鉛筆でデッサン力を養うのに適したモチーフの一覧

デッサン初心者の頃から鉛筆デッサン10年超の現在に至るまで、日々スケッチブックにモチーフとして描いてきたものを、描いた順にメモする。デッサン力向上を目指す方の一助になれば。

ひょんなことから今まで3つの絵画教室にお世話になったが、どの教室も工夫を凝らし、生徒が無理なくデッサンのスキルを伸ばせるよう、工夫してモチーフ選んで下さっていたと感じている。そして、「何を描くか」ということもさることながら、「どの順で描くか」も同じくらい重要だった。

■鉛筆でデッサンしたモチーフ@N先生の絵画教室

社会人2年目に、完全なるデッサン初心者として通い始めたN先生の教室にて描いたモチーフをご紹介。デッサンのモチーフが、最もシンプルで初心者が学びやすい順に構成されていたなあ、と感じるのがN先生の教室だった。

・鉛筆デッサン必修課題

 1枚目 白いプラスチックの植木鉢
 2枚目 青緑色のシンプルな形の壺
 3枚目 赤林檎1つ
 4枚目 赤林檎1つと半分に切った赤林檎1つ(キャンバスで林檎と林檎が接するようにモチーフを配置する)
 5枚目 透明なガラスのワイングラス
 6枚目 緑色のランプ

最初の1枚目の植木鉢から6枚目の緑ランプまでは、デッサン初心者も経験者も、N先生の教室に通い始めた全員が頑張って描く。使うのは、三菱鉛筆uniの2B鉛筆1~2本と、練り消しゴム1つと、全長30cmくらいのスケッチブック1冊のみ。
それぞれのモチーフと取り組む順には、重要な意味がある。

 1枚目 明暗を描く練習
 2枚目 色のついたものを描く練習
 3枚目 丸いものを描く練習
 4枚目 2物の関係を描く練習
 5枚目 透明なものを描く練習
 6枚目 中身の見えるものを描く練習

1枚目・2枚目は、色が1色か2色で、形もシンプルなモチーフが選ばれている。そして枚数が進むにつれ、色数が増え、形も複雑になり、絵に奥行きが求められるようになってくる。

ただ、4枚目の林檎1個×林檎半分は、2物の位置関係を平面上で組み立てねばならずとても難しいので、個人的には順番を少し入れ替えて、林檎1個×林檎半分は6枚目でもいいかなとも思う。

最初の6枚を入塾(?)した人が入塾した順に描くので、進捗は全員バラバラ。早めに描き上げても、何時間もかけてじっくり描いてもいい。中には小学校以来30年間絵など描いたこともなかったという人もいたが、先生のサポートを受けつつ、その方らしい絵を描き上げていた。

また、生徒全員が同じものを描くので、この6枚の絵が共通の話題となっていた点も見逃せない。年齢や職業が違ってもこの6枚の話題なら会話が出来てしまい、教室全体に一体感が生まれ、生徒同士が仲良くなるのに一役買っていた。生徒同士が仲良いと教室にも通いやすく、絵の技法からパンの美味しいお店まで、この教室でさまざまなことを教わった。

N先生は非常にお喋りの好きな社交的な方だったが、コミュニケーションまでを考慮してこの6枚を必修課題とされていたのなら、見事というより他ない。

・鉛筆デッサン選択課題

必修課題の6枚を描き上げると、パステル画や水彩画や色鉛筆画・油絵など、選ぶ道は十人十色だった。あと数枚鉛筆デッサンを描かれてから、ご自分の描きたい画材やモチーフを選ばれる方が多かった。こうした自由度の高さは、個人運営の絵画教室ならではの良さだと思う。
私は鉛筆1本で描けるシンプルイズベストな鉛筆デッサンが好きになり、積極的に鉛筆デッサンに励んでいたので、そのときのモチーフをメモ。

 7枚目 珈琲ミル
 8枚目 銅のランプ
 9枚目 ミロのビーナス(小型の石膏の胸像)
 10枚目 ビロードの袋の入ったウイスキーボトルと、水の入ったグラス
 11枚目 枯れ薔薇約20本と模様付きの白い花瓶
 12枚目 黒いランプ
 13枚目 造花の花3本
 写生会 川のある風景

7枚目以降は、N先生の教室に保管されていたモチーフのうち、先生に勧められ自分でも興味惹かれたものを順に描いた。質感や形の違うものが毎回選ばれていたなあ、と振り返ってみて感じる。
描く順はさほど気にしなくて構わないが、石膏像は非常に難しく感じたので、9枚目で描いたのは時期尚早だった気がする。

■鉛筆でデッサンしたモチーフ@Aスクール

N先生の教室が閉じてしまった後、通い始めたのがAスクール。Aスクールには美術大学受験向けの講座があり、講師も生徒もデッサン力が超ハイレベルで、絵で賞を受賞されている方がたくさんいた。
Aスクールはデッサンコース内でのカリキュラムがおおよそ決まっており、デッサンのモチーフも予め定められていたが、何をどの順番で描くかは講師と相談しながら選ぶことができた。(かつ、デッサンに飽きた時は、絵本コースやコミックコースなど別のコースを受講することもできた)

 01枚目 石膏の立方体
 02枚目 石膏の直方体
 03枚目 石膏の円柱
 04枚目 石膏の球体
 05枚目 石膏の円錐角柱相貫体
 06枚目 グラス
 07枚目 紙コップ
 08枚目 木片
 09枚目 トイレットペーパー
 10枚目 ブックエンド
 11枚目 縄
 12枚目 レンガ
 13枚目 タオル
 14枚目 金属製のボウル
 15枚目 グラスとレモン
 16枚目 レンガとワインボトル
 17枚目 植木鉢とボーダー柄の布
 18枚目 オイル缶とさいころ
 19枚目 電球とクリップ
 20枚目 スコップと胡桃

※後半に行くほど、モチーフを描いた順序はうろ覚え。

最初が単体モチーフの石膏デッサン、次が単体モチーフで質感のあるデッサン、最後が複合モチーフで二物の質感の異なるデッサンだった。カリキュラムはこの後も続き、牛の頭蓋骨など形の複雑なモチーフを使ったデッサン、石膏人物像や木炭デッサンなどへと進んでいくが、私はこの20枚すら所要時間内に描けず、挫折した(笑)

石膏でできた立体の描き方を最初にしっかり学んでおくことは、形のとり方や奥行き・立体の表現の仕方を身に付けさせてくれたと感じる。特に立方体と円柱は、学びが多かった。実際に描き始めると単調に思えるかもしれないが、「この最初の数枚が描けないと、他のどのモチーフもまともに描けないだろう」とも感じた。



■鉛筆でデッサンしたモチーフ@T先生の絵画教室

 1枚目 石膏の首像(ミロのヴィーナス)
 2枚目 石膏の首像(名称不明。男性の首像)
 3枚目 石膏の首像(名称不明。男性の首像)
 4枚目 石膏の胸像(ボルゲーゼの闘士胸像)
 5枚目 石膏の胸像(名称不明。青年戦士が甲冑とマントを羽織っている像)

入門直後の必須カリキュラムが最もスパルタだ、と感じたのが、T先生の教室。Aスクールで鍛えられた後でも、石膏像5本立てを木炭でデッサンするのは難しかった…。
初心者が石膏像を描くのは難しく、また、石膏像を個人で用意するのも費用が嵩むので、このカリキュラムは参考程度に見て頂ければ。