら

「応用情報技術者 午後問題の重点対策」の説明

2012年版を例に説明する。
本書は二部構成になっている。第一部で学習の進め方を説明し、第二部で応用情報処理の午後問題で出題される各分野ごとに章を区切って、問題と解説が掲載されている。

第二部の各章は、

  • 学習のポイント
  • 例題
  • 演習問題

に分かれている。
「学習のポイント」のページで、その分野の学習の基礎となる用語や知識について解説し、「例題」のページで簡単な問題を解きながら、理解と実感を深める。
各章の大半を占めるのが「演習問題」のページで、ここには本試験さながらの問題が6~8問程度用意されている。但し、組込みシステム開発の分野は4問、マネジメント系の分野は12問収録。どの章においても、各問いに対し問題文の2倍から3倍の長さの解説文が収録されている。

演習問題には、別途「問題から学ぼう」という項目が設けられており、演習問題を通して身につけてほしいテクニックや考え方が分かりやすく記載されている。受験者のよくある疑問については「FAQ」の項目を設けて説明されており、知っておいた方が良い周辺知識については「関連知識」の項目で解説されている。

本の厚みの部分(前小口)に章ごとのインデックスが付いているので、目的の章をすぐに開くことが出来、地味に重宝する。

重さ919gで、本の厚さは3.8cm。英和辞書(887g)や仏和辞書(807g)より、この本の方が重い(笑)

「応用情報技術者 午後問題の重点対策」を使った感想

午後問題は解説が必要

応用情報処理技術者試験は、過去問とその解答が全て公式サイト上に公開されている。
なので、学習を開始した当初は、問題集を買わずに過去問だけで済ませようと考えていた。四肢択一の選択問題しか出題されない午前問題は、基本情報処理技術者の受験時に十分学習と慣れを進めていたこともあって、その方法で上手くいった。

が、午後問題でも同じ方法を使おうとして、見事につまづいた(笑)
過去問のみだと、問題を解いて答え合わせをすることまでは出来ても、間違えた問題が何故間違っているのかが分からない。インターネット上で同じ問題の解説を探しても、解説のあるものとないものがあり、解説の見つからなかった問題は繰り返し解いても同じ箇所を間違ってしまうので、得点と正答率が伸びない。何より、「応用」力に不可欠である、IT技術への理解が身に付かなかった。
「このままではマズイ」と感じて、解説が充実している問題集を探して購入したのがこの本だった。

多少お金を余計に払ってでも応用情報処理技術者を早く確実に取りたかったので、amazonではなく書店に出向き、応用情報処理技術者の午後問題の問題集を何冊も手に取って、十分中身を確かめてから選んだ。書店に出向いたのは正直正解だったと思う。一口に問題集と言っても、問題が多くて解説の少ない本や、解説の文章が理解しづらい本もあるので、合わない問題集を買ってしまうと合わない靴を履いている時のように辛い。

基礎を重視

実際の本試験では比較的新しい技術も紹介されるが、新しい技術については、問題文で必ずと言っていいほど説明されているので、特に対策は必要なかった。それよりも、本書に登場するような、よく使われている技術とその仕組みについて知り、基礎用語や仕組みや考え方を理解する方が、本試験で使えるし実務でも役立った。

この問題集には、最新の技術については取り上げられていない。この問題集に掲載されているのは、既に社会で広く使われており、技術者として仕組みや用語を十分に理解しておくべき技術や考え方ばかりだ。例えばセキュリティの分野であれば、公開鍵暗号やSSL通信やファイアウォールが取り上げられており、ネットワークの分野であれば、ルーティングや無線LANやNATなどが設問に出てくる。
そのため、応用情報を取得した後実務ですぐさま役立ち、大いに助けられた。さすがに、応用情報の取得者なのに、無線LANの仕組みが分かりませんとは言いたくない(笑)

応用情報処理技術者取得後にも役立つ

こちらの書籍を使ったのち、半年後には応用情報処理技術者試験を突破した。だが面白いことに、応用情報処理合格後にもこの本は役に立った。

普段はサーバを相手に仕事をしているが、仕事が一人前にこなせるようになってくると、データベース破損のトラブル対応に駆り出されたり、企業のシステム構成を今後どう変えていけばいいかと相談を持ちかけられたりと、仕事の幅が徐々に広がってくる。

データベーストラブルやシステム構成など「本業以外」も「浅く広く」仕組みや技術を理解し、システムトラブルや顧客対応に役立てたいと考えた時、この書籍は格好の教材だった。

この書籍は、世間一般で広く使われている技術を解説付きで紹介してくれ、ネット検索よりも短時間で、実務で通用するスキルへと昇華してくれる。応用情報処理技術者で問われる知識が実務でどれほど役に立つか身をもって理解しているからこそ、この書籍で学ぶことは有効だと、改めて感じる。

また、いずれは高度情報処理技術者試験にトライする予定だが、まずは「午後問題の重点対策」本の復習から取りかかろうと決めている。技術が高度になり難易度が上がっても、IT技術者に必要とされるものは大きくは変わらない。確実な知識と、それを裏付ける実務経験。資格や試験では実務経験は身につかないが、確実な知識は応用情報処理技術者試験が間違いなく身につけてくれる。

created by Rinker
¥3,366 (2024/05/09 17:23:04時点 Amazon調べ-詳細)

ORACLE MASTER Bronze 11g 独学で一発合格した勉強法など

Oracleデータベースの世界の水先案内人が、ORACLE MASTER Bronzeという資格。 データベースの世界に入って1年弱が過ぎた頃に、独学でORACLE MASTER Bronze 11gを取得できたのでメモ。

ORACLE MASTER Bronzeとは

「ORACLE MASTER」は、Oracleデータベースの体系的な知識を持ち、Oracleに関する問題を解決に導くことができる技術者を認定する資格制度。

上位資格に ORACLE MASTER Silver・ORACLE MASTER Gold・ORACLE MASTER Pratinumの3つがあり、Bronze → Silver → Gold → Pratinumの順に難易度が上がる。
ORACLE MASTER Silver以降は日本国外でも通用する資格として認定され、取得するとOracle製品に対し一定の技術力を有することを、全世界に証明することができる。

ORACLE MASTER Bronzeに認定されるには、2つの試験を受験し合格することが必要。

  • 「11g SQL基礎I[11g SQLI] (1Z0-051)」もしくは「Bronze SQL基礎I[Bronze SQLI] (1Z0-017)」のどちらか1科目
  • 「Bronze DBA11g」

「Bronze DBA」はOracle Database の基本的な仕組みと機能を理解するための試験。「SQL基礎I」 はデータベースと情報をやり取りするための標準言語であるSQL(読み方:エスキューエル)の基礎を身につけるための試験。

SQL基礎Ⅰの試験はどちらを選択しても、試験会場で受験するか、インターネット上で受験するかを選択することが可能。

Oracle Master Bronze 学習開始時点の所持スキル

データベースの経験年数:10ヶ月半

 OracleデータベースとSQLは、実務で10ヶ月半。
 Microsoft Access 2003 は座学で一通り学び、実務でデータ閲覧とレコード修正をやったことがある程度。
 select/delete/insertなどの基本的なSQLは作れるが、unionやleft joinなどは使えない。

その他システム系の実務経験

 セキュリティ・ネットワークに加え、Windows系アプリケーションを一通り使用した。
 ハードウェアと開発の経験はゼロに等しい。

ORACLE MASTER Bronze「Bronze DBA11g」の勉強法

  • 学習期間:2ヶ月
  • 使用した問題集:「徹底攻略 ORACLE MASTER Bronze DBA11g問題集」(通称:黒問題集)

Oracle製品の織り成す世界は、WindowsOS・Microsoft Office・各種業務ソフトのどれにも似ておらず、実務を多少経験していても、Oracleデータベースの仕組みやOracle専門用語に慣れるのに手間取った。
インスタンスとメモリやプロセスの関係やSGAとPGAの違いなど、用語だけは時折耳にしていても、改めて仕組みを問われると答えに窮した。

読むだけのテキストは購入せず、黒本と呼ばれる「徹底攻略 ORACLE MASTER Bronze DBA11g問題集」のみを購入し、3回解いた。(Oracleに限らずどの資格にも言えるが、ひたすら読むだけの本より問題を解くタイプの本を購入した方が、知識の定着が早い)
問題も漫然と解き進めるのではなく、1問ごとに、正解なら「◯」、不正解なら「×」を付けておき、「×」が3つ溜まった問いは理解が不足している部分なので、問いの周辺にある用語や背景となる知識も調べ、覚えるのではなく理解するよう心掛けた。

それ以外にも、聞いたことのないOracle用語が黒本には頻繁に登場した。近い将来ORACLE MASTER Silverの取得を視野に入れていたので、見慣れない用語が登場した場合は、時間の許す限りインターネットで調べるようにしていた。

Enterprise Managerは実務で使用する予定がないので、さらっと眺める程度で深くは学ばず、設問に出ても答えられないことが多かった。

ORACLE MASTER Bronzeの取得後、どう活用したか

実務にすぐさま役立つ

前の職場に所属していた時から「ORACLE MASTERの資格は社内外で評価が高い」と聞いており、ブロンズに認定された後後改めて思うのが、ORACLE MASTERはOracleデータベースの実務で使う知識が試験内に網羅されている、ということだ。

ベンダー資格の強みでもあると思うが、特定の製品かつ特定のバージョンに特化して学ぶので、実務でその製品を使用していれば、学んでいる段階(資格未取得の状態)でさえ知識を生かすことができ、問題解決にかかる時間が短くなった

ただ、自己解決出来るのは、シンプルなエラーが多い。
ハードディスクの破損によるデータ欠損や、インスタンスがMOUNTより先に進まず起動出来ないトラブルなど、複雑かつ難易度がやや高いトラブルは、リスナーログとアラートログを取得してORA-xxxxxのエラーを調べるのがせいぜいで、独力ではトラブル解決出来なかった。

定型的なタスクを中心とした業務が仕事の大部分ならORACLE MASTER Bronzeで十分だが、障害対応をバリバリ行うならBronzeだけでは心もとなく、Bronze取得にかけた時間の何倍も実務経験を積み上げるか、ORACLE MASTER Silver取得に進むことが必須。

社内の評価が良くなった

今の勤務先は年に2度多面評価が行われ、その評価を元に年収が確定するが、 Bronze取得後は2回連続で高評価を頂けた。

年収が数十万円増えた

ORACLE MASTER Bronze以外の要因も大きいのだが、 ORACLE MASTER Bronze取得後に2年程かけて年収が徐々に上がった。(その後身体を壊し、1年間くらい収入が半減したが、また元の年収に戻った)

補足情報:ORACLE MASTER SilverとORACLE MASTER Platinumについて

ORACLE MASTER Bronzeは、ORACLE MASTER Silverより重要

ORACLE MASTER Bronzeを取得した3年後に、Oracle Master Silverを取得した。(時間が空いてしまった理由は、仕事の都合。可能であれば、Bronze取得後記憶が薄れないうちに、Silverに取りかかる方が有利だと思う)

ORACLE MASTER BronzeはOracleデータベースの基本的な仕組みが一通り紹介されている印象を受けたが、ORACLE MASTER Silverは学ぶ内容がより深くなっているものの、「この機能はどこの企業も使ってないし、今後も使う予定がない」的な機能紹介もそこそこ含まれている。(AUDITコマンドなどは使っている企業様を見たことがないし、Oracle ASMもごく僅か…)

ORACLE MASTER Silverの方が学びが深く、障害時に絶大な力を発揮することは、実体験の上でも間違いない。だが、Silverの知識は明らかにBronzeの知識の上に乗るものなので、ORACLE MASTER Bronzeの知識をあやふやにせずきっちり理解し、実務経験で肉付けしておくことが、結局はORACLE MASTER Silverや一人前のデータベース技術者への近道になるだろうと思う。

ORACLE MASTER Platinumが取得できる環境

先日、Oracleについて抜きんでた技術をもつ企業様と話す機会があったので、どういった研修制度を敷いてらっしゃるのか尋ねてみた。この企業様には、ORACLE MASTERの最上位であるプラチナホルダーが何人も在籍している。

企業様曰く、企業の側で行うのは、資格支援の仕組み(試験料を負担し、合格時には一ケタ万円くらいの報奨金を出す)を作り、今年度の資格目標数を通達することくらいらしい。

それ以上に、社内に既にプラチナホルダー(「鬼教官」と表現されていた)がいて、プラチナ未取得者が望む望まないに関わらず、勝手に周りをしごいていることの方が効果が大きいらしい(笑)

人を育てるのは人。そう感じさせるエピソードだった。

日本語・英語併用のITサポートの仕事(ITヘルプデスク・テクニカルサポート)

人生における英語圏滞在期間は未だに1週間というお粗末さだが、イギリス系企業に常駐しメールや電話で英語を使って仕事をしていた時期があるので、その時のことを記録する。

日英併用のシステムサポートの仕事内容

当時常駐していた企業は、本社がイギリスにある会社だったため、日本法人の社長を筆頭に管理職からメンバー(役職なし社員)に至るまで、外国籍の方が数多く勤務されていた。

各部署に数名の割合で母語が日本語以外の方がおり、私が常駐していたIT部門もインド国籍4〜5名、ヨーロッパ1名、マレーシア1名と多国籍で、日本人も帰国子女1名、英語圏在住経験者3名という程よく国際色豊かな職場だった。

法務や広報など他の部署も似たような感じ。営業部門だけは、営業する先の顧客がほぼ100%日本人だったので、外国籍の方は見かけなかった。

よくあるトラブル

当時の私の担当は、日本語対応と英語対応の両方を行うITサポート。業務の大半は日本語での対応だったが、週に1~2回程度の割合で、母語が日本語以外の方から英語で電話がかかってきて、起きているトラブルの内容を聞き、解決までサポートする。

よくあるトラブルとしては、

 ”My laptop won’t start…(パソコンが起動できなくなった…)”
 ”couldn’t access to internal network via mobile wifi.” (モバイルwifiで社内ネットワークに接続できなかった)
 ”Some mails disappeared. I’ve sort them in this folder, though it disappeared too.”(フォルダごとメールが無くなってしまった)
 ”I’m afraid my password has been locked”(パスワードがロックされてるんじゃないかと思う)

などなど。日本人でもよくあるトラブルが多かった。

ただ、海を渡って日本に仕事に来られている方は優秀な方が多く、少し調べると解決できるようなトラブルは大抵自己解決されており、ITサポートを利用しないと解決出来ないようなトラブルの方が多かったのが印象的だった。

英語でのサポートで苦労したこと

応対について、英文メールの読み書きはまだ何とかなったが、英会話がとにかく苦手な私は、訛りや癖のある英会話のスピードについていけず苦戦した。
TOEICや英検などでは訛りの強すぎる英語は出題されないが、実際のビジネスの現場では、中国語訛り・インド訛りの英語の方が多いくらいなので、こうした仕事を目指される方は入念に準備された方が良いと思う。
自分は、

・事前に業務用語・IT系専門用語を出来る限り英語に訳しておく
・通勤時間を利用して、トラブルと解決方法を英語で説明する練習を行う

の2点に絞って、説明と解決だけはこちらから主導出来るよう、時間を割いて準備していた。

そうして苦戦しつつも英語で仕事をするうちに、東欧から来たIT技術者の友人が出来たり、役員の部屋まで行ってシステムトラブルに対応したりと、少しずつ場数を重ねて、英語で仕事を行うことにある程度慣れることが出来た。

ちなみに2年半この業務を経験した後でも、インド訛りの英語にはついていけない(苦笑) 帰国子女の方や外国籍の友人の多い方に相談してみても、「インド英語は無理」「間近で口の動きまで見ながら話しても聞き取れない」という意見が出てくるので、日本語とインド英語はよほど相性が悪いようだ。
とはいえ、数学大国のインドには優秀なIT技術者が多く、今後も避けて通れる道ではなさそうなので、インド英語攻略法は現在も模索中…。

英語ITサポートの仕事で身に付いたもの

この仕事を経た後、技術系の英語文書やwebサイトを読むのに、抵抗や自覚がなくなってきた。調べ物をするとき、基本は読書スピードの速い日本語文書から読み進めるが、日本語文書が少ない分野では英語文書も読み進める。「あれ、いつから英語で読んでたっけな」と気付かないうちに英語に切り替わっていることも多くなった。
この仕事の後、社内メールは英語という外資系企業も経験したが、英語の面では問題なく業務が出来た。(業務知識は足りなかったが…)

また、母語でない言葉で仕事をするからこそ、準備の重要性に気付かされた。単語を日本語に訳しておくなどの準備さえある程度整えておけば、突然問合せを受けてもある程度までその場で対応でき、顧客を待たせることもない。逆に、最低限の業務知識と英語力がなければ、問合せを受けてからでは到底間に合わず、調査や翻訳に時間がかかった挙句何も返せないことも多い。対象となるシステムの仕組みやエラーメッセージの意味さえわかっていなければ、日本語でも手助けが出来ないことを想像して貰えれば、分かりやすいと思う。

日経ネットワークの超入門シリーズ

日頃IT技術者として働いているものの、ネットワーク技術者として勤務したことは今まで一度もない。が、ネットワークについて書かれた本や記事を読むのが好きで、あれこれ拾い読み、応用情報処理技術者試験でもネットワーク分野を選択して受験したところ、転職後の新しい職場では「ネットワーク技術者」という似非レッテルが貼られるほど、ネットワークの問題解決に強くなっていた。

実務経験が大事だと仕事ではよく言われるが、机の上の知識だけでもその知識が一定の量と質を超えると、それなりに実務に耐えうるほどにはなるようだ。

ネットワークを楽しむのに利用して質の良かった書物を、このページでいくつか紹介していきたいと思う。ネットワークに強い技術者を目指される方の参考になれば。

「インターネットのしくみ超入門」日経NETWORK出版

日経NETWORK出版の「超入門」シリーズは、専門用語の解説が多く分かりやすかったので、初学者の頃特に重宝した。本のサイズはA4より一回り大きく、厚さは1cm程度。各ページの半分程度の大きさになるよう縮小コピーして通勤鞄に入れておき、通勤時間や昼休みを中心に読み込んだ。
「超入門」シリーズ市立図書館にも蔵書が置かれているので、図書館から借りれば購入せずとも学ぶことができる。

「インターネットのしくみ超入門」の本では、この1冊でITネットワークの全体像がおよそ掴めるようになる。IT系の仕事に転職したばかりの頃職場の大先輩がお貸し下さった本で、駆け出しIT技術者にはぴったりの本だった。

イラストと用語解説が豊富。説明も分かりやすい

重宝したのが、本の巻頭で特集されていた「インターネット・バックボーンのしくみ」と「インターネットの基礎講座」。

webサイトのリンクをクリックしてからサイトが表示されるまで、ネットワーク上でどのような手続きを経ているかが解説されている章なのだが、どのページもネットワークやサーバの構成を図式化したイラストがカラーで提示されており、IT用語はページ上部に別枠で用語の説明が付されている。

ネットワークは初学者だったので「ピア」「ポート番号」「hostsファイル」など最低限のネットワーク用語さえ理解していなかったが、各ページに付されているイラストで概要を掴み、用語説明と本文を何度か読み込むことで、少しずつネットワークの理解を深めることができた。本なので、自分のペースで学習できた点も有難かった。

試験対策にも有効

この本を読んだ数か月後にMCA platformとMCA securityを受験したのだが、超入門シリーズで学んでいた所為か、ネットワーク系問題は呑みこみが早かった。結果、ネットワーク問題で点を落とすことなく、どちらの試験も一発合格出来たので、試験対策としても適した本なのではないかと思う。

最後に(謝辞)

職場の大先輩は、自分が購読しているIT雑誌を1日置きくらいに、無料で部署内に回覧して下さる方だった。お陰で、お金や手間をかけることなく技術力を伸ばすことが出来、5年以上経った今でもとても感謝している。
職場を離れた後はお会いしていないのだが、この業界は割と狭いので(笑)、またご一緒に仕事が出来たらいいなあ、と夢見ている。

基本情報処理技術者試験 文系が独学で一発合格した勉強法など

文系だが、1年内に基本情報処理技術者と応用情報処理技術者の両方を一発合格できたので、勉強法をメモ。

基本情報処理技術者試験とは

IT分野の国家資格。技術者(=システムエンジニア)向けの3つの国家資格の中で、1番目に易しい技術者入門レベルの試験。(基本情報処理技術者 < 応用情報処理技術者 < 各種高度試験 の順に難易度と専門性が高くなる)

求める人物像は、システムの分野のプロフェッショナルになるために、基本的な知識・技能を身に付けている人。年齢・性別・職種などの制限はなく、どなたでも受験可能。10歳以下のお子さんからから70歳過ぎのおじいちゃんまでどんと来い。

システムを作る人(プログラマーなどの開発者やアーキテクトなど設計者)・システムを運用する人(テクニカルサポートやサーバエンジニアなどの作業者)・システムを導入する人(ITコンサルタントなど)の受験者数が多いが、営業や人事総務などシステム分野以外の方もそれなりの数受験されている。
受験者の性別は、特に統計等公開されていなかった。

試験は、春期(4月第3日曜と秋期(10月第3日曜)の年2回開催。合格率は20%台で推移している。

試験内容は、午前問題と午後問題の大きく2つに分かれ、午前問題は4肢選択式で80問出題。午後問題は多肢選択式。午後問題は、大問11問出題され、計5問を解答する。そのうち、「セキュリティ」と「アルゴリズム」の2問は必須解答。
午前問題・午後問題ともに、合格ラインは正答率60%以上。

基本情報処理技術者試験の詳細については、下記のリンクより公式サイトへ。 ↓
情報処理技術者試験 公式サイト http://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/fe.html

基本情報処理技術者試験の過去問

過去10年以上×年2回分の過去問と解答・解説が公式サイトで無償公開されている。過去問は全てPDFファイルで、ダウンロードや印刷も可能。
まず見たいという方は、下記のリンクよりどうぞ。

情報処理技術者試験 公式サイト(過去問題) https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/_index_mondai.html

追記:令和2年以降、基本情報処理技術者試験については、過去問題が公開されなくなってしまったそうだ…。
基本情報処理技術者であれば、各種過去問の書籍や参考書が多数発売されているので、本屋さんで書籍を立ち読みしてみてあげてほしい。

基本情報処理技術者試験の学習期間・勉強法

学習期間 約1ヶ月
使用教材 過去問(3年分)
市販の参考書(1900円)
学習の概要
  1. 基本情報処理技術者に関する市販の参考書を1冊買い、読み込む
  2. 参考書の読み込みと同時並行で、午前問題の過去問3ヶ年分を解く
  3. 参考書読後に、午後問題の過去問3ヶ年分を解く

午前問題の試験対策は、過去問を解くだけ

午前問題については市販の問題集は購入せず、過去問を印刷して鞄に入れて持ち歩き、新しいものから順にひたすら解いた。

午前問題は1問1答形式で、4つの選択肢から正答を選ぶ問題だけなので、忙しい社会人でも毎日10分~20分程度の時間があれば、午前問題対策を進めることができる。
午前問題だけでも早めに取りかかって解いておくと、自分が合格圏内にいるのかどうか、あとどのくらい点数が必要なのかがおおよそ分かるのでおすすめ。

午前問題は、出題範囲が幅広い。プログラミングの知識から経営管理や法務の知識まで求められる。どなたにでも普段実務や学問で触れていない分野があると思うので、未経験分野もある程度までは潰しておくことをおすすめする。(自分は法務系が苦手だった…)

また、午前は過去に出題された問題が再度出題されることがある。過去問を事前に十分解いておけば、合格ラインの60%を上回ることはさほど難しくない。午前問題が正答率70%取れるようになれば、早めに午後問題対策へ進むこと。

午後問題対策

午後問題は、IT技術者に必要不可欠な「論理的な思考」と、表計算・JAVA・C言語などの「プログラミング言語」「IT技術への専門知識」が問われる。

IT分野で開発・運用の実務を経験された方には易しいのかもしれないが、実務経験の乏しい方ほど学習と問題への慣れが必要。午後問題に早めに取り掛かり、苦手分野を見つけ余裕を持って潰すことが、基本情報の合格圏内に入るための近道であり、IT技術者としての基礎を身につける早道でもあると思う。

使用したテキスト

午後問題では、知識をインプットするためのテキストは1冊ある方がいい。IT分野は覚えることが多く、実務でも応用力が問われるので、解けなかった問題を答えの丸暗記でしのいでいると、点数や技術力が伸び悩む原因になってしまう。知識と理解を深めながら過去問に取り組む方が、暗記の量が減り、勉強も単調になりにくい。

私はある出版社から発刊されていた参考書の2010年度版を使ったが、こちらの本はおすすめしない。技術用語が分かりやすい言葉で解説されている良書だが、この本に掲載されていない単語が本試験問題に多数出題されており、試験範囲を網羅した本とは言えないためだ。

基本情報処理技術者の参考書は何種類か市販されているので、

  1. 知らない用語が分かりやすく解説されているか
  2. 評判の良い本か
  3. 自分が使いやすそうか

の3点を確認して入手されると、失敗が少ないと思う。

応用情報処理試験の受験時に使用した問題集&解説書の姉妹品があったので、こちらのリンクを貼っておく。このシリーズの書籍は分厚く持ち歩きに難儀するが、解説が行き届いており、知識を短期間で身につけられる。

残念ながら、市立図書館には基本情報処理技術者の参考書がなかったので、大学等のより専門性が高い図書館を探すか、書店やネットで購入することになる。購入する際も、ネット上で評価の高い本をリストアップしてから書店に足を運び、実物を手にとって中を確かめてから買うことをおすすめする。

自分に合わない参考書を購入してしまうと、学習に余計な時間がかかる上、精神的に辛くなる。別の本を入手して軌道修正するのも、時間との戦いになるので厳しい。
多少の手間とお金をかけてでも、自分に合う参考書を選んだ方がいいと思う。

なお、情報処理技術者試験の本試験では比較的新しい技術も紹介されるが、全ての技術が参考書で紹介されているとは期待しない方がいい。新しい技術については多少点を落とすことを想定した上で、それでも合格できるよう実力をつけるといいと思う。

基本情報処理技術者試験の本番当日

午後問題は集中力を切らさない

午前問題は、知識が足りない方を落とすための足切り試験。基本情報処理技術者試験の本番は午後問題とお考え頂いた方がいい。午後問題では、午前問題を解いて疲れた頭でも短時間で論理的に考え解答を導き出すことが求める。午前問題で燃え尽きず、午前の出来が芳しくなくても諦めず、お昼の休憩時間に十分頭を休めてから午後問題に取りかかること。

受験者はとにかく男性が多い

基本情報処理技術者の試験会場で驚いたのが、とにかく男性の数が多いこと。全体の8割程度が男性で、しかも、お世辞にも小綺麗とは言えない服装で来られる方、試験開始直前におかしな挙動をされる方などもおられた。女性の方は雰囲気に呑まれないよう、特に注意して欲しい。

普段女性の多い職場で働いていた私は少々面食らい、IT世界で生き延びるということは男性社会で生き延びることと同義なんだな、と認識を新たにした。

合格証書

基本情報処理技術者に無事合格した後、自宅に合格証書が送られてきた。情報処理技術者試験の合格証書はどことなく古風で気に入っている。

基本情報処理技術者の合格証書を正面から撮影した写真。

↑ 基本情報処理技術者の合格証書。

基本情報処理技術者取得後 ~活用しました~

半年後に応用情報処理技術者試験に合格

基本情報処理技術者に合格した半年後に、応用情報処理技術者試験にトライし、無事一発合格できた。

同じ情報処理技術者試験だけあって、基本情報処理技術者と応用情報処理技術者は、試験で問われる内容が似ている。特に、応用情報の午前問題は四肢択一の選択問題で、基本情報を受験した翌月に応用情報午前問題の過去問を解いたところ、正答率67%で、合格ライン(正答率60%)を上回っていた。そのため午前問題対策をあまりせずに済み、午後問題対策に集中することができた。

基本情報処理技術者で学んだITの基礎や試験攻略法は、応用情報処理技術者にそのまま生かすことが出来るので、基本情報に続けて応用情報を取得するのはおすすめ。少ない手間で、より高いリターンが狙える。

しかも、転職活動では、基本情報処理と応用情報処理を1年で両方取得したことを評価下さる企業様が、非常に多かった。応用情報単体で受験するより、基本情報→応用情報の流れで受けた方が確実に合格可能性は高まると思うのだが、面接官には内緒にしておいた。

ITパスポート(初級システムアドミニストレータ) 取得するメリットなど

今でこそサーバエンジニアとして働いているが、エンジニアとしての第一歩は、20代半ばに事務職をしながら取得した「初級システムアドミニストレータ」(現在の「ITパスポート」)だった。
この資格が、長い時間をかけて今の道を切り開いてくれた気がしている。

ITパスポート(旧名:初級システムアドミニストレータ)について

ITパスポートとは

IT系国家資格のうち、最も易しい資格。ITパスポート → 基本情報処理技術者応用情報処理技術者 → 各種高度情報処理技術者 の順に難易度が上がる。
受験者は20代が最も多い。受験者の5割強が社会人、4割弱が学生。

パソコンで受ける試験で、100問出題の四肢択一式。(=4つの選択肢の中から1つを選ぶ) 正答率60%で合格だが、ストラテジ系・マネジメント系・ テクノロジ系のそれぞれの分野で正答率30%以上でないと合格できない。

試験の詳細は、下記の公式サイトを参照。

ITパスポート試験
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/guidance/summary.html

過去問題

ITパスポート試験は、過去問が無料で公開されている。下記のリンク先から、過去8年分15回分以上の試験問題と解答を、無料でダウンロードすることができる。
https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/openinfo/questions.html

ITパスポートの勉強法と試験の感想

学習期間 使用したテキスト
2~3ヶ月 「1週間で覚える初級シスアド」(1~3巻)

この資格を取ろうと計画し始めた当初パソコンが苦手で、全くと言ってよいほどITにもパソコンにも電化製品にも疎かったので、どうやってITパスポートを勉強すれば良いか全く分からなかった。なので、本屋でITパスポート対策の本を1冊買い、とにかく前から順にやっていった。

だが、残念ながら、それでも訳が分からなかった(笑) 当時は、wordやexcelの知識を問う問題が出てくる試験だと思っていたのですが、ITパスポート(初級シスアド)はITの基礎理論を学ぶ資格なので、マイクロソフト社が宣伝のように出てくる筈もなく、アルゴリズムやセキュリティやエンドユーザコンピューティングなどの用語がひたすら並ぶ。途中何度も投げ出しそうになり、「自分はITの世界に向いていない」と心の底から思った。
(ちなみに、word/excelなどの問題が出題されるのは、Microsoft社の”Microsoft Office Specialist”(MOS))

今でこそサーバエンジニアとして偉そうな顔をしているが、受験当時はこのような悲惨な心境だった(笑)
あまりにやる気を失ってしまうので限界を感じ、途中でテキストを変更。説明が短く、章ごとに問題がついているテキストに変え、説明に飽きたら問題を解くという方法にしたところ、何とか本の章末まで辿り着くことができるようになった。

ITパスポート試験当日

過去問に手をつける時間がなかったので、ぶっつけ本番で試験に臨んだ。当時のITパスポート(初級シスアド)は午前と午後に1つずつテストがあり、「午後の方が難問だよ」と知人に言われていたのでびくびくしながら午後を迎えたが、実際は午後の方が簡単だった。

午前問題は知識を問う問題で、見知らぬIT用語ばかりが出てきてお手上げでしたが、午後問題は知識より論理的思考を問われるテストだった。AだからB、BだからCと1つ1つ思考を整理すると解くことができるので、午前問題で撃沈していた私は「……いけるかもしれない」と復活したのを覚えている(笑)

結果は、見事一発合格だった。良かった!

合格証書

合格してしばらくすると、合格証書が自宅に送られてきた。賞状のようで、少しカッコいい。

初級システムアドミニストレーターの合格証書を正面から撮影した写真。賞状に似て金の縁取りがあり、文面や大臣の署名は毛筆で記載されている。

↑ 初級システムアドミニストレーターの頃の合格証書。

数年後に応用情報処理技術者も取得したが、昔も今も合格証書がほぼ変わっておらず、少し嬉しかった。

ITパスポート取得後 ~活用しました~

事務職をしながらITの実務スキルを磨く

ITパスポート取得後もITスキルにはあまり自信がなかったのだ、丁度当時の職場の右隣の席に、元システムエンジニアで現営業職の方が座っていた。その方に試験に受かったことを話したところ、excelで営業資料を作る仕事などを振って下さるようになった。

何とか振られた仕事をこなしつつ、もう少しITスキルを伸ばすために、会社で行われていたword・excel・powerpoint・accessのスキルアップ講座をこつこつ受講していくと、半年程で「資料作成ならとりあえずこいつに頼んどけ」という図式が社内で出来上がり、最終的にはMicrosoft Office Access(データベースソフト)での顧客情報管理とメンテナンスを任されるようになった。

当時は事務職だったが、当時の職場には事務職でありながらデータベースの構築・運用を行える女性が何人かいらっしゃっったので、恵まれた環境だったなあと今振り返ってみると思う。

ステップアップ

その職場を退職してからも、ITパスポートとMicrosoft Officeの実務スキルを身につけたお陰で、htmlとホームページビルダー(ホームページ作成ソフト)で社内ホームページを編集する仕事をしたり、マイクロソフト社で新製品を小売店に紹介して回る仕事をしたり、自分でwebサイトを作って公開し始めたりと、公私に渡って有形無形の恩恵を受けることができるようになった。

サーバエンジニアへ

ITパスポートを取得し、10年以上が経った。途中基本情報処理技術者を取り、現在は応用情報技術者を取得しサーバーエンジニアとして勤務しているので、ITパスポートが1人の若者をここまで運んで来てくれたんだなあと思うと感慨深い。
今毎日のようにサーバとデータベースを操作し、アプリケーションサーバを作ったり、セキュリティ技術について勉強不足なお客様を叱ったりしているのが、少し不思議な感じもする。

IT業界に本格的に足を踏み入れた際、当時の私が持っているIT系資格はITパスポート(初級シスアド)だけだった。あまりの成り上がりぶりに「わらしべ長者」のおとぎ話を思い出したが、ITパスポートにそれくらいの力があるということは、紛れもない事実だと思う。

ITパスポート(初級シスアド)のお役立ち度

取得しやすい割に、相当使える資格だと思う。若い方の場合は特に、この資格を持っていると認められ、そこから実務スキルを磨くと仕事に繋がると感じている。