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鉛筆デッサンで使う画材の紹介 ~ 紙 ~

デッサン初心者は紙質にこだわるより、紙の大きさを気にした方が良いと思う。中級者&上級者は、目の細かい紙を使う方が、細部を誤魔化せないので、より技術が高まる。

デッサンで使う紙の種類

絵画教室ごとに、使う紙は異なっていた。

初心者向け 〜ワトソン紙〜

N先生の個人絵画教室でデッサンを学んでいた際は、ワトソン紙のスケッチブック「Muse Cubi」を用いた。

"Muse Cubi"のクリーム色のワトソン紙のスケッチブックを、間近で撮影した写真。ぼこぼことした紙の質感が写っている。
↑ ワトソン紙

当時、デッサンを一度も学んだことのない素人だったが、最初に学んだ時の紙がワトソン紙で、本当に良かったと思う。

初心者はどうしてもデッサンが下手なので、ケント紙のようなつるつるの紙で描くと、絵の下手さが目立ち、描くのが嫌になる(笑)
ワトソン紙はクリーム色で紙の表面がぼこぼことしているため、描くと絵にあたたかみが出る。素人が描く拙い絵とも雰囲気が合い、拙い絵をそれなりに人に見せられる作品へと昇華してくれた。

描き心地が良く、鉛筆を塗り込むと柔らかい雰囲気に仕上がるこの紙が好きで、デッサンを学んでいる時は紙に一度も不満を感じることなく過ごしていた。

緑色で「Muse Cubi」というロゴが書かれたミニサイズの茶色いスケッチブックを撮影した写真。中にはクリーム色のワトソン紙が綴じられている。

また、デッサン初心者は、紙の目の細かさや厚さにこだわりすぎるより、デッサンの師につき、そこそこの紙と鉛筆で5枚10枚と描き続け、デッサンの基礎を血肉とすることの方が、はるかに大切。

初心者が唯一強くこだわるべきなのは、紙の大きさくらい。ハガキサイズなど小さすぎる紙は、細部が描き込めないのでデッサンには適さない。(A3サイズくらいの紙がいい)

先生は「ワトソン紙は水彩画でもパステル画でも映える」と仰られていたが、私は鉛筆デッサンのみに使ってしまってので、水彩等での描き心地や出来栄えの良し悪しは分からない。

ブログに掲載中の作品だと、古いランプ川の風景画が、ワトソン紙を使用して描いたもの。

上級者向け 〜画用紙〜

美術大学向けやプロ養成校でもあるデッサン教室で、一時期学んでいたことがある。その教室でデッサンの練習をする際に使う紙は、面白いことに、ごく普通の市販の画用紙の「裏面」だった(笑)

画用紙は教室の事務局で1枚50円で売られており、アイロン台ほどの大きさで、おもて面はでこぼこしているが、裏面はつるつるしている。デッサンの時は、つるつるしている面を表にして、紙全体を使うように描き込んでいく。

その教室で学んだデッサンは、実物と見紛うような緻密なデッサン画だった。画用紙のおもて面のようにでこぼこした紙では、緻密な描写に不向きだったためだろう。でこぼこした紙は、細部が描き込めず、凹んだ箇所には鉛筆の粉ものらない。細部も誤魔化せない紙で学ぶ方が、よりデッサン力がつくと感じる。ただ、描き心地は良くない(笑)

このブログには、過去に自分が描いたデッサンを何点か掲載しているが、グラス紙コップなどはこうした画用紙(裏面)に描いたもの。

紙の選び方

デッサン修行をするという前提で、絵画教室で学んだことを書き留めておく。

紙の大きさ

スケッチブックでも1枚紙でも、紙は大きい方が良い。
N先生の教室とT先生の教室ではF4サイズ(縦33cm×横25cm)のスケッチブックでデッサンを習い、Aスクールでは小学校の机と同じくらいのサイズの画用紙で教わった。

大きい紙でデッサンを学ぶと、実物よりもモチーフを大きく描くことになるため、描く対象の細部にまで気を払うようになる。というより、紙が大きいと細かい部分のごまかしがきかないので、否応なく細部にも注目せざるを得ない。

紙の厚さ

画用紙や厚紙くらいの厚みがあるものを使う。コピー紙のようにぺらぺらの紙は、クロッキー帳のように短時間に何枚も描く場合は都合がいいのだが、12時間以上かけてデッサンする時に使うと、机の硬さが手にダイレクトに伝わり、描き辛い。最悪の場合、紙の端が折れる可能性もある。

1枚紙のものは、めくれたりしないようカルトン(作品を挟んで保管する道具。硬いので画板にもなる)に乗せ、クリップで上部を2箇所固定して描いていた。

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一般的に、紙が厚くなるほど、お値段も上がる。デッサンはある程度枚数を描かないと上達しないので、費用が嵩まないよう、厚すぎない紙を選ぶことも大事。

紙の種類

デッサンとして使う紙ならさほど気にしなくて良いと思う。以下、デッサンではなく作品を作るという前提で記載。

正直なところ、身銭を切って何種類が試してみるしかない、という月並みな助言しかできない..。画風や好みによって、最適な紙は一人一人違う。

細目・中目・粗目を例にあげるなら、どなたでも使いやすいのは中目だが、ものの細部を緻密に書き込みたい方には細目の方が使いやすいだろうし、私のように細部より作品の持つあたたかさを優先させたい場合は、粗目の方がいい仕事をすると思う。

ワトソン紙とクラシコ・ファブリアーノ紙は個人的に好きなので、機会があれば一度試してみて頂きたいと思う。

管理人の鉛筆画(落書き)歴

徒然なるままに、今までの鉛筆お絵かき経歴をまとめてみました。

幼稚園以前

昔から絵を描くのが好きな子どもだったらしく、古いカレンダーやチラシの裏に、鉛筆やクレヨンで何やら描いては鋏で切り、糊で貼りつけては組み立てて工作していたのを覚えています。
また、同居していた祖母が、兄弟と一緒にクレヨンで絵を描くことを教えてくれました。

小学校

小学校には自分より絵が上手な子が何人もいましたが、相変わらず絵を描くのは好きでした。図画工作の時間が終わっても、教室に居残り絵を描くこともありました。
小学4年生の時に描いたお城の絵と、小学6年生の時に描いたホオジロカンムリヅルの絵が、何かの展覧会で入選した覚えがあります。賞には何を頂いたんでしょう…残念ながら、全く覚えていません(笑)

中学校

美術を全く奨励されない進学校に入ってしまいました。美術の授業の成績は大抵3~5だったので、標準より上にはいたようです。

高校

選択科目は音楽しか選択できず、美術の授業は一度もありませんでした。美術がないことがとても嫌で、寂しかったです。
大学を選択する際に美大に進もうか迷いましたが、デッサンどころか美術の授業すら受けていないのに実技試験をパスする自信はなく、結局地方国立大学の文系に進みました。

大学

美術の「び」の字もありません。受験勉強に費やした1年間で美術や絵に関する記憶が薄れてしまい、絵のことは殆ど忘れて過ごしていました。大学生なので時間はありましたが、美術展に行くわけでも絵を描くわけでもなく、アルバイトと語学学習三昧の普通の大学生でした。
ただ、絵にかけた情熱を凌ぐほどの何かは、大学ではめぐり合うことはなかったです。

社会人

社会人になってからも最初の1~2年は、美術の「び」の字もなかったです。仕事や進路で行き詰まることが多かったので、それどころではなかった、というのが正直なところです。

社会人3年目に、ひょんなことで出会った女性(N先生)がデッサンと油絵の教室を開いてらっしゃり、迷った末、その教室への通学を決めました。N先生の教室で初めてまともなデッサン技法を学びましたが、その教室がとても楽しく、私はようやく絵に対する情熱を取り戻しました。

数年間毎週楽しくデッサンを学んだ頃、N先生に癌が見つかりました。先生は教室を開いたり休んだりしながらも癌と闘われましたが、残念ながら、癌の発見から僅か1年でこの世を去られました。残された生徒たちは、N先生の絵とデッサンのモチーフを形見分けとして少しずつ頂きました。

N先生から教わったデッサンを続けたかったので、私は絵の好きな友人とデッサンスクールや絵画教室を4~5箇所見学して回り、その中で最もデッサン力の高かったAスクールへと通学を決めました。Aスクールは美術大学受験コースもあるほど技術力が高く、壁に何気なく立て懸けて乾かし中の油絵の数々が、まじまじと見入ってしまうほど上手でした。Aスクールでは2~3年間、主にY先生にデッサンの基礎をスパルタで鍛えて頂きました。

その後、仕事の関係でAスールに通えなくなったため、別の教室で引き続き鉛筆・木炭のデッサンと水彩色鉛筆画を学び始め、今に至ります。

鉛筆でデッサン力を養うのに適したモチーフの一覧

デッサン初心者の頃から鉛筆デッサン10年超の現在に至るまで、日々スケッチブックにモチーフとして描いてきたものを、描いた順にメモする。デッサン力向上を目指す方の一助になれば。

ひょんなことから今まで3つの絵画教室にお世話になったが、どの教室も工夫を凝らし、生徒が無理なくデッサンのスキルを伸ばせるよう、工夫してモチーフ選んで下さっていたと感じている。そして、「何を描くか」ということもさることながら、「どの順で描くか」も同じくらい重要だった。

鉛筆でデッサンしたモチーフ@N先生の絵画教室

社会人2年目に、完全なるデッサン初心者として通い始めたN先生の教室にて描いたモチーフをご紹介。デッサンのモチーフが、最もシンプルで初心者が学びやすい順に構成されていたなあ、と感じるのがN先生の教室だった。

鉛筆デッサン必修課題

 1枚目 白いプラスチックの植木鉢
 2枚目 青緑色のシンプルな形の壺
 3枚目 赤林檎1つ
 4枚目 赤林檎1つと半分に切った赤林檎1つ(キャンバスで林檎と林檎が接するようにモチーフを配置する)
 5枚目 透明なガラスのワイングラス
 6枚目 緑色のランプ

最初の1枚目の植木鉢から6枚目の緑ランプまでは、デッサン初心者も経験者も、N先生の教室に通い始めた全員が頑張って描く。使うのは、三菱鉛筆uniの2B鉛筆1~2本と、練り消しゴム1つと、全長30cmくらいのスケッチブック1冊のみ。
それぞれのモチーフと取り組む順には、重要な意味がある。

 1枚目 明暗を描く練習
 2枚目 色のついたものを描く練習
 3枚目 丸いものを描く練習
 4枚目 2物の関係を描く練習
 5枚目 透明なものを描く練習
 6枚目 中身の見えるものを描く練習

1枚目・2枚目は、色が1色か2色で、形もシンプルなモチーフが選ばれている。そして枚数が進むにつれ、色数が増え、形も複雑になり、絵に奥行きが求められるようになってくる。

ただ、4枚目の林檎1個×林檎半分は、2物の位置関係を平面上で組み立てねばならずとても難しいので、個人的には順番を少し入れ替えて、林檎1個×林檎半分は6枚目でもいいかなとも思う。

最初の6枚を入塾(?)した人が入塾した順に描くので、進捗は全員バラバラ。早めに描き上げても、何時間もかけてじっくり描いてもいい。中には小学校以来30年間絵など描いたこともなかったという人もいたが、先生のサポートを受けつつ、その方らしい絵を描き上げていた。

また、生徒全員が同じものを描くので、この6枚の絵が共通の話題となっていた点も見逃せない。年齢や職業が違ってもこの6枚の話題なら会話が出来てしまい、教室全体に一体感が生まれ、生徒同士が仲良くなるのに一役買っていた。生徒同士が仲良いと教室にも通いやすく、絵の技法からパンの美味しいお店まで、この教室でさまざまなことを教わった。

N先生は非常にお喋り好きで社交的な方だったが、コミュニケーションまでを考慮してこの6枚を必修課題とされていたのなら、見事というより他ない。

鉛筆デッサン選択課題

必修課題の6枚を描き上げると、パステル画や水彩画や色鉛筆画・油絵など、選ぶ道は十人十色だった。あと数枚鉛筆デッサンを描かれてから、ご自分の描きたい画材やモチーフを選ばれる方が多かった。こうした自由度の高さは、個人運営の絵画教室ならではの良さだと思う。
私は鉛筆1本で描けるシンプルイズベストな鉛筆デッサンが好きになり、積極的に鉛筆デッサンに励んでいたので、そのときのモチーフをメモ。

 7枚目 珈琲ミル
 8枚目 銅のランプ
 9枚目 ミロのビーナス(小型の石膏の胸像)
 10枚目 ビロードの袋の入ったウイスキーボトルと、水の入ったグラス
 11枚目 枯れ薔薇約20本と模様付きの白い花瓶
 12枚目 黒いランプ
 13枚目 造花の花3本
 写生会 川のある風景

7枚目以降は、N先生の教室に保管されていたモチーフのうち、先生に勧められ自分でも興味惹かれたものを順に描いた。質感や形の違うものが毎回選ばれていたなあ、と振り返ってみて感じる。
描く順はさほど気にしなくて構わないが、石膏像は非常に難しく感じたので、9枚目で描いたのは時期尚早だった気がする。

鉛筆でデッサンしたモチーフ@Aスクール

N先生の教室が閉じてしまった後、通い始めたのがAスクール。Aスクールには美術大学受験向けの講座があり、講師も生徒もデッサン力が超ハイレベルで、絵で賞を受賞されている方がたくさんいた。
Aスクールはデッサンコース内でのカリキュラムがおおよそ決まっており、デッサンのモチーフも予め定められていたが、何をどの順番で描くかは講師と相談しながら選ぶことができた。(かつ、デッサンに飽きた時は、絵本コースやコミックコースなど別のコースを受講することもできた)

 01枚目 石膏の立方体
 02枚目 石膏の直方体
 03枚目 石膏の円柱
 04枚目 石膏の球体
 05枚目 石膏の円錐角柱相貫体
 06枚目 グラス
 07枚目 紙コップ
 08枚目 木片
 09枚目 トイレットペーパー
 10枚目 ブックエンド
 11枚目 縄
 12枚目 レンガ
 13枚目 タオル
 14枚目 金属製のボウル
 15枚目 グラスとレモン
 16枚目 レンガとワインボトル
 17枚目 植木鉢とボーダー柄の布
 18枚目 オイル缶とさいころ
 19枚目 電球とクリップ
 20枚目 スコップと胡桃

※後半に行くほど、モチーフを描いた順序はうろ覚え。

最初が単体モチーフの石膏デッサン、次が単体モチーフで質感のあるデッサン、最後が複合モチーフで二物の質感の異なるデッサンだった。実はカリキュラムはこの後も続き、牛の頭蓋骨など形の複雑なモチーフを使ったデッサン、石膏人物像や木炭デッサンなどへと進んでいくが、私はこの20枚すら所要時間内に描けず、挫折した(苦笑)

石膏でできた立体の描き方を最初にしっかり学んでおくことは、形のとり方や奥行き・立体の表現の仕方を身に付けさせてくれたと感じる。特に立方体と円柱は、学びが多かった。実際に描き始めると単調に思えるかもしれないが、「この最初の数枚が描けないと、他のどのモチーフもまともに描けないだろう」とも感じた。

<参考>木炭でデッサンしたモチーフ@T先生の絵画教室

 1枚目 石膏の首像(ミロのヴィーナス)
 2枚目 石膏の首像(名称不明。男性の首像)
 3枚目 石膏の首像(名称不明。男性の首像)
 4枚目 石膏の胸像(ボルゲーゼの闘士胸像)
 5枚目 石膏の胸像(名称不明。青年戦士が甲冑とマントを羽織っている像)

入門直後の必須カリキュラムが最もスパルタだ、と感じたのが、T先生の教室。Aスクールで鍛えられた後でも、石膏像を5枚連続で木炭でデッサンするのは難しかった…。
初心者が石膏像を描くのは難しく、また、石膏像を個人で用意するのも費用が嵩むので、このカリキュラムは参考程度に見て頂ければ。

木炭鉛筆(チャコールペンシル)で木炭デッサンに慣れる

木炭デッサンに苦手意識が強い人間だが、木炭で石膏像をデッサンしていた時期は、少しでも木炭に慣れるべく、チャコールペンシルを入手してあれこれ試行錯誤してみた。

チャコールペンシルとは

Derwentのチャコールペンシル(木炭鉛筆)(Mediumとlight)3本とholbeinの白い擦筆1本が灰色のカーペットの上に並んでいる

↑ 我が家の木炭鉛筆3本と擦筆1本

芯が木炭でできている鉛筆。普通の鉛筆の様に芯が木炭で芯の周りが木でできているものと、 鉛筆全体が木炭でできているものとがある。
芯の濃さや硬さによって、LightやMidium、2Bや4Bや6Bなど、同じメーカーのチャコールペンシルでも何種類かに分かれる。

1本200〜300円くらい。主に画材屋さんで売られているが、LOFTの文具売場の画材コーナーでも販売されている(Derwent社の木炭2本はそちらで購入)

Derwentのチャコールペンシル(木炭鉛筆)(Mediumとlight)で白い紙に試し書きしているところを、真上から撮影した写真。芯の濃さの異なる3本の木炭鉛筆が写っている。

↑ 木炭鉛筆で試し書き。それぞれ微妙に濃さや芯の硬さが異なる

長さや重さは、普通の鉛筆とほぼ同じくらい。
使い方は、画材用の木炭とほぼ同じ。細密画は描けないが、鉛筆と同じような使い方もできる。

持ち運べる木炭

普通のデッサン用木炭は、手荒な扱いをするとすぐに砕けてしまうので、持ち運びに難儀する。だがチャコールペンシルなら、木炭の露出している部分をペンシルホルダーに入れてしまえば何とか持ち運びに耐えるので、木炭修行時代に鞄に入れて持ち歩いては、木炭画の練習をしていた。(とはいえ、気を抜くとぽっきり折れてしまうが…)

Derwentのチャコールペンシル(木炭鉛筆)のMedium 1本とlight 1本とメーカ不明のもの1本の鉛筆の先を拡大した図。手前の1本は持ち手の部分が割れており、短いチャコールペンシルに金属製の鉛筆ホルダーを継ぎ足してある

↑ 折れてしまった木炭鉛筆。短くなってしまっても、鉛筆ホルダーを付けるとまだ使える

当時持ち運んでいた頃は、普通のプラスチック筆箱や布筆箱に入れて運んでいたが、今振り返ってみると、布製のペンシルホルダーに入れて持ち運んだ方が良かったと思う。布製ペンシルホルダーは、鋭く尖らせた鉛筆や色鉛筆でも芯を折らずに持ち運ぶことができる筆箱なので、木炭鉛筆も折らずに運べるはずだ。
 → 布製ペンシルホルダーについては、こちらへ

木炭鉛筆で練習する際は、紙にはこだわらず、コピー紙に書いたり、小さく切った画用紙に描いたり、クロッキー帳に何枚も描いたり。30cm以上の長い線を引く練習をしたり、広い面積を塗ってみたり、手を描いてみたりと、とにかく少しでもデッサン木炭に慣れて、木炭を好きになれるよう、チャコールペンシルに触れる時間を長くしていた。

木炭鉛筆でノートにiPhone5の充電ケーブルを描いた絵。黒1色で描かれている。

↑ Derwentの木炭鉛筆で、7mm罫線のノートに描いたiPhone充電ケーブル。

細密画のような精確な絵を描くには適さないが、ポストカードサイズの絵であれば問題なく描ける。上記の絵↑も、実物の大きさはハガキ半分くらいしかない。木炭でこうした小さな絵や細かい描き込みができるのは、木炭鉛筆を使う大きなメリットの1つだと思う。

使用する紙にもよるが、外出先で描いていても練り消しゴムを使えば、線を少し消すくらいのことは可能。着彩は試したことがないが、水彩を塗った上に木炭鉛筆で描き足したり、色鉛筆で色を足すくらいのことは出来るのではないかと思う。

チャコールペンシルを使う際の注意点

折れやすい

木炭鉛筆の芯は、色鉛筆の芯よりもはるかに折れやすいので、持ち運びには十分注意が必要。特に、コンクリートや石の床には落とさないように。
私は、床に落とした時と、他の文房具とごちゃ混ぜにして鞄で持ち運んだ時に、チャコールペンシルを折ってしまった…。

木炭の粉が飛び散りやすい

鉛筆の形をしているとは言え、芯は木炭なので、描いた線は木炭の粉が飛び散りやすい。
クロッキー帳など多少粉が散っても問題ない紙を使うか、描いた後フィキサチーフ↓(=定着剤。スプレーの形をしており、パステル画や木炭画など画材の粉が飛びやすいものに拭きかけて、粉落ちを防ぐ)をかけて、早めに粉を定着してあげた方が良い。

絵画教室で本格的に木炭画を習った時は、描き上げて絵にサインを入れた後、仕上げにフィキサチーフをかけていた。フィキサチーフは、粉の飛びやすい鉛筆デッサン・鉛筆画でも、同じ方法で使用できる。

おすすめのカラーインク「ドクターマーチン」の紹介(使い方など)

透明度が高く、発色があざやかなカラーインクをご紹介。

ドクターマーチン カラーインクの説明

ドクターマーチンは、1934年にアメリカで生まれたカラーインク。水溶性の染料から作られているため、透明度が高く発色があざやかで、日本でもアマチュア画家からプロのイラストレーターに至るまで、幅広く愛されている。

ドクターマーチンの青色・緑色・黄色のカラーインクを白い机の上に並べ、正面から撮影した写真。向かって左に青系、中央に緑系、右に黄系のインクが立てて並べられている。どの瓶も透明ガラスのボディに黒いゴム製のキャップがついている。
ドクターマーチンの赤色・紫色・オレンジ色のカラーインクを白い机の上に並べ、正面から撮影した写真。向かって左がオレンジ系、中央に赤系、右にピンク系のインクが立てて並べられている。どの瓶も透明ガラスのボディに黒いゴム製のキャップがついている。
↑ 寒色系と暖色系のドクターマーチンカラーインク。
自宅に30本以上あるので、全部は写真に入らなかった…。

画材屋で1色ずつ小瓶に入った姿で売られており、1瓶500円程で購入できる。

ドクターマーチンの使い方

まず、瓶をしっかり振る! ドクターマーチンには2種類のシリーズがあるが、液が透明なシンクロマティックシリーズに対し、ラディアントシリーズは顔料が瓶の底に沈んでいることが多い。

ドクターマーチンの黄色いカラーインク2本を背面から撮影した写真。左がシンクロマティック、右がラディアント。透明なシンクロマティックに対し、ラディアントは顔料が沈殿している。

↑ 左がシンクロマティック、右がラディアント。透明なシンクロマティックに対し、ラディアントは顔料が沈殿している。

使う前にガラス瓶ごとしっかり振って、底に溜まった顔料がなくなったのを確認してから、蓋を開く。

ドクターマーチンの黄色いカラーインク2本を背面から撮影した写真。左がシンクロマティック、右がラディアント。左のボトルの液は、沈殿物がなく半透明。

↑ 右の瓶だけよく振ると、こんな感じに。

黒プラスチックの蓋を回して開くと、蓋の内側がスポイトになっている。蓋の上部は黒いゴムでできており、ゴムの部分を軽く押すと、スポイトとして使える。

ドクターマーチンのカラーインク「2A Lemon Yellow」の蓋を開けスポイトでインクを吸ったところを正面から撮影した写真。茶色の木机が写真に写りこんでいる。

↑ ガラス瓶の蓋を開けるとこんな感じ

スポイトでパレットに1滴ずつドクターマーチンのインクを垂らし、水や他の絵具と混ぜて利用する。
この時、一度にたくさんの量を出さないこと! ドクターマーチンのインクは非常に濃い。インク1滴に対し、小さじ1くらいの水を混ぜて使えば十分。

ドクターマーチンカラーインク「28B セピア」の原液を、使い古した白いパレットに置いた写真。原液が濃すぎて、焦茶色のはずの液が、黒いインクにしか見えない。

↑ 「28B セピア」の原液を、パレットに置いた写真。液の濃度が濃すぎて、黒いインクにしか見えない…

ドクターマーチンカラーインク「28B セピア」に、小さじ1の水を混ぜた後、撮影した写真。液の色が分かるようになった(笑)

↑ 28Bセピアに、小さじ1の水を混ぜた後。ようやく液の色が判別できるようになった(笑)

ドクターマーチンの使用上の注意

ドクターマーチンは光に弱く、長時間光に当てると退色してしまうので、ドクターマーチンで描いた絵を長期保存するには、直射日光に当たらないようスケッチブックに挟むなど、注意が必要。

ドクターマーチンを長時間パレットに載せていると、パレットに色の跡がつくことがある。こうなると水で洗っても取れないので、ドクターマーチンインクをパレットで使い終わった後は、水を含ませたティッシュで拭くといい。
跡が残っても、次に別の色をのせた時パレットから色が染み出してくるようなことはないように思うので、色跡のついたパレットも捨てずに使える。

また、Radiant Concentratedのシリーズには蛍光の顔料などが入っており瓶の底に沈殿しているので、使う前によく振り、液と沈んだ顔料を混ぜ合わせてから使用する。

Radiant ConcentratedとSynchromatic Transparentの違い

ドクターマーチンには、大きく分けてRadiant Concentrated(読み:ラディアント)とSynchromatic Transparent(読み:シンクロマティック)の2種類がある。両者の違いが長年の謎だったが、Dr. Ph. Martin’sの公式ウェブサイトのFAQページに明記されているのを見つけたので、引用。


Radiant ConcentratedとSynchromatic Transparentの違いは何ですか?

Radiant Concentratedは、高度に濃縮された液体の染料です。お使いになる前には振って頂く必要があります。Radiantには顔料が含まれており、フィルムの広い範囲に乗せると霞がかったように(半透明に)なります。RadiantはSynchromaticよりずっと明るい色合いで、Radiant Concentratedの56色のラインナップには、蛍光色が12色あります。

Synchromaticは完全なる透明で、使用前に振る必要はありません。フィルムの上でも全くの透明で、写真印画紙やフィルムの画像修整、手作業での着彩においてコダック社より推奨されています。Synchromaticのラインナップは全38色で、#24, #28, #37の3色だけが蛍光色です。まばゆさにおいて、SynchromaticはRadiant Concentratedにやや劣っています。両ラインナップの色の殆どは、混色することができます。

※注:和訳は本ブログ管理人による

つまり、

  • Radiant…半透明で、高濃度で、超まばゆい
  • Synchromatic…透明で、超ではないがまばゆい

ということらしい。

ドクターマーチンの公式サイト

公式ウェブサイトを見つけたのでリンク。
Dr. Ph. Martin’s https://www.docmartins.com/

サイトは英文表記のみだが、カラフルで美しい製品を眺めているだけでも面白かった。

ドクターマーチンを使用した感想

ドクターマーチンのカラーインクが大好きだ。透明水彩も好きだが、カラーインクの発色の良さ、あざやかさ、色の透明感がとにかく好きで、プライベートで水彩絵具を利用するときは、よくカラーインクを混ぜてしまう。

ドクターマーチンは、イラストを描かれている方の間では有名なインクなのだが、絵画教室やデッサン教室に通われている方はご存知ない方の方が多く、驚いた。

もし水彩絵具や水彩色鉛筆で作品を作られる方で、ドクターマーチンのカラーインクをお使いになられたことがない方がいらっしゃったら、是非一度試してみて頂きたい。描ける作品の幅が広がり、水彩で絵を描くのがより楽しくなると思う。(自分がそうだったので)

ドクターマーチンのカラーインクで作った手作りの色見本(色チャート)を、白い机に3枚並べて撮影した写真。赤系・青系・黄系の3つに分類されて、3枚の白い紙に各色が乗せられている。
↑ 水彩紙に塗るとこんな感じ

上記の写真のピンク色の部分を見ていただけると分かりやすいが、蛍光色に近い色みを持った絵具が多く、水彩絵具・油絵具・水彩色鉛筆とは趣が異なる。カラーインクのみで用いると、良く言えば「見栄えのする」、悪く言えば「派手な」作品ができあがる(笑) 透明水彩など、別の水彩絵具に混ぜて用いると、発色の良さはそのままに派手さが抑えられ、あざやかで仕上がりの美しい作品になる。

とにかくよくもつ

ドクターマーチンは、どの色もインクの濃度が非常に濃い

パレットの上でインクの5倍~10倍程度の水を足すと、ようやく普通の絵具の濃さになる印象を受ける。うっかりインクを直接画用紙に垂らそうものなら大惨事になるが(笑)、濃い分1瓶買うととにかく長持ちする。
私が一番最初に購入したインクは、レモンイエローとアルペインローズだったが、どちらも、15年以上経った今も、未だに現役で活躍している。

何色かの中でどれを購入しようか迷われた時は、濃い方の色を購入される方がおすすめ。(例えば、薄い赤色ではなく、深紅の赤色のものを) 濃い絵具は水でのばして薄めることができ、色が濃い分、薄い色よりも長持ちする。

おすすめの色

個人的なおすすめは、セピア(ラディアント・28B)・レモンイエロー(シンクロマチック・1番)・ローズマダー(シンクロマチック・36番)。この3色は、蛍光の色みが少なく、初めての方にも扱いやすいと思う。特にセピアの落ち着いたブラウンと、レモンイエローの突き抜けるような明るい黄がないと、どうも絵がシャキッとしない気がして、よく使ってしまう(笑)

SynchromaticとRadiantのどちらがおすすめかと問われれば、自分はまばゆさより透明感重視なので、Synchromaticシリーズの方がおすすめ。
シンクロマティックシリーズは着色料の沈殿がない分、使いやすさもSynchromaticシリーズの方が上。蛍光色が好きで華やかさ重視なら、Radiant。だが、正直自分はあまりシリーズの差を意識せず、色が絵に合うかどうかだけで使うことも多い。

カラーインクに適した紙を選ぶ

カラーインクを利用されるなら、可能であれば、キャンバスの紙質にもこだわってあげてほしい。紙によって、インクの発色があざやかなものと、そうでないものがある。
個人的なおすすめは、マーメイドリップルとクラシコ・ファブリアーノ

どちらも表面がでこぼことした紙で、お値段が少しお高めだが、カラーインクとの相性が良く、カラーインクの一番の魅力である色の透明さとあざやかさを引き立ててくれる。

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資金に余裕がある方であれば、最初はシンクロマチックかラディアントのどちらか1セットだけを買い、後は必要に応じて1本ずつ描い足されると、自分の画風に合う色に出会いやすいと思う。ちなみに、ドクターマーチンに出会った当初中学生だった自分は、懐と相談して、1本ずつ細々と買い足した(笑)

「デッサン・絵画用 鉛筆ホルダー(30本収納)」 Derwent(ダーウェント)

鉛筆デッサンの必需品。この布ペンシルホルダーのお陰で、画材の持ち運びが随分楽になった。

Derwent(ダーウェント)社の鉛筆ホルダーの説明

芯を尖らせた鉛筆30本を、折ることなく持ち運ぶことが出来る道具。

布ホルダーの真ん中がゴムバンドになっており、ゴムバンドの間に鉛筆を1本ずつ挟み、巻物のようにくるくると巻いて、ボタンで留めて持ち運ぶ。ホルダーの右端には、練り消しゴムやカッターナイフなどの小物を入れることができる小さいポケットがついている。

derwent社のペンシルホルダーを拡大した写真。

↑ 拡大図。

Derwent(ダーウェント)社の色鉛筆ホルダーを開き、濃さの異なる三菱鉛筆uniを12本収納した図

Derwent(ダーウェント)社の色鉛筆ホルダーの右端を拡大した図。幅の広い茶色のゴムバンドに金属製の鉛筆ホルダー2本が格納されており、革製の小ポケットにはデッサン用の練り消しゴムが格納されている

Derwent(ダーウェント)社の鉛筆ホルダーを使用した感想

デッサン教室に自転車で通う際、折角カッターナイフできちんと尖らせておいた鉛筆の芯が自転車の振動で2本も3本も折れてしまうため、思い切ってこちらのペンシルホルダーを購入してみた。
上質な素材で出来ているのか、使っていて心地良く気分が落ち着くところもお気に入りだが、機能的にもとても優秀だった。

ダーウェント社製のペンシルホルダーで色鉛筆を保管している写真。

↑ ペンシルホルダー拡大図。

鉛筆の芯を折らずに、10本以上同時に持ち運びできる

まず、鉛筆が何本でも入るところが素晴らしく良い。
鉛筆デッサンの際、描く題材によって4H、2H、H、HB、B、2B、4B、6Bと、濃さの違う8種類の鉛筆を使い分ける。また、描いていて芯が折れてもすぐに別の鉛筆に移って描き続けられるよう、よく使う2H鉛筆・H鉛筆・HB鉛筆・2B鉛筆に関しては鉛筆を各2本ずつ用意している。

すると、鉛筆だけで最低13本必要で、更に練り消しゴム(明るい用と暗い用の2種類)、鉛筆を削るためのカッターナイフ、短い鉛筆のための金属製のペンシルホルダーまで使っていると、毎回かなりの道具を持ち歩くことになり、今までは筆箱がごちゃごちゃになってしまって大変だった。

このペンシルホルダー購入後は、全てこのホルダーの中に、定位置を決めて収める事ができるようになったので、毎週末繰り広げられていた筆箱カオスからようやく解放された。

あと、アスファルト片道40分の自転車通学でも、不思議なほど鉛筆の芯が折れない。元々色鉛筆用(鉛筆よりも芯が柔らかく折れやすい)のペンシルホルダーである所為かもしれないが、1cm以上芯を伸ばした鉛筆でも折れないのだから、大したものだ。
デッサンをする時、鉛筆の芯が尖っていないと作品の仕上がりが悪くなるので、芯を折れずに持ち運べるのは重宝している。

ここ2~3年は水彩色鉛筆・油彩色鉛筆も持ち運ぶようになったが、こちらもやはり芯は折れない。

耐久性が高い

使用し始めてから週1で使って10年近く経過したが、1度も壊れることがなく、劣化も起きなかった。ゴムバンドの部分が伸びてしまうことはなく、革がばりばり剥がれ落ちることもなく、鉛筆の粉で内が汚れることもなく、布部分が破れてしまうこともなかった。
購入当初は「シンプルな製品なのに少し値段が高いな」と思っていたが、十分に元が取れ、製作に集中出来る環境を保てているので、満足感が高い。

Derwent(ダーウェント)社の色鉛筆ホルダーの紐を綴じた図。「Derwent」と書かれた赤い製品タグが鉛筆ホルダーの右部分に付けられている

その他注意事項

カッターナイフが落ちやすい

デッサン用の鉛筆は、鉛筆の削り方が独特(芯を1cm以上伸ばして削る)なので、カッターナイフは必需品。だが、幅広のカッターナイフを入れてペンシルホルダーを持ち運ぶと、ホルダーの隙間からカッターナイフが出てきてしまうことが何度かあった。ポケットのある部分に入れても出てきてしまうので、カッターナイフの重さの問題かもしれない。

カッターナイフの芯は軸の中に仕舞ってあり、ペンシルホルダーから鞄の底に落ちるだけなので危険を感じたことはないが、「あれ、カッターがない」と探し回ったことは何回かあった。

derwent社製のペンシルホルダーを横に長く広げ、真上から撮影した写真。ペンシルホルダーには、三菱鉛筆uni十数本と色鉛筆十数本とカッターナイフ1本と金属製鉛筆ホルダーと練り消しゴムが格納されている。

↑ ペンシルホルダー全体像

derwentペンシルホルダーの側面図(写真)

↑ 側面

鉛筆ホルダーをおすすめできる方・できない方

鉛筆や色鉛筆などの芯が柔らかい画材で絵を描かれる方で、今後長く絵画を続けるご予定の方、写生会など屋外での製作を控えてらっしゃる方には、布ペンシルホルダーをおすすめできる。軽くて持ち運びしやすく、長く使えるので、早めに使い始めると「芯が折れる」・「鉛筆が見つからない」・「支度にいつも手間取る」などの手間が省け、製作に集中できる環境が作れると思う。

反面、いつも屋内の決まった場所で製作される方、ペンやマジックなどの硬い画材で製作される方には不向き。そういった方は画材が壊れる心配がないので、立て置きのできるペンシルスタンド(↓)の方が、使い勝手が良いと思う。ペンシルスタンドの方が、お値段もお安い。

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私も、色鉛筆はペンシルスタンドを併用している。色鉛筆は使う本数が多く、布製ペンシルホルダーに収まりきらない、という消極的な理由からだが、短くなった鉛筆・色鉛筆を仕舞うことのできる低めのスタンドがついているものを選ぶと、ペンシルスタンドも使いやすい。
 → 管理人愛用のペンシルスタンドについては、こちらへ

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木炭デッサンは難しい

鉛筆デッサンは大好きだが、木炭デッサンは大の苦手。木炭デッサンのあまりの難しさに、趣味で描き続けるのであれば、木炭デッサンは深入りしなくて良いんじゃないか、とすら感じる。

細い画材用木炭2本と木炭の入っていた藍色の箱が、白い紙の上に置かれている。白い紙には木炭で試し書きをした跡があり、藍色の箱には「10 FUSAIN」と白文字でロゴが印刷されている。

木炭デッサンで困った点

描いた線が消せない…

木炭で最も苦しめられたのがこの点だった。
鉛筆であれば、余程濃く強く描かない限り、描いた線の9割5分までは消すことができる。木炭で描いた線は、食パンのかけらや綿の布ではたくように消すが、どれだけはたいても6割くらいしか消せず、一度でも描いた線は紙の上にうっすらと残ってしまう。

木炭デッサンに慣れた方からは「間違えずに描けば良いんじゃない??」とあっさり言われてしまいそうだが、デッサン下手はそう簡単には治らないので(笑)、うっかり描いてしまう→必死で消すを繰り返し、描くことにあまり集中できなかった記憶がある。

木炭の粉が手や服や床につく

木炭の粉は木炭紙の上に乗っている状態なので、紙を指で叩いたり弾いたりすると、粉がふわっと舞い上がる。

手に付く分には洗えば済むので問題ないが、服の袖が汚れてしまうのには困った。また、絵画教室で描くのであれば問題ないが、自宅で木炭デッサンされる際には床や壁に木炭の粉が付かないよう、新聞紙を敷いておくなど描き始める前に対策を取っておいた方が良い。

木炭紙が大きすぎる

木炭デッサンは木炭専用の紙(木炭紙)に描くが、私にあてがわれた木炭紙は、縦の長さが幼児の背丈くらいあった。横幅も1mくらいあり、ノートサイズのスケッチブックしか使ったことのなくそれで十二分満足していた人間にとっては、何故こんな大きな紙に描かねばならないのか、訳が分からなかった(笑)

もっと小さいサイズ(65cm×50cmサイズ)の木炭紙も販売されているようだが、やはり、紙のポストカードやスケッチブックよりは大きかった

描いた後自宅で長期保存することまでを考慮に入れると、木炭紙のサイズは扱いづらく、「ちょっと困る」と感じている。
天井画や襖絵などの大きな絵を描く予定はないので(仮にあったとしても、絵をパソコンに取り込んで引き延ばせば済むと思うので)、巨大な絵を描かねばならない合理的な理由を、どなたか教えて頂きたい…。

木炭紙の値段が高い

木炭紙↓は1枚200〜300円程かかるので、普通の画用紙やスケッチブックと比べると、どうしても値段が高いと感じる。(日本画や油絵がメイン画材の方は、普段から木炭紙よりもっと高級な画材を扱われているので、あまり感じないかもしれないが…)

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ちなみに、本数や木の種類にもよるが、木炭そのものは10本~15本で500~1000円程度。1本100円~150円の鉛筆と比べると、少しお安い。

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結論

生業としてではなく趣味で絵やデッサンを続けたい人間にとって、木炭デッサンの

・かさばる
・扱いづらい
・値が張る

というデメリットは、絵を描き続ける妨げになってしまう。
そのため現在は、木炭画には極力近寄らないようにしている…。

美術展のチラシで名画マグネットを作る

冷蔵庫に貼るマグネットを、お気に入りの絵で自作することに目覚めた。せっせと作って冷蔵庫に貼ると、冷蔵庫がお気に入り揃いの美術展に早変わり。

自作した葛飾北斎の絵の名画マグネットを冷蔵庫に貼り、正面から撮影した写真。淡い灰色の冷蔵庫の扉の部分に、葛飾北斎の浮世絵で作った名画マグネットが8枚貼られている。8枚のうち、5枚はサイズが大きい。赤富士や鳴門の渦潮、大はしあたけの夕立など、有名な浮世絵も貼られている。
↑ 葛飾北斎の浮世絵で作った自作の名画マグネット

手作り名画マグネットの材料

美術展のちらし

駅や美術館によく無料で置いてあるもの。手元になければ、インターネット上のものを印刷するなり、自分で描くなり、お気に入りの絵が印刷してあるものならok。

ルノワール美術展のちらし2枚と、琳派の美術展チケット1枚を床に置き、手前から撮影した写真。チラシの背景はござの様な質感の茶色の床。琳派の美術展チケットとは明るく派手な黄色で、「琳派 京を彩る」と飾り文字が書かれており、風神雷神図屛の雷神が描かれている。

mtの色付きマスキングテープ(紙テープ)

マスキングテープは貼ったりはがしたりが簡単に出来、絵に跡も残らない。マスキングテープが無ければ、やや難易度が上がるが、セロテープでもok。

茶色とベージュの幅の細いmtマスキングテープと、たまご色で幅の太いmtマスキングテープを床に置き、手前から撮影した写真。mtマスキングテープ3本の前には、小型の黒いハサミが1つ置かれている。背景は、ござのような質感の茶色の床。
↑ よく使うmtのマスキングテープ

柄や色はお好みでどうぞ。マスキングテープは名画マグネットで額縁の役割を果たすので、濃いめの落ち着いた色が使いやすい。東急ハンズやLOFTなどで、3つ200円くらいで売られている。

裏がマグネットになっているタイプの広告

よく見かける「水道トラブルを解決します」というマグネット広告が手元にあれば、そちらを使う。なければ、100円均一ショップで売っている大判サイズのマグネットでok。

カッターナイフやはさみ

両方あった方が便利。なければ、カッターナイフで。

手作り名画マグネットの作り方

0)広告マグネットと美術館ちらしを暇なときに集めておく

1)美術展ちらしに乗っているお好な絵を、好きなサイズに切り取る

画家川瀬巴水の美術展のチラシから、絵の描かれている部分を黒いハサミで切り取っっている写真。背景には、レンガ色のカーペットが映っている。

2)切り抜いた絵と同じ大きさになるよう、マグネットを切る

川瀬巴水の「馬込の月」の絵と同じサイズになるよう、水道トラブルの広告の書かれたマグネットをカッターナイフで切っている画像。黄色い定規も傍に置かれている

3)上が絵、下がマグネットとなるよう重ね、マスキングテープで四辺を留める
マスキングテープが真っ直ぐになるよう、ここは頑張りどころ。テープが斜めになってしまったら、一度はがして貼り直す。(mtのマスキングテープであれば粘着力が強くないので、綺麗にはがせる)

川瀬巴水の「馬込の月」の絵の下に同じ大きさの水道トラブルの広告のマグネットを重ね、茶色のmtマスキングテープで留めている画像

4)テープのはみ出した部分を、はさみで切る

川瀬巴水の「馬込の月」の絵から、茶色のmtマスキングテープのはみ出た部分を黒いハサミで切り取っている画像

5)出来上がり!

手作り名画マグネットの完成図。川瀬巴水の絵2点と葛飾北斎の浮世絵1点に、mtマスキングテープの茶色の枠が付けられている

手作り名画マグネットの使い方

冷蔵庫に貼り、通常のマグネットと同じように使っている。貼りつく力は強くないが、4~5枚作って貼っているので、プリントなどはマグネット1枚につき紙1~2枚と分散させて貼っている。

会社のロッカー金属製の机の引き出しにも貼り、仕事の合間に名画を眺めては、ちょっと息抜き。

手作り名画マグネット作品集

クロード・モネの「ルーアン大聖堂」

絵が手元に6枚しかなかったので、6枚だけ作成した。「ルーアン大聖堂」は言わずと知れた連作なので、残りの37枚もいずれ作り、冷蔵庫いっぱいに貼りたい(笑)

クロード・モネのルーアン大聖堂の絵2枚が灰色の毛足の長いカーペットの上に置かれている

余談

美術展に併設されているショップで名画が描かれたマグネットが売られていたが、1つ数百円とちょっとお高め。しかも、自分の好みの絵が売られていなかった。

「これなら自分で作った方が、安上がりかも」

と安直に考え、作り始めたのが始まり。1つ5~10分くらいで作れるので、まとめて作っておいては「冷蔵庫印象派展」や「冷蔵庫浮世絵展」を開催して、気分に合わせて楽しんでいる。

モネの美術展のちらしとルノワールの名画マグネットが灰色の冷蔵庫に貼られている
↑ 我が家の冷蔵庫。冷蔵庫印象派展(?)を開催中

気心の知れた間柄であれば、マグネット2~3枚をプレゼントとしてお渡ししても喜ばれる。手作り名画マグネットは実母にも何枚か渡したが、実母はお世話になった方によくプレゼントするらしい。
実母を見習って、同僚の和小物好きの女の子に浮世絵マグネット2つをプレゼントしてみたところ、予想に反してかなり喜ばれ、プレゼントしたこちらの方がびっくりした。「こんなもので良ければ、いつでも作るから..」と一言言いそうになった(笑)

手作り名画マグネットの注意点

紙広告と紙マスキングテープで作られたものなので、水気にも火気にも弱い。取り扱いには注意が必要。(冷蔵庫に貼られている時は、水難を被ることが多い)

色鉛筆の保管・収納方法 (自宅保管する場合と持ち運ぶ場合)

色鉛筆が増え100本を軽く越えたので、収納方法を検討した。

色鉛筆を自宅保管する場合の収納方法

キャンバスに向かいながら「どの色を置こうか」とあれこれ思案し試行錯誤することが多いので、すべての色が一度に見渡せ、微妙な色あいを思案しやすいよう、青系・緑系・赤系の色別に保管する方法に落ち着いた。

灰色のカーペットの床に、赤と青の和紙で作られたペン立てが置かれている写真。ペン立てには、普通の色鉛筆・油性色鉛筆・水彩色鉛筆が混ざった状態で立て置きで収納されている。
↑ 自宅の色鉛筆置き場。

この保管方法では、芯の硬さ・軟らかさメーカーごとの色の差は無視している。色鉛筆ユーザなら誰もが通る道であるMITSUBISHI色鉛筆から、恐ろしく芯の柔らかい色鉛筆やクーピーペンシルまで、見事にごちゃ混ぜ。芯の硬さやメーカーや色鉛筆の種類は、それなりの頻度で色鉛筆を使うならある程度まで感覚で覚えてしまえるので、この方法で意外と問題なかった。

水彩色鉛筆と普通の色鉛筆も、区別せず。当初は「混ぜて保管するとさすがに混乱するんじゃないか」と考え別々に保管していたが、欲しい色が見つからず結局両方の保管場所を探しに行くことがあまりに多かったので、こちらの方法のほうが性に合っていた。

保管方法を工夫しても覚えきれなかったのは、「2色を混色した時に生まれる色」だった。色鉛筆のまま線を掛けあわせたり、芯を削って混ぜて塗ったりと、混色の仕方にもいろいろあるが、バリエーションが多すぎるのでどうしても覚えきれなかった。混色表を作ってみた時期もあったが、やはり数が多すぎて、途中で投げ出した。こればかりは、経験と直感に頼るしかなさそうだ。

灰色カーペットの床に、赤と青の和紙で作られたペン立てに普通の色鉛筆・油性色鉛筆・水彩色鉛筆が混ざった状態で立てて収納されている
↑ お気に入りの色鉛筆ほどよく使われて短くなるので、見失わないよう低いペン立てが付いていると便利。

写真のペン立ては祖母が牛乳パックで手作りしたものなので、近所のバザー以外では売られていない。持つべきものは手先の器用なおばあちゃん、と陰ながら感謝。

形の似たものを少し探してみたが、全く同じ形のペン立ては、インターネット上には売られていなかった..。市販品で、上記と大きさ&高さが似ているものは、2~3あった↓

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色鉛筆収納の用途でペン立て(ペンシルスタンド)を探されるなら、収納本数を考慮されるといい。本格的な色鉛筆画は100本近く色鉛筆を使うので、ペン立て1つでは収まらない場合も多い。ご自身が何本くらい色鉛筆を使うか、何本くらい収納したいかによって、適したペン立ても変わってくる。

参考:アイブロウライナーは画材扱い

化粧する時眉を描くのに使うアイブロウライナーや目元を描くのに用いるアイライナー(ペンシルタイプ)は、芯の柔らかい色鉛筆と質感が似ており、個人的にはお気に入りの「画材」。使わなくなったアイブロウライナーは、緑系色鉛筆と一緒に保管している↓

アイブロウライナーを色鉛筆の入った鉛筆立てに立て置きで保管している写真。
↑ 透明なキャップのついているものが、アイブロウライナー

力を入れずに濃く太くやわらかな線が描けるので、主にクロッキーをたくさん描きたい時に使用している。最近ではSeriaなどの百円均一ショップでアイブロウライナーを安く手に入れることができるようになり、有難い限り。

油性色鉛筆について

油性色鉛筆は、油絵で使用するオイルで芯を溶かすことのできる色鉛筆。質の良い油性色鉛筆で色を塗った箇所を、油絵で使用するテレピンオイルで軽く湿らせたティッシュで撫でると、あざやかな色のグラデーションが生まれる。

気になる方は、お気に入りの色の油性色鉛筆1-2本と、油絵のオイルを準備して是非一度試してみて欲しい。私は初めて試した時、「これほど手軽に美しいグラデーションが作れる方法があるのか」と感動した(笑)

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色鉛筆を持ち運ぶ場合の収納方法

色鉛筆を持ち運ぶ際は、革製のペンシルホルダーを愛用している。

ダーウェントの革製で茶色いペンシルホルダーに鉛筆や色鉛筆やカッターナイフや練り消しゴムが収納されている写真。

芯を尖らせた鉛筆・色鉛筆約30本をひと目で見渡せ、芯を折ることなく自転車で持ち運べるので重宝している。布製・プラスチック製のペンケースに入れて持ち運ぶと、絵画教室までの移動中に2~3本芯が折れて困っていたので、鉛筆&色鉛筆好きとしてはこのペンシルホルダーが手放せそうにない。
制作によく使う練り消しゴムやカッターも、合わせて収納している。

ダーウェントのペンシルホルダーに色鉛筆をたくさん収納されている写真。

ただ、鉛筆を10本未満しか使わない鉛筆画と違い、色鉛筆画は1枚の絵で数十本使うので、30本入りペンシルホルダーでは色鉛筆が入り切らないことも多くなってきた。ペンシルホルダーを1つ買い増したがまだ入り切らないので、3つめの購入を検討中。
 → 革製ペンシルホルダーの詳細については、こちら

主婦歴が長い方にこの革製ペンシルホルダーをお見せしたところ、2~3週間後に、布と厚紙とミシンでご自分で手作りされた、布製ペンシルホルダーをお披露目頂いたことがある(笑)
中央の色鉛筆を留めるバンドの部分さえゴム製にすれば色鉛筆は固定されるはずなので、裁縫上手な方であれば、さくっと作れてしまうらしい。身の回りに裁縫上手がいらっしゃる幸運な方は、材料費を出すことを条件に、製作をお願いしてみてもいいかもしれない。

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