投稿者「somanybooks」のアーカイブ

「パリは屋根裏 ― 暮らしてみた普段着の街」やなぎもと なお

パリでの生活やフランス人のものの考え方が良く分かる本です。

「パリは屋根裏」の説明

パリのシャンゼリゼ通りで3年間住み込みベビーシッターをした著者が、パステル画のイラスト360点を交えながら、普段のパリでの生活を描いた本です。

屋根裏部屋での暮らしや、革命記念日で大にぎわいのパリ、普段使いの野菜・果物や元シェフに教わったフランス家庭料理など、生活の面からパリ、そしてフランスが描かれています。

「パリは屋根裏」の感想

フランスの食事や生活に関する本を何冊か読み漁ったのですが、この本が一番リアリティがあって分かりやすかったので、おすすめします。

やわらかい色で描かれた手書きのイラストが、ふんだんに盛り込まれているところが良いです。どのページにも3~10つほどのイラストが載せられていて、イラストの一つ一つに著者の直筆のコメントが添えられているので、実際にパリの街角からあちこちを眺めている気分になります。
アーティチョークなど日本人に馴染みの薄い食材や屋根裏つきアパルトマン(=アパート)の部屋割り&多国籍な住人なども、イラストつきだからこそ分かりやすくて助かりました。

著者の方が絵画に関してどういう経歴をお持ちの方かは詳しく書かれていなかったのですが、イラストは分かりやすくとても丁寧です。同じく絵を学んでいる人間として細かいことを言ってしまうと、発色の良いマーメイドリップル紙にパステルで彩色されているので、絵が穏やかな優しい色合いなのも、お気に入りの理由のひとつです(笑)

旅行や留学等でフランスに長く滞在される予定のある方は、読んでおいて損はないのではないでしょうか。

少し話が逸れるのですが、……フランスに関する本は丁寧に作られた本が多くて、読んでいてとても嬉しく感じます。少なくとも、「利益出るのでとりあえず作っときました」という本は、今まで1冊も巡り合ったことがありません。「作っても売れないし、この本を作ってもどれくらいの人に読んで貰えるのか分からないけど、フランスが好きなんです。だから丁寧に作っておきました」という雰囲気の本がとても多いです。

フランス好きな者同士、本を通じて「そうです! 私もそんなフランスが好きなんです!」と、ついつい見えない著者を相手に心を通わせてしまいます。普段の生活でフランスやフランス語を愛する方にお目にかかる機会が滅多にない分、こうした本の存在を有難く感じています。

「色彩検定2級問題集」ヒューマンリソシア

色彩検定2級に合格した際に使用した問題集。
 → 色彩検定2級の勉強方法についてはこちらへ

「色彩検定2級問題集」について

「色彩検定公式テキスト2級編」とほぼ同じ章立てになっており、公式テキストの第1章が問題集の第1章に対応している。
それぞれの章が、
 1. 知識のまとめ (=インプット)
 2. 問題演習   (=アウトプット)
の2つに分かれている。

インプットは、公式テキストの半分ほどの分量にまとめられているので、時間のない方は公式テキストではなくこちらの問題集のまとめを読むだけで、要点を学ぶことができる。

問題演習のページに掲載されている設問の量が非常に豊富で、各章に対して大問3~15問ほど用意されている。問題はBASIC(基本問題)・通常レベルの問題・POWER UP(応用問題)の3つのレベルに分かれており、自分の学習進度に応じて解く問題の難易度を調整することができる。

「色彩検定2級問題集」を使用した感想

色彩検定2級を受験されるのであれば、問題集は1冊あった方が良いと思う。私も色彩検定3級受験時は特に問題集を用意しなかったが、2級ではきちんと準備した。とは言っても、2冊も3冊もトライする必要はなく、1cmを超える厚さのものが1冊あれば十分。

アウトプットを重視する人にはおすすめ

掲載されている問題量は、十分すぎるほど多い。むしろ、試験本番までにすべて解こうとすると、時間が足りなくなり焦ると思う(笑) 苦手分野を集中的に潰したい方や、とにかく問題に慣れたい方、インプットよりアウトプットを重視する方にはおすすめできる。

掲載されている問題も、実際の本試験に出題されたものと良く似ていたので、本試験ではあまり緊張せずに解き進めることが出来た。

知識と暗記が中心の問題集

どちらかというと、色彩知識の暗記に偏った問題集だと思う。知識は十二分に身につくがが、思考力や応用力は身につきにくいため、色彩検定の試験が苦手な方はこの1冊だけで本番に臨むのは少し危険かな、と感じた。

地方国立大学教養課程のフランス語の授業 (文法・読解)

地方国立大学1年の時に初めてフランス語を学びました。その時のことを少し書いておきます。

授業は文法読解の2つがありました。フランス語は半年に文法と読解の講義1つずつを計2年間、必須授業として受講します。

フランス語必修講義(文法編)

文法の授業は、「トレーニングペーパー フランス語(文法編)」で学ぶ内容とほぼ変わりません。
フランス語の発音の仕方をまず学び、その後1~3人称、er動詞・ir動詞の活用、代名動詞、半過去、大過去くらいまで学んだと思います。
接続法は、学んだかな?(うろ覚えです) でも大過去・接続法を学ぶ頃になると、みんなわけが分からなくなってるので、テスト前に必死で動詞の活用を詰め込んでいました(笑) どこまで行っても、学生はそんなものです。

授業中に使うのは、厚さ0.5mmくらいテキストと仏和辞書のみです。問題集はないので、先生が時々レジュメ1枚を印刷して配ってくださいました。
……今思えば、これじゃ問題量が全く足りません(笑) その後私はフランス語トレーニングペーパー(文法編)に励むことになります。

フランス語必修講義(読解編)

5~20行くらいのフランス語で書かれた文章を読んでいきます。読解といっても初めてフランス語習う学生ばかりですので、先生が時折文法を補足しつつ読みます。

1Leconごとに10行程度の文章を読んで、日本語に訳して、その後文法を確認します。そして文法を使った3~5行ほどの例文が掲載されているので、そちらも訳す、というオーソドックスな授業です。

こちらも使うのは、「音読を大切にする 文法・読本」というテキストと、仏和辞書のみです。
1度に進む分量も、フランス語トレーニングペーパー(読解編)の1日分より少なく、授業自体はのんびり進みます。ですが問題集がないので、授業が進むにつれてあやふやな文法知識に困りました(笑)

フランス語の文法構造は英語と似てるので、高校生のうちに英語の読解をしっかりやっておいた方は、フランス語の文章も比較的スムーズに読めるんじゃないかと思います。

英語で学生を混乱に陥れることの多い発音については、フランス語ではあまり心配しなくて大丈夫です。フランス語は単語を見ればすぐ発音ができるという表音文字で、発音にもきちんと規則性があり、英語の「r」のように日本人が発音しづらいものも特にありません。
フランス語の読解編の授業1日目で、フランス語単語の発音が大まかにできるようになったので、とても嬉しかったのを覚えています(笑)

栗原はるみさんの電子レンジレシピ本「おいしいね 電子レンジ」

料理初心者料理が苦手な方にこそおすすめしたい料理本。

電子レンジ料理本の説明

料理上手のカリスマ主婦栗原はるみさんが考案した、電子レンジだけで作れるレシピ本。
和食・洋食・中華などの主菜や副菜から、和風・洋風のデザートに至るまで、幅広い電子レンジレシピが掲載されている。殆どのレシピも、1回だけ電子レンジでチンすれば、料理が出来上がるよう工夫が凝らされている。

電子レンジ料理本で料理をしてみた感想

料理初心者の方にこそ、電子レンジ料理がおすすめ

「料理を身につけたい方は、電子レンジのレシピからトライした方がいい」と強く感じる。
電子レンジで作る料理は、火加減や味付けを間違えることが殆どない。材料の分量をレシピ通りにきちんと量って電子レンジに入れれば、料理初心者でもおいしいおかずが確実に作れる。

栗原さんの工夫の甲斐あって、切った材料と混ぜ合わせた調味料をボウルに入れてチンするだけ、というシンプルなレシピがたくさん掲載されているので、料理の味付けや火加減で失敗することの多い方には、特におすすめできる。

一度に作れる料理の品数が増える

ご自宅のコンロの数にもよるが、レンジ1つとコンロ1~2つを併用して料理を作ることができるようになるので、1回の食事で並ぶ料理の品数が1品増える。

ITエンジニアの仕事でよく「手離れが良い」という言葉を使うのだが、電子レンジ料理はまさにそれで、電子レンジに放り込んでしまえば、あとは完全放置でOK。
コンロで作るメインディッシュや汁物に集中して、それらが仕上がった頃に電子レンジ料理を取り出せば、労せずして品数を1品増やすことが出来てしまう。

レンチン料理があまりに手軽なので、ちょこちょこ作るうちに、この本のレシピの半分近くを制覇しつつある(笑)

おすすめレシピ:豚肉と白菜の梅肉蒸し

私が作った中で家族に一番好評だったレシピは、「豚肉と白菜の梅肉蒸し」だった。

ざく切り白菜と薄切りの豚肉を、交互に重ねて耐熱ボウルに入れ、和風だしと酒と醤油に梅1粒を混ぜたタレをかけ、電子レンジで4分チンするだけなのだが、この料理は多めに作っておいても夕食の間に売れてしまい、翌朝まで残ってくれない(笑)

レシピは我が家の味覚に合わせて多少アレンジしているが、和風だしがよく効いた醤油味で、豚肉の分だけ程良くボリュームもあるので、老若男女だれからも好かれる一品のようだ。

※レシピでは梅4粒と書かれていますが、我が家は梅1粒がベストだった。また、仕上げに乗せる白髪ねぎは、私個人が苦手なので省いている。

電子レンジ料理をする上での注意事項

耐熱ボウルもしくは耐熱皿のどちらかが必須

この本に限らず電子レンジレシピはどれもそうだと思うが、耐熱皿もしくは耐熱ボウルが調理に必要。

耐熱皿や耐熱ボウルはガラスでできているが、通常のガラス食器よりも熱膨張しにくく作られており、電子レンジに長い時間かけても、割れたりすることがない。
耐熱でないガラスの深皿を、誤って5分以上レンジにかけてしまったことがあるが、レンジの扉を開けた瞬間に、深皿が真っ二つに割れた。幸い破片が飛び散るようなことはなかったが、大変危険なので、耐熱の器はどうしても必要かと思う。

また、大きめの耐熱皿が1つあると、野菜の下ごしらえがすぐに出来るようになるので便利。
例えば野菜に下拵えは、切った野菜と水大さじ1くらいを耐熱皿に入れ、ラップして数分レンジでチンするだけ。きのこなど火の通りやすいものなら3分くらい、ジャガイモなら7〜8mmくらいの薄めに切って6分くらいで火が通る。

耐熱ボウルなら、20cmより大きいサイズが便利。
小さいサイズのボウルを買うと、小麦粉・片栗粉などの粉末類がボウルに入り切らず周りに落ちることがあるのと、材料そのものが入りきらない場合がある。
調理皿は「大は小を兼ねる」。近年は一度にたくさん作って保存する作りおきも主流になってきたので、心持ち大きめを選んであげてほしい。

耐熱皿も、直径20~30cmで深さ2~3cmくらいのものが1枚あると使いやすい。耐熱皿は普通のお皿としても使えるので、作ったあとそのまま食卓に乗せて食べる、という食器要らずな生活ができる。

なお、耐熱器具のリンクがiwakiのものなのは、単なる私の趣味である(笑)
iwakiの耐熱器具は厚手で少し重いが、シンプル&ベーシックで、どの家庭でも長く使えるデザインが豊富に揃っている。
私はiwakiの耐熱器具を5〜6皿有しているが、うち2枚は10年以上割れずに使っているので、なかなかに侮れない。

“Ex-word 電子辞書XD-ST7200 フランス語対応モデル” CASIO

英語学習のみならず、フランス語学習のツールが充実している電子辞書です。

「Ex-word 電子辞書 フランス語対応モデル」の説明

CASIOから発売されている電子辞書です。電源を入れ、ボタンで辞書を選択して、調べたい語句を入力すると、言葉の意味を表示してくれます。

普通の電子辞書と異なる点は、語学学習のツールが充実していること。この製品は、英語とフランス語が特に充実しています。英語は英和辞書・和英辞書・英英辞書の3種類、フランス語は仏日辞書・日仏辞書・英仏辞書・仏英辞書・仏仏辞書の5種類の辞書が標準で搭載され、国語辞典(広辞苑)・漢語林など日本語の辞書も入っていますので、日仏英の3言語を使用・学習される方に適しています。

側面拡大図。180度開く。

↑ 側面拡大図。180度開く。

大きさは、縦 約10cm × 横 約14.5cm という掌サイズで、厚みは約1.5mm(薄めの文庫本くらい)。重さは、電池込みで約250g(文庫本1冊分くらい)です。
単4乾電池2本で稼働。eneloopやsonyの充電池も利用できます。

CASIOの電子辞書を裏返し、電池の蓋を外したところ。

↑ 電子辞書を裏返すとこんな感じ。

連続稼働時間は130時間だそうですが、大学の講義などで持ち歩いて普通に使用して、丁度半年くらいもちます。

casioのフランス語学習・英語学習向け電子辞書の蓋を開きフランス語単語「joli」の意味を検索している画像

スピーカーが内蔵されており、「音声」ボタンを押すと、英単語やフランス語単語を読みあげてくれるので、耳からも単語を覚えられます。
文字サイズは3段階で大きさを変更でき、「バックライト」ボタンをONにすることと、暗い場所でもご利用頂けます。
ページは「ページ送り」ボタンで1ぺーじずつめくれます。画面スクロールの手間が少なくなり、地味に便利です(笑)

CASIOフランス語対応電子辞書の裏面拡大図。スピーカーとイヤホンの切り替えボタンなどがある。

↑ 電子辞書の裏面拡大図。スピーカーとイヤホンの切り替えボタンなどがある。

この機種はフランス語学習を重視するタイプですが、他にも中国語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、韓国語、ロシア語に特化した電子辞書が発売されています。

より詳しい機能を知りたい方は、CASIOのwebサイトをご参照下さい↓ 
CASIO公式ホームページ http://arch.casio.jp/exword/products/XD-ST7200/

電子辞書の裏面拡大図

↑ SDカードの差込み口もある。

「Ex-word 電子辞書 フランス語対応モデル」を使用した感想

CASIOの電子辞書を購入後8年経った今でも愛用しています。

電子辞書の素晴らしい点が、まず学校や職場に行くときに、紙製の重い辞書を持ち歩く必要がない点。語学は継続が命なので、無理なく学習できる環境を整えておくのは大事だと思い、思い切ってこちらを購入しました。

↑ Casioのフランス語対応電子辞書のキーボード部分を拡大して撮影した写真。

↑ Casioのフランス語対応電子辞書。キーボード拡大図。

英語・仏語・日本語の充実度

数ある電子辞書の中でCASIOのこの製品を選んだ理由は、

 ①広辞苑(国語辞典)
 ②漢語林(漢字辞典)
 ③英語辞書(英和辞典・和英辞典)
 ④フランス語辞書(仏和辞典・和仏辞典)

の4つが標準で備わっていたからです。
フランス語を学びつつ、仕事やWEBで英文を読み、日本語の文章も毎月10,000~30,000字ほど書くので、日本語・英語・フランス語の3言語が全て充実しているというのが欠かすことの出来ないポイントで、その条件を満たしつつ、大学生のバイト代で手が届く電子辞書がこの製品でした。

3言語が充実しているという点において、この電子辞書は文句なしです。
この辞書を使っている間に、英語力はTOEIC550から850へ、フランス語力は知識ゼロから実用フランス語検定3級レベルへと上達しましたが、どの段階でも学習に支障がありませんでした。

しかも購入して10年近く経ちますが、一度も故障していません。……今振り返ると、CASIO凄いですね。

文学作品の無料ダウンロードもできる

青空文庫から文学作品を無料でダウンロードできる点も気に入っています。
青空文庫からダウンロードできるのは著作権の切れた日本の文学作品だけですが、常時70作品を手間なく持ち運べるのは大変有難いです。
 → 青空文庫については、こちらへ

まとめ

CASIOでこの製品の開発・販売を手掛けられた方に、「いい製品を作ってくださって有難うございます」とお礼を言いたいです(笑) これからもずっと、大事に使っていきますね。

「『文』を『藝』にするヒント 基礎編、応用編」菊池寛作家育成会

小説を書く方、小説家になりたい方に向けて、小説を書くために最低限知っておくべきことが記された本です。

「文を藝にするヒント 基礎編、応用編」の説明

掌サイズで、厚さが5mmほどしかないような、非常に小さく薄い本です。基礎編と応用編の2冊構成になっており、基礎編には長編小説を書くために必要なアドバイスが詰まっています。

基礎編は、小説を書くための心構えから始まります。技法に関しては、読み飛ばすところが見当たらないほど、要点が端的に書かれています。登場人物の履歴書作りや、小説の骨子(プロット)など、どれ一つ抜いてもまともな小説に仕上がりそうもない項目が目白押しです。

応用編は、基礎編が身についている前提で書かれており、よりよい小説にするための+αについて、アドバイスがなされます。人物に宿命を与えることや、読者の席を用意することなど、小説をより光らせるためのポイントが惜しげもなく披露されています。

「文を藝にするヒント 基礎編、応用編」の主観的学び

・芸術の前に、まず自分の飯を食う
 生活し、人生について自分なりの考えを持つ
 小説を書く練習はいらない

・プロット(物語の骨子)
 800~1200字

・まず構成力
 400字28~32枚で起承転結 →長編の骨組み

・美文より自分の考えが伝わるかどうか

・どうせ書くなら大胆に

「文を藝にするヒント 基礎編、応用編」の読書感想文

小説を書くためというより長文を書くために、十数年前文章や小説の技法書を読み漁りました。天声人語の筆者や、大学教授などが書かれた書籍も読みましたが、谷崎純一郎氏の「文章読本」と本書「文を藝にするヒント」の2冊が特に分かりやすくかかれており、自分の心に強く響いたため、ここでご紹介したいと思います。

個人的には、とにかく基礎編を読むべき、と感じました。

筆者は作中で「新人賞約1200作のうち、小説らしくなっているものは全体の5%もない」と悲しんでおられますが、基礎編を読み終えてしまうと、5%未満という数の少なさにも頷けます。小説には、最初の1文字目を書き始める前に、整えておくべき事柄がこれほどたくさんあるんですね……。

出版され世の中に出回ってる小説の大半が、こうした日の目を見ない(でも極めて重要な)ステップを経て制作されているのかと思うと、文字として立ち現れてこない小説家の苦労が、多少なりとも感じられるようになりました。

基礎編・応用編ともに1冊1~2時間ほどで読めてしまう分量ですが、内容が濃く、読んで損はありません。分量が短いので、本屋さんや図書館でも読めてしまうと思います。
一読するだけでもためになりますが、それ以上に、繰り返し読み、本書の考え方や技法をどこまで身につけることが出来るかで、長文の質が変わってくるのだろうと思います。


「きたのじゅんこ 水彩色鉛筆画入門 魔法のテクニック」(きたのじゅんこ 著)

きたのじゅんこさんご自身が、きたのさん風の幻想的な描き方を教えて下さる(!)本です。

「水彩色鉛筆画入門 魔法のテクニック」の説明

きたのじゅんこさんは、子供や天使をモチーフに、柔らかで幻想的な絵を描かれる人気画家さんです。

この本は水彩色鉛筆の種類や紙の選び方といった水彩色鉛筆の基本から、ハッチング(線を重ねる)やパウダリング(色鉛筆を削って粉でぼかす)など水彩色鉛筆でよく使わられる絵画の技法に加え、きたのさんが実際に描かれる際の作業手順や、あの幻想的で美しい絵の描き方までを伝授して下さいます。

本書の後半で、学んだことの総まとめとして、下書きから仕上げまできたのじゅんこさんが描く際の工程を、1つ1つ写真付きで解説されています。

「水彩色鉛筆画入門 魔法のテクニック」の感想

私の一番の驚きは、「きたのさん、水彩色鉛筆使われてらっしゃるんだ!」という点でした(笑) 
きたのさんの絵は繊細で、画面の細部に至るまで非常に丁寧に仕上げられており、水彩特有の粗さや色ムラとは無縁のように思っていたので、本当に驚きました。

本を読み進めてみると、水彩の特徴を効果的に用いつつも、作業工程や描き方がとても丁寧です。主に画面の下塗りに水彩を用い、色鉛筆の特性を生かして仕上げをされるので、キャンバス全体の統一感も出ますし、細部も細かく描き込み仕上げることができるようです。

また基本技法を指導して下さっているところで、ごく小さな絵を下書きから仕上げまで指導してくださっている箇所があるのですが、どんな小さな絵でも、きたのさんの絵はきたのさん風でした(笑) セピア色のろうそくや蒼く輝く水晶など、雰囲気が柔らかく穏やかで、絵全体からあたたかみを感じます。

大きな紙での大作を描くのは私達素人には難しく感じますが、手のひらサイズの紙にろうそくの絵なら、何だか描けそうな気がしませんか? こんな感じで描いてみたい、そんな気にさせてくれる本でした。

「ノルウェイの森」(村上春樹 著) のあらすじと読書感想文

売上部数1,000万冊を誇る、村上春樹さんの不朽の名作
娯楽的読み物としても楽しめますが、文学作品としても素晴らしかったです。

 

「ノルウェイの森」の説明(あらすじ)

飛行機でドイツの空港に到着した際、37歳の「僕」が機内で流れたビートルズの曲「ノルウェイの森」を耳にしてしまう場面から物語が始まります。ノルウェイの森により呼び起された記憶は、長く複雑な青春時代へと遡ります。

「僕」が恋し精神を病んでしまった直子、17歳で自殺した親友キズキ、生気あふれる女の子緑の登場、びっくりするほど優秀で孤独な先輩永沢さんと、その優しい恋人ハツミさん、音楽を愛しながら精神の治療を続けるレイコさん……深い喪失を伴いながら、物語が展開します。

「ノルウェイの森」の読書感想文(という名の純文学的読み解き)

※小説のネタばれを含みます。問題ない方のみ続きをお読みください。

この作品のテーマは、死と生だと感じました。主要人物のうち3名が死を選び、3名が生を選ぶのが象徴的です。そして生と死の間に位置しながらも生を選んだのが「僕」であり、生きながら死への不帰路に着いている私たちではないでしょうか。

離陸中の飛行機という旅路の途中から物語が始まり、どこでもない場所で終わるという作品全体の構造や、精神を病んでしまった「直子」に心から恋をしながらも、生を謳歌するはつらつとした「緑」にも惹かれるという「僕」の揺れ動くこころが、生と死の間でどちらにも惹かれながら生きている「僕」と私たちを象徴しているように思います。

生と死をテーマと考えた時、多すぎるほどの性的描写も、作品全体に漂う深い喪失感にも納得がいきました。性的描写は、新たな生を生み出す営みを暗示していると感じます。(とはいえ、性描写は個人的に苦手なので、少し減らして頂けると嬉しいですが…(苦笑))

読書感想文からはやや話が逸れますが、春樹さんのこの小説は、若かりし頃の自分にとってどうしても忘れ難かった一言が載っている小説でもありました。

「文章という不完全な容器に盛ることができるのは不完全な記憶や不完全な想いでしかない」

小説の始まりから50ページも進まないところに書かれている一文ですが、まるで小さな棘のようで、読後10年以上経った今でも、自分の脳裏に刺さったままです。話す人も書く人も、言葉に依存する限り、100%はあり得ない。この言葉を戒めとして、これからも文章を綴っていきたいと思っています。

「旅先で楽しむ3段階早描きスケッチ」(佐々木清 著)

水彩の特徴を生かし、透明感のある水彩画を30分で描き上げるコツが身につく本だった。

「旅先で楽しむ3段階早描きスケッチ」の説明

透明水彩・鉛筆・木炭を使い、下絵から着彩終了までわずか30分(!)で仕上げてしまうという、画期的な水彩画の描き方が紹介されている本。

下絵5分→陰影5分→着彩20分の各作業工程が、豊富な写真と著者直筆の水彩画を用いて解説されている。スケッチブックの選び方など、使用画材に関しても丁寧に言及されていた。

「旅先で楽しむ3段階早描きスケッチ」の主観的学び

・下絵:
  大枠・骨組みから描く、細部は後回し
  線は曲がっている方が味がある
  消しゴムは使わない

・陰影:
  木炭と擦筆で一気に陰影をつける

・着彩:
  時間が取れる時に。ホテルでゆっくり仕上げるのも良  
  色は先に混ぜ合わせておく。水を刷いた後、一度に複数の色を乗せていく
  2色以上を混ぜ合わせると、色彩が落ち着く
  水を刷く → 数色を一度に画面全体に乗せる → 細部に色を乗せる

「旅先で楽しむ3段階早描きスケッチ」を読んだ感想

この本を読み始めたのは、早描きがしたかったからというより、掲載されていた水彩画がみずみずしく美しかったからだ。
水彩は数ある画材の中でも扱いが難しく、自在に操るのに技術を要するので、水彩画の書物を選ぶ時は説明の上手さや中身よりも、表紙や中の「絵が美しいか」を基準に選んでいる(笑)

だが、美しい水彩画を眺めながら楽しく読み進めるうちに、描くスピードを早めるコツも学ぶことができた。

絵を、特に水彩画のような準備や手順に手間のかかる絵を、短時間で描き上げるには、押さえておくべきポイントがあるようだ。
「細部にこだわらず画面全体の構成を優先させる」「太めの木炭で陰影をつける」「画面全体に水を刷き、複数の色を同時に乗せていく」など、「なるほど!」と思わず唸る知恵がこの本には溢れていた。

特に興味深かったのは、複数の色を同時にキャンバスに乗せる方が、色彩のグラデーションが美しくなるという記述。
掲載されている著者の絵がその事実を裏付けており、黄色(壁)・紫(屋根)・茶(大地)・緑(木々)が調和を乱すことなく、穏やかなグラデーションになっているのが印象的だった。

本業の仕事を持ちながらも絵を描き続けたい方にとって、描く時間を日々捻出するのは、難しいことだと痛感している。が、その難問に対する解の1つが、こうした本になるのではないか、と感じた。

絵のクオリティも描く楽しさも手放さず、かつ仕事や家庭と両立されたい方にとっては、役立つアドバイスを与えてくれる良書だと思う。